説明

画像形成装置、カウンタ管理方法、及びカウンタ管理プログラム

【課題】カウンタを適切に管理することのできる画像形成装置、カウンタ管理方法、及びカウンタ管理プログラムの提供を目的とする。
【解決手段】事象とカウンタとの対応関係を管理する対応関係管理手段と、カウンタごとに値を管理するカウンタ値管理手段と、事象の発生通知に応じ、当該事象に対応付けられているカウンタを前記対応関係管理手段に基づいて判定する判定手段と、前記カウンタ値管理手段によって管理されているカウンタ値のうち、前記判定手段によって判定されたカウンタのカウンタ値を更新する更新手段とを有することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、カウンタ管理方法、及びカウンタ管理プログラムに関し、特に画像形成装置における各種のカウンタを更新する画像形成装置、カウンタ管理方法、及びカウンタ管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コピー機能、ファクシミリ(FAX)機能、印刷機能、スキャナ機能等の複数の機能を一つの筐体において実現する複合機と称される画像形成装置には、これらの機能の実現する際に発生する事象をカウントするための膨大な数のカウンタを備えている。コピー機能を例にとると、用紙の読取枚数の他、集約したときの出力用紙の枚数、コピー機能を利用した回数、ドラム部品の回転数等、多種多様なカウンタが存在する。これらのカウンタは、各機能の利用回数や請求金額をユーザごとに把握して課金管理を行ったり、各部品の消耗度(例えば、ドラムの回転数や転写回数等)を把握して複合機の各部品のメンテナンスを行ったりするために用いられる。
【0003】
従来、このようなカウンタの更新については、画像形成装置上で動作する複数のアプリケーションによって直接行われていた。したがって、各カウンタは複数のアプリケーションによって更新される可能性があった。
【特許文献1】特許第3679760号公報
【特許文献2】特開2006−78904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、各アプリケーションによってカウンタの更新が行われるような構成では、カウンタの更新ロジックが複数のアプリケーションに分散してしまう。したがって、カウンタの構成等が変更される場合、各アプリケーションのソースコードを修正する必要があり、その修正作業は、アプリケーションの数が多ければ多い程、負担が大きくなるという問題がある。
【0005】
また、カウンタは課金に関わる重要な情報であるため、その存在がアプリケーションに直接さらされるのはセキュリティ上の観点より好ましくない。特に、近年では、サードベンダによって作成されたアプリケーションのインストールも可能とされている画像形成装置が存在するが、斯かる画像形成装置では、サードベンダに対しても各カウンタの仕様を公開する必要性が生じ、悪意又は不注意によるカウンタの不正な操作を招きかねないという問題もある。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、カウンタを適切に管理することのできる画像形成装置、カウンタ管理方法、及びカウンタ管理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで上記課題を解決するため、本発明は、事象とカウンタとの対応関係を管理する対応関係管理手段と、カウンタごとに値を管理するカウンタ値管理手段と、事象の発生通知に応じ、当該事象に対応付けられているカウンタを前記対応関係管理手段に基づいて判定する判定手段と、前記カウンタ値管理手段によって管理されているカウンタ値のうち、前記判定手段によって判定されたカウンタのカウンタ値を更新する更新手段とを有することを特徴とする。
【0008】
このような画像形成装置では、カウンタを適切に管理することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カウンタを適切に管理することのできる画像形成装置、カウンタ管理方法、及びカウンタ管理プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図1では、画像形成装置の具体例として、プリンタ、コピー、スキャナ、又は、ファクス等の複数の機能を一台の筐体において実現する複合機1のハードウェア構成が示されている。
【0011】
複合機1のハードウェアとしては、コントローラ601と、オペレーションパネル602と、ファクシミリコントロールユニット(FCU)603と、撮像部604と、印刷部605が存在する。
【0012】
