説明

画像出力装置

【課題】 台面上に載置されているものを上方から撮影する場合、例えば本の紙面が湾曲している状態で撮影しているので、歪んだ状態で撮影されてしまう。
【解決手段】
台面上には所定の被写体を載置することが可能である。投影部がこの台面よりも高い位置から同台面上に所定の絵柄の光を投影すると、カメラ部は上記台面上の撮影を行なう。台面上に被写体が置かれている状態であれば、上記絵柄は立体表面に投影され、歪み修正パラメータ演算部はカメラ部にて上記投影される絵柄を撮影した画像データに基づき、同絵柄の歪みから上記台面上に載置された被写体の表面形状を平面状に戻すパラメータを演算する。そして、画像データの歪み修正演算部は、演算された歪み修正パラメータに基づいて上記カメラ部にて撮影される画像データに生じている歪みを除去した平面状の画像データに変換する。最後に、歪みを除去した平面状の画像を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像出力装置に関し、特に、台面上に載置した被写体の画像を出力可能な画像出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の台面上に載置した被写体を撮影可能な画像形成装置が知られている。
特許文献1及び特許文献2に示すものでは、台面を手前に引き出した後、同台面上にせり出してくる撮影素子により、上記台面上に載置された被写体を上方から撮影する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−68289号公報
【特許文献2】特開2010−68290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、台面上に載置されているものを上方から撮影する場合、例えば本の紙面が湾曲している状態で撮影しているので、歪んだ状態で撮影されてしまう。
本発明は、本来は平面でありながら立体的になって湾曲して撮影される画像から本来の平面の状態の画像に変換することが可能な画像出力装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、台面上には所定の被写体を載置することが可能である。投影部がこの台面よりも高い位置から同台面上に所定の絵柄の光を投影すると、カメラ部は上記台面上の撮影を行なう。台面上に被写体が置かれている状態であれば、上記絵柄は立体表面に投影され、歪み修正パラメータ演算部はカメラ部にて上記投影される絵柄を撮影した画像データに基づき、同絵柄の歪みから上記台面上に載置された被写体の表面形状を平面状に戻すパラメータを演算する。そして、画像データの歪み修正演算部は、演算された歪み修正パラメータに基づいて上記カメラ部にて撮影される画像データに生じている歪みを除去した平面状の画像データに変換する。最後に、歪みを除去した平面状の画像を出力する。
【0006】
ここで、歪み修正パラメータは歪みを完全に無くすことができるものに限られず、軽減するようなものも含まれる。また、上記投影部は、上記被写体の中央近辺から放射状に上記絵柄の光を投影するように構成することができる。放射状に投影すると立体物の表面の高さにほぼ比例して各地点においてずれが生じる。
また、上記投影部は、上記放射状の絵柄の光として升目状の絵柄を投影するように構成することができる。升目状の絵柄であると各格子点が定まり、各格子点の高さ情報を得られるので立体物を把握しやすい。
【0007】
さらに、上記歪み修正パラメータ演算部は、上記升目状の格子点ごとにずれ量と高さとの対応関係を示すテーブルを有しており、歪みの格子点ごとにずれ量を求めて高さ情報に変換することで立体表面形状を求めるように構成しても良い。
台面と投影部との一定の位置関係が定まっているので、予め各格子点ごとにずれ量と高さとの換算用のテーブルを用意することが可能であり、演算が容易になる。
【0008】
また、上記歪み修正パラメータ演算部は、立体形状が求められたら、湾曲している立体表面を平面に展開した状態に戻すための歪み修正パラメータの演算を行なうように構成することができる。湾曲している立体表面を把握できるので、後は各平面を水平にしてつなぎ合わせるだけで展開した状態に戻すことができる。
