説明

画像形成装置、その制御方法およびその制御プログラム

【課題】ユーザーの使用態様に対応してユーザーを検知することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、動作モードとして、通常モードと通常モードよりも消費電力の小さい省電力モードとを有する。画像形成装置1は、画像形成装置1を通常モードから省電力モードに移行するための移行部210と、移行部210が画像形成装置1を通常モードから省電力モードに移行させる際に、画像形成装置1における予め定められた監視領域を監視するための状態監視部220と、所定の検出領域に位置する人体を検出する検出部160と、状態監視部220による監視結果に基づいて、監視領域の近傍に設けられた検出部160の検出感度を調整する調整部230とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力モードへの移行を制御する画像形成装置、その制御方法およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、消費電力削減のために、画像形成装置が一定時間使用されていない場合、当該装置の一部の電力供給を停止する省電力モードへ移行させる電力制御が行なわれている。省電力モード時においては、当該装置の操作パネルへのユーザーからの操作を受け付けると、省電力モードを解除し通常モードヘ移行する。これは、操作パネル内に配置されている検出回路により操作パネルのキーやタッチパネルを常時スキャンし、ユーザーからの操作を検出することで移行させている。しかし、近年では低消費電力モード時において、消費電力をさらに削減するため、上記検出部分についても電力供給を停止することも行なわれている。この場合、ユーザーは操作パネルによる操作では低消費電力モードを解除できないため、別に人体検知センサーを備え、当該人体検知センサーの検出結果に基づき省電力モードを解除する方式が提案されている。
【0003】
たとえば、特開2010−147725号公報(特許文献1)には、人体検知センサーを備えた画像処理装置において、省電力モードを誤って解除してしまうことを防止するために、人体検知のセンス値の履歴や画像処理装置の操作の履歴との結果に基づいて人体検知範囲を設定する方式が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−147725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2010−147725号公報に開示された技術によると、過去の履歴から人体検知範囲を調整するため、画像処理装置に接近するユーザーを検知することで省電力モードを誤って解除することを防止することはできるが、ユーザーの当該画像形成装置の使用態様に対応した検知方式ではないため、使用態様によらず省電力を解除してしまうことを防止することができなかった。たとえば、省電力モード時において、画像形成装置の排紙部に出力された原稿がある場合には、ユーザーは当該出力原稿を回収するために当該排紙部に接近するが、これは画像形成装置の使用を意図したものではないにも関わらず、ユーザーが人体検知範囲に入ることで省電力モードが解除されてしまう。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、ユーザーの使用態様に対応してユーザーを検知することが可能な画像形成装置、その制御方法およびその制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある局面に従うと、画像形成装置であって、動作モードとして、通常モードと通常モードよりも消費電力の小さい省電力モードとを有する。画像形成装置は、画像形成装置を通常モードから省電力モードに移行するための移行部と、移行部が画像形成装置を通常モードから省電力モードに移行させる際に、画像形成装置における予め定められた監視領域を監視するための状態監視部と、所定の検出領域に位置する人体を検出する検出部と、状態監視部による監視結果に基づいて、監視領域の近傍に設けられた検出部の検出感度を調整する調整部とを含む。
【0008】
好ましくは、画像形成装置は、原稿を自動搬送するための自動原稿搬送部と、自動原稿搬送部で搬送された原稿が載置されているか否かを検知する搬送検知部とをさらに備える。検出部は、自動原稿搬送部の近傍に設けられ、自動原稿搬送部に近接する人体を検出可能な位置に配置され、状態監視部は、搬送検知部の状態を監視し、調整部は、搬送検知部の状態に従い自動原稿搬送部で搬送された原稿が載置された状態であるとの状態監視部の監視結果に基づいて、自動原稿搬送部の近傍に設けられた検出部の検出感度を通常モードのときの検出感度よりも低下させる。
【0009】
好ましくは、画像形成装置は、原稿を排紙するための排紙部と、排紙部に原稿が載置されているか否かを検知する排紙検知部とをさらに備える。検出部は、排紙部の近傍に設けられ、排紙部に近接する人体を検出可能な位置に配置され、状態監視部は、排紙検知部の状態を監視し、調整部は、排紙検知部の状態に従い排紙部に原稿が載置された状態であるとの状態監視部の監視結果に基づいて排紙部の近傍に設けられた検出部の検出感度を通常モードのときの検出感度よりも低下させる。
【0010】
好ましくは、画像形成装置は、原稿を載置するための原稿台と、原稿台に原稿が載置されているか否かを検知する原稿台検知部とをさらに備える。検出部は、原稿台の近傍に設けられ、原稿台に近接する人体を検出可能な位置に配置され、状態監視部は、原稿台検知部の状態を監視し、調整部は、原稿台検知部の状態に従い原稿台に原稿が載置された状態であるとの状態監視部の監視結果に基づいて原稿台の近傍に設けられた検出部の検出感度を通常モードのときの検出感度よりも低下させる。
【0011】
好ましくは、画像形成装置は、転写紙を給紙するための給紙部と、給紙部に転写紙があるか否かを検知する給紙部検知部とをさらに備える。検出部は、給紙部の近傍に設けられ、給紙部に近接する人体を検出可能な位置に配置され、状態監視部は、給紙部検知部の状態を監視し、調整部は、給紙部検知部の状態に従い給紙部に転写紙がない状態であるとの状態監視部の監視結果に基づいて給紙部の近傍に設けられた検出部の検出感度を通常モードのときの検出感度よりも低下させる。
【0012】
好ましくは、画像形成装置は、原稿に対して画像を形成する画像形成部と、画像形成部におけるジャムの発生を検知するジャム検知部とをさらに備える。検出部は、画像形成部の近傍設けられ、画像形成部に近接する人体を検出可能な位置に配置され、状態監視部は、ジャム検知部の状態を監視し、調整部は、ジャム検知部の状態に従い画像形成部にジャムが発生している状態であるとの状態監視部の監視結果に基づいて画像形成部の近傍に設けられた検出部の検出感度を通常モードのときの検出感度よりも低下させる。
【0013】
好ましくは、画像形成装置は、ユーザーからの認証印刷情報を受信する通信部と、認証印刷をするユーザーを認証するための認証部とをさらに備える。検出部は、認証部の近傍に設けられ、認証部に近接する人体を検出可能な位置に配置され、状態監視部は、通信部の状態を監視し、調整部は、通信部の状態に従い認証印刷情報を通信部が受信した状態であるとの状態監視部の監視結果に基づいて、認証部の近傍に設けられた検出部の検出感度を通常モードのときの検出感度よりも上昇させる。
