説明

画像形成方法、画像形成装置並びにプロセスカートリッジ及びそのための電子写真現像剤並びに現像剤用キャリア

【課題】現像剤供給搬送路で現像剤供給を安定化させ、現像剤搬送速度が高くても劣化しにくく、トリクル現像方式を採用して長期運転時の帯電安定性に余裕を持たせた流動性を持つ二成分現像剤を提供する。
【解決手段】静電潜像現像時に現像装置に、トナーとキャリアを現像装置に補給すると共に、余剰となった現像剤を排出しながら現像を行う画像形成方法であり、現像剤担持体と、現像剤供給搬送路と、現像剤攪拌搬送路とを有し、潜像担持体との対向箇所を通過した現像剤は、回収され、現像剤攪拌搬送路を搬送されてきた現像剤と混合された後に現像剤供給搬送路へ供給される現像装置であり、二成分現像剤のキャリア粒子が、芯材粒子とこれを被覆する被覆層からなり、被覆層が、結着樹脂と少なくとも1種類の硬質粒子を含み、硬質粒子の粒径D1(μm)と被覆層における樹脂部分の平均厚みh(μm)の比(D1/h)が、1<(D1/h)<10の関係を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成方法、画像形成装置並びにプロセスカートリッジ及びそのための電子写真二成分現像剤並びに現像剤用キャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤を用いる現像装置として、図1に示す構造のものが知られている。図1に示す現像装置(4)は、現像剤担持体である現像ローラ(5)に現像剤を供給する搬送路と現像剤を攪拌する搬送路とを分けて設けており、2つの搬送路で現像剤を逆方向に搬送することにより現像剤を循環させている。
図1に示す現像装置では、現像ローラ(5)に現像剤を供給する搬送路と、現像ローラ(5)に供給され現像領域を通過した現像剤を回収する搬送路とが共通である。よって、現像ローラ(5)に供給する搬送路の搬送方向下流側ほど現像ローラ(5)に供給する現像剤のトナー濃度が低下するという問題があった。現像ローラ(5)に供給するトナー濃度が低下すると、現像時の画像濃度も低下となる。
このような問題は、特許文献1及び特許文献(2)に記載された現像装置のように現像ローラへの現像剤の供給用オーガと現像済みの現像剤の回収用オーガとを異なる現像剤搬送路に設けることによる解消策が示されている。以下、特許文献1及び特許文献(2)のそれぞれに記載された現像装置の構成について説明する。
【0003】
特許文献1に記載の現像装置を図2に示す。
図2に示す現像装置(4)は、現像ローラ(5)に現像剤を供給する供給搬送路(9)と現像領域を通過した現像剤を回収する回収搬送路(7)とを分けて設けている。
このような現像装置(4)では、現像領域を通過した現像剤は回収搬送路(7)に送られるため、供給搬送路(9)に混入することがない。これにより、供給搬送路(9)内の現像剤のトナー濃度が変化することなく、現像ローラ(5)に供給される現像剤のトナー濃度も一定となる。
しかし、回収搬送路(7)に送られた現像剤をすぐに供給搬送路(9)に供給するため、トナーの補給がなされトナー濃度が適切に保たれていても、攪拌が不十分となり、現像時の画像濃度の不均一や濃度低下が発生するという問題がある。このような問題は、回収現像剤のトナー濃度が低下する高印字率の画像ほど顕著となる。
【0004】
次に、特許文献2に記載の現像装置を図3に示す。
図3に示す現像装置(4)も、現像ローラ(5)に現像剤を供給する供給搬送路(9)と現像領域を通過した現像剤を回収する回収搬送路(7)とを分けて設けている。さらに、供給搬送路(9)の最下流側まで搬送された現像剤と、回収搬送路(7)の最下流側まで搬送された回収現像剤とを攪拌しながら供給搬送路(9)とは逆方向に現像剤を搬送する攪拌搬送路(10)を備えている。
このような現像装置(4)では、現像済みの現像剤は回収搬送路(7)に送られるため、供給搬送路(9)に混入することがない。これにより、供給搬送路(9)内の現像剤のトナー濃度が変化することなく、現像ローラ(5)に供給される現像剤のトナー濃度も一定となる。
【0005】
さらに、回収現像剤をすぐに供給搬送路(9)に供給するのではなく、攪拌搬送路(10)で攪拌した後で供給搬送路(9)に現像剤を供給するため、現像されずに供給搬送路(9)を通過した現像剤と回収現像剤が攪拌された状態で再び供給搬送路に供給することができる。これにより、図2で説明した現像装置(4)の問題点であった、現像時の画像濃度の不均一や画像濃度の低下を防止する手法が示された。
しかし、これらの現像装置を用いた場合、現像領域から供給用搬送路に現像剤が戻ってこないため、供給用搬送路の奥側まで安定して現像剤を供給するためには、現像領域への現像剤供給速度に対して、供給用搬送路内での現像剤搬送速度を高くする必要がある。その結果、安定して現像剤を供給しようとすると、現像剤にかかるストレスが高くなってしまうという傾向があった。現像剤にかかるストレスが高くなると、キャリアの劣化が加速され、耐久性を低下させる原因となる。
【0006】
通常の二成分現像方式における現像装置では、トナーが現像動作によって消費されていく一方、キャリアは消費されずに現像槽内に残る。そのため、現像槽内でトナーと共に撹拌されるキャリアは、撹拌頻度が多くなるにつれて劣化する。具体的には、キャリア表面の樹脂コートの剥がれや、キャリア表面へのトナーの付着といった事態が発生すし、その結果、キャリア抵抗値および現像剤の帯電性が徐々に低下し、現像剤の現像性が過度に上がり、画像濃度の上昇やかぶり発生といった不具合が誘発される。
【0007】
上記問題を解決するものとして、例えば、特許文献3には、現像によって消費されるトナーと共にキャリアを追加し、現像装置内のキャリアを少しずつ入れ替えることにより、帯電量の変化を抑制し、画像濃度を安定化する現像装置、いわゆるトリクル現像方式の現像装置が開示されている。
しかしながら、特許文献3に開示の現像装置においても、長時間使用していくうちに、現像槽内には劣化したキャリアの割合が次第に増加し、画像濃度の上昇等の不具合を抑えることは困難であった。
【0008】
また、特許文献4には、現像装置内に適宜補給する現像剤として、予め現像装置内に収容されているキャリアと比べて、高い抵抗値を有するキャリアを、トナーと共に含む現像剤を用いることで、帯電性の維持、画質低下を抑制することが開示されている。
さらに、特許文献5には、補給用現像剤として、より高い帯電量をトナーに対して付与するキャリアをトナーと共に含む現像剤を使用することで、帯電性の維持、画質低下を抑制することが開示されている。
しかしながら、現像装置内で入れ替わるキャリア量は、トナー消費量の差に伴い、各時点で異なってくることから、特許文献4又は5に開示の方法では、現像装置内の現像剤の抵抗値あるいは帯電量が変化して、画像濃度の変動が発生しやすくなるという不具合が生じた。
【0009】
さらに、特許文献6には、予め現像装置内部に収容されているキャリアと物性の異なるキャリアをトナーと共に含有させた補給容現像剤を複数種用い、各現像剤を順次補給する方法が開示されている。
しかしながら、実際には、キャリアとトナーの比重が極端に異なるため、特許文献4に開示のように、一つのトナー補給容器内で、物性の異なる複数のキャリアのうちの一つを、トナーと共に含有させた補給現像剤を、互いに混ざり合わないように現像装置内に順次補給することは非常に困難であり、また、現像剤中のキャリアに対するトナー量が多いために、キャリアの劣化が生じやすく、長期にわたり安定した画像を得ることができない。
【0010】
また、特許文献6に記載されているように、補給用キャリアの抵抗値を高めるため、そのキャリアコア材にコーティングするシリコンコート層のコート量を単に増やした場合には、抵抗値が高められる一方でキャリアの帯電量が低下してしまい、その結果、現像される画像の像再現性が低下したり、背景部汚れが発生したりするという問題がある。
このため、トリクル現像方式において、より安定した現像特性を得るためには、キャリアが長期の使用においても安定した帯電付与能力を維持できるものであることが重要である。
【0011】
二成分系現像方式に使用される粒状キャリアは、キャリア表面へのトナーのフィルミング防止、キャリア均一表面の形成、表面酸化防止、感湿性低下の防止、現像剤の寿命の延長、感光体のキャリアによるキズあるいは摩耗からの保護、帯電極性の制御または帯電量の調節等の目的で、通常、適当な樹脂材料で被覆したり(例えば、特許文献7)、更に、その被覆層に種々の添加剤を添加する方法(例えば、特許文献8〜10)が行なわれたりしている。
更に、特許文献11には、キャリア表面に添加剤を付着させたものが提案されており、特許文献12には、被覆層厚よりも大きい導電性粒子を被覆層に含有させたものが提案されている。
また、特許文献13には、ベンゾグアナミン−n−ブチルアルコール−ホルムアルデヒド共重合体を主成分とするキャリア被覆材を用いることが提案されており、また、特許文献14には、メラミン樹脂とアクリル樹脂の架橋物をキャリア被覆材として用いることが提案されている。
これらのような被覆樹脂層の耐久性を高める方向への提案は、トリクル現像方式を採用した際には、長期の使用における安定した帯電付与能力を維持させるという意味で特に有効である。しかし、市場における高耐久性への要求は更に高まる傾向が続いており、これらの提案だけでは市場の要求に対して未だ充分ではない。また、トナーのキャリア表面へのスペント化、それに伴う帯電量の不安定化、ならびにトナーカブリの発生等の問題が依然残されている。
【0012】
また、トリクル現像方式では、現像装置内にトナーだけでなくキャリアも共に供給されるが、キャリアの流動性が悪いと供給現像剤の搬送性が悪くなり、搬送ムラが発生してしまうことがある。
【0013】
【特許文献1】特許3127594号公報
【特許文献2】特開平11−167260号公報
【特許文献3】特公平2−21591号公報
【特許文献4】特開平3−145678号公報
【特許文献5】特開平11−223960号公報
【特許文献6】特開平8−234550号公報
【特許文献7】特開昭58−108548号公報
【特許文献8】特公平1−19584号公報
【特許文献9】特公平3−628号公報
【特許文献10】特開平6−202381号公報
【特許文献11】特開平5−273789号公報
【特許文献12】特開平9−160304号公報
【特許文献13】特開平8−6307号公報
【特許文献14】特許第2683624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記従来技術を鑑みてなされたものであり、即ち、二成分現像方式で、現像剤供給搬送路、現像剤攪拌搬送路を備えた現像装置、または現像剤供給搬送路、現像剤回収搬送路、現像剤攪拌搬送路を備えた現像装置において、現像剤供給搬送路での現像剤供給を安定化させるべく現像剤搬送速度を高めた場合でも劣化しにくく、かつ、トリクル現像方式を採用することで長期運転時の帯電安定性に更なる余裕度を持たせながらも、現像剤の搬送性に問題が発生しない流動性を持つキャリアとトナーからなる現像剤を用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ、及び、そのための電子写真二成分現像剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。本発明はこれに基づいてなされたものである。
上記課題は本発明の(1)〜(20)によって解決される。
(1)「像担持体上に形成された静電潜像を現像する際、トナーとキャリアが収容されている現像装置に対して、トナーとキャリアを該現像装置に補給するとともに、該現像装置内の余剰となった現像剤を排出しながら現像を行う画像形成方法であって、
前記現像装置が、磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する箇所で該潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給搬送部材を備えた現像剤供給搬送路と、
現像に用いられずに該現像剤供給搬送路の搬送方向の最下流側まで搬送された余剰現像剤の供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、該余剰現像剤を攪拌しながら該現像剤供給搬送部材とは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送部材を備え、該現像剤を該現像剤供給搬送路に供給する現像剤攪拌搬送路とを有し、
該現像剤供給搬送路と該現像剤攪拌搬送路は、少なくとも長手方向両端部を除く中央部で仕切部材によって仕切られており、
該潜像担持体と対向する箇所を通過した現像剤は、該現像剤攪拌搬送路に回収され、該現像剤攪拌搬送路を搬送されてきた現像剤と混合された後に該現像剤供給搬送路へ供給される現像装置であり、
前記二成分現像剤の前記キャリアのキャリア粒子が、芯材粒子とこれを被覆する被覆層からなり、該被覆層が、結着樹脂と少なくとも1種類の硬質粒子を含み、該硬質粒子の粒径D1(μm)と該被覆層における樹脂部分の平均厚みh(μm)の比(D1/h)が、1<(D1/h)<10の関係を満たすものであることを特徴とする画像形成方法。」
(2)「像担持体上に形成された静電潜像を現像する際、トナーとキャリアが収容されている現像装置に対して、トナーとキャリアを該現像装置に補給するとともに、該現像装置内の余剰となった現像剤を排出しながら現像を行う画像形成方法であって、
前記現像装置が、磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する箇所で該潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給搬送部材を備えた現像剤供給搬送路と、
該潜像担持体と対向する箇所を通過後の該現像剤担持体上から回収された該現像剤を該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、前記現像剤供給搬送部材と同方向に搬送する現像剤回収搬送部材を備えた現像剤回収搬送路と、
現像に用いられずに該現像剤供給搬送路の搬送方向の最下流側まで搬送された余剰現像剤と、該現像剤担持体から回収され該現像剤回収搬送路の搬送方向の最下流側まで搬送された回収現像剤との供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該余剰現像剤と該回収現像剤とを攪拌しながら該現像剤供給搬送部材とは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送部材を備え、該現像剤を該現像剤供給搬送路に供給する現像剤攪拌搬送路とを有し、
該現像剤回収搬送路、該現像剤供給搬送路及び該現像剤攪拌搬送路からなる3つの現像剤搬送路はそれぞれ仕切り部材により仕切られ、
該現像剤攪拌搬送路と該現像剤回収搬送路とはほぼ同じ高さに設けられ、該現像剤供給搬送路は他の2つの該現像剤搬送路の上方に位置するように設けられ、
該現像剤搬送路にトナーとキャリアとが補給されるとともに、該現像装置内の余剰の現像剤を排出される現像装置であり、
前記二成分現像剤の前記キャリアのキャリア粒子が、芯材粒子とこれを被覆する被覆層からなり、該被覆層が、結着樹脂と少なくとも1種類の硬質粒子を含み、該硬質粒子の粒径D1(μm)と該被覆層における樹脂部分の平均厚みh(μm)の比(D1/h)が、1<(D1/h)<10の関係を満たすものであることを特徴とする画像形成方法。」
(3)「前記硬質粒子が、アルミナ粒子又はアルミナを基体とする粒子であることを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載の画像形成方法。」
(4)「前記キャリアの芯材粒子を被覆する被覆層が、前記硬質粒子以外に第2硬質粒子を含み、該第2硬質粒子の粒径D2(μm)と該被覆層における樹脂部分の平均厚みh(μm)との比(D2/h)が、0.001<(D2/h)<1の関係を満たすことを特徴とする前記(1)項乃至(3)項のいずれかに記載の画像形成方法。」
(5)「前記第2硬質粒子が、酸化チタン粒子又は表面処理された酸化チタン粒子であることを特徴とする前記(4)項に記載の画像形成方法。」
(6)「前記芯材粒子表面から該芯材粒子を被覆する被覆層の表面までの平均厚みT(μm)が、0.1≦T≦3.0の範囲であることを特徴とする前記(1)項乃至(5)項のいずれかに記載の画像形成方法。」
(7)「前記結着樹脂が、少なくともアクリル樹脂とアミノ樹脂との反応物かシリコーン樹脂のいずれかを含むことを特徴とする前記(1)項乃至(6)項のいずれかに記載の画像形成方法。」
(8)「前記トナーとキャリアからなり現像装置に補給される補給用現像剤中のキャリアの重量比率が、3wt%以上30wt%未満であることを特徴とする前記(1)項乃至(7)項のいずれかに記載の画像形成方法。」
(9)「前記現像装置に収容されている現像剤中のキャリアの重量比率が、85wt%以上98wt%未満であることを特徴とする前記(1)項乃至(8)項のいずれかに記載の画像形成方法。」
(10)「像担持体上に形成された静電潜像を現像する際、トナーとキャリアが収容されている現像装置に対して、トナーとキャリアを該現像装置に補給するとともに、該現像装置内の余剰となった現像剤を排出しながら現像を行う画像形成のための電子写真二成分現像剤であって、
該二成分現像剤の前記キャリアのキャリア粒子が、芯材粒子とこれを被覆する被覆層からなり、該被覆層が、結着樹脂と少なくとも1種類の硬質粒子を含み、該硬質粒子の粒径D1(μm)と該被覆層における樹脂部分の平均厚みh(μm)の比(D1/h)が、1<(D1/h)<10の関係を満たすものであり、
前記現像装置が、磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する箇所で該潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給搬送部材を備えた現像剤供給搬送路と、
現像に用いられずに該現像剤供給搬送路の搬送方向の最下流側まで搬送された余剰現像剤の供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、該余剰現像剤を攪拌しながら該現像剤供給搬送部材とは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送部材を備え、該現像剤を該現像剤供給搬送路に供給する現像剤攪拌搬送路とを有し、
該現像剤供給搬送路と該現像剤攪拌搬送路は、少なくとも長手方向両端部を除く中央部で仕切部材によって仕切られており、
該潜像担持体と対向する箇所を通過した現像剤は、該現像剤攪拌搬送路に回収され、該現像剤攪拌搬送路を搬送されてきた現像剤と混合された後に該現像剤供給搬送路へ供給される現像装置であることを特徴とする電子写真現像剤。」
(11)「像担持体上に形成された静電潜像を現像する際、トナーとキャリアが収容されている現像装置に対して、トナーとキャリアを該現像装置に補給するとともに、該現像装置内の余剰となった現像剤を排出しながら現像を行う画像形成のための電子写真二成分現像剤であって、
該二成分現像剤の前記キャリアのキャリア粒子が、芯材粒子とこれを被覆する被覆層からなり、該被覆層が、結着樹脂と少なくとも1種類の硬質粒子を含み、該硬質粒子の粒径D1(μm)と該被覆層における樹脂部分の平均厚みh(μm)の比(D1/h)が、1<(D1/h)<10の関係を満たすものであり、
前記現像装置が、磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する箇所で該潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給搬送部材を備えた現像剤供給搬送路と、
該潜像担持体と対向する箇所を通過後の該現像剤担持体上から回収された該現像剤を該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、前記現像剤供給搬送部材と同方向に搬送する現像剤回収搬送部材を備えた現像剤回収搬送路と、
