説明

画像合成装置及び画像合成方法

【課題】各撮影画像間の画素値の差が大きい場合であっても、違和感のない合成画像を生成できる画像合成装置及び画像合成方法の提供。
【解決手段】各撮影画像に対して、当該撮影画像の画像領域の両端に位置する、他のカメラにより撮影された撮影画像の画像領域との重複領域における平均画素値の補正率として、当該重複領域における補正後の平均画素値と、他のカメラにより撮影された撮影画像の画像領域に位置する、当該重複領域と重複する重複領域の補正後の平均画素値とが一致するような補正率を算出するとともに、各撮影画像の隣接方向において、各重複領域以外の領域における画素値の補正率を、これら各重複領域における補正率を結ぶ所定の連続関数により算出し、当該算出された補正率に基づき当該撮影画像の画像領域の全域を補正する画素値補正部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像合成装置及び画像合成方法に関し、特に、各撮影画像間の画素値の差が大きい場合であっても、重複領域並びに非重複領域での繋目の発生を防止できる画像合成装置及び画像合成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の周囲に取り付けられた複数の車載カメラにより撮影された車両周辺の画像を合成して表示することで、運転者の車両周辺の状況把握および安全確認を容易にする画像合成装置がある。
【0003】
例えば、図19に示すように、車両の前後左右に車載カメラC1〜C4をそれぞれ1台ずつ設置し、これら車載カメラC1〜C4により各方向の画像を撮影する。そして、これら画像を視点変換等の画像処理を行い、合成することによって、図19に示すように、自車両を上から眺めているような1つの画像として表示することができる。このような画像を生成し表示することにより、自車両の周辺状況を1つの画像で把握することができ、また、自車両と障害物等との位置関係の認識も容易に行うことができる。
【0004】
ところが、このような装置において単に画像を合成した場合、光源に対する向きの違い等により、個々のカメラC1〜C4のアイリス等が異なる状態に自動調整される場合がある。特に、各カメラC1〜C4の各撮影領域E1〜E4において、隣接するカメラCの撮影領域Eと重複する領域R1〜R4(以下、「重複領域R1〜R4」とする。)の輝度値が、当該隣接するカメラCの重複領域Rの輝度値と異なる場合、生成された合成画像に各画像の繋目b1〜b4が目立って表示されるという問題がある。
【0005】
このような問題に対し、近年、撮影した画像の画素値を画像処理によって補正することで、合成後に違和感のない画像を生成するための技術が開発されている。
【0006】
例えば、特許文献1に記載の発明は、例えば、カメラC1における重複領域R1、R2の輝度値と、カメラC4における重複領域R1及びカメラC2における重複領域R2の輝度値とが互いに等しくなる補正率をそれぞれ算出する。そして、算出したそれぞれの重複領域R1、R2の補正率の平均値をカメラC1の撮影領域E1全体の補正率としている。
【0007】
すなわち、特許文献1に記載の発明は、例えば、カメラC1の撮影画像を補正する際、重複領域R1内にある画素h1における補正値がG(h1)、重複領域R2内にある画素h2における補正率がG(h2)であるとする。すると、図20に示すように、各重複領域G(h1)、G(h2)の平均値であるG(h)を撮影画像全域の補正率として、当該撮影画像を補正する。
【0008】
また、特許文献2に記載の発明では、特許文献1に記載の発明と同じ方法により重複領域Rの補正率を求める一方、撮影領域Eの中心位置の補正率を1とし、その間の領域の補正率を重複領域間の距離の比に基づいて補完する。
【0009】
具体的には、例えば、画素SがカメラC4の撮影領域E4内における重複領域R以外の領域にあり、画素SからカメラCの光軸上に引いた線の長さをLxとし、画素Sから重複領域R1までの長さをLyとする。そして、重複領域R1における補正率をGとすると、画素Sにおける補正率G(S)は、G(S)=1+(G-1)×Lx/(Lx+Ly)により求められる。
【0010】
すなわち、特許文献2に記載の発明は、カメラC4の撮影画像を補正する際、例えば、重複領域R1の補正率をG(S1)、重複領域R4の補正率をG(S2)とする。すると、図21に示すように、撮影領域E4の左端部から画素S1までの補正率はG(S1)で一定となり、撮影領域E4の右端部から画素S2までの補正率はG(S2)で一定となる。また、カメラC4の光軸上にある画素S0の補正率は1であり、画素S1と画素S0との間及び画素S2と画素S0との間の補正率は、それぞれ上記の式に基づき算出される。
【0011】
【特許文献1】特開2008−77595号公報
【特許文献2】特開2008−79248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、各撮影画像間における輝度値の差が大きい場合、上記特許文献1及び特許文献2に記載の発明により各撮影画像を合成したとしても、各画像の繋目b1〜b4が目立ったり、実際には存在しないスジが写り込んだりするなど、違和感のある合成画像が生成されるおそれがある。
【0013】
すなわち、特許文献1に記載の発明は、本来算出した各重複領域Rの補正率ではなく、それを基にした平均値で撮影画像全体を一律に補正する。そのため、特に各重複領域Rの補正率の差が大きい場合、各重複領域Rの補正量が実際に算出した補正量から大きくずれて、繋目b1〜b4が目立つおそれがある。
【0014】
また、特許文献2に記載の発明は、各重複領域Rの補正率の値が1よりも大きく離れ、かつ、これら各重複領域Rの補正率の差が小さいとき、カメラCの光軸付近にスジ状の画が現れる場合がある。これは、光軸部分の補正率を常に1としているためである。
【0015】
開示の技術は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、各撮影画像間の画素値の差が大きい場合であっても、違和感のない合成画像を生成することのできる画像合成装置及び画像合成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本件に開示する画像合成装置は、複数のカメラにより撮影された複数の撮影画像を取得する画像取得部と、各前記撮影画像に対して、当該撮影画像の画像領域の両端に位置する、他の前記カメラにより撮影された撮影画像の画像領域との重複領域における平均画素値の補正率として、当該重複領域における補正後の平均画素値と、前記他のカメラにより撮影された撮影画像の画像領域に位置する、当該重複領域と重複する重複領域の補正後の平均画素値とが一致するような補正率を算出するとともに、各前記撮影画像の隣接方向において、各前記重複領域以外の領域における画素値の補正率を、これら各前記重複領域における補正率を結ぶ所定の連続関数により算出し、当該算出された補正率に基づき当該撮影画像の画像領域の全域を補正する画素値補正部と、前記画素値補正部により補正された各前記撮影画像を合成して、1つの合成画像を生成する合成画像生成部と、前記合成画像生成部により生成した前記合成画像を外部装置に出力する画像出力部とを備える。
【発明の効果】
【0017】
本件に開示する画像合成装置及び画像合成方法によれば、各撮影画像間の画素値の差が大きい場合であっても、重複領域並びに非重複領域での繋目の発生を防止できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、本件に開示する画像合成装置及び画像合成方法にかかる実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
まず、本実施例にかかる画像合成装置を含む画像表示システムの概要について、図面を参照して説明する。図1は実施例1にかかる画像表示システムの構成を示す図、図2は実施例1にかかる画像表示システムにおける各カメラの取付け位置及び撮影範囲を説明するための図である。なお、本実施例においては、画像合成装置として、車両の周囲に取り付けられた複数のカメラにより撮影された車両周辺の画像を合成して表示する画像合成装置を適用した場合について説明する。ただし、本件に開示する画像合成装置は、これに限ったものではなく、複数のカメラにより撮影された撮影画像を合成して1つの合成画像を生成する他の用途にも適用できる。
【0020】
図1に示すように、本実施例にかかる画像表示システムSは、複数のカメラ1a〜1dと、画像合成装置2と、表示装置3とを有する。本実施例において、複数のカメラ1a〜1dは、車両の前後左右にそれぞれ設けられている。すなわち、図2に示すように、カメラ1aは車両Vの前方に取り付けられ、カメラ1bは車両Vの平面視右側に取り付けられ、カメラ1cは車両Vの後方に取り付けられ、カメラ1dは車両Vの平面視左側に取り付けられている。また、各カメラ1a〜1dは、それぞれ車両Vの前方、平面視右側方、後方、平面視左側方を撮影する。なお、本実施例では、移動体の一例として、車両を挙げたが、これに限るものではない。