このため、上記歪み修正演算部は、上記歪み修正パラメータに基づいて湾曲している立体表面を平面に展開した状態に戻す演算を行なうように構成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、本の紙面などを平面に戻した状態に変換できるので、湾曲による歪みのない画像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態にかかるMFPの外観を示す斜視図である。
【図2】被写体撮像時の外観を示す斜視図である。
【図3】ヘッド部の裏側を示す斜視図である。
【図4】光センサーを示す斜視図である。
【図5】MFPのブロック回路図である。
【図6】3Dの外光測定の処理を表すフローチャートである。
【図7】3Dでの外光除去の処理を示すフローチャートである。
【図8】台面上に載置された被写体と仮想光源の位置を示す図である。
【図9】2Dの外光測定の処理を表すフローチャートである。
【図10】2Dでの外光除去の処理を示すフローチャートである。
【図11】台面上に厚物の本を見開きの状態で載置した状態を示す平面図である。
【図12】同状態を理解しやすいように示した斜視図である。
【図13】正面から見た本とカメラの位置関係を示す正面図である。
【図14】3Dでの撮影の手順に沿ったフローチャートである。
【図15】台面上に升目状のパターンを投影した状態を示す図である。
【図16】台面上に厚物の本を見開きで載置して同パターンを投影した状態を示す図である。
【図17】2Dでの撮影の手順を示すフローチャートである。
【図18】変形例にかかる複合機の外観を示す斜視図である。
【図19】被写体撮影時の外観を示す斜視図である。
【図20】撮影時の平面図である。
【図21】撮影用のカメラを部分拡大して示す斜視図である。
【図22】2Dによる撮影の手順を示すフローチャートである。
【図23】カメラの位置で台面を撮影したときの画像と本来の二次元の平面画像との対応を示す歪み修正パラメータを図形として示す図である。
【図24】非撮影状態を示す斜視図である。
【図25】非撮影状態を示す側面図である。
【図26】撮影状態を示す斜視図である。
【図27】撮影状態を示す側面図である。
【図28】撮影状態を示す背面図である。
【図29】カメラの位置で台面を撮影したときの画像と本来の二次元の平面画像との対応を示す歪み修正パラメータを図形として示す図である。
【図30】本来のサイズが分かるように規格化する処理を示すフローチャートである。
【図31】サイズ分からなくなる問題を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。以下、本発明の画像出力装置として、ファクシミリ機能、印刷機能、スキャナー機能などを備えた複合機(MFP)に適用した実施例について説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかるMFPの外観を斜視図により示しており、図2は被写体撮像時の外観を斜視図により示している。
【0012】
同図において、複合機(MFP)10は、平面図で長四角の外枠をなし、高さ方向には幅方向や奥行き方向と比べて十分に薄い形状の概略矩形の筺体として形成されている。正面側には幅方向に長く形成された印刷物を排出する排出口11が形成され、同排出口11の上方の前面壁面には複数の操作子12やディスプレイパネル13などを備えている。上面は被写体を載置する台面15となっている。
【0013】
本MFP10は、本体筺体14とは別部材であり、正面側から見て右側面の中程から後方に向けて後端まで達した後、背面側に沿って左側に向けて延びて背面の中程まで達する概略L字型のアーム20を有している。このアーム20は、本体筺体14の右側面に位置する連結部21と、本体筺体14の背面側に位置するヘッド部22とから構成され、本体筺体14の右側面の中程を回転中心とするように上記連結部21が本体筺体14に対して枢動可能に連結されている。そして、連結部21が枢動することにより、ヘッド部22が本体筺体14の背面側に位置する収容位置と、同ヘッド部22が本体筺体14の上方である撮影位置との間で移動可能となっている。
【0014】
図3はヘッド部22の裏側を示す斜視図であり、同図に示すようにヘッド部22における上記撮影位置で上記台面15に対面する面には、上記本体筺体14の幅方向に所定距離を隔てて配置される二つのカメラ31,32と、その間に位置する投影部33と、同投影部33むようにヘッド部22の手前側と奥側に所定距離を隔てて幅方向に広い照明部34,35が配置されている。このように台面15に対面して所定距離を隔てた二つのカメラ31,32を有しているので、上記台面15上の被写体に対して撮影位置を異ならせた二つの画像を撮影可能であり、立体形状の情報を得られる。また、照明部34,35は照度を変更可能であり、外光の影響を低減させる処理にも利用可能である。
