説明

画像合成装置、カメラおよびプリンタ

【課題】元々の撮影画像の品位を保ちつつ撮影画像の端の領域の画像をコード画像に置換した合成画像を得ることができる画像合成装置、その画像合成装置を備えたカメラ、その画像合成装置を備えたプリンタを提供する。
【解決手段】撮影時に顔検出部で顔領域を検出してその顔領域の情報を画像ファイルのヘッダ内に記録しておく。ネットプリントを実施するときにその顔領域情報に基づいて顔領域から最も離れた領域(図(c)の符号Aで示される)が例えばインタネットアドレスを記載したQRコードを表わすコード画像に置換されてなる合成画像を生成する。この合成画像をプリント業者にプリントさせることにより元々の撮影画像の品位が保たれた合成画像をユーザに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影画像の端の領域の画像がQRコード等のコード画像に置換されてなる合成画像を生成する画像合成装置、その画像合成装置を備えたカメラおよびプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、インタネットを使ったネットプリントと呼ばれるサービスが普及してきている。この様なサービスがあると、ユーザーはわざわざプリント画像を得るためにプリント業者のところを訪れなくてもインタネットを通してプリント業者にプリント画像の発注を行なうだけで後は郵送等でプリント画像を簡単に手に入れることができる。この様なネットプリントサービスを考えている者の中には、撮影装置の内部やその撮影装置で撮影された撮影画像をプリントするプリンタの内部に画像合成装置を設けておいてその画像合成装置で撮影画像の一部の領域を例えばインタネットアドレスを表わすコード画像に置換して、その撮影画像の一部が置換されてなる合成画像をプリントして顧客に提供しようとする業者もいる。この業者のように撮影画像の一部の領域を例えばインタネットアドレスを表わすコード画像に置換してなる合成画像をプリントして顧客に提供すると、プリント画像中のコード画像を例えば携帯電話機等に搭載されている読取装置等で読み取るという簡単な操作を顧客に行なってもらうだけでインタネットを通して様々なサービスを顧客に提供することができるようになるというメリットがある。
【0003】
ところで、特許文献1のように撮影装置に画像合成装置を搭載してその画像合成装置で撮影画像の端の領域の画像を特定の情報を表わすコード画像に置換してなる合成画像を生成すると、撮影画像の内容が一部書き換えられてしまうことになる。このため撮影画像によっては撮影画像中の主要被写体がコード画像に書き換えられてしまう恐れがある。もしも撮影画像中の主要被写体がコード画像に書き換えられてしまうと、撮影画像の品位が著しく損なわれてしまう。
【特許文献1】特開2007−94387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記欠点を解決し、元々の撮影画像の品位を保ちつつ撮影画像の端の領域の画像をコード画像に置換した合成画像を得ることができる画像合成装置、その画像合成装置を備えたカメラ、その画像合成装置を備えたプリンタを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明の第1の画像合成装置は、撮影により得られた撮影画像を取得する画像取得部と、
情報を担持したコード画像を生成するコード画像生成手段と、
上記画像取得部で取得した撮影画像上の主要被写体が記録された主要被写体領域を認識する被写体認識部と、
上記画像取得部で取得した撮影画像の、主要被写体から最も離れた端の領域が上記コード画像に置換されてなる合成画像を生成する画像合成部とを備えたことを特徴とする。
【0006】
上記本発明の画像合成装置によれば、上記画像取得部で取得された撮影画像の、上記被写体認識部で認識された主要被写体から最も離れた端の領域がコード画像に置換される。
【0007】
そうすると撮影画像中の主要被写体がコード画像に書き換えられる恐れがなくなって元々の撮影画像の品位を保ちつつ撮影画像の端の領域の画像をコード画像に置換した合成画像が得られる。
【0008】
ここで、上記画像取得部は、撮影画像上の顔領域の情報が付与された撮影画像を取得するものであり、
上記被写体認識部は、上記撮影画像上の顔領域を前記主要被写体領域として認識するものであることが好ましい。
【0009】
最近のデジタルカメラには大抵顔検出装置が配備されており、人物が主要被写体であるときには顔領域の情報が取得され、撮影画像にその顔領域の情報が付与されることが多い。そこで顔領域の情報があるときには上記被写体認識部がその顔領域の情報に基づいて顔領域の位置を認識したことを受けて上記画像合成部がその顔領域からもっとも離れた端の領域をコード画像に置換すると良い。そうすると、主要被写体である顔領域がコード画像に書き換えられる恐れがなくなって元々の撮影画像の品位を保ちつつ撮影画像の端の領域の画像をコード画像に置換した合成画像が得られる。
【0010】
また、上記画像取得部は、撮影画像上の動体領域の情報が付与された撮影画像を取得するものであり、
上記被写体認識部は、上記撮影画像上の動体領域を上記主要被写体領域として認識するものであることが好ましい。
【0011】
また最近のカメラには、動体検出装置が配備されているものも多い。この動体検出装置が配備されている撮影装置で撮影が行なわれた場合には撮影画像に動体領域の情報が付与されることが多い。そこで、撮影画像に動体領域の情報が付与されている場合には、上記被写体認識部がその動体領域の情報に基づいて動体領域を認識したことを受けて上記画像合成部がその動体領域からもっとも離れた端の領域をコード画像に置換すると良い。そうすると主要被写体である動体領域がコード画像に書き換えられる恐れがなくなって元々の撮影画像の品位を保ちつつ撮影画像の端の領域の画像をコード画像に置換した合成画像が得られる。
【0012】
また、上記目的を達成する本発明の第2の画像合成装置は、撮影により得られた撮影画像であって、手ぶれの方向の情報が付された撮影画像を取得する画像取得部と、
情報を担持したコード画像を生成するコード画像生成部と、
上記コード画像生成部で取得した撮影画像の手ぶれの方向の端の領域が上記コード画像に置換されてなる合成画像を生成することを特徴とする。
【0013】
最近のデジタルカメラには手ぶれ検出装置が搭載されて手ぶれ補正が行なわれるものが多く、その手ぶれ検出装置が機能したときには上記画像取得部によってその手ぶれの方向の情報が付された撮影画像が取得される。
【0014】
そこで上記第2の画像合成装置によれば、上記画像取得部で手ぶれの方向の情報が付された撮影画像が取得されたときにはその手ぶれの方向の情報に基づいて上記画像合成部によって主要被写体からもっとも離れた領域となる手ぶれの方向の端の領域の画像がコード画像に置換される。そうすると、この手ぶれの方向の端の領域が撮影画角外になることから主要被写体がコード画像に書き換えられる恐れがなくなって元々の撮影画像の品位を保ちつつ撮影画像の端の領域の画像をコード画像に置換した合成画像が得られる。