【0021】
画像合成装置2は、各カメラ1a〜1dにより撮影された撮影画像を合成し、1つの合成画像を生成する。この画像合成装置2は、複数の画像入力部20a〜20dと、画素値補正部21と、合成画像生成部22と、画像出力部23とを有する。画像入力部20a〜20dは、画像取得部に相当し、それぞれカメラ1a〜1dにより撮影された撮影画像を取得する。ここで、本実施例において、各カメラ1a〜1dにより撮影された撮影画像は、動画像である。これら撮影画像は、それぞれ画像入力部20a〜20dに対して一定のフレームレートで1フレームごとに入力される。
【0022】
画素値補正部21は、画像入力部20が取得した各撮影画像の画素値の補正を行う。合成画像生成部22は、画素値補正部21により補正された各撮影画像に対して視点変換処理等の画像処理を施した後、各撮影画像を合成する。これにより、車両Vの周辺画像として、図2に示すように自車両Vを真上から見たような1つの合成画像が生成される。
【0023】
ここで、視点変換処理とは、実カメラの撮影画像を仮想カメラの撮影画像に変換する画像処理技術である。具体的には、実カメラの位置、向き、画角、レンズのひずみ等をパラメータとして、仮想カメラの一の画素に入射する光線ベクトルが、任意の基準面を介して、実カメラのどの画素に入射する光線ベクトルと対応するかを算出する。これを仮想カメラの全ての画素について算出することにより、実カメラの撮影画像が仮想カメラの撮影画像に変換される。
【0024】
画像出力部23は、合成画像生成部22により生成された合成画像を表示装置3へ出力する。なお、この画像出力部23は、画像入力部20に入力された各撮影画像をそのまま表示装置3へ出力することもできる。表示装置3は、車載用のディスプレイ装置であり、画像合成装置2から出力された車両Vの周辺画像を表示する。
【0025】
続いて、画素値補正部21のより具体的な構成及び画素値補正処理について、図面を参照して説明する。図3は実施例1にかかる画素値補正部21の構成及び画素値補正処理を説明するための図である。
【0026】
図3に示すように、本実施例にかかる画素値補正部21は、注目領域抽出部210と、特徴量算出部211と、目標値算出部212と、補正率算出部213と、補正処理部214とを有する。
【0027】
注目領域抽出部210は、各撮影画像の画像領域における重複領域から、注目領域を抽出する。重複領域とは、各カメラ1により撮影された撮影画像の画像領域のうち、他のカメラ1により撮影された撮影画像の画像領域と重複する領域である。例えば、図2に示すように、カメラ1aにより撮影された撮影画像の画像領域10aと、カメラ1dにより撮影された撮影画像の画像領域10dとが重複する領域が、それぞれの画像領域10a,10dの重複領域100aとなる。また、画像領域10aには、画像領域10dとの重複領域100aの他に、カメラ1bにより撮影された撮影画像の画像領域10bとの重複領域100bも存在する。
【0028】
また、同様に、カメラ1bにより撮影された撮影画像の画像領域10bには、画像領域10aとの重複領域100bと、カメラ1cにより撮影された撮影画像の画像領域10cとの重複領域100cとが存在する。また、画像領域10cには、画像領域10bとの重複領域100cと、画像領域10dとの重複領域100dとが存在する。また、画像領域10dには、画像領域10cとの重複領域100dと、画像領域10aとの重複領域100aとが存在する。このように、本実施例において、各画像領域10a〜10dには、隣接するカメラ1により撮影された撮影画像の画像領域10a〜10dとの重複領域100a〜100dが、各画像領域10a〜10dの左右両端に存在する。
【0029】
なお、重複領域100は、カメラ1a〜1dの車両Vへの取付け位置や各カメラ1a〜1dの撮影範囲等に応じて予め決められた領域である。
【0030】
注目領域は、この重複領域100中の所定の矩形領域である。ここで、各撮影画像の画像領域10から抽出される注目領域の対応関係について説明する。なお、以下において、カメラ1a〜1dにより撮影された撮影画像をそれぞれ補正前画像A〜Dとする。図4は、各カメラ1a〜1dにより撮影された補正前画像A〜Dにおける注目領域の対応関係を説明するための図である。
【0031】
図4に示すように、注目領域抽出部210は、補正前画像Aの画像領域10aのうち、重複領域100aから注目領域11aを抽出するとともに、重複領域100bから注目領域12aを抽出する。また、注目領域抽出部210は、他の補正前画像B〜Dに対しても同様の処理を行う。これにより、図3に示すように、補正前画像Bの画像領域10bからは注目領域11b、12bが抽出され、補正前画像Cの画像領域10cからは注目領域11c、12cが抽出され、補正前画像Dの画像領域10dからは注目領域11d、12dが抽出される。
【0032】
なお、カメラ1a〜1dのレンズには超広角レンズが用いられているため、各補正前画像A〜Dは、画像の中心から離れるほど被写体が歪んで描画される。そのため、各重複領域100は、実際は、図4に示すような矩形状ではなく、画像の中央に向かって歪んだ領域となっている。ただし、ここでは、理解を容易にするため、重複領域100を矩形状とする。
【0033】
ここで、各補正前画像A〜Dの各重複領域100から抽出された注目領域11a〜11d、12a〜12dのうち、同一の重複領域100内から抽出された2つの注目領域には、それぞれのカメラ1により同一の場所を撮影した画像が描画されている。例えば、画像領域10aにおける重複領域100aの注目領域11a内にカメラ1aにより撮影されたある被写体(例えば、自動車)が写っている場合は、画像領域10dにおける重複領域100aの注目領域12d内にも同じ被写体が写っている。すなわち、各補正前画像A〜Dにおいて、同一の重複領域100内から抽出される2つの注目領域は、後述する合成画像生成部22により補正後の撮影画像を合成する際に、互いに重複する領域となる。
【0034】
なお、注目領域11、12は、画像領域10の中央よりも下側の領域から抽出することが望ましい。すなわち、いずれの撮影画像においても、画像領域10の中央よりも下側の領域には、通常、道路が描画されていることが多いため、全ての注目領域内に同一被写体が存在する確率の高いこの領域に注目領域11、12を設定することで、補正処理を精度よく行うことができる。
【0035】
特徴量算出部211は、各補正前画像A〜Dについて、各重複領域100内の注目領域11、12の特徴量として平均画素値を算出する。本実施例において、画素値とは、輝度値を示す。すなわち、特徴量算出部211は、図3に示すように、各補正前画像A〜Dごとに、注目領域の平均画素値を2つずつ算出する。
【0036】
なお、特徴量算出部211は、注目領域11、12の平均画素値を算出するのではなく、重複領域100全域の平均画素値を算出することとしてもよい。これにより、当該重複領域100内の平均画素値をより正確に求めることができる。この場合、注目領域抽出部210は不要となる。ただし、上述したように、重複領域100は、実際は歪んだ形状を有するため、平均画素値の算出に時間がかかるおそれがある。そこで、本実施例のように、注目領域抽出部210により重複領域100から矩形状の注目領域11、12を抽出し、特徴量算出部211により、この注目領域11、12の平均画素値を算出することにより、重複領域100全域の平均画素値に近似する値を簡便に求めることができる。
【0037】
目標値算出部212は、各補正前画像A〜Dにおける注目領域11、12の特徴量(平均画素値)と、当該注目領域11、12と重複する他の補正前画像A〜Dにおける注目領域11、12の平均画素値とに基づき、互いに重複する2つの注目領域が属する重複領域100の補正後の平均画素値の目標値(以下、「目標画素値」とする。)を算出する。すなわち、目標値算出部212は、例えば、重複領域100aの目標画素値を算出する場合、画像領域10aの重複領域100aにある注目領域11aの平均画素値及び画像領域10dの重複領域100aにある注目領域12dの平均画素値に基づいて算出する。
【0038】
本実施例において、目標値算出部212は、互いに重複する2つの注目領域の平均画素値における、各注目領域の画素数を考慮した加重平均値を算出することにより目標画素値を算出する。すなわち、注目領域Xの平均画素値をa(X)とし、注目領域Xの画素数をp(X)とすると、例えば、重複領域100aにおける目標画素値は、(a(11a)*p(11a)+a(12d)*p(12d))/(p(11a)+p(12d))とすることができる。
【0039】
なお、互いに重複する2つの注目領域の画素数が等しいか、もしくはほぼ等しい場合は、目標値算出部212は、簡易的に、目標画素値を2つの注目領域の平均画素値の平均値として算出してもよい。また、例えば、重複領域100aの目標画素値を算出する場合、目標値算出部212は、車両Vの前方に設置されたカメラ1aの平均画素値に、目標画素値を近づけるようにするなど、特定のカメラ1の注目領域に対して重みづけをしてもよい。
【0040】
