画像加熱装置および画像形成装置
【課題】発熱体による画像加熱フィルムの迅速な立上げを維持するとともに、ヒータ保護層および画像加熱フィルム内面の削れを抑制できる画像加熱装置を提供する。
【解決手段】発熱体により加熱される画像加熱フィルムを回転させるため、回転速度制御手段は、回転駆動手段の回転駆動開始時に、回転駆動手段を最終回転速度aよりも遅い回転速度bへ第1の時間的変化で急峻に回転駆動させた後、回転速度bから所定時間経過後に最終回転速度aとなるように第1の時間的変化より緩い第2の時間的変化で回転駆動させる。
【解決手段】発熱体により加熱される画像加熱フィルムを回転させるため、回転速度制御手段は、回転駆動手段の回転駆動開始時に、回転駆動手段を最終回転速度aよりも遅い回転速度bへ第1の時間的変化で急峻に回転駆動させた後、回転速度bから所定時間経過後に最終回転速度aとなるように第1の時間的変化より緩い第2の時間的変化で回転駆動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やLBP等、電子写真方式・静電記録方式等の作像プロセスを採用した画像形成装置に使用される画像加熱装置およびこれを用いた画像形成装置に関する。画像加熱装置としては、記録材上に形成した未定着トナー画像を固着画像として加熱定着する定着装置や、記録材に定着された画像を加熱することにより画像の光沢度を増大させる光沢度増大装置等を挙げることができる。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱体の熱を画像加熱フィルムとしての定着フィルムを介して記録材へ付与することで、記録材面に形成担持されている未定着トナー画像を記録材面に加熱定着させる方式(フィルム加熱方式)の画像加熱装置が考案されている(特許文献1)。
【0003】
フィルム加熱方式で用いられる熱源としては平板のセラミックヒータが一般的である。そのセラミックヒータと加圧ローラとの間に定着フィルムを挟ませて圧接ニップを形成し、その定着フィルムと加圧ローラとの間に未定着トナー画像を荷担させた記録材を通過させることにより加熱定着を行なっている。
【0004】
この平板のセラミックヒータは、特許文献2に示されるように、アルミナや窒化アルミなどの平板細長形状をした高絶縁性基板の下面に通電発熱抵抗層を形成したものであり、その通電発熱抵抗層はガラス膜で保護される(表面加熱タイプ)。あるいは、セラミック基板のもう一方の面(上面)にオーバーコート層が形成される(背面加熱タイプ)。
【0005】
このようなヒータが回転可能な定着フィルムの内周面と摺動することで、ヒータの通電発熱抵抗層の熱が定着フィルムに伝達される。なお、定着フィルムの摺動回転性を向上させる為に、定着フィルムとヒータとの間に耐熱性グリース等の潤滑剤を介在させることが多い。このグリースはヒータが加熱されて動作状態になると、グリースの粘度が下がりヒータとの間でよく潤滑するようになる。
【0006】
このようなフィルム加熱方式の画像加熱装置を用いたプリンタ、複写機等の各種画像形成装置は、プリント指令の入力後、1枚目の画像を出力するまでの時間(FPOT: First Print Out Time)の短縮化が可能になる。また、このタイプの画像加熱装置は、プリント指令を待つ待機時間の消費電力が少ないというメリットもある。
【0007】
上述のフィルム加熱方式の画像加熱装置においては、従来、電源が投入された後の定着器の回転駆動開始時に、定着フィルムが定着温度に昇温されるまでの定着フィルムおよび加圧ローラは、回転開始直後から定着時の回転速度で回転するよう制御が行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4-44075号公報
【特許文献2】特開2003−131502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したフィルム加熱方式の画像形成装置における従来の回転速度制御は、以下に述べるような課題がある。昨今の複写機・プリンタ等の高速化に伴い、ヒータ表面の保護ガラス膜またはオーバーコート層(以下、保護層)と定着フィルムの内面の摺擦力は大きくなる傾向にある。特に定着フィルムとヒータ間の潤滑剤であるグリースの粘度が高い低温環境や、回転加速度が大きい条件では、保護層と定着フィルムの内面の間に、より大きな摺擦力が発生する。
【0010】
従来の回転速度制御では、定着器の回転駆動開始時に、回転開始直後から定着時の回転速度へと急激に切り替えるため、その際の回転加速度が大きく、保護層と定着フィルムの内面により大きな摺擦力が発生していた。このような条件で使用され続けると、ヒータ保護層や定着フィルム内面の削れが進行する。そうすると、摺擦力の更なる増大や定着フィルムの破断に至ってしまうこともある。また、削り粉の介在により、ヒータと定着フィルム間の接触熱抵抗が増大し、熱効率が落ちることも考えられる。
【0011】
本発明の目的は、発熱体による画像加熱フィルムの迅速な加熱立上げを可能にするとともに、ヒータ保護層および画像加熱フィルム内面の削れを抑制できる画像加熱装置およびこれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、発熱体と、前記発熱体により加熱される回転可能なフィルムと、前記フィルムとニップ部を形成するためのローラ形状の加圧体と、前記加圧体を回転駆動させる回転駆動手段と、前記回転駆動手段による前記加圧体の回転速度を制御する回転速度制御手段と、を有し、トナー画像を担持した記録材を、前記ニップ部を通過させることにより画像加熱させる画像加熱装置において、前記回転速度制御手段は、前記回転駆動手段の回転駆動開始時に、前記回転駆動手段を最終回転速度aよりも遅い回転速度bへ第1の時間的変化で急峻に回転駆動させた後、回転開始から所定時間経過後に前記回転速度bから前記最終回転速度aとなるように前記第1の時間的変化より緩い第2の時間的変化で回転駆動させることを特徴とする。
【0013】
また、トナー画像を形成するトナー画像形成手段と、前記トナー画像を加熱するトナー画像加熱手段としての上述した画像加熱装置と、を有する画像形成装置も本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、発熱体による画像加熱フィルムの迅速な加熱立上げを可能にするとともに、ヒータ保護層および画像加熱フィルム内面の削れを抑制でき、回転駆動開始時の駆動トルクが大きい高速機や、低温環境などの条件においても適応できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る加圧ローラの回転速度を時間の経過とともに表す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る加熱定着装置の構成図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る加熱体の正面図及び通電制御を行う回路を表す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る加圧ローラの回転速度制御方法を表すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る画像加熱装置を搭載した画像形成装置の構成図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る画像加熱装置を搭載した画像形成装置の構成図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る加圧ローラの回転速度制御方法を表すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る加圧ローラの回転速度を時間の経過とともに表す図である。
【図9】加圧ローラ回転速度に関して急峻な第1の時間的変化を説明する図である。
【図10】加圧ローラ回転速度に関して第2の時間的変化が折れ線状となる場合の説明図である。
【図11】加圧ローラ回転速度に関して第2の時間的変化が折れ線状であって、第1の時間的変化と同じ時間的変化の成分を備える場合の説明図である。
【図12】加圧ローラ回転速度に関して第2の時間的変化が階段状となる場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し本発明の第1の実施形態を説明する。
【0017】
《第1の実施形態》
(画像形成装置)
図5は、本実施形態に係る画像加熱装置を搭載した画像形成装置100の概略構成図である。画像形成装置100は、転写式電子写真プロセス利用のレーザービームプリンタで、片面のみトナー画像形成可能な画像形成装置を例にとる。1は像担持体としての電子写真感光体ドラムであり、矢印の時計方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。2は接触帯電ローラ等の帯電手段であり、この帯電手段により感光体ドラム1の表面が所定の極性・電位に一様に帯電処理(一次帯電)される。
【0018】
3は画像露光手段としてのレーザービームスキャナであり、不図示のイメージスキャナ・コンピュータ等の外部機器から入力する目的の画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応してオン/オフ変調したレーザー光Lを出力する。これにより、感光体ドラム1の帯電処理面が走査露光(照射)され、この走査露光により、感光体ドラム1表面の露光明部の電荷が除電されて、感光体ドラム1表面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0019】
4は現像装置であり、現像スリーブ4aから感光体ドラム1表面に現像剤(トナー)が供給されて感光体ドラム1表面の静電潜像が可転写像であるトナー像として順次に現像される。レーザービームプリンタの場合、一般的に、静電潜像の露光明部にトナーを付着させて現像する反転現像方式が用いられる。