【0015】
また、上記目的を達成する本発明の第3の画像合成装置は、撮影により得られた撮影画像であって、撮影時のシーンポジションの情報が付された撮影画像を取得する画像取得部と、
情報を担持したコード画像を生成するコード画像生成部と、
上記コード画像取得部で取得した撮影画像のシーンポジションに応じた端の領域が上記コード画像に置換されてなる合成画像を生成する画像合成部とを備えたことを特徴とする。
【0016】
最近のデジタルカメラにはシーンポジション、つまり人物を撮影する撮影シーンであるか、風景を撮影する撮影シーンであるか、夜間の撮影シーンであるか等に応じてそのシーンポジションの撮影に適した露出やピントがカメラの内部に自動的に設定されて撮影が行なわれるものがある。このようなカメラにおいてはそのシーンポジションの情報が撮影画像とともに取得される。
【0017】
そこで、上記第3の画像合成装置によれば、上記画像取得部で撮影画像のシーンポジションの情報が付された撮影画像が取得されているときにはそのシーンポジションに応じて上記画像合成部によってそのシーンポジションに応じた端の領域がコード画像に置換される。つまり、シーンポジションに応じてそのシーンポジションにおいて主要被写体が位置することのない端の領域がコード画像に置換される。そうすると主要被写体がコード画像に書き換えられる恐れがなくなって元々の撮影画像の品位を保ちつつ撮影画像の端の領域の画像をコード画像に置換した合成画像が得られる。
【0018】
上記目的を達成する本発明の第4の画像合成装置は、
撮影により得られた撮影画像を取得する画像取得部と、
情報を担持したコード画像を生成するコード画像生成部と、
上記画像取得部で取得した撮影画像の端の領域のうちの最低輝度の端の領域が上記コード画像に置換されてなる合成画像を生成する画像合成部とを備えたことを特徴とする。
【0019】
上記第4の画像合成装置によれば、上記画像取得部で撮影画像が取得されると、上記画像合成部で撮影画像のうちの最低輝度の端の領域が検出され検出された最低輝度の端の領域がコード画像に置換される。そうすると、この最低輝度の端の領域に主要被写体が存在することは稀であるので主要被写体がコード画像に書き換えられる恐れがなくなって元々の撮影画像の品位を保ちつつ撮影画像の端の領域の画像をコード画像に置換した合成画像が得られる。
【0020】
ところで、撮影者によっては、カメラを縦位置に構えて撮影(縦位置撮影)が行なわれたり、横位置に構えて撮影(横位置撮影)が行なわれたりする。この縦位置撮影と横位置撮影とでは同じ被写体を撮影しても撮影画角内の背景の領域が変化する。
【0021】
そこで、上記目的を達成する本発明の第5の画像合成装置は、撮影により得られた撮影画像を取得する画像取得部と、
情報を担持したコード画像を生成するコード画像生成部と、
上記画像取得部で取得した撮影画像が縦位置撮影により得られた画像であるか、横位置撮影により得られた画像であるかに応じた端の領域が上記コード画像に置換されてなる合成画像を生成する画像合成部とを備えたことを特徴とする。
【0022】
上記本発明の第5の画像合成装置によれば、上記画像合成部によって、縦位置撮影により得られた画像であるか、横位置撮影により得られた画像であるかに応じた端の領域が上記コード画像に置換される。
【0023】
つまり、縦位置撮影である場合には、背景領域となる確率が高い上下端の領域が上記コード画像に置換され、横位置撮影の場合には背景領域となる左右端の領域が上記コード画像に置換される。そうすると、主要被写体がコード画像に書き換えられる恐れがなくなって元々の撮影画像の品位を保ちつつ撮影画像の端の領域の画像をコード画像に置換した合成画像が得られる。
【0024】
ここで、上記画像合成部は、上記撮影画像の4隅のうちの主要被写体から最も離れた隅に寄った領域に上記コード画像を配置するものであることが好ましい。
【0025】
主要被写体が中央にあるときには4隅までの距離はいずれも同じになるが、主要被写体がいずれかの方向に偏っているときには主要被写体から4隅までの距離がそれぞれ異なる。
【0026】
そこで、上記画像合成部が、撮影画像の4隅のうちの主要被写体から最も離れた隅を検知してその隅に寄った領域に上記コード画像を配置すると、主要被写体がコード画像に書き換えられる恐れがなくなって元々の撮影画像の品位を保ちつつ撮影画像の端の領域の画像をコード画像に置換した合成画像が得られる。
【0027】
また上記コード画像生成部は、インタネット上のアドレスを記載したQRコードを表わすコード画像を生成するものであることが好ましい。
【0028】
最近の携帯電話機にはQRコード読取り装置が配備されているものが多く、QRコードを表わすコード画像を生成する構成にすると、汎用性の高いものになる。
【0029】
上記のようにインタネット上のアドレスを記載したQRコードを表わすコード画像を生成する構成にすると、ユーザが自分の携帯電話機のQRコード読取装置でそのQRコードを読み取ることでそのQRコードが表わすインタネット上のアドレスのところに簡単にアクセスすることができるようになる。
【0030】
例えばそのアドレスがプリント業者のアドレスであれば、ユーザはそのアドレスを携帯電話機等を使って読み取るだけでそのプリント業者に焼き増しの依頼をすることができ、そのアドレスがその撮影画像を撮影したテーマパーク等のホームページのアドレスであれば、その撮影画像を撮影したテーマパーク等の有用な情報を新たに入手することができる。
【0031】
また、上記画像合成部は、上記撮影画像の4辺のうちの主要被写体から最も離れた辺に寄った、その辺に沿って延びる領域に上記コード画像を配置するものであっても良い。
【0032】
QRコード等のように2次元配列されているコード画像であれば上記4隅のうちのいずれかの隅をコード画像に置換すれば良いが、テキストコードのようなコード画像の場合には、上記辺に沿って延びる領域に置換する方が良い。
【0033】
上記目的を達成する本発明のカメラは、
被写体を撮像素子上に結像して撮影画像を取得するカメラにおいて、
上記画像合成装置のうちのいずれかを備えたことを特徴とする。
【0034】
上記本発明のカメラによれば、撮影画像の端の領域の画像をコード画像に置換して合成画像にしたときに元々の撮影画像の品位を保ちつつ撮影画像の端の領域の画像をコード画像に置換した合成画像を得ることができるとともに、コード画像によって撮影画像に関連のある情報をユーザに提供することが可能となる。
【0035】
上記目的を達成する本発明のプリンタは、
上記のうちのいずれかの画像合成装置と、
上記画像合成装置で得られた合成画像をプリント出力するプリント出力部とを備えたことを特徴とする。
【0036】
上記本発明のプリンタによれば、撮影画像の端の領域の画像をコード画像に置換して合成画像にしたときには元々の撮影画像の品位を保ちつつ撮影画像の端の領域の画像をコード画像に置換した合成画像を得ることができるとともに、撮影画像に合成されたコード画像によってその撮影画像に関する情報の提供やプリントの焼き増しサービス等をユーザに提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0037】
