説明

画像出力装置,その制御方法及びプログラム

【課題】記憶手段になるべく多くのファイル情報を記憶しつつ画像出力モード以外の処理に必要な記憶領域を圧迫しないようにする。
【解決手段】メモリー印刷モードが設定されているときに、所定容量のファイル情報記憶領域67に記憶しきれない超過画像のファイル情報がある場合には(ステップS130で肯定判定)、メモリー印刷モード以外のモードで使用する共有記憶領域68における未使用領域にその超過画像のファイル情報を記憶する(ステップS140〜S180)。また、モードがメモリー印刷モードからそれ以外のモードに変更されたときには(ステップS210で否定判定)、未使用領域を解放する(ステップS240)。これにより、RAMになるべく多くのファイル情報を記憶しつつメモリー印刷モード以外の処理に必要な記憶領域を圧迫しないようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像出力装置,その制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像出力装置として、画像データに管理情報を付随させ、この管理情報に基づいて画像の印刷出力を制御するものが知られている(例えば、特許文献1)。この特許文献1に記載の画像形成装置では、管理情報に基づいて印刷出力を制御するほか、記憶部に空き容量がない場合には、管理情報に含まれる読取日時が古い画像を優先的に削除するものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−30550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の画像のファイル情報をまず取得して記憶手段に記憶しておき、このファイル情報に基づいて画像の出力を行うような場合において、画像の数が多いためファイル情報を記憶しておくための所定の記憶領域が不足することがある。このような場合に、特許文献1のように作成時期が古い画像のファイル情報を優先的に記憶対象から除外することとすると、所定の記憶領域の範囲内で記憶できない画像については出力対象から除外されていまうという問題がある。一方、所定の記憶領域以外の領域にもファイル情報を記憶することとすると、画像出力以外の他の処理に必要な記憶領域が不足してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、記憶手段になるべく多くのファイル情報を記憶しつつ画像出力モード以外の処理に必要な記憶領域を圧迫しないようにすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の画像出力装置は、
複数の画像を記憶する第1記憶手段と、
所定容量のファイル情報記憶領域を有する第2記憶手段と、
前記画像を出力可能な出力手段と、
前記第1記憶手段に記憶された画像を前記出力手段により出力する画像出力モードを含む複数のモードを設定可能なモード設定手段と、
前記画像出力モードが設定されているときに、前記第1記憶手段に記憶された前記画像のファイル情報を所定の順序で順次読み出して前記所定容量の範囲内で前記ファイル情報記憶領域に記憶する初期登録処理と、前記第1記憶手段に記憶された画像のうち該所定容量の範囲内でファイル情報を記憶できない超過画像がある場合には、該超過画像のファイル情報を前記所定の順序で順次読み出して前記第2記憶手段のうち前記画像出力モード以外のモードで使用する領域における未使用領域に記憶する追加登録処理と、を行うファイル情報登録手段と、
前記画像出力モードが設定されているときに、前記ファイル情報記憶領域又は前記未使用領域に記憶されたファイル情報に対応する画像を前記第1記憶手段から読み出して、該読み出した画像を出力するよう前記出力手段を制御する出力制御手段と、
前記画像出力モードからそれ以外のモードに設定変更されたときに、前記未使用領域に記憶されたファイル情報を別領域に保存することなく該未使用領域を解放する未使用領域解放手段と、
を備えたものである。
【0008】
この画像出力装置では、画像出力モードが設定されているときに、所定容量のファイル情報記憶領域に記憶しきれない超過画像のファイル情報がある場合には、画像出力モード以外のモードで使用する領域における未使用領域にその超過画像のファイル情報を記憶する。このため、所定容量を超えるファイル情報を記憶することができる。また、モードが画像出力モードからそれ以外のモードに変更されたときには、未使用領域に記憶されたファイル情報を別領域に保存することなく未使用領域を解放する。このため、他のモードでの処理を行う際に、ファイル情報記憶領域以外の領域にファイル情報が存在してこの処理に必要な記憶領域を圧迫するということがない。すなわち、本発明の画像出力装置は、記憶手段になるべく多くのファイル情報を記憶しつつ画像出力モード以外の処理に必要な記憶領域を圧迫しないようにすることができる。なお、第2記憶手段は、1つの記憶手段であってもよいし複数の記憶手段の集合体であってもよい。また、未使用領域の解放は、未使用領域内の情報を削除することで行ってもよいし、削除は行わず他の処理による未使用領域の上書きを許容することで行ってもよい。
【0009】
本発明の画像出力装置において、前記ファイル情報登録手段は、前記画像出力モードが設定されているときに前記初期登録処理及び前記追加登録処理を行ったあと、該画像出力モードからそれ以外のモードを経由して再び該画像出力モードが設定されたときには、前記初期登録処理及び前記追加登録処理を行わず、前記超過画像のファイル情報を前記所定の順序で順次読み出して前記未使用領域に記憶する再追加登録処理を行う手段としてもよい。こうすれば、一度未使用領域を解放したあと再び画像出力モードが設定されたときに改めて初期登録処理及び追加登録処理を行うものと比較して、ファイル情報を記憶する処理を迅速に行うことができる。
【0010】
この場合において、前記第1記憶手段は、第1〜第mフォルダー(mは2以上の整数)を有し、前記複数の画像は前記所定の順序で前記第1フォルダーから前記第mフォルダーに向かう順に前記フォルダー内に記憶されており、各フォルダーから前記画像のファイル情報が読み出される際には該フォルダー内における前記所定の順序で最初に位置する先頭画像から読み出しが開始される手段であり、前記ファイル情報登録手段は、前記再追加登録処理として、前記初期登録処理及び前記追加登録処理を行わず、前記初期登録処理で最後に前記ファイル情報記憶領域に記憶したファイル情報に対応する画像が記憶されているフォルダーを特定し、該フォルダー内における先頭画像から前記所定の順序で画像のファイル情報を順次読み出していき、該読み出したファイル情報が前記ファイル情報記憶領域に記憶されているか否かを判定して、否定的な判定をしたものを前記未使用領域に記憶する手段としてもよい。こうすれば、第1記憶手段においてファイル情報を読み出す際にフォルダー内における先頭画像から読み出しを開始する必要がある場合でも、最後にファイル情報記憶領域に記憶したファイル情報に対応する画像が記憶されているフォルダーを特定して、そのフォルダー内の先頭画像から読み出しを開始するため、改めて第1フォルダーの先頭画像から読み出しを行う場合に比べて再追加登録処理を迅速に行うことができる。