このように、目標値算出部212は、互いに重複する2つの注目領域の平均画素値の加重平均値(もしくは平均値)を、これら2つの注目領域が属する重複領域100の目標画素値とする。そして、後述するように、補正処理部214では、各補正前画像A〜Dの重複領域の画素値を目標画素値と一致させるように補正を行う。そのため、各補正前画像A〜Dにおいて、互いに重複する重複領域100同士の補正後の画素値を一致させることができ、画像合成後において、各撮影画像の繋目110a〜110d(図2参照。)を目立たなくすることができる。
【0041】
補正率算出部213は、各補正前画像A〜Dについて、画像領域10内に存在する2つの注目領域11、12の平均画素値及びこれら各注目領域11、12が属する重複領域100の目標画素値に基づき、当該補正前画像A〜Dの画像水平方向の補正率を算出する。以下に、補正率算出部213による補正率算出処理を具体的に説明する。図5は、実施例1にかかる補正率算出部213により決定される画像水平位置と補正率との関係の一例を示すグラフである。なお、以下では、1つの補正前画像に対する処理を説明する。
【0042】
先ず、補正率算出部213は、画像領域10内に存在する2つの注目領域11、12内の一の画素を代表点としてそれぞれ抽出する。例えば、補正率算出部213は、図4に示すように、補正前画像Aの画像領域10aにある2つの注目領域11a、12a内の代表点として、注目領域11a内の一の画素x1及び注目領域12a内の一の画素x2を抽出する。本実施例において、補正率算出部213は、注目領域の水平中心にある画素の任意の一点を代表点として抽出する。
【0043】
続いて、補正率算出部213は、抽出した各代表点における補正率を算出する。具体的には、補正率算出部213は、代表点xにおける補正率g(x)を、当該代表点xが属する注目領域Xにおける平均画素値をa(X)、当該注目領域Xが属する重複領域100の目標画素値をt(X)とすると、t(X)/a(X)により算出する。例えば、代表点x1における補正率は、g(x1)=t(11a)/a(11a)となり、代表点x2における補正率は、g(x2)=t(12a)/a(12a)となる。これにより、図5における、代表点x1の補正率g(x1)及び代表点x2の補正率g(x2)が求まる。
【0044】
続いて、補正率算出部213は、画像水平方向において、補正前画像の端部から当該端部に最も近い位置にある代表点までの間の補正率を、当該代表点の補正率で一定とする。例えば、図5に示すように、補正率算出部213は、補正前画像Aの左端部から代表点x1までの補正率を代表点x1の補正率g(x1)で一定とし、同様に、補正前画像Aの右端部から代表点x2までの補正率を代表点x2の補正率g(x1)で一定とする。すなわち、補正前画像Aの補正率は、画像水平位置0≦x≦x1においてはg(x)=g(x1)となり、x2≦x≦画像右端部においてはg(x)=g(x2)となる。
【0045】
このように、本実施例にかかる画像合成装置2は、上述した特許文献1に記載の発明とは異なり、重複領域100の目標画素値と実際の補正後の画素値とにずれが生じないため、各撮影画像間の繋目が不自然になることがない。
【0046】
そして、補正率算出部213は、2つの代表点間の補正率をこれら代表点の補正率同士を結ぶ所定の連続関数により算出する。すなわち、補正率算出部213は、図5におけるx1<x<x2の区間を、代表点x1における補正率g(x1)と代表点x2における補正率g(x2)とを結ぶ連続関数f(x)で補間する。より具体的には、補正率算出部213は、x1<x<x2の補正率を、f(x)=(g(x2)-g(x1))(x-x1)/(x2-x1)+g(x1)で求める。なお、この連続関数f(x)は、各代表点における補正率を通る関数であればよく、例えば、区間x1<x<x2においてg(x1)およびg(x2)の最小値、最大値の範囲を超えない連続曲線としてもよい。
【0047】
このように、本実施例にかかる画像合成装置2は、画像水平方向における代表点間の補正値を各代表点の補正率を通る連続関数により補間する。これにより、後述するように、補正処理部214により撮影画像を補正した際に、画像水平方向において、補正率が急激に変化することがなく、当該撮影画像をより違和感のない自然な補正後画像とすることができる。
【0048】
すなわち、本実施例にかかる画像合成装置2は、上述した特許文献2に記載の発明とは異なり、画像領域10の中央付近において筋状の画が現れることもなく、違和感のない合成画像を生成することができる。
【0049】
なお、本実施例において、各注目領域11、12から抽出される代表点は、注目領域の水平中心にある画素の任意の一点としたが、必ずしもこの位置である必要はない。例えば、画像領域10において、中心よりも左側に位置する注目領域の代表点は、当該注目領域の右端の一点とし、中心よりも右側に位置する注目領域の代表点は、当該注目領域の左端の一点としてもよい。また、注目領域が多角形や非対称形の場合は、左右の画素数が等しくなる水平位置にある画素、もしくは、画像水平方向中心側端にある画素を代表点として抽出してもよい。このように、代表点の位置を、注目領域のうち、より画像領域10の中心に近い位置とすることにより、重複する2つの重複領域100内の画素値をより均一にすることができる。
【0050】
補正処理部214は、各補正前画像A〜Dの各画素の画素値を補正率算出部213により算出された各画素に対応する補正率に基づき補正する。具体的には、補正処理部214は、補正率算出部213により算出された各画像水平位置における補正率と、当該位置における画像垂直方向に存在する各画素の画素値とを乗算することにより、撮影画像全域の画素値を補正する。
【0051】
このとき、補正後の注目領域11、12の平均画素値は、当該注目領域11、12が属する重複領域100の目標画素値と等しいか、もしくはそれに十分近い値となるため、合成後の画像の繋目110a〜110dの差異を十分に小さくすることができる。例えば、補正前画像Aにおいて、注目領域11aを重複領域100aの右端部を含む領域から抽出するとともに、注目領域12aを重複領域100bの左端部を含む領域から抽出したとする。さらに、代表点x1を注目領域11aの右端部から抽出するとともに、x2を注目領域11bの左端部から抽出したとする。すると、補正後画像Aの画像領域10aにおける重複領域100aの平均画素値は、補正後画像Dの画像領域10dにおける重複領域100aの平均画素値と等しくなる。
【0052】
次に、本実施例にかかる画像合成装置2の具体的動作について図面を用いて説明する。図6は、実施例1にかかる画像合成装置2による処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図6においては、画像合成装置2が実行する処理手順のうち、各カメラ1a〜1dによる撮影画像の合成に関連する処理手順のみを示している。
【0053】
図6に示すように、画像合成装置2の画素値補正部21は、画像入力部20a〜20dに入力されたカメラ1a〜1dによる撮影画像を取得し(ステップS11)、取得した撮影画像に対して画素値補正処理を行う(ステップS12)。この画素値補正処理については、後に詳述する。
【0054】
ステップS12の画素値補正処理を終えると、合成画像生成部22は、合成画像生成処理を行う(ステップS13)。この合成画像生成処理は、ステップS12において補正された各撮影画像に対して視点変換処理等を施した後、これら撮影画像を合成し、車両Vを上空から見下ろしたような合成画像を生成する。そして、合成画像生成部22は、生成した合成画像を画像出力部23を介して表示装置3へ出力する(ステップS14)。ステップS11〜14までの処理は、画像入力部20に1フレームの撮影画像が一定のフレームレートで入力されるごとに行われる。これにより、運転席から死角となる部分がなくなるばかりでなく、周囲と自車両との位置関係も容易に把握でき、車両Vのドライバーは、車庫入れ等を容易に行うことができる。
【0055】
続いて、ステップS12における画素値補正処理について、図7を用いて具体的に説明する。図7は、実施例1にかかる画素値補正処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0056】
図7に示すように、画素値補正処理を開始すると、画素値補正部21は、画像入力部20a〜20dから取得した補正前画像A〜Dの中から1つの補正前画像を選択する(ステップS21)。次に、注目領域抽出部210は、選択した補正前画像の画像領域10にある2つの重複領域100から注目領域11、12を抽出する(ステップS22)。次に、特徴量算出部211は、ステップS22において抽出した2つの注目領域11、12の特徴量として、これら注目領域11、12の平均画素値の算出を行う(ステップS23)。
【0057】
続いて、画素値補正部21は、全ての注目領域11、12(本実施例では、2つ。)について特徴量の算出を行ったか否かを判定する(ステップS24)。この処理において、全ての注目領域11、12について処理が完了していないとき(ステップS24否定)、画素値補正部21は、処理をステップS22へ移行する。一方、ステップS24において、全ての注目領域11、12について処理が完了したと判定すると(ステップS24肯定)、画素値補正部21は、処理をステップS25へ移行する。