以上、説明したように、元々の撮影画像の品位を保ちつつ撮影画像の端の領域の画像をコード画像に置換した合成画像を得ることができる画像合成装置、その画像合成装置を備えたカメラ、その画像合成装置を備えたプリンタが実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0039】
図1は、本発明の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラ100を斜め上前方から見た外観斜視図である。
【0040】
図1に示すデジタルカメラ100は、被写体光を捉えて画像データを生成するものであり、このデジタルカメラ100の前面には、光学ズームレンズを内蔵したズーム鏡胴111と、撮影に同期してフラッシュ光を発するフラッシュ発光窓112と、暗所など低コントラスト時のオートフォーカス(AF)精度を向上させるためのAF補助光ランプ113等が備えられている。
【0041】
また、このデジタルカメラ100の上面には、電源スイッチ114と、レリーズボタン115と、レリーズボタン115の周囲に回転式のモードダイヤル116が備えられている。モードダイヤル116はそのダイヤルを回すことにより静止画モードと動画モードとを交互に切り換えることができるようになっている。また、本実施形態のデジタルカメラ100にはインタネットに無線でアクセスするための送信部(後述する)が内部に備えられており、外部にはその送信部からの送信データを受けて空間へと放射する送信アンテナantが備えられている。
【0042】
図2は、図1に示すデジタルカメラの背面を示す外観図である。
【0043】
図2に示すデジタルカメラ100の背面には、LCDパネル117A、ファインダ124、MENU/OKボタン118、DISP/BACKボタン119、フォトモードボタン120、再生ボタン121、十字キー122、ズームボタン123などが備えられている。
【0044】
LCDパネル117Aは、撮影レンズにより被写体光を捉えて生成された画像データからなる画像、および種々の設定時における情報を表示するものである。
【0045】
MENU/OKボタン118は、撮影時や再生時における各種のメニューをLCDパネル117A上に表示させたり、表示されたメニューの中から所望のメニューを選択し決定するためのボタンである。
【0046】
DISP/BACKボタン119は、LCDパネル117A上に表示された画面の状態を切り換えたり、MENU/OKボタン118等による操作を1つ前の状態に戻したり操作を取り消したりするためのボタンである。
【0047】
フォトモードボタン120は、ピクセル数,感度,色味,プリント枚数等を設定するためのボタンである。
【0048】
再生ボタン121は、後述する記録媒体に記録された撮影画像を、LCD117に再生表示するためのボタンである。
【0049】
十字キー122は、様々なモードでその役割が変化し、例えば静止画モードではマクロキーキーやフラッシュキーであったり、再生モードではLCDパネル117Aに表示したサムネイルの選択キーであったりする。マクロキーは、マクロ撮影を行なうか否かを切り換えるためのキースイッチであり、一度押下するとマクロ撮影モードとなり、再度押下するとマクロ撮影モードが解除される。フラッシュキーは、押下する毎に、オートフラッシュ、赤目低減フラッシュ、強制フラッシュ、フラッシュ禁止、スローシャッタでのフラッシュ、およびオートフラッシュというようにフラッシュの状態を順繰りに切り換えるためのキースイッチである。
【0050】
ズームボタン123は、左方に向けて押下することにより望遠側(テレ側)にズームインするとともに左方に向けて押下することにより広角側(ワイド側)にズームアウトするためのボタンである。
【0051】
次に、図1、図2に示したデジタルカメラ100の回路構成について説明する。
【0052】
図3は、図1、図2に示したデジタルカメラ100の回路構成を示すブロック図である。
【0053】
このデジタルカメラ100の動作はCPU130と画像処理回路140との連携により制御される。画像処理回路140は、画像処理専用プロセッサで構成されており、CPU130からの指示に応じてメインメモリMEM内のプログラムにしたがって画像処理プロセスを実行する。その画像処理部140には、メモリ制御回路141とデジタル信号処理回路142と動きベクトル検出部143とQRコード生成部144と圧縮伸長回路145と積算回路146とが備えられている。
【0054】
一方、CPU130の入力部には図2に示すMENU/OKボタン118、DISP/BACKボタン119、フォトモードボタン120、再生ボタン121、十字キー122、ズームボタン123、レリーズボタン114が備えられている操作部OPが接続されており、その操作部OPから操作信号が供給されてくると、CPU130は、その操作信号に応じて撮像素子131、映像信号処理部132それぞれに処理を実行させ、撮像素子131に生成させた画像信号を映像信号処理部内のADC133でデジタル信号に変換させた後の画像信号の画像処理については、画像処理回路140を構成する画像処理プロセッサに実行させる。なお映像信号処理部132には、CDS(Correlated Doubule Sampling)132AとAWB(Auto White Blance)ゲイン調整部132BとA/D回路132Cとが備えられており、CDS132Aでは2回サンプリングが行われることによりサンプリングノイズが除去され、AWBゲイン調整部132Bではホワイトバランスの調整が行なわれ、A/D回路132Cではアナログ信号からデジタル信号への変換が行なわれる。
【0055】
また、図3の中にはアドレスバス130Bとデータバス130Cとの2つのバスが示されている。その2つのバスのうちのアドレスバス130Bを用いてCPU130が画像処理回路140にアクセスしたり、画像処理回路140がCPU130にアクセスしたりする。また、その2つのバスのうちのデータバス130Cを経由してCPU130からの指示内容が画像処理回路140内の各部141〜146に通知されたり、逆に各部141〜146からのプロセスの進行状況などがCPU130に通知されたりする。
【0056】
さらに、A/D回路132Cとデータバス130C側との処理タイミングを合わせるために画像処理部140内のメモリ制御部141によって映像信号処理部132内のA/D回路132Cから出力されたデジタルの画像データがデータバス130C上に導かれる構成になっている。
【0057】
この様にCPU130と画像処理回路140との連携によってその動作が制御されるデジタルカメラ100の構成および動作を図3を参照して説明する。
【0058】
