説明

画像形成装置、および画像形成装置の制御方法

【課題】印刷開始後に印刷条件を適宜変更することができ、利便性に優れた画像形成装置、および画像形成装置の制御方法を提供すること。
【解決手段】複写装置1のコントローラ40は、複数の部数を複写する場合に、読み取った原稿の画像を印刷する印刷中に、操作パネル30の表示パネル31に印刷中画面を表示させる。ユーザーが操作パネル30の操作スイッチ32を操作することにより、印刷中画面から印刷条件の変更が指示されると、コントローラ40は、指示された条件に従う印刷制御に切り替え、以降の部数の印刷は指示された印刷条件に従って制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタなどの画像形成装置、および画像形成装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数部数の印刷を行う部数印刷を開始する前に、全部数の印刷に十分なトナー残量があるか否かを判断し、十分なトナー残量がないと判断した場合に、残されたトナーにより印刷可能な部数を報知するようにした画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる画像形成装置によれば、ユーザーは、残されたトナー量によって通常の印刷を確実に行うことができる部数を把握して、通常の印刷を行う部数と、トナー抑制印刷を行う部数とを適宜設定し直すことにより、複数部数の印刷中に生じる不意のトナー切れや、トナー不足の状態でユーザーの意図に反して行われる無駄な印刷を防ぐことができる。
【0003】
【特許文献1】特開2006−178330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、部数設定を印刷開始前に設定し直すものであり、印刷中に設定を変更することはできないため、ユーザーにとって不便なことがあった。例えば、複数部数の印刷を開始した後に、全部数を印刷するために必要なだけの用紙数がないことが判明した場合、両面印刷や割り付け印刷についての印刷条件を印刷途中に変更することで、用紙不足に対応することができない。また、カラー印刷用のトナー不足のため、印刷中にカラー印刷からモノクロ印刷に印刷条件を変更することや、意図していた構図と異なっていたために、印刷中に倍率を変更することによって構図を修正することができない。このように、従来の技術によれば、いったん印刷が開始された以降については、状況に応じて印刷条件を適宜変更することができないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]印刷対象とする画像データの入力を受ける入力部と、前記画像データに従う印刷を行うための印刷部と、印刷条件の設定を指示する操作を受けるための操作部と、設定された前記印刷条件に従う印刷を前記印刷部に実行させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記印刷部による印刷中に、前記操作部が受けた操作により印刷条件の変更が指示された場合、前記印刷部が実行中の印刷における印刷条件を、前記指示された印刷条件に切り替えることを特徴とする画像形成装置。
【0007】
この構成によれば、印刷部による印刷中に、操作部が受けた操作により印刷条件の変更が指示された場合、実行中の印刷における印刷条件が、指示された印刷条件に切り替わるので、ユーザーは、操作部を操作することにより、用紙不足やトナー不足や意図していた構図との違いなど、印刷開始後に判明した状況に応じて印刷条件を、印刷中に適宜変更することができる。したがって、ユーザーの意図に反した無駄な印刷を行ってしまうことが少なくなり、ユーザーにとっての利便性が向上する。
【0008】
[適用例2]上記画像形成装置において、画面を表示するための表示部、をさらに備え、前記制御部は、前記印刷部による印刷中に、印刷条件の変更を指示するための画面を前記表示部に表示させ、前記表示部に表示される画面に従って前記操作部が受ける操作により印刷条件の変更が指示された場合に、前記印刷部が実行中の印刷における印刷条件を、前記指示された印刷条件に切り替えることを特徴とする画像形成装置。
【0009】
この構成によれば、印刷部による印刷中に、印刷条件の変更を指示するための画面が表示部に表示されるので、ユーザーは、表示された画面に従って操作部を操作することにより印刷中の設定変更を容易に行うことができる。
【0010】
[適用例3]上記画像形成装置において、前記画像データは、複数の部数を印刷対象に指定し、前記制御部は、前記画像データに従う部数印刷を前記印刷部に実行させ、前記印刷部による印刷中に、前記操作部が受けた操作により印刷条件の変更が指示された場合に、前記複数の部数のうち未印刷の部数分の印刷を、前記指示された印刷条件に切り替えて実行させることを特徴とする画像形成装置。
【0011】
この構成によれば、印刷条件の変更が指示された場合に、未印刷の部数分の印刷が、指示された印刷条件に従って行われるので、複数部数の印刷中に部数単位で印刷条件を変更することができる。
【0012】