【0058】
ステップS25において、画素値補正部21は、全ての補正前画像についてステップS22〜S24の処理を行ったか否かを判定する。この処理において、全ての補正前画像について処理を行っていないとき(ステップS25否定)、画素値補正部21は、処理をステップS21へ移行する。一方、全ての補正前画像についてステップS22〜S24の処理が完了したと判定すると(ステップS25肯定)、画素値補正部21は、処理をステップS26へ移行する。
【0059】
ステップS26において、画素値補正部21は、重複領域100a〜100dの中から1つの重複領域100を選択する。次に、目標値算出部212は、選択した重複領域100の補正後の平均画素値の目標値を算出する(ステップS27)。具体的には、ステップS26において重複領域100aが選択された場合、目標値算出部212は、補正前画像Aの重複領域100aから抽出された注目領域11aの平均画素値と、補正前画像Dの重複領域100aから抽出された注目領域12dの平均画素値との加重平均値を目標値として算出する。
【0060】
ステップS27の処理を終えたとき、画素値補正部21は、全ての重複領域100a〜100dについてステップS26、S27の処理を行ったか否かを判定する。この処理において、全ての重複領域100a〜100dについてステップS26、S27の処理を行っていないとき(ステップS28否定)、画素値補正部21は、処理をステップS26へ移行する。一方、全ての重複領域100a〜100dについて処理が完了したと判定すると(ステップS28肯定)、画素値補正部21は、処理をステップS29へ移行する。
【0061】
ステップS29において、画素値補正部21は、補正前画像A〜Dの中から1つの補正前画像を選択する。次に、補正率算出部213は、選択した補正前画像の補正率を算出する(ステップS30)。具体的には、補正率算出部213は、ステップS29において選択した補正前画像の画像領域10内に存在する2つの注目領域11、12の平均画素値及びこれら各注目領域11、12が属する重複領域100の目標画素値に基づき、画像水平方向の補正率を算出する。
【0062】
より具体的には、補正率算出部213は、先ず、各注目領域11、12内の代表点の補正率を算出する。そして、補正率算出部213は、画像水平方向において、画像端部から当該端部に最も近い位置にある代表点までの間の補正率を当該代表点の補正率で一定とし、さらに、代表点間の補正値を各代表点の補正率を通る連続関数により補間する。これにより、補正率算出部213は、補正前画像全域の補正率を決定する。
【0063】
ステップS30処理を終えたとき、補正処理部214は、ステップS29において選択した補正前画像の補正処理を行う。具体的には、補正処理部214は、ステップS30において算出された各画像水平位置における補正率と、当該位置における画像垂直方向に存在する各画素の画素値とを乗算することにより、撮影画像全域の画素値を補正する。
【0064】
ステップS31の処理を終えたとき、画素値補正部21は、全ての補正前画像A〜DについてステップS30、S31の処理を行ったか否かを判定する(ステップS32)。この処理において、全ての補正前画像A〜DについてステップS30、S31の処理を行っていないとき(ステップS32否定)、画素値補正部21は、処理をステップS29へ移行する。一方、全ての補正前画像A〜Dについて処理が完了したと判定すると(ステップS32肯定)、画素値補正部21は、画素値補正処理を終了する。
【0065】
なお、本実施例においては、輝度値の補正処理として説明してきたが、色度についても同様の処理を行うこともできる。これにより、重複領域100における色度の差異を小さくすることができる。色度の算出は、輝度値の算出と独立して行ってもよく、また、補正率算出部213により算出した輝度値の補正率を色度の補正率として適用してもよい。また、輝度値の補正率を色度の補正率に適用する際は、輝度値の補正率をそのまま適用してもよく、また、正規化もしくは重み付けをしたものを適用してもよい。
【0066】
また、補正処理を行っている間に次のフレームの撮影画像が入力された場合は、当該撮影画像に基づいて算出した補正率を最新のフレームの撮影画像に用いてもよい。
【0067】
上述してきたように、実施例1にかかる画像合成装置2によれば、各カメラ1間の輝度や色度が個々の自動調整状態や撮影状況により異なっていても、撮影画像間の繋目110a〜110dをスムーズにつなげることができるため、ドライバーにとって見やすい画像を提供できる。また、重複領域100以外の領域(非重複領域)についても、左右の重複領域の補正率をつなぐように段階的に変化させて補正するため、隣接する撮影画像間の輝度や色度の差が大きくても違和感のない合成画像を合成できる。
【0068】
ところで、補正率算出処理において算出した補正率が、全体的に1を大きく超えるような場合、補正後の撮影画像全体が過度に明るくなるのを抑制するため、重複領域100以外の領域の補正率を所定の閾値を用いて修正してもよい。以下、かかる場合について、図8を参照して説明する。図8は、閾値により補正率を修正した後の画像水平位置と補正率との関係の一例を示すグラフである。
【0069】
かかる場合、補正率算出部213は、画像領域10の水平方向において、代表点間の所定位置における補正値が予め決められた閾値を越える場合、当該所定位置における補正率を閾値の値に修正する。そして、補正率算出部213は、当該所定位置と各代表点との間の補正率を、当該所定位置における補正率と各代表点における補正率とを結ぶ所定の連続関数により算出する。
【0070】
具体的には、図8に示すように、補正率算出部213は、補正前画像Aの補正率を算出した後において、2つの代表点x1、x2における補正率が共に2以上である場合、画像領域10aの中心x3における補正率g(x3)と、予め決められた補正率の閾値Tとを比較する。そして、g(x3)>Tの場合、補正率算出部213は、x3における補正率をg(x3)=Tに修正する。さらに、補正率算出部213は、区間x1<x<x3及び区間x3<x<x2をそれぞれg(x1)とg(x3)とを通る連続関数及びg(x2)とg(x3)とを通る連続関数で補間する。なお、閾値Tは、画像合成装置2が取り得る補正率の最大値に基づき予め決められる。
【0071】
また、補正率算出部213は、補正率算出処理において算出した補正率が、全体的に1を大きく下回るような場合についても、補正後の撮影画像全体が過度に暗くなるのを抑制するため、上記と同様の修正処理を行うこともできる。
【0072】
また、本実施例にかかる画像合成装置2は、4つのカメラ1a〜1dによる撮影画像を用いて車両Vを上空から見上げたような合成画像を生成する他、3つのカメラ1を用いた合成画像や、2つのカメラ1を用いた合成画像を生成することもできる。かかる場合、各撮影画像の画像領域10には、他の画像領域10との重複領域100が1つしか存在しない場合がある。以下、かかる場合の補正率の算出方法について、図9を用いて説明する。図9は、重複領域100が1つしか存在しない場合における補正率の算出方法を説明するための図である。
【0073】
かかる場合、補正率算出部213は、区間0<x<x1において、線lのように画像領域10d全域の補正率をx1で一律とする。また、補正率算出部213は、g(0)=cとしてあらかじめ定数を定めておき、線mのように0<x<x1間の補正率を線形に補間してもよい。特にc=1とすることにより、x=0においては補正前の画素値を変更しない補正処理を行うことができる。また、線nのように、g(x1)に基づきg(0)の値を算出した後、0<x<x1間を線形補間する関数で補正率を決定してもよい。例えば、線nは、g(0)=(1+g(x1))/2としている。
【実施例2】
【0074】
ところで、各撮影画像においては、カメラ1に近い領域(画像領域10の下部)と遠い領域(画像領域10の上部)とで画素値が大きく異なる場合がある。例えば、画像領域10の下部に路面が写っており、上部に空が写っている場合、これらの画素値は大きく異なる可能性が高い。このような場合、実施例1のように、画像水平方向のみを考慮した補正率により画像領域10全域の画素値を補正すると、空が写っている領域が過度に明るく補正されたり、路面が写っている領域が過度に暗く補正されたりするおそれがある。そこで、実施例2では、さらに画像垂直方向も考慮に入れて補正率を算出する。
【0075】
以下、実施例2にかかる画像表示システムについて、図面を参照して説明する。図10は実施例2にかかる画素値補正部の構成及び画素値補正処理を説明するための図、図11は実施例2にかかる注目領域の位置を説明するための図である。なお、既に説明した構成と同じものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。また、図10は、補正前画像Aの処理についてのみ示したものである。