【0015】
以上のようにしてアーム20は収容状態から撮影状態の位置へ移動可能であるので、カメラ31,32にて構成されるカメラ部は、台面下方の収納位置に収納可能であるとともに、同台面下方の収納位置から同台面上の撮影位置へ移動可能に支持されていることになる。
ヘッド部22が撮影位置にある状態で、同ヘッド部22の上面には5方向に配向された一つのユニットからなる光センサー36と複数の操作子37が備えられている。
【0016】
図4は光センサー36を斜視図により示している。同図に示すように、光センサー36は正面、両側面、背面から見た状態で台形であり、平面状態で外形が正方形となる立体形状を有しており、上面に上方に開口する光センサー素子が一つ配設され、それぞれの斜めに形成された側面にそれぞれ同斜め方向に開口する光センサー素子が一つずつ配設されている。光センサー36により、後述するように、ヘッド部22の上面において外光の状況を検出することになる。
【0017】
図5は、本MFPのブロック回路図を示しており、本体筺体14内に収容された印刷機構などによって構成されて印刷を行う印刷部41と、上記カメラ31,32を含むカメラ部42と、上記操作子12,37による操作を受け付けたり必要な情報を上記ディスプレイパネル13に表示する操作部43と、電話回線によるファクス送受信やネットワーク等によって外部機器との通信を行う通信部44と、投影部33や照明部34,35や光センサー36が接続されるI/O部45と、これらを総合的に制御する制御部46などを備えている。主に制御部46が主体となって以下のフローチャートの処理を実行しながら各部の制御を実行する。
【0018】
次に上記構成からなる本実施例の印刷装置の動作を説明する。
図6は3Dの外光測定の処理を表すフローチャートであり、図7は3Dでの外光除去の処理を示すフローチャートである。
同図に示すように、外光除去は二つの手法を採用可能である。一つめは3Dの処理であり、ステップS100では、5方向の光センサー36の検出光強度を測定する。具体的には制御部46がI/O部45を介して同光センサー36の検出出力を入力する。
【0019】
図8は台面15上に載置された被写体と仮想光源の位置を示す図である。
上述したように光センサー36は5方向の光強度を検出するので、ステップS102では、制御部46は5方向の光強度に応じた重み付けの演算によって光センサー36の配置位置を原点とするXY方向に加えて迎角θからなる仮想光源方向を求める。このようにして、仮想光源方向(ライティング)を設定することにより、後に3Dモデルデータに対してライティングと逆の補正値を適用して外光の影響を除去するのに利用する。
【0020】
後述するように本MFPでは2つのカメラ31,32を利用することにより3Dモデリングが可能であり、3Dモデルデータを取得できる。これを前提として、先に3Dでの外光除去処理について説明する。
ステップS110では3Dモデルデータを取得する。この3Dモデルデータは立体物表面の座標を表すベクトルデータと、同ベクトルデータによって特定される立体物表面の画像データとからなる。これらにより、死角となる面を除いて立体物表面画像を表現できる。続く、ステップS112では、ステップS102にて求めた仮想光源方向を取得する。通常は、本来立体物の表面の画像データにシェーディングの効果を与えるために仮想光源方向を利用するが、ステップS114ではライティングによる影響を求めた上でその逆の補正値を演算する。すなわち、仮想光源に対面して明るく表示する面であれば暗くする補正値を、逆に仮想光源の影の側になって暗くする面であれば明るくする補正値を求める。ステップS116では、この補正値を3Dモデルデータの各面ごとに設定する。そして、ステップS118では3Dモデルデータの各面の輝度補正を反映させた上で、平面の画像データに変換することで外光除去が終了する。
【0021】
以上のように、複数の方向に配向された光センサー36を使用し、この光センサー36の検出結果に基づいて外光光源の情報(仮想光源方向)を検出し、同情報に基づいて外光の影響を除去している。