【0014】
好ましくは、画像形成装置は、着脱式記憶媒体を接続するための接続部と、接続部に着脱式記憶媒体が接続されているか否かを検知する接続検知部とをさらに備える。検出部は、接続部の近傍に設けられ、接続部に近接する人体を検出可能な位置に配置され、状態監視部は、接続検知部の状態を監視し、調整部は、接続検知部の状態に従い着脱式記憶媒体が接続部に接続された状態であるとの状態監視部の監視結果に基づいて、接続部の近傍に設けられた検出部の検出感度を通常モードのときの検出感度よりも低下させる。
【0015】
好ましくは、ダイレクトプリント機能の設定が可能である画像形成装置を提供する。画像形成装置は、着脱式記憶媒体を接続するための接続部をさらに備える。検出部は、接続部の近傍に設けられ、接続部に近接する人体を検出可能な位置に配置され、状態監視部は、ダイレクトプリント機能の設定の有無を監視し、調整部は、ダイレクトプリント機能の設定があるとの状態監視部の監視結果に基づいて接続部の近傍に設けられた検出部の検出感度を通常モードのときの検出感度よりも上昇させる。
【0016】
好ましくは、検出部は、検出部が有する検出電極と人体との間の静電容量の変化を読み取ることで人体を検出する。
【0017】
本発明の他の局面に従うと、画像形成装置の制御方法であって、動作モードとして、通常モードと通常モードよりも消費電力の小さい省電力モードとを有する。画像形成装置は、所定の検出領域に位置する人体を検出する検出手段を含む。画像形成装置の制御方法は、画像形成装置を通常モードから省電力モードに移行するステップと、移行するステップが画像形成装置を通常モードから省電力モードに移行させる際に、画像形成装置における予め定められた監視領域を監視するステップと、監視するステップによる監視結果に基づいて、監視領域の近傍に設けられた検出手段の検出感度を調整するステップとを含む。
【0018】
本発明の他の局面に従うと、画像形成装置のコンピューターに実行させる制御プログラムであって、動作として、通常モードと通常モードよりも消費電力の小さい省電力モードとを有する。画像形成装置は、所定の検出領域に位置する人体を検出する検出手段を含む。制御プログラムは、コンピューターに、画像形成装置を通常モードから省電力モードに移行するステップと、移行するステップが画像形成装置を通常モードから省電力モードに移行させる際に、画像形成装置における予め定められた監視領域を監視するステップと、状態監視部による監視結果に基づいて、監視領域の近傍に設けられた検出手段の検出感度を調整するするステップとを備える処理を実行させる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、ユーザーの使用態様に対応してユーザーを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に従う画像形成装置を示す概略正面断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に従う画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に従う画像形成装置における操作パネルの外観の一例を示した図である。
【図4】本発明の実施の形態に従う画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態に従う画像形成装置に配置される人感センサーの概略説明図である。
【図6】本発明の実施の形態に従う画像形成装置における人感センサーのアンテナの配置場所の一例を示した図である。
【図7】本発明の実施の形態に従う画像形成装置が通常モードから省電力モードに移行する処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に従う人感センサーの調整処理手順のフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態に従う画像形成装置が省電力モードから通常モードに移行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての同一部分については、その詳細な説明は繰り返さない。
【0022】
<全体構成>
まず、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成について説明する。画像形成装置は、たとえば、複数の原稿を順次搬送するための原稿搬送機能や自動で両面コピーを行うための再搬送機能などを有するディジタル複合機である。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置1を示す概略正面断面図である。
図1を参照して、画像形成装置1は、画像処理部12と、画像形成部14と、給紙部16と、定着装置18と、排紙部19とを含む。画像形成装置1の本体上部には、自動原稿搬送装置20と画像読取部30とが搭載されている。
【0024】
自動原稿搬送装置20は、自動搬送用原稿台22と、原稿排紙台23と、搬送ローラー24とを含む。自動原稿搬送装置20の自動搬送用原稿台22には、複写面を上向きにして図示しない原稿が載置される。搬送ローラー24は、原稿を順次搬送路に送り込み、当該原稿は原稿排紙台23まで搬送される。
【0025】
搬送路の最終端には、スキュー補正部であるレジストローラー26が配置されている。レジストローラー26は、画像読取部30の走査タイミングと同期して回転することによって、原稿をスリットガラス28上を通過させる。
【0026】
画像読取部30は、原稿を載置することが可能な原稿台31と、第1走査ユニット32と、第2走査ユニット34と、結像レンズ36と、CCD等の撮像素子38とを含む。第1走査ユニット32は、スリットガラス28を通して原稿に光を照射する光源とミラーとを含む。第2走査ユニット34は、反射光を結像レンズ36へとガイドする2枚のミラーを含む。
【0027】
第1走査ユニット32は、原稿が画像読取部30の上部に配置されたスリットガラス28上を通過する際に、原稿に光を照射することによって、原稿からの反射光を受光する。反射光は、第2走査ユニット34および結像レンズ36を経て、撮像素子38上に入射する。すなわち、第1走査ユニット32と第2走査ユニット34と結像レンズ36とは、原稿に印刷された画像を撮像素子38上に結像することによって、原稿上に印刷された画像を読み取る。
【0028】
画像処理部12は、撮像素子38からの電気信号に基づいて、画像データを生成する。すなわち、画像処理部12は、撮像素子38からの電気信号に基づいて画像処理する。より詳細には、画像処理部12は、撮像素子38からの電気信号(アナログ信号)に基づいて、画像を示す画像データ(デジタルデータ)を生成し、当該画像データを後述する記憶部110に一時的に格納する。
【0029】