現像に用いられずに該現像剤供給搬送路の搬送方向の最下流側まで搬送された余剰現像剤と、該現像剤担持体から回収され該現像剤回収搬送路の搬送方向の最下流側まで搬送された回収現像剤との供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該余剰現像剤と該回収現像剤とを攪拌しながら該現像剤供給搬送部材とは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送部材を備え、該現像剤を該現像剤供給搬送路に供給する現像剤攪拌搬送路とを有し、
該現像剤回収搬送路、該現像剤供給搬送路及び該現像剤攪拌搬送路からなる3つの現像剤搬送路はそれぞれ仕切り部材により仕切られ、
該現像剤攪拌搬送路と該現像剤回収搬送路とはほぼ同じ高さに設けられ、該現像剤供給搬送路は他の2つの該現像剤搬送路の上方に位置するように設けられ、
該現像剤搬送路にトナーとキャリアとが補給されるとともに、該現像装置内の余剰の現像剤を排出される現像装置であることを特徴とする電子写真現像剤。」
(12)「前記硬質粒子が、アルミナ粒子又はアルミナを基体とする粒子であることを特徴とする前記(10)項又は(11)項に記載の電子写真現像剤。」
(13)「前記キャリアの芯材粒子を被覆する被覆層が、前記硬質粒子以外に第2硬質粒子を含み、該第2硬質粒子の粒径D2(μm)と該被覆層における樹脂部分の平均厚みh(μm)との比(D2/h)が、0.001<(D2/h)<1の関係を満たすことを特徴とする前記(10)項乃至(12)項のいずれかに記載の電子写真現像剤。」
(14)「前記第2硬質粒子が、酸化チタン粒子又は表面処理された酸化チタン粒子であることを特徴とする前記(13)項に記載の電子写真現像剤。」
(15)「前記芯材粒子表面から該芯材粒子を被覆する被覆層の表面までの平均厚みT(μm)が、0.1≦T≦3.0の範囲であることを特徴とする前記(10)項乃至(14)項のいずれかに記載の電子写真現像剤。」
(16)「前記結着樹脂が、少なくともアクリル樹脂とアミノ樹脂との反応物かシリコーン樹脂のいずれかを含むことを特徴とする前記(10)項乃至(15)項のいずれかに記載の電子写真現像剤。」
(17)「像担持体上に形成された静電潜像を現像する際、トナーとキャリアが収容されている現像装置に対して、トナーとキャリアを該現像装置に補給するとともに、該現像装置内の余剰となった現像剤を排出しながら現像を行う画像形成のための電子写真二成分現像剤を収納した現像装置を搭載する画像形成装置であって、
該二成分現像剤の前記キャリアのキャリア粒子が、芯材粒子とこれを被覆する被覆層からなり、該被覆層が、結着樹脂と少なくとも1種類の硬質粒子を含み、該硬質粒子の粒径D1(μm)と該被覆層における樹脂部分の平均厚みh(μm)の比(D1/h)が、1<(D1/h)<10の関係を満たすものであり、
前記現像装置が、磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する箇所で該潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給搬送部材を備えた現像剤供給搬送路と、
現像に用いられずに該現像剤供給搬送路の搬送方向の最下流側まで搬送された余剰現像剤の供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、該余剰現像剤を攪拌しながら該現像剤供給搬送部材とは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送部材を備え、該現像剤を該現像剤供給搬送路に供給する現像剤攪拌搬送路とを有し、
該現像剤供給搬送路と該現像剤攪拌搬送路は、少なくとも長手方向両端部を除く中央部で仕切部材によって仕切られており、
該潜像担持体と対向する箇所を通過した現像剤は、該現像剤攪拌搬送路に直に回収され、該現像剤攪拌搬送路を搬送されてきた現像剤と混合された後に該現像剤供給搬送路へ供給される現像装置であることを特徴とする画像形成装置。」
(18)「像担持体上に形成された静電潜像を現像する際、トナーとキャリアが収容されている現像装置に対して、トナーとキャリアを該現像装置に補給するとともに、該現像装置内の余剰となった現像剤を排出しながら現像を行う画像形成のための電子写真二成分現像剤を収納した現像装置を搭載する画像形成装置であって、
該二成分現像剤の前記キャリアのキャリア粒子が、芯材粒子とこれを被覆する被覆層からなり、該被覆層が、結着樹脂と少なくとも1種類の硬質粒子を含み、該硬質粒子の粒径D1(μm)と該被覆層における樹脂部分の平均厚みh(μm)の比(D1/h)が、1<(D1/h)<10の関係を満たすものであり、
前記現像装置が、磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する箇所で該潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給搬送部材を備えた現像剤供給搬送路と、
該潜像担持体と対向する箇所を通過後の該現像剤担持体上から回収された該現像剤を該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、前記現像剤供給搬送部材と同方向に搬送する現像剤回収搬送部材を備えた現像剤回収搬送路と、
現像に用いられずに該現像剤供給搬送路の搬送方向の最下流側まで搬送された余剰現像剤と、該現像剤担持体から回収され該現像剤回収搬送路の搬送方向の最下流側まで搬送された回収現像剤との供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該余剰現像剤と該回収現像剤とを攪拌しながら該現像剤供給搬送部材とは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送部材を備え、該現像剤を該現像剤供給搬送路に供給する現像剤攪拌搬送路とを有し、
該現像剤回収搬送路、該現像剤供給搬送路及び該現像剤攪拌搬送路からなる3つの現像剤搬送路はそれぞれ仕切り部材により仕切られ、
該現像剤攪拌搬送路と該現像剤回収搬送路とはほぼ同じ高さに設けられ、該現像剤供給搬送路は他の2つの該現像剤搬送路の上方に位置するように設けられ、
該現像剤搬送路にトナーとキャリアとが補給されるとともに、該現像装置内の余剰の現像剤を排出される現像装置であることを特徴とする画像形成装置。」
(19)「トナーとキャリアを補給する現像剤補給装置を有し、該現像剤補給装置が、補給用現像剤を収納する形状が容易に変形する収納容器と該収納容器内の補給用現像剤を吸引して現像装置に供給する吸引ポンプを有することを特徴とする前記(17)項又は(18)項に記載の画像形成装置。」
(20)「像担持体と、少なくとも像担持体上に形成された静電潜像をトナー及びキャリアを含む現像剤により可視像とする現像装置とを、一体に支持し、画像形成装置本体に着脱可能に備えられるプロセスカートリッジであって、前記画像形成装置本体側に前記現像装置に対してトナーとキャリアを補給する手段と、前記現像装置内の余剰となった現像剤を排出する現像剤排出手段とを具備させ、前記現像剤として前記(10)項乃至(16)項のいずれかに記載の電子写真現像剤を用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。」。
【発明の効果】
【0016】
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明の二成分現像方式で、現像剤供給搬送路と現像剤攪拌搬送路とを備えた現像装置、および現像剤供給搬送路、現像剤回収搬送路、現像剤攪拌搬送路を備えた現像装置において、現像剤供給搬送路での現像剤供給を安定化させるべく現像剤搬送速度を高めた場合でも劣化しにくく、かつ、トリクル現像方式を採用することで長期運転時の帯電安定性に更なる余裕度を持たせながらも、現像剤の搬送性に問題が発生しない流動性を持つキャリアとトナーからなる現像剤を用いた画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ、及び、そのための二成分現像剤を提供することができるという極めて優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明を更に詳細に説明する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、二成分現像方式において、現像装置に、現像剤供給搬送路と現像剤攪拌搬送路を備えることで、又は現像剤供給搬送路、現像剤回収搬送路、現像剤攪拌搬送路を備えることで、現像時の画像濃度の不均一や濃度低下を発生させにくくし、また、トナーとキャリアを現像装置に補給するとともに、前記現像装置内の余剰となった現像剤を排出しながら現像を行うことで、帯電量の変化を抑制して画像濃度を安定化させつつ、前記現像方法にて用いられるキャリア粒子の被覆層が、結着樹脂と少なくとも1種類の硬質粒子を含み、該硬質粒子の粒径D1(μm)と該被覆層における樹脂部分の平均厚みh(μm)の比(D1/h)が、1<(D1/h)<10の関係を満たすことで、現像剤供給搬送路に安定して供給できるだけの搬送速度で現像剤を供給しても、かかるストレスに対しての耐久性が充分高く、かつ、耐久性が高いことから、トリクル現像方式を用いながらも帯電付与能力が劣化しにくく、更に、流動性が高く搬送ムラが発生しにくいという、本現像方式における弱点を同時に克服することができる画像形成方法、及びそのための現像剤、キャリアを提供することができるということを見出した。
このように、本発明は、供給部材(1軸目)による供給搬送路、攪拌搬送部材(2軸目)攪拌搬送路のみからなる二つの搬送路を要件とする現像装置、および、供給部材(1軸目)による供給搬送路、攪拌搬送部材(2軸目)攪拌搬送路、回収搬送部材(3軸目)による回収搬送路の3つの搬送路を要件とする現像装置を包含する。どちらにも共通するのは、供給部材によって現像領域に供給された現像剤は、そのまま供給搬送路へは戻らず、直接、もしくは回収搬送路を経由して攪拌搬送路へ送られ、攪拌工程を経てから再度供給搬送路に送られるという点である。以降このような現像方式を本明細書では一方向循環現像と記載することもある。前者の現像方式は、回収搬送部材(3軸目)による回収搬送路がなく、現像領域を通過した現像剤が、攪拌搬送路へ直で送られる(2軸の一方向循環現像方式)が、これに対し、後者の現像方式においては、現像領域を通過した現像剤は一旦回収搬送路に回収され、攪拌搬送路へ送られる(3軸の一方向循環現像方式)。いずれの現像方式においても、現像領域に供給されることなく供給搬送路を通過してきた現像剤と、現像領域を通過して攪拌搬送路若しくは回収搬送路に回収された現像剤は、攪拌搬送路にて混合され、供給搬送路へ送られる。両者の相違の一端は、例えば、後述する3軸の一方向循環現像の実施例1と2軸の一方向循環現像の実施例13の比較から理解することができる。
【0018】
画像形成装置の構成を、2軸の一方向循環現像のように、現像剤回収搬送路を用いらず、潜像担持体を通過した現像剤が現像剤攪拌搬送路に回収され、現像剤攪拌搬送路を搬送されてきた現像剤と混合された後に現像剤供給搬送路へ供給されるようにすると、トナー補給を行なった際の、現像剤中へのトナーの分散及び均一化が非常に早いという利点がある。
画像形成装置内を現像剤が周回しているところにトナーを補給すると、補給直後には、どうしてもトナー濃度の高い箇所とトナー濃度の低い箇所が発生してしまう。トナー濃度を均一にするためには、補給したトナーが速やかに現像剤全体に行き届く必要がある。
現像剤供給搬送路と現像剤攪拌搬送路しか現像剤の搬送経路がない従来の画像形成装置や、3軸の一方向循環現像装置のように、現像剤の周回経路長が決定している画像形成装置の場合、流動する現像剤の流れの中でトナーが補給された部分から最も遠い部分まで補給トナーが行き届くには時間がかかってしまう。そのため、その間に現像領域に供給される現像剤にはトナー濃度にムラが生じてしまう恐れがあり、その場合、出力画像濃度ムラの原因となる。
2軸の一方向循環現像の場合、現像剤供給搬送路に流れ込んだトナー濃度の高い現像剤は、現像剤攪拌搬送路を流れる現像剤に対して現像領域を経由して長手方向全体に回収されるため、現像剤全体に対する補給トナーの行き届きが早い。その結果、トナー濃度の均一化が早く、トナー補給に起因する出力画像の濃度ムラ発生を防ぐことができる。
更に、2軸の一方向循環現像は、現像剤回収搬送路が存在しないため、現像装置をコンパクトなものにすることが可能であるという利点もある。
【0019】
図4は、本実施形態で使用されるキャリアの被覆層を示す説明図である。図4に示すように、本発明で使用されるキャリア粒子は、芯材(26)と、この芯材(26)を被覆する被覆層(27)とを有してなり、この被覆層(27)は、少なくとも結着樹脂、硬質粒子(以下、第1粒子(G1)と示す。)を含み、第1粒子(G1)の粒径D1(μm)は、被覆層(27)における樹脂部分の平均厚みh(μm)に対し、次式1<(D1/h)<10を満たすことが好ましい。
【0020】
芯材(26)を被覆する層としては、被覆層(27)の他に他の層を有することも可能である。また更に、(27)被覆層は、結着樹脂、第1粒子(G1)、第2粒子(G2)の他に、必要に応じて他の成分を含むことも可能である。
【0021】
被覆層(27)における樹脂部分の平均厚み(h)は、芯材(26)表面に対して垂直方向に存在する膜の厚みを表すものであり、芯材(26)表面から被覆層(27)表面までの厚みにおいて、粒子部分を除いた樹脂部分の平均厚みを示すものである。
被覆層(27)における樹脂部分の厚みとしては、芯材(26)表面と粒子との間に存在する樹脂部の厚み(ha)と、各粒子間に存在する樹脂部の厚み(hb)と、粒子上に存在する樹脂部の厚み(hc)と、芯材(26)上に存在する樹脂部の厚み(hd)とがある。
【0022】
被覆層(27)における樹脂部分の平均厚みhは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリアの断面を観察して測定することができる。具体的には、ランダムに選択した少なくとも5個以上のキャリア粒子に対して一粒子あたり、キャリア表面に沿って、0.2μm間隔で被覆層(27)における樹脂部分の厚み(芯材表面と粒子との間に存在する樹脂部の厚み(ha)、粒子間に存在する樹脂部の厚み(hb)、粒子上の樹脂部の厚み(hc)、及び芯材上の樹脂部の厚み(hd))を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて50点測定を行ない、粒子5個それぞれの測定値の平均が粒子5個分から算出される平均値から15%の誤差範囲内であれば、粒子5個分の測定平均値をキャリアの平均厚みhとする。粒子5個分の測定平均値から15%以上離れた粒子がN個存在した場合は、そのN個の値を除外し、新たにN個の粒子について平均厚みhの測定を行い、先に測定し除外されなかった(5-N)個の粒子の値とあわせて再度検定を行なう。この検定を平均厚みhが粒子5個分の平均値から15%の誤差範囲内になるまで繰り返す。12個測定しても15%の誤差範囲に入らなかった場合は、12個分の平均値から最も離れている2個のキャリア粒子の値を除外した10粒の平均値をもって平均厚みhとする。
【0023】
測定値の個数は、芯材(26)表面と粒子との間に存在する樹脂部の厚み(ha)、粒子間に存在する樹脂部の厚み(hb)、粒子上の樹脂部の厚み(hc)、及び芯材(26)上の樹脂部の厚み(hd)をそれぞれ1つと捉えて数える。
例えば、図4で示される測定点(A)では、前記(hb)及び前記(hc)が存在するので、測定点(A)における測定値の個数は2つとなる。
また、上述の測定方法において、50個ある測定値のうち、最後に測定した箇所において、被覆層(27)における樹脂部分の厚みの測定値として複数の測定値(例えば、前記(ha)及び前記(hc))を得た場合には、上記測定値の合計値を、測定値の個数である「49+(最後の測定点における測定値の数)」の値で割った値を、一粒子あたりの被覆層(27)における樹脂部分の平均の値とする。
【0024】
被覆層(27)に含まれる硬質粒子(以下、第1粒子(G1)と示す。)の粒径D1(μm)は、被覆層(27)における樹脂部分の平均厚みh(μm)に対し、1<(D1/h)<10の関係を満たすものとし、より好ましくは1<(D1/h)<5の関係を満たすものである。
第1粒子(G1)の粒径D1と被覆層(27)における樹脂部分の平均厚みhとが、上述の関係式を満たすと、キャリアの被覆層(27)に対して第1粒子(G1)の方が凸となる。この凸部分によって、現像剤を摩擦帯電させるための攪拌を行った時に、トナーとキャリア、又はキャリア同士の摩擦接触によってキャリア被覆層(27)の結着樹脂に与えられる強い衝撃を緩和することができる。これにより、帯電発生箇所である、キャリア被覆層(27)の結着樹脂の膜削れが発生することを抑制することができる。
また、粒子表面に凸部が存在することで、外部との接触点が点となることから、キャリア粒子の流動性が向上する。そのため、このキャリアを用いた現像剤は搬送性が高く、搬送ムラが発生しにくくなり、画像安定性が高まる。
更に、キャリア同士が摩擦接触することによって、上述の被覆層(27)表面に対して凸となって存在する粒子が、キャリア表面に付着したトナーのスペント成分を掻き落とす、クリーニングの効果を得ることができる。これにより、トナースペントの現象が発生するのを効果的に防止することができる。
(D1/h)が1以下であると、第1粒子が結着樹脂中に埋没して、被覆層(27)中に添加された第1粒子(G1)の効果を十分に得ることができないことがある。また、(D1/h)が10以上であると、第1粒子(G1)と結着樹脂との接触面積が小さくなり、第1粒子(G1)のキャリア粒子に対する充分な拘束力が得られず、第1粒子(G1)がキャリア粒子表面から容易に脱離してしまうことがある。
【0025】
被覆層(27)は、被覆層に平均的に適度な強度を持たせるために第2の硬質微粒子(以下、第2粒子(G2)と示す。)を含有することが好ましく、第2粒子(G2)の粒径D2(μm)は、被覆層(27)における樹脂部分の平均厚みh(μm)に対し、0.001<(D2/h)<1を満たすものが好ましく、より好ましくは0.01<(D2/h)<0.5を満たすものが好ましい。
第2粒子(G2)の粒径(D2)を、被覆層(27)の平均厚み(h)よりも小さくすることで、第2粒子(G2)を被覆層(27)中に分散させながら内包することができる。そのため、被覆層の強度を平均的に向上させることができる。
【0026】
また、第2粒子(G2)の体積固有抵抗値は、好ましくは1.0×1012Ω・cm以下、より好ましくは1.0×1010Ω・cm以下、更に好ましくは1.0×10Ω・cm以下である。第2粒子(G2)の体積固有抵抗を1.0×1012Ω・cm以下と低抵抗のものとすることによって、被覆層(27)の帯電付与能力を適切な低さに制御し、最終的に得られる画増の濃度を高めることができる。
【0027】
本発明における第1粒子(G1)及び第2粒子(G2)の体積固有抵抗は、例えば、以下のようにして測定することができる。
内径1インチの円筒状の塩化ビニル管の中に試料を入れ、その上下を電極で挟む。これら電極をプレス機により、15kg/cmの圧力を1分加える。続いて、この加圧した状態で、LCRメータによる測定を行い、抵抗(r)を得る。得られた抵抗値を、下記数式(1)により計算して、体積固有抵抗を求めることができる。
【0028】
【数1】

(ただし、式(1)中、Hは試料の厚みを表す値であり、rは試料の抵抗値を表す値である。)
【0029】
(D2/h)の値が1以上であると、第2粒子(G2)が被覆層(27)の厚みに対して大きすぎるため、分散して被覆層の強度を平均的に向上させるという効果が発揮されにくくなる。また、(D2/h)が0.001以下であると、被覆層(27)厚みに対して第2粒子(G2)の粒径が小さ過ぎるため、効果が得られにくくなる。
【0030】
芯材(26)表面から被覆層(27)表面までの平均厚みT(μm)は、0.1≦T≦3.0であることが好ましく、0.1≦T≦2.0であることがより好ましい。
芯材(26)表面から被覆層(27)表面までの平均厚みTが0.1μm未満であると、キャリア芯材(26)を覆う膜としての被覆層(27)の総厚が薄すぎるため、ランニング経時において、被覆層(27)が削られてキャリア芯材(26)が剥き出しになる現象が起こりやすくなり、キャリアの耐久性が低下する。
また、芯材(26)から被覆層(27)表面までの平均厚みTが3.0μmを超えると、芯材(26)表面に形成される膜厚が厚すぎるため、キャリアの磁化が下がりやすくなり、キャリア付着を生じさせることがある。