【0020】
5は給紙カセットであり、記録材Pを積載収納させてある。給紙スタート信号に基づいて、給紙ローラ6が駆動されて、給紙カセット5内の記録材Pが一枚ずつ分離給紙される。そして、レジストローラ7を介して、感光体ドラム1と接触型・回転型の転写部材としての転写ローラ8との当接ニップ部である転写部位Tに所定のタイミングで導入される。すなわち、感光体ドラム1上のトナー像の先端部が転写部位Tに到達したとき、記録材Pの先端部もちょうど転写部位Tに到達するタイミングとなるようにレジストローラ7で記録材Pの搬送が制御される。
【0021】
転写部位Tに導入された記録材Pは、転写部位Tで挟持搬送される。その間、転写ローラ8には、不図示の転写バイアス印加電源から所定に制御された転写電圧(転写バイアス)が印加される。転写ローラ8にはトナーと逆極性の転写バイアスが印加されることで、転写部位Tにおいて感光体ドラム1表面側のトナー像が記録材Pの表面に静電的に転写される。転写部位Tにおいてトナー像の転写を受けた記録材Pは、感光体ドラム1表面から分離されて、搬送ガイド9を通って定着器11へ搬送導入され、トナー像の加熱・加圧定着処理を受ける。
【0022】
一方、記録材分離後(記録材Pに対するトナー像転写後)の感光体ドラム1表面は、クリーニング装置10で、転写残トナーや紙粉等の除去を受けて清浄面化され、繰り返して作像に供される。定着器11を通った記録材Pは、排紙口12から排紙トレイ13上に排出される。
【0023】
(画像加熱装置)
本実施形態に係る画像加熱装置としての定着器11について、説明する。本実施形態では、フィルム加熱方式でトナー画像加熱する定着器を用いている。図2は、定着器11の概略構成図で、テンションレスタイプの装置を示す。このテンションレスタイプのフィルム加熱方式の定着器は、耐熱性フィルムとして回転可能なエンドレス(円筒状)のものを用いる。そして、画像加熱用の定着フィルムの周長の少なくとも一部は常にテンションフリー(テンションが加わらない状態)とし、定着フィルムは加圧体の回転駆動力で回転駆動される。
【0024】
a)ステー21
21はステーであり、加熱体保持部材兼フィルムガイド部材としての耐熱性・剛性部材である。23は加熱体としてのセラミックヒータであり、ステー21の下面にステー長手方向(紙面垂直方向)に沿って配設される。22はエンドレス(円筒状)の耐熱性の定着フィルムであり、加熱体23を含む定着フィルムガイド部材であるステー21に外嵌させてある。
【0025】
このエンドレスの耐熱性の定着フィルム22の内周長と、加熱体23を含むステー21の外周長との差は、フィルム22の内周長の方を例えば3mm程度大きくしてあり、従ってフィルム22は周長に余裕を持って外嵌している。ステー21はポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PPS、液晶ポリマー等の高耐熱性樹脂や、これらの樹脂とセラミックス、金属、ガラス等との複合材料等で構成できる。本実施形態では液晶ポリマーを用いた。
【0026】
b)定着フィルム22
定着フィルム22は、熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、フィルム膜厚は100μm以下、好ましくは50μm以下20μm以上の耐熱性のあるPTFE、PFA、FEP等の単層フィルムを用いる。或いは、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS等のフィルムの外周表面にPTFE、PFA、FEP等をコーティングした複合層フィルムを用いることができる。本実施形態では膜厚約50μmのポリイミドフィルムの外周表面にPFAをコーティングしたものを用いた。また、フィルム22の外径は30mmとした。
【0027】
また、定着フィルム22の内面には、オーバーコート層32、ステー21との間の摺動抵抗を低減するためにグリースを潤滑剤として塗布してある。画像定着時に抵抗発熱体30が200℃近くまでに昇温するので、グリースには耐熱性が要求され、その為本実施形態においては耐熱性に優れたフッ素系のグリースを用いている。また、このグリースは低温時には粘度が高く、高温になるにつれて粘度が低くなる性質を有する。
【0028】
c)加圧ローラ24
図2で、ローラ形状の加圧体である加圧ローラ24は、加熱体23との間でフィルム22を挟むニップ部Nを形成する。そして、定着フィルム22を回転駆動させるフィルム外面接触駆動手段として機能する。この加圧ローラ24は、芯金と弾性体層と最外層の離形層からなり、不図示の軸受け手段・付勢手段により、総圧約186N(約19kgf)の押圧力をもって定着フィルム22を挟ませて加熱体23の表面に圧接するよう配設される。本実施形態では、芯金はアルミニウムを、弾性体層はシリコーンゴムを、離形層は厚さ約30μmのPFAのチューブを用いた。加圧ローラ24の外径は30mm、弾性体層の厚さは3.5mmとした。
【0029】
d)定着器回転制御手段25
定着器回転制御手段25は、加圧ローラ24を回転駆動する定着駆動モータ26と、モータ26の回転を制御するCPU27とを有する。モータ26としては、例えばステッピングモータやDCモータ等を使用することができ、加圧ローラ24の回転を連続的に行うことが可能である。このようにして加圧ローラ24の回転駆動により、ニップ部Nにおける加圧ローラとフィルム外面との摩擦力でフィルム22に回転力が作用する。そして、フィルム22はその内面側がニップ部Nにおいて加熱体23の表面に密着して摺動しながら、ステー21の外回りを矢印xの搬送方向に、加圧ローラ24の回転周速度とほぼ同じ周速度で従動回転状態になる。
【0030】
本実施形態では、画像形成装置100のプロセススピードを半分、すなわち加圧ローラ24を回転駆動させるモータ26の回転速度を通常速度(以下、全速)の半分にして、プリント速度を半分(以下、半速)にする方法を採用する。本実施形態においては、加圧ローラ24は全速時に350mm/sの回転速度で、半速時に175mm/sの回転速度で回転駆動される。
【0031】
e)加熱体23
図3は、本実施形態における加熱体23の正面図及び通電制御を行う回路を表す図である。加熱体23は、被加熱材としての記録材Pの搬送方向xに対して直角方向を長手方向とする細長の耐熱性・絶縁性・良熱伝導性の基板31を備える。更に、加熱体23は、基板31の表面(フィルム摺動面)側に基板長手方向に沿って形成具備させた抵抗発熱体30、この抵抗発熱体を形成した加熱体表面を保護する耐熱性オーバーコート層32、抵抗発熱体30の長手方向端部の給電用電極33・34等を備える。このような加熱体23は、全体に低熱容量の加熱体となっている。
【0032】
この加熱体23を、オーバーコート層32を形成具備させた表面側を下向きに露呈させて、ステー21の下面側に保持させて固定配設してある。以上の構成をとることにより、加熱体全体を熱ローラ方式に比べて低熱容量にすることができ、クイックスタートが可能になる。
【0033】
f)抵抗発熱体30
本実施形態の抵抗発熱体30は、銀・パラジウム・ガラス粉末(無機結着剤)・有機結着剤を混練して調合したペーストをスクリーン印刷により、加熱体基板31上に線帯状に形成して得たものである。抵抗発熱体30の材料としては、銀パラジウム(Ag/Pd)以外にRuO2、Ta2N等の電気抵抗材料を用いても良い。抵抗発熱体の抵抗値は常温で20Ωとした。
【0034】
g)加熱体基板31
31は耐熱性・絶縁性を有する加熱体基板であり、例えば、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックス材料が用いられる。本実施形態では幅9mm・長さ285mm・厚さ0.6mmのアルミナ基板を使用している。給電用電極33・34は銀パラジウムのスクリーン印刷パターンを用いた。32は、抵抗発熱体30のオーバーコート層であり、抵抗発熱体30と加熱体23表面との電気的な絶縁性とフィルム22の摺動性とを確保する。
【0035】
本実施形態のオーバーコート層32は、厚さ約6μmの耐熱性のポリイミド層であり、以下の方法で形成した。すなわち、ポリアミドイミドを増粘剤、レベリング剤等の添加物を混入した上で、スクリーン印刷法により抵抗発熱体30上にコートし、100℃以上200℃以下の温度で30分以上の乾燥工程を経た後、350℃以上450℃以下の温度にて焼成した。
【0036】
h)検温素子
図3の下方部は、加熱体23の裏面(非フィルム摺動面)を示している。29は、装置内部の加熱体の温度を検知するために設けられた検温素子である。本実施形態では、検温素子として加熱体23から分離した外部当接型のサーミスタを用いている。この外部当接型サーミスタ29は、例えば支持体上に断熱層を設け、その上にチップサーミスタの素子を固定し、素子を下側(加熱体裏面側)に向けて所定の加圧力により加熱体裏面に当接するような構成をとる。本実施形態では、支持体として高耐熱性の液晶ポリマーを、断熱層としてセラミックスペーパーを積層したものを用いた。
【0037】
i)定着器温度制御手段28
定着器温度制御手段28は、外部当接型サーミスタ29とCPU35とを有する。外部当接型サーミスタ29は最小サイズの記録紙の通紙域内に設けられており、CPU35に通じている。加熱体23は、抵抗発熱体30の長手方向端部の給電用電極33・34に対する給電により、抵抗発熱体30が長手方向全長にわたって発熱することで昇温する。その昇温が、外部当接型サーミスタ29で検知され、外部当接型サーミスタ29の出力をA/D変換しCPU35に取り込む。その情報に基づいて、トライアック36により、抵抗発熱体30に通電する電力を位相制御あるいは波数制御等により制御して、加熱体23の温度制御がなされる。
【0038】