【0011】
さらに、この場合において、前記ファイル情報登録手段は、前記初期登録処理において、前記所定の順序で順次読み出したファイル情報を該読み出した順序と対応づけて前記ファイル情報記憶領域に記憶し、前記再追加登録処理として、前記初期登録処理で最後に前記ファイル情報記憶領域に記憶したファイル情報に対応する画像が記憶されている前記フォルダーを特定し、該フォルダー内における先頭画像から前記所定の順序で画像のファイル情報を順次読み出していくにあたり、該先頭画像のファイル情報に前記初期登録処理で対応付けられた順序と前記初期登録処理で最後に読み出したファイル情報に対応付づけられた順序とに基づいて、該読み出したファイル情報が前記ファイル情報記憶領域に記憶されているか否かを判定して、否定的な判定をしたものを前記未使用領域に記憶する手段としてもよい。こうすれば、初期登録処理においてファイル情報に対応付けた順序に基づいて、読み出したファイル情報がファイル情報記憶領域に記憶されているか否かを判定するため、読み出したファイル情報と既にファイル情報記憶領域に記憶されたファイル情報とをその都度直接比較して判定する場合と比べて再追加登録処理を迅速に行うことができる。
【0012】
本発明の画像出力装置において、前記ファイル情報記憶領域及び前記未使用領域にファイル情報が記憶されたときには、該記憶されたファイル情報に一対一に対応し該ファイル情報の前記第2記憶手段における位置を表すインデックス情報を作成して、該インデックス情報のリストを作成する処理を行うインデックスリスト作成手段、を備え、前記出力制御手段は、前記画像出力モードが設定されているときに、前記ファイル情報に対応する画像を出力するよう前記出力手段を制御するにあたり、前記インデックス情報のリストに基づいて前記ファイル情報の前記第2記憶手段における位置を特定して該ファイル情報に対応する画像を前記第1記憶手段から読み出す手段としてもよい。こうすれば、ファイル情報がファイル情報記憶領域と未使用領域とのいずれに記憶されているかに関わらず、記憶された位置をインデックス情報により特定して画像の出力を行うことができる。
【0013】
本発明の画像出力装置の制御方法は、
複数の画像を記憶する第1記憶手段と、所定容量のファイル情報記憶領域を有する第2記憶手段と、前記画像を出力可能な出力手段と、前記第1記憶手段に記憶された画像を前記出力手段により出力する画像出力モードを含む複数のモードを設定可能なモード設定手段と、を備えた画像出力装置の制御方法であって、
(a)前記画像出力モードが設定されているときに、前記第1記憶手段に記憶された前記画像のファイル情報を所定の順序で順次読み出して前記所定容量の範囲内で前記ファイル情報記憶領域に記憶する初期登録処理と、前記第1記憶手段に記憶された画像のうち該所定容量の範囲内でファイル情報を記憶できない超過画像がある場合には、該超過画像のファイル情報を前記所定の順序で順次読み出して前記第2記憶手段のうち前記画像出力モード以外のモードで使用する領域における未使用領域に記憶する追加登録処理と、を行うステップと、
(b)前記画像出力モードが設定されているときには、前記ファイル情報記憶領域又は前記未使用領域に記憶されたファイル情報に対応する画像を出力するよう前記出力手段を制御し、前記画像出力モードからそれ以外のモードに設定変更されたときには、前記未使用領域に記憶されたファイル情報を別領域に保存することなく該未使用領域を解放するステップと、
を含むものである。
【0014】
この画像出力装置の制御方法では、画像出力モードが設定されているときには、未使用領域に超過画像のファイル情報を記憶するため、所定容量を超えるファイル情報を記憶することができる。また、モードが画像出力モード以外のモードに変更されたときには、未使用領域を解放するため、他のモードでの処理を行う際に、ファイル情報記憶領域以外の領域にファイル情報が存在してこの処理を圧迫するということがない。すなわち、本発明の画像出力装置の制御方法によれば、記憶手段になるべく多くのファイル情報を記憶しつつ画像出力以外の処理に必要な記憶領域を圧迫しないようにすることができる。なお、この画像出力装置の制御方法において、上述した画像出力装置の種々の態様を採用してもよいし、上述した画像出力装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【0015】
本発明のプログラムは、コンピューターを上述した画像出力装置の制御方法の各ステップをコンピューターに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピューターが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピューターから別のコンピューターに配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムをコンピューターに実行させれば、上述の本発明の画像出力装置の制御方法の各ステップが実現されるため、本発明の画像出力装置の制御方法と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】マルチファンクションプリンター20の構成の概略を示す構成図。
【図2】筐体カバー22を開けた状態のプリンター20の外観図。
【図3】メモリー印刷モード時処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図4】メモリーカードMC内のフォルダー構成の一例を示す説明図。
【図5】画像チェック情報が追加されたファイル情報の一例を示す説明図。
【図6】RAM66に記憶されたファイル情報とインデックス情報との説明図。
【図7】再モード設定時処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図8】再モード設定時処理ルーチンを開始したときのRAM66を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるマルチファンクションプリンター(以下、プリンターという)20の構成の概略を示す構成図であり、図2は、筐体カバー22を開けた状態のプリンター20の外観図である。
【0018】