画像形成部14は、像担持体10と、帯電装置42と、画像書込部44と、現像装置46と、転写装置48とを含む。帯電装置42は、像担持体10の外周面に沿って配置される。像担持体10が帯電装置42に沿って回転することによって、帯電装置42は像担持体10の表面をほぼ一様に帯電させる。画像書込部44は、像担持体10の表面に静電潜像を形成する。現像装置46は、帯電潜像を現像してトナー像を形成する。転写装置48は、像担持体10の表面上のトナー像を転写紙Pに転写する。クリーニング装置49は、転写後の像担持体10の表面を清掃する。
【0030】
一方、給紙部16は、給紙カセット52(52A、52B)を含む。給紙カセット52は、複数の転写紙Pを収容する。給紙カセット52内には、可動板53が配置される。可動板53は、板バネ等の付勢手段によって、常時その自由端が上方向に付勢される。このような構成によって、可動板53上に配置される複数の転写紙Pのうち最も上に位置する転写紙Pが、ピックアップローラー54に接触する。
【0031】
ピックアップローラー54は、ピックアップローラー54に接触する転写紙Pを給紙カセット52から排出する。さばきローラー54Aは、複数の転写紙Pを1枚ずつ分離する。複数の中間ローラー56は、転写紙Pをガイドしつつ、転写紙Pを下レジストローラー58まで搬送する。下レジストローラー58は、給紙タイミングに合わせて、転写紙Pを転写装置48に送り込む。
【0032】
前述したように、転写装置48は、像担持体10上に形成されたトナー像を転写紙Pに転写する。トナー像が転写された転写紙Pは、定着装置18に搬送される。定着装置18は、転写紙Pにトナー像の定着処理を施す。その後、排紙ローラー72が、転写紙Pを扶持することによって、転写紙Pを画像形成装置1の外部に排出する。すなわち、画像が印刷された転写紙Pが排紙台74上に載置される。
【0033】
また、操作パネル180が画像形成装置1の前面の筐体に配置されており、ユーザーからの画像形成装置1への各種の指示を受け付ける。
【0034】
<ハードウェア構成>
次に、画像形成装置1のハードウェア構成について説明する。
【0035】
図2は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0036】
図2を参照して、画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)100と、記憶部110と、通信部120と、認証部122と、タイマー126と、自動原稿搬送装置20と、プリンター部130と、スキャナー部140と、人感センサー160と、センサー170と、操作パネル180と、USB(Universal Serial Bus)制御部190と、USBコネクター部192と、電源制御部194と、電源部196とを含む。
【0037】
CPU100は、後述する記憶部110の不揮発性メモリーに予め格納されているプログラムを読み出し、プログラムを順次実行することによって、画像形成装置1の各部を制御する。より詳細には、CPU100は、当該プログラムを実行することによって、後述する画像形成装置1の処理を実現する。
【0038】
記憶部110は、ROM(Read Only Memory)112や、RAM(Random Access Memory)114や、HDD(Hard Disk Drive)116などの不揮発性メモリーなどによって実現される。ROM112は、CPU100で実行されるプログラムを予め格納し、RAM114は、CPU100のプログラム部分の実行に必要なデータを一時的に記憶する。HDD116は、比較的大容量のデータを不揮発的に格納することができ、たとえば、後述するスキャナー部140が画像を読み取ることによって取得した画像データなどを複数格納する。
【0039】
通信部120は、ネットワークインターフェイスなどによって実現される。通信部120は、所定のプロトコルに従って、ネットワークを介してパーソナルコンピューターやサーバー装置との間で画像データなどを送受信する。たとえば、通信部120は、ユーザーからの認証印刷処理を受信する。
【0040】
認証部122は、ユーザーの認証が必要な認証印刷のためにユーザーを認証する。認証部122は、たとえば、ユーザー情報が記憶されたICカードの情報を読み取り、予め記憶部110に格納されたユーザー情報と比較をすることでユーザーの認証を行なう。
【0041】
タイマー126は、時刻を計時する部位であり、計時した時刻に応じた信号をCPU100に送出する。CPU100は、当該信号に基づき、たとえば一定時間間隔で予め定められた処理をすることができる。
【0042】
自動原稿搬送装置20は、上記で説明したように原稿を自動搬送用原稿台22にセットして自動的に連続読み取りを行う。
【0043】
プリンター部130は、画像データに基づいて転写紙Pに画像を印刷する。プリンター部130は、主な構成要素として、画像処理部12と、画像形成部14と、給紙部16と、定着装置18と、排紙部19とを含む。
【0044】
スキャナー部140は、原稿を光学的に読取って画像データを得て、データとして記憶部110に記憶する。スキャナー部140は、主な構成要素として画像読取部30を含む。
【0045】
人感センサー160は、画像形成装置1の所定の各箇所に配置されており、所定の検出領域に対する人体の有無を検出する。たとえば、人感センサー160は静電容量式センサーで構成されており、後述するアンテナ162と、センサー回路制御部164とを含む。具体的には、アンテナ162で検出された静電容量の変化をセンサー回路制御部164が検出信号に変換して、CPU100に出力する。
【0046】
センサー170は、自動原稿搬送装置20の原稿排紙台23に載置されている原稿の有無を検出する搬送センサー172と、原稿台31に載置されている原稿の有無を検出する原稿台センサー174と、排紙台74での原稿の有無を検出する排紙センサー176と、給紙カセット52での転写紙Pの有無を検出する給紙センサー178(178A、178B)とを含む。
【0047】
USB制御部190は、USBコネクター部192に装着されたUSBデバイスに対するアクセスを実行する。また、USB制御部190は、USBコネクター部192に装着された装置を検知して、当該装置に関する情報をCPU100に出力する。
【0048】
CPU100は、USB制御部190から出力された当該装置に関する情報に基づいて、USBコネクター部192に装着された装置を認識可能であるか否か判断する。そして、認識した場合には、当該装置に対するアクセスが可能となる。具体的には、たとえば、USBメモリーが認識された場合には、操作パネル180から当該USBメモリーにアクセス指示して、記憶部110に記憶されている、スキャナー部140によりスキャニング処理された画像データ等のデータ書込処理等が可能となる。
【0049】
電源制御部194は、CPU100からの指示に応答して、電源部196からの電力を画像形成装置1のほぼ全ての部位に供給したり(通常モード)、画像形成装置1の一部の部位のみに供給したり(省電力モード)して、画像形成装置1の電力供給制御を行なう。たとえば、電源制御部194は省電力モード時にはディスプレイ駆動回路への電源部196からの電力供給を停止して消費電力を低減する。
【0050】