図1の鏡胴内111には、撮影レンズや絞りなどが配備されているが、図3には撮影レンズ1111のみが示されている。その不図示の絞りは、レンズ駆動部103内の絞り制御部1032によって制御され開口径が調整され、その絞り制御部1032の動作はCPU130によって制御される。また撮影レンズ1111の中にはズームレンズやフォーカスレンズがあり、これらのレンズはレンズ駆動部103のズーム制御部1031やAF制御部1033によって駆動されて光軸方向に移動し、そのレンズ駆動部130の動作はCPU130によって制御される。
【0059】
さらに撮像素子131は撮像素子駆動部1301によって駆動されその撮像素子駆動部1301の動作もCPU130によって制御される。
【0060】
このCPU130の制御の下に撮像素子駆動部1301によって電子シャッタが撮像素子131に設定されてその撮像素子131で画像データが生成され電子シャッタのオフタイミングで画像データが後段の撮像信号処理部132へと出力される。
【0061】
撮像信号処理部132では、撮像素子131から出力された画像データのノイズ低減処理等がCDS回路132Aで行なわれノイズ低減処理が行なわれた画像データがAWBゲイン調整回路132Bを経て後段のA/D(Analogue Digital)回路132Cへと供給される。そのA/D回路132Cではアナログの画像データがデジタルの画像データに変換される。
【0062】
このA/D回路133でアナログの画像データがデジタルの画像データに変換された後、CPU130からのプロセススタート信号を受けた画像処理部140内のメモリ制御回路140によって1フレーム分の画像データが次々とデータバス130C上に導かれ、データバス130C上に導かれた画像データが次々とデジタル信号処理部142へと供給される。
【0063】
ここで、まず電源が投入されたときに撮影光学系が捉えている被写体をLCD117のLCDパネル117A(図2参照)上に表示するための動画データ(以降スルー画データという)の処理の流れを説明する。
【0064】
CPU130は、撮像素子駆動部1301に指示して所定のタイミングごとに撮像素子131を繰り返し駆動させて撮像素子131から間引いて画像信号を出力させては撮像信号処理部132に次々と出力させ、A/D回路132Cでデジタルの画像データに変換させた後のスルー画データを、画像処理回路140に指示して画像処理回路140内のメモリ制御部141の制御の下に次々とデータバス130Cに導かせる。
【0065】
このメモリ制御部131によってデータバス130C上に導かれたスルー画データは、データバス130Cを経由してまずデジタル信号処理部142に供給される。このデジタル信号部142ではスルー画データにシェーディング補正等が施された後YC変換処理が施される。そのYC変換処理が施されることによりスルー画データからYC信号が生成され生成されたYC信号がCPU130の制御の下にデータバス130Cを経由して表示制御部1170に供給されLCD117が備えるLCDパネル117A上にYC信号に基づくスルー画が表示される。
【0066】
一方、積算部146にも、デジタル信号処理部142に供給された画像信号が供給され、その画像信号に基づいて合焦位置の検出処理が行なわれたり、測光処理が行なわれたりする。この積算部146での積算結果を受けてCPU130は、レンズ駆動部1301に指示して撮影レンズ1111の中のフォーカスレンズを合焦位置に移動させたり、絞り駆動部1302に指示して絞り径を変更させたりしている。このため、いつでも適正露出に調整されたスルー画データに基づくスルー画がLCDパネル117A上に表示されることとなる。
【0067】
ここで、LCDパネル117A上のスルー画が参照され撮影者によってレリーズボタン115が押されると、CPU130はそのレリーズボタン115の押下操作を受けて撮影処理を開始する。
【0068】
CPU130は、撮像素子駆動部1301に指示して撮像素子131に撮影を開始させ、電子シャッタのオフタイミングで全画素からなる画像信号を撮像信号処理部132へと出力させる。撮像素子131から出力させた全画素からなる画像データは、撮像信号処理部132でノイズの低減が行なわれた後デジタルの画像データに変換される。
【0069】
この撮像信号処理部132から出力されるデジタルの画像データは、CPU130の制御の下にメモリ制御部141によってデータバス130C上に導かれデータバス130C上に導かれた画像データがデジタル信号処理部142に供給される。このデジタル信号処理部142ではシェーディング補正が行なわれた後YC信号への変換処理が施され、その変換処理により生成されたYC信号が圧縮伸張部145に供給される。この圧縮伸張部145ではYC信号の圧縮が行なわれて圧縮されたYC信号が外部メモリ制御部150に供給される。
【0070】
このときCPU130によって、撮影情報や圧縮に係わる情報が圧縮されたYC信号に付加されて圧縮されたYC信号が画像ファイルにされ、その画像ファイルが外部メモリ制御部150の制御の下に記録媒体151に記録される。
【0071】
ここで、本実施形態では、顔検出部1304を設けて、その顔検出部1304で被写体中に顔が検出されたときにはCPU130がその顔領域の座標を画像ファイル中のヘッダ部に書き込んで記録媒体151に記録するようにしている。このようにしておくと、CPU130が、画像ファイル中の撮影画像を再生するときに撮影画像中の主要被写体である人物の位置を認識することができる。
【0072】
また、本実施形態では、送信部190および送信アンテナantを設けるとともに再生メニューの中に「ネットプリント」という項目を設けて、その「ネットプリント」がユーザ操作により選択されたときには、その送信部190および送信アンテナantを使ってインタネットにアクセスすることにより記録媒体151中の、ユーザ操作により指定された少なくとも一つの撮影画像をプリント業者に送信することができるようにしている。
【0073】
さらに、本実施形態ではQRコード生成手段144を設けて、CPU130が撮影画像を記録媒体151から読み出してその撮影画像を送信部190を使ってプリント業者に送信するときには、CPU130からの通知を受けて画像処理回路140内のデジタル信号処理部142が顔領域からはもっとも離れた端の領域をQRコード生成手段147で生成されたQRコードに置換してなる合成画像を生成してCPU130の制御の下に送信部190、送信アンテナant、インタネットを通してその合成画像をプリント業者に送信することができるようにしている。
【0074】
このような構成にすると、撮影画像中の主要被写体をコード画像に置換する恐れがなくなって元々の撮影画像の品位を保ちつつ撮影画像の端の領域の画像をコード画像に置換した合成画像を得ることができる。また撮影画像に合成されたQRコードを携帯電話機等のQR読取装置で読み取るという簡単な操作をユーザに行なってもらうことでインタネットを通して焼き増しの依頼をプリント業者に行なうことができるというサービスをユーザに提供することが可能となる。
【0075】