この例では、光センサー36が台面15上での外光の状況を検出する外光検出部を構成している。ステップS100にて同光センサー36の検出高強度を測定した後、ステップS102で仮想光源を設定するとともに、ステップS112にて仮想光源方向を取得してステップS114でライティングの逆補正値を計算し、ステップS116で各面ごとに逆補正値を設定する処理が、外光検出部による検出結果に基づいて上記カメラ部による上記台面上の撮影結果への影響を打ち消す調整値を演算する外光演算部を構成する。そして、ステップS118にて3Dモデルデータの各面の輝度補正を反映させる処理が、カメラ部に台面上の被写体を撮影させて得られた画像に上記調整値を反映させて外光の影響を低減させる処理を施す外光除去処理部を構成している。
【0022】
特に、光センサー36は、複数の方向に配向された光センサーを有し、この光センサーの検出結果に基づいて外光光源の情報を検出できる。
次に、外光除去の手法として2Dでの手法について説明する。
図9は2Dの外光測定の処理を表すフローチャートであり、図10は2Dでの外光除去の処理を示すフローチャートである。
ステップS130では、キャリブレーション光の投影と台面撮影を行なう。具体的には、制御部46は照明部34,35の強度を順番に最弱、弱、中、最大と変化させ、各段階でカメラ31またはカメラ32で台面15の表面を撮影させる。得られた画像データは照明強度の異なる4つの画像データとなる。なお、これはキャリブレーションの意味で撮影するので、必要に応じて台面15上に予め提供しておいたムラのないキャリブレーション用紙を載置した上で撮影を行っても良い。そして、ステップS132では、撮影画像を所定数の区画(升目)に分け、各区画ごとに概略の明暗状況を検出する。
【0023】
明暗状況を得られたら、ステップS134では区画ごとの輝度補正値の演算を行なう。本実施例では、中心付近の区画を基準値とした相対的な値とする。撮影は、照明部34,35を使用して、照明の強度を変えて複数回行っており、それぞれの撮影結果に基づいて相対値を得た上で、さらに各回の補正値の平均値を取ることでより外光除去を効果的に行えるようにしている。以上により2Dの外光測定処理を終了する。
【0024】
各画像における外光除去は次のように行う。制御部46はカメラ部42を制御してカメラ31かカメラ32のいずれかで台面15上の被写体の撮影を行なう。この場合は2Dの処理なのでいずれか一方のカメラで撮影した画像データを得られればよい。画像データを得られたら、ステップS140にて、2Dデータの各区画ごとに輝度補正値を適用する。台面15上の外光の影響度合いは区画ごとの明暗の相対値として把握し、ステップS134にて同補正値を得ているため、この補正値を2Dの画像データの各区画ごとに適用する。一般的な明暗の修正では画像データの輝度値にγカーブを適用する。相対的な明暗比に対応したγ値を別途テーブルとして用意しておき、同テーブルからγ値を読み込むと共に同γ値に基づくγカーブを描いて入力値と出力値との対応テーブルを作成し、画像データの輝度値を変換する。
【0025】
以上のように、照明部34,35によって照度を変えた複数の環境下で、上記カメラ31,32によって上記台面15上を撮影し、各区画(升目)ごとの輝度の分布に基づいて外光の状況を検出し、同分布に基づいて台面上の撮影結果への影響を打ち消す調整値を演算している。
なお、本発明における印刷部は本実施例における印刷部41が相当し、台面は台面15が相当し、カメラはカメラ部42とカメラ31,32が相当し、外光検出部は光センサー36および台面15上を撮影するカメラ31,32が相当する。また、外光演算部はステップS100,ステップS102の処理とステップS130〜ステップS134の処理と各ハードウェアが相当し、外光除去処理部はステップS110〜ステップS118とステップS140の処理と各ハードウェアが相当し、印刷制御部は制御部46が相当しているといえる。
【0026】
特に、ステップS130とステップS132にて、照明強度の異なる4つの画像データに基づいて撮影画像を所定数の区画(升目)に分け、各区画ごとに概略の明暗状況を検出するので、かかる処理が、カメラ部によって複数の照明環境下での台面上を撮影し、輝度の分布に基づいて外光の状況を検出する処理に相当し、ステップS134で上記補正値を得る処理が、上記分布に基づいて台面上の撮影結果への影響を打ち消す調整値を演算する処理に相当する。
【0027】
次に、撮影の手順に沿って説明する。
図11は台面15上に厚物の本を見開きの状態で載置した状態を平面図により示しており、図12は同状態を理解しやすいように斜視図による略図で示しており、図13は正面から見て本とカメラの位置関係を略図により示している。そして、図14は3Dでの撮影の手順に沿ったフローチャートである。