即ち、外部当接型サーミスタ29の検知温度が、所定の設定温度より低いと加熱体23が昇温するように、設定温度より高いと降温するように通電を制御することで、加熱体23は定着時一定温度に保たれる。なお、本実施形態では位相制御により、出力を0〜100%まで5%刻みの21段階で変化させている。出力100%は加熱体23に全通電したときの出力を示す。
【0039】
(回転速度に応じた電力投入)
またCPU35は、加圧ローラの回転速度に応じて許容投入電力を設定できるようにしている。例えば、回転速度がゼロの状態では、回転による熱伝播が行われず、定常状態の最大投入電力を投入すると局所的な加熱に伴う問題が発生するため、低い投入電力に抑える必要がある。回転速度が増すにつれて、許容投入電力は大きくなり、回転速度が定常状態の速度(全速)の1/2の速度(半速)では定常状態と同じ投入電力が許容される。
【0040】
このようにして、加熱体23の温度が所定に立ち上がり、かつ後述するように加圧ローラ24の回転によるフィルム22の回転周速度が定常化した状態において、フィルム22を挟んで加熱体23と加圧ローラ24とで形成されるニップ部Nに記録材Pが導入される。そして、記録材Pをフィルム22と一緒に挟持搬送して、圧接ニップ部Nを通過させることにより、加熱体23の熱がフィルム22を介して記録材Pに付与される。そして、記録材P上の未定着画像(トナー画像)が記録材P面に加熱定着される。ニップ部Nを通った記録材Pは、フィルム22の面から分離されて搬送される。
【0041】
(回転速度制御フロー)
次に本実施形態における定着器11の回転速度制御について図4のフローチャートを用いて説明する。画像形成装置100は、画像形成装置100の電源が投入されるか、待機時にプリント開始のスタートキーが投入されると、まず、定着器温度制御手段28により加熱体23への通電を開始して、フィルム22の加熱を行う(ステップS1)。それとともに、定着器回転制御手段25によりモータ26を介して加圧ローラ24を後に詳述するように急峻に半速の回転速度で回転駆動させる(ステップS2)。この加圧ローラ24の回転駆動により、フィルム22に回転力が作用して、加圧ローラ24の回転周速度とほぼ同じ周速度で従動回転状態になる。
【0042】
その後、定着器回転制御手段25は、加圧ローラ24の回転速度を全速の回転速度に向けて徐々に加速し、所定時間tをかけて全速の回転速度となるよう制御する(ステップS3)。そして、加圧ローラ24の回転速度を全速に維持したまま、定着器温度制御手段28はフィルム22の表面温度が目標温度(定着時温度)になるように抵抗発熱体30に通電する電力を制御する(ステップS4)。その後、給紙、搬送、転写、定着、排紙のプロセスを経てプリントを完了する(ステップS5)。なお、本実施形態ではFPOTを10secとしている。
【0043】
(急峻の定義)
本発明において、第1の時間的変化に関して、急峻とは、一様な時間的変化で回転開始から所定時間tにて全速に至る場合(図9のC)を基準とするとき、その時間的変化より急な時間的変化を意味する。即ち、第1の時間的変化として図9のA1(第2の時間的変化としてはA2)や、図9のB1(第2の時間的変化としてはB2)が該当する。
【0044】
(フィルムおよびフィルムと摺動するヒータ保護層の削れの多寡)
図1(a)は、従来例における加圧ローラ24の回転速度制御を時間の経過とともに表した図である。加圧ローラ24の回転開始とともに、急峻に全速(最終回転速度a)で回転駆動させている。この場合、単位時間あたりの速度変化(図1(a)の縦軸方向の変化)、即ち加速度が大きな値となる。そして、フィルムおよびフィルムと摺動するヒータ保護層の間に潤滑剤(グリース)を介したとしても所定の摺擦力が存在することを前提とする場合、フィルムおよびヒータ保護層の削れの問題が生ずる。
【0045】
これに対し、図1(b)は、本実施形態における加圧ローラ24の回転速度制御を時間の経過とともに表した図である。加圧ローラ24の回転開始とともに急峻に半速(最終回転速度aの半分の回転速度b)で回転駆動させ、その後全速の回転速度に向けて徐々に加速し、所定時間t(具体的には3sec)をかけて全速で回転駆動させている。この場合、単位時間あたりの速度変化、即ち加速度は従来例に比べ小さな値に抑えられるため、フィルムおよびフィルムと摺動するヒータ保護層の削れの問題が抑制される。
【0046】
そして、回転駆動手段を最終回転速度aよりも遅い回転速度bへ第1の時間的変化で急峻に回転駆動させることを前提とする本実施形態においては、以下に示すように迅速な加熱立上げが維持される。即ち、最初にフィルムが所定速度で回転されることでフィルム周方向への熱伝搬性を高くすることができることに起因して、許容最大投入電力を低く抑える必要がなく、回転速度bに応じた許容最大投入電力を投入することができる。
【0047】
因みに、最初に急峻に半速で回転される本実施形態においては、回転速度bに応じた許容最大投入電力として最終回転速度aの場合の投入電力をそのまま投入することができる。
即ち、最初に急峻に半速で回転される本実施形態においては、最初から定常投入電力を100%投入することができる。
【0048】
次に、本実施形態によって得られる効果を、耐久実験の結果に基づいて説明する。従来例と実施例1(本実施形態)のそれぞれについて、耐久後におけるフィルム22およびオーバーコート層32の削れを目視で確認した。耐久実験は、L/L(室温15℃、湿度10%)の環境下において、画像比率5%で、以下に述べる間欠耐久を200k枚(20万枚)実施した。即ち、100枚の連続プリントごとに300secの休止期間を設け、その後再び100枚の連続プリントを行うことを繰り返した。以上の評価について、耐久枚数ごとの結果を以下の表1に示す。
【0049】
なお、評価指標として、以下の識別符号を付した。
○・・・良好
△・・・実使用上問題無し
×・・・不良(NG)
【0050】
【表1】
【0051】
従来例では100k枚の耐久後でオーバーコート層32の削れが見られ始め、200k枚の耐久後ではフィルム22とオーバーコート層32の摺擦による異音が発生し許容できない不良レベルであった。一方、実施例1(本実施形態)では、定着器11の回転駆動開始時に定着器11の回転速度を段階的に切り替えることにより、回転加速度を下げている。そのため、フィルム22とオーバーコート層32の摺擦力を小さくでき、200k枚の耐久後でもフィルム22内面とオーバーコート層32の削れは見られなかった。
【0052】
以上、本実施形態の構成によれば、定着器11の回転駆動開始時の駆動トルクが大きい高速機や低温環境で耐久した場合においても、フィルム22内面とオーバーコート層32の削れを抑えることができる。なお、本実施形態では画像形成装置100のプロセススピードとして全速と半速の2通りを有しているが、これに限られるものではない。
【0053】
《第2の実施形態》
本実施形態は、第1の実施形態で説明した、定着器回転制御手段25により加圧ローラ24を半速の回転速度で回転駆動させた後、その後全速の回転速度に向けて徐々に加速し、所定時間tをかけて全速で回転駆動させる構成を変形させた例である。本実施形態では、図6に示すように、画像形成装置100の外部の環境温度を検知するための環境温度センサ101を設け、環境温度に基づいて所定時間tを変える。図6において、第1の実施形態と同様の構成・作用をするものは同一の番号を付し説明は省略する。また、本実施形態における定着器11、加熱体23の構成は、それぞれ第1の実施形態における図2、図3で示した構成と同様であるため、説明は省略する。
【0054】
(回転速度制御フロー)
次に本実施形態の回転速度制御について、図7のフローチャートを用いて説明する。第1の実施形態と同様のステップには、図4と同一の番号を付す。画像形成装置100は、定着器11の駆動を開始する際に、環境温度センサ101により画像形成装置100の外部の環境温度を検知する(ステップS10)。その後、加熱体23への通電を行い(ステップS1)、それとともに、加圧ローラ24を半速の回転速度で回転駆動させる(ステップS2)。
【0055】
ステップS10において、環境温度検知結果が17℃未満であった場合は(ステップS11,Yes)、定着器回転制御手段25は加圧ローラ24の回転速度を全速の回転速度に向けて徐々に加速する。具体的には、第1の実施形態と同様に、3secをかけて全速の回転速度となるよう制御する(ステップS12)。一方、環境温度検知結果が17℃以上であった場合は(ステップS11,No)、定着器回転制御手段25は加圧ローラ24の回転速度を全速の回転速度に向けて徐々に加速し、2secをかけて全速の回転速度となるよう制御する(ステップS13)。
【0056】
ステップS12またはステップS13の後、加圧ローラ24の回転速度を全速に維持したまま、定着器温度制御手段28はフィルム22の表面温度が目標温度(定着時温度)になるように抵抗発熱体30に通電する電力を制御する(ステップS4)。その後、給紙、搬送、転写、定着、排紙のプロセスを経てプリントを完了する(ステップS5)。なお、本実施形態では環境温度検知結果に関わらず、ステップS1開始の時点から8sec経過後に給紙を開始しているため、全ての環境下においてFPOTが10secとなっている。
【0057】
図8(a)は本実施形態における、環境温度が17℃未満の場合の加圧ローラ24の回転速度制御を時間の経過とともに表した図である。加圧ローラ24の回転開始とともに半速で回転駆動させ、その後全速の回転速度に向けて徐々に加速し、所定時間3secをかけて全速で回転駆動させている。また、図8(b)は本実施形態における、環境温度が17℃以上の場合の加圧ローラ24の回転速度制御を時間の経過とともに表した図である。加圧ローラ24の回転開始とともに半速で回転駆動させ、その後全速の回転速度に向けて徐々に加速し、所定時間2secをかけて全速で回転駆動させている。
【0058】