[適用例4]上記画像形成装置において、前記印刷条件は、印刷色の設定、割り付け印刷の設定、両面印刷の設定、または印刷倍率の設定の少なくとも1つを含むことを特徴とする画像形成装置。
【0013】
この構成によれば、印刷色の設定、割り付け印刷の設定、両面印刷の設定、または印刷倍率の設定を、印刷中に変更することができる。これにより、例えば、印刷を開始した後に、用紙数が不足していることが判明したときに、両面印刷や割り付け印刷の印刷条件を変更することにより用紙不足に対応すること、カラー印刷用のトナー不足のために印刷中にモノクロ印刷に印刷色を変更すること、印刷物の構図が意図していたものと異なっていたために印刷中に倍率変更を行って所望の構図に変更することなど、印刷中の状況に応じて印刷条件を適宜変更できるようになる。
【0014】
[適用例5]上記画像形成装置において、原稿を読み取る読取部と、読み取った原稿の読取画像データを記憶し、前記印刷部による印刷開始後についても前記読取画像データを記憶し続ける記憶部と、をさらに備え、前記制御部は、前記印刷部による印刷中に、前記操作部が受けた操作により印刷条件の変更が指示された場合、前記記憶部に記憶された前記読取画像データに従って、前記指示された印刷条件に従う印刷を前記印刷部に実行させることを特徴とする画像形成装置。
【0015】
この構成によれば、読取部に読み取られた原稿の読取画像データは、印刷部による印刷開始後についても記憶部に記憶され続けているので、印刷中に印刷条件の変更が指示された場合に、記憶部に記憶された読取画像データに従って変更された印刷条件に従う印刷に切り替えることができる。したがって、印刷中に印刷条件の変更が指示された場合に、原稿を再び読み取る手間をユーザーにかけさることがなくなり、複数部数の複写を行う際の作業効率が向上する。
【0016】
[適用例6]印刷対象とする画像データの入力を受ける入力部と、前記画像データに従う印刷を行うための印刷部と、印刷条件の設定を指示する操作を受けるための操作部と、を備える画像形成装置の制御方法であって、設定された前記印刷条件に従う印刷を前記印刷部に実行させ、前記印刷部による印刷中に、前記操作部が受けた操作により印刷条件の変更が指示された場合、前記印刷部が実行中の印刷における印刷条件を、前記指示された印刷条件に切り替えることを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【0017】
このようにすれば、印刷中であっても、ユーザーは、操作部を操作することにより、用紙不足やトナー不足や意図していた構図との違いなど、印刷開始後に判明した状況に応じて印刷条件を印刷中に適宜変更することができるので、ユーザーの意図に反した無駄な印刷を行ってしまうことが少なくなり、ユーザーにとっての利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本実施例に係る複写装置の構成を示した図である。図1に示すように、複写装置(画像形成装置)1は、印刷を行う印刷エンジン(印刷部)10と、原稿の読取を行うスキャナ部20と、LCDなどの表示パネル31および操作スイッチ(操作部)32を有する操作パネル30と、これらの各構成を制御するコントローラ(制御部)40と、を備えている。なお、本実施例では、印刷エンジン10は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色トナーを用いた電子写真方式の画像形成を行うものとする。
【0020】
コントローラ40は、CPU41と、ROM42と、RAM43と、エンジンI/F44と、スキャナI/F(入力部)45と、パネルI/F46と、を備えている。
【0021】
ROM42には、複写装置1を制御する制御プログラム、およびカラー印刷用の色変換テーブル、モノクロ印刷用の色変換テーブルなどの各種テーブルが記憶されている。RAM43は、受信バッファやワーキングメモリなどとして用いられる。CPU41は、コントローラ40の主制御装置であり、ROM42に記憶された制御プログラムをRAM43を用いて実行することにより、複写装置1の各構成を制御する。
【0022】
スキャナI/F45は、スキャナ部20に接続するインターフェイスであり、パネルI/F46は、操作パネル30に接続するインターフェイスである。エンジンI/F44は、印刷エンジン10に対するインターフェイス部分であり、画像データを印刷エンジン10が処理可能な形式のデータに変換して印刷エンジン10に出力する処理を行う。具体的には、エンジンI/F44は、RGB形式の画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理、パルス幅変調などの処理をCPU41と協働して行い、パルス幅変調後のデータを出力するASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成されている。
【0023】
次に、以上の構成を有する複写装置1において、原稿を読み取って、複数部数分の複写物を出力する際の処理について、図2のフローチャートに従って説明する。
【0024】