【0031】
被覆層(27)における樹脂部分の平均厚みh(μm)は、0.04〜2μmが好ましく、0.04〜1μmがより好ましい。
第1粒子(G1)の粒径D1は、0.05〜3μmであることが好ましく、0.05〜1μmがより好ましい。
第2粒子(G2)の粒径D2は、0.005〜1μmであることが好ましく、0.01〜0.2μmがより好ましい。
ここで、前記第1粒子及び第2粒子の平均粒径の測定方法は、以下のとおりである。 まず、ジューサーミキサーにアミノシランカップリング剤(SH6020、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)30mlにトルエン溶液300mlを入れる。次に、試料6.0gを加え、ミキサー回転速度をlowにセットし、3分間分散する。1,000mlのビーカーに予め用意されたトルエン溶液500mlの中に分散液を適量加えて希釈する。希釈液はホモジナイザーにて常に攪拌を続ける。超遠心式自動粒度分布測定装置(CAPA−700、堀場製作所製)にて体積平均粒径を測定する。
〔CAPA−700測定条件〕
・回転速度:2000rpm
・最小粒度:0.1μm
・分散媒粘度:0.59mPa・s
・最大粒度:2.0μm
・粒度間隔:0.1μm
・分散媒密度:0.87g/cm
・粒子密度:無機微粒子の密度は乾式自動嵩密度計アキュピック1330(島津製作所製)を用いて測定した真比重値を入力する。
【0032】
芯材(26)表面から被覆層(27)表面までの厚みTは、図4に示すように、上述した、被覆層(27)における樹脂部分の平均厚みhとは異なる厚みを表しており、キャリア表面の各地点における芯材(26)表面から被覆層(27)表面までの厚みを示すものである。
図4に示すように、被覆層(27)中に添加された粒子の粒径(D1)が、被覆層(27)における樹脂部分の厚みよりも大きい場合には、この粒子の粒径が、芯材(26)表面から被覆層(27)表面までの厚みTに相当する値となる。
芯材(26)表面から被覆層(27)表面までの平均厚みTは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてキャリア断面を観察し、芯材(26)表面から被覆層(27)表面までの厚みを、キャリア表面に沿って0.2μm間隔で50点測定し、これらの測定値を平均して得られる値である。
【0033】
第1粒子(G1)としては、例えば、アルミナ粒子、シリカ粒子、チタニア粒子、酸化亜鉛粒子などが挙げられ、これらの中でも、アルミナ粒子は、キャリアの被覆材料に用いられる結着樹脂との相性も良く、分散性、接着性の面でも優れているだけではなく、硬度が非常に高いので、現像装置(10)内でのストレスに対し、磨耗、割れが生じ難く、長期にわたって被覆層の保護効果、スペント物掻き取り効果を発揮できるので特に好ましい。
アルミナ粒子としては、粒径3μm以下のアルミナ粒子が好ましく、表面処理をしていないもの、疎水化処理などの表面処理したもの等を用いることができる。
シリカとしては、トナー用に用いられているもの、及びそれ以外のものも用いることができ、表面処理していないもの、疎水化処理など表面処理したもの等を用いることができる。
【0034】
被覆層(27)中に含まれる第1粒子(G1)の含有量は10〜80wt%であることが好ましく、20〜60wt%がより好ましい。
第1粒子(G1)の被覆層(27)における含有量が10wt%未満であると、キャリア粒子表面での結着樹脂の占める割合に比べ、第1粒子(G1)の占める割合が少なすぎるため、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和する効果が小さいので、十分な耐久性が得られないことがある。
一方、80wt%を超えると、キャリア表面での結着樹脂の占める割合に比べ、第1粒子(G1)の占める割合が多すぎるため、帯電発生箇所である結着樹脂の占める割合が不十分となり、十分な帯電能力を発揮できないことがある。更に、結着樹脂量に比べて第1粒子(G1)の量が多すぎるので、結着樹脂による第1粒子(G1)の保持能力が不十分となり、第1粒子(G1)が脱離し易くなり、帯電量や抵抗等の変動量が増加して、十分な耐久性が得られないことがある。
ここで、第1粒子(G1)の被覆層(27)における含有量は、下記式(2)で表される。
【0035】
【数2】

【0036】
第2粒子(G2)としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、表面処理された酸化チタン、表面処理された酸化亜鉛、及び表面処理された酸化スズから選択される少なくとも1種の粒子が好適に用いられる。
これらの粒子は、適度な硬度を持ち、且つ、キャリアのコート材料に用いられる樹脂との相性もよく、分散性、接着性の面でも優れており、特に酸化チタンや表面処理を施した酸化チタンは第2粒子(G2)として好ましい。
また、粒子母体として上記以外のものを使用した場合でも、粒子表面に疎水化処理等の表面処理を施すことで分散性を向上させたり、導電性処理等の表面処理を施すことで粒径及び体積固有抵抗を上述した範囲内にさせたりしたものであれば、上述したのと同様の理由から、良好な効果を得ることができる。
【0037】
被覆層(27)に含まれる第2粒子(G2)の含有量は、2〜50wt%であることが好ましく、2〜30wt%であることがより好ましい。
被覆層(27)における第2粒子(G2)の含有量が多いほど、強度を高める効果は大きいが、第2粒子(G2)の含有量が50wt%を超えると、被覆層(27)内部における第2粒子(G2)の分散状態が大幅に悪化する。粒子の分散状態が悪化すると、被覆層(27)内部で第2粒子(G2)の一部が互いに凝集してしまうため、第2粒子(G2)の効果が平均的には発揮されにくくなる。
一方、第2粒子(G2)の被覆層(27)における含有量が2wt%未満であると、含有量が少なすぎるために、第2粒子(G2)を添加した効果を十分に得ることができない。
第2粒子G2の被覆層(27)における含有量は、下記式(3)によって表される。
【0038】
【数3】

【0039】
キャリア粒子の被覆層(27)に用いられる結着樹脂としては、アクリル樹脂とアミノ樹脂との反応物、及びシリコーン樹脂のいずれかが好適に挙げられる。
アクリル樹脂とアミノ樹脂との反応物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アクリル樹脂とアミノ樹脂との架橋反応物が好適である。
アクリル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)が20〜100℃のものが好ましく、Tg25〜80℃のものがより好ましい。アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)がこの範囲内であると、アクリル樹脂は適度な弾性を有しており、現像剤を摩擦帯電させるための攪拌における、トナーとキャリアとの摩擦あるいはキャリア同士の摩擦で、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触の際、該衝撃を吸収することができ、被覆層を破損することなく維持することが可能となる。
ガラス転移温度(Tg)が20℃未満であると、常温においても結着樹脂がブロッキングするため、保存性が悪く実用上使用できないことがある。一方、ガラス転移温度(Tg)が100℃を超えると、結着樹脂が硬く脆性が高くなり過ぎて衝撃を吸収することができず、その脆さから結着樹脂が削れると共に、該粒子を保持することができず、脱離しやすくなることがある。
また、アミノ樹脂としては、特に制限はなく、従来から知られているアミノ樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グアナミン、メラミンを用いることで、帯電量付与能力を著しく向上させることができる。
【0040】
シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、一般的に知られているシリコーン樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オルガノシロサン結合のみからなるストレートシリコーン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などで変性したシリコーン樹脂、などが挙げられる。
前記シリコーン樹脂は、市販品を用いることができ、ストレートシリコーン樹脂としては、信越化学工業社製のKR271、KR255、KR152;東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSR2400、SR2406、SR2410、等が挙げられる。
前記変性シリコーン樹脂としては、例えば、信越化学工業社製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性);東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)、などが挙げられる。
なお、シリコーン樹脂単体で用いることも可能であるが、架橋反応する成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。
【0041】
キャリア粒子の被覆層(27)に用いられる結着樹脂としては、上述の樹脂以外にも、必要に応じてキャリア用被覆樹脂として一般的に用いられているものを使用することができ、例えば、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
被覆層(27)は、例えば、第1粒子(G1)、第2粒子(G2)、結着樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を芯材(26)の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、転動流動層法、スプレー法などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブチルアセテート、ブチルセロソルブなどが挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
【0043】
本実施形態において使用されるキャリアの芯材(26)の体積平均粒径は特に制限するものではないが、像担持体(1)へのキャリア付着、キャリア飛散防止の点から、体積平均粒径が20μm以上であるものが好ましく、キャリアスジ等の異常画像発生を防止して、画像品質の低下を防止する観点から、100μm以下のものが好ましく、特に、20〜60μmのものを用いることで、近年の高画質化に対して、より好適に応えることができる。
芯材(26)としては、特に制限はなく、電子写真用二成分キャリアとして公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケル、が好適に挙げられる。また、近年著しく進む環境面への影響を配慮し、フェライトであれば、従来の銅−亜鉛系フェライトではなく、例えば、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Mn−Mg−Srフェライト等を用いることが好適である。
具体的には、MFL-35S、MFL-35HS(パウダーテック社製)、DFC-400M、DFC-410M、SM-350NV(同和鉄粉工業社製)が好適な例として挙げられる。
【0044】
本発明のキャリアにおいて、その抵抗率は、好ましくは1×1011〜1×1016[Ω・cm]、より好ましくは1×1012〜1×1014[Ω・cm]である。
キャリアの抵抗率が1×1011[Ω・cm]よりも低いと、現像ギャップ(感光体と現像スリーブ間の最近接距離)が狭くなった場合、キャリアに電荷が誘導されてキャリア付着が発生し易くなる。感光体の線速度、および、現像スリーブの線速度が大きい場合、悪化の傾向が見られる。また、ACバイアスを印加する場合は顕著である。通常、カラートナー現像用キャリアは充分なトナー付着量を得るため、低抵抗のものが使用されることが一般的である。
上記の抵抗範囲のキャリアは、適正なトナー帯電量のもとで使用することにより、充分な画像濃度が得られる。
また、1×1016[Ω・cm]より大きいとトナーと反対極性の電荷が溜まりやすくなり、キャリアが帯電してキャリア付着が起き易くなる。
上記キャリア抵抗率は、次の方法により、測定することができる。
図5に示すように、電極間距離2mm、表面積2×4cmの電極(22a)、(22b)を収容したフッ素樹脂製容器からなるセル(21)にキャリア(23)を充填し、両極間に100Vの直流電圧を印加し、ハイレジスタンスメーター4329A(;横川ヒューレットパッカード株式会社製)にて直流抵抗を測定する。
キャリア抵抗測定の際の充填の度合いは、キャリアをセルにあふれるまで入れたのち、セル全体を20回タッピングしたのち、セルの上面を非磁性でできた水平なへらを用いてセルの上端に沿って一回の操作で平らにかきとる。充填の際に加圧は不要である。
上記キャリアの抵抗率の調整は、芯材粒子上の被覆樹脂の抵抗調整、膜厚の制御によって可能で、また、キャリア抵抗調整のために、導電性微粉末を被覆樹脂層に添加して使用することも可能である。上記導電性微粉末としては、導電性ZnO、Al等の金属又は金属酸化物粉、表面に導電性処理を施した酸化アルミニウム、酸化チタン等の金属微粒子、種々の方法で調製されたSnOまたは種々の元素をドープしたSnO、TiB、ZnB、MoB等のホウ化物、炭化ケイ素、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリ(パラ−フェニレンスルフィド)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子、ファーネスブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。
これらの導電性微粉末は、以下の方法、即ち、コーティングに使用する溶媒、あるいは被覆用樹脂溶液に導電性微粉末を投入後、ボールミル、ビーズミルなどメディアを使用した分散機、あるいは高速回転する羽根を備えた攪拌機を使用することによって均一に分散することができる。
【0045】
本発明を適用した画像形成装置として、複数の感光体が並行配設されたタンデム型のカラーレーザー複写機(以下、単に「複写機」という)の一実施形態について説明する。
図6は、本実施形態に係る複写機の一例の概略構成図である。この複写機はプリンタ部(100)、これを載せる給紙装置(200)、プリンタ部(100)の上に固定されたスキャナ(300)などを備えている。また、このスキャナ(300)の上に固定された原稿自動搬送装置(400)なども備えている。
上記プリンタ部(100)は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組のプロセスカートリッジ(18Y,M,C,K)からなる画像形成ユニット(20)を備えている。各符号の数字の後に付された(Y,M,C,K)は、イエロー、シアン、マゼンダ、ブラック用の部材であることを示している(以下同様)。プロセスカートリッジ(18Y,M,C,K)の他には、光書込ユニット(21)、中間転写ユニット(17)、二次転写装置(22)、レジストローラ対(49)、ベルト定着方式の定着装置(25)などが配設されている。
光書込ユニット(21)は、図示しない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて後述の感光体の表面にレーザ光を照射する。
プロセスカートリッジ(18Y,M,C,K)は、ドラム状の感光体(1)、帯電器、現像装置(4)、ドラムクリーニング装置、除電器などを有している。
【0046】
以下、イエロー用のプロセスカートリッジ(18)について説明する。
帯電手段たる帯電器によって、感光体(1Y)の北面は一様帯電される。帯電処理が施された感光体(1Y)の表面には、光書込ユニット(21)によって変調及び偏向されたレーザ光が照射される。すると、照射部(露光部)の電位が減衰する。この減衰により、感光体(1Y)表面にY用の静電潜像が形成される。形成されたY用の静電潜像は現像手段たる現像装置(4Y)によって現像されてYトナー像となる。
Y用の感光体(1Y)上に形成されたYトナー像は、後述の中間転写ベルト(110)に一次転写される。一次転写後の感光体(1Y)の表面は、ドラムクリーニング装置によって転写残トナーがクリーニングされる。
Y用のプロセスカートリッジ(18Y)において、ドラムクリーニング装置によってクリーニングされた感光体(1Y)は、除電器によって除電される。そして、帯電器によって一様帯電せしめられて、初期状態に戻る。以上のような一連のプロセスは、他のプロセスカートリッジ(18M,C,K)についても同様である。
【0047】
次に、中間転写ユニットについて説明する。
中間転写ユニット(17)は、中間転写ベルト(110)やベルトクリーニング装置(90)などを有している。また、張架ローラ(14)、駆動ローラ(15)、二次転写バックアップローラ(16)、4つの一次転写バイアスローラ(62Y,M,C,K)なども有している。
中間転写ベルト(110)は、張架ローラ(14)を含む複数のローラによってテンション張架されている。そして、図示しないベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ(15)の回転によって図中時計回りに無端移動せしめられる。
4つの一次転写バイアスローラ(62Y,M,C,K)は、それぞれ中間転写ベルト(110)の内周面側に接触するように配設され、図示しない電源から一次転写バイアスの印加を受ける。また、中間転写ベルト(110)をその内周面側から感光体(1Y,M,C,K)に向けて押圧してそれぞれ一次転写ニップを形成する。各一次転写ニップには、一次転写バイアスの影響により、感光体と一次転写バイアスローラとの間に一次転写電界が形成される。
Y用の感光体(1Y)上に形成された上述のYトナー像は、この一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト(110)上に一次転写される。このYトナー像の上には、M,C,K用の感光体(1M,C,K)上に形成されたM,C,Kトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト(110)上には多重トナー像たる4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
中間転写ベルト(110)上に重ね合わせ転写された4色トナー像は、後述の二次転写ニップで図示しない記録シートたる転写紙に二次転写される。二次転写ニップ通過後の中間転写ベルト(110)の表面に残留する転写残トナーは、図中左側の駆動ローラ(15)との間にベルトを挟み込むベルトクリーニング装置(90)によってクリーニングされる。
【0048】
次に、二次転写装置(22)について説明する。
中間転写ユニット(17)の図中下方には、2本の張架ローラ(23)によって紙搬送ベルト(24)を張架している二次転写装置(22)が配設されている。紙搬送ベルト(24)は、少なくとも何れか一方の張架ローラ(23)の回転駆動に伴って、図中反時計回りに無端移動せしめられる。2本の張架ローラ(23)のうち、図中右側に配設された一方のローラは、中間転写ユニット(17)の二次転写バックアップローラ(16)との間に、中間転写ベルト(110)及び紙搬送ベルト(24)を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ユニット(17)の中間転写ベルト(110)と、二次転写装置(22)の紙搬送ベルト(24)とが接触する二次転写ニップが形成されている。そして、この一方の張架ローラ(23)には、トナーと逆極性の二次転写バイアスが図示しない電源によって印加される。この二次転写バイアスの印加により、二次転写ニップには中間転写ユニット(17)の中間転写ベルト(110)上の4色トナー像をベルト側からこの一方の張架ローラ(23)側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。後述のレジストローラ対(49)によって中間転写ベルト(110)上の4色トナー像に同期するように二次転写ニップに送り込まれた転写紙には、この二次転写電界やニップ圧の影響を受けた4色トナー像が二次転写せしめられる。なお、このように一方の張架ローラ(23)に二次転写バイアスを印加する二次転写方式に代えて、転写紙を非接触でチャージさせるチャージャを設けてもよい。
