説明

画像変換装置、画像変換方法、画像変換プログラム及び画像変換プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】球面レンズと想定してセル画像の補正処理を行った場合に生じる画像の歪みを補正する画像変換装置、画像変換方法、画像変換プログラム及び画像変換プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを課題とする。
【解決手段】セル画像再構築部40が、歪曲収差補正部30により補正された補正後のセル画像を構成する2値の境界上であってセルの角に位置する複数の特徴点を抽出し、抽出された複数の特徴点を集合とした場合に該集合の輪郭上に位置する複数の特徴点の集まりに近似する図形を検出し、この図形が前述した一定の形状になるよう補正後のセル画像を変形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一定の形状を有する2値のセル画像を変換する画像変換装置、画像変換方法、画像変換プログラム及び画像変換プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
バーコードや二次元コードのようなセル画像(図11参照)の中の情報を読み取る従来の画像読取装置は、セル画像を読み取るレンズの画角が狭いため、カメラの視野角にセル画像を収める作業や、セル画像との距離を調整する作業を伴うものであった。そのため、この画像読取装置を利用する場合には、セル画像の読み取りに失敗する可能性が高く、セル画像を読み取るために時間を費やすものであった。なお、このような画像読取装置の一例として、特許文献1に携帯電話(携帯情報端末)100が記載されている。
【0003】
このような問題点を解決するには、レンズの視野角がより広い広角レンズを用いることが考えられる。広角レンズで構成されるカメラを用いることにより、図12及び図13に示すように画像読取装置をセル画像に近づけた場合であっても、図14に示すように画像読取装置をセル画像の固定エリアに接触させた場合であっても、セル画像をカメラの視野角に確実に収めることができ、前述したような利用者による調整作業を削減することが可能となる。しかしながら、広角レンズを用いた場合には、広角レンズ特有の歪曲収差が大きいため、セル画像の読み取り精度が低下することが知られている。
【0004】
このような問題点を解決するため、n次多項式を用いて読み取ったセル画像を補正する技術が特許文献2に開示されている。しかしながら、補正処理に用いる計算式の次数が高いほど非球面レンズの形に合わせた柔軟な補正処理が可能となる反面、補正処理に費やす計算時間が長くなり、結果としてセル画像から情報を読み取る際に時間がかかることになる。
【0005】
このような問題点を解決するため、非球面レンズが用いられている場合であっても、補正処理上では球面レンズと仮定し、より次元の低い2次元多項式を用いて補正処理を行うことにより、補正処理に費やす計算時間を削減することが可能となる。
【特許文献1】特開2008−72322号公報
【特許文献2】特開2004−234379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、球面レンズと想定し、2次元多項式を用いて補正処理を行った場合には、カメラレンズの中心から離れるほど、補正後の画像と非球面レンズを用いて読み取られた画像との間で誤差が大きくなるため、その誤差に基づく画像の歪みが発生するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、球面レンズと想定してセル画像の補正処理を行った場合に生じる画像の歪みを補正する画像変換装置、画像変換方法、画像変換プログラム及び画像変換プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の本発明は、一定の形状を有するセル画像を変換する画像変換装置において、画像読取装置で読み取られた前記セル画像を蓄積する画像蓄積手段と、前記セル画像を前記画像蓄積手段から読み出して、所定の曲率を有する球面レンズの焦点を光源とした場合に当該球面レンズを介して前記セル画像上の等間隔な複数の任意点を前記セル画像の平行面に投影し、当該複数の任意点の二次元位置座標と投影された複数の投影点の二次元位置座標とを用いて前記任意点が前記投影点に移動した二次元移動距離を計算し、当該二次元移動距離を用いて前記セル画像を補正する補正手段と、補正後の前記セル画像を構成するセルの角に位置する複数の特徴点を抽出し、抽出された当該複数の特徴点を集合とした場合に当該集合の輪郭上に位置する複数の特徴点の集まりに近似する図形を検出し、当該図形が前記一定の形状になるよう前記補正後のセル画像を変形する変形手段と、を有することを要旨とする。