電源部196は、交流電圧から直流電圧に変換する回路を有し、変換した直流電圧によって、画像形成装置1を動作させる。
【0051】
操作パネル180は、ディスプレイ182と、ユーザーからの操作入力を受付ける操作キー183(操作キー群183A、183B)と、ディスプレイの駆動回路184と、ディスプレイ182に表示する表示内容や操作キー183からの出力を総括的に制御するパネル制御部185とを含む。
【0052】
図3は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置1における操作パネル180の外観の一例を示した図である。
【0053】
図3を参照して、ディスプレイ182は、各種モードの表示や設定等を実行するためにタッチパネル186が取付けられている。また、操作キー183は、たとえば、コピー/スキャン等の動作を開始させるためのスタートキー、入力された数値のクリアするためのクリアキー、コピー/スキャン動作の停止を指示するためのストップキー、設定されているモードおよびジョブを破棄するためのリセットキーなどを含む。
【0054】
また、操作パネル180には、認証部122とUSBコネクター部192が備え付けられている。たとえば、認証部122は非接触カードリーダーである。ユーザーがユーザー情報が格納されているカードを当該カードリーダーに読み込ませることで、認証部122はユーザーの認証処理を実行する。また、ユーザーは、USBコネクター部192において、USBメモリーの着脱を行なうことが可能である。
【0055】
ただし、認証部122およびUSBコネクター部192は、操作パネル180に備え付けられていなくてもよい。たとえば、操作パネル180の近傍にある画像形成装置1の筐体部分に設けられていてもよい。
【0056】
<機能構成>
次に、本発明の実施の形態に従う画像形成装置1の機能構成について説明する。
【0057】
図4は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0058】
図4を参照して、画像形成装置1は、移行部210と、状態監視部220と、調整部230とを含む。そして、上述したように、画像形成装置1は、通信部120と、タイマー126と、人感センサー160と、操作パネル180と、USB制御部190と、電源制御部194と、センサー170として構成される搬送センサー172と、原稿台センサー174と、排紙センサー176と、給紙センサー178とを含む。
【0059】
移行部210と、状態監視部220と、調整部230とは、CPU100がROM112やRAM114やHDD116に予め格納されていたプログラムを読み出して実行することにより実現されるものである。すなわち、移行部210と、状態監視部220と、調整部230とは、画像形成装置1のCPU100と記憶部110とによって実現される機能である。
【0060】
ただし、移行部210と、状態監視部220と、調整部230とは、専用のハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0061】
以下、画像形成装置1が有する機能ブロックの各々について詳述する。
移行部210は、所定の条件に基づいて、画像形成装置1を通常モードから省電力モードに移行させたり、逆に省電力モードから通常モードに移行させたりする。たとえば、通常モード時に、タイマー126によって計測された通常モード動作時間が所定の時間に達すると、画像形成装置1を通常モードから省電力モードに移行させる。たとえば、省電力モード時に人感センサー160がユーザーを検出した場合に画像形成装置1を省電力モードから通常モードに移行させる。
【0062】
状態監視部220は、移行部210によって画像形成装置1が通常モードから省電力モードに移行される際に、画像形成装置1における所定の監視領域の状態を監視する。具体的には、たとえば、センサー170の状態を監視して、センサー170に対応する箇所の原稿の有無や転写紙Pの有無を判断する。また、認証部122の状態を監視して、認証印刷を受信済みかまたは受信中であるか否かを判断する。さらに、USB制御部190の状態を監視して、USBメモリーが装着されているか否かを判断する。さらに、画像形成装置1に紙詰まり(ジャム)が発生しているか否かを判断する。
【0063】
調整部230は、状態監視部220での所定の監視結果に基づいて、対応する人感センサー160の検出感度を調整する。たとえば、搬送センサー172の検知結果に基づいて原稿排紙台23に原稿が載置されていると状態監視部220が判断した場合、調整部230は、原稿排紙台23の近傍に設けられている人感センサー160の検出感度を通常モード時の検出感度よりも低下させる。これは、ユーザーが当該原稿を回収する際に人感センサー160がユーザーを検出して、移行部210が画像形成装置1を省電力モードから通常モードに移行させることを防ぐためである。従って、ユーザーの使用態様に応じたユーザーの検知が可能となる。
【0064】
ここで、以下では説明のため、人感センサー160の検出感度が、通常モード時の検出感度よりも低い状態を「低感度状態」、通常モード時の検出感度と同等の状態を「標準状態」、通常モード時の検出感度よりも高い状態を「高感度状態」として記載する。
【0065】
<動作例>
次に、本発明の実施の形態に従う画像形成装置1が省電力モードから通常モードへ移行する際に、人感センサー160を調整する際の動作例について説明する。
【0066】
(人感センサーの概要)
まず、人感センサー160の概要について説明する。
【0067】
図5は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置1に配置される人感センサー160の概略説明図である。
【0068】
図5を参照して、人感センサー160は静電容量式のセンサーであり、回路の一部に検出電極(アンテナ162)を設けて、アンテナ162に物体が接近することによって生じる電極の静電容量の変化を電気信号に変換して、人体の接近を検出する。概略的には、人感センサー160はその内部に検出容量Crおよび基準容量Coを有しており、検出容量Crと基準容量Coとを比較することにより容量の変化ΔCを検出する。たとえば、アンテナ162にユーザーの操作指が接近すると操作指とアンテナ162との間の容量Cpの容量が増加するため、容量(Cp+Cr)と基準容量Coとを比較することでΔCを検出する。検出したΔCの容量変化によりセンサー内部の図示しない発振回路が発振し回路に流れる電流が増大するため、予め設定された電流設定値を超えると出力回路にて検出信号がCPU100に出力される。CPU100は、当該検出信号に基づいて人体が検出されたか否かを判断する。
【0069】
(人感センサーの配置場所)
次に、人感センサー160のアンテナ162の配置場所について説明する。
【0070】
図6は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置1における人感センサー160のアンテナ162の配置場所の一例を示した図である。なお、図6での人感センサー160のアンテナ162の配置場所および個数はこれに限定されるものではなく、ユーザーの使用用途によって様々な配置場所および数に設定できる。