複写機本体の下部に設けられた給紙装置(200)には、内部に複数の転写紙を紙束の状態で複数枚重ねて収容可能な給紙カセット(44)が、鉛直方向に複数重なるように配設されている。それぞれの給紙カセット(44)は、紙束の一番上の転写紙に給紙ローラ(42)を押し当てている。そして、給紙ローラ(42)を回転させることにより、一番上の転写紙を給紙路(46)に向けて送り出される。
給紙カセット(44)から送り出された転写紙を受け入れる給紙路(46)は、複数の搬送ローラ対(47)と、その路内の末端付近に設けられたレジストローラ対(49)とを有している。そして、転写紙をレジストローラ対(49)に向けて搬送する。レジストローラ対(49)に向けて搬送された転写紙は、レジストローラ対(49)のローラ間に挟まれる。一方、上記中間転写ユニット(17)において、中間転写ベルト(110)上に形成された4色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って上記二次転写ニップに進入する。レジストローラ対(49)は、ローラ間に挟み込んだ転写紙を二次転写ニップにて4色トナー像に密着させ得るタイミングで送り出す。これにより、二次転写ニップでは、中間転写ベルト(110)上の4色トナー像が転写紙に密着する。そして、転写紙上に二次転写されて、白色の転写紙上でフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された転写紙は、紙搬送ベルト(24)の無端移動に伴って二次転写ニップを出た後、紙搬送ベルト(24)上から定着装置(25)に送られる。
定着装置(25)は、定着ベルト(26)を2本のローラによって張架しながら無端移動せしめるベルトユニットと、このベルトユニットの一方のローラに向けて押圧される加圧ローラ(27)とを備えている。これら定着ベルト(26)と加圧ローラ(27)とは互いに当接して定着ニップを形成しており、紙搬送ベルト(24)から受け取った転写紙をここに挟み込む。ベルトユニットにおける2本のローラのうち、加圧ローラ(27)から押圧される方のローラは、内部に図示しない熱源を有しており、これの発熱によって定着ベルト(26)を加圧する。加圧された定着ベルト(26)は、定着ニップに挟み込まれた転写紙を加熱する。この加熱やニップ圧の影響により、フルカラー画像が転写紙に定着せしめられる。
【0049】
定着装置(25)内で定着処理が施された転写紙は、プリンタ筐体の図中左側板に突設せしめられたスタック部(57)上にスタックされるか、もう一方の面にもトナー像を形成するために上述の二次転写ニップに戻されるかする。
図示しない原稿のコピーがとられる際には、例えばシート原稿の束が原稿自動搬送装置(400)の原稿台(30)上セットされる。但し、その原稿が本状に閉じられている片綴じ原稿である場合には、コンタクトガラス(32)上にセットされる。このセットに先立ち、複写機本体に対して原稿自動搬送装置(400)が開かれ、スキャナ(300)のコンタクトガラス(32)が露出される。この後、閉じられた原稿自動搬送装置(400)によって片綴じ原稿が押さえられる。
このようにして原稿がセットされた後、図示しないコピースタートスイッチが押下されると、スキャナ(300)による原稿読取動作がスタートする。但し、原稿自動搬送装置(400)にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読取動作に先立って、原稿自動搬送装置(400)がシート原稿をコンタクトガラス(32)まで自動移動させる。原稿読取動作では、まず、第1走行体(33)と第2走行体(34)とがともに走行を開始し、第1走行体(33)に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光が第2走行体(34)内に設けられたミラーによって反射せしめられ、結像レンズ(35)を通過した後、読取センサ(36)に入射される。読取センサ(36)は、入射光に基づいて画像情報を構築する。
このような原稿読取動作と並行して、各プロセスカートリッジ(18Y,M,C,K)内の各機器や、中間転写ユニット(17)、二次転写装置(22)、定着装置(25)がそれぞれ駆動を開始する。そして、読取センサ(36)によって構築された画像情報に基づいて、光書込ユニット(21)が駆動制御されて、各感光体(40Y,M,C,K)上に、Y,M,C,Kトナー像が形成される。これらトナー像は、中間転写ベルト(110)上に重ね合わせ転写された4色トナー像となる。
また、原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給紙装置(200)内では給紙動作が開始される。この給紙動作では、給紙ローラ(42)の1つが選択回転せしめられ、ペーパーバンク(43)内に多段に収容される給紙カセット(44)の1つから転写紙が送り出される。送り出された転写紙は、分離ローラ(45)で1枚ずつ分離されて反転給紙路(46)に進入した後、搬送ローラ対(47)によって二次転写ニップに向けて搬送される。このような給紙カセット(44)からの給紙に代えて、手差しトレイ(51)からの給紙が行われる場合もある。この場合、手差し給紙ローラ(50)が選択回転せしめられて手差しトレイ(51)上の転写紙を送り出した後、分離ローラ(52)が転写紙を1枚ずつ分離してプリンタ部(100)の手差し給紙路(53)に給紙する。
【0050】
本複写機は、2色以上のトナーからなる他色画像を形成する場合には、中間転写ベルト(110)をその上部張架面がほぼ水平になる姿勢で張架して、上部張架面に全ての感光体(1Y,M,C,K)を接触させる。これに対し、Kトナーのみからなるモノクロ画像を形成する場合には、図示しない機構により、中間転写ベルト(110)を図中左下に傾けるような姿勢にして、その上部張架面をY,M,C用の感光体(1Y,M,C)から離間させる。そして、4つの感光体(1Y,M,C,K)のうち、K用の感光体(1K)だけを図中反時計回りに回転させて、Kトナー像だけを作像する。この際、Y,M,Cについては、感光体だけでなく、現像器も駆動を停止させて、感光体や現像剤の不要な消耗を防止する。
本複写機は、複写機内の下記機器の制御を司るCPU等から構成される図示しない制御部と、液晶ディスプレイや各種キーボタン等などから構成される図示しない操作表示部とを備えている。操作者は、この操作表示部に対するキー入力操作により、制御部に対して命令を送ることで、転写紙の片面だけに画像を形成するモードである片面プリントモードについて、3つのモードの中から1つを選択することができる。この3つの片面プリントモードとは、ダイレクト排出モードと、反転排出モードと、反転デカール排出モードとからなる。
【0051】
図7は、4つプロセスカートリッジ(18Y,M,C,K)のうちの1つが備える現像装置(4)及び感光体(1)を示す拡大構成図である。4つのプロセスカートリッジ(18Y,M,C,K)は、それぞれ扱うトナーの色が異なる点の他がほぼ同様の構成になっているので、同図では「4」に付すY,M,C,Kという添字を省略している。
図7に示すように感光体(1)は図中矢印G方向に回転しながら、その表面を不図示の帯電装置により帯電される。帯電された感光体(1)の表面は不図示の露光装置より照射されたレーザ光により静電潜像を形成された潜像に現像装置(4)からトナーを供給され、トナー像を形成する。
現像装置(4)は、図中矢印I方向に表面移動しながら感光体(1)の表面の潜像に現像剤を供給し、現像する現像剤担持体としての現像ローラ(5)を有している。また、現像ローラ(5)に現像剤を供給しながら図7の奥方向に現像剤を搬送する現像剤供給搬送部材としての供給スクリュ(8)を有している。
現像ローラ(5)の供給スクリュ(8)との対向部から表面移動方向下流側には、現像ローラ(5)に供給された現像剤を現像に適した厚さに規制する現像剤規制部材としての現像ドクタ(12)を備えている。
現像ローラ(5)の感光体(1)との対向部である現像部から表面移動方向下流側には、現像部を通過した現像済みの現像剤を回収し、回収した回収現像剤を供給スクリュ(8)と同方向に搬送する現像剤回収搬送部材としての回収スクリュ(6)を備えている。供給スクリュ(8)を備えた現像剤供給搬送路である供給搬送路(9)は現像ローラ(5)の横方向に、回収スクリュ(6)を備えた現像剤回収搬送路としての回収搬送路(7)は現像ローラ(5)の下方に並設されている。
現像装置(4)は、供給搬送路(9)の下方で回収搬送路(7)に並列して、現像剤攪拌搬送路である攪拌搬送路(10)を設けている。攪拌搬送路(10)は、現像剤を攪拌しながら供給スクリュ(8)とは逆方向である図中手前側に搬送する現像剤攪拌搬送部材としての攪拌スクリュ(11)を備えている。
供給搬送路(9)と攪拌搬送路(10)とは仕切り部材としての第一仕切り壁(133)によって仕切られている。第一仕切り壁(133)の供給搬送路(9)と攪拌搬送路(10)とを仕切る箇所は図中手前側と奥側との両端は開口部となっており、供給搬送路(9)と攪拌搬送路(10)とが連通している。
なお、供給搬送路(9)と回収搬送路(7)とも第一仕切り部材(133)によって仕切られているが、第一仕切り壁(133)の供給搬送路(9)と攪拌搬送路(7)とを仕切る箇所には開口部を設けていない。
また、攪拌搬送路(10)と回収搬送路(7)との2つの搬送路は仕切り部材としての第二仕切り壁(134)によって仕切られている。第二仕切り壁(134)は、図中手前側が開口部となっており、攪拌搬送路(10)と回収搬送路(7)とが連通している。
現像剤搬送部材である供給スクリュ(8)、回収スクリュ(6)及び攪拌スクリュ(11)は樹脂のスクリュからなっており、一例としては、各スクリュ径を全てφ18[mm]、スクリュピッチを25[mm]、回転数を約600[rpm]としたものが挙げられる。
【0052】
現像ローラ(5)上にステンレスからなる現像ドクタ(12)によって薄層化された現像剤を感光体(1)との対抗部である現像領域まで搬送し現像を行う。現像ローラ(5)の表面はV溝あるいはサンドブラスト処理されており、構成の一例としては、φ25[mm]のAl[アルミ]素管を用い、現像ドクタ(12)及び感光体(1)とのギャップを0.3[mm]程度にしたものが挙げられる。
現像後の現像剤は回収搬送路(7)にて回収を行い、図7中の断面手前側に搬送され、非画像領域部に設けられた第一仕切り壁(133)の開口部で、攪拌搬送路(10)へ現像剤が移送される。なお、攪拌搬送路(10)における現像剤搬送方向上流側の第一仕切り壁(133)開口部の付近で攪拌搬送路(10)の上側に設けられたトナー補給口から攪拌搬送路(10)にトナーが供給される。
【0053】
次に、3つの現像剤搬送路内での現像剤の循環について説明する。
図8は現像剤搬送路内の現像剤の流れを説明する現像装置(4)の斜視断面図である。図中の各矢印は現像剤の移動方向を示している。
また、図9は、現像装置(4)内の現像剤の流れの模式図であり、図8と同様、図中の各矢印は現像剤の移動方向を示している。
攪拌搬送路(10)から現像剤の供給を受けた供給搬送路(9)では、現像ローラ(5)に現像剤を供給しながら、供給スクリュ(8)の搬送方向下流側に現像剤を搬送する。そして、現像ローラ(5)に供給され現像に用いられず供給搬送路(9)の搬送方向下流端まで搬送された余剰現像剤は第一仕切り壁(133)の開口部より攪拌搬送路(10)に供給される(図9中矢印E)。
現像ローラ(5)から回収搬送路(7)に送られ、回収スクリュ(6)によって回収搬送路(7)の搬送方向下流端まで搬送された回収現像剤は第二仕切り壁(134)の開口部より攪拌搬送路(10)に供給される(図9中矢印F)。
そして、攪拌搬送路(10)は、供給された余剰現像剤と回収現像剤とを攪拌し、攪拌スクリュ(11)の搬送方向下流側であり、供給スクリュ(8)の搬送方向上流側に搬送し、第一仕切り壁(133)の開口部より供給搬送路(9)に供給される(図9中矢印D)。
攪拌搬送路(10)では攪拌スクリュ(11)によって、回収現像剤、余剰現像剤及び移送部で必要に応じて補給されるトナーを、回収搬送路(7)及び供給搬送路(9)の現像剤と逆方向に攪拌搬送する。そして、搬送方向下流側で連通している供給搬送路(9)の搬送方向上流側に攪拌された現像剤を移送する。なお、攪拌搬送路(10)の下方には、不図示のトナー濃度センサが設けられ、センサ出力により不図示のトナー補給制御装置を作動し、不図示のトナー収容部からトナー補給を行っている。
図9に示す現像装置(4)では、供給搬送路(9)と回収搬送路(7)とを備え、現像剤の供給と回収とを異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が供給搬送路(9)に混入することがない。よって、供給搬送路(9)の搬送方向下流側ほど現像ローラ(5)に供給される現像剤のトナー濃度が低下することを防止することができる。また、回収搬送路(7)と攪拌搬送路(10)とを備え、現像剤の回収と攪拌とを異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が攪拌の途中に落ちることがない。よって、十分に攪拌がなされた現像剤が供給搬送路(9)に供給されるため、剤供給搬送路(9)に供給されるの現像剤が攪拌不足となることを防止することができる。このように、供給搬送路(9)内の現像剤のトナー濃度が低下することを防止し、供給搬送路(9)内の現像剤が攪拌不足となることを防止することができるので現像時の画像濃度を一定にすることができる。
【0054】
図16は、感光体(1)を用いた画像形成装置に、本発明の現像装置(3)を用いたときの感光体(1)まわりの概略を示した各部材配置構成図である。
現像装置(3)はケーシング(301)内に、現像剤(320)を現像剤供給搬送路で撹拌搬送する現像剤供給搬送部材(304)及び現像剤攪拌搬送路で撹拌搬送する現像剤撹拌搬送部材(305)、現像ローラ(302)などの回転部材及びその他の部材を具備している。現像ローラ(302)はその長手方向の寸法が感光体(1)の長手方向と略同じ長さを有している。
現像ローラ(302)は感光体(1)に近接して対向させることで現像ニップ領域Aを構成するようにして近接配置されている。この感光体(1)との対向部位に相当するケーシング(301)の部位は現像ローラ(302)を露出させるため開口している。
現像ローラ(302)によりケーシング(301)内の現像剤(320)は現像ニップ領域(A)へ搬送されるようになっている。現像ニップ領域(A)で感光体(1)の表面に形成されている静電潜像に現像剤(320)中のトナーが付着してトナー像として顕像化される。
現像装置(3)は、ケーシング(301)の内部に現像ローラ(302)、現像剤供給搬送部材(304)、現像剤撹拌搬送部材(305)、現像剤規制部材(303)を有し、現像剤(320)を撹拌搬送して循環させている。
現像ローラの周囲に円筒状に位置するスリーブ(302c)は、アルミ等の非磁性の金属で形成されている。マグネットローラー(302d)は、各磁石MGが所定の方向を向くように不動部材、例えば、ケーシング(301)に固定されており、その周囲をスリーブ(302c)が回転して、現像ローラ内部に設けたマグネットローラー(302d)の円周方向に配置した、複数の磁石MGによって引き付けた現像剤(320)を搬送していく。
現像ローラ(302)と感光体(1)は現像ニップ領域(A)で直接には接触せずに、現像に適する一定の間隔、現像ギャップ(GP1)を保持して対向している。
現像ローラ(302)上において現像剤(320)を穂立ちさせ、現像剤(320)を感光体(1)に接触させることで、感光体(1)表面の静電潜像にトナーを付着させて顕像化する。
この現像装置(3)では、固定軸(302a)には接地されたバイアス用の電源VP(図示せず)が接続されている。固定軸(302a)に接続された電源VPの電圧は、スリーブ(302c)に印加される。一方、感光体(1)を構成する最下層の導電性支持体(図示せず)は接地されている。
こうして、現像ニップ領域(A)には、キャリアから離脱したトナーを感光体(1)側へ移動させる電界を形成しておき、スリーブ(302c)と感光体(1)の表面に形成された静電潜像との電位差によりトナーを感光体(1)側に向けて移動させることに供している。
なお、本例の現像装置は、露光用の光で書き込む方式の画像形成装置と組み合わせている。帯電装置(2)により感光体(1)上に一様に負極性の電荷を乗せ、書き込み量を少なくするために文字部を露光用の光で露光することで、低下した電位の文字部(静電潜像)に負極性のトナーで現像する所謂反転現像方式を採用している。これは一例であり、本発明の現像方式の中で、感光体(1)に乗せる帯電電荷の極性は大きな問題ではない。
現像後、現像ローラ(302)上に担持された現像後の現像剤(320)は現像ローラ(302)の回転と共に下流側に搬送され、ケーシング(301)内に引き入れられる。該ケーシング(301)の一部はスリーブ(302c)の周面に近接して沿う湾曲形状をしており、シール効果により所謂トナー飛散防止機能を果たしている。
引き入れられた現像剤には、それまで現像ローラ(302)周囲に引き寄せていた現像剤(320)を現像ローラ(302)から引き離す“剤離し”の作用が働き、剤離し領域(図16に符号(9)で示す。)が形成される。
感光体(1)にトナーを付着させた現像剤(320)は、現像剤中のトナー濃度が下がっているため、このトナー濃度が低下した現像剤が現像ローラ(302)から離れずに再度現像ニップ領域(A)に搬送され現像に供給されると、狙いの画像濃度を得ることが出来ないという不具合が生じてしまう。
これを防止するため、本例では、現像後の剤離し領域(9)で、現像ローラ(302)から現像剤を離す。現像ローラ(302)から離した現像剤はその後、狙いのトナー濃度、トナー帯電量になるように、ケーシング(301)内で十分に撹拌混合する。
こうして、狙いのトナー濃度、帯電量にされた現像剤が、現像ローラ上の剤汲み上げ領域(図16に符号(10)で示す)で、現像ローラ(302)に汲み上げられる。
現像ローラ(302)に引き付けられ、所謂汲み上げられた現像剤は現像剤規制部材(303)を通過することにより、所定の厚さに整えられて、磁気ブラシを形成しながら現像ニップ領域Aに搬送される。
【0055】
以下、必要に応じて、現像装置の内部の構成を組み立て状態で示した図17及び分解状態で示した図18等をも参照しつつ、各部材の配置構成などを説明する。図16に示したように、現像剤供給搬送部材(304)は現像ローラ(302)のまわりの位置で、剤汲み上げ領域(10)の近傍に配置されている。この位置は現像剤規制部材(303)の上流側でもある。図17、18に示すように、現像剤供給搬送部材(304)は回転軸の回りにスパイラルを設けたスクリュー形状をしており、現像ローラ302の中心O―302を通る中心線O―(302a)と平行な中心線O−(304a)を中心に回転し、該中心線O−(304a)の長手方向奥側から手前側に向けて矢印(11)で示すように現像剤を撹拌しながら搬送する。つまり、現像剤供給搬送部材(304)は回転軸の回転により現像剤をその軸方向に搬送する。
現像剤撹拌搬送部材(305)は現像ローラ(302)のまわりの位置で、剤離し領域(9)の近傍に配置されている。図17に示すように、現像剤撹拌搬送部材(305)は回転軸の回りにスパイラルを設けたスクリュー形状をしており、現像ローラ(302)の中心O―(302)を通る中心線O−(302a)と平行な中心線O−(305a)を中心に回転し、中心線O−(305a)の長手方向手前側から奥側側に向けて矢印(12)で示すように現像剤を撹拌しながら搬送する。つまり、現像剤撹拌搬送部材(305)は回転軸の回転により現像剤を現像剤供給搬送部材(304)による搬送方向と逆向きに搬送する。
現像剤供給搬送部材(304)に対して現像剤撹拌搬送部材(305)は斜め上方に位置する関係となっているのが好ましく、ケーシング(301)内で現像剤供給搬送部材(304)周囲の空間と現像剤撹拌搬送部材(305)周囲の空間とは隣接している。