【0009】
本発明にあっては、補正手段が、セル画像を画像蓄積手段から読み出して、所定の曲率を有する球面レンズの焦点を光源とした場合に該球面レンズを介してセル画像上の等間隔な複数の任意点をセル画像の平行面に投影し、この複数の任意点の二次元位置座標と投影された複数の投影点の二次元位置座標とを用いて任意点が投影点に移動した二次元移動距離を計算し、この二次元移動距離を用いてセル画像を補正するため、従来のn次多項式を用いるよりも補正に費やす計算時間を削減することが可能となる。即ち、計算に必要な演算コストを軽減できるため、ハードウェアコストの削減効果と共にセル画像の読み取り時間を短縮することでユーザの利便性を高める効果を併せ持つことが可能となる。
【0010】
本発明にあっては、変形手段が、補正手段により補正された補正後のセル画像を構成するセルの角に位置する複数の特徴点を抽出し、抽出された複数の特徴点を集合とした場合に該集合の輪郭上に位置する複数の特徴点の集まりに近似する図形を検出し、この図形が前述した一定の形状になるよう補正後のセル画像を変形するため、球面レンズと想定してセル画像の補正処理を行った場合に生じる画像の歪みを元のセル画像の形状に補正することが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の本発明は、前記変形手段が、変形後の前記セル画像を複数のセルに分割し、分割された各セルの値に基づいて当該各セルの領域全体を2値化することを要旨とする。
【0012】
本発明にあっては、変形手段が、変形後のセル画像を複数のセルに分割し、分割された各セルの値に基づいて各セルの領域全体を2値化するため、元のセル画像を確実に再現することが可能となる。即ち、請求項1で記載した補正よりもセル画像の復元率が向上し、認識精度を高めることが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の本発明は、一定の形状を有するセル画像を変換する画像変換方法において、画像読取装置で読み取られた前記セル画像を画像蓄積手段に蓄積する第1のステップと、前記セル画像を前記画像蓄積手段から読み出して、所定の曲率を有する球面レンズの焦点を光源とした場合に当該球面レンズを介して前記セル画像上の等間隔な複数の任意点を前記セル画像の平行面に投影し、当該複数の任意点の二次元位置座標と投影された複数の投影点の二次元位置座標とを用いて前記任意点が前記投影点に移動した二次元移動距離を計算し、当該二次元移動距離を用いて前記セル画像を補正する第2のステップと、補正後の前記セル画像を構成するセルの角に位置する複数の特徴点を抽出し、抽出された当該複数の特徴点を集合とした場合に当該集合の輪郭上に位置する複数の特徴点の集まりに近似する図形を検出し、当該図形が前記一定の形状になるよう前記補正後のセル画像を変形する第3のステップと、を有することを要旨とする。
【0014】
請求項4に記載の本発明は、前記第3のステップが、変形後の前記セル画像を複数のセルに分割し、分割された各セルの値に基づいて当該各セルの領域全体を2値化することを要旨とする。
【0015】
請求項5に記載の本発明は、一定の形状を有するセル画像を変換する画像変換装置に、画像読取装置で読み取られた前記セル画像を画像蓄積手段に蓄積する第1の処理と、前記セル画像を前記画像蓄積手段から読み出して、所定の曲率を有する球面レンズの焦点を光源とした場合に当該球面レンズを介して前記セル画像上の等間隔な複数の任意点を前記セル画像の平行面に投影し、当該複数の任意点の二次元位置座標と投影された複数の投影点の二次元位置座標とを用いて前記任意点が前記投影点に移動した二次元移動距離を計算し、当該二次元移動距離を用いて前記セル画像を補正する第2の処理と、補正後の前記セル画像を構成するセルの角に位置する複数の特徴点を抽出し、抽出された当該複数の特徴点を集合とした場合に当該集合の輪郭上に位置する複数の特徴点の集まりに近似する図形を検出し、当該図形が前記一定の形状になるよう前記補正後のセル画像を変形する第3の処理と、を実行させることを要旨とする。
【0016】
請求項6に記載の本発明は、前記第3の処理が、変形後の前記セル画像を複数のセルに分割し、分割された各セルの値に基づいて当該各セルの領域全体を2値化することを要旨とする。
【0017】