本実施形態のプリンター20は、筐体21と、筐体21の上面を開閉可能な筐体カバー22とにより構成されており、原稿を光学的に読み取って画像データを生成するスキャナーユニット30と、カセット23内にセットされている用紙を給紙し印刷して排紙トレイ24に排紙するプリンターユニット40と、ユーザーによる各種操作が可能な操作パネル46と、メモリーカードスロット50に挿入されたメモリーカードMCとの間でデータの入出力を司るメモリーカードコントローラー52と、装置全体の制御を司るメインコントローラー60と、を備える。
【0019】
スキャナーユニット30は、スキャナーASIC(Application Specific Integrated Circuit)32と、スキャナー機構34とを備える。スキャナーASIC32は、スキャナー機構34を制御する集積回路であり、メインコントローラー60からのスキャン指令を受けると、筐体21の上面のガラス台26(図2参照)に載置された原稿を画像データとして読み取るようスキャナー機構34を制御する。また、スキャナー機構34は、周知のイメージスキャナーとして構成されており、原稿に向かって発光した後の反射光をレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の各色に分解して画像データとする周知のカラーイメージセンサーを有する。
【0020】
プリンターユニット40は、プリンターASIC42と、プリンター機構44とを備える。プリンターASIC42は、プリンター機構44を制御する集積回路であり、メインコントローラー60から印刷指令を受けると、印刷指令の対象となる画像データに基づいて用紙に画像を印刷するようプリンター機構44を制御する。また、プリンター機構44は、印刷ヘッドから用紙へインクを吐出することにより印刷を行う周知のインクジェット方式のカラープリンター機構として構成されている。
【0021】
操作パネル46は、中央に配置された表示部47と、この表示部47の左隣に配置された電源ボタン48とを備える。表示部47は、タッチパネル式の液晶ディスプレイとして構成されており、モードを選択するモードボタンや、ディスプレイ上に表示される案内に従ってタッチすることによりメニューや項目を選択する選択/設定ボタン,コピーや印刷を開始するスタートボタンなどを表示してタッチ操作を受け付ける。ここで、モードボタンにより選択可能なモードとしては、ガラス台26に載置された原稿をスキャンして用紙に印刷するコピーモードや、ガラス台26に載置された原稿をスキャンしてデータ化すると共にメモリーカードMCに画像ファイルとして記憶するスキャンモード、メモリーカードMCに記憶された画像ファイルを用いて画像を印刷するメモリー印刷モードなどがある。
【0022】
メモリーカードコントローラー52は、メモリーカードスロット50に挿入されたメモリーカードMCとの間でデータの入出力を行うものである。このメモリーカードコントローラー52は、メモリーカードスロット50にメモリーカードMCが挿入されているときに、メモリーカードMCに保存されている画像ファイルを読み出してメインコントローラー60に送信したり、メインコントローラー60からの命令を入力しその命令に基づいてメモリーカードMCにデータを書き込んだりする。
【0023】
メインコントローラー60は、CPU62を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムや各種データ、各種テーブルなどを記憶したROM64と、一時的にスキャンデータや印刷データなどを記憶するRAM66と、操作パネル46との通信を可能とする内部通信インタフェース(I/F)69と、を備える。なお、RAM66は、メモリーカードMCに記憶された画像ファイルのファイル情報(後述)を記憶するための領域であるファイル情報記憶領域67や、上述した複数のモードにおいて使用される領域である共有記憶領域68を有している。このメインコントローラー60は、プリンターユニット40やスキャナーユニット30からの各種動作信号や各種検出信号を入力したり、操作パネル46のタッチ操作に応じて発生する操作信号を入力したりする。また、メモリーカードスロット50に装着されたメモリーカードMCから画像ファイルを読み出したり、画像データの印刷を実行するようプリンターユニット40に指令を出力したり、操作パネル46からのスキャン指令に基づいて原稿を画像データとして読み取るようスキャナーユニット30に指令を出力したり、操作パネル46に表示部47の制御指令を出力したりする。また、メインコントローラー60は、ユーザーがモードボタンをタッチ操作することにより上述したいずれかのモードを選択すると、プリンター20を現在のモードを選択されたモードに設定する。
【0024】
次に、こうして構成された本実施形態のプリンター20の動作、特にメモリー印刷モードが設定されているときの動作について説明する。図3は、メインコントローラー60により実行されるメモリー印刷モード時処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、メモリー印刷モードが設定されている状態でメモリーカードスロット50にメモリーカードMCが挿入されたときや、メモリーカードスロット50にメモリーカードMCが挿入された状態で初めてメモリー印刷モードが設定されたときに実行される。
【0025】
このメモリー印刷モード時処理ルーチンが開始されると、メインコントローラー60のCPU62は、まず、メモリーカードMCに記憶された画像ファイルからファイル情報を所定の順序に従って読み出して取得する(ステップS100)。この処理は、予めファイルシステムが定める順序(本実施形態ではFAT順とする)に従って画像ファイルを検索し、検索した画像ファイルのファイル情報を読み出すことで行う。図4にメモリーカードMC内のフォルダー構成の一例を示す。図4の例では、ルートディレクトリー下層には、「F1」,「F2」,・・・,「Fm」(mは3以上の整数)までのm個のフォルダーが形成されており、各フォルダー内にはそれぞれ1つ又は複数の画像例えば、「F1」フォルダー内には画像「A1」,「A2」,「A3」,「A4」)が記憶されている。また、図示するように、メモリーカードMC内の画像は「F1」から「Fm」に向かう順にFAT順に並んでいる。例えば「A1」の次のFAT順に位置する画像は「A2」であり、「A4」の次のFAT順に位置する画像は「B1」である。
【0026】
そして、CPU62は、読み出したファイル情報に登録順序を対応付けてファイル情報記憶領域67にファイルリストとして記憶する(ステップS110)。図5にファイル情報の一例を示す。図5の例では、メモリーカードMCに記憶された画像ファイルへのポインター(フルパスファイル名など)とファイル作成日とファイル作成時刻とからなるファイル情報(以下、オリジナルファイル情報という)が各画像ファイルと共にメモリーカードMCに記憶されており、このオリジナルファイル情報に画像チェック情報を追加したものが新たなファイル情報としてファイル情報記憶領域67に記憶される。画像チェック情報とは、画像ファイルがプリンターユニット40で正しく印刷できるファイルであるか否かを例えば拡張子や画像ファイルのデータを確認することでチェックし、その結果を表す情報である。なお、以下では、オリジナルファイル情報とこの新たなファイル情報とを特に区別しない場合には、単にファイル情報と称する。また、登録順序とは、ステップS110でファイルリストとして記憶した順序である。