【0028】
撮影にあたり、ステップS200にて外光測定処理を実施する。この処理は上述したとおりである。ステップS202では、3D撮影を2つのカメラ31,32で行う。図13に示すように所定間隔を隔てた二つのカメラ31,32で台面15の上の本を撮影すると、わずかにずれた二つの画像が得られる。ステップS204では、二つの画像のずれを視差に置き換えて台面15上に置かれた立体物の外形を求める。これが先に説明した3Dモデルデータとなる。この後、ステップS206では外光除去処理を行う。ステップS110〜ステップS116の処理が相当する。すると外光の影響を除去するように明暗を調整した3Dの立体物の表面画像が求められる。
【0029】
ステップS208では、3Dモデルを2Dへ変換するためのパラメータを演算する。ここでは、本来の3Dの立体画像を求めるのではなく、本の表面が湾曲している状態から、湾曲していなければ得られるはずの平面の画像データを生成する。
ベクトルデータで求められる立体物の表面位置に基づいてそれらを連結して形成される最小の各面に画像データを貼り付けることができるから、ステップS210の処理で、各平面を平面上に展開させた2Dの画像データを得る。この過程を演算によって求める。ただ、演算の複雑さを考慮して、予めパターン化しておいた立体形状の3Dモデルを用意しておき、求められた立体外形が近い3Dモデルを選択するようにしても良い。むろん、各3Dモデルは展開を容易にする簡易的な形状にしてある。このようにすれば、選択された3Dモデルに画像データを貼り付けたときの展開演算を求めるパラメータに基づいて容易に平面状の画像データを得ることが可能となる。本の見開きの形状であれば基本的な形状は似ているためである。
【0030】
二つのカメラ31,32は所定距離を隔ててアーム20の裏面に備えられており、台面15上の所定位置にて同台面15上を撮影可能である。従って、これらの構成によりカメラ部を構成している。ステップS202にて二つのカメラ31,32で台面15上の被写体を撮影した画像データに基づき、ステップS204では二つの画像のずれを視差に置き換えて台面15上に置かれた立体物の外形を求めており、この処理が複数の位置で撮影された画像データに基づいて上記台面上に載置された被写体の表面形状を平面状に戻すパラメータを演算する歪み修正パラメータ演算部を構成している。すなわち、複数の位置で撮影された画像データのずれた二つの画像を視差に置き換えて台面上に載置される被写体の立体外形を求めている。
【0031】
ステップS208では、3Dモデルを2Dへ変換するためのパラメータを演算しており、ステップS210では各平面を平面状に展開させた2Dの画像データを得る。従って、これらの処理が演算された歪み修正パラメータに基づいて上記画像データに生じている歪みを除去した平面状の画像データに変換する画像データ歪み修正演算部を構成している。すなわち、立体物の表面位置に基づいてそれらを連結して形成される各平面を平面状に展開させた画像データを得ている。この後、ステップS212にて同画像データを保存する。
【0032】
また、演算を簡易にするために、予めパターン化しておいた立体形状の3Dモデルを用意しておき、これに求められた立体外形を当てはめる処理例が、予めパターン化しておいた立体形状の3Dモデルを用意しておき、求められた立体外形が近い3Dモデルに画像データを貼り付けたときの展開演算を求めるパラメータに基づいて歪み修正を行う画像データ歪み修正演算部を構成することになる。
【0033】
また、保存した平面の画像データに基づいて制御部46が印刷部41に画像を印刷させるので、当該処理が印刷制御部を構成している。
上述した例は3Dでの撮影の例であるが、2Dでの撮影の例を次に説明する。
図15は台面15上に升目状のパターンを投影した状態を示しており、図16は同台面15上に厚物の本を見開きで載置して同パターンを投影した状態を示している。図17は2Dでの撮影の手順に沿ったフローチャートである。
【0034】
まず、ステップS230にて、上述したように外光測定処理を行なう。次に、ステップS232にて、所定の絵柄の光である歪み検出用パターンの投影を行なう。ヘッド部22における台面15に対面する側には投影部33が備えられており、図15に示すような升目状のパターン(歪み検出用パターン)を投影する。この投影部は台面15のほぼ中央の上方に位置している。台面15に何も載置していない状態では図15に示すように正確な升目が投影されるが、台面15に本を載置していると、図16に示すように立体形状を反映して画像が歪む。投影部33から放射状に投影される升目のパターンの場合、升目の格子点ごとに高さに対応して放射方向にずれることになる。従って格子点ごとのずれ量がその格子点での高さ情報となる。