【0071】
図6を参照して、画像形成装置1には複数の人感センサー160A〜160Jが設けられる。そして、複数の人感センサー160A〜160Jにそれぞれ対応した複数のアンテナ162A〜162Jが配置されている。たとえば、アンテナ162Aは、原稿排紙台23の近傍に設けられ、アンテナ162Aに対応する人感センサー160Aは、原稿排紙台23に載置された原稿を回収しようとするユーザーの検出が可能である。同様に、アンテナ162Bは原稿台31の近傍に設けられ、アンテナ162Bに対応する人感センサー160Bは、原稿台31に載置された原稿を回収しようとするユーザーの検出が可能である。アンテナ162Cおよび162Dは排紙台74の近傍に設けられ、アンテナ162Cおよび162Dに対応する人感センサー160Cおよび160Dは、排紙台74に載置された原稿を回収しようとするユーザーの検出が可能である。アンテナ162Eおよびアンテナ162Fはそれぞれ給紙カセット52A、52Bの近傍に設けられ、アンテナ162Eおよび162Fに対応する人感センサー160Eおよび160Fは、転写紙Pを給紙しようとするユーザーの検出が可能である。アンテナ162Gは画像形成装置1の本体部分の前面に配置され、アンテナ162Gに対応する人感センサー160Gは、ジャム発生時に紙詰まりを取り除こうとするユーザーの検出が可能である。アンテナ162H、アンテナ162Iおよびアンテナ162Jは、画像形成装置1の筐体部分の前面に搭載されている操作パネル180に配置され、アンテナ162H、162Iおよび162Jに対応する人感センサー160H、160Iおよび160Jは、操作パネル180を操作しようとするユーザーや、操作パネル180に備え付けられた認証部122においてユーザー認証をしようとするユーザーや、操作パネル180に備え付けられたUSBコネクター部192においてUSBメモリーを着脱しようとするユーザーの検出が可能である。
【0072】
(省電力モードへの移行処理)
次に、画像形成装置1が通常モードから省電力モードに移行する処理手順について説明する。
【0073】
図7は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置1が通常モードから省電力モードに移行する処理手順を示すフローチャートである。ここでは、画像形成装置1は通常モードで動作している状態であるとする。また、通常モードにおいては、低消費電力化のため人感センサー160への電力供給は停止しているものとする。
【0074】
まず、画像形成装置1の通常モード動作状態の時間を計測するために、移行部210の指示により、タイマー126は通常モード時間の計測を開始する(ステップS102)。
【0075】
次に、操作パネル180は、ユーザーからの指示を受け付けたか否かを判断する(ステップS104)。操作パネル180は、ユーザーからの指示を受け付けたと判断すると(ステップS104においてNOである場合)、移行部210の指示により、タイマー126はステップS102に戻り通常モード動作時間の計測を最初からやり直す。一方、操作パネル180は、ユーザーからの指示を受け付けていないと判断すると(ステップS104においてYESである場合)、移行部210の指示により、タイマー126は通常モード動作時間の計測を続行する。
【0076】
次に、移行部210は、タイマー126によって計測されている通常モード動作時間が予め設定された時間に達したか否かを判断する(ステップS106)。移行部210は、通常モード動作時間が予め設定された時間に達していないと判断すると(ステップS106においてNOである場合)、ステップS104からの処理を繰り返す。一方、移行部210は、通常モード時間が予め設定された時間に達したと判断すると(ステップS106においてYESである場合)、状態監視部220は画像形成装置1の予め設定されている監視領域を監視し、その状態を確認する(ステップS108)。
【0077】
次に、調整部230は、状態監視部220の監視結果に基づいて、監視領域の近傍に設けられた人感センサー160を調整する(ステップS110)。具体的な人感センサー160の調整方式については後述する。
【0078】
次に、移行部210は、画像形成装置1を通常モードから省電力モードに移行させて(ステップS112)、処理を終了する。具体的には、移行部210の指示により、電源制御部194は画像形成装置1の所定の部位への電力の供給を停止する。
【0079】
(人感センサーの調整)
次に、ステップS110のおける人感センサー160の具体的な調整方式について説明する。
【0080】
人感センサー160の検出感度は、全て標準状態に設定されているものとする。また、検出感度を「維持する」とは、先の検出感度の状態を維持することを意味する。つまり、先の検出感度の状態が標準状態であれば、標準状態を維持し、先の検出感度の状態が低感度状態であれば、低感度状態を維持し、先の検出感度の状態が高感度状態であれば、高感度状態を維持する。ここで、真に画像形成装置1を使用するためのユーザーを検出する必要があるため、低感度とは検出感度を標準状態よりも低下させることであって、完全に検出感度をゼロにはしないものとする。ただし、検出感度はユーザーによって任意に設定できるため、検出感度をゼロに設定してもよい。
【0081】
図8は、本発明の実施の形態に従う人感センサー160の調整処理手順のフローチャートである。
【0082】
まず、状態監視部220は、搬送センサー172からの検出信号に基づいて原稿排紙台23に原稿が載置されているか否かを判断する(ステップS202)。状態監視部220が原稿排紙台23に原稿が載置されていると判断すると(ステップS202においてYESの場合)、調整部230は原稿排紙台23の近傍に設けられたアンテナ162Aに対応する人感センサー160Aの検出感度を低感度状態に設定する(ステップS204)。一方、状態監視部220が原稿排紙台23に原稿が載置されていないと判断すると(ステップS202においてNOの場合)、調整部230は人感センサー160Aの検出感度の状態を維持する(ステップS206)。
【0083】
従って、原稿排紙台23に原稿が載置されている場合は、省電力モード時に人感センサー160Aの検出感度が低感度状態となるため、ユーザーが原稿排紙台23から取り忘れなどの原稿を回収する際の意図しない省電力モードの解除を防止できる。
【0084】
次に、状態監視部220は、原稿台センサー174からの検出信号に基づいて原稿台31に原稿が載置されているか否かを判断する(ステップS208)。状態監視部220は、原稿台31に原稿が載置されていると判断すると(ステップS208においてYESの場合)、調整部230は、原稿台31の近傍に設けられたアンテナ162Bに対応する人感センサー160Bの検出感度を低感度状態に設定する(ステップS210)。一方、状態監視部220は、原稿台31に原稿が載置されていないと判断すると(ステップS208においてNOの場合)、調整部230は、人感センサー160Bの検出感度の状態を維持する(ステップS212)。
【0085】