ここで、本実施形態によって得られる効果について説明する。従来例、実施例1(第1の実施形態)、実施例2(本実施形態)のそれぞれについて、N/N(室温23℃、湿度50%)およびL/L(室温15℃、湿度10%)の環境下において、削れの他に画像ムラと定着性についても評価した。画像ムラはプリント面内の光沢度のムラのことであり、フィルム22の表面温度が不均一な温度分布であると、トナーの溶融状態がプリント面の各場所で異なるため光沢度のムラとなりやすい。
【0059】
また、第1の実施形態と同様に、200k枚の間欠耐久後におけるフィルム22およびオーバーコート層32の削れについて目視で確認した。即ち、100枚の連続プリントごとに300secの休止期間を設け、その後再び100枚の連続プリントを行うことを繰り返した。以上の評価についての結果を以下の表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】
従来例ではN/N環境、L/L環境ともに、耐久後にオーバーコート層32の削れが発生した。一方、N/N環境、L/L環境ともに画像ムラはなく、定着性は良好であった。これは、定着器11の回転駆動開始直後から全速の回転速度で駆動すると、フィルム22の表面温度は均一な温度分布となりやすく、定着時の目標温度に必要な加熱体23への投入電力を精度良く決められるためと考えられる。
【0062】
また、第1の実施形態ではN/N環境、L/L環境ともに、耐久後にフィルム22内面やオーバーコート層32の削れは発生しなかった。一方、第1の実施形態では従来例よりも画像ムラ、定着性について若干の劣化が見られた。これは、定着器11の回転駆動開始後から全速の回転速度になるまでの時間が3secと長く、フィルム22の表面温度が不均一な温度分布となり、定着時の目標温度に必要な加熱体23への投入電力を精度良く決められないためと考えられる。
【0063】
本実施形態では、L/L環境に関しては第1の実施形態と同様の制御を行っており、評価結果は第1の実施形態と同じである。一方、本実施形態におけるN/N環境では、加圧ローラ24の回転速度が全速の回転速度になるまでの時間を2secと、L/L環境よりも短くしているにも関わらず、耐久後にフィルム22内面やオーバーコート層32の削れは発生しなかった。これは、N/N環境においてはフィルム22とオーバーコート層32の間の潤滑剤であるグリースの粘度が低く、摺擦力が小さいためであると考えられる。
【0064】
また、本実施形態におけるN/N環境では、第1の実施形態におけるN/N環境に比べて画像ムラが目立たなくなり、定着性が向上した。これは、定着器11の回転駆動開始後から全速の回転速度になるまでの時間を2secと、第1の実施形態より短くしたことで、短くした分だけ全速の回転速度の時間が増えたためである。
【0065】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、回転駆動手段を最終回転速度aよりも遅い回転速度bへ第1の時間的変化で急峻に回転駆動させることを前提とする本実施形態においては、以下に示すように迅速なヒータの立上げが維持される。即ち、最初にフィルムが所定速度で回転されることでフィルム周方向への熱伝搬性を高くすることができることに起因して、許容最大投入電力を低く抑える必要がなく、回転速度bに応じた許容最大投入電力を投入することができる。
【0066】
因みに、最初に急峻に半速で回転される本実施形態においては、回転速度bに応じた許容最大投入電力として最終回転速度aの場合の投入電力をそのまま投入することができる。即ち、最初に急峻に半速で回転される本実施形態においては、最初から定常投入電力を100%投入することができ、定着性、画像むらの観点で有利となる。
【0067】
以上、本実施形態の構成によれば、様々な環境下においてフィルム22内面とオーバーコート層32の削れを抑えることができる。それとともに、N/N環境などの低温ではない環境下においては、画像ムラがなく定着性が良好な、画像品質の高い画像加熱装置を提供することができる。
【0068】
(変形例1)
上述した実施形態においては、回転駆動開始時に、最終回転速度aよりも遅い回転速度bへ第1の時間的変化で急峻に回転駆動させた後、開始から所定時間経過後に回転速度bから最終回転速度aとなるように、一様な第2の時間的変化で回転駆動させた。しかし、本発明は、これに限らず、第2の時間的変化が経時的に複数の時間的変化で構成されるものであっても良い。例えば、第2の時間的変化が、折れ線状(図10、図11)あるいは階段状(図12)となるものであっても良い。
【0069】
即ち、図10に示すように、第2の時間的変化をA2a、A2bのような折れ線状、あるいはA2a’、A2b’のような折れ線状で行っても良い。また、図11に示すように、第2の時間的変化をA2a’’、A2b’’のような折れ線状(ここでA2b’’は第1の時間的変化A1と同じ成分である)で行っても良い。更に、図12に示すように、第2の時間的変化をA2’のような階段状で行っても良い。なお、図11でA2b’’は第1の時間的変化A1と同じであるが、図示されるように、第2の時間的変化が、急峻な第1の時間的変化より緩いという点は、上述した実施形態と同様である。
【0070】
(変形例2)
上述した実施形態においては、最終回転速度a(全速)よりも遅い回転速度bとして半速へ第1の時間的変化で急峻に回転駆動させたが、本発明はこれに限らない。例えば、回転速度bを、全速の10%乃至90%の範囲内、更には40%乃至90%の範囲内、より好ましくは40%乃至60%の範囲内の値に設定することができる。
【0071】
(変形例3)
第2の実施形態において、環境温度検知手段により検知された環境温度が所定温度より低い場合に比べて所定温度より高い場合には、所定時間をより短く設定することで、画像むら、定着性の改善をすることができた。一方、環境温度検知手段により検知された環境温度が所定温度より低い場合に画像むら、定着性の改善をすることができなかった。しかし、所定温度より低い場合に所定時間を変えずに回転速度bをより大きく設定する(例えば、回転速度bを全速の60%乃至90%の範囲内の値とする)ようにすれば、画像むら、定着性の改善が期待できる。
【0072】
(変形例4)
第2の実施形態では、画像形成装置100の外部の環境温度を検知するための環境温度センサ101を設けたが、第1の実施形態における検温素子29に置き換えて、環境温度の多寡で回転開始から定常状態に至る所定時間を変更するようにしても良い。あるいは、環境温度センサ101と検温素子29と併用し、検知される環境温度に基づいて、回転開始から定常状態に至る所定時間を変更するようにしても良い。
【0073】
(変形例5)
第2の実施形態では、回転速度制御方法の異なる2つの環境温度範囲(17℃未満と17℃以上)を設けたが、17℃以外の環境温度で分けても構わないし、3つ以上の環境温度範囲があっても構わない。
【0074】
また、回転速度制御方法に環境温度以外の要素(例えば、プリントジョブの履歴)を用いても構わない。この要素は、定着器11の温度(すなわち、オーバーコート層32、ステー21との間のグリースの温度)を反映している。そのためLL環境であっても、これらの要素からグリースが高温度で低粘度であると判断できれば、定着器11の回転駆動開始後から全速の回転速度になるまでの時間を短くして構わない。
【0075】
(変形例6)
また、本実施形態ではFPOTを全ての環境温度で10secとしたが、これ以外の時間であっても構わないし、環境温度によって異なるFPOTであっても構わない。例えば、17℃未満の環境でFPOTを10secよりも長くすることで、フィルム22の表面温度を均一な温度分布とさせて、画像ムラを目立たなくし定着性が良好となるように回転制御しても構わない。
【符号の説明】
【0076】
22・・定着フィルム、23・・加熱体(ヒータ)、24・・加圧ローラ、25・・定着器回転制御手段、26・・モータ、29・・検温素子、101・・環境温度センサ、N・・ニップ部、P・・記録材
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やLBP等、電子写真方式・静電記録方式等の作像プロセスを採用した画像形成装置に使用される画像加熱装置およびこれを用いた画像形成装置に関する。画像加熱装置としては、記録材上に形成した未定着トナー画像を固着画像として加熱定着する定着装置や、記録材に定着された画像を加熱することにより画像の光沢度を増大させる光沢度増大装置等を挙げることができる。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱体の熱を画像加熱フィルムとしての定着フィルムを介して記録材へ付与することで、記録材面に形成担持されている未定着トナー画像を記録材面に加熱定着させる方式(フィルム加熱方式)の画像加熱装置が考案されている(特許文献1)。
【0003】
フィルム加熱方式で用いられる熱源としては平板のセラミックヒータが一般的である。そのセラミックヒータと加圧ローラとの間に定着フィルムを挟ませて圧接ニップを形成し、その定着フィルムと加圧ローラとの間に未定着トナー画像を荷担させた記録材を通過させることにより加熱定着を行なっている。
【0004】
この平板のセラミックヒータは、特許文献2に示されるように、アルミナや窒化アルミなどの平板細長形状をした高絶縁性基板の下面に通電発熱抵抗層を形成したものであり、その通電発熱抵抗層はガラス膜で保護される(表面加熱タイプ)。あるいは、セラミック基板のもう一方の面(上面)にオーバーコート層が形成される(背面加熱タイプ)。
【0005】
このようなヒータが回転可能な定着フィルムの内周面と摺動することで、ヒータの通電発熱抵抗層の熱が定着フィルムに伝達される。なお、定着フィルムの摺動回転性を向上させる為に、定着フィルムとヒータとの間に耐熱性グリース等の潤滑剤を介在させることが多い。このグリースはヒータが加熱されて動作状態になると、グリースの粘度が下がりヒータとの間でよく潤滑するようになる。
【0006】