例えば、ユーザーが、スキャナ部20に原稿をセットして、操作パネル30の操作スイッチ32を操作することにより、部数指定、カラー印刷またはモノクロ印刷の印刷色、割り付け印刷、両面印刷、または印刷倍率についての印刷条件を設定してから、原稿の複写開始を指示すると、図2の処理が開始される。処理を開始すると、まず、CPU41は、スキャナ部20のスキャン条件を設定する(ステップS100)。ここでは、スキャナ部20が対応する複数のスキャン解像度のうちから最大解像度を選択し、最大解像度のカラー画像を読み取るようスキャン条件を設定する。
【0025】
次に、CPU41は、スキャナ部20に原稿を読み取らせる(ステップS110)。このとき、スキャナ部20は、ステップS100において設定されたスキャン条件に従い最大解像度で原稿を読み取って、RGB形式の読取画像データを生成し、読取画像データをコントローラ40に出力する。
【0026】
次に、CPU41は、読取画像データから、印刷色、割り付け印刷、両面印刷、または印刷倍率について設定された印刷条件に従う出力用画像データを生成する処理を行う(ステップS120)。具体的には、割り付け印刷が設定されていた場合には、入力された読取画像データの画像サイズを縮小する処理および縮小画像を回転させる処理を行って、1ページ分の画像領域に複数ページ分の画像を配置することにより、割り付け印刷用の画像データを生成する。また、読取画像データに対して設定された倍率に応じた画像サイズを変更する処理を行うことにより、指定された倍率設定に対応する画像サイズの画像データを生成する。さらに、両面印刷が有効に設定されている場合は、複数ページ分の画像データの順番を、両面印刷用の所定のページ順に並び替える処理を行う。そして、CPU41は、エンジンI/F44と協働して、設定された印刷色に応じた色変換処理およびハーフトーン処理を行う。すなわち、モノクロ印刷に設定されていた場合、ROM42に記憶されたモノクロ印刷用の色変換テーブルを参照して、割り付け印刷、倍率変更後の画像データをCMYK形式のモノクロ画像データに変換する色変換処理、カラー印刷に設定されていた場合には、カラー印刷用の色変換テーブルを参照して、画像データをCMYK形式の画像データに変換する色変換処理が行われ、さらに、ハーフトーン処理が行われることにより出力用画像データが生成される。
【0027】
なお、ステップS120では、後で印刷条件の設定が変更される場合に備えて、CPU41は、出力用画像データを生成した後についても、読取画像データをRAM43に記憶させ続けることにより、原稿の再読取を行うことなく、出力用画像データを生成可能な状態としておく。
【0028】
次に、CPU41は、エンジンI/F44を介して1部を印刷するための出力用画像データを印刷エンジン10に出力することにより、出力用画像データに従う印刷を印刷エンジン10に実行させるとともに、図3に例として示す印刷中画面100を操作パネル30の表示パネル31に表示させる(ステップS130)。この印刷中画面100には、部数、印刷色、割り付け印刷、両面印刷、印刷倍率のそれぞれについての印刷条件を表すメッセージ101とともに、印刷条件を変更するための印刷条件変更ボタン102が含まれている。このとき、印刷条件を変更しようとするユーザーは、操作スイッチ32を操作することにより、印刷中画面100の印刷条件変更ボタン102を選択して押下する。なお、印刷中画面100において、印刷中止ボタン103が押下された場合には、押下された時点以降の印刷を中止して、図2の処理を終了する。
【0029】
次に、CPU41は、印刷条件変更ボタン102が押下されたか否かを判断する(ステップS140)。印刷中画面100において印刷条件変更ボタン102が押下されていないと判断した場合(ステップS140:No)、ステップS150に進む。
【0030】
一方、ユーザーが、操作パネル30の操作スイッチ32を操作することによって、印刷中画面100の印刷条件変更ボタン102が押下されていれば(ステップS140:Yes)、CPU41は、印刷中画面100に代えて、印刷条件変更画面を表示パネル31に表示させる(ステップS160)。
【0031】
図4に例として示すように、印刷条件変更画面200には、部数、印刷色、割り付け印刷、両面印刷、印刷倍率のそれぞれについて印刷条件を示した項目201、印刷開始ボタン202、およびキャンセルボタン203が表示される。この印刷条件変更画面200は、操作スイッチ32への操作により、変更対象とする印刷条件の項目201を任意に選択可能に構成されており、図4に示すように、選択された項目201は白黒反転表示されるようになっている。
【0032】
印刷条件変更画面200において、いずれかの項目201を選択した状態で操作スイッチ32に所定の操作が行われると、印刷条件変更画面200に代えて、選択された項目に関する条件を設定するための設定画面が表示される。例えば、図4に示すように印刷色の項目が選択されている場合、図5に例として示す印刷色の設定画面300が表示パネル31に表示される。ユーザーは、設定画面300に従って操作パネル30の操作スイッチ32を操作することによって、印刷色の印刷条件を、カラー印刷またはモノクロ印刷のうち任意に設定することができる。設定画面300において印刷色の印刷条件を設定すると、印刷色についての表示を変更した印刷条件変更画面200が表示パネル31に表示される。なお、図4,5の例では、印刷色の印刷条件を変更する場合を例としたが、部数、割り付け印刷、両面印刷、印刷倍率の条件についても同様に、印刷条件変更画面200において対応する項目を選択してから、印刷条件変更画面200に代わって表示される設定画面300に従って、操作スイッチ32を操作することにより設定が変更される。