【0035】
ステップS234では、1つのカメラ31で2D撮影を行なう。なお、投影部33の位置とカメラ31の位置は一致していないが、補正演算で解消できる。撮影した画像データに基づき、ステップS236で、歪み検出用パターンの格子点検出を行なう。各格子点の位置ごとに上述したずれ量を得られたら、高さ情報に基づいて立体形状が求められるため、ステップS238では、上述したのと同様にして、湾曲している立体表面を平面に展開した状態に戻すための歪み修正パラメータの演算を行なう。以上により立体物を2D画像として撮影したときの歪みを戻すパラメータが得られたことになる。
【0036】
ステップS240では、1つのカメラ31で台面15上の被写体を撮影する。むろんこの時点では歪み検出用パターンは投影していない。続く、ステップS242にて、外光除去処理を行う。外光除去処理は3Dによる外光除去の手法を採用しても良いし、2Dによる外光除去の手法を採用しても良い。いずれにしても外光の影響を除去した後、ステップS244では、ステップS238で得られたパラメータを利用して2Dの画像データの歪みを修正する。修正後、ステップS246にて修正後の画像データを保存する。
【0037】
本実施例では、投影部33より台面51上に歪み検出用パターンを投影するステップS232の処理で投影部を構成している。また、カメラ31によって上記投影される絵柄を2Dで撮影した画像データに基づいて、ステップS236とステップS238の処理で同絵柄の歪みから上記台面51上に載置された被写体の表面形状を平面状に戻すパラメータを演算する処理が歪み修正パラメータ演算部を構成している。そして、ステップS240で1つのカメラ31で台面15上の被写体を撮影するとともに、ステップS244にて上記演算された歪み修正パラメータに基づいて上記画像データに生じている歪みを除去した平面状の画像データに変換する処理が画像デーの歪み修正演算部を構成している。
【0038】
また、保存した平面の画像データに基づいて制御部46が印刷部41に画像を印刷させるので、当該処理が印刷制御部を構成している。
図18は、変形例にかかる複合機の外観を斜視図により示しており、図19は被写体撮影時の外観を斜視図により示している。また、図20は撮影時の平面図、図21は撮影用のカメラを部分拡大して斜視図により示している。
【0039】
本MFP50は、台面51を有しており、台面51には手前側の幅方向に延びる短冊状のアーム52が埋設されている。アーム52は正面から見て右側の端部を回転中心として左端が持ち上がるように回転可能である。そして、図19に示すように同アーム52はほぼ直立状態となる。アーム52の上端近辺であって上記台面51に対面する側には凹部53を形成してある。この凹部53にはカメラ54が配設されており、同カメラ54が台面51上の被写体を撮影可能である。この例ではカメラ54を1つだけ備えているが視点を変えて撮影して立体画像を得られるように複数のカメラを備えることも可能である。なお、アーム52を直立した状態でのカメラ54の位置は一定であるため、直立させることでカメラ54の位置は判断可能といえる。
【0040】
図22は、2Dによる撮影の手順を示すフローチャートである。
ステップS250では、カメラ位置検出を行なう。上述したように、アーム52を直立した状態でのカメラ54の位置は一定である。従って、アーム52を直立させたことで、カメラ54位置を検出できたことになる。この例ではアーム52を直立させる動作が該当しているが、カメラの位置は自由であり、カメラの位置をカメラの側から設定するということもできる。これが所定のポジションを設定することに相当する。
【0041】
ステップS252では、カメラ位置対応歪み修正パラメータ取得の処理を行う。図23はカメラ54の位置で台面51を撮影したときの画像と本来の二次元の平面画像との対応を示す歪み修正パラメータを図形として示している。カメラ54で台面51上を撮影すると、長四角の矩形形状が図23の上方に示すような歪んだ菱形状に撮影される。この対応パターンは固定的であるから、菱形形状の画像の座標位置と本来の長四角の矩形形状の画像の座標位置とを対応付けしておくことで、カメラ54で撮影した画像を歪みのない元の平面画像に変換することができる。