このようなフィルム加熱方式の画像加熱装置を用いたプリンタ、複写機等の各種画像形成装置は、プリント指令の入力後、1枚目の画像を出力するまでの時間(FPOT: First Print Out Time)の短縮化が可能になる。また、このタイプの画像加熱装置は、プリント指令を待つ待機時間の消費電力が少ないというメリットもある。
【0007】
上述のフィルム加熱方式の画像加熱装置においては、従来、電源が投入された後の定着器の回転駆動開始時に、定着フィルムが定着温度に昇温されるまでの定着フィルムおよび加圧ローラは、回転開始直後から定着時の回転速度で回転するよう制御が行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4-44075号公報
【特許文献2】特開2003−131502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したフィルム加熱方式の画像形成装置における従来の回転速度制御は、以下に述べるような課題がある。昨今の複写機・プリンタ等の高速化に伴い、ヒータ表面の保護ガラス膜またはオーバーコート層(以下、保護層)と定着フィルムの内面の摺擦力は大きくなる傾向にある。特に定着フィルムとヒータ間の潤滑剤であるグリースの粘度が高い低温環境や、回転加速度が大きい条件では、保護層と定着フィルムの内面の間に、より大きな摺擦力が発生する。
【0010】
従来の回転速度制御では、定着器の回転駆動開始時に、回転開始直後から定着時の回転速度へと急激に切り替えるため、その際の回転加速度が大きく、保護層と定着フィルムの内面により大きな摺擦力が発生していた。このような条件で使用され続けると、ヒータ保護層や定着フィルム内面の削れが進行する。そうすると、摺擦力の更なる増大や定着フィルムの破断に至ってしまうこともある。また、削り粉の介在により、ヒータと定着フィルム間の接触熱抵抗が増大し、熱効率が落ちることも考えられる。
【0011】
本発明の目的は、発熱体による画像加熱フィルムの迅速な加熱立上げを可能にするとともに、ヒータ保護層および画像加熱フィルム内面の削れを抑制できる画像加熱装置およびこれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、発熱体と、前記発熱体により加熱される回転可能なフィルムと、前記フィルムとニップ部を形成するためのローラ形状の加圧体と、前記加圧体を回転駆動させる回転駆動手段と、前記回転駆動手段による前記加圧体の回転速度を制御する回転速度制御手段と、を有し、トナー画像を担持した記録材を、前記ニップ部を通過させることにより画像加熱させる画像加熱装置において、前記回転速度制御手段は、前記回転駆動手段の回転駆動開始時に、前記回転駆動手段を最終回転速度aよりも遅い回転速度bへ第1の時間的変化で急峻に回転駆動させた後、回転開始から所定時間経過後に前記回転速度bから前記最終回転速度aとなるように前記第1の時間的変化より緩い第2の時間的変化で回転駆動させることを特徴とする。
【0013】
また、トナー画像を形成するトナー画像形成手段と、前記トナー画像を加熱するトナー画像加熱手段としての上述した画像加熱装置と、を有する画像形成装置も本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、発熱体による画像加熱フィルムの迅速な加熱立上げを可能にするとともに、ヒータ保護層および画像加熱フィルム内面の削れを抑制でき、回転駆動開始時の駆動トルクが大きい高速機や、低温環境などの条件においても適応できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る加圧ローラの回転速度を時間の経過とともに表す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る加熱定着装置の構成図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る加熱体の正面図及び通電制御を行う回路を表す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る加圧ローラの回転速度制御方法を表すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る画像加熱装置を搭載した画像形成装置の構成図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る画像加熱装置を搭載した画像形成装置の構成図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る加圧ローラの回転速度制御方法を表すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る加圧ローラの回転速度を時間の経過とともに表す図である。
【図9】加圧ローラ回転速度に関して急峻な第1の時間的変化を説明する図である。
【図10】加圧ローラ回転速度に関して第2の時間的変化が折れ線状となる場合の説明図である。
【図11】加圧ローラ回転速度に関して第2の時間的変化が折れ線状であって、第1の時間的変化と同じ時間的変化の成分を備える場合の説明図である。
【図12】加圧ローラ回転速度に関して第2の時間的変化が階段状となる場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し本発明の第1の実施形態を説明する。
【0017】
《第1の実施形態》
(画像形成装置)
図5は、本実施形態に係る画像加熱装置を搭載した画像形成装置100の概略構成図である。画像形成装置100は、転写式電子写真プロセス利用のレーザービームプリンタで、片面のみトナー画像形成可能な画像形成装置を例にとる。1は像担持体としての電子写真感光体ドラムであり、矢印の時計方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。2は接触帯電ローラ等の帯電手段であり、この帯電手段により感光体ドラム1の表面が所定の極性・電位に一様に帯電処理(一次帯電)される。
【0018】
3は画像露光手段としてのレーザービームスキャナであり、不図示のイメージスキャナ・コンピュータ等の外部機器から入力する目的の画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応してオン/オフ変調したレーザー光Lを出力する。これにより、感光体ドラム1の帯電処理面が走査露光(照射)され、この走査露光により、感光体ドラム1表面の露光明部の電荷が除電されて、感光体ドラム1表面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0019】
4は現像装置であり、現像スリーブ4aから感光体ドラム1表面に現像剤(トナー)が供給されて感光体ドラム1表面の静電潜像が可転写像であるトナー像として順次に現像される。レーザービームプリンタの場合、一般的に、静電潜像の露光明部にトナーを付着させて現像する反転現像方式が用いられる。
【0020】
5は給紙カセットであり、記録材Pを積載収納させてある。給紙スタート信号に基づいて、給紙ローラ6が駆動されて、給紙カセット5内の記録材Pが一枚ずつ分離給紙される。そして、レジストローラ7を介して、感光体ドラム1と接触型・回転型の転写部材としての転写ローラ8との当接ニップ部である転写部位Tに所定のタイミングで導入される。すなわち、感光体ドラム1上のトナー像の先端部が転写部位Tに到達したとき、記録材Pの先端部もちょうど転写部位Tに到達するタイミングとなるようにレジストローラ7で記録材Pの搬送が制御される。
【0021】
転写部位Tに導入された記録材Pは、転写部位Tで挟持搬送される。その間、転写ローラ8には、不図示の転写バイアス印加電源から所定に制御された転写電圧(転写バイアス)が印加される。転写ローラ8にはトナーと逆極性の転写バイアスが印加されることで、転写部位Tにおいて感光体ドラム1表面側のトナー像が記録材Pの表面に静電的に転写される。転写部位Tにおいてトナー像の転写を受けた記録材Pは、感光体ドラム1表面から分離されて、搬送ガイド9を通って定着器11へ搬送導入され、トナー像の加熱・加圧定着処理を受ける。
【0022】
一方、記録材分離後(記録材Pに対するトナー像転写後)の感光体ドラム1表面は、クリーニング装置10で、転写残トナーや紙粉等の除去を受けて清浄面化され、繰り返して作像に供される。定着器11を通った記録材Pは、排紙口12から排紙トレイ13上に排出される。
【0023】
(画像加熱装置)
本実施形態に係る画像加熱装置としての定着器11について、説明する。本実施形態では、フィルム加熱方式でトナー画像加熱する定着器を用いている。図2は、定着器11の概略構成図で、テンションレスタイプの装置を示す。このテンションレスタイプのフィルム加熱方式の定着器は、耐熱性フィルムとして回転可能なエンドレス(円筒状)のものを用いる。そして、画像加熱用の定着フィルムの周長の少なくとも一部は常にテンションフリー(テンションが加わらない状態)とし、定着フィルムは加圧体の回転駆動力で回転駆動される。
【0024】
a)ステー21
21はステーであり、加熱体保持部材兼フィルムガイド部材としての耐熱性・剛性部材である。23は加熱体としてのセラミックヒータであり、ステー21の下面にステー長手方向(紙面垂直方向)に沿って配設される。22はエンドレス(円筒状)の耐熱性の定着フィルムであり、加熱体23を含む定着フィルムガイド部材であるステー21に外嵌させてある。
【0025】
このエンドレスの耐熱性の定着フィルム22の内周長と、加熱体23を含むステー21の外周長との差は、フィルム22の内周長の方を例えば3mm程度大きくしてあり、従ってフィルム22は周長に余裕を持って外嵌している。ステー21はポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PPS、液晶ポリマー等の高耐熱性樹脂や、これらの樹脂とセラミックス、金属、ガラス等との複合材料等で構成できる。本実施形態では液晶ポリマーを用いた。