【0033】
印刷条件変更画面200において、印刷開始ボタン202またはキャンセルボタン203が押下されると、ステップS170に処理が進んで、CPU41は、設定変更の指示があったか否かを判断する。設定画面300において新たな設定が指示された後に、印刷開始ボタン202が押下されていた場合、設定変更の指示があったと判断して(ステップS170:Yes)、ステップS120に戻り、RAM43に記憶された読取画像データから、変更後の印刷条件に従う出力用画像データを生成する。一方、印刷条件変更画面200においてキャンセルボタン203が押下されていた場合、または、設定画面300に従って設定変更が行われていない状態で、印刷開始ボタン202が押下されていた場合、設定変更の指示がないと判断して(ステップS170:No)、ステップS150に進む。
【0034】
ステップS150に処理が進むと、CPU41は、指定された全部数の印刷が終了したか否かを判断する。全部数の印刷が終了していなければ(ステップS150:No)、ステップS130に戻って、以降の部数についての印刷を行う。全部数の印刷が終了していれば(ステップS150:Yes)、指定された部数の印刷が完了したため、図2の処理を終了する。
【0035】
本実施例の複写装置1によれば、以下の効果を得ることができる。
【0036】
(1)複数部数の複写を開始した後、読み取った原稿の印刷中に、ユーザーは、表示パネル31に表示される画面に従って、操作スイッチ32を操作することにより印刷条件を変更させることができ、印刷条件が変更されると以降に行われる部数印刷については変更後の印刷条件に従って印刷される。したがって、ユーザーは、印刷エンジン10による印刷中であっても、原稿の複写を開始させた後に判明した様々な状況に応じて印刷条件を適宜変更することができるようになる。
【0037】
例えば、原稿の複写を開始した後、複写原稿の印刷中に、必要な用紙数が不足していることが判明した場合、ユーザーは、両面印刷や割り付け印刷の印刷条件を変更することで、以降の印刷を両面印刷または割り付け印刷とすることにより、用紙を節約し、全部数の印刷を完了させることができる。また、複写原稿の印刷中にカラー印刷用のトナーがトナー切れとなった場合、またはトナー残量が少なくなった場合に、ユーザーは、印刷中に印刷色を変更してモノクロ印刷として以降の印刷を行わせることにより、トナー切れにより濃度不足となる無駄な印刷を防ぐことができる。さらに、ユーザーが最初の印刷結果を確認し、印刷物の構図が意図していた構図と異なっていた場合には、印刷中に倍率変更を行うことにより、以降の部数の印刷では修正された構図の印刷結果を得ることができる。このように、複数の部数分を複写する際の印刷中に、ユーザーが所望する印刷条件に適宜変更することができるため、ユーザーにとっては大変便利である。
【0038】
(2)ステップS100の処理において、原稿の読取解像度を最大解像度としたので、割り付け印刷や倍率変更を行う際に行う画像サイズの変換処理による画質劣化を最小限に抑えることができる。例えば、スキャナ部20により読み取った読取画像データの画像を、より高解像度の画像に変換する場合、ジャギーがより顕著に目立つようになって画質が劣化する可能性がある。上記実施例では、最大解像度で原稿を読み取るとしたことにより、画像サイズの変換処理を精度良く行って、好適な画質の画像を印刷することができる。
【0039】
(3)ステップS120の処理において出力用画像データを生成した後についても、スキャナ部20から受け取った読取画像データはRAM43に記憶されているので、印刷中における印刷条件の変更が指示された場合に、RAM43から読み出した読取画像データを用いて、変更後の印刷条件に従う出力用画像データを生成し直すことができる。印刷条件を変更した後に、原稿を再び読み取る手間をユーザーにかけさせることがないので、複数部数の複写を行う際の作業効率が向上する。
【0040】
以上、実施の形態の一実施例について説明したが、以下の変形例としてもよい。
【0041】
(変形例1)上記実施例では、原稿を複数の部数分について複写する場合を例にして説明したが、複写装置1に、プリンタドライバを備えたホストコンピュータが接続されている場合、ホストコンピュータから受信した印刷データに従う印刷において、印刷中に印刷条件を変更可能な構成としてもよい。すなわち、ホストコンピュータのプリンタドライバから複数部数の部数印刷が指定された印刷データを受信すると、CPU41が、印刷データに指定された印刷条件を取得してから、図2のフローチャートにおけるステップS120〜S170と同様の処理を行うようにしてもよい。このとき、ホストコンピュータのディスプレイ(表示部)に印刷中画面100、印刷条件変更画面200、設定画面300を表示して、ユーザーがマウスやキーボード(操作部)を操作することによりプリンタドライバから印刷条件の変更を指示するようにしてもよい。なお、この場合の画像形成装置としては、複写装置に限られることなく、電子写真方式やインクジェット方式などの印刷を行うプリンタであってもよい。