【0027】
画像ファイルからファイル情報を読み出して記憶すると、CPU62は、まだファイル情報を読み出していない画像ファイルすなわち未処理の画像ファイルがメモリーカードMCに記憶されているか否かを判定する(ステップS120)。そして、肯定的な判定をすると、ステップS110においてファイル情報記憶領域67に記憶したファイル情報の数が所定の最大数に達したか否かを判定する(ステップS130)。ここで、所定の最大数とは、ファイル情報記憶領域67の記憶容量の上限に対応するファイル情報の数(例えば、値999)である。なお、近年、メモリーカードMCの記憶容量の増大に伴ってメモリーカードMCに記憶される画像ファイルの数は増加し、メモリーカードMCに記憶された画像ファイルの数が最大数を超える場合が多くなってきており、このような判定を行う重要性が増している。また、ファイル情報記憶領域67の記憶容量の上限は、例えば他のモードにおける処理でも使用する共有記憶領域68の容量を必要なだけ確保できるような値として定めたり、それより小さい値として定めたりすればよい。あるいは、後述するステップにおいて、ファイル情報記憶領域67にファイル情報が記憶された画像ファイルのうちいずれを印刷するかの印刷指示をユーザーから受け付ける際に、ユーザーが印刷を希望する画像ファイルを探す操作が煩わしくならないような値として最大数を定めてもよい。
【0028】
ファイル情報記憶領域67に記憶したファイル情報の数が最大数に達していないときには、ステップS100に戻り、ステップS100〜S130の処理を繰り返す。これにより、メモリーカードMCに記憶された画像ファイルのファイル情報が全てファイル情報記憶領域67に記憶されるか、又はファイル情報記憶領域67に記憶したファイル情報の数が最大数に達するまで、ファイル情報をファイル情報記憶領域67に記憶する処理が行われる。
【0029】
ファイル情報記憶領域67に記憶したファイル情報の数が最大数に達したときには、CPU62は、RAM66を調べて、共有記憶領域68に未使用領域があるか否かを判定する(ステップS140)。なお、未使用領域があるか否かの判定は、具体的には、画像のファイル情報を少なくとも1つ記憶できるだけの容量の未使用領域があるか否かを判定することにより行う。そして、肯定的な判定をすると、メモリーカードMCに記憶された画像ファイルからファイル情報を所定の順序に従って読み出して取得する(ステップS150)。この処理はステップS100と同様であり、ステップS100で最後にファイル情報を読み出した画像の次のFAT順の画像からファイル情報を読み出していくことになる。そして、取得したファイル情報を共有記憶領域68の未使用領域に記憶する(ステップS160)。続いて、未処理の画像ファイルがメモリーカードMCに記憶されているか否かを判定し(ステップS170)、肯定的な判定をすると、共有記憶領域68にまだ未使用領域があるか否かを判定する(ステップS180)。なお、ステップS180の処理は、上述したステップS140の処理と同様にして行う。
【0030】
未使用領域があると判定すると、CPU62は、ステップS150に戻り、ステップS150〜S180の処理を繰り返す。これにより、メモリーカードMCに記憶された画像ファイルのファイル情報が全てファイル情報記憶領域67及び未使用領域に記憶されるか、又は共有記憶領域68に未使用領域がなくなるまで、ファイル情報を未使用領域に記憶する処理が行われる。そして、ステップS170で未処理の画像ファイルがないと判定したときか、ステップS180で共有記憶領域68に未使用領域がないと判定したときには、ファイル情報記憶領域67及び未使用領域に記憶したファイル情報に一対一に対応し、そのファイル情報の位置を表すインデックス情報を作成してインデックスリストとしてRAM66に記憶する(ステップS190)。図6に、RAM66に記憶されたファイル情報とインデックス情報との一例を示す。図示するように、ファイル情報記憶領域67には、最大数と同じ999個のファイル情報(画像ファイル「A1」から画像ファイル「J3」までのファイル情報)が登録順序(値1〜999)と対応付けられてファイルリストとして記憶されている。また、画像ファイル「J4」から画像ファイル「X4」までのファイル情報は、最大数を超過した画像のファイル情報であるため、共通記憶領域68の未使用領域内に記憶されている。この場合、ステップS190では、この「A1」から「X4」までの画像ファイルのファイル情報のRAM66における位置を表す情報をそれぞれインデックス情報として作成して、図示するようにインデックスリストとしてRAM66に記憶する。本実施形態では、このインデックスリストは、ファイル情報記憶領域67や共通記憶領域68とは別に確保されたRAM66内の領域に記憶されるものとした。なお、インデックス情報は、例えばファイル情報の位置を表すポインターとしてもよい。また、ファイル情報記憶領域67に記憶されたファイル情報については、ファイル情報に対応付けられた登録順序をインデックス情報としてもよい。また、インデックス情報は、ファイル情報がファイル情報記憶領域67と共通記憶領域68とのいずれに記憶されているかを表す種別情報と、位置を表す情報とを組み合わせたものとしてもよい。なお、図6において、未使用領域内に記憶されたファイル情報は、ファイルリストと同様に連続した領域を占めるリスト状に記憶されているものとしたが、複数のファイル情報が断片的な領域に分かれて記憶されていてもよい。
【0031】
そして、インデックス情報をインデックスリストとしてRAM66に記憶すると、CPU62は、記憶したインデックス情報を対応する画像ファイルの作成時期の新しい順にソートする(ステップS200)。ここで、インデックス情報は上述したようにファイル情報の位置を表すものであり、ファイル情報(及びファイル情報に対応する画像ファイル)と対応している。そのため、ステップS200では、インデックス情報に対応するファイル情報に含まれるファイル作成日及びファイル作成時刻(すなわち画像ファイルの作成時期)を調べて、インデックス情報を対応する画像ファイルの作成時期順にソートする。なお、インデックス情報はファイル情報の位置を表す情報であり、ファイル情報と比べるとデータ量が小さい。そのため、このようにファイル情報の代わりにインデックス情報をソートすることで、ファイル情報自体をソートする場合と比べてデータの並び替えを行う処理を迅速に行うことができる。
【0032】