【0026】
b)定着フィルム22
定着フィルム22は、熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、フィルム膜厚は100μm以下、好ましくは50μm以下20μm以上の耐熱性のあるPTFE、PFA、FEP等の単層フィルムを用いる。或いは、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS等のフィルムの外周表面にPTFE、PFA、FEP等をコーティングした複合層フィルムを用いることができる。本実施形態では膜厚約50μmのポリイミドフィルムの外周表面にPFAをコーティングしたものを用いた。また、フィルム22の外径は30mmとした。
【0027】
また、定着フィルム22の内面には、オーバーコート層32、ステー21との間の摺動抵抗を低減するためにグリースを潤滑剤として塗布してある。画像定着時に抵抗発熱体30が200℃近くまでに昇温するので、グリースには耐熱性が要求され、その為本実施形態においては耐熱性に優れたフッ素系のグリースを用いている。また、このグリースは低温時には粘度が高く、高温になるにつれて粘度が低くなる性質を有する。
【0028】
c)加圧ローラ24
図2で、ローラ形状の加圧体である加圧ローラ24は、加熱体23との間でフィルム22を挟むニップ部Nを形成する。そして、定着フィルム22を回転駆動させるフィルム外面接触駆動手段として機能する。この加圧ローラ24は、芯金と弾性体層と最外層の離形層からなり、不図示の軸受け手段・付勢手段により、総圧約186N(約19kgf)の押圧力をもって定着フィルム22を挟ませて加熱体23の表面に圧接するよう配設される。本実施形態では、芯金はアルミニウムを、弾性体層はシリコーンゴムを、離形層は厚さ約30μmのPFAのチューブを用いた。加圧ローラ24の外径は30mm、弾性体層の厚さは3.5mmとした。
【0029】
d)定着器回転制御手段25
定着器回転制御手段25は、加圧ローラ24を回転駆動する定着駆動モータ26と、モータ26の回転を制御するCPU27とを有する。モータ26としては、例えばステッピングモータやDCモータ等を使用することができ、加圧ローラ24の回転を連続的に行うことが可能である。このようにして加圧ローラ24の回転駆動により、ニップ部Nにおける加圧ローラとフィルム外面との摩擦力でフィルム22に回転力が作用する。そして、フィルム22はその内面側がニップ部Nにおいて加熱体23の表面に密着して摺動しながら、ステー21の外回りを矢印xの搬送方向に、加圧ローラ24の回転周速度とほぼ同じ周速度で従動回転状態になる。
【0030】
本実施形態では、画像形成装置100のプロセススピードを半分、すなわち加圧ローラ24を回転駆動させるモータ26の回転速度を通常速度(以下、全速)の半分にして、プリント速度を半分(以下、半速)にする方法を採用する。本実施形態においては、加圧ローラ24は全速時に350mm/sの回転速度で、半速時に175mm/sの回転速度で回転駆動される。
【0031】
e)加熱体23
図3は、本実施形態における加熱体23の正面図及び通電制御を行う回路を表す図である。加熱体23は、被加熱材としての記録材Pの搬送方向xに対して直角方向を長手方向とする細長の耐熱性・絶縁性・良熱伝導性の基板31を備える。更に、加熱体23は、基板31の表面(フィルム摺動面)側に基板長手方向に沿って形成具備させた抵抗発熱体30、この抵抗発熱体を形成した加熱体表面を保護する耐熱性オーバーコート層32、抵抗発熱体30の長手方向端部の給電用電極33・34等を備える。このような加熱体23は、全体に低熱容量の加熱体となっている。
【0032】
この加熱体23を、オーバーコート層32を形成具備させた表面側を下向きに露呈させて、ステー21の下面側に保持させて固定配設してある。以上の構成をとることにより、加熱体全体を熱ローラ方式に比べて低熱容量にすることができ、クイックスタートが可能になる。
【0033】
f)抵抗発熱体30
本実施形態の抵抗発熱体30は、銀・パラジウム・ガラス粉末(無機結着剤)・有機結着剤を混練して調合したペーストをスクリーン印刷により、加熱体基板31上に線帯状に形成して得たものである。抵抗発熱体30の材料としては、銀パラジウム(Ag/Pd)以外にRuO2、Ta2N等の電気抵抗材料を用いても良い。抵抗発熱体の抵抗値は常温で20Ωとした。
【0034】
g)加熱体基板31
31は耐熱性・絶縁性を有する加熱体基板であり、例えば、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックス材料が用いられる。本実施形態では幅9mm・長さ285mm・厚さ0.6mmのアルミナ基板を使用している。給電用電極33・34は銀パラジウムのスクリーン印刷パターンを用いた。32は、抵抗発熱体30のオーバーコート層であり、抵抗発熱体30と加熱体23表面との電気的な絶縁性とフィルム22の摺動性とを確保する。
【0035】
本実施形態のオーバーコート層32は、厚さ約6μmの耐熱性のポリイミド層であり、以下の方法で形成した。すなわち、ポリアミドイミドを増粘剤、レベリング剤等の添加物を混入した上で、スクリーン印刷法により抵抗発熱体30上にコートし、100℃以上200℃以下の温度で30分以上の乾燥工程を経た後、350℃以上450℃以下の温度にて焼成した。
【0036】
h)検温素子
図3の下方部は、加熱体23の裏面(非フィルム摺動面)を示している。29は、装置内部の加熱体の温度を検知するために設けられた検温素子である。本実施形態では、検温素子として加熱体23から分離した外部当接型のサーミスタを用いている。この外部当接型サーミスタ29は、例えば支持体上に断熱層を設け、その上にチップサーミスタの素子を固定し、素子を下側(加熱体裏面側)に向けて所定の加圧力により加熱体裏面に当接するような構成をとる。本実施形態では、支持体として高耐熱性の液晶ポリマーを、断熱層としてセラミックスペーパーを積層したものを用いた。
【0037】
i)定着器温度制御手段28
定着器温度制御手段28は、外部当接型サーミスタ29とCPU35とを有する。外部当接型サーミスタ29は最小サイズの記録紙の通紙域内に設けられており、CPU35に通じている。加熱体23は、抵抗発熱体30の長手方向端部の給電用電極33・34に対する給電により、抵抗発熱体30が長手方向全長にわたって発熱することで昇温する。その昇温が、外部当接型サーミスタ29で検知され、外部当接型サーミスタ29の出力をA/D変換しCPU35に取り込む。その情報に基づいて、トライアック36により、抵抗発熱体30に通電する電力を位相制御あるいは波数制御等により制御して、加熱体23の温度制御がなされる。
【0038】
即ち、外部当接型サーミスタ29の検知温度が、所定の設定温度より低いと加熱体23が昇温するように、設定温度より高いと降温するように通電を制御することで、加熱体23は定着時一定温度に保たれる。なお、本実施形態では位相制御により、出力を0〜100%まで5%刻みの21段階で変化させている。出力100%は加熱体23に全通電したときの出力を示す。
【0039】
(回転速度に応じた電力投入)
またCPU35は、加圧ローラの回転速度に応じて許容投入電力を設定できるようにしている。例えば、回転速度がゼロの状態では、回転による熱伝播が行われず、定常状態の最大投入電力を投入すると局所的な加熱に伴う問題が発生するため、低い投入電力に抑える必要がある。回転速度が増すにつれて、許容投入電力は大きくなり、回転速度が定常状態の速度(全速)の1/2の速度(半速)では定常状態と同じ投入電力が許容される。
【0040】
このようにして、加熱体23の温度が所定に立ち上がり、かつ後述するように加圧ローラ24の回転によるフィルム22の回転周速度が定常化した状態において、フィルム22を挟んで加熱体23と加圧ローラ24とで形成されるニップ部Nに記録材Pが導入される。そして、記録材Pをフィルム22と一緒に挟持搬送して、圧接ニップ部Nを通過させることにより、加熱体23の熱がフィルム22を介して記録材Pに付与される。そして、記録材P上の未定着画像(トナー画像)が記録材P面に加熱定着される。ニップ部Nを通った記録材Pは、フィルム22の面から分離されて搬送される。
【0041】
(回転速度制御フロー)
次に本実施形態における定着器11の回転速度制御について図4のフローチャートを用いて説明する。画像形成装置100は、画像形成装置100の電源が投入されるか、待機時にプリント開始のスタートキーが投入されると、まず、定着器温度制御手段28により加熱体23への通電を開始して、フィルム22の加熱を行う(ステップS1)。それとともに、定着器回転制御手段25によりモータ26を介して加圧ローラ24を後に詳述するように急峻に半速の回転速度で回転駆動させる(ステップS2)。この加圧ローラ24の回転駆動により、フィルム22に回転力が作用して、加圧ローラ24の回転周速度とほぼ同じ周速度で従動回転状態になる。
【0042】
その後、定着器回転制御手段25は、加圧ローラ24の回転速度を全速の回転速度に向けて徐々に加速し、所定時間tをかけて全速の回転速度となるよう制御する(ステップS3)。そして、加圧ローラ24の回転速度を全速に維持したまま、定着器温度制御手段28はフィルム22の表面温度が目標温度(定着時温度)になるように抵抗発熱体30に通電する電力を制御する(ステップS4)。その後、給紙、搬送、転写、定着、排紙のプロセスを経てプリントを完了する(ステップS5)。なお、本実施形態ではFPOTを10secとしている。
【0043】
(急峻の定義)
本発明において、第1の時間的変化に関して、急峻とは、一様な時間的変化で回転開始から所定時間tにて全速に至る場合(図9のC)を基準とするとき、その時間的変化より急な時間的変化を意味する。即ち、第1の時間的変化として図9のA1(第2の時間的変化としてはA2)や、図9のB1(第2の時間的変化としてはB2)が該当する。
【0044】