現像剤供給搬送部材(304)及び現像剤撹拌搬送部材(305)の奥側端部は現像ローラ(302)の奥側端部よりも若干奥側に位置するように設定して、現像ローラ(302)の奥側端部の現像剤の供給を確保している。また、現像剤供給搬送部材(304)及び現像剤撹拌搬送部材(305)の手前側端部は現像ローラ(302)の手前側端部よりも手前側に位置するようにして後述するトナー補給のためのスペースを確保している。現像剤規制部材(303)は現像ローラ(302)の長さに合わせて設置されている。
現像剤供給搬送部材(304)と現像剤撹拌搬送部材(305)の間であって、現像ローラ(302)の長手方向両端部を除く中央部で、現像剤供給搬送部材(304)周囲の空間と現像剤撹拌搬送部材(305)周囲の空間とを遮蔽する仕切板(306)がケーシング(301)の現像ローラ(302)から離れる側の内壁と一体に片持ち支持状に形成されている。
仕切板(306)はその長手方向については、現像ローラ(302)の長手方向両端部を除く中央部に位置し、現像ローラ(302)の長手方向両端部に対応する部位には無い。一方、現像剤供給搬送部材(304)及び現像剤撹拌搬送部材(305)の各長手方向端部は現像ローラ(302)の長手方向両端部まで及んでいる。
現像剤撹拌搬送部材305で矢印(12)の向きに搬送された現像剤はその搬送方向端部でケーシング(301)の側壁で進路を絶たれるため該側壁に沿って現像剤供給搬送路へ移動し、矢印(13)に沿って現像剤供給搬送部材(304)により該現像剤供給搬送路を移動する。
同様に、現像剤供給搬送部材(304)で矢印(11)の向きに搬送された現像剤はその搬送方向端部でケーシング(301)の側壁で進路を絶たれるために該側壁に沿って移動し、矢印(14)に沿って現像剤撹拌搬送部材(305)により該現像剤撹拌搬送路を移動する。
仕切板(306)はその長手方向については、現像ローラ(302)の長手方向両端部を除く中央部に位置するようにしたのは、その長手方向の端部での矢印(13)、(14)の現像剤の流れを可能にして、全体として矢印(11)、(14)、(12)、(13)に沿う循環搬送路を形成するためである。
なお、図示の例では、仕切板(306)はその奥側の端部近傍に開口(307)を設けていて、この開口(307)を介して現像剤撹拌搬送路から現像剤供給搬送路への現像剤の移動を行なうようにしているので、現像ローラ(302)の長手方向奥側端部まで仕切板(306)が及ぶ構成とすることもできる。
こうして、本発明の現像装置(3)は、現像剤を担持して回転し感光体(1)に形成された静電潜像を可視像化する現像ローラ(302)と、現像ローラ(302)に現像剤を汲み上げる剤汲み上げ領域(10)の近傍に配置されていて現像ローラ(302)の中心線O−(302a)と平行な中心線O−(304a)を中心に回転し、その中心線O−(304a)の長手方向に現像剤を撹拌しつつ搬送する現像剤供給搬送部材(304)と、現像ローラ(302)から現像剤を離す剤離し領域(9)の近傍に配置されていて、現像ローラ(302)の中心線(302a)と平行な中心線(305a)を中心に回転し、現像剤供給搬送部材(304)が現像剤を搬送する向きの反対の向きに現像剤を撹拌しつつ搬送する現像剤撹拌搬送部材(305)と、現像剤供給搬送部材(304)と現像剤撹拌搬送部材(305)の間であって、かかる構成では、現像装置3内、つまりケーシング、現像ローラ(302)の長手方向両端部を除く中央部で、現像剤供給搬送路と現像剤撹拌搬送路を遮蔽する仕切板(306)とを有する構成により、矢印(11)、(14)、(12)、(13)に沿う循環搬送路を構成する(301)内の現像剤供給搬送部材(304)、現像剤攪拌搬送部材(305)が現像ローラ(302)の横に2本並べて配置されることから、現像ローラから離れる方向(水平方向に)に2つの撹拌搬送部材を配置する図7に示した技術に比べて、現像装置の横(水平方向)の大きさを小さくすることができる。
さらに、こうして、水平方向のコンパクト化を図った現像装置(3)においても、仕切板(306)により現像ローラ(302)の長手方向両端部を除く中央部で現像剤供給搬送部材(304)周囲と現像剤撹拌搬送部材(305)周囲の空間が仕切られているので、現像ローラ(302)に対しては現像剤供給搬送部材(304)により、トナーとキャリアを十分に撹拌混合された現像剤(320)のみが供給され、現像直後のトナー濃度の下がった現像剤は専ら現像剤撹拌搬送部材(305)により撹拌搬送されるだけで、直ぐに現像ローラ320に供給されることがないので、現像ローラ(320)へは狙いの帯電量を持ったトナーだけが現像に用いられることとなり、高画質を得ることができる。
仕切板(306)は、現像剤供給搬送部材(304)が撹拌搬送する現像剤(320)を支えて現像剤搬送経路を形成すると共に、剤離し領域(9)で該仕切部材(306)上流側にて現像ローラ(302)から離され現像剤撹拌搬送部材(305)により撹拌搬送される現像剤が再度現像ローラ(302)に引き付けられて、現像剤供給搬送部材(304)により撹拌される空間へ移動するのを防止する。
この機能をより確実にするため、好ましくは現像ローラ(302)の外周部と仕切板(306)との間隔、仕切板ギャップ(GP2)を、0.2〜1mm程度のギャップに保持する。0.2mm未満では現像ローラ(302)の回転時の偏心により仕切板(306)が現像ローラにぶつかるおそれがあり、1mmを超えると穂切り性能が不完全になるからである。これにより、仕切板(306)の設定位置を剤離し領域9の任意の位置にしても十分な機能を得る。つまり、仕切板設定位置の自由度が増す。
さらに、剤離し領域(9)からずれた配置としても、仕切板としての機能を得ることは可能である。しかし、剤離し領域(9)からずれた配置とした場合には、仕切板が多量の現像剤を規制するケースも生じ得ることから、現像剤が受けるストレスが大となり、好ましくない。
その場合、現像ローラ(302)を間にして感光体(1)と反対側の現像ローラ(302)の周りに剤離れ領域(9)が位置し、現像ローラの回転方向上で剤離れ領域(9)の下流側に隣接して剤汲み上げ位置(10)が位置する構成とし、剤離し領域(9)と剤汲み上げ位置(10)との間で、現像ローラ(302)の周囲に現像剤が付着する量が最も少ない位置に、現像剤供給搬送路の空間と、現像剤撹拌搬送路の空間を遮蔽するようにして、仕切板(306)を設け、かつ、仕切板(306)の現像ローラ(302)側の端部を現像ローラ(302)に対向させた構成とすることが好ましい。
このような構成であれば、前記仕切板ギャップ(GP2)の0.2〜1mmの設定をしなくてもこの仕切板が設けられる部位では現像ローラ(302)の周囲に現像剤が付着する量が最も少ない位置であるので、仕切板(306)の機能を発揮できる。また、該仕切板により規制されることで現像剤が受けるストレスを最小限にすることができる。つまり、仕切板設定時のギャップ管理を緩和できる。尤も、その上で仕切板ギャップ(GP2)を0.2〜1mmの設定にする条件をさらに付加した構成とすれば、現像剤に与えるストレスをより少なくすることが可能となる。
【0056】
図17、18に示したように、現像剤撹拌搬送部材(305)は現像ローラ(302)から離された現像剤(320)を撹拌しながら現像装置の奥側に矢印(12)の向きに搬送する。現像剤撹拌搬送路の搬送方向下流側、現像装置の奥側の端部では、図17、18に示すように仕切板(306)の一部に開口(307)が設けてあり、現像剤撹拌搬送部材(305)により搬送された現像剤(320)が、現像剤供給搬送路へ矢印(307)の向きに移動していく。
【0057】
図18に示すように、現像剤撹拌搬送部材(305)による現像剤の搬送方向下流部では、開口(307)に対応する範囲で、スクリュー部に代えて羽根車(308)の構成としても良い。
この羽根車(308)は現像剤撹拌搬送部材(305)の軸部(305J)について軸心(中心線O−(305a))から法線方向に板状に延びる複数枚の羽根状部材を設けた構成であり、その回転に伴って現像剤(320)を跳ねる機能を有する。
現像剤撹拌供給部材(304)の中心O−(304)と現像剤撹拌搬送部材(305)の中心O−(305)とは略同一鉛直線上にあり、羽根車308が回転することで、ケーシング(301)の内壁に沿って現像剤(320)を跳ねる。開口(307)はこの跳ねによる現像剤の進路を妨げないように、中心O−(304)と中心O−(305)とを結ぶ略鉛直線よりも僅かにケーシング内壁寄りの位置からケーシング内壁部に及ぶように形成すると好ましい。
現像剤供給搬送部材(304)の回転方向は、現像ローラ(1)と逆向きにすることが好ましい。一般に、スクリューは、被搬送物を軸方向に送りながら、回転方向に寄せる作用があるので、現像剤供給搬送部材(304)は現像剤(320)を現像剤供給搬送路で現像ローラ(302)に寄せながら搬送することになる。従って、現像ローラ(302)への連続した現像剤供給が可能になる。
現像剤撹拌搬送部材(305)を現像ローラ(302)と同じ向きに回転させていると、現像剤(320)を現像ローラ(302)から離れた方向に寄せながら搬送することになり、剤離し領域(9)で磁気力や仕切板(306)などにより一度現像ローラ(302)から離された現像剤が現像ローラ(302)に再度付着することが防止される。よって、現像後のトナー濃度が低下した現像剤が現像剤供給搬送部材(304)の領域に搬送されることを防ぐことができる。
現像装置(3)内の現像剤(320)は、現像動作を繰り返す内にトナーが消費されていくので、現像装置外部から装置内の現像剤に対してトナーを補給する必要がある。現像ローラ(302)から現像剤(320)が離される剤離し領域(9)の近傍に配置した現像剤撹拌搬送路の上流側端部部、即ち、現像装置の手前側の端部近傍に設けた現像剤の補給部より外部などからトナーの補給を行なうと、補給されたトナーが直ちに現像に供されることがなく、現像剤撹拌搬送部材(305)で撹拌され、安定した所定のトナー濃度で現像に供される。
現像剤撹拌搬送路は、現像ローラ(302)に対しては、離れた現像剤(320)を回収するのみであり、現像ローラ(302)へのトナー供給は行なわないので、補給用開口(310)から新しく補給されたトナーにより十分に撹拌されていない、トナー濃度が不均一な状態の現像剤が現像に供されることがない。
補給トナーは、現像ローラ(302)から離れた、トナー濃度の低下した現像剤(320)と共に撹拌混合されながら、現像装置(3)の奥側まで搬送される。それまでにトナー濃度は正常化され、現像剤供給搬送部材(304)により手前側に搬送されながら現像ローラ(302)に供給され現像に使用される。
本例に係る現像装置(3)では、現像剤供給搬送部材(304)で搬送される現像剤(320)は、手前側に向けて搬送されながら、現像ローラ(302)に汲み上げられる。現像ローラ(302)に汲み上げられた現像剤(320)は、磁気ブラシを介して感光体1に接触して現像に供された後、現像装置(3)内で剤離し領域(9)で現像ローラ(302)から離され、現像剤撹拌搬送部材(305)により、奥側へ向けて搬送される。
このような現像剤循環系路は図17、18等で矢印(11)、(14)、(12)、(13)で説明したとおりであるが、現像剤供給搬送部材(304)により手前側まで搬送される前に現像に使用されることから、現像剤撹拌搬送部材(305)により奥側へ戻される現像剤が多くなり、現像剤(320)が奥側に溜まる傾向にある。これを放置すると剤の円滑な循環が阻害される可能性がある。
これは、現像剤供給搬送部材(304)の現像剤搬送能力を現像剤撹拌搬送部材(305)よりも大きくすることで、現像剤供給搬送部材(304)による単位時間あたりの現像剤搬送量を現像剤撹拌搬送部材(305)による単位時間あたりの現像剤搬送量よりも大きくし、奥行方向における現像剤の搬送バランスをとることで解決できる。これにより、円滑な現像剤の循環が長期にわたり維持できる。
現像剤撹拌搬送部材(305)に対して、現像剤供給搬送部材(304)のスクリューの外径を大きくすることで現像剤撹拌搬送部材(305)の現像剤搬送能力を上げることができる。現像剤供給搬送部材(304)のスクリューのスパイラルピッチを大きくすること、回転数を大きくすること、また、現像剤供給搬送部材(304)による現像剤搬送経路の空間を大きくすることによっても、同様の利益を得ることができる。
【0058】
本実施形態では、現像剤収容器(230)内に、芯材(26)表面を被覆する被覆層(27)中に第1粒子(G1)及び第2粒子(G2)が含まれた、上記詳細に説明したキャリア(図4参照。)が収容されている。画像形成装置(100)では、現像剤収容器(230)内部から現像剤収容部(14)内に、このキャリアを含んだ補給用現像剤が補給される。
【0059】
現像剤収容部(14)内に補給されたトナーとキャリアは、搬送スクリュー(11)によって、初期から収容されているトナーとキャリアと共に混合される。トナーとキャリア、あるいはキャリア同士が互いに強く接触するため、この部位では摩擦によってキャリア表面の膜削れが特に発生しやすい。
しかし、本発明における現像剤に含まれるキャリアは、第1粒子(G1)の一部が、被覆層(27)に対して凸となって存在している。このため、上述したように、攪拌混合の際に被覆層(27)に対してトナーや他のキャリア粒子が接触しても、この被覆層(27)表面の凸部によって、その衝撃が緩和される。このため、キャリア表面の膜削れが発生する割合を、大きく抑えることができる。
【0060】
更に、攪拌時においてキャリア表面に付着したトナーのスペント成分が、この凸となって存在する第1粒子によって掻き落とされるため、トナースペントの発生が防止される。また更に、第2粒子(G2)によって被覆層の強度が高くなっており、膜削れ自体が発生しにくい。そのため、現像剤収容部(14)内の現像剤は、より安定した帯電制御効果を長く維持することができる。
【0061】
本発明において、現像装置に収容されている現像剤中のキャリアの重量比率は、85wt%以上98wt%未満であることが好ましい。85wt%未満であると現像装置からのトナーの飛散が発生しやすくなり、不良画像の原因となる。98wt%以上であると、トナーの帯電量が過度に上昇したり、トナーの供給量が不足したりするため、画像濃度が低下し、不良画像の原因となる。
【0062】
次に、現像装置周辺の構成について説明する。図10は、本発明の画像形成装置に備えられる現像剤供給装置の構造を示す概略断面図である。図10において、現像装置(10)の上方には現像装置(10)内に新規なトナーとキャリアからなる現像剤を補給する現像剤補給装置(200)が備えられており、現像装置(10)の下方には、現像装置(10)内で過剰となった現像剤を排出する現像剤排出装置(300)が備えられている。この図10では、それぞれ仕切り部材により仕切られた現像剤供給搬送路、現像剤回収搬送路、現像剤攪拌搬送路は図示を省略されており、したがって、これら3つの現像剤搬送路の高さ位置関係についても図示を省略している。図7〜9は、ここで図示を省略した仕切り部材により仕切られた現像剤供給搬送路、現像剤回収搬送路、現像剤攪拌搬送路をもつ現像方式を図示したものである。
【0063】
現像装置(10)では、劣化したキャリアの大半は、現像剤排出装置(300)によって排出される。しかし、劣化したキャリアの一部は、長期にわたって現像剤収容部(14)内に残留する可能性もゼロではなく、また、画像形成装置(100)において、トナーの消費量が少ない場合には、現像剤収容部(14)におけるキャリアの交換量が少なく、キャリアが現像剤収容部(14)内に滞留する期間が長くなる場合がある。
本実施形態では、現像剤収容器(230)内の補給用現像剤が補給される前から、現像剤収容部(14)内に収容されている現像装置内現像剤にも、補給用現像剤に使用したキャリアと同一キャリアが使用されている。このため、現像剤の交換量が低い場合や、初期から収容されているキャリアの一部が現像剤収容部(14)から排出されずに残留した場合にも、上述したのと同様の機構によって、現像剤収容部(14)内におけるキャリアの劣化が抑えられて、長期間の使用後においても、現像剤の帯電性が安定した状態を保つことができる。
【0064】
現像剤補給装置(200)は、補給用の二成分現像剤を収容する現像剤収容器(230)と、現像剤収容器(230)内の二成分現像剤を現像剤収容部(14)に送り出して供給する現像剤補給器(220)とから構成されている。現像剤補給器(220)は、現像剤収容器(230)と現像装置(10)との間に、それぞれに接続して備えられている。
現像剤補給装置(200)の詳細な構成については、後に図10を用いて説明する。
【0065】
現像剤排出装置(300)は、現像剤収容部(4)内で過剰になった二成分現像剤を回収する回収容器(330)と、過剰になって現像剤収容部(14)から溢れ出る現像剤を回収容器(330)に送る現像剤排出手段としての排出パイプ(331)とで構成されている。排出パイプ(331)は、その上部開口(331a)が現像剤収容部(14)内の所定高さに位置するように配設されており、その所定高さにある上部開口(331a)を乗り越える分の現像剤を排出するようになっている。
なお、本発明の現像剤排出装置としては、上記の構成に限られるものではなく、例えばハウジング(15)の所定の箇所に現像剤排出口を開設し、排出パイプ(331)の代わりに、現像剤排出口の近傍に現像剤排出手段としての排出スクリュ等の搬送部材を設置して、現像剤排出口から排出された現像剤を回収容器(330)に搬送することとしてもよい。
また、本実施形態の排出パイプ(331)の端部又は内部に、この排出スクリュを備えることも可能である。
【0066】
本発明の補給用現像剤とは、少なくともトナーとキャリアとを含むものである。現像剤収容器(230)に収容されている、補給用現像剤のトナーとしては後述のトナーが使用可能であり、そのキャリアとしては、図4に示すように、芯材(26)に所定の粒子を有してなる被覆層(27)を形成した、磁性のキャリアが使用可能である。
【0067】
また、現像装置内現像剤のトナーとしては、現像剤収容器(230)に収容されているトナーと同じものでも、異なるトナーでも使用することができ、また、キャリアとしても、現像剤収容器(230)に収容されているキャリアと同じものでも、異なるキャリアでも使用することができる。
【0068】
本実施形態の画像形成装置(100)は、形状が容易に変形する現像剤収納部材(231)に補給用現像剤を充填させ、スクリューポンプ(223)によってこの補給用現像剤を吸引して、現像装置(10)に供給する現像剤補給装置(200)を備えている。
【0069】
以下に、図11〜図15を参照して、現像剤補給装置(200)の構成を詳細に説明する。
図11は、本発明で使用される現像剤補給装置(200)の概略構成図である。現像剤補給装置(200)に備えられた現像剤収容器(230)の内部には、減容可能な袋状部材としての現像剤収納部材(231)が備えられている。現像装置(10)の現像剤収容部(14)に補給される新規な補給用現像剤は、現像剤収納部材(231)内部に収容されている。現像剤収納部材(231)は、この現像剤が現像剤収容部(14)に補給されることによる内部の圧力の減少に伴って減容する。
現像剤補給器(220)は、図10でいうハウジング(15)の所定箇所に開設された補給口(15a)の上端に連結して備えられたスクリューポンプ(223)と、スクリューポンプ(223)に接続して備えられたノズル(240)と、ノズル(240)に接続して備えられた空気供給手段とを備えており、現像剤収容部(14)に設置されるトナー濃度センサ(図示無し)等の検知信号に応じて駆動し、適量の現像剤を現像剤収容器(230)から現像剤収容部(14)に供給する。
スクリューポンプ(223)とノズル(240)の間には、このスクリューポンプ(223)に連通される現像剤搬送通路としての搬送チューブ(221)を有している。この搬送チューブ(221)は、好ましくは、フレキシブルで耐トナー性に優れたポリウレタン、ニトリル、EPDM等のゴム材料で形成されたものを利用する。
また、現像剤補給装置(200)は、現像剤収納容器としての現像剤収容器(230)を支持するための容器ホルダ(222)を有しており、この容器ホルダ(222)は樹脂等の剛性の高い材料で形成されている。
【0070】
現像剤収容器(230)は、柔軟なシート材で形成される袋状部材としての現像剤収納部材(231)と、現像剤排出口を形成する排出口形成部材としての口金部(232)を有している。