請求項7に記載の本発明は、一定の形状を有するセル画像を変換する画像変換装置に、画像読取装置で読み取られた前記セル画像を画像蓄積手段に蓄積する第1の処理と、前記セル画像を前記画像蓄積手段から読み出して、所定の曲率を有する球面レンズの焦点を光源とした場合に当該球面レンズを介して前記セル画像上の等間隔な複数の任意点を前記セル画像の平行面に投影し、当該複数の任意点の二次元位置座標と投影された複数の投影点の二次元位置座標とを用いて前記任意点が前記投影点に移動した二次元移動距離を計算し、当該二次元移動距離を用いて前記セル画像を補正する第2の処理と、補正後の前記セル画像を構成するセルの角に位置する複数の特徴点を抽出し、抽出された当該複数の特徴点を集合とした場合に当該集合の輪郭上に位置する複数の特徴点の集まりに近似する図形を検出し、当該図形が前記一定の形状になるよう前記補正後のセル画像を変形する第3の処理と、を実行させることを要旨とする。
【0018】
請求項8に記載の本発明は、前記第3の処理が、変形後の前記セル画像を複数のセルに分割し、分割された各セルの値に基づいて当該各セルの領域全体を2値化することを要旨とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、球面レンズと想定してセル画像の補正処理を行った場合に生じる画像の歪みを補正する画像変換装置、画像変換方法、画像変換プログラム及び画像変換プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態に係る画像変換装置の機能ブロックを示す機能ブロック図である。この画像変換装置100は、広角レンズを具備したカメラ装置10と、カメラ装置10で読み取られたセル画像を蓄積する画像蓄積部20と、蓄積されたセル画像を補正する歪曲収差補正部30と、歪曲収差補正部30で補正されたセル画像を用いてセル画像を再構築するセル画像再構築部40と、再構築されたセル画像を認識するデコード部50とを備えた構成である。なお、カメラ装置10は、特許請求の範囲に記載された画像読取装置に相当し、歪曲収差補正部30は、特許請求の範囲に記載された補正手段に相当し、セル画像再構築部40は、特許請求の範囲に記載された変形手段に相当している。
【0022】
カメラ装置10は、広角レンズ(球面レンズ)を介してセル画像を読み取る機能を有する。このセル画像とは、白色又は黒色の2値で表現される複数のセルを集合させた画像であって、セルの配列パターンによって様々な情報を提供することができ、例えば一次元バーコードや二次元バーコードを一例として挙げることができる。また、セル画像を形成する色は白色及び黒色に限定されることはなく、セル画像上の画像と背景とを区別可能であればどのような画像であってもよい。更に、異なる2種類の色のみではなく、3種類以上の色で表現されたセル画像であってもよい。更にまた、カメラ装置10は、球面レンズに代えて、非球面レンズで構成されるものであってもよい。
【0023】
画像蓄積部20は、カメラ装置10で読み取られたセル画像を一端蓄積する機能を有し、例えばパソコンのメモリやハードディスクを一例として挙げることができる。
【0024】
歪曲収差補正部30は、カメラ装置10が具備するレンズが非球面レンズであっても球面レンズと想定して、カメラ装置10で読み取られたセル画像を補正する。具体的には、画像蓄積部20に蓄積されているセル画像を読み出して、図2に示すように、曲率rの球面レンズの焦点を光源とした場合に、この球面レンズを介してセル画像上(図2に示すa−b面上)の等間隔な複数の任意点をセル画像の平行面(図2に示すc−d面上)に投影する。そして、それら複数の任意点の二次元位置座標と、投影された複数の投影点の二次元位置座標とを用いて、それら任意点が投影点に移動した二次元移動距離を計算する。その後、歪曲収差補正部30は、カメラ装置10で読み取られたセル画像の各ピクセルに対して二次元移動距離を反映してセル画像を補正する。ここでいう反映とは、例えば、各ピクセル上の画像をセル画像の中心方向に二次元移動距離分だけ移動させることを意味している。これらの処理動作により、図3の(a)及び(b)に示すようにセル画像を補正することが可能となる。
【0025】
この歪曲収差補正部30の処理は(x,y)座標からなる二次元座標を変数とする二次多項式を用いて計算可能であるため、従来のn次多項式を用いるよりも補正に費やす計算時間を削減することが可能となる。しかしながら、レンズを球面と想定して補正するので、前述したようにレンズの中心から離れるほど歪みが発生することになる。そこで、セル画像再構築部40が次に記載する処理を行う。なお、これ以降は、セル画像が正方形の二次元コードであることを前提に説明する。