【0076】
図10に示すように、本実施例にかかる画像合成装置2の注目領域抽出部215は、各画像領域10からそれぞれ4つの注目領域(例えば注目領域121a、122a、131a、132a)を抽出する。具体的には、注目領域抽出部215は、1つの画像領域10に存在する2つの重複領域100のそれぞれについて、画像領域10の上部領域および下部領域に対応する領域から注目領域を1つずつ抽出する。
【0077】
すなわち、本実施例では、図11に示すように、画像領域10aにおいて、カメラ1aから遠い領域及び近い領域にそれぞれ上部領域120及び下部領域130が規定されている。また、他の画像領域10b〜10dにも同様に上部領域及び下部領域が規定されている(図示せず。)。
【0078】
そして、注目領域抽出部215は、例えば、画像領域10aの重複領域100aのうち、当該画像領域10aの上部領域120に属する領域から注目領域121aを抽出し、下部領域130に属する領域から注目領域131aを抽出する。同様に、注目領域抽出部215は、画像領域10aの重複領域100bのうち、当該画像領域10aの上部領域120に属する領域から注目領域122aを抽出し、下部領域130に属する領域から注目領域132aを抽出する。
【0079】
図12に、補正前画像Aにおける各領域の位置関係を示す。図12に示すように、上部領域120は、画像領域10aの上部に位置し、下部領域130は、画像領域10aの下部に位置する。また、注目領域121aは、重複領域100aと上部領域120とが重複する領域内にあり、注目領域122aは、重複領域100bと上部領域120とが重複する領域内にある。同様に、注目領域131aは、重複領域100aと下部領域130とが重複する領域内にあり、注目領域132aは、重複領域100bと下部領域130とが重複する領域内にある。なお、本実施例において、上部領域120は、画像領域10の垂直方向中心よりも上部に位置し、下部領域130は、画像領域10の垂直方向中心よりも下部に位置することとする。
【0080】
ここで、注目領域121aは、画像領域10dの重複領域100aから抽出された注目領域122d(図示せず)と重複し、注目領域122aは、画像領域10bの重複領域100bから抽出された注目領域121b(図示せず)と重複するものとする。また、注目領域131aは、画像領域10dの重複領域100aから抽出された注目領域132d(図示せず)と重複し、注目領域132aは、画像領域10bの重複領域100bから抽出された注目領域131b(図示せず)と重複するものとする。
【0081】
特徴量算出部211は、実施例1と同様に、各注目領域の平均画素値を特徴量として算出する。また、目標値算出部212も実施例1と同様に、各注目領域の平均画素値と、当該注目領域と重複する他の注目領域の平均画素値とに基づき、これら注目領域における補正後の平均画素値の目標値である目標画素値を算出する。
【0082】
補正率算出部216は、各補正前画像A〜Dについて、画像領域10内に存在する4つの注目領域121、122、131、132の平均画素値及び目標画素値に基づき、当該補正前画像A〜Dの補正率を算出する。以下に、補正率算出部216による補正率算出処理を具体的に説明する。図13は実施例2にかかる多角形内部の補正率の算出方法を説明するための図、図14は実施例2にかかる多角形外部の補正率の算出方法を説明するための図である。なお、以下では、一例として、補正前画像Aに対する処理について説明する。
【0083】
先ず、図13に示すように、補正率算出部216は、各注目領域121a、122a、131a、132aの代表点x1、x2、x4、x3をそれぞれ抽出する。本実施例において、代表点x1、x2、x4、x3は、それぞれ各注目領域121a、122a、131a、132aの中心とする。
【0084】
続いて、補正率算出部216は、各代表点x1〜x4の補正率を算出する。ここで、画像領域10aの例えば左上部を原点とした座標(x,y)を取ると、代表点P(x,y)における補正率zは、当該代表点Pが属する注目領域Xにおける平均画素値をa(X)、目標画素値t(X)として、z=t(X)/a(X)で算出される。以下において、各画素の座標(x,y)及び補正率zをまとめて(x,y,z)と表記する。そして、補正率算出部216は、各代表点x1〜x4の座標及び補正率に基づき、他の座標にある画素の補正率を算出する。ここで、本実施例における補正率の算出方法は、各代表点x1〜x4によって囲まれた凸型多角形の内部及び境界と、外部に大きく分けることができる。
【0085】
先ず、凸型多角形内部の算出方法について説明する。図13に示すように、本実施例における凸型多角形は、4つの代表点x1〜x4で囲まれる四角形となる。最初に、補正率算出部216は、代表点x1と代表点x3とを結ぶ対角線D1の勾配の絶対値と、代表点x2と代表点x4とを結ぶ対角線D2の勾配の絶対値とを比較する。そして、補正率算出部216は、これら対角線D1、D2のうち、より勾配の絶対値の小さい対角線を用いて、代表点x1〜x4で囲まれる四角形を2つの三角形領域に分割する。
【0086】
ここで、代表点P1(x1,y1,z1)及び代表点P2(x2,y2,z2)を通る対角線の勾配の絶対値Δは、次の式(1)により算出される。
【0087】
【数1】

【0088】
そして、例えば、対角線D1の勾配の絶対値をΔ1、対角線D2の勾配の絶対値をΔ2とすると、補正率算出部216は、Δ1≦Δ2の場合は対角線D1により四角形を分割し、Δ1>Δ2の場合は対角線D2により四角形を分割する。すなわち、Δ1≦Δ2の場合、四角形は、代表点x1、x2、x3により囲まれる3角形領域と、代表点x1、x3、x4により囲まれる3角形領域とに分割される。また、Δ1>Δ2の場合、四角形は、代表点x1、x2、x4により囲まれる3角形領域と、代表点x2、x3、x4により囲まれる3角形領域とに分割される。
【0089】
続いて、補正率算出部216は、四角形内部の画素の補正率zを、当該画素が含まれる三角形領域を形成する3つの代表点の補正率に基づいて算出する。ここで、3つの代表点P1(x1,y1,z1)、P2(x2,y2,z2)、P3(x3,y3,z3)により形成される3角形領域内部に存在する画素の補正率zは、次の式(2)〜(4)により算出される。
【0090】
【数2】

【0091】
すなわち、例えば、図13に示す画素P(x,y)における補正率zは、四角形が対角線D1により分割された場合は代表点x1、x2、x3の補正率より算出し、四角形が対角線D2により分割された場合は代表点x1、x2、x4の補正率より算出する。
【0092】
続いて、凸型多角形外部の算出方法について説明する。以下において、画像領域10aのうち、代表点x1、x2、x3、x4により囲まれる四角形の外部領域を単に「外部領域」とする。先ず、補正率算出部216は、2つの対角線D1、D2の延長線により外部領域を4つの領域に分割する。これにより、外部領域に存在する画素は、2本の対角線の延長、2つの代表点及び画像領域10aの端部により囲まれた領域に属することとなる。例えば、図14に示す画素Pは、対角線D1の延長線L3、対角線D2の延長線L4、代表点x3と代表点x4とを結ぶ直線及び画像領域10aの下端部により囲まれる。そして、この画素Pは、次の式(5)により算出される。
【0093】
【数3】

【0094】
ここで、z1、z2は2つの代表点x4、x3の補正率、d1、d2は2つの代表点x4、x3を結んだ直線と平行で、かつPを通る直線LPと対角線延長線L4、L3との交点P1’、P2’からPまでの距離である。なお、対角線延長線L3、L4上の画素の補正率は、その対角線延長線L3、L4を含むいずれかの分割外部領域に含めておけばよい。例えば、対角線延長線L4上の画素の補正率は、当該画素が、画像領域10aの左端部を含む分割外部領域または画像領域10aの下端部を含む分割外部領域のいずれかに属するものとして算出すればよい。
【0095】
このように、本実施例にかかる画像合成装置2の補正率算出部216は、画像領域10aを各代表点x1〜x4により囲まれる四角形の内部領域と外部領域とに分割し、さらに、内部領域を2つの領域、外部領域を4つの領域に分割する。そして、補正率算出部216は、画像領域10a内の画素の補正率を、各画素の属する領域に応じた算出方法でそれぞれ算出する。
【0096】
補正処理部214は、実施例1と同様に、各補正前画像A〜Dの各画素の画素値を補正率算出部216より算出された各画素に対応する補正率に基づき補正する。
【0097】
なお、本実施例においても、実施例1と同じように、色度について同様の処理を行うことができる。これにより、より違和感のない合成画像を生成することができる。色度の算出は、輝度値の算出と独立して行ってもよく、また、補正率算出部216により算出した輝度値の補正率を色度の補正率として適用してもよい。また、輝度値の補正率を色度の補正率に適用する際は、輝度値の補正率をそのまま適用してもよく、また、正規化もしくは重み付けをしたものを適用してもよい。
【0098】