ステップS200でインデックス情報のソートを行うか、ステップS120で未処理の画像ファイルがないと判定するか、又はステップS140で未使用領域がないと判定すると、CPU62は、現在のモードがメモリー印刷モードのままであるか否かを調べる(ステップS210)。そして、肯定的な判定をすると、ユーザーからの印刷指示を受け付ける処理を行う(ステップS220)。この処理は、例えば以下のように行う。まず、CPU62は、ファイル情報記憶領域67に記憶されたファイル情報に対応する画像ファイルの一覧(例えば、画像ファイルのサムネイル画像の一覧や画像ファイルのファイル名の一覧)を表示部47に表示するよう操作パネル46を制御する。そして、ユーザーがタッチ操作により表示部47を介して画像ファイルの一覧のうち印刷を希望する画像ファイルを選択してスタートボタンを押下すると、選択された画像ファイルを印刷する印刷指示として受け付ける。この印刷指示を受け付けると、CPU62は、印刷指示がなされた画像ファイルをメモリーカードMCから読み出して、読み出した画像ファイルの印刷を実行するようプリンターユニット40を制御する印刷処理を行う(ステップS230)。この印刷処理によって、ユーザーが印刷を指示した画像が用紙に印刷される。なお、ステップS230での画像ファイルの読み出しは、ユーザーが指定した画像のファイル情報の位置をCPU62がインデックスリストにより特定し、特定したファイル情報に含まれる画像ファイルへのポインターを用いて、メモリーカードMCにおける印刷指示された画像ファイルを読み出すことで行う。また、ステップS220におけるサムネイル画像も、同様にインデックスリストにより特定されるファイル情報に含まれるポインターを用いて、メモリーカードMCにおける画像ファイルにアクセスすることで読み出す。このように、画像の印刷を行うためには画像ファイルを読み出すためのファイル情報を予め記憶しておく必要があり、本ルーチンでファイル情報がファイル情報記憶領域67及び未使用領域のいずれにも記憶されなかった画像ファイルがある場合には、その画像ファイルについては印刷を行うことができない。
【0033】
ステップS230の印刷処理を行うと、ステップS210に戻り、モードがメモリー印刷モードから変更されない限りステップS210〜S230の処理を繰り返す。これにより、ユーザーは所望の画像の印刷を指示して印刷された画像を得ることができる。一方、ユーザーが表示部47のモードボタンをタッチ操作することにより、ステップS210でモードがメモリー印刷モード以外のモードに設定されると、ステップS160の処理で用いた未使用領域を解放し、ステップS190の処理でインデックス情報を記憶しているときにはこれも削除して(ステップS240)、本ルーチンを終了する。なお、未使用領域の解放は、未使用領域に記憶されたファイル情報を削除することで行ってもよいし、削除は行わず他の処理による未使用領域の上書きを許容することで行ってもよい。本ルーチンを終了すると、以降は設定されたモードに応じた処理を開始する。例えば、コピーモードが設定されているときには、ガラス台26に載置された原稿をスキャンしてRAM66の共有記憶領域68に一時的に読み取った画像を記憶し、この画像を用紙に印刷する処理を行う。
【0034】
以上説明したメモリー印刷モード時処理ルーチンにより、ファイル情報記憶領域67に記憶できるファイル情報の数が最大数を超過していても、共有記憶領域68に未使用領域があればここにファイル情報を記憶するため、最大数を超えてファイル情報を記憶することができる。また、モードがメモリー印刷モード以外のモードに変更されたときには、未使用領域を解放するため、他のモードにおける処理に必要な記憶領域を圧迫することがない。
【0035】
次に、上述したメモリー印刷モード時処理ルーチンが一度終了した後、再びモードがメモリー印刷モードに設定されたときの処理について説明する。図7は、再モード設定時処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、メモリー印刷モード時処理ルーチンが一度終了した後、メモリーカードMCが抜かれることなく再びモードがメモリー印刷モードに設定されたときに実行される。なお、メモリーカードMCが抜かれたときには、CPU62はファイル情報記憶領域67を解放する処理を行うため、再びモードがメモリー印刷モードに設定されたとしても、上述したメモリー印刷モード時処理ルーチンを行う。
【0036】
再モード設定時処理ルーチンが開始されると、メインコントローラー60のCPU62は、まず、最後にファイル情報記憶領域67に記憶したファイル情報を特定し(ステップS300)、特定したファイル情報に対応する画像が記憶されているメモリーカードMC内のフォルダーを特定する(ステップS310)。ここで、図6に示した状態からモードの変更が行われてその後再モード設定時処理ルーチンを開始したときのRAM66の様子を図8に示す。図示するように、モードの変更により上述したステップ240の処理が行われているので、ファイル情報記憶領域67にはファイル情報が記憶されているが、共通記憶領域68は解放されておりインデックスリストも削除されている。このとき再モード設定時処理ルーチンが開始されると、最後にファイル情報記憶領域67に記憶したファイル情報すなわち画像ファイル「J3」のファイル情報がステップS300で特定される。なお、ステップS300の処理は、登録順序が値999に対応付けられているファイル情報を調べることで行ってもよいし、ファイルリストの一番下に記憶されているファイル情報を調べることで行ってもよい。そして、特定したファイル情報には画像ファイル「J3」のポインターが含まれているため、ステップS310では画像ファイル「J3」が記憶されているフォルダー「F10」が特定されることになる。
【0037】
続いて、CPU62は、特定したフォルダー内の先頭画像ファイルからファイル情報を所定の順序に従って取得する(ステップS320)。なお、上述したメモリー印刷モード時処理ルーチンと同様、所定の順序とは本実施形態ではFAT順である。また、先頭画像ファイルとは、フォルダー内における所定の順序で最も先頭に位置する画像ファイルのことである。例えば、図8の場合は、フォルダー「F10」における先頭画像ファイルである画像ファイル「J1」からファイル情報をまず取得することになる。
【0038】