本実施形態においては、本発明にいう画像取得部の一例がCPU130とレンズ駆動部103と撮像素子駆動部1301と撮像素子130と撮像信号処理部132と画像処理回路140と外部メモリ制御部150と記録媒体151とで構成され、図3のQRコード生成部144で本発明にいうコード画像生成部の一例が構成され、CPU130と顔検出部1304とによって本発明にいう被写体認識手段の一例が構成される。また、デジタル信号処理部142によって本発明にいう画像合成部の一例が構成される。
【0076】
ここで、CPU130が記録媒体151から画像ファイルを読み出すときに画像ファイルのヘッダ情報中の顔領域の情報を読み取ったことを受けて画像処理回路140内のデジタル信号処理部142が実行するコード画像の置換処理を説明する。
【0077】
図4は、デジタル信号処理部142が、撮影画像の一部をQRコード生成部144で生成されたQRコードに置換してなる合成画像を生成するときの処理を説明する図である。
【0078】
図4(a)には撮影画像が示されており、図4(b)にはCPU130によって撮影画像中の顔領域からもっとも離れた端の領域が4隅のうちのどれになるかが判別されるときの処理例が示されており、図4(c)には図4(b)の処理により顔領域からもっとも離れた端の領域が定められたことを受けてデジタル信号処理部142が主要被写体である顔領域から最も離れた端の領域がQRコードに置換されてなる合成画像を生成したときの状態が示されている。
【0079】
この例ではCPU130が認識した顔領域から4隅までのそれぞれの距離A、B、C、Dを算出し、4隅それぞれがD<C<B<Aの順に顔領域から離れているということを検知したことを受けて、デジタル信号処理部142が図4(c)に示す様に顔領域からもっとも離れている隅(距離Aのところ)の端の領域がQRコードに置換されてなる合成画像を生成する処理を実行している。
【0080】
さらに送信部190、アンテナantを通してインタネットにアクセスすることでこの合成画像をプリント業者に送信すると、プリント業者からは図4(c)に示す合成画像のプリント画像が提供される。このプリント画像を見てユーザが焼き増しをしたいと思ったときには、携帯電話機のQR読取装置で端のQRコードを読み取ることで焼き増しの依頼を簡単に行なうことができる。
【0081】
図5は、本実施形態のデジタルカメラ100で取得された撮影画像をネットプリントするときの状態とネットプリントにより得たプリント画像の焼き増しの依頼をするときの状態とを説明する概念図である。
【0082】
図5のデジタルカメラ100で取得した撮影画像のネットプリントを実施してプリント業者にプリントを依頼すると、図4(c)に示すプリント画像が提供される。この図4(c)中のQRコードは、撮影画像中の主要被写体である顔領域から最も離れた領域にプリントされる。このようにすると、元々の撮影画像の品位を保ちつつ撮影画像の端の領域の画像をコード画像に置換した合成画像を得ることができるとともに、撮影画像とともにプリント業者のアドレスを記載したQRコードを表わすコード画像等で撮影画像に関連する情報をユーザに提供することができる。
【0083】
このためユーザは、撮影画像の焼き増しを依頼するときに携帯電話機300のQRコード読取装置でQRコードを読み取るという簡単な操作を行なうだけで撮影画像の焼き増しをプリント業者に依頼することができるというサービスの提供を受けることができるようになる。
【0084】
図6は、CPU130と画像処理回路140とが連携して実行するネットプリント処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0085】
ステップS601でCPU130が「ネットプリント」を実行するかどうかを再生メニュー中の「ネットプリント」が指定されたかどうかにより判定する。このステップS601でCPU130が「ネットプリント」が指定されていると判定したときには次のステップS602へ進んでステップS602で画像ファイルを記録媒体151から読み出し、ヘッダ内に顔領域情報があるかどうかを判定する。このステップS602で顔領域情報があると判定したときにはステップS603へ進んでステップS603で画像の四隅と顔領域との距離を算出して画像処理回路140に通知する。次のステップS604で画像処理回路140内140のデジタル信号処理部142が、顔領域から最も離れた端の領域がネットプリントサービスを実施するプリント業者のURLを記載したQRコードに置換されてなる合成画像を生成する。ステップS605でCPU130が送信部190を使ってプリント業者にその合成画像を送信してプリント業者にその合成画像のプリントを実行させる。
【0086】
ステップS602でCPU130が顔領域情報がないと判定したときにはNO側へ進んでステップS606で画像ファイルのヘッダ内にフォーカス位置情報があるかどうかを判定する。ステップS606でCPU130がフォーカス位置情報があると判定したときには、ステップS607でフォーカス情報から合焦位置情報を得てその合焦位置から四隅の領域間での距離をそれぞれ算出して画像処理回路140に通知する。次のステップS608で画像処理回路140内のデジタル信号処理部142が、顔領域から最も離れた端の領域がネットプリントサービスを実施するプリント業者のURLを表わすQRコードに置換されてなる合成画像を生成する。ステップS609でCPU130が合成画像を送信部190を使って送信してプリント業者にその合成画像のプリントを実行させる。
【0087】
ステップS606でフォーカス位置情報もないと判定したときには、No側へ進んでステップS610で画像処理回路140内のデジタル信号処理部142がデフォルト位置となる左下の隅の端の領域がQRコードに置換されてなる合成画像を生成する。ステップS611で送信部190を使ってプリント業者にその合成画像を送信してプリント業者にその合成画像のプリントを実行させる。
【0088】
以上のフローの処理をCPU130と画像処理回路140とが連携して実行すると、図1のデジタルカメラは、元々の撮影画像の品位を保ちつつ撮影画像の端の領域の画像をコード画像に置換した合成画像を得ることができる。またその合成画像をプリント業者にプリントさせた後のプリント画像をユーザに供給することにより、撮影画像とともにコード画像が表わす、その撮影画像に関する情報をもユーザに提供することができる。
【0089】
次に第2実施形態を説明する図である。
【0090】
この第2実施形態においても、図1〜図3に示すデジタルカメラが用いられるとする。
【0091】
図1〜図3に示すデジタルカメラ100には、動きベクトル検出部143が設けられていて主要被写体が動体の場合にはその動きベクトル検出部143によって動体が動く範囲を示す動体領域が検出され、その動体領域情報が画像ファイル中のヘッダ部内のTAG領域に記録されることがある。
【0092】
そこで、第2実施形態では、その動体領域情報が画像ファイル中のTAG領域内に記録されているときには、その動体領域から4隅までの距離を算出してその動体領域から最も離れた隅の端の領域がコード画像に置換されてなる合成画像を生成するようにしている。