(フィルムおよびフィルムと摺動するヒータ保護層の削れの多寡)
図1(a)は、従来例における加圧ローラ24の回転速度制御を時間の経過とともに表した図である。加圧ローラ24の回転開始とともに、急峻に全速(最終回転速度a)で回転駆動させている。この場合、単位時間あたりの速度変化(図1(a)の縦軸方向の変化)、即ち加速度が大きな値となる。そして、フィルムおよびフィルムと摺動するヒータ保護層の間に潤滑剤(グリース)を介したとしても所定の摺擦力が存在することを前提とする場合、フィルムおよびヒータ保護層の削れの問題が生ずる。
【0045】
これに対し、図1(b)は、本実施形態における加圧ローラ24の回転速度制御を時間の経過とともに表した図である。加圧ローラ24の回転開始とともに急峻に半速(最終回転速度aの半分の回転速度b)で回転駆動させ、その後全速の回転速度に向けて徐々に加速し、所定時間t(具体的には3sec)をかけて全速で回転駆動させている。この場合、単位時間あたりの速度変化、即ち加速度は従来例に比べ小さな値に抑えられるため、フィルムおよびフィルムと摺動するヒータ保護層の削れの問題が抑制される。
【0046】
そして、回転駆動手段を最終回転速度aよりも遅い回転速度bへ第1の時間的変化で急峻に回転駆動させることを前提とする本実施形態においては、以下に示すように迅速な加熱立上げが維持される。即ち、最初にフィルムが所定速度で回転されることでフィルム周方向への熱伝搬性を高くすることができることに起因して、許容最大投入電力を低く抑える必要がなく、回転速度bに応じた許容最大投入電力を投入することができる。
【0047】
因みに、最初に急峻に半速で回転される本実施形態においては、回転速度bに応じた許容最大投入電力として最終回転速度aの場合の投入電力をそのまま投入することができる。
即ち、最初に急峻に半速で回転される本実施形態においては、最初から定常投入電力を100%投入することができる。
【0048】
次に、本実施形態によって得られる効果を、耐久実験の結果に基づいて説明する。従来例と実施例1(本実施形態)のそれぞれについて、耐久後におけるフィルム22およびオーバーコート層32の削れを目視で確認した。耐久実験は、L/L(室温15℃、湿度10%)の環境下において、画像比率5%で、以下に述べる間欠耐久を200k枚(20万枚)実施した。即ち、100枚の連続プリントごとに300secの休止期間を設け、その後再び100枚の連続プリントを行うことを繰り返した。以上の評価について、耐久枚数ごとの結果を以下の表1に示す。
【0049】
なお、評価指標として、以下の識別符号を付した。
○・・・良好
△・・・実使用上問題無し
×・・・不良(NG)
【0050】
【表1】
【0051】
従来例では100k枚の耐久後でオーバーコート層32の削れが見られ始め、200k枚の耐久後ではフィルム22とオーバーコート層32の摺擦による異音が発生し許容できない不良レベルであった。一方、実施例1(本実施形態)では、定着器11の回転駆動開始時に定着器11の回転速度を段階的に切り替えることにより、回転加速度を下げている。そのため、フィルム22とオーバーコート層32の摺擦力を小さくでき、200k枚の耐久後でもフィルム22内面とオーバーコート層32の削れは見られなかった。
【0052】
以上、本実施形態の構成によれば、定着器11の回転駆動開始時の駆動トルクが大きい高速機や低温環境で耐久した場合においても、フィルム22内面とオーバーコート層32の削れを抑えることができる。なお、本実施形態では画像形成装置100のプロセススピードとして全速と半速の2通りを有しているが、これに限られるものではない。
【0053】
《第2の実施形態》
本実施形態は、第1の実施形態で説明した、定着器回転制御手段25により加圧ローラ24を半速の回転速度で回転駆動させた後、その後全速の回転速度に向けて徐々に加速し、所定時間tをかけて全速で回転駆動させる構成を変形させた例である。本実施形態では、図6に示すように、画像形成装置100の外部の環境温度を検知するための環境温度センサ101を設け、環境温度に基づいて所定時間tを変える。図6において、第1の実施形態と同様の構成・作用をするものは同一の番号を付し説明は省略する。また、本実施形態における定着器11、加熱体23の構成は、それぞれ第1の実施形態における図2、図3で示した構成と同様であるため、説明は省略する。
【0054】
(回転速度制御フロー)
次に本実施形態の回転速度制御について、図7のフローチャートを用いて説明する。第1の実施形態と同様のステップには、図4と同一の番号を付す。画像形成装置100は、定着器11の駆動を開始する際に、環境温度センサ101により画像形成装置100の外部の環境温度を検知する(ステップS10)。その後、加熱体23への通電を行い(ステップS1)、それとともに、加圧ローラ24を半速の回転速度で回転駆動させる(ステップS2)。
【0055】
ステップS10において、環境温度検知結果が17℃未満であった場合は(ステップS11,Yes)、定着器回転制御手段25は加圧ローラ24の回転速度を全速の回転速度に向けて徐々に加速する。具体的には、第1の実施形態と同様に、3secをかけて全速の回転速度となるよう制御する(ステップS12)。一方、環境温度検知結果が17℃以上であった場合は(ステップS11,No)、定着器回転制御手段25は加圧ローラ24の回転速度を全速の回転速度に向けて徐々に加速し、2secをかけて全速の回転速度となるよう制御する(ステップS13)。
【0056】
ステップS12またはステップS13の後、加圧ローラ24の回転速度を全速に維持したまま、定着器温度制御手段28はフィルム22の表面温度が目標温度(定着時温度)になるように抵抗発熱体30に通電する電力を制御する(ステップS4)。その後、給紙、搬送、転写、定着、排紙のプロセスを経てプリントを完了する(ステップS5)。なお、本実施形態では環境温度検知結果に関わらず、ステップS1開始の時点から8sec経過後に給紙を開始しているため、全ての環境下においてFPOTが10secとなっている。
【0057】
図8(a)は本実施形態における、環境温度が17℃未満の場合の加圧ローラ24の回転速度制御を時間の経過とともに表した図である。加圧ローラ24の回転開始とともに半速で回転駆動させ、その後全速の回転速度に向けて徐々に加速し、所定時間3secをかけて全速で回転駆動させている。また、図8(b)は本実施形態における、環境温度が17℃以上の場合の加圧ローラ24の回転速度制御を時間の経過とともに表した図である。加圧ローラ24の回転開始とともに半速で回転駆動させ、その後全速の回転速度に向けて徐々に加速し、所定時間2secをかけて全速で回転駆動させている。
【0058】
ここで、本実施形態によって得られる効果について説明する。従来例、実施例1(第1の実施形態)、実施例2(本実施形態)のそれぞれについて、N/N(室温23℃、湿度50%)およびL/L(室温15℃、湿度10%)の環境下において、削れの他に画像ムラと定着性についても評価した。画像ムラはプリント面内の光沢度のムラのことであり、フィルム22の表面温度が不均一な温度分布であると、トナーの溶融状態がプリント面の各場所で異なるため光沢度のムラとなりやすい。
【0059】
また、第1の実施形態と同様に、200k枚の間欠耐久後におけるフィルム22およびオーバーコート層32の削れについて目視で確認した。即ち、100枚の連続プリントごとに300secの休止期間を設け、その後再び100枚の連続プリントを行うことを繰り返した。以上の評価についての結果を以下の表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】
従来例ではN/N環境、L/L環境ともに、耐久後にオーバーコート層32の削れが発生した。一方、N/N環境、L/L環境ともに画像ムラはなく、定着性は良好であった。これは、定着器11の回転駆動開始直後から全速の回転速度で駆動すると、フィルム22の表面温度は均一な温度分布となりやすく、定着時の目標温度に必要な加熱体23への投入電力を精度良く決められるためと考えられる。
【0062】
また、第1の実施形態ではN/N環境、L/L環境ともに、耐久後にフィルム22内面やオーバーコート層32の削れは発生しなかった。一方、第1の実施形態では従来例よりも画像ムラ、定着性について若干の劣化が見られた。これは、定着器11の回転駆動開始後から全速の回転速度になるまでの時間が3secと長く、フィルム22の表面温度が不均一な温度分布となり、定着時の目標温度に必要な加熱体23への投入電力を精度良く決められないためと考えられる。
【0063】
本実施形態では、L/L環境に関しては第1の実施形態と同様の制御を行っており、評価結果は第1の実施形態と同じである。一方、本実施形態におけるN/N環境では、加圧ローラ24の回転速度が全速の回転速度になるまでの時間を2secと、L/L環境よりも短くしているにも関わらず、耐久後にフィルム22内面やオーバーコート層32の削れは発生しなかった。これは、N/N環境においてはフィルム22とオーバーコート層32の間の潤滑剤であるグリースの粘度が低く、摺擦力が小さいためであると考えられる。
【0064】
また、本実施形態におけるN/N環境では、第1の実施形態におけるN/N環境に比べて画像ムラが目立たなくなり、定着性が向上した。これは、定着器11の回転駆動開始後から全速の回転速度になるまでの時間を2secと、第1の実施形態より短くしたことで、短くした分だけ全速の回転速度の時間が増えたためである。
【0065】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、回転駆動手段を最終回転速度aよりも遅い回転速度bへ第1の時間的変化で急峻に回転駆動させることを前提とする本実施形態においては、以下に示すように迅速なヒータの立上げが維持される。即ち、最初にフィルムが所定速度で回転されることでフィルム周方向への熱伝搬性を高くすることができることに起因して、許容最大投入電力を低く抑える必要がなく、回転速度bに応じた許容最大投入電力を投入することができる。