【0026】
セル画像再構築部40は、最初に、図4に示すように、補正後のセル画像を構成している白色又は黒色の2値の境界上であって、各セルの角部分に位置する複数の特徴点を抽出する(ステップS101)。
【0027】
続いて、図5に示すように、抽出した特徴点から所定の範囲内に存在する他の特徴点が存在するか否かを各特徴点について夫々検索し、存在する場合には引き続き特徴点とし、存在しない場合には孤立点として削除する(ステップS102)。このステップS102は、セル画像とは関係の無い箇所に存在し、何らかのエラーにより抽出された特徴点を削除して、対象とするセル画像上に存在する特徴点のみに確実に限定することを目的としている。
【0028】
そして、図6に示すように、限定された複数の特徴点を集合とした場合に、この集合の輪郭上に位置する複数の特徴点(図6に示すa,b,c,…,ac,ad)で構成される凸多角形を検出する(ステップS103)。
【0029】
その後、図7に示すように、検出された凸多角形が五角形になるように、凸多角形を構成する複数の特徴点から五角形の頂点を選択する(ステップS104)。具体的には、例えば凸多角形を二次元座標上に配置した場合に、x軸に対する凸多角形を構成する各辺のなす角を夫々計算し、連続する2つの辺に対する各なす角が略同じである場合には、それら二辺は五角形の同一辺を構成するものとして五角形を形成し、形成された五角形の頂点の二次元位置座標を求める。
【0030】
そして、上記五角形を構成する各頂点間の距離(各辺の長さに相当)を計算し、最も距離の短い辺(図7に示す直線DE)を探査し、図8に示すように、その短い辺を除いた残りの四辺に夫々近傍する複数の特徴点を夫々探索する(ステップS105)。
【0031】
その後、図9に示すように、探索された複数の特徴点の列に近似する近似直線を計算し、計算された4つの近似直線の交点(図9に示すA,B,C,D)を求めて、各交点を補正後のセル画像の四角(四隅)とする(ステップS106)。
【0032】
最後に、図10に示すように、このセル画像の四角を頂点とした四角形が、二次元コードの形状である正方形になるよう補正後のセル画像を変形する(ステップS107)。
【0033】
ステップS101〜ステップS107の処理により、球面レンズと想定してセル画像の補正処理を行った場合に生じる画像の歪みを元のセル画像の形状に補正することが可能となる。
【0034】
更に、セル画像再構築部40は、変形後のセル画像の正方形領域を複数のセルに分割し、分割された各セルの値に基づいて各セルの領域全体を2値化する処理を行うことも可能である(ステップS108)。具体的には、例えば、分割されたセルの白色と黒色との比率が9:1であれば、そのセルは白色の値であると判定して該セル領域全体を白色にする。また、例えば、変形後に分割された各セルの値を、変形前のセル画像の各セルの値と同じにするように2値化してもよい。
【0035】
変形後のセル画像は、補正後のセル画像全体を変形するのみであるため、セル画像を構成している各セルが常に正方形に変形するとは限らない。そこで、ステップS107の処理により、セルの各ピクセルに1つの値を適用する(上述した2値化処理)ので、元のセル画像により近い画像に復元することが可能となる。
【0036】
なお、上記各ステップでは、「特徴点を求める」等と理解し易いように記載したが、具体的には、例えば「特徴点を求める」や「特徴点を夫々探索する」等はセル画像再構築部40が特徴点の二次元位置座標を求めることを意味し、「凸多角形を検出する」とはセル画像再構築部40が凸多角形の形状に対応する位置情報を二次元位置座標上で把握することを意味している。
【0037】
また、本実施の形態では、正方形の二次元コードのセル画像を用いて説明したが、正方形又は長方形の一次元コード(バーコード)のセル画像であっても同様に上記処理を適用することが可能である。更に、セル画像の輪郭が丸型の場合であっても、本発明を適用して同様の効果が得られることはいうまでも無い。ステップS103〜ステップS106については二次元コードのセル画像を変換する際の特有の処理であるが、複数の特徴点を抽出し、抽出された複数の特徴点を集合とした場合に該集合の輪郭上に位置する複数の特徴点の集まりに近似する図形を検出し、この図形が元のセル画像の輪郭である一定の形状になるよう補正後のセル画像を変形する点においては、どのような輪郭であっても共通する処理である。
【0038】