【0093】
図7は、動体領域から最も離れた端の領域がコード画像に置換されてなる合成画像を生成する場合の処理を説明する図であり、図8は、動体領域から最も離れた端の領域がコード画像に置換されてなる合成画像を生成するときにCPU130と画像処理回路140とが連携して実行するネットプリント処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0094】
図7には、図4(a),(b)、(c)に対応する図がそれぞれ示され、図7(b)には、動体領域から4隅までの距離の算出結果が示されている。図7(b)に示す様に4隅までの距離はA>B>C≧Dとなっており、図7(c)には、その動体領域からもっとも離れた端の領域(距離が符号Aだけある隅)がQRコードを表わすコード画像に置換されてなる合成画像が生成されたということが示されている。このように動体領域からもっとも離れた端の領域(距離が符号Aの隅)がコード画像に置換されてなる合成画像が生成されると、主要被写体となる動体領域がコード画像に書き換えられることがなくなって撮影画像の品位はそのままに保たれる。さらには合成画像中のコード画像によって撮影画像に関する情報をユーザに提供することができる。
【0095】
図8を参照してCPU130と画像処理回路140とが連携して実行する置換処理を説明する。
【0096】
ステップS801でCPU130が「ネットプリント」を実行するかどうかを再生メニュー中の「ネットプリント」が指定されたかどうかにより判定する。このステップS801でCPU130が「ネットプリント」が指定されていると判定したときには次のステップS802へ進んでステップS802で画像ファイルを記録媒体151から読み出し、画像ファイルであるExifファイルのヘッダ内にTAG領域があるかどうかを判定する。このステップS802でTAG領域があると判定したときにはYES側へ進んでステップS803でそのTAG領域内に動体領域情報があるかどうかを判定する。このステップS803で動体エリア情報があると判定したときにはYES側へ進んでステップS804で画像の4隅と動体領域との距離を算出して画像処理回路140に通知する。次のステップS805で画像処理回路140内のデジタル信号処理部142が、動体領域から最も離れた端の領域がネットプリントサービスを実施するプリント業者のインタネット上のアドレス(URL)を記載したQRコードに置換されてなる合成画像を生成する。ステップS806でCPU130が送信部190を使ってプリント業者にその合成画像を送信してプリント業者にその合成画像のプリントを実行させる。
【0097】
一方ステップS802でCPU130が画像ファイルにTAG領域がないと判定したとき、またステップS803でTAG領域内に動体エリア検出情報がないと判定したときにはNO側へ進んでステップS807でデジタル信号処理部142が、デフォルトの位置となる左上の隅の領域がネットプリントサービスを実施するプリント業者のインタネット上のアドレス(URL)を記載したQRコードに置換されてなる合成画像を生成する。ステップS609でCPU130が合成画像を送信部190を使って送信してプリント業者にその合成画像のプリントを実行させる。
【0098】
このような第2実施形態の構成にしても第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0099】
次に第3実施形態を説明する。
【0100】
この第3実施形態においても、図1〜図3に示すデジタルカメラが用いられるとする。
【0101】
図1〜図3で説明したデジタルカメラ100では、動きベクトル検出回路143によって手ぶれの方向が検出され、デジタル信号処理部142内で手ぶれ補正が行なわれる。このときには記録媒体151に記録される画像ファイルのヘッダ部のTAG領域に手ブレの方向が記録されることがある。
【0102】
そこで、第3実施形態では、手ぶれの方向の情報がTAG領域に記録されている場合には、手ぶれの方向の領域がコード画像に置換されてなる合成画像を生成する構成を提案している。
【0103】
図9は、手ぶれの方向にコード画像が置換されてなる合成画像を生成するときの処理状態を説明する図である。
【0104】
図9(a)に示す様に、右斜め上の隅が手ぶれの方向である場合には、図9(c)に示す様にその手ぶれの方向の端の領域がコード画像に置換されてなる合成画像を生成する。
【0105】
図10は、CPU130と画像処理回路140が連携してネットプリント処理を実行するときの第3実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
【0106】
図10の処理は、図8のステップS804の距離の計算の処理が削除され、ステップS803とステップS805の処理がステップS803A、ステップ805Aに変更された以外は、図8の処理と同じである。
【0107】
ステップS803Aで手ぶれの方向の情報が付与されている場合には、ステップS805Aでデジタル信号処理部が、手ぶれの方向の端の領域がネットプリントサービスを実施するプリント業者のインタネット上のアドレス(URL)を記載したQRコードに置換されてなる合成画像を生成する。このような構成にしても良い。
【0108】
次に第4実施形態を説明する。
【0109】
この第4実施形態においても、図1〜図3に示すデジタルカメラが用いられるとする。
【0110】
図1〜図3のデジタルカメラ100では撮影モードダイヤル116でシーンポジションを設定することができる構成になっている。このシーンポジションというのは、人物撮影、風景撮影、夜間撮影などのシーンポジションに応じて、操作により設定されたシーンポジションに適した露出やピント等がデジタルカメラ内部に自動的に設定されて撮影が行なわれるというものである。そこで、第4実施形態では、このシーンポジションの設定が行なわれたときにはそのシーンポジションに応じた端の領域がコード画像に置換されてなる合成画像を生成するようにしている。
【0111】
図11は、そのシーンポジションのうちの風景撮影、人物撮影、夜景撮影の3種類が設定された場合の代表的な画像例を掲げた図である。
【0112】
この例では、QRコードの代わりにテキストコードが用いられた例が示されている。またこの例では、画像合成部である画像処理回路140内のデジタル信号処理部142が、撮影画像の4辺のうちの主要被写体から最も離れた辺に寄った、その辺に沿って延びる領域にコード画像を配置することで主要被写体の一部が書き換えられることを防止している。
【0113】