そして、CPU62は、重複数Ndが未設定であるか否かを判定する(ステップS330)。ここで、重複数Ndとは、詳しくは後述するが、ステップS310で特定したフォルダー内に記憶された画像ファイルのうちファイル情報がファイル情報記憶領域67に既に記憶済みであるものの数である。重複数Ndが未設定であるときには、ステップS320で取得したファイル情報のファイル情報記憶領域67における登録順序N1を特定する(ステップS340)。例えば、図8の場合は最初のステップS330で先頭画像ファイルである画像ファイル「J1」のファイル情報を取得するため、「J1」のファイル情報に対応付けられた登録順序である値997が登録順序N1の値として特定される。続いて、メモリー印刷モード時処理ルーチンにおいて最後にファイル情報記憶領域67に記憶したファイル情報の登録順序N2を特定する(ステップS350)。例えば図8の場合は最後にファイル情報記憶領域67に記憶した画像ファイル「J3」のファイル情報の登録順序である値999が登録順序N2として特定される。そして、特定した登録順序N2と登録順序N1との差に値1を加えた値を重複数Ndとして設定する(ステップS360)。例えば図8の場合には、Nd=999−997+1=3として設定される。このようにして設定された重複数Ndの値は、ステップS310で特定したフォルダー内に記憶された画像ファイルのうちファイル情報がファイル情報記憶領域67に既に記憶済みであるものの数となる。すなわち、図8からもわかるように、フォルダー「F10」に記憶された6つの画像ファイルのうち、画像ファイル「J1」〜「J3」の3つのファイル情報については既にファイル情報記憶領域67に記憶されている。このような画像ファイルの数を重複数Ndと、これをファイル情報記憶領域67の登録順序を用いて導出しているのである。
【0039】
重複数Ndを設定すると、CPU62は、重複数Ndを値1デクリメントして(ステップS370)、ステップS320に戻る。例えば上述した図8の場合には、最初のステップS320では画像ファイル「J1」のファイル情報が取得されたため、次に実行するステップS320では画像ファイル「J2」のファイル情報が取得されることになる。そして続くステップS330では、重複数Ndは設定済みであるため肯定的な判定をし、重複数Ndが値0を超えているか否かを判定する(ステップS380)。上述した図8の例では重複数Ndは値3に設定され、1度デクリメントされて値2となっているので、ここでは肯定的な判定をして、ステップS370に戻る。以降は、ステップS380で否定的な判定をするまでステップS370,S320,S330,S380の処理を繰り返す。そして、ステップS380で否定的な判定をすると、直前のステップS320で取得したファイル情報を共有記憶領域68の未使用領域に記憶する(ステップS390)。図8の例では、重複数Ndが値0になるまでステップS380で肯定的な判定をするため、ステップS390で記憶されるのは画像ファイル「J4」のファイル情報となる。このように、重複数Ndを設定しこれが値0となってステップS380で否定的な判定をするまでステップS320〜S380の処理を繰り返すという処理を行うことで、ステップS320で先頭画像ファイルから順にファイル情報の読み出しを行っても、既にファイル情報記憶領域67に記憶されている画像ファイルのファイル情報を読み出している間はステップS390の処理を行わずに済む。このため、既にファイル情報記憶領域67に記憶済みのファイル情報を記憶することがない。
【0040】
ここで、このような処理を行う理由について説明する。メモリーカードMCがFATにより画像ファイルを記憶しており、CPU62がFAT順に従ってファイル情報を取得する場合に、FAT順の最初(画像ファイル「A1」)からでなく途中から読み出しを開始するときには、フォルダー単位での指定しか行うことができない。すなわち、指定したフォルダー内における任意の画像からファイル情報の取得を開始することはできず、フォルダーを指定してその中のFAT順で最初に位置する先頭画像ファイルからファイル情報の取得を開始する必要があるのである。これはFATというファイルシステムにおいて、フォルダー単位で読み出し開始位置を指定する命令は規定されていても画像単位で指定する命令が規定されていないことが理由である。そのため、既にファイル情報記憶領域67に画像ファイル「J3」までのファイル情報が記憶されており画像ファイル情報「J4」からファイル情報の読み出しを開始したいときでも、先頭画像ファイルである画像ファイル「J1」からファイル情報の読み出しを開始する必要がある。そこで、本実施形態では上述した重複数Ndを設定する処理を行い、既にファイル情報記憶領域67に記憶済みのファイル情報を読み出している間はファイル情報の記憶を行わないようにしているのである。このように、指定したフォルダーのうちファイルシステムの定めた順で最初に位置する先頭画像ファイルからファイル情報の取得を開始する必要があるファイルシステムとしては、FAT(=FAT16)の他に、例えばFAT12,FAT32,exFATがある。
【0041】
ステップS390でファイル情報を未使用領域に記憶すると、CPU62は、未処理の画像ファイルがメモリーカードMCに記憶されているか否かを判定し(ステップS400)、肯定的な判定をすると、共有記憶領域68にまだ未使用領域があるか否かを判定する(ステップS410)。このステップS400,S410の処理は、上述したステップS170,S180の処理と同様である。そして、ステップS410で肯定的な判定をすると、ステップS320に戻り処理を繰り返す。この場合、重複数Ndは既に値0となっているためステップS330,S380では共に否定的な判定をして、ステップS390の処理を行う。これにより、これにより、メモリーカードMCに記憶された画像ファイルのファイル情報が全てファイル情報記憶領域67及び未使用領域に記憶されるか、又は共有記憶領域68に未使用領域がなくなるまで、ファイル情報を未使用領域に記憶する処理が行われる。そして、ステップS400で未処理の画像ファイルがないと判定したときか、ステップS410で共有記憶領域68に未使用領域がないと判定したときには、ファイル情報記憶領域67及び未使用領域に記憶したファイル情報の位置を表すインデックス情報を作成してインデックスリストとしてRAM66に記憶する(ステップS420)。このステップS420の処理は、上述したステップS190の処理と同様である。これにより、図6に示した状態と同様に、ファイル情報記憶領域67及び未使用領域にファイル情報が記憶され、インデックスリストが作成された状態となる。
【0042】
インデックスリストを記憶すると、CPU62は、上述したメモリー印刷モード時処理ルーチンのステップS200〜S240の処理を行う。すなわち、インデックス情報をソートした後、モードがメモリー印刷モードのままであればユーザーの印刷指示を受け付けて印刷処理を行う。また、モードがメモリー印刷モードから変更されれば、未使用領域を解放して本ルーチンを終了する。