【0042】
従って、ステップS254にて、同カメラ54にて2Dによる撮影を行ない、ステップS256にて、同カメラ54位置に対応する歪み修正パラメータを適用して歪み除去する。
上述した図18〜図21に示す実施例では、カメラ54がアーム52を寝かせた状態から直立させた状態へ移動可能であり、直立させた状態で台面51よりも高い位置から同台面51上の撮影を行なう。ステップS250の処理では、カメラ位置検出を行なっており、この位置から撮影した台面51は図23の上方に示すように歪んで撮影されることが分かっている。従って、ステップS250の処理は、カメラ部の撮影位置と台面との位置関係を検出するカメラ位置検出部の処理に相当する。また、図23に示す対応関係が分かっているので、ステップS252にて菱形形状の画像の座標位置と本来の長四角の矩形形状の画像の座標位置とを対応付けしておく情報を取得することがカメラ位置対応歪み修正パラメータ演算部に相当する。演算といっても広義には予め対応づけられたテーブルを参照することも含み、このような二次元画像同士の対応関係であれば二次元画像変換テーブルとして構成しておくのが容易である。また、後述するような図28に示すようなカメラ63位置であれば、図29に示す台形と長方形との対応関係が二次元画像変換テーブルに相当する。
【0043】
ステップS254にて撮影した画像に対して、ステップS256でカメラ54位置に対応する歪み修正パラメータを適用して歪み除去する処理は、演算されたカメラ位置対応歪み修正パラメータに基づいて上記画像データに生じている歪みを除去した画像データに変換する画像データの歪み修正演算部に相当する。なお、このようにして得られた平面状の画像データに基づいて制御部46が印刷部41に画像を印刷させるので、当該処理が印刷制御部を構成している。
【0044】
図24〜図28は、本発明の他の変形例を示している。図24は非撮影状態を斜視図により示しており、図25は同状態を側面図により示している。図26は撮影状態を斜視図により示しており、図27は側面図により示しており、図28は背面図により示している。
図に示すように、本MFP60では、本体筺体67に対して、前面側のパネル61が撮影時や印刷時には台面64を見下ろせる様に上方にスライド移動可能であり、非撮影時や非使用時には下方にスライド移動する。上方にスライドすることで前面に印刷用紙を排紙する排出口62が開口する。本体筺体67内には図示しないが印刷部41が収容されている。
【0045】
また、パネル61が上方にスライドすると、その背面側の上端付近に配設されているカメラ63もせり上がり、上方から台面64上を見下ろす位置に移動する。カメラ63はパネル61の幅方向の中央に配設されている。なお、パネル61の背面側には、カメラ63を挟むように両側に照明部65,66を配設されている。パネル61の背面側に照明部65,66が備えられているので、撮影時に操作者の側に照明光が直接投射されず、まぶしくない。
【0046】
このように台面64上を上方手前側から撮影すると図29の上方に示すように台形状に歪みが表れる。これを台形歪みと呼んでいる。この台形の座標位置とその下方に示す長四角形の座標位置との対応関係が、このカメラ位置に対応した歪み修正パラメータとなる。
従って、この例でもカメラ位置に対応した歪み修正パラメータを取得して歪みを除去できる。
【0047】
この実施例では、印刷部41は本体筺体67内に収容されており、同本体筺体67は薄箱状で上面に被写体を載置可能な台面64を有する構成となっている。パネル61は、本体筺体67の側面に配置されて同側面に沿って上下方向に概略スライド移動可能な構成となっている。カメラ63はこのパネル61の裏面側に配置されており、本体筺体67の側面でパネル61が上方にスライド移動したときに上記台面64よりも高い位置となって同台面64上の撮影を行なうカメラ部を構成している。
【0048】
そして、カメラ63にて撮影した画像データに基づいて制御部46が印刷部41に画像を印刷させるので、当該処理が印刷制御部を構成している。
ところで、台面に載置された被写体の場合、撮影位置が変化するので大きさが分からなくなるという問題がある。
図30は本来のサイズが分かるように規格化する処理を示しており、図31はこの問題を図によって表している。
【0049】
図31に示すように、台面72上を薄い被写体を載置して画面一杯に撮影されたと時と、台面72上に高さのある被写体を載置して画面一杯に撮影された時とでは、画像データでは共に同じ大きさに撮影されてしまう。