また、実施例1と同様、補正処理を行っている間に次のフレームの撮影画像が入力された場合は、当該撮影画像に基づいて算出した補正率を最新のフレームの撮影画像に用いてもよい。また、計算量削減のため、画像領域10a内の全ての画素に対して補正率の算出を行うのではなく、画像領域10aを細かいブロックに分割し、各ブロックごとに代表点を定め、当該代表点の補正率をブロック全体の補正率としてもよい。
【0099】
上述してきたように、実施例2にかかる画像合成装置2によれば、画像水平方向だけでなく画像垂直方向も考慮した補正率の算出を行うことにより、画像領域10aの上部領域と下部領域とで画素値が大きくことなる場合であっても、上部領域が過度に明るく補正されたり、下部領域が過度に暗く補正されたりするおそれがなく、違和感のない合成画像を生成することができる。
【0100】
なお、画像領域10a上の各画素の補正率を算出する際は、算出方法決定テーブルを用いることにより演算処理を簡略化することができる。かかる場合、図15に示すように、各代表点x1〜x4及び対角線D1、D2により、画像領域10aを8つの領域に分割し、それぞれの領域に領域番号として分割領域0〜分割領域7を割り振る。そして、画像合成装置2は、算出方法決定テーブルとして、各分割領域の範囲、当該分割領域内の画素の補正率算出に用いる式及び当該補正率の算出に必要な変数値を領域番号と関連付けて記憶する。
【0101】
ここで、補正率の算出に用いる変数値とは、四角形の外部領域(分割領域4〜7)においては、2つの代表点の補正率z1、z2である。また、内部領域(分割領域0〜3)においては、3つの代表点の座標及び補正率、さらに、これらを用いて式(3)および式(4)により算出されるaおよびbである。なお、分割領域0〜3内の画素の補正率の算出方法については、いずれの対角線D1、D2で分割するかにより補正率の算出に用いる代表点が異なるため、算出方法決定テーブルには、各分割領域ごとに2パターンの変数値が記憶される。画像合成装置2は、当該算出方法決定テーブルを記憶するための所定の記憶部(図示せず。)を有する。なお、外部領域においては、(x,y)からd1およびd2の値も得られる。
【0102】
例えば、図15に示す画素P(x,y,z)の補正率を算出する際、補正率算出部216は、算出方法決定テーブルを参照し、画素Pが領域番号0の分割領域に属すると判定する。さらに、補正率算出部216は、算出方法決定テーブルを参照して、この領域番号0に対応する算出式及び変数値を決定する。この際、画素Pのように四角形の内部領域に属する画素である場合は、補正率算出部216は、四角形をどの対角線D1、D2で分割したかをフラグ情報として持つことにより、2パターン記憶された変数値の中からフラグ情報に応じた変数値を選択する。
【0103】
また、本実施例では、画像領域10aから注目領域を4つ抽出した場合の補正率の算出方法について説明したが、注目領域の抽出数が4つ以外の場合でも、各注目領域の代表点における補正率に基づいて画像領域10a全域の補正率を算出することができる。以下に、かかる場合における補正率の算出方法について、図面を参照して説明する。図16はカメラ1a〜1cを用いた合成画像を生成する場合の補正前画像Aにおける補正率の算出方法を説明するための図、図17は注目領域を5つ以上設けた場合における多角形内部の分割の仕方を説明するための図、図18は注目領域を5つ以上設けた場合における多角形外部の分割の仕方を説明するための図である。
【0104】
例えば、カメラ1a〜1cを用いた合成画像を生成する場合、カメラ1aの補正前画像Aの画像領域10aは、カメラ1bの補正前画像Bの画像領域10bのみと重複するため、画像領域10a上には、図16に示すように、2つの代表点x2、x3のみが存在する。かかる場合、補正率算出部216は、先ず、2つの代表点x2、x3を結ぶ線L5に垂直な延長線L6、L7を各代表点x2、x3から伸ばし、画像領域10aを3つに分割する。なお、代表点が3つ以上あるが3つの代表点が直線上に並んでいる場合は、代表点、延長線が3つ以上になるので、画像領域10aは3つより多く分割されることになる。
【0105】
そして、補正率算出部216は、延長線L6と延長線L7とにより囲まれた領域にある画素Pの補正率については、2つの代表点x2、x3の補正率及び画素Pから延長線L6、L7までの距離d1、d2を用い、上記式(5)により算出する。また、延長線L6よりも上部の領域及び延長線L7よりも下部の領域の補正率については、それぞれ代表点x2の補正率及び代表点x3の補正率で一定とする。
【0106】
なお、代表点が1つしか存在しない場合は、画像領域10a全域の補正率を当該代表点における補正率で一定とすればよい。また、代表点が3つの場合は、当該3つの代表点により囲まれる三角形領域内の画素の補正率を、当該3つの代表点の補正率を用いて、上記式(2)〜(4)により算出する。また、三角形領域外部の画素の補正率を算出する場合、補正率算出部216は、三角形領域の重心から各頂点へ向けた延長線により、三角形領域外部を3つに分割する。そして、補正率算出部216は、各領域に含まれる2つの代表点の補正率等を用い、上記式(5)により補正率を算出する。
【0107】
また、図17に示すように、注目領域が5つ以上ある場合、または、多角形内部にも代表点を持つ場合、代表点a1〜a6によって囲まれる凸型多角形の内部は、Delaunayの三角形分割などを用いて複数の三角形領域に分割することができる。凸型多角形内部の画素は、当該画素が属する三角形領域を形成する3つの代表点の補正率に基づき、上記式(2)を用いて算出することができる。この場合も算出方法決定テーブルを用いて補正率の算出を簡略化することができる。
【0108】
また、外部領域については、図18に示すように、凸型多角形を形成する代表点a1〜a6を含む三角形領域を形成する各辺のうち、凸型多角形の外周となる辺以外の辺を、凸型多角形を形成する代表点a1〜a6側に延長させた延長線によって分割する。これにより、外部領域は、11の分割外部領域に分割される。また、これら11の分割外部領域は、1つの代表点のみを含む第一領域A1〜A5と、2つの代表点を含む第二領域B1〜B6とに分類される。そして、第一領域A1〜A5の補正率については、各領域に含まれる代表点の補正率で一定とし、第二領域B1〜B6の補正率については、各領域に含まれる2つの代表点の補正率に基づき、上記式(5)を用いて算出する。
【0109】
以上、本発明の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0110】
例えば、上記各実施例において、各カメラ1a〜1dにより撮影される画像は、動画像であるとしたが、これに限らず、静止画像であってもよい。
【0111】
以上の各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0112】
(付記1)複数のカメラにより撮影された複数の撮影画像を取得する画像取得部と、
各前記撮影画像に対して、当該撮影画像の画像領域の両端に位置する、他の前記カメラにより撮影された撮影画像の画像領域との重複領域における平均画素値の補正率として、当該重複領域における補正後の平均画素値と、前記他のカメラにより撮影された撮影画像の画像領域に位置する、当該重複領域と重複する重複領域の補正後の平均画素値とが一致するような補正率を算出するとともに、当該撮影画像の隣接方向において、各前記重複領域以外の領域における画素値の補正率を、これら各前記重複領域における補正率を結ぶ所定の連続関数により算出し、当該算出された補正率に基づき当該撮影画像の画像領域の全域を補正する画素値補正部と、
前記補正処理部により補正された各前記撮影画像を合成して、1つの合成画像を生成する合成画像生成部と、
前記合成画像生成部により生成した前記合成画像を外部装置に出力する画像出力部と
を備えることを特徴とする画像合成装置。
【0113】
(付記2)前記画素値補正部は、
各前記撮影画像に対して、各前記重複領域の平均画素値を算出する特徴量算出部と、
各前記重複領域に対して、一の前記撮影画像における当該重複領域の平均画素値と、他の前記撮影画像における当該重複領域の平均画素値とに基づき、補正後の平均画素値の目標値を算出する目標値算出部と、
各前記撮影画像に対して、当該撮影画像の画像領域にある前記重複領域内の一の画素を代表点とし、この代表点における画素値の補正率を当該重複領域の平均画素値及び目標値に基づき算出するとともに、当該撮影画像の水平方向において、前記代表点から前記撮影画像の左右両端部のうち当該代表点に近い側の端部までの補正率を当該代表点の補正率と同一とし、前記代表点間の補正率をこれら代表点の補正率同士を結ぶ所定の連続関数により算出する補正率算出部と、
各前記撮影画像の各画素の画素値を前記補正率算出部により算出された各前記画素に対応する補正率に基づき補正する補正処理部と
を有することを特徴とする付記1に記載の画像合成装置。
【0114】
(付記3)前記特徴量算出部は、前記重複領域から一の注目領域を抽出するとともに、当該抽出した注目領域の平均画素値を算出し、