現像剤収容部材(231)の材質としては、特に制限はなく、寸法精度がよいものが好適に用いられる。例えば、ポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂等の樹脂が好適に挙げられる。
また、口金部(232)には、スポンジ、ゴム等で形成されるシール材(233)が設けられており、このシール材(233)には十字型の切り込みが設けられている。そして、この切り込みに現像剤補給器(220)のノズル(240)を通すことで、現像剤収容器(230)と現像剤補給器(220)が連通し固定される。
本実施形態では、口金部(232)が、現像剤収容器(230)の下方に備えられている。ここで、口金部(232)が下方に備えられている状態とは、現像剤収容器(230)が現像剤補給装置(200)に配設された状態において、口金部(232)が、現像剤収容器(230)における下方向きの鉛直成分を含んだ位置に備えられていることを表している。
なお、口金部(232)が、現像剤収容器本体に備えられる位置としては、これに限られるものではなく、現像剤収容器(230)が現像剤補給装置(200)に配設された状態において、現像剤収容器(230)本体の水平方向に備えられてもよく、また、斜め方向に備えられることとしてもよい。
現像剤収容器は、トナーの消耗に応じて順次新しいものと交換されるが、本実施形態の現像剤収容器(230)は、上述した構成を備えることで、その着脱を容易に行うことが可能であり、また、交換時や使用時におけるトナー漏れを防止することが可能である。
【0071】
なお、現像剤収容部材(231)としては、その大きさ、形状、構造、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
現像剤収容部材(231)の形状としては、例えば、上述した円筒状等のものを好ましく用いることができ、また、その内周面には、スパイラル状の凹凸が形成されていることが好ましい。このような凹凸が形成されていることで、現像剤収容器(230)を回転させることによって、収容部材(231)内部に収容されているトナーを、排出口側に円滑に移行させることができる。また更に、上記スパイラル部の一部又は全部が、蛇腹機能を有しているものを用いることが、特に好ましい。
本発明の現像剤収容器(230)は、画像形成装置(100)の現像剤補給装置(200)への着脱が容易であり、また、保存や、搬送に適していて、取扱性に優れている。
【0072】
図12(a)は、現像剤補給器(220)に設けられるノズル(240)の概略構成を示す外観図であり、図12(b)は、その軸方向断面図であり、図12(c)は、図12(b)中符号A−Aの断面図である。このノズル(240)は、図12(b)に示すように、内管(241)とその内管(241)を内部に収容する外管(242)とからなる2重管構造を有している。内管(241)の内部は、現像剤収容器(230)内の現像剤を排出するための現像剤搬送通路としての現像剤流路(241a)となっている。現像剤収容器(230)内のトナーは、スクリューポンプ(223)による吸引力により、吸引され、現像剤流路(241a)を通ってスクリューポンプ(223)内に引き込まれることになる。
【0073】
図13は、スクリューポンプ(223)の概略構成を示す断面図である。このスクリューポンプ(223)は、一軸偏芯スクリューポンプと呼ばれるもので、内部にロータ(224)及びステータ(225)を備えている。ロータ(224)は、円形断面が螺旋状に捻れた形状を有し、硬い材質で形成されており、ステータ(225)の内部に嵌合される。一方、ステータ(225)は、ゴム状の柔軟な材料で形成され、長円形断面が螺旋状に捻れた形状の穴を有しており、この穴にロータ(224)が嵌合される。また、ステータ(225)の螺旋のピッチは、ロータ(224)の螺旋のピッチの2倍の長さに形成されている。また、ロータ(224)は、ユニバーサルジョイント(227)及び軸受(228)を介して、ロータ(224)を回転駆動させるための駆動モータ(226)に接続されている。
【0074】
この構成において、現像剤収容器(230)からノズル(240)の現像剤流路(241a)及び搬送チューブ(221)を通って搬送されてきたトナー及びキャリアは、スクリューポンプ(223)のトナー吸引口(223a)から内部に入り込む。そして、ロータ(224)とステータ(225)の間に形成されるスペースに入り込み、ロータ(224)の回転に伴って、図11中右側方向に吸引搬送される。そして、ロータ(224)とステータ(225)の間のスペースを通過したトナーは、トナー落下口(223b)から下方に落下し、現像装置(10)の現像剤補給口(14)を介して、現像装置(10)の内部に供給される。
【0075】
また、本実施形態で使用される現像剤補給器(220)は、現像剤収容器(230)内に空気を供給する空気供給手段を備えている。
図11に示すように、各エア流路(244a)、(244b)は、それぞれ、気体供給通路としてのエア供給路(261a)、(261b)を介して、別個の気体送出装置としてのエアポンプ(260a)、(260b)に接続されている。
エア流路は、図12(b)に示すように、現像剤補給器(220)のノズルの内管(241)と外管(242)との間に、空気供給通路として設けられているものであり、このエア流路は、図12(c)に示すように、互いに独立した断面半円状の2つの流路(244a)、(244b)から構成されている。
また、エアポンプ(260a)、(260b)としては、通常のダイアフラム型のエアポンプを利用することができる。これらエアポンプ(260a)、(260b)から送り出される空気は、それぞれ、エア流路(244a)、(244b)を通って、各エア流路の気体供給口としてのエア供給口(246a)、(246b)からトナー収容器(230)内に供給される。各エア供給口(246a)、(246b)は、トナー流路(241a)の現像剤排出口としてのトナー流出口(247)の図中下方に位置している。これにより、各エア供給口(246a)、(246b)から供給される空気は、トナー流出口(247)付近のトナーに対して供給されることになり、使用されないまま長期間放置されてトナー流出口(247)にトナーが詰まった状態になったとしても、そのトナー流出口(247)を塞いでいるトナーを崩すことができる。
【0076】
また、エア供給路(261a)、(261b)には、図示省略した気体送出制御手段としての制御部からの制御信号により、開閉動作する閉塞手段としての開閉弁(262a)、(262b)が設けられている。開閉弁(262a)、(262b)は、制御部からON信号を受け取ると弁を開けて空気を通過させ、制御部からOFF信号を受け取ると弁を閉めて空気の通過を阻止するように動作する。
【0077】
次に、本実施形態における現像剤補給器(220)の動作について図11を用いて説明する。
上記制御部は、現像装置(10)からトナー濃度が不足した旨の信号を受け取ることで、現像剤補給動作を開始する。この現像剤補給動作では、まず、エアポンプ(260a)、(260b)をそれぞれ駆動させ、現像剤収容器(230)内に空気を供給するとともに、スクリューポンプ(223)の駆動モータ(226)を駆動させて、現像剤の吸引搬送を行う。
エアポンプ(260a)、(260b)から空気が送り出されると、その空気は、エア供給路(261a)、(261b)からノズル(240)のエア流路(244a)、(244b)に入り込み、エア供給口(246a)、(246b)から現像剤収容器(230)内に供給される。この空気によって、現像剤収容器(230)内の現像剤は、攪拌されて、空気を多く内包した状態となり、流動化が促進される。
【0078】
また、現像剤収容器(230)内に空気が供給されると、現像剤収容器(230)内の内圧が高まることになる。従って、現像剤収容器(230)の内圧と外圧(大気圧)との間に圧力差が生じ、流動化した現像剤には、圧力の引く方向へ移動する力が働く。これにより、現像剤収容器(230)内の現像剤は、圧力の引く方向すなわち現像剤流出口(247)から流出することになる。
本実施形態では、スクリューポンプ(223)による吸引力も作用して、現像剤収容器(230)内の現像剤が現像剤流出口(247)から流出する。
【0079】
上述のようにして、現像剤収容器(230)から流出した現像剤は、現像剤流出口(247)からノズル(240)の現像剤流路(241a)を通り、搬送チューブ(221)を介してスクリューポンプ(223)内に移動する。そして、スクリューポンプ(223)内を移動した後、現像剤落下口(223b)から下方に落下し、現像剤補給口(14)から現像装置(10)内に現像剤が補給される。一定量の現像剤補給が完了したら、制御部は、エアポンプ(260a)、(260b)及び駆動モータ(226)の駆動を停止させ、かつ、開閉弁(262a)、(262b)を閉じ、トナー補給動作を終了する。このように、トナー補給動作終了時に開閉弁(262a)、(262b)を閉じることで、トナー収容器(230)内のトナーがノズル(240)のエア供給路(244a)、(244b)を通ってエアポンプ(260a)、(260b)側に逆流するのを防止している。
【0080】
また、エアポンプ(260a)、(260b)から供給される空気の供給量は、スクリューポンプ(223)によるトナー及び空気の吸引量よりも少なく設定されている。よって、トナーを消費するにつれて、現像剤収容器(230)の内圧が減少することになる。ここで、本実施形態における現像剤収容器(230)の現像剤収納部材(231)は、柔軟なシート材で形成されているため、内圧の減少に伴って減容する。
【0081】
図14は、現像剤収容部材(231)に現像剤を充填した状態の斜視図である。
図15は、現像剤収容部材(231)内部の現像剤が排出されて減容した(しぼんだ)状態を示す正面図である。ここで、現像剤収容部材(231)は60%以上減容されるものが望ましい。
【0082】
図14に示す現像剤収容器(230)の現像剤収容部(231)内部には、上述したように、現像装置(10)に補給するための、キャリアとトナーからなる補給用現像剤が収容されている。
補給用現像剤は、補給用現像剤中のキャリアの重量比率が、3wt%以上30wt%未満であることが好ましい。
現像剤収容器(230)内における補給用現像剤中のキャリアの重量比率が、3wt%未満であると、補給されるキャリアの量が非常に少ないため、補給の効果が充分に得られない。一方、30wt%を超えると、補給用現像剤の現像剤収容部への安定した供給が得られない。
【0083】
補給用現像剤及び現像装置内現像剤に含まれるトナーは、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含んで構成され、更に離型剤、帯電制御剤、またこれらの他に、必要に応じてその他の成分を含んでなる。
トナーの製造方法としては、特に一つのものに限定されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、粉砕法、水系媒体中で油相を乳化、懸濁又は凝集させトナー母体粒子を形成させる、懸濁重合法、乳化重合法、ポリマー懸濁法等が挙げられる。
【0084】
本発明において用いられるトナーの結着樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、ポリp−スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸共重合隊、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプロピル共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリチメルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン樹脂、変性ロジン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独あるいは混合して使用できる。
【0085】
着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤のトナーにおける含有量は1〜15重量%が好ましく、3〜10重量%がより好ましい。
【0086】
着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィン、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0087】
離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ワックス類、等が好適に挙げられる。
ワックス類としては、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトン、等が挙げられる。前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート等が挙げられる。ポリアルカノールエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等が挙げられる。前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミド等が挙げられる。前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミド等が挙げられる。前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトン等が挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
ポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。
長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワックス、サゾールワックス等が挙げられる。
【0088】
離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40〜160℃が好ましく、50〜120℃がより好ましく、60〜90℃が特に好ましい。
融点が、40℃未満であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。
【0089】
離型剤の溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1,000cpsが好ましく、10〜100cpsがより好ましい。溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
【0090】
離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜40重量%が好ましく、3〜30重量%がより好ましい。
前記含有量が、40重量%を超えると、トナーの流動性が悪化することがある。
【0091】
帯電制御剤としては、特に制限はなく、感光体に帯電される電荷の正負に応じて正又は負の荷電制御剤を適宜選択して用いることができる。
負の帯電制御剤としては、例えば、電子供与性の官能基を持つ樹脂又は化合物、アゾ染料、有機酸の金属錯体、などを用いることができる。具体的には、ボントロン(品番:S−31、S−32、S−34、S−36、S−37、S−39、S−40、S−44、E−81、E−82、E−84、E−86、E−88、A、1−A、2−A、3−A)(以上、オリエント化学工業社製))、カヤチャージ(品番:N−1、N−2)、カヤセットブラック(品番:T−2、004)(以上、日本化薬社製))、アイゼンスピロンブラック(T−37、T−77、T−95、TRH、TNS−2)(以上、保土谷化学工業社製)、FCA−1001−N、FCA−1001−NB、FCA−1001−NZ、(以上、藤倉化成社製)、などが挙げられる。
正の荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料等の塩基性化合物、4級アンモニウム塩等のカチオン性化合物、高級脂肪酸の金属塩等を用いることができる。具体的には、ボントロン(品番:N−01、N−02、N−03、N−04、N−05、N−07、N−09、N−10、N−11、N−13、P−51、P−52、AFP−B)(以上、オリエント化学工業社製)、TP−302、TP−415、TP−4040(以上、保土谷化学工業社製)、コピーブルーPR、コピーチャージ(品番:PX−VP−435、NX−VP−434)(以上、ヘキスト社製)、FCA(品番:201、201−B−1、201−B−2、201−B−3、201−PB、201−PZ、301)(以上、藤倉化成社製)、PLZ(品番:1001、2001、6001、7001)(以上、四国化成工業社製)、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0092】
帯電制御剤の添加量は、結着樹脂の種類、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、結着樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部が好ましく、0.2〜5重量部がより好ましい。前記添加量が10重量部を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電気的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがあり、0.1重量部未満であると、帯電立ち上り性や帯電量が十分でなく、トナー画像に影響を及ぼしやすいことがある。
【0093】
トナー材料には、結着樹脂、離型剤、着色剤、及び帯電制御剤の他に、必要に応じて無機微粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、等を添加することができる。
【0094】
無機微粒子としては、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム等を用いることができ、シリコーンオイルやヘキサメチルジシラザンなどで疎水化処理されたシリカ微粒子や、特定の表面処理を施した酸化チタンを用いることがより好ましい。
前記シリカ微粒子としては、例えば、アエロジル(品番:130、200V、200CF、300、300CF、380、OX50、TT600、MOX80、MOX170、COK84、RX200、RY200、R972、R974、R976、R805、R811、R812、T805、R202、VT222、RX170、RXC、RA200、RA200H、RA200HS、RM50、RY200、REA200)(以上、日本アエロジル社製)、HDK(品番:H20、H2000、H3004、H2000/4、H2050EP、H2015EP、H3050EP、KHD50)、HVK2150(以上、ワッカーケミカル社製)、カボジル(品番:L−90、LM−130、LM−150、M−5、PTG、MS−55、H−5、HS−5、EH−5、LM−150D、M−7D、MS−75D、TS−720、TS−610、TS−530)(以上、キャボット社製)等を用いることができる。
無機微粒子の添加量としては、トナー母体粒子100重量部に対し0.1〜5.0重量部が好ましく、0.5〜3.2重量部がより好ましい。
【0095】
本発明におけるトナーの製造方法としては、前述のとおり特に限定するものではないが、粉砕法の製造方法として、以下を例示する。
前記のトナー材料を混合し、該混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。該溶融混練機としては、例えば、一軸、二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。例えば、神戸製鋼所社製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型押出機、ケイシーケイ社製二軸押出機、池貝鉄工所社製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。この溶融混練は、バインダー樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、バインダー樹脂の軟化点を参考にして行われ、該軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