図11(a)には、シーンポジションが風景であった場合には撮影画像の上側に主要被写体である風景例えば山等が位置することが少ないとして、上端の領域がインタネット上のアドレスを記載したテキストコードを表わすコード画像に置換されてなる合成画像を生成するということが示されている。またシーンポジションが人物であった場合には、左右端に主要被写体である人物が位置することが少ないとして、左端(右端でも良い)の領域がインタネット上のアドレスを記載したテキストコードを表わすコード画像に置換されてなる合成画像を生成するということが示されている。さらにシーンポジションが夜間撮影であった場合には、花火などを撮影する機会もあることを考慮し下端に主要被写体が位置することが少ないとして、上端の領域がインタネット上のアドレスを記載したテキストコードを表わすコード画像に置換されてなる合成画像を生成するということが示されている。このようにすると、主要被写体がコード画像に書き換えられることによって撮影画像の品位が損なわれるということが防止される。
【0114】
図12は、CPU130と画像処理回路140とが連携して実行するネットプリントの第4実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
【0115】
ステップS8031、ステップS8051、ステップS808の処理が追加され、ステップS803、ステップS805、ステップS807の処理がステップS803A、ステップS805B、ステップS807Aに変更されている以外は、図8の処理と同じである。
【0116】
ステップS803Aで画像ファイルのヘッダのTAG領域内にシーンポジション情報があると判定したときにはステップS8031で風景撮影であるかどうかを判定し、風景撮影であると判定したときにはステップS805Bで画像の上側の辺に沿って延びる領域にテキストコードを表わすコード画像を配置して合成画像を生成し、ステップ8051で人物撮影であると判定したときにはステップS807Aで画像の左側の辺に沿って延びる領域にテキストコードを表わすコード画像を配置して合成画像を生成し、夜景撮影である場合には、ステップS808で画像の下側の辺(この例ではデフォルトになる)に沿って延びる領域にテキストコードを表わすコード画像を配置して合成画像を生成する。
【0117】
このような構成にしても第1実施形態から第4実施形態と同等の効果が得られる。
【0118】
次に第5実施形態を説明する。
【0119】
この第5実施形態においても、図1〜図3に示すデジタルカメラが用いられるとする。
【0120】
図1〜図3のデジタルカメラ100では、積算部146で被写体が例えば64分割されて各分割領域ごとに輝度が検出され、その輝度に応じてデジタル信号処理部142で階調補正が行なわれる。そこで、第5実施形態では、撮影画像を再生したときの画像データに基づいて4隅のうちの最も輝度の低いところを算出してその輝度の低いところを主要被写体とは無関係な位置であるとしてその隅の端の領域がコード画像に置換されてなる合成画像を生成するようにしている。
【0121】
図13は、被写体輝度が最も低い輝度の隅の領域をコード画像に置換する場合の処理を説明する図である。
【0122】
CPU130が、図13(b)に示す4隅のうちの最も輝度の低い隅になるところを算出して画像処理回路140にその隅の位置を伝えて画像処理回路140内のデジタル信号処理142がその隅の位置がQRコードに置換されてなる合成画像を生成する。
【0123】
図14は、被写体輝度が最も低い輝度の隅の領域をコード画像に置換するときにCPU130と画像処理回路140とが連携して実行するネットプリントの処理手順を示すフローチャートである。
【0124】
ステップS1401でCPU130が「ネットプリント」を実行するかどうかを再生メニュー中の「ネットプリント」が指定されたかどうかにより判定する。このステップS1401でCPU130が「ネットプリント」が指定されていると判定したときには次のステップS1402へ進んでステップS1402で画像ファイルを記録媒体151から読み出し、画像データの各画素データに基づいて4隅の輝度値を算出する。ステップS1403で、CPU130からの通知を受けた画像処理回路140内のデジタル信号処理部142が被写体輝度が最も低い隅の領域がQRコードに置換されてなる合成画像を生成してステップS1404でプリント業者にプリントを実行させる。
【0125】
この第5実施形態の構成でも第1実施形態から第4実施形態と同様の効果が得られる。
【0126】
次に第6実施形態を説明する。
【0127】
この第6実施形態においても、図1〜図3に示すデジタルカメラ100が用いられるとし、さらにそのデジタルカメラ100の内部には姿勢センサが搭載されているとする。この姿勢センサが搭載されていると、図1のデジタルカメラ100を縦位置にして撮影する縦位置撮影であるか、横位置撮影であるかを検出することができ、画像ファイル中のヘッダ内のTAG領域にその旨が記録される。
【0128】
図15は、縦位置撮影の場合には上下端の領域がコード画像に置換されるということを説明する図と横位置撮影の場合には左右端の領域がコード画像に置換されるということを説明する図である。
【0129】
図15に示す様に縦位置撮影であった場合には、上端(下端でも良い)の領域がコード画像に置換されてなる合成画像を生成し、横位置撮影であった場合には右端の領域(左端でも良い)がコード画像に置換されてなる合成画像を生成する構成にしても、第1実施形態〜第6実施形態と同様の効果が得られる。
【0130】
最後に本実施形態の画像合成装置がプリンタ400に搭載された場合の例を説明する。
【0131】
図16は、画像合成装置が搭載されたプリンタ400で撮影画像をプリントしたときにはどのようなサービスを提供することができるかを説明する概念図である。
【0132】
テーマパーク等には、メモリカードMCが挿入されると、自動的に撮影画像のプリントを実行するプリンタ400が配備されていることがある。
【0133】
そのときにはそのプリンタ400内に画像合成装置を配備しておいて、QRコードが置換されてなる合成画像をプリントして出力する構成にしておくと良い。
【0134】
このような構成にしておくと、入園者が、その撮影画像中のQRコードを携帯電話機等の読取装置で読み取ったときには入園者が所持する携帯電話機の表示画面上に本日のテーマパーク内のイベントなどを表示することができるので、いろいろな情報を通知するというサービスを入園者に提供することができる。このような構成にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラ100を斜め上前方から見た外観斜視図である。
【図2】図1に示すデジタルカメラの背面を示す外観図である。
【図3】図1、図2に示したデジタルカメラ100の回路構成を示すブロック図である。
【図4】デジタル信号処理部142が、撮影画像の一部をQRコード生成部147で生成されたQRコードに置換してなる合成画像を生成するときの処理を説明する図である。
【図5】本実施形態のデジタルカメラ100で取得された撮影画像をネットプリントするときの状態とネットプリントにより得たプリント画像の焼き増しの依頼をするときの状態とを説明する概念図である。
【図6】CPU130と画像処理回路140とが連携して実行するネットプリント処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】動体領域から最も離れた端の領域がコード画像に置換されてなる合成画像を生成する場合の処理を説明する図である。