【0042】
(変形例2)上記実施例では、印刷エンジン10による印刷中に、部数単位で印刷条件を変更可能としたが、ページ単位で変更可能としてもよい。すなわち、印刷条件の変更が指示されたときに、指示を受けた時点で印刷されているページの次のページから印刷条件を変更した印刷を行うようにしてもよい。
【0043】
(変形例3)上記実施例では、複写装置1の表示パネル31に、印刷条件を変更するための各種画面を表示するようにしたが、表示部は必須の構成ではない。例えば、印刷条件を変更するための専用のスイッチを複写装置に設け、印刷条件を変更するための画面を表示させることなく、専用スイッチへの操作により印刷中に印刷条件を変更可能な構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施例に係る複写装置の構成を示した図。
【図2】原稿を読み取って、複数部数分の複写物を出力する際の処理の手順を示したフローチャート。
【図3】印刷中画面の一例を示した図。
【図4】印刷条件変更画面の一例を示した図。
【図5】設定画面の一例を示した図。
【符号の説明】
【0045】
1…画像形成装置としての複写装置、10…印刷部としての印刷エンジン、20…スキャナ部、30…操作パネル、31…表示部としての表示パネル、32…操作部としての操作スイッチ、40…制御部としてのコントローラ、41…CPU、42…ROM、43…RAM、44…エンジンI/F、45…入力部としてのスキャナI/F、46…パネルI/F、100…印刷中画面、200…印刷条件変更画面、300…設定画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象とする画像データの入力を受ける入力部と、
前記画像データに従う印刷を行うための印刷部と、
印刷条件の設定を指示する操作を受けるための操作部と、
設定された前記印刷条件に従う印刷を前記印刷部に実行させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記印刷部による印刷中に、前記操作部が受けた操作により印刷条件の変更が指示された場合、前記印刷部が実行中の印刷における印刷条件を、前記指示された印刷条件に切り替えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
画面を表示するための表示部、をさらに備え、
前記制御部は、
前記印刷部による印刷中に、印刷条件の変更を指示するための画面を前記表示部に表示させ、
前記表示部に表示される画面に従って前記操作部が受ける操作により印刷条件の変更が指示された場合に、前記印刷部が実行中の印刷における印刷条件を、前記指示された印刷条件に切り替えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記画像データは、複数の部数を印刷対象に指定し、
前記制御部は、前記画像データに従う部数印刷を前記印刷部に実行させ、前記印刷部による印刷中に、前記操作部が受けた操作により印刷条件の変更が指示された場合に、前記複数の部数のうち未印刷の部数分の印刷を、前記指示された印刷条件に切り替えて実行させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記印刷条件は、印刷色の設定、割り付け印刷の設定、両面印刷の設定、または印刷倍率の設定の少なくとも1つを含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
原稿を読み取る読取部と、
読み取った原稿の読取画像データを記憶し、前記印刷部による印刷開始後についても前記読取画像データを記憶し続ける記憶部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記印刷部による印刷中に、前記操作部が受けた操作により印刷条件の変更が指示された場合、前記記憶部に記憶された前記読取画像データに従って、前記指示された印刷条件に従う印刷を前記印刷部に実行させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
印刷対象とする画像データの入力を受ける入力部と、
前記画像データに従う印刷を行うための印刷部と、
印刷条件の設定を指示する操作を受けるための操作部と、を備える画像形成装置の制御方法であって、
設定された前記印刷条件に従う印刷を前記印刷部に実行させ、前記印刷部による印刷中に、前記操作部が受けた操作により印刷条件の変更が指示された場合、前記印刷部が実行中の印刷における印刷条件を、前記指示された印刷条件に切り替えることを特徴とする画像形成装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−163086(P2009−163086A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1897(P2008−1897)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】