【0096】
粉砕では、前記混練で得られた混練物を粉砕する。この粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
【0097】
分級は、前記粉砕で得られた粉砕物を分級して所定粒径の粒子に調整する。前記分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。
粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中に分級し、所定の粒径のトナーを製造する。
【0098】
また、トナーの流動性や保存性、現像性、転写性を高めるために、以上のようにして製造されたトナー母体粒子に更に疎水性シリカ微粉末等の無機微粒子を添加混合してもよい。添加剤の混合は一般の粉体の混合機が用いられるがジャケット等装備して、内部の温度を調節できることが好ましい。なお、添加剤に与える負荷の履歴を変えるには、途中又は漸次添加剤を加えていけばよい。この場合、混合機の回転数、転動速度、時間、温度などを変化させてもよい。又はじめに強い負荷を、次に、比較的弱い負荷を与えてもよいし、その逆でもよい。使用できる混合設備としては、例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられる。次いで、粗大粒子、凝集粒子の除去を目的に、篩を通過させることでトナーを得ることができる。
【0099】
本実施形態では、上述したキャリアとトナーを含んで構成される現像剤を、補給用現像剤及び現像装置内用現像剤として、図6に示す画像形成装置において使用することで、長期間の使用後においても、キャリア表面の膜削れや、キャリア表面におけるトナースペントの発生が防止されて、現像剤収容器(14)内における現像剤の帯電量の低下やキャリアの電気抵抗値の低下が抑えられ、安定した現像特性が得られる。
【0100】
なお、本発明において使用される画像形成装置の構成としては、本実施形態において説明した、上述の構成を有するものに限られるものではなく、同様の機能を有していれば、他の構成を有する画像形成装置を使用することも可能である。
【実施例】
【0101】
以下、本発明を実施例および比較例を挙げて説明する。なお、本発明はここに例示される実施例に限定されるものではない。また、以下において「部」は重量部を、「%」は重量%を表す。
【0102】
[トナーの作製]
(結着樹脂合成例1)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、イソフタル酸276部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。
次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソフォロンジイソシアネート188部と2時間反応を行いイソシアネート含有プレポリマー(P1)を得た。
次いでプレポリマー(P1)267部とイソホロンジアミン14部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量64000のウレア変性ポリエステル(U1)を得た。
上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、テレフタル酸276部を常圧下、230℃で8時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5時間反応して、ピーク分子量5000の変性されていないポリエステル(E1)を得た。
ウレア変性ポリエステル(U1)200部と変性されていないポリエステル(E1)800部を酢酸エチル/MEK(1/1)混合溶剤2000部に溶解、混合し、結着樹脂(B1)の酢酸エチル/MEK溶液を得た。
一部減圧乾燥し、結着樹脂(B1)を単離した。Tgは62℃であった。
【0103】
(ポリエステル樹脂合成例A)
テレフタル酸 :60部
ドデセニル無水コハク酸 :25部
無水トリメリット酸 :15部
ビスフェノールA(2,2)プロピレンオキサイド :70部
ビスフェノールA(2,2)エチレンオキサイド :50部
上記組成物を、温度計、攪拌器、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた容量1Lの4つ口丸底フラスコ内に入れ、このフラスコをマントルヒーターにセットし、窒素ガス導入管より窒素ガスを導入してフラスコ内を不活性雰囲気下に保った状態で昇温し、次いで0.05部のジブチルスズオキシドを加えて温度を200℃に保って反応させポリエステルA得た。このポリエステルAのピーク分子量は4200であり、ガラス転移点は59.4℃であった。
【0104】
(マスターバッチ作成例1)
顔料:C.I.Pigment Yellow155 :40部
結着樹脂:ポリエステル樹脂A :60部
水 :30部
上記原材料をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行い、パルベライザーで1mmφの大きさに粉砕し、 マスターバッチ(M1)を得た。
【0105】
(トナー製造例A)
ビーカー内に前記の結着樹脂(B1)の酢酸エチル/MEK溶液240部、ペンタエリスリトールテトラベヘネート(融点81℃、溶融粘度25cps)20部、マスターバッチ(M1)8部を入れ、60℃にてTK式ホモミキサーにて12000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させ、トナー材料液を用意した。
ビーカー内にイオン交換水706部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業(株)製スーパタイト10)294部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部を入れ均一に溶解した。
ついで60℃に昇温し、TK式ホモミキサーにて12000rpmに攪拌しながら、上記トナー材料溶液を投入し10分間攪拌した。
ついでこの混合液を攪拌棒および温度計付のコルベンに移し、98℃まで昇温して溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、トナー粒子を得た。
ついで、このトナー粒子100部に疎水性シリカ1.0部と、疎水化酸化チタン1.0部をヘンシェルミキサーにて混合して、「トナーA」を得た。
この「トナーA」の超薄切片を作成し、透過型電子顕微鏡(日立社製H−9000H)を用いて、トナーの断面写真(倍率×100,000)を撮影し、写真から、ランダム選択した100点の着色剤部分の分散径から平均値を求めた。ここで、1粒子の分散径は最長径と最短径の平均とし、また、凝集状態にあるものは凝集体自身を1粒子とした。
着色剤の平均分散粒径は、0.40μmであった。また、0.7μm以上の分散粒径を持つ着色剤は、4.5%であった。
次に「トナーA」の粒径を、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「コールターカウンターTA2」を用い、アパーチャー径100μmで測定したところ、体積平均粒径(Dv)=6.2μm、個数平均粒径(Dn)=5.1μmであった。
引き続き、「トナーA」の円形度を、フロー式粒子像分析装置FPIA−1000(東亜医用電子株式会社製)により平均円形度として計測した。測定は、前記装置に、予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩)を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加え、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3000〜1万個/μlに調整した測定液をセットして行った。得られた「トナーA」の円形度は0.96であった。
【0106】
(キャリア製造例)
(製造例1)
・アクリル樹脂溶液(固形分濃度:50重量%) 2130重量部
・アミノシラン(固形分濃度:100重量%: 4重量部
・シリカ粒子A(体積平均粒径0.35μm) 1300重量部
・トルエン 6000重量部
以上の各材料をホモミキサーにて10分間分散し、樹脂層形成液を調合した。キャリア芯材として体積平均粒径が35μmのフェライト粒子を用い、上記樹脂溶液を芯材表面に厚みhが0.15μmとなるようにスピラコーター(岡田精工社製)により55℃の雰囲気下で30g/minに割合で塗布し、乾燥させた。層厚の調整は液量によって行った。得られたキャリアを、電気炉中にて150℃で1時間放置して焼成し、冷却後に目開き100μmの篩を用いて解砕して、キャリアIを得た。平均厚さTは0.40μmであった。
芯材の体積平均粒径の測定は、マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社)のSRAタイプを使用し、0.7μm以上、125μm以下のレンジ設定で行ったものを用いた。
前記被覆層における樹脂部分の平均厚みh(μm)は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリア断面を観察し、芯材表面と粒子との間に存在する樹脂部の厚み(ha)と、粒子間に存在する樹脂部の厚み(hb)と、芯材や粒子上の樹脂部の厚み(hc)とを、キャリア表面に沿って0.2μm間隔で50点測定し、得られた測定値を平均して求めた。
前記芯材表面から被覆層表面までの厚みT(μm)は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリア断面の観察をし、芯材表面から被覆層表面までの厚みTを、キャリア表面に沿って0.2μm間隔で50点測定し、得られた測定値を平均して求めた。
【0107】
(製造例2)
シリカ粒子Aをシリカ粒子B(平均粒径0.12μm)に変更したこと以外は製造例1と同様にして製造し、キャリアIIを得た。平均厚さTは0.21μmであった。
【0108】
(製造例3)
シリカ粒子Aをシリカ粒子C(平均粒径1.55μm)に変更したこと以外は製造例1と同様にして製造し、キャリアIIIを得た。平均厚さTは1.04μmであった。
【0109】
(製造例4)
シリカ粒子Aをアルミナ粒子A(平均粒径0.37μm)に変更したこと以外は製造例1と同様にして製造し、キャリアIVを得た。平均厚さTは0.40μmであった。
【0110】
(製造例5)
・アクリル樹脂溶液(固形分濃度:50重量%) 2130重量部
・アミノシラン(固形分濃度:100重量%) 4重量部
・アルミナ粒子A(体積平均粒径0.37μm) 1300重量部
・酸化亜鉛粒子A(体積平均粒径0.020μm) 500重量部
・トルエン 6000重量部
樹脂層形成液の材料を上記のものに変更したこと以外は製造例1と同様にして、キャリアVを得た。平均厚さTは0.42μmであった。
ここで用いられたアミノシランは、[HN(CHSi(OC]である。
【0111】
(製造例6)
・アクリル樹脂溶液(固形分濃度:50重量%) 2130重量部
・アミノシラン(固形分濃度:100重量%) 4重量部
・アルミナ粒子A(体積平均粒径0.37μm) 1300重量部
・酸化チタン粒子A(体積平均粒径0.015μm) 500重量部
・トルエン 6000重量部
樹脂層形成液の材料を上記のものに変更したこと以外は製造例1と同様にして、キャリアVIを得た。平均厚さTは0.41μmであった。
【0112】
(製造例7)
厚みhが0.05μmとなるように樹脂溶液の塗布量を変更した以外は製造例6と同様にして、キャリアVIIを得た。平均厚さTは0.09μmであった。
【0113】
(製造例8)
厚みhが1.51μmとなるように樹脂溶液の塗布量を変更し、アルミナ粒子Aをアルミナ粒子B(平均粒径1.54μm)に変更した以外は製造例6と同様にして、キャリアVIIIを得た。平均厚さTは3.03μmであった。
【0114】
(製造例9)
・アクリル樹脂溶液(固形分濃度:50重量%) 1500重量部
・シリコーン樹脂溶液(固形分20重量%) 1575重量部
(トーレダウコーニングシリコーン社製SR2411の希釈物)
・アミノシラン(固形分濃度:100重量%) 4重量部
・アルミナ粒子A(体積平均粒径0.37μm) 1300重量部
・酸化チタン粒子A(体積平均粒径0.015μm) 500重量部
・トルエン 6000重量部
【0115】
樹脂層形成液の材料を上記のものに変更したこと以外は製造例1と同様にして、キャリアIXを得た。平均厚さTは0.41μmであった。
【0116】
(製造例10)
・アクリル樹脂溶液(固形分濃度:50重量%) 1500重量部
・グアナミン溶液(固形分70重量%) 450重量部
(三井サイテック社製マイコート106)
・アミノシラン(固形分濃度:100重量%) 4重量部
・アルミナ粒子A(体積平均粒径0.37μm) 1300重量部
・酸化チタン粒子A(体積平均粒径0.015μm) 500重量部
・トルエン 6000重量部
樹脂層形成液の材料を上記のものに変更したこと以外は製造例1と同様にして、キャリアXを得た。平均厚さTは0.41μmであった。
なお、上記製造例6〜10で用いた酸化チタンは、表面処理をしてないものである。
【0117】
(実施例1)
トナー製造例で得たトナーAを7重量部と、キャリア製造例1で得られたキャリアIを93重量部用いて、ミキサーで10分攪拌し、現像機内に収容する現像剤を作成した。また、トナー製造例で得たトナーAを80重量部と、キャリア製造例1で得られたキャリアIを20重量部用いて、ミキサーで10分攪拌し、補給用現像剤を作成した。
【0118】
(画像の精細性)
市販のデジタルフルカラープリンター(株式会社リコー製、imagio Neo C600Pro)に図10に示す現像剤供給装置を搭載し、更に図7に示す現像装置を搭載した改造機に、現像機内現像剤と補給用現像剤をセットし、画像面積5%の文字チャート(1文字の大きさが2mm×2mm程度)を出力し、その文字再現性から画像の精細性の評価を行った。評価のランク分けは次のように行った。
◎:非常に良好、○:良好、△:許容、×:実用上使用できないレベル
【0119】
(耐久性)
上記の画像精細性評価の画像出力を150k枚行い、耐久性評価用のランニング試験とした。このランニング試験後と試験前での、帯電低下量およびキャリア抵抗変化量をもって耐久性の評価を行った。
帯電低下量の測定は以下の方法にて行った。
まず、初期のキャリア93重量%に対しトナー7重量%の割合で混合し摩擦帯電させたサンプルを、一般的なブローオフ法(東芝ケミカル株式会社製、TB−200)にて測定し、この値を初期帯電量とする。次に、ランニング後の現像剤からトナーを前記ブローオフ装置にて除去し、得られたキャリア93重量%に対し新規にトナーを7重量%の割合で混合し、初期のキャリアと同様に摩擦帯電させたサンプルを、初期のキャリアと同様に帯電量測定を行い、初期帯電量との差を帯電低下量とする。帯電低下量の目標値は10.0μC/g以内である。帯電量の低下の原因はキャリア表面へのトナースペントであるため、トナースペントを減らすことで、帯電量の低下を抑えることができる。
キャリア抵抗値変化量の測定は以下の方法にて行った。
キャリアを抵抗計測平行電極の電極間(ギャップ2mm)に投入し、DC1,000Vを印加して30sec後の抵抗値をハイレジスト計で計測した。得られた値を体積抵抗率に変換した値を初期抵抗値とする。次に、ランニング後の現像剤中のトナーを前記ブローオフ装置にて除去し、得たキャリアに対して前記抵抗測定方法と同様の方法で抵抗測定を行い、得られた値を体積抵抗率に変換し、初期抵抗値との差をキャリア抵抗値変化量とする。キャリア抵抗値変化量の目標値は絶対値で3.0〔Log(Ω・cm)〕以内である。抵抗変化の原因は、キャリアの被覆層の削れ、トナー成分のスペント、キャリア被覆層中の大粒子脱離などであるため、これらを減らすことで、キャリア抵抗の変化を抑えることができる。
【0120】
(かぶり)
また、画像出力を150k枚行なった後に、出力画像の地肌部のかぶりを目視で評価した。
◎:大変良好
○:良好
△:使用可能
×:不良(×は許容不可のレベル)
【0121】
(画像ムラ)
上記の画像精細性評価の画像出力を150k枚行った後にベタ画像を出力し、画像濃度のムラを目視にてランク評価を行なった。
◎:画像上にムラが一切存在しない状態
○:問題とはならないレベルの濃度ムラがわずかに観察される状態
△:問題とはならないレベルの濃度ムラが観察される状態
×:許容範囲外で濃度ムラが非常に目立つ状態
【0122】
(比較例1)
評価用装置に図10に示す現像剤供給装置を搭載する改造を施していないimagio Neo C600Proを用い、現像剤の補給/回収を行わず、トナーのみを現像機に補給するシステムに変更したこと以外は実施例1と同様にして評価を行った。
【0123】
(比較例2)
評価用装置に図7に示す現像装置を搭載する改造を施していないimagio Neo C600Proを用い、現像済みの現像剤が再び現像剤供給搬送路に戻るシステムに変更したこと以外は実施例1と同様にして評価を行った。
【0124】
(比較例3、4、実施例2〜8)
現像機内現像剤と補給用現像剤に用いるキャリアを、製造例2〜10にて作成したキャリアを用いたこと以外は実施例1と同様にして評価を行った。
【0125】
(実施例9)
トナー製造例で得たトナーAを98重量部と、キャリア製造例10で得られたキャリアXを2重量部用いて補給用現像剤を作成したこと以外は実施例8と同様にして評価を行った。
【0126】
(実施例10)
トナー製造例で得たトナーAを69重量部と、キャリア製造例10で得られたキャリアXを31重量部用いて補給用現像剤を作成したこと以外は実施例8と同様にして評価を行った。
【0127】
(実施例11)
トナー製造例で得たトナーAを16重量部と、キャリア製造例10で得られたキャリアXを84重量部用いて現像機内現像剤を作成したこと以外は実施例8と同様にして評価を行った。
【0128】
(実施例12)
トナー製造例で得たトナーAを1重量部と、キャリア製造例10で得られたキャリアXを99重量部用いて現像機内現像剤を作成したこと以外は実施例8と同様にして評価を行った。
【0129】
(実施例13〜24、比較例5、6)
評価用装置に、図7に示す現像装置を搭載する改造ではなく、図16に示す現像装置を搭載する改造を施したimagio Neo C600Proを用いる以外は実施例1〜12、比較例3、4と同様にして評価を行った。
【0130】
上記実施例1〜24、比較例1〜6の組み合わせを表1に、評価結果を表2に示す。
【0131】
【表1】

【0132】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】従来から知られている現像装置の概略構成図である。
【図2】特許文献1に記載の現像装置の概略構成図である。
【図3】特許文献2に記載の現像装置の概略構成図である。
【図4】本発明の電子写真用キャリアの被覆層を示す説明図である。
【図5】キャリアの抵抗率の測定に用いる抵抗測定セルの斜視図である。
【図6】本実施形態に係る複写機の概略構成図である。
【図7】現像装置及び感光体の概略構成図である。
【図8】現像剤の流れを説明する現像装置の斜視断面図である。
【図9】現像装置内の現像剤の流れの模式図である。
【図10】本発明の実施形態に係る現像装置の現像剤供給部周辺の構造を示す概略構成図である。
【図11】本発明で使用される現像剤補給部の概略構成図である。
【図12】a)は、現像剤補給装置に設けられるノズルの概略構成を示す外観図であり、(b)は、その軸方向断面図であり、(c)は、(b)中符号A−Aの断面図である。
【図13】スクリューポンプの概略構成を示す断面図である。
【図14】現像剤収容部材に現像剤を充填した状態の斜視図である。
【図15】現像剤収容部材内部の現像剤が排出されて減容した状態を示す正面図である。
【図16】感光体まわりの概略構成図である。
【図17】現像装置の要部斜視図である。
【図18】現像装置の要部分解斜視図である。
【符号の説明】
【0134】
・図1〜3
1 静電潜像保持体(特許文献1、図1より)
4 現像装置
5 現像ローラ
6 第2のオーガー(特許文献1、図1より)