前記目標値算出部は、前記撮影画像における注目領域の平均画素値と、当該注目領域と重複する他の前記撮影画像における注目領域の平均画素値とに基づき、当該注目領域における補正後の平均画素値の目標値を算出し、
前記補正率算出部は、前記注目領域内の一の画素を代表点とし、当該代表点の補正率を当該注目領域の平均画素値及び目標値に基づき算出する
ことを特徴とする付記2に記載の画像合成装置。
【0115】
(付記4)前記補正率算出部は、前記画像領域の水平方向において、前記代表点間の所定位置における補正値が閾値を越える場合、当該所定位置における補正率を前記閾値の値に決定し、当該所定位置と前記代表点との間の補正率を、当該所定位置における補正率と前記代表点における補正率とを結ぶ所定の連続関数により算出することを特徴とする付記2又は付記3に記載の画像合成装置。
【0116】
(付記5)複数のカメラにより撮影された複数の撮影画像を取得する画像取得部と、
各前記撮影画像に対して、当該撮影画像の画像領域の両端にそれぞれ位置する、他の前記カメラにより撮影された撮影画像の画像領域との重複領域における上部領域及び下部領域から、1又は複数の注目領域をそれぞれ抽出し、当該抽出した各注目領域の平均画素値を算出する特徴量算出部と、
各注目領域に対して、一の前記撮影画像における注目領域の平均画素値と、当該注目領域と重複する他の前記撮影画像における注目領域の平均画素値とに基づき、補正後の平均画素値の目標値を算出する目標値算出部と、
各撮影画像に対して、前記注目領域内の一の画素を代表点とし、当該代表点の補正率を当該注目領域の平均画素値及び目標値に基づき算出するとともに、当該撮影画像の画像領域を各前記代表点に基づいて複数の矩形領域に分割し、各前記矩形領域内の各画素の補正率を、当該矩形領域を構成する前記代表点の補正率に基づいて算出する補正率算出部と、
各前記撮影画像の各画素の画素値を前記補正率算出部により算出された各前記画素に対応する補正率に基づき補正する補正処理部と、
前記画素値補正部により補正された各前記撮影画像を合成して、1つの合成画像を生成する合成画像生成部と、
前記合成画像生成部により生成した前記合成画像を外部装置に出力する画像出力部と
を備えることを特徴とする画像合成装置。
【0117】
(付記6)前記補正率算出部は、前記画像領域を当該画像領域内の各代表点を結んで形成される凸型多角形の内部領域と外部領域に分割し、さらに、前記内部領域を各前記代表点を結んで形成される複数の三角形領域に分割することを特徴とする付記5に記載の画像合成装置。
【0118】
(付記7)前記補正率算出部は、前記画像領域に4つの代表点が存在する場合、これら4つの代表点により形成される四角形の2つの対角線のうち、勾配の絶対値がより小さい対角線により、当該四角形を2つの三角形領域に分割することを特徴とする付記5又は付記6に記載の画像合成装置。
【0119】
(付記8)複数のカメラにより撮影された複数の撮影画像を取得する画像取得工程と、
各前記撮影画像に対して、当該撮影画像の画像領域の両端に位置する、他の前記カメラにより撮影された撮影画像の画像領域との重複領域における平均画素値の補正率として、当該重複領域における補正後の平均画素値と、前記他のカメラにより撮影された撮影画像の画像領域に位置する、当該重複領域と重複する重複領域の補正後の平均画素値とが一致するような補正率を算出するとともに、当該撮影画像の隣接方向において、各前記重複領域以外の領域における画素値の補正率を、これら各前記重複領域における補正率を結ぶ所定の連続関数により算出し、当該算出された補正率に基づき当該撮影画像の画像領域の全域を補正する画素値補正工程と、
前記画素値補正工程により補正された各前記撮影画像を合成して、1つの合成画像を生成する合成画像生成工程と、
前記合成画像生成工程により生成した前記合成画像を外部装置に出力する画像出力工程と
を含むことを特徴とする画像合成方法。
【0120】
(付記9)前記画素値補正工程は、
各前記撮影画像に対して、各前記重複領域の平均画素値を算出する特徴量算出工程と、
各前記重複領域に対して、一の前記撮影画像における当該重複領域の平均画素値と、他の前記撮影画像における当該重複領域の平均画素値とに基づき、補正後の平均画素値の目標値を算出する目標値算出工程と、
各前記撮影画像に対して、当該撮影画像の画像領域にある前記重複領域内の一の画素を代表点とし、この代表点における画素値の補正率を当該重複領域の平均画素値及び目標値に基づき算出するとともに、当該撮影画像の水平方向において、前記代表点から前記撮影画像の左右両端部のうち当該代表点に近い側の端部までの補正率を当該代表点の補正率と同一とし、前記代表点間の補正率をこれら代表点の補正率同士を結ぶ所定の連続関数により算出する補正率算出工程と、
各前記撮影画像の各画素の画素値を前記補正率算出工程により算出された各前記画素に対応する補正率に基づき補正する補正処理工程と
を含むことを特徴とする付記8に記載の画像合成方法。
【0121】
(付記10)前記特徴量算出工程は、前記重複領域から一の注目領域を抽出するとともに、当該抽出した注目領域の平均画素値を算出し、
前記目標値算出工程は、前記撮影画像における注目領域の平均画素値と、当該注目領域と重複する他の前記撮影画像における注目領域の平均画素値とに基づき、当該注目領域における補正後の平均画素値の目標値を算出し、
前記補正率算出工程は、前記注目領域内の一の画素を代表点とし、当該代表点の補正率を当該注目領域の平均画素値及び目標値に基づき算出する
ことを特徴とする付記9に記載の画像合成方法。
【0122】
(付記11)前記補正率算出工程は、前記画像領域の水平方向において、前記代表点間の所定位置における補正値が閾値を越える場合、当該所定位置における補正率を前記閾値の値に決定し、当該所定位置と前記代表点との間の補正率を、当該所定位置における補正率と前記代表点における補正率とを結ぶ所定の連続関数により算出することを特徴とする付記9又は付記10に記載の画像合成方法。
【0123】
(付記12)複数のカメラにより撮影された複数の撮影画像を取得する画像取得工程と、
各前記撮影画像に対して、当該撮影画像の画像領域の両端にそれぞれ位置する、他の前記カメラにより撮影された撮影画像の画像領域との重複領域における上部領域及び下部領域から、1又は複数の注目領域をそれぞれ抽出し、当該抽出した各注目領域の平均画素値を算出する特徴量算出工程と、
各注目領域に対して、一の前記撮影画像における注目領域の平均画素値と、当該注目領域と重複する他の前記撮影画像における注目領域の平均画素値とに基づき、補正後の平均画素値の目標値を算出する目標値算出工程と、
各撮影画像に対して、前記注目領域内の一の画素を代表点とし、当該代表点の補正率を当該注目領域の平均画素値及び目標値に基づき算出するとともに、当該撮影画像の画像領域を各前記代表点に基づいて複数の矩形領域に分割し、各前記矩形領域内の各画素の補正率を、当該矩形領域を構成する前記代表点の補正率に基づいて算出する補正率算出工程と、
各前記撮影画像の各画素の画素値を前記補正率算出工程により算出された各前記画素に対応する補正率に基づき補正する補正処理工程と、
前記補正処理工程により補正された各前記撮影画像を合成して、1つの合成画像を生成する合成画像生成工程と、
前記合成画像生成工程により生成した前記合成画像を外部装置に出力する画像出力工程と
を含むことを特徴とする画像合成方法。
【0124】
(付記13)前記補正率算出工程は、前記画像領域を当該画像領域内の各代表点を結んで形成される凸型多角形の内部領域と外部領域に分割し、さらに、前記内部領域を各前記代表点を結んで形成される複数の三角形領域に分割することを特徴とする付記12に記載の画像合成方法。
【0125】
(付記14)前記補正率算出工程は、前記画像領域に4つの代表点が存在する場合、これら4つの代表点により形成される四角形の2つの対角線のうち、勾配の絶対値がより小さい対角線により、当該四角形を2つの三角形領域に分割することを特徴とする付記12に記載の画像合成方法。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】実施例1にかかる画像表示システムの構成を示す図である。
【図2】実施例1にかかる画像表示システムにおける各カメラの取付け位置及び撮影範囲を説明するための図である。
【図3】実施例1にかかる画素値補正部の構成及び画素値補正処理を説明するための図である。
【図4】各カメラにより撮影された補正前画像における注目領域の対応関係を説明するための図である。
【図5】実施例1にかかる補正率算出部により決定される画像水平位置と補正率との関係の一例を示すグラフである。
【図6】実施例1にかかる画像合成装置による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】実施例1にかかる画素値補正処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】閾値により補正率を修正した後の画像水平位置と補正率との関係の一例を示すグラフである。
【図9】重複領域が1つしか存在しない場合における補正率の算出方法を説明するための図である。