そこで、ステップS260では、測距(AF)を行なう。測距は各種の手法を採用可能であり、一例として焦点位置をずらせながら撮影画像のシャープさを求めて距離を測定できる。距離を測定した上で、ステップS262にて、2Dでの撮影を行なう。その後、ステップS264にて、同距離を反映させ、標準サイズへ規格化する。すなわち、測距距離に対応して画像を拡大あるいは縮小処理する。そして、ステップS268にて、規格化後の画像データを保存する。
【0050】
このようにすることで、立体物であっても常に本来のサイズを反映させた画像データにすることができる。
このように、ステップS260にて測距し、ステップS264にて同測距された距離された距離に基づいて標準サイズへ変換しており、かかる処理が台面上の被写体までの距離を測定し、測距された距離に対応して画像を拡大あるいは縮小処理した規格化後の画像データを印刷させる印刷制御部を構成することになる。
また、光センサー36を台面15上にも設けても良いし、光センサー36の数も1つに限られず複数設けても良い。被写体は台面15上に置かれるため、このようにすることでより外光の影響を除くことができる。
【0051】
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、印刷以外の表示出力やデータ送信などの方法で画像を出力する出力装置に適用しても良いし、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
【0052】
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0053】
10…MFP、11…排出口、12…操作子、13…ディスプレイパネル、14…本体筺体、15…台面、20…アーム、21…連結部、22…ヘッド部、31,32…カメラ、33…投影部、34,35…照明部、36…光センサー、37…操作子、41…印刷部、42…カメラ部、43…操作部、44…通信部、45…I/O部、46…制御部、50…MFP、51…台面、52…アーム、53…凹部、54…カメラ、60…MFP、61…パネル、62…排出口、63…カメラ、64…台面、65,66…照明部、67…本体筺体、72…台面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台面と、
この台面よりも高い位置から同台面上に所定の絵柄の光を投影する投影部と、
上記台面上の撮影を行なうカメラ部と、
このカメラ部にて上記投影される絵柄を撮影した画像データに基づき、同絵柄の歪みから上記台面上に載置された被写体の表面形状を平面状に戻すパラメータを演算する歪み修正パラメータ演算部と、
演算された歪み修正パラメータに基づいて上記画像データに生じている歪みを除去した平面状の画像データに変換する画像データの歪み修正演算部と、
歪みを除去した平面状の画像を出力する出力部とを備えることを特徴とする画像出力装置。
【請求項2】
上記投影部は、上記被写体の中央近辺から放射状に上記絵柄の光を投影することを特徴とする上記請求項1に記載の画像出力装置。
【請求項3】
上記投影部は、上記放射状の絵柄の光として升目状の絵柄を投影することを特徴とする上記請求項2に記載の画像出力装置。
【請求項4】
上記歪み修正パラメータ演算部は、上記升目状の格子点ごとにずれ量と高さとの対応関係を示すテーブルを有しており、歪みの格子点ごとにずれ量を求めて高さ情報に変換することで立体表面形状を求めることを特徴とする上記請求項3に記載の画像出力装置。
【請求項5】
上記歪み修正パラメータ演算部は、立体形状が求められたら、湾曲している立体表面を平面に展開した状態に戻すための歪み修正パラメータの演算を行なうことを特徴とする上記請求項4に記載の画像出力装置。
【請求項6】
上記歪み修正演算部は、上記歪み修正パラメータに基づいて湾曲している立体表面を平面に展開した状態に戻す演算を行なうことを特徴とする上記請求項5に記載の画像出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−195875(P2012−195875A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59810(P2011−59810)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】