従って、原稿台31に原稿が載置されている場合は、省電力モード時に人感センサー160Bの検出感度が低感度状態となるため、ユーザーが原稿台31から取り忘れなどの原稿を回収する際の意図しない省電力モードの解除を防止できる。
【0086】
次に、状態監視部220は、排紙センサー176からの検出信号に基づいて排紙台74に原稿が載置されているか否かを判断する(ステップS214)。状態監視部220は、排紙台74に原稿が載置されていると判断すると(ステップS216においてYESの場合)、調整部230は、排紙台74の近傍に設けられたアンテナ162Cおよび162Dに対応する人感センサー160Cおよび160Dの検出感度を低感度状態に設定する(ステップS216)。一方、状態監視部220は、排紙台74に原稿が載置されていないと判断すると(ステップS214においてNOの場合)、調整部230は、人感センサー160Cおよび160Dの検出感度の状態を維持する。
【0087】
従って、排紙台74に原稿が載置されている場合は、省電力モード時に人感センサー160Cや160Dの検出感度が低感度状態となるため、ユーザーが排紙台74から取り忘れなどの原稿を回収する際の意図しない省電力モードの解除を防止できる。
【0088】
次に、状態監視部220は、給紙センサー178(178A、178B)からの検出信号に基づいて給紙カセット52(52A、52B)に転写紙Pが載置されているか否かを判断する(ステップS220)。状態監視部220は、給紙カセット52に転写紙Pが載置されていないと判断すると(ステップS220においてYESの場合)、調整部230は、給紙カセット52Aの近傍に設けられたアンテナ162Eに対応する160Eや、給紙カセット52Bに配置されたアンテナ162Fに対応する人感センサー160Fの検出感度を低感度状態に設定する(ステップS222)。一方、状態監視部220は、給紙カセット52に転写紙Pが載置されていると判断すると(ステップS220においてNOの場合)、調整部230は、人感センサー160Eや160Fの検出感度の状態を維持する(ステップS224)。
【0089】
従って、給紙カセット52に転写紙Pが載置されていない場合は、省電力モード時に人感センサー160Eや160Fの検出感度が低感度状態となるため、ユーザーが給紙カセット52に転写紙Pを補充する際の意図しない省電力モードの解除を防止できる。
【0090】
次に、状態監視部220は、画像形成装置1の画像形成部14にジャムが発生しているか否かを判断する(ステップS226)。状態監視部220は、ジャムが発生していると判断すると(ステップS226においてYESの場合)、調整部230は、画像形成装置1の画像形成部14の近傍であり、筐体の前面に配置されたアンテナ162Cに対応する人感センサー160Cや、アンテナ162Gに対応する人感センサー160Gの検出感度を低感度状態に設定する(ステップS228)。一方、状態監視部220は、ジャムが発生していないと判断すると(ステップS226においてNOの場合)、調整部230は、人感センサー160Cや160Gの検出感度の状態を維持する(ステップS230)。
【0091】
従って、画像形成装置1の画像形成部14にジャムが発生している場合は、省電力モード時に人感センサー160Cや160Gの検出感度が低感度状態となるため、ユーザーが画像形成装置1の筐体のカバーを開いて紙詰まりを取り除く際の意図しない省電力モードの解除を防止できる。
【0092】
次に、状態監視部220は、USB制御部190からの出力結果に基づいてUSBコネクター部192にUSBメモリーが装着されているか否かを判断する(ステップS232)。状態監視部220は、USBメモリーが装着されていないと判断すると(ステップS232においてNOの場合)、調整部230は、USBコネクター部192の近傍に設けられたアンテナ162Hに対応する人感センサー160Hの検出感度の状態を維持する(ステップS234)。
【0093】
一方、状態監視部220は、USBメモリーが装着されていると判断すると(ステップS232においてYESの場合)、状態監視部220は、さらにダイレクトプリント設定が有効か否かを判断する(ステップS236)。なお、本発明の実施の形態に従う画像形成装置1は、プリンタードライバーを介さずに例えばカメラ等の機器に格納されている画像データを印刷することが可能ないわゆるダイレクトプリント機能を有しているものとする。当該ダイレクトプリント機能の設定(ダイレクトプリント設定)は、デフォルトにおいて有効であり、操作パネル180を介して当該設定を変更可能(有効から無効へ)であるものとする。たとえば、ダイレクトプリント設定が有効な場合には、ダイレクトプリント機能対応のUSBメモリーがUSBコネクター部192に装着され、かつ当該USBメモリー内に印刷出力可能なファイル形式(PDF、JPEGなど)のファイルがある場合にはダイレクトプリントが可能である。状態監視部220がダイレクトプリント設定が有効であると判断すると(ステップS236においてYESの場合)、調整部230は人感センサー160Hの検出感度を高感度状態に設定する(ステップS238)。一方、状態監視部220がダイレクトプリント設定が有効ではないと判断すると(ステップS236においてNOの場合)、調整部230は人感センサー160Hの検出感度を低感度状態に設定する(ステップS240)。
【0094】
従って、ダイレクトプリント設定が有効ではない状態の場合は、省電力モード時に人感センサー160Hの検出感度が低感度状態となるため、ユーザーがUSBメモリーを取り外す際の意図しない省電力モードの解除を防止できる。一方、ダイレクトプリント設定が有効である状態の場合は、省電力モード時に人感センサー160Hの検出感度が高感度状態となるため、ユーザーがダイレクトプリントを実行するためにより早い省電力モードの解除が可能となる。
【0095】
次に、状態監視部220は、通信部120において印刷するときに認証が必要な認証印刷処理実行するジョブを受信済み、または受信中の状態であるか否かを判断する(ステップS242)。状態監視部220が、通信部120の状態を当該状態であると判断すると(ステップS242においてYESの場合)、調整部230は認証部122の近傍に設けられたアンテナ162Hに対応する人感センサー160Hやアンテナ162Iに対応する人感センサー160Iの検出感度を高感度状態に設定して(ステップS244)、処理を終了する。一方、状態監視部220が、通信部120の状態を当該状態ではないと判断すると(ステップS242においてNOの場合)、調整部230は人感センサー160Hや人感センサー160Iの検出感度を維持して(ステップS246)、処理を終了する。
【0096】
従って、通信部120が認証印刷処理を実行するジョブを受信済みまたは受信中の状態の場合は、省電力モード時に人感センサー160Iや160Hの検出感度が高感度状態となるため、ユーザーが認証印刷するためにより早い省電力モードの解除が可能となる。
【0097】