【図10】実施例2にかかる画素値補正部の構成及び画素値補正処理を説明するための図である。
【図11】実施例2にかかる注目領域の位置を説明するための図である。
【図12】実施例2にかかる補正前画像Aにおける各領域の位置関係を示す図である。
【図13】実施例2にかかる多角形内部の補正率の算出方法を説明するための図である。
【図14】実施例2にかかる多角形外部の補正率の算出方法を説明するための図である。
【図15】各分割領域に割り当てられる領域番号を用いた補正率の算出方法を説明するための図である。
【図16】カメラ1a〜1cを用いた合成画像を生成する場合の補正前画像Aにおける補正率の算出方法を説明するための図である。
【図17】注目領域を5つ以上設けた場合における多角形内部の分割の仕方を説明するための図である。
【図18】注目領域を5つ以上設けた場合における多角形外部の分割の仕方を説明するための図である。
【図19】従来の画像表示システムにより生成される合成画像の一例を示す図である。
【図20】特許文献1に記載の補正率算出方法を説明するための図である。
【図21】特許文献2に記載の補正率算出方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0127】
S 画像表示システム
V 車両
1 カメラ
2 画像合成装置
3 表示装置
10 画像領域
11 注目領域
20 画像入力部
21 画素値補正部
22 合成画像生成部
23 画像出力部
100 重複領域
110 繋目
210 注目領域抽出部
211 特徴量算出部
212 目標値算出部
213 補正率算出部
214 補正処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカメラにより撮影された複数の撮影画像を取得する画像取得部と、
各前記撮影画像に対して、当該撮影画像の画像領域の両端に位置する、他の前記カメラにより撮影された撮影画像の画像領域との重複領域における平均画素値の補正率として、当該重複領域における補正後の平均画素値と、前記他のカメラにより撮影された撮影画像の画像領域に位置する、当該重複領域と重複する重複領域の補正後の平均画素値とが一致するような補正率を算出するとともに、各前記撮影画像の隣接方向において、各前記重複領域以外の領域における画素値の補正率を、これら各前記重複領域における補正率を結ぶ所定の連続関数により算出し、当該算出された補正率に基づき当該撮影画像の画像領域の全域を補正する画素値補正部と、
前記画素値補正部により補正された各前記撮影画像を合成して、1つの合成画像を生成する合成画像生成部と、
前記合成画像生成部により生成した前記合成画像を外部装置に出力する画像出力部と
を備えることを特徴とする画像合成装置。
【請求項2】
前記画素値補正部は、
各前記撮影画像に対して、各前記重複領域の平均画素値を算出する特徴量算出部と、
各前記重複領域に対して、一の前記撮影画像における当該重複領域の平均画素値と、他の前記撮影画像における当該重複領域の平均画素値とに基づき、補正後の平均画素値の目標値を算出する目標値算出部と、
各前記撮影画像に対して、当該撮影画像の画像領域にある前記重複領域内の一の画素を代表点とし、この代表点における画素値の補正率を当該重複領域の平均画素値及び目標値に基づき算出するとともに、当該撮影画像の水平方向において、前記代表点から前記撮影画像の左右両端部のうち当該代表点に近い側の端部までの補正率を当該代表点の補正率と同一とし、前記代表点間の補正率をこれら代表点の補正率同士を結ぶ所定の連続関数により算出する補正率算出部と、
各前記撮影画像の各画素の画素値を前記補正率算出部により算出された各前記画素に対応する補正率に基づき補正する補正処理部と
を有することを特徴とする請求項1に記載の画像合成装置。
【請求項3】
前記補正率算出部は、前記画像領域の水平方向において、前記代表点間の所定位置における補正値が閾値を越える場合、当該所定位置における補正率を前記閾値の値に決定し、当該所定位置と前記代表点との間の補正率を、当該所定位置における補正率と前記代表点における補正率とを結ぶ所定の連続関数により算出することを特徴とする請求項2に記載の画像合成装置。
【請求項4】
複数のカメラにより撮影された複数の撮影画像を取得する画像取得部と、
各前記撮影画像に対して、当該撮影画像の画像領域の両端にそれぞれ位置する、他の前記カメラにより撮影された撮影画像の画像領域との重複領域における上部領域及び下部領域から、1又は複数の注目領域をそれぞれ抽出し、当該抽出した各注目領域の平均画素値を算出する特徴量算出部と、
各注目領域に対して、一の前記撮影画像における注目領域の平均画素値と、当該注目領域と重複する他の前記撮影画像における注目領域の平均画素値とに基づき、補正後の平均画素値の目標値を算出する目標値算出部と、
各撮影画像に対して、前記注目領域内の一の画素を代表点とし、当該代表点の補正率を当該注目領域の平均画素値及び目標値に基づき算出するとともに、当該撮影画像の画像領域を各前記代表点に基づいて複数の領域に分割し、各前記領域内の各画素の補正率を、当該領域を構成する前記代表点の補正率に基づいて算出する補正率算出部と、
各前記撮影画像の各画素の画素値を前記補正率算出部により算出された各前記画素に対応する補正率に基づき補正する補正処理部と、
前記補正処理部により補正された各前記撮影画像を合成して、1つの合成画像を生成する合成画像生成部と、
前記合成画像生成部により生成した前記合成画像を外部装置に出力する画像出力部と
を備えることを特徴とする画像合成装置。
【請求項5】
前記補正率算出部は、前記画像領域を当該画像領域内の各代表点を結んで形成される凸型多角形の内部領域と外部領域に分割し、さらに、前記内部領域を各前記代表点を結んで形成される複数の三角形領域に分割することを特徴とする請求項4に記載の画像合成装置。
【請求項6】
前記補正率算出部は、前記画像領域に4つの代表点が存在する場合、これら4つの代表点により形成される四角形の2つの対角線のうち、勾配の絶対値がより小さい対角線により、当該四角形を2つの三角形領域に分割することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の画像合成装置。
【請求項7】
複数のカメラにより撮影された複数の撮影画像を取得する画像取得工程と、
各前記撮影画像に対して、当該撮影画像の画像領域の両端に位置する、他の前記カメラにより撮影された撮影画像の画像領域との重複領域における平均画素値の補正率として、当該重複領域における補正後の平均画素値と、前記他のカメラにより撮影された撮影画像の画像領域に位置する、当該重複領域と重複する重複領域の補正後の平均画素値とが一致するような補正率を算出するとともに、当該撮影画像の隣接方向において、各前記重複領域以外の領域における画素値の補正率を、これら各前記重複領域における補正率を結ぶ所定の連続関数により算出し、当該算出された補正率に基づき当該撮影画像の画像領域の全域を補正する画素値補正工程と、
前記画素値補正工程により補正された各前記撮影画像を合成して、1つの合成画像を生成する合成画像生成工程と、
前記合成画像生成工程により生成した前記合成画像を外部装置に出力する画像出力工程と
を含むことを特徴とする画像合成方法。
【請求項8】
複数のカメラにより撮影された複数の撮影画像を取得する画像取得工程と、
各前記撮影画像に対して、当該撮影画像の画像領域の両端にそれぞれ位置する、他の前記カメラにより撮影された撮影画像の画像領域との重複領域における上部領域及び下部領域から、1又は複数の注目領域をそれぞれ抽出し、当該抽出した各注目領域の平均画素値を算出する特徴量算出工程と、
各注目領域に対して、一の前記撮影画像における注目領域の平均画素値と、当該注目領域と重複する他の前記撮影画像における注目領域の平均画素値とに基づき、補正後の平均画素値の目標値を算出する目標値算出工程と、
各撮影画像に対して、前記注目領域内の一の画素を代表点とし、当該代表点の補正率を当該注目領域の平均画素値及び目標値に基づき算出するとともに、当該撮影画像の画像領域を各前記代表点に基づいて複数の領域に分割し、各前記領域内の各画素の補正率を、当該領域を構成する前記代表点の補正率に基づいて算出する補正率算出工程と、
各前記撮影画像の各画素の画素値を前記補正率算出工程により算出された各前記画素に対応する補正率に基づき補正する補正処理工程と、
前記補正処理工程により補正された各前記撮影画像を合成して、1つの合成画像を生成する合成画像生成工程と、
前記合成画像生成工程により生成した前記合成画像を外部装置に出力する画像出力工程と
を含むことを特徴とする画像合成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−113424(P2010−113424A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283655(P2008−283655)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】