【0043】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のメモリーカードMCが本発明の第1記憶手段に相当し、RAM66が第2記憶手段に相当し、プリンターユニット40が出力手段に相当し、モードの設定を行うメインコントローラー60がモード設定手段に相当し、図3のメモリー印刷モード時処理ルーチンのステップS100〜S130の処理,ステップS140〜S180の処理,図4の再モード設定時処理ルーチンのステップS300〜S410の処理を行うメインコントローラー60がファイル情報登録手段に相当し、ステップS230の印刷処理を行うメインコントローラー60が出力制御手段に相当し、ステップS240の処理を行うメインコントローラー60が未使用領域解放手段に相当し、ステップS190の処理を行うメインコントローラー60がインデックスリスト作成手段に相当する。なお、本実施形態では、プリンター20の動作を説明することにより本発明の画像出力装置の制御方法の一例も明らかにしている。
【0044】
以上説明した本実施形態のプリンター20によれば、メモリー印刷モードが設定されているときに、所定容量のファイル情報記憶領域67に記憶しきれない超過画像のファイル情報がある場合には、メモリー印刷モード以外のモードで使用する共有記憶領域68における未使用領域にその超過画像のファイル情報を記憶する。このため、所定容量を超えるファイル情報を記憶することができる。また、モードがメモリー印刷モードからそれ以外のモードに変更されたときには、未使用領域に記憶されたファイル情報を別領域に保存することなく未使用領域を解放する。このため、他のモードでの処理を行う際に、ファイル情報記憶領域67以外の領域にファイル情報が存在してこの処理に必要な記憶領域を圧迫するということがない。すなわち、RAM66になるべく多くのファイル情報を記憶しつつメモリー印刷モード以外の処理に必要な記憶領域を圧迫しないようにすることができる。
【0045】
また、メモリー印刷モードが設定されているときにメモリー印刷モード時処理ルーチンのステップS100〜S130及びステップS140〜S180の処理を行ったあと、メモリー印刷モードからそれ以外のモードを経由して再びメモリー印刷モードが設定されたときには、メモリー印刷モード時処理ルーチンを行わず、超過画像のファイル情報を所定の順序で順次読み出して未使用領域に記憶する処理を行う。このため、一度未使用領域を解放したあと再びメモリー印刷モードが設定されたときに改めてメモリー印刷モード時処理ルーチンを行うものと比較して、ファイル情報を記憶する処理を迅速に行うことができる。
【0046】
さらに、メモリーカードMCにおいてファイル情報を読み出す際にフォルダー内における先頭画像から読み出しを開始する必要がある場合でも、最後にファイル情報記憶領域67に記憶したファイル情報に対応する画像が記憶されているフォルダーを特定して、そのフォルダー内の先頭画像から読み出しを開始するため、改めてFAT順における最初のフォルダー(図4におけるフォルダー「F1」)の先頭画像ファイルから読み出しを行う場合に比べて未使用領域へファイル情報を記憶する処理を迅速に行うことができる。
【0047】
さらにまた、メモリー印刷モード時処理ルーチンにおいてファイル情報に対応付けた順序に基づいて、読み出したファイル情報がファイル情報記憶領域67に記憶されているか否かを判定するため、読み出したファイル情報と既にファイル情報記憶領域に記憶されたファイル情報とをその都度直接比較して判定する場合と比べて未使用領域へファイル情報を記憶する処理を迅速に行うことができる。
【0048】
そしてまた、ファイル情報の位置を表すインデックス情報を作成してインデックスリストを記憶するため、ファイル情報がファイル情報記憶領域67と未使用領域とのいずれに記憶されているかに関わらず、記憶された位置をインデックス情報により特定して画像の出力を行うことができる。
【0049】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0050】
例えば、上述した実施形態では、ステップS130においてファイル情報記憶領域67に記憶したファイル情報の数が所定の最大数に達したか否かを判定するものとしたが、ファイル情報記憶領域67の所定容量の範囲内でファイル情報を記憶できない超過画像があるか否かを判定するものであれば、他の方法で判定を行ってもよい。例えば、ファイル情報記憶領域67の空き容量を導出して、この空き容量が次にファイル情報を記憶するために十分な所定の容量を下回るか否かを判定するものとしてもよい。
【0051】
上述した実施形態では、インデックスリストはRAM66におけるファイル情報記憶領域67や共有記憶領域68以外の領域に記憶するものとしたが、ファイル情報記憶領域67や共有記憶領域68に記憶するものとしてもよい。例えばファイル情報記憶領域67に記憶する場合には、インデックスリストを記憶するために必要な記憶容量に応じて、ファイル情報記憶領域67の所定の最大数の値を可変としてもよい。
【0052】
上述した実施形態では、ステップS110においてファイル情報と登録順序を対応付けて図6に示すようなファイル情報と登録順序とからなるファイルリストを作成するものとしたが、ファイル情報と読み出した順序とが対応づけられていれば他の方法を用いてもよい。例えばファイル情報記憶領域67におけるファイル情報の記憶位置を登録順序を表す情報として扱い、登録順序の数値自体を記憶しないものとしてもよい。
【0053】
上述した実施形態では、ステップS350において、メモリー印刷モード時処理ルーチンで最後にファイル情報記憶領域67に記憶したファイル情報の登録順序N2を特定するものとしたが、常に最大数を登録順序N2として特定するものとしてもよい。
【0054】
上述した実施形態では、ステップS100やS320における所定の順序とはFAT順であるものとしたが、他の順序としてもよい。例えば、メモリーカードMCがFAT以外のファイルシステムで画像ファイルの記憶を行っている時にはそのファイルシステムで定まる順序とすればよい。また、画像ファイルの作成日時順やフルパスファイル名のASCII昇順としてもよい。
【0055】
上述した実施形態では、ファイル情報記憶領域67又は未使用領域に記憶されたファイル情報に基づいて画像ファイルの印刷処理を行うステップS230について説明したが、ファイル情報記憶領域67又は未使用領域に記憶されたファイル情報に対応する画像ファイルをメモリーカードMCから読み出して、読み出した画像を出力するよう出力手段を制御するものであれば、どのような処理を行ってもよい。例えば、CPU62が、ファイル情報記憶領域67又は未使用領域に記憶されたファイル情報に含まれる画像ファイルへのポインターを用いてファイル情報記憶領域67又は未使用領域に記憶されたファイル情報に対応する画像ファイルを順次読み出し、読み出した画像ファイルの画像を表示するよう表示部47を制御するスライドショー処理を行うものとしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