なお、上記の原稿排紙台23の近傍に設けられた人感センサー160Aの検出感度を調整する第1の調整ステップ(ステップS202〜S206)と、原稿台31の近傍に設けられた人感センサー160Bの検出感度を調整する第2の調整ステップ(ステップS208〜S212)と、排紙台74の近傍に設けられた人感センサー160C、160Dの検出感度を調整する第3の調整ステップ(ステップS214〜S218)と、給紙カセット52の近傍に設けられた人感センサー160E、160Fの検出感度を調整する第4の調整ステップ(ステップS220〜S224)と、画像形成装置1の画像形成部14の近傍に設けられた人感センサー160C、160Gの検出感度を調整する第5の調整ステップ(ステップS226〜S230)と、USBコネクター部192の近傍に設けられた人感センサー160Hの検出感度を調整する第6の調整ステップ(ステップS232〜S240)と、認証部122の近傍に設けられた人感センサー160H、160Iの検出感度を調整する第7の調整ステップ(ステップS242〜S246)との実行順序は図8に示す形態に限られない。これらの処理を並列的に実行してもよいし、たとえば、第1の調整ステップの実行に先んじて第7の調整ステップを実行してもよい。
【0098】
(通常モードへの移行処理)
次に、画像形成装置1が省電力モードから通常モードへ移行する際の移行処理について説明する。
【0099】
図9は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置1が省電力モードから通常モードに移行する処理手順を示すフローチャートである。ここで、はじめに画像形成装置1は省電力モードで動作している状態であるとする。なお、省電力モード時では低消費電力化のため操作パネル180への電力供給は停止しており、人感センサー160にて人体の検出を行なうものとする。
【0100】
移行部210は、人感センサー160の検出結果に基づいて省電力モードから通常モードへ移行するか否かを判断する(ステップS302)。移行部210が、省電力モードから通常モードへ移行しないと判断すると(ステップS302においてNOである場合)、ステップS302の状態を維持する。一方、移行部210が、省電力モードから通常モードへ移行すると判断すると(ステップS302においてYESである場合)、調整部230は、画像形成装置1に配置されている全ての人感センサー160の検出感度を標準状態に設定する(ステップS304)。ただし、人感センサー160の検出感度の設定は、ユーザーが用途に応じて任意に定めることができるため、各々の人感センサー160に応じて設定してもよい。
【0101】
次に、移行部210は、画像形成装置1を省電力モードから通常モードに移行させる(ステップS306)。具体的には、移行部210の指示により、電源制御部194は画像形成装置1のほぼ全ての部位に電力を供給する。
【0102】
<その他の実施の形態>
上記では、画像形成装置1の低消費電力化のため、通常モード時は人感センサー160へ電力が供給されておらず、逆に省電力モード時は操作パネル180へ電力が供給されていない例について説明した。しかし、通常モード時、省電力モード時のいずれの状態であっても、操作パネル180および人感センサー160に電力を供給してもよい。この場合、省電力モードから通常モードへの移行は、操作パネル180へのユーザーからの指示および人感センサー160での人体の検出によってなされる。また、通常モード時での動作時間計測の解除も操作パネル180へのユーザーからの指示および人感センサー160での人体の検出によってなされる。
【0103】
なお、コンピューターを機能させて、上述のフローで説明したような制御を実行させるプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピューターに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM、RAMおよびメモリーカードなどの一時的でないコンピューター読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピューターに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0104】
なお、プログラムは、コンピューターのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0105】
また、本発明にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0106】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0107】
1 画像形成装置、10 像担持体、12 画像処理部、14 画像形成部、16 給紙部、18 定着装置、19 排紙部、20 自動原稿搬送装置、22 自動搬送用原稿台、23 原稿排紙台、24 搬送ローラー、26 レジストローラー、28 スリットガラス、30 画像読取部、32 第1走査ユニット、34 第2走査ユニット、36 結像レンズ、38 撮像素子、42 帯電装置、44 画像書込部、46 現像装置、48 転写装置、49 クリーニング装置、52 給紙カセット、53 可動板、54 ピックアップローラー、54A さばきローラー、56 中間ローラー、58 下レジストローラー、72 排紙ローラー、74 排紙台、100 CPU、110 記憶部、112 ROM、114 RAM、120 通信部、122 認証部、126 タイマー、130 プリンター部、140 スキャナー部、160 人感センサー、162 アンテナ、164 センサー回路制御部、170 センサー、172 搬送センサー、174 原稿台センサー、176 排紙センサー、178 給紙センサー、180 操作パネル、182 ディスプレイ、183 操作キー、184 ディスプレイ駆動回路、185 パネル制御部、186 タッチパネル、190 USB制御部、192 USBコネクター部、194 電源制御部、196 電源部、210 移行部、220 状態監視部、230 調整部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作モードとして、通常モードと前記通常モードよりも消費電力の小さい省電力モードとを有する画像形成装置であって、
前記画像形成装置を前記通常モードから前記省電力モードに移行するための移行部と、
前記移行部が前記画像形成装置を前記通常モードから前記省電力モードに移行させる際に、前記画像形成装置における予め定められた監視領域を監視するための状態監視部と、
所定の検出領域に位置する人体を検出する検出部と、
前記状態監視部による監視結果に基づいて、前記監視領域の近傍に設けられた前記検出部の検出感度を調整する調整部とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
原稿を自動搬送するための自動原稿搬送部と、
前記自動原稿搬送部で搬送された原稿が載置されているか否かを検知する搬送検知部とをさらに備え、
前記検出部は、前記自動原稿搬送部の近傍に設けられ、前記自動原稿搬送部に近接する人体を検出可能な位置に配置され、
前記状態監視部は、前記搬送検知部の状態を監視し、