【0066】
因みに、最初に急峻に半速で回転される本実施形態においては、回転速度bに応じた許容最大投入電力として最終回転速度aの場合の投入電力をそのまま投入することができる。即ち、最初に急峻に半速で回転される本実施形態においては、最初から定常投入電力を100%投入することができ、定着性、画像むらの観点で有利となる。
【0067】
以上、本実施形態の構成によれば、様々な環境下においてフィルム22内面とオーバーコート層32の削れを抑えることができる。それとともに、N/N環境などの低温ではない環境下においては、画像ムラがなく定着性が良好な、画像品質の高い画像加熱装置を提供することができる。
【0068】
(変形例1)
上述した実施形態においては、回転駆動開始時に、最終回転速度aよりも遅い回転速度bへ第1の時間的変化で急峻に回転駆動させた後、開始から所定時間経過後に回転速度bから最終回転速度aとなるように、一様な第2の時間的変化で回転駆動させた。しかし、本発明は、これに限らず、第2の時間的変化が経時的に複数の時間的変化で構成されるものであっても良い。例えば、第2の時間的変化が、折れ線状(図10、図11)あるいは階段状(図12)となるものであっても良い。
【0069】
即ち、図10に示すように、第2の時間的変化をA2a、A2bのような折れ線状、あるいはA2a’、A2b’のような折れ線状で行っても良い。また、図11に示すように、第2の時間的変化をA2a’’、A2b’’のような折れ線状(ここでA2b’’は第1の時間的変化A1と同じ成分である)で行っても良い。更に、図12に示すように、第2の時間的変化をA2’のような階段状で行っても良い。なお、図11でA2b’’は第1の時間的変化A1と同じであるが、図示されるように、第2の時間的変化が、急峻な第1の時間的変化より緩いという点は、上述した実施形態と同様である。
【0070】
(変形例2)
上述した実施形態においては、最終回転速度a(全速)よりも遅い回転速度bとして半速へ第1の時間的変化で急峻に回転駆動させたが、本発明はこれに限らない。例えば、回転速度bを、全速の10%乃至90%の範囲内、更には40%乃至90%の範囲内、より好ましくは40%乃至60%の範囲内の値に設定することができる。
【0071】
(変形例3)
第2の実施形態において、環境温度検知手段により検知された環境温度が所定温度より低い場合に比べて所定温度より高い場合には、所定時間をより短く設定することで、画像むら、定着性の改善をすることができた。一方、環境温度検知手段により検知された環境温度が所定温度より低い場合に画像むら、定着性の改善をすることができなかった。しかし、所定温度より低い場合に所定時間を変えずに回転速度bをより大きく設定する(例えば、回転速度bを全速の60%乃至90%の範囲内の値とする)ようにすれば、画像むら、定着性の改善が期待できる。
【0072】
(変形例4)
第2の実施形態では、画像形成装置100の外部の環境温度を検知するための環境温度センサ101を設けたが、第1の実施形態における検温素子29に置き換えて、環境温度の多寡で回転開始から定常状態に至る所定時間を変更するようにしても良い。あるいは、環境温度センサ101と検温素子29と併用し、検知される環境温度に基づいて、回転開始から定常状態に至る所定時間を変更するようにしても良い。
【0073】
(変形例5)
第2の実施形態では、回転速度制御方法の異なる2つの環境温度範囲(17℃未満と17℃以上)を設けたが、17℃以外の環境温度で分けても構わないし、3つ以上の環境温度範囲があっても構わない。
【0074】
また、回転速度制御方法に環境温度以外の要素(例えば、プリントジョブの履歴)を用いても構わない。この要素は、定着器11の温度(すなわち、オーバーコート層32、ステー21との間のグリースの温度)を反映している。そのためLL環境であっても、これらの要素からグリースが高温度で低粘度であると判断できれば、定着器11の回転駆動開始後から全速の回転速度になるまでの時間を短くして構わない。
【0075】
(変形例6)
また、本実施形態ではFPOTを全ての環境温度で10secとしたが、これ以外の時間であっても構わないし、環境温度によって異なるFPOTであっても構わない。例えば、17℃未満の環境でFPOTを10secよりも長くすることで、フィルム22の表面温度を均一な温度分布とさせて、画像ムラを目立たなくし定着性が良好となるように回転制御しても構わない。
【符号の説明】
【0076】
22・・定着フィルム、23・・加熱体(ヒータ)、24・・加圧ローラ、25・・定着器回転制御手段、26・・モータ、29・・検温素子、101・・環境温度センサ、N・・ニップ部、P・・記録材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体と、前記発熱体により加熱される回転可能なフィルムと、前記フィルムとニップ部を形成するためのローラ形状の加圧体と、前記加圧体を回転駆動させる回転駆動手段と、前記回転駆動手段による前記加圧体の回転速度を制御する回転速度制御手段と、を有し、トナー画像を担持した記録材を、前記ニップ部を通過させることにより画像加熱させる画像加熱装置において、
前記回転速度制御手段は、
前記回転駆動手段の回転駆動開始時に、前記回転駆動手段を最終回転速度aよりも遅い回転速度bへ第1の時間的変化で急峻に回転駆動させた後、回転開始から所定時間経過後に前記回転速度bから前記最終回転速度aとなるように前記第1の時間的変化より緩い第2の時間的変化で回転駆動させることを特徴とする画像加熱装置。
【請求項2】
前記第2の時間的変化は、経時的に複数の時間的変化で構成されることを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
【請求項3】
前記第2の時間的変化は、折れ線状あるいは階段状となることを特徴とする請求項2に記載の画像加熱装置。
【請求項4】
前記第2の時間的変化は、折れ線状であって前記第1の時間的変化と同じ成分を有することを特徴とする請求項3に記載の画像加熱装置。
【請求項5】
装置の内部または装置の外部の環境温度を検知する環境温度検知手段を備え、前記回転速度制御手段は、前記環境温度検知手段により検知された環境温度が所定温度より低い場合に比べて前記所定温度より高い場合に前記所定時間をより短く設定することを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
【請求項6】
装置の内部または装置の外部の環境温度を検知する環境温度検知手段を備え、前記回転速度制御手段は、前記環境温度検知手段により検知された環境温度が所定温度より高い場合に比べて前記所定温度より低い場合に前記回転速度bをより大きく設定することを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
【請求項7】
トナー画像を形成するトナー画像形成手段と、前記トナー画像を加熱するトナー画像加熱手段としての画像加熱装置と、を有する画像形成装置であって、前記画像加熱装置が請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
発熱体と、前記発熱体により加熱される回転可能なフィルムと、前記フィルムとニップ部を形成するためのローラ形状の加圧体と、前記加圧体を回転駆動させる回転駆動手段と、前記回転駆動手段による前記加圧体の回転速度を制御する回転速度制御手段と、を有し、トナー画像を担持した記録材を、前記ニップ部を通過させることにより画像加熱させる画像加熱装置において、
前記回転速度制御手段は、
前記回転駆動手段の回転駆動開始時に、前記回転駆動手段を最終回転速度aよりも遅い回転速度bへ第1の時間的変化で急峻に回転駆動させた後、回転開始から所定時間経過後に前記回転速度bから前記最終回転速度aとなるように前記第1の時間的変化より緩い第2の時間的変化で回転駆動させることを特徴とする画像加熱装置。
【請求項2】
前記第2の時間的変化は、経時的に複数の時間的変化で構成されることを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
【請求項3】
前記第2の時間的変化は、折れ線状あるいは階段状となることを特徴とする請求項2に記載の画像加熱装置。
【請求項4】
前記第2の時間的変化は、折れ線状であって前記第1の時間的変化と同じ成分を有することを特徴とする請求項3に記載の画像加熱装置。
【請求項5】
装置の内部または装置の外部の環境温度を検知する環境温度検知手段を備え、前記回転速度制御手段は、前記環境温度検知手段により検知された環境温度が所定温度より低い場合に比べて前記所定温度より高い場合に前記所定時間をより短く設定することを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
【請求項6】
装置の内部または装置の外部の環境温度を検知する環境温度検知手段を備え、前記回転速度制御手段は、前記環境温度検知手段により検知された環境温度が所定温度より高い場合に比べて前記所定温度より低い場合に前記回転速度bをより大きく設定することを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
【請求項7】
トナー画像を形成するトナー画像形成手段と、前記トナー画像を加熱するトナー画像加熱手段としての画像加熱装置と、を有する画像形成装置であって、前記画像加熱装置が請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−105080(P2013−105080A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249692(P2011−249692)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]