7 回収搬送路
8 第1のオーガー(特許文献1、図1より)
9 供給搬送路
10 攪拌搬送路
11 第2のオーガー(特許文献1、図4より)
15 現像ローラ回転軸
16 現像剤規制部材(特許文献1、図1より)
27 濃度センサ(特許文献2、図1より)
209 第3のオーガー(特許文献1、図1より)
401 第1のオーガー(特許文献1、図4より)
403 仕切り部材
404 仕切り部材
405 仕切り部材

・図4
26 芯材
27 被覆層
ha、hb、hc、hd 被覆層の厚み
A 測定点
T 芯材表面から被覆層表面までの平均厚み
G1 第1粒子
G2 第2粒子

・図5
21 セル
22a 電極
22b 電極
23 キャリア

・図6〜9
1 感光体
4 現像装置
5 現像ローラ
6 回収スクリュ
7 回収搬送路
8 供給スクリュ
9 供給搬送路
10 攪拌搬送路
11 攪拌スクリュ
12 現像ドクタ
14 張架ローラ
15 駆動ローラ
16 二次転写バックアップローラ
17 中間転写ユニット
18 プロセスカートリッジ
20 画像形成ユニット
21 光書込ユニット
22 二次転写装置
23 張架ローラ
24 紙搬送ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
30 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取センサ
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46 給紙路
47 搬送ローラ対
49 レジストローラ対
50 手差し給紙ローラ
51 手差しトレイ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
57 スタック部
62 一次転写バイアスローラ
90 ベルトクリーニング装置
100 プリンタ部
110 中間転写ベルト
133 第一仕切り壁
134 第二仕切り壁
200 給紙装置
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
G、I 回転方向

・図10〜15
10 現像装置
11搬送 スクリュー
14 現像剤収容部
15 ハウジング
15a 補給口
200 現像剤補給装置
220 現像剤補給器
221 搬送チューブ
222 容器ホルダ
223 スクリューポンプ
223a トナー吸引口
223b トナー落下口
224 ロータ
225 ステータ
226 駆動モータ
227 ユニバーサルジョイント
228 軸受
230 現像剤収容器
231 現像剤収納部材
232 口金部
233 シール材
240 ノズル
241 内管
241a 現像剤流路
242 外管
246a,246b エア供給口
247 現像剤流出口
260a,260b エアポンプ
261a,261b エア供給路
262a,262b 開閉弁
300 現像剤排出装置
330 回収容器
331 排出パイプ
331a 上部開口

図16〜18
1 感光体
2 帯電装置
3 現像装置
9 剤離し領域
10 剤汲み上げ領域
11 現像剤循環系路
12 現像剤循環系路
13 現像剤循環系路
14 現像剤循環系路
301 ケーシング
302 現像ローラ
302a 固定軸
302c スリーブ
302d マグネットローラ
303 現像剤規制部材
304 現像剤供給搬送部材
305 現像剤撹拌搬送部材
305J 軸部
306 仕切板
307 開口
308 羽根車
320 現像剤
O−302 中心
O−302a 中心線
O−304a 中心線
O−305a 中心線
A 現像ニップ領域A
GP1 現像ギャップ
GP2 仕切板ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に形成された静電潜像を現像する際、トナーとキャリアが収容されている現像装置に対して、トナーとキャリアを該現像装置に補給するとともに、該現像装置内の余剰となった現像剤を排出しながら現像を行う画像形成方法であって、
前記現像装置が、磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する箇所で該潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給搬送部材を備えた現像剤供給搬送路と、
現像に用いられずに該現像剤供給搬送路の搬送方向の最下流側まで搬送された余剰現像剤の供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、該余剰現像剤を攪拌しながら該現像剤供給搬送部材とは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送部材を備え、該現像剤を該現像剤供給搬送路に供給する現像剤攪拌搬送路とを有し、
該現像剤供給搬送路と該現像剤攪拌搬送路は、少なくとも長手方向両端部を除く中央部で仕切部材によって仕切られており、
該潜像担持体と対向する箇所を通過した現像剤は、該現像剤攪拌搬送路に回収され、該現像剤攪拌搬送路を搬送されてきた現像剤と混合された後に該現像剤供給搬送路へ供給される現像装置であり、
前記二成分現像剤の前記キャリアのキャリア粒子が、芯材粒子とこれを被覆する被覆層からなり、該被覆層が、結着樹脂と少なくとも1種類の硬質粒子を含み、該硬質粒子の粒径D1(μm)と該被覆層における樹脂部分の平均厚みh(μm)の比(D1/h)が、1<(D1/h)<10の関係を満たすものであることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
像担持体上に形成された静電潜像を現像する際、トナーとキャリアが収容されている現像装置に対して、トナーとキャリアを該現像装置に補給するとともに、該現像装置内の余剰となった現像剤を排出しながら現像を行う画像形成方法であって、
前記現像装置が、磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する箇所で該潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給搬送部材を備えた現像剤供給搬送路と、
該潜像担持体と対向する箇所を通過後の該現像剤担持体上から回収された該現像剤を該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、前記現像剤供給搬送部材と同方向に搬送する現像剤回収搬送部材を備えた現像剤回収搬送路と、
現像に用いられずに該現像剤供給搬送路の搬送方向の最下流側まで搬送された余剰現像剤と、該現像剤担持体から回収され該現像剤回収搬送路の搬送方向の最下流側まで搬送された回収現像剤との供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該余剰現像剤と該回収現像剤とを攪拌しながら該現像剤供給搬送部材とは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送部材を備え、該現像剤を該現像剤供給搬送路に供給する現像剤攪拌搬送路とを有し、
該現像剤回収搬送路、該現像剤供給搬送路及び該現像剤攪拌搬送路からなる3つの現像剤搬送路はそれぞれ仕切り部材により仕切られ、
該現像剤攪拌搬送路と該現像剤回収搬送路とはほぼ同じ高さに設けられ、該現像剤供給搬送路は他の2つの該現像剤搬送路の上方に位置するように設けられ、
該現像剤搬送路にトナーとキャリアとが補給されるとともに、該現像装置内の余剰の現像剤を排出される現像装置であり、
前記二成分現像剤の前記キャリアのキャリア粒子が、芯材粒子とこれを被覆する被覆層からなり、該被覆層が、結着樹脂と少なくとも1種類の硬質粒子を含み、該硬質粒子の粒径D1(μm)と該被覆層における樹脂部分の平均厚みh(μm)の比(D1/h)が、1<(D1/h)<10の関係を満たすものであることを特徴とする画像形成方法。
【請求項3】
前記硬質粒子が、アルミナ粒子又はアルミナを基体とする粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記キャリアの芯材粒子を被覆する被覆層が、前記硬質粒子以外に第2硬質粒子を含み、該第2硬質粒子の粒径D2(μm)と該被覆層における樹脂部分の平均厚みh(μm)との比(D2/h)が、0.001<(D2/h)<1の関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記第2硬質粒子が、酸化チタン粒子又は表面処理された酸化チタン粒子であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記芯材粒子表面から該芯材粒子を被覆する被覆層の表面までの平均厚みT(μm)が、0.1≦T≦3.0の範囲であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記結着樹脂が、少なくともアクリル樹脂とアミノ樹脂との反応物かシリコーン樹脂のいずれかを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項8】
前記トナーとキャリアからなり現像装置に補給される補給用現像剤中のキャリアの重量比率が、3wt%以上30wt%未満であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記現像装置に収容されている現像剤中のキャリアの重量比率が、85wt%以上98wt%未満であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項10】
像担持体上に形成された静電潜像を現像する際、トナーとキャリアが収容されている現像装置に対して、トナーとキャリアを該現像装置に補給するとともに、該現像装置内の余剰となった現像剤を排出しながら現像を行う画像形成のための電子写真二成分現像剤であって、
該二成分現像剤の前記キャリアのキャリア粒子が、芯材粒子とこれを被覆する被覆層からなり、該被覆層が、結着樹脂と少なくとも1種類の硬質粒子を含み、該硬質粒子の粒径D1(μm)と該被覆層における樹脂部分の平均厚みh(μm)の比(D1/h)が、1<(D1/h)<10の関係を満たすものであり、
前記現像装置が、磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する箇所で該潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給搬送部材を備えた現像剤供給搬送路と、
現像に用いられずに該現像剤供給搬送路の搬送方向の最下流側まで搬送された余剰現像剤の供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、該余剰現像剤を攪拌しながら該現像剤供給搬送部材とは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送部材を備え、該現像剤を該現像剤供給搬送路に供給する現像剤攪拌搬送路とを有し、
該現像剤供給搬送路と該現像剤攪拌搬送路は、少なくとも長手方向両端部を除く中央部で仕切部材によって仕切られており、
該潜像担持体と対向する箇所を通過した現像剤は、該現像剤攪拌搬送路に回収され、該現像剤攪拌搬送路を搬送されてきた現像剤と混合された後に該現像剤供給搬送路へ供給される現像装置であることを特徴とする電子写真現像剤。
【請求項11】
像担持体上に形成された静電潜像を現像する際、トナーとキャリアが収容されている現像装置に対して、トナーとキャリアを該現像装置に補給するとともに、該現像装置内の余剰となった現像剤を排出しながら現像を行う画像形成のための電子写真二成分現像剤であって、
該二成分現像剤の前記キャリアのキャリア粒子が、芯材粒子とこれを被覆する被覆層からなり、該被覆層が、結着樹脂と少なくとも1種類の硬質粒子を含み、該硬質粒子の粒径D1(μm)と該被覆層における樹脂部分の平均厚みh(μm)の比(D1/h)が、1<(D1/h)<10の関係を満たすものであり、
前記現像装置が、磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する箇所で該潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給搬送部材を備えた現像剤供給搬送路と、
該潜像担持体と対向する箇所を通過後の該現像剤担持体上から回収された該現像剤を該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、前記現像剤供給搬送部材と同方向に搬送する現像剤回収搬送部材を備えた現像剤回収搬送路と、
現像に用いられずに該現像剤供給搬送路の搬送方向の最下流側まで搬送された余剰現像剤と、該現像剤担持体から回収され該現像剤回収搬送路の搬送方向の最下流側まで搬送された回収現像剤との供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該余剰現像剤と該回収現像剤とを攪拌しながら該現像剤供給搬送部材とは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送部材を備え、該現像剤を該現像剤供給搬送路に供給する現像剤攪拌搬送路とを有し、
該現像剤回収搬送路、該現像剤供給搬送路及び該現像剤攪拌搬送路からなる3つの現像剤搬送路はそれぞれ仕切り部材により仕切られ、
該現像剤攪拌搬送路と該現像剤回収搬送路とはほぼ同じ高さに設けられ、該現像剤供給搬送路は他の2つの該現像剤搬送路の上方に位置するように設けられ、
該現像剤搬送路にトナーとキャリアとが補給されるとともに、該現像装置内の余剰の現像剤を排出される現像装置であることを特徴とする電子写真現像剤。
【請求項12】
前記硬質粒子が、アルミナ粒子又はアルミナを基体とする粒子であることを特徴とする請求項10又は11に記載の電子写真現像剤。
【請求項13】
前記キャリアの芯材粒子を被覆する被覆層が、前記硬質粒子以外に第2硬質粒子を含み、該第2硬質粒子の粒径D2(μm)と該被覆層における樹脂部分の平均厚みh(μm)との比(D2/h)が、0.001<(D2/h)<1の関係を満たすことを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の電子写真現像剤。
【請求項14】
前記第2硬質粒子が、酸化チタン粒子又は表面処理された酸化チタン粒子であることを特徴とする請求項13に記載の電子写真現像剤。
【請求項15】
前記芯材粒子表面から該芯材粒子を被覆する被覆層の表面までの平均厚みT(μm)が、0.1≦T≦3.0の範囲であることを特徴とする請求項10乃至14のいずれかに記載の電子写真現像剤。
【請求項16】
前記結着樹脂が、少なくともアクリル樹脂とアミノ樹脂との反応物かシリコーン樹脂のいずれかを含むことを特徴とする請求項10乃至15のいずれかに記載の電子写真現像剤。
【請求項17】
像担持体上に形成された静電潜像を現像する際、トナーとキャリアが収容されている現像装置に対して、トナーとキャリアを該現像装置に補給するとともに、該現像装置内の余剰となった現像剤を排出しながら現像を行う画像形成のための電子写真二成分現像剤を収納した現像装置を搭載する画像形成装置であって、
該二成分現像剤の前記キャリアのキャリア粒子が、芯材粒子とこれを被覆する被覆層からなり、該被覆層が、結着樹脂と少なくとも1種類の硬質粒子を含み、該硬質粒子の粒径D1(μm)と該被覆層における樹脂部分の平均厚みh(μm)の比(D1/h)が、1<(D1/h)<10の関係を満たすものであり、
前記現像装置が、磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する箇所で該潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給搬送部材を備えた現像剤供給搬送路と、
現像に用いられずに該現像剤供給搬送路の搬送方向の最下流側まで搬送された余剰現像剤の供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、該余剰現像剤を攪拌しながら該現像剤供給搬送部材とは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送部材を備え、該現像剤を該現像剤供給搬送路に供給する現像剤攪拌搬送路とを有し、
該現像剤供給搬送路と該現像剤攪拌搬送路は、少なくとも長手方向両端部を除く中央部で仕切部材によって仕切られており、
該潜像担持体と対向する箇所を通過した現像剤は、該現像剤攪拌搬送路に直に回収され、該現像剤攪拌搬送路を搬送されてきた現像剤と混合された後に該現像剤供給搬送路へ供給される現像装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
像担持体上に形成された静電潜像を現像する際、トナーとキャリアが収容されている現像装置に対して、トナーとキャリアを該現像装置に補給するとともに、該現像装置内の余剰となった現像剤を排出しながら現像を行う画像形成のための電子写真二成分現像剤を収納した現像装置を搭載する画像形成装置であって、
該二成分現像剤の前記キャリアのキャリア粒子が、芯材粒子とこれを被覆する被覆層からなり、該被覆層が、結着樹脂と少なくとも1種類の硬質粒子を含み、該硬質粒子の粒径D1(μm)と該被覆層における樹脂部分の平均厚みh(μm)の比(D1/h)が、1<(D1/h)<10の関係を満たすものであり、
前記現像装置が、磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する箇所で該潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給搬送部材を備えた現像剤供給搬送路と、
該潜像担持体と対向する箇所を通過後の該現像剤担持体上から回収された該現像剤を該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、前記現像剤供給搬送部材と同方向に搬送する現像剤回収搬送部材を備えた現像剤回収搬送路と、
現像に用いられずに該現像剤供給搬送路の搬送方向の最下流側まで搬送された余剰現像剤と、該現像剤担持体から回収され該現像剤回収搬送路の搬送方向の最下流側まで搬送された回収現像剤との供給を受け、該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該余剰現像剤と該回収現像剤とを攪拌しながら該現像剤供給搬送部材とは逆方向に搬送する現像剤攪拌搬送部材を備え、該現像剤を該現像剤供給搬送路に供給する現像剤攪拌搬送路とを有し、
該現像剤回収搬送路、該現像剤供給搬送路及び該現像剤攪拌搬送路からなる3つの現像剤搬送路はそれぞれ仕切り部材により仕切られ、
該現像剤攪拌搬送路と該現像剤回収搬送路とはほぼ同じ高さに設けられ、該現像剤供給搬送路は他の2つの該現像剤搬送路の上方に位置するように設けられ、
該現像剤搬送路にトナーとキャリアとが補給されるとともに、該現像装置内の余剰の現像剤を排出される現像装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項19】
トナーとキャリアを補給する現像剤補給装置を有し、該現像剤補給装置が、補給用現像剤を収納する形状が容易に変形する収納容器と該収納容器内の補給用現像剤を吸引して現像装置に供給する吸引ポンプを有することを特徴とする請求項17又は18に記載の画像形成装置。
【請求項20】
像担持体と、少なくとも像担持体上に形成された静電潜像をトナー及びキャリアを含む現像剤により可視像とする現像装置とを、一体に支持し、画像形成装置本体に着脱可能に備えられるプロセスカートリッジであって、前記画像形成装置本体側に前記現像装置に対してトナーとキャリアを補給する手段と、前記現像装置内の余剰となった現像剤を排出する現像剤排出手段とを具備させ、前記現像剤として請求項10乃至16のいずれかに記載の電子写真現像剤を用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2010−55037(P2010−55037A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230028(P2008−230028)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】