前記調整部は、前記搬送検知部の状態に従い前記自動原稿搬送部で搬送された原稿が載置された状態であるとの前記状態監視部の監視結果に基づいて、前記自動原稿搬送部の近傍に設けられた前記検出部の前記検出感度を前記通常モードのときの前記検出感度よりも低下させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
原稿を排紙するための排紙部と、
前記排紙部に原稿が載置されているか否かを検知する排紙検知部とをさらに備え、
前記検出部は、前記排紙部の近傍に設けられ、前記排紙部に近接する人体を検出可能な位置に配置され、
前記状態監視部は、前記排紙検知部の状態を監視し、
前記調整部は、前記排紙検知部の状態に従い前記排紙部に原稿が載置された状態であるとの前記状態監視部の監視結果に基づいて前記排紙部の近傍に設けられた前記検出部の前記検出感度を前記通常モードのときの前記検出感度よりも低下させる、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
原稿を載置するための原稿台と、
前記原稿台に原稿が載置されているか否かを検知する原稿台検知部とをさらに備え、
前記検出部は、前記原稿台の近傍に設けられ、前記原稿台に近接する人体を検出可能な位置に配置され、
前記状態監視部は、前記原稿台検知部の状態を監視し、
前記調整部は、前記原稿台検知部の状態に従い前記原稿台に原稿が載置された状態であるとの前記状態監視部の監視結果に基づいて前記原稿台の近傍に設けられた前記検出部の前記検出感度を前記通常モードのときの前記検出感度よりも低下させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
転写紙を給紙するための給紙部と、
前記給紙部に転写紙があるか否かを検知する給紙部検知部とをさらに備え、
前記検出部は、前記給紙部の近傍に設けられ、前記給紙部に近接する人体を検出可能な位置に配置され、
前記状態監視部は、前記給紙部検知部の状態を監視し、
前記調整部は、前記給紙部検知部の状態に従い前記給紙部に転写紙がない状態であるとの前記状態監視部の監視結果に基づいて前記給紙部の近傍に設けられた前記検出部の前記検出感度を前記通常モードのときの前記検出感度よりも低下させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
原稿に対して画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部におけるジャムの発生を検知するジャム検知部とをさらに備え、
前記検出部は、前記画像形成部の近傍設けられ、前記画像形成部に近接する人体を検出可能な位置に配置され、
前記状態監視部は、前記ジャム検知部の状態を監視し、
前記調整部は、前記ジャム検知部の状態に従い前記画像形成部にジャムが発生している状態であるとの前記状態監視部の監視結果に基づいて前記画像形成部の近傍に設けられた前記検出部の前記検出感度を前記通常モードのときの前記検出感度よりも低下させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
ユーザからの認証印刷情報を受信する通信部と、
認証印刷をする前記ユーザを認証するための認証部とをさらに備え、
前記検出部は、前記認証部の近傍に設けられ、前記認証部に近接する人体を検出可能な位置に配置され、
前記状態監視部は、前記通信部の状態を監視し、
前記調整部は、前記通信部の状態に従い前記認証印刷情報を前記通信部が受信した状態であるとの前記状態監視部の監視結果に基づいて、前記認証部の近傍に設けられた前記検出部の前記検出感度を前記通常モードのときの前記検出感度よりも上昇させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
着脱式記憶媒体を接続するための接続部と、
前記接続部に前記着脱式記憶媒体が接続されているか否かを検知する接続検知部とをさらに備え、
前記検出部は、前記接続部の近傍に設けられ、前記接続部に近接する人体を検出可能な位置に配置され、
前記状態監視部は、前記接続検知部の状態を監視し、
前記調整部は、前記接続検知部の状態に従い前記着脱式記憶媒体が前記接続部に接続された状態であるとの前記状態監視部の監視結果に基づいて、前記接続部の近傍に設けられた前記検出部の前記検出感度を前記通常モードのときの前記検出感度よりも低下させる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成装置は、ダイレクトプリント機能の設定が可能であり
着脱式記憶媒体を接続するための接続部をさらに備え、
前記検出部は、前記接続部の近傍に設けられ、前記接続部に近接する人体を検出可能な位置に配置され、
前記状態監視部は、前記ダイレクトプリント機能の設定の有無を監視し、
前記調整部は、前記ダイレクトプリント機能の設定があるとの前記状態監視部の監視結果に基づいて前記接続部の近傍に設けられた前記検出部の前記検出感度を前記通常モードのときの前記検出感度よりも上昇させる、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記検出部は、前記検出部が有する検出電極と人体との間の静電容量の変化を読み取ることで人体を検出する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
動作モードとして、通常モードと前記通常モードよりも消費電力の小さい省電力モードとを有する画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成装置は、所定の検出領域に位置する人体を検出する検出手段を含み、
前記画像形成装置を前記通常モードから前記省電力モードに移行するステップと、
前記移行するステップが前記画像形成装置を前記通常モードから前記省電力モードに移行させる際に、前記画像形成装置における予め定められた監視領域を監視するステップと、
前記監視するステップによる監視結果に基づいて、前記監視領域の近傍に設けられた前記検出手段の検出感度を調整するステップとを含む、画像形成装置の制御方法。
【請求項12】
動作モードとして、通常モードと前記通常モードよりも消費電力の小さい省電力モードとを有する画像形成装置のコンピューターに実行させる制御プログラムであって、
前記画像形成装置は、所定の検出領域に位置する人体を検出する検出手段を含み、
前記制御プログラムは、前記コンピューターに、
前記画像形成装置を前記通常モードから前記省電力モードに移行するステップと、
前記移行するステップが前記画像形成装置を前記通常モードから前記省電力モードに移行させる際に、前記画像形成装置における予め定められた監視領域を監視するステップと、
前記監視するステップによる監視結果に基づいて、前記監視領域の近傍に設けられた前記検出手段の検出感度を調整するステップとを備える処理を実行させる、画像形成装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−7847(P2013−7847A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139770(P2011−139770)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】