なお、画像変換装置100は、コンピュータで構成され、各機能ブロックの各処理はプログラムで実行されるようになっている。また、本実施の形態で説明した画像変換装置100の各動作をプログラムとして例えばCD(Compact Disk)やFD(Floppy(登録商標) Disk)等の記録媒体に記録して、この記録媒体をコンピュータに組み込んだり、若しくは記録媒体に記録されたプログラムを、任意の通信回線を介してコンピュータにダウンロードしたり、又は記録媒体からインストールし、該プログラムでコンピュータを動作させることにより、上述した各処理を画像変換装置100として機能させることができるのは勿論である。また、このような記録媒体を用いることにより、その流通性を高めることが可能となることも付言しておく。
【0039】
本実施の形態によれば、歪曲収差補正部30が、セル画像を画像蓄積部20から読み出して、所定の曲率を有する球面レンズの焦点を光源とした場合に該球面レンズを介してセル画像上の等間隔な複数の任意点をセル画像の平行面に投影し、この複数の任意点の二次元位置座標と投影された複数の投影点の二次元位置座標とを用いて任意点が投影点に移動した二次元移動距離を計算し、この二次元移動距離を用いてセル画像を補正するので、従来のn次多項式を用いるよりも補正に費やす計算時間を削減することが可能となる。即ち、計算に必要な演算コストを軽減できるため、ハードウェアコストの削減効果と共にセル画像の読み取り時間を短縮することでユーザの利便性を高める効果を併せ持つことが可能となる。
【0040】
本実施の形態によれば、セル画像再構築部40が、歪曲収差補正部30により補正された補正後のセル画像を構成する2値の境界上であってセルの角に位置する複数の特徴点を抽出し、抽出された複数の特徴点を集合とした場合に該集合の輪郭上に位置する複数の特徴点の集まりに近似する図形を検出し、この図形が前述した一定の形状になるよう補正後のセル画像を変形するので、球面レンズと想定してセル画像の補正処理を行った場合に生じる画像の歪みを元のセル画像の形状に補正することが可能となる。
【0041】
本実施の形態によれば、セル画像再構築部40が、変形後のセル画像を複数のセルに分割し、分割された各セルの値に基づいて各セルの領域全体を2値化するため、元のセル画像を確実に再現することが可能となる。即ち、セル画像の復元率が向上し、認識精度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施の形態に係る画像変換装置の機能ブロックを示す機能ブロック図である。
【図2】歪曲収差補正部における補正方法の概念を示す概念図である。
【図3】補正前及び補正後のセル画像を示す図である。
【図4】セル画像再構築部によって抽出された特徴点を示す図である。
【図5】セル画像再構築部によって抽出された特徴点のうち孤立点を示す図である。
【図6】セル画像再構築部によって検出された凸多角形を示す図である。
【図7】セル画像再構築部によって検出された五角形の頂点を示す図である。
【図8】セル画像再構築部によって探索された複数の特徴点を示す図である。
【図9】セル画像再構築部によって探索された複数の特徴点の列に近似する近似直線の交点を示す図である。
【図10】変形前及び変形後のセル画像を示す図である。
【図11】セルで構成されるセル画像の一部を示す図である。
【図12】画像読取装置をセル画像に近づけた状態を示す図である。
【図13】画像読取装置をセル画像に近づけた状態を示す図である。
【図14】画像読取装置をセル画像の固定エリアに接触させた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
10…カメラ装置
20…画像蓄積部
30…歪曲収差補正部
40…デコード部
100…画像変換装置
S101〜S108…ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の形状を有するセル画像を変換する画像変換装置において、
画像読取装置で読み取られた前記セル画像を蓄積する画像蓄積手段と、
前記セル画像を前記画像蓄積手段から読み出して、所定の曲率を有する球面レンズの焦点を光源とした場合に当該球面レンズを介して前記セル画像上の等間隔な複数の任意点を前記セル画像の平行面に投影し、当該複数の任意点の二次元位置座標と投影された複数の投影点の二次元位置座標とを用いて前記任意点が前記投影点に移動した二次元移動距離を計算し、当該二次元移動距離を用いて前記セル画像を補正する補正手段と、