【図8】動体領域から最も離れた端の領域がコード画像に置換されてなる合成画像を生成するときにCPU130と画像処理回路140とが連携して実行するネットプリント処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】手ぶれの方向にコード画像が置換されてなる合成画像を生成するときの処理状態を説明する図である。
【図10】CPU130と画像処理回路140が連携してネットプリント処理を実行するときの処理手順を示すフローチャートである。
【図11】そのシーンポジションのうちの風景撮影、人物撮影、夜景撮影の3種類が設定された場合の代表的な画像例を掲げた図である。
【図12】CPU130と画像処理回路140とが連携して実行するネットプリントの第4実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
【図13】被写体輝度が最も低い輝度の隅の領域をコード画像に置換する場合の処理を説明する図である。
【図14】被写体輝度が最も低い輝度の隅の領域をコード画像に置換するときにCPU130と画像処理回路140とが連携して実行するネットプリントの処理手順を示すフローチャートである。
【図15】縦位置撮影の場合には上下端の領域がコード画像に置換されるということを説明する図と横位置撮影の場合には左右端の領域がコード画像に置換されるということを説明する図である。
【図16】画像合成装置が搭載されたプリンタ400で撮影画像をプリントしたときにはどのようなサービスを提供することができるかを説明する概念図である。
【符号の説明】
【0136】
100 デジタルカメラ
103 レンズ駆動部
111 ズーム鏡胴
1111 撮影レンズ
112 フラッシュ発光窓
113 AF補助光ランプ
114 電源スイッチ
115 レリーズボタン
116 モードダイヤル
1170 表示制御部
117 LCD
117A LCDパネル
118 MENU/OKボタン
119 DISP/BACKボタン
120 フォトモードボタン
121 再生ボタン
122 十字キー
123 ズームボタン
124 ファインダ
130 CPU
130B アドレスバス
130C データバス
1301 レンズ駆動部
1302 絞り駆動部
1303 撮像素子駆動部
1304 顔検出部
140 画像処理回路
141 メモリ制御部
142 デジタル信号処理部
143 動きベクトル検出部
144 画像判別部
145 圧縮伸長部
146 積算部
131 撮像素子
132 撮像信号処理部
150 外部メディア制御回路
190 送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影により得られた撮影画像を取得する画像取得部と、
情報を担持したコード画像を生成するコード画像生成手段と、
前記画像取得部で取得した撮影画像上の主要被写体が記録された主要被写体領域を認識する被写体認識部と、
前記画像取得部で取得した撮影画像の、主要被写体から最も離れた端の領域が前記コード画像に置換されてなる合成画像を生成する画像合成部とを備えたことを特徴とする画像合成装置。
【請求項2】
前記画像取得部は、撮影画像上の顔領域の情報が付与された撮影画像を取得するものであり、
前記被写体認識部は、前記撮影画像上の顔領域を前記主要被写体領域として認識するものであることを特徴とする請求項1記載の画像合成装置。
【請求項3】
前記画像取得部は、撮影画像上の動体領域の情報が付与された撮影画像を取得するものであり、
前記被写体認識部は、前記撮影画像上の動体領域を前記主要被写体領域として認識するものであることを特徴とする請求項1記載の画像合成装置。
【請求項4】
撮影により得られた撮影画像であって、手ぶれの方向の情報が付された撮影画像を取得する画像取得部と、
情報を担持したコード画像を生成するコード画像生成部と、
前記コード画像生成部で取得した撮影画像の手ぶれの方向の端の領域が前記コード画像に置換されてなる合成画像を生成する画像合成部とを備えたことを特徴とする画像合成装置。
【請求項5】
撮影により得られた撮影画像であって、撮影時のシーンポジションの情報が付された撮影画像を取得する画像取得部と、
情報を担持したコード画像を生成するコード画像生成部と、
前記コード画像生成部で取得した撮影画像のシーンポジションに応じた端の領域が前記コード画像に置換されてなる合成画像を生成する画像合成部とを備えたことを特徴とする画像合成装置。
【請求項6】
撮影により得られた撮影画像を取得する画像取得部と、
情報を担持したコード画像を生成するコード画像生成部と、
前記画像取得部で取得した撮影画像の端の領域のうちの最低輝度の端の領域が前記コード画像に置換されてなる合成画像を生成する画像合成部とを備えたことを特徴とする画像合成装置。
【請求項7】
撮影により得られた撮影画像を取得する画像取得部と、
情報を担持したコード画像を生成するコード画像生成部と、
前記画像取得部で取得した撮影画像が縦位置撮影により得られた画像であるか、横位置撮影により得られた画像であるかに応じた端の領域が前記コード画像に置換されてなる合成画像を生成する画像合成部とを備えたことを特徴とする画像合成装置。
【請求項8】
前記画像合成部は、前記撮影画像の4隅のうちの主要被写体から最も離れた隅に寄った領域に前記コード画像を配置するものであることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項記載の画像合成装置。
【請求項9】
前記コード画像生成部は、インタネット上のアドレスを記載したQRコードを表わすコード画像を生成するものであることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項記載の画像合成装置。
【請求項10】
前記画像合成部は、前記撮影画像の4辺のうちの主要被写体から最も離れた辺に寄った、該辺に沿って延びる領域に前記コード画像を配置するものであることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項記載の画像合成装置。
【請求項11】
被写体を撮像素子上に結像して撮影画像を取得するカメラにおいて、
請求項1から10のうちのいずれか1項記載の画像合成装置を備えたことを特徴とするカメラ。
【請求項12】
請求項1から10のうちのいずれか1項記載の画像合成装置と、
前記画像合成装置で得られた合成画像をプリント出力するプリント出力部とを備えたことを特徴とするプリンタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−182829(P2009−182829A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21241(P2008−21241)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】