20 マルチファンクションプリンター(プリンター)、21 筐体、22 筐体カバー、23 カセット、24 排紙トレイ、26 ガラス台、30 スキャナーユニット、32 スキャナーASIC、34 スキャナーエンジン、40 プリンターユニット、42 プリンターASIC、44 プリンターエンジン、46 操作パネル、47 表示部、48 電源ボタン、50 メモリーカードスロット、52 メモリーカードコントローラー、60 メインコントローラー、62 CPU、64 ROM、66 RAM、67 ファイル情報記憶領域、68 共有記憶領域、69 内部通信インタフェース(I/F)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像を記憶する第1記憶手段と、
所定容量のファイル情報記憶領域を有する第2記憶手段と、
前記画像を出力可能な出力手段と、
前記第1記憶手段に記憶された画像を前記出力手段により出力する画像出力モードを含む複数のモードを設定可能なモード設定手段と、
前記画像出力モードが設定されているときに、前記第1記憶手段に記憶された前記画像のファイル情報を所定の順序で順次読み出して前記所定容量の範囲内で前記ファイル情報記憶領域に記憶する初期登録処理と、前記第1記憶手段に記憶された画像のうち該所定容量の範囲内でファイル情報を記憶できない超過画像がある場合には、該超過画像のファイル情報を前記所定の順序で順次読み出して前記第2記憶手段のうち前記画像出力モード以外のモードで使用する領域における未使用領域に記憶する追加登録処理と、を行うファイル情報登録手段と、
前記画像出力モードが設定されているときに、前記ファイル情報記憶領域又は前記未使用領域に記憶されたファイル情報に対応する画像を前記第1記憶手段から読み出して、該読み出した画像を出力するよう前記出力手段を制御する出力制御手段と、
前記画像出力モードからそれ以外のモードに設定変更されたときに、前記未使用領域に記憶されたファイル情報を別領域に保存することなく該未使用領域を解放する未使用領域解放手段と、
を備えた画像出力装置。
【請求項2】
前記ファイル情報登録手段は、前記画像出力モードが設定されているときに前記初期登録処理及び前記追加登録処理を行ったあと、該画像出力モードからそれ以外のモードを経由して再び該画像出力モードが設定されたときには、前記初期登録処理及び前記追加登録処理を行わず、前記超過画像のファイル情報を前記所定の順序で順次読み出して前記未使用領域に記憶する再追加登録処理を行う手段である、
請求項1に記載の画像出力装置。
【請求項3】
前記第1記憶手段は、第1〜第mフォルダー(mは2以上の整数)を有し、前記複数の画像は前記所定の順序で前記第1フォルダーから前記第mフォルダーに向かう順に前記フォルダー内に記憶されており、各フォルダーから前記画像のファイル情報が読み出される際には該フォルダー内における前記所定の順序で最初に位置する先頭画像から読み出しが開始される手段であり、
前記ファイル情報登録手段は、前記再追加登録処理として、前記初期登録処理及び前記追加登録処理を行わず、前記初期登録処理で最後に前記ファイル情報記憶領域に記憶したファイル情報に対応する画像が記憶されているフォルダーを特定し、該フォルダー内における先頭画像から前記所定の順序で画像のファイル情報を順次読み出していき、該読み出したファイル情報が前記ファイル情報記憶領域に記憶されているか否かを判定して、否定的な判定をしたものを前記未使用領域に記憶する手段である、
請求項2に記載の画像出力装置。
【請求項4】
前記ファイル情報登録手段は、前記初期登録処理において、前記所定の順序で順次読み出したファイル情報を該読み出した順序と対応づけて前記ファイル情報記憶領域に記憶し、前記再追加登録処理として、前記初期登録処理で最後に前記ファイル情報記憶領域に記憶したファイル情報に対応する画像が記憶されている前記フォルダーを特定し、該フォルダー内における先頭画像から前記所定の順序で画像のファイル情報を順次読み出していくにあたり、該先頭画像のファイル情報に前記初期登録処理で対応付けられた順序と前記初期登録処理で最後に読み出したファイル情報に対応付づけられた順序とに基づいて、該読み出したファイル情報が前記ファイル情報記憶領域に記憶されているか否かを判定して、否定的な判定をしたものを前記未使用領域に記憶する手段である、
請求項3に記載の画像出力装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像出力装置であって、
前記ファイル情報記憶領域及び前記未使用領域にファイル情報が記憶されたときには、該記憶されたファイル情報に一対一に対応し該ファイル情報の前記第2記憶手段における位置を表すインデックス情報を作成して、該インデックス情報のリストを作成する処理を行うインデックスリスト作成手段、
を備え、
前記出力制御手段は、前記画像出力モードが設定されているときに、前記ファイル情報に対応する画像を出力するよう前記出力手段を制御するにあたり、前記インデックス情報のリストに基づいて前記ファイル情報の前記第2記憶手段における位置を特定して該ファイル情報に対応する画像を前記第1記憶手段から読み出す手段である、
画像出力装置。
【請求項6】
複数の画像を記憶する第1記憶手段と、所定容量のファイル情報記憶領域を有する第2記憶手段と、前記画像を出力可能な出力手段と、前記第1記憶手段に記憶された画像を前記出力手段により出力する画像出力モードを含む複数のモードを設定可能なモード設定手段と、を備えた画像出力装置の制御方法であって、
(a)前記画像出力モードが設定されているときに、前記第1記憶手段に記憶された前記画像のファイル情報を所定の順序で順次読み出して前記所定容量の範囲内で前記ファイル情報記憶領域に記憶する初期登録処理と、前記第1記憶手段に記憶された画像のうち該所定容量の範囲内でファイル情報を記憶できない超過画像がある場合には、該超過画像のファイル情報を前記所定の順序で順次読み出して前記第2記憶手段のうち前記画像出力モード以外のモードで使用する領域における未使用領域に記憶する追加登録処理と、を行うステップと、
(b)前記画像出力モードが設定されているときには、前記ファイル情報記憶領域又は前記未使用領域に記憶されたファイル情報に対応する画像を出力するよう前記出力手段を制御し、前記画像出力モードからそれ以外のモードに設定変更されたときには、前記未使用領域に記憶されたファイル情報を別領域に保存することなく該未使用領域を解放するステップと、
を含む画像出力装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の画像出力装置の制御方法の各ステップをコンピューターに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−195641(P2012−195641A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56258(P2011−56258)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】