補正後の前記セル画像を構成するセルの角に位置する複数の特徴点を抽出し、抽出された当該複数の特徴点を集合とした場合に当該集合の輪郭上に位置する複数の特徴点の集まりに近似する図形を検出し、当該図形が前記一定の形状になるよう前記補正後のセル画像を変形する変形手段と、
を有することを特徴とする画像変換装置。
【請求項2】
前記変形手段は、
変形後の前記セル画像を複数のセルに分割し、分割された各セルの値に基づいて当該各セルの領域全体を2値化することを特徴とする請求項1に記載の画像変換装置。
【請求項3】
一定の形状を有するセル画像を変換する画像変換方法において、
画像読取装置で読み取られた前記セル画像を画像蓄積手段に蓄積する第1のステップと、
前記セル画像を前記画像蓄積手段から読み出して、所定の曲率を有する球面レンズの焦点を光源とした場合に当該球面レンズを介して前記セル画像上の等間隔な複数の任意点を前記セル画像の平行面に投影し、当該複数の任意点の二次元位置座標と投影された複数の投影点の二次元位置座標とを用いて前記任意点が前記投影点に移動した二次元移動距離を計算し、当該二次元移動距離を用いて前記セル画像を補正する第2のステップと、
補正後の前記セル画像を構成するセルの角に位置する複数の特徴点を抽出し、抽出された当該複数の特徴点を集合とした場合に当該集合の輪郭上に位置する複数の特徴点の集まりに近似する図形を検出し、当該図形が前記一定の形状になるよう前記補正後のセル画像を変形する第3のステップと、
を有することを特徴とする画像変換方法。
【請求項4】
前記第3のステップは、
変形後の前記セル画像を複数のセルに分割し、分割された各セルの値に基づいて当該各セルの領域全体を2値化することを特徴とする請求項3に記載の画像変換方法。
【請求項5】
一定の形状を有するセル画像を変換する画像変換装置に、
画像読取装置で読み取られた前記セル画像を画像蓄積手段に蓄積する第1の処理と、
前記セル画像を前記画像蓄積手段から読み出して、所定の曲率を有する球面レンズの焦点を光源とした場合に当該球面レンズを介して前記セル画像上の等間隔な複数の任意点を前記セル画像の平行面に投影し、当該複数の任意点の二次元位置座標と投影された複数の投影点の二次元位置座標とを用いて前記任意点が前記投影点に移動した二次元移動距離を計算し、当該二次元移動距離を用いて前記セル画像を補正する第2の処理と、
補正後の前記セル画像を構成するセルの角に位置する複数の特徴点を抽出し、抽出された当該複数の特徴点を集合とした場合に当該集合の輪郭上に位置する複数の特徴点の集まりに近似する図形を検出し、当該図形が前記一定の形状になるよう前記補正後のセル画像を変形する第3の処理と、
を実行させることを特徴とする画像変換プログラム。
【請求項6】
前記第3の処理は、
変形後の前記セル画像を複数のセルに分割し、分割された各セルの値に基づいて当該各セルの領域全体を2値化することを特徴とする請求項5に記載の画像変換プログラム。
【請求項7】
一定の形状を有するセル画像を変換する画像変換装置に、
画像読取装置で読み取られた前記セル画像を画像蓄積手段に蓄積する第1の処理と、
前記セル画像を前記画像蓄積手段から読み出して、所定の曲率を有する球面レンズの焦点を光源とした場合に当該球面レンズを介して前記セル画像上の等間隔な複数の任意点を前記セル画像の平行面に投影し、当該複数の任意点の二次元位置座標と投影された複数の投影点の二次元位置座標とを用いて前記任意点が前記投影点に移動した二次元移動距離を計算し、当該二次元移動距離を用いて前記セル画像を補正する第2の処理と、
補正後の前記セル画像を構成するセルの角に位置する複数の特徴点を抽出し、抽出された当該複数の特徴点を集合とした場合に当該集合の輪郭上に位置する複数の特徴点の集まりに近似する図形を検出し、当該図形が前記一定の形状になるよう前記補正後のセル画像を変形する第3の処理と、
を実行させることを特徴とする画像変換プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項8】
前記第3の処理は、
変形後の前記セル画像を複数のセルに分割し、分割された各セルの値に基づいて当該各セルの領域全体を2値化することを特徴とする請求項7に記載の画像変換プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−301275(P2009−301275A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154307(P2008−154307)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】