コントローラ601は、CPU611、ASIC612、NB621、SB622、MEM−P631、MEM−C632、HDD(ハードディスクドライブ)633、メモリカードスロット634、NIC(ネットワークインタフェースコントローラ)641、USBデバイス642、IEEE1394デバイス643、セントロニクスデバイス644により構成される。
【0013】
CPU611は、種々の情報処理用のICである。ASIC612は、種々の画像処理用のICである。NB621は、コントローラ601のノースブリッジである。SB622は、コントローラ601のサウスブリッジである。MEM−P631は、複合機1のシステムメモリである。MEM−C632は、複合機1のローカルメモリである。HDD633は、複合機1のストレージである。メモリカードスロット634は、メモリカード635をセットするためのスロットである。NIC641は、MACアドレスによるネットワーク通信用のコントローラである。USBデバイス642は、USB規格の接続端子を提供するためのデバイスである。IEEE1394デバイス643は、IEEE1394規格の接続端子を提供するためのデバイスである。セントロニクスデバイス644は、セントロニクス仕様の接続端子を提供するためのデバイスである。オペレーションパネル602は、オペレータが複合機1に入力を行うためのハードウェア(操作部)であると共に、オペレータが複合機1から出力を得るためのハードウェア(表示部)である。撮像部604は、原稿から画像(画像データ)を読み取るためのハードウェア(スキャナ)である。印刷部605は、画像(画像データ)を印刷用紙に印刷するためのハードウェア(プリンタ)である。
【0014】
図2は、本発明の実施の形態の画像形成装置においてカウンタに関連するソフトウェア構成例を示す図である。同図には、カウンタ(カウント項目)に関するソフトウェアとして、カウンタモジュール10及びアプリケーション20が示されている。
【0015】
アプリケーション20は、その機能を実現するための処理手順において、カウンタの更新の原因となる事象を発生させる。図中では、アプリケーション20として、コピーアプリ20a、FAXアプリ20b、プリンタアプリ20c、及びスキャナアプリ20d等が例示されている。各アプリケーションは、発生した事象を示す(識別する)情報(以下、「事象情報」という。)等をカウンタモジュール10に通知する。
【0016】
カウンタモジュール10は、アプリケーション20からの事象情報等の通知に基づいてカウンタの操作を一元的に行うプログラムモジュールである。すなわち、本実施の形態では、カウンタの操作は、アプリケーション20によって直接行われず、カウンタモジュール10を介して行われる。
【0017】
図3は、カウンタモジュールの構成例を示す図である。同図において、カウンタモジュール10は、カウンタマネージャ11及びカウンタコントローラ12より構成される。
【0018】
カウンタマネージャ11は、アプリケーション20より事象情報等の通知を受け付け、事象情報等に応じて操作(カウントアップ等)すべきカウンタを判断する。当該判断において、カウンタマネージャ11は、カウンタ仕様情報31を参照する。カウンタ仕様情報31は、事象とカウンタとの対応関係等が定義された情報であり、例えば、HDD633に記録されている。
【0019】
カウンタコントローラ12は、カウンタマネージャ11よりカウンタの操作要求を受け付け、カウンタ管理テーブル32において管理されているカウンタを操作する。カウンタ管理テーブル32は、例えば、HDDの633等に記録されている。
【0020】
図4は、カウンタ管理テーブルの構成例を示す図である。同図に示されるように、カウンタ管理テーブル32は、個別カウンタテーブル321及び合計カウンタテーブル322より構成される。
【0021】
個別カウンタテーブル321は、個別カウンタごとにカウンタIDとカウンタ値とを管理する。カウンタIDは、各カウンタを一意に識別するための識別子である。カウンタ値は、カウンタの値である。ここで、個別カウンタとは、独立して操作(カウントアップ等)される値を有するカウンタをいう。
【0022】
一方、合計カウンタテーブル322は、合計カウンタごとにカウンタIDと構成カウンタIDとを管理する。構成カウントカウンタIDとは、合計カウンタを構成する個別カウンタのカウンタIDの集合である。すなわち、合計カウンタとは、構成要素とされた個別カウンタのカウンタ値の総和によってその値が定まるカウンタをいう。このように、合計カウンタテーブル322では、合計カウンタと構成カウンタとの関連付けが管理され、合計カウンタの値については直接管理されない。これにより、カウンタの操作を簡便化することができると共に、カウンタ値の不整合の発生を防止することができる。
【0023】
以下、複合機1におけるカウンタの操作に関する処理手順について説明する。図5は、カウントアップ時の処理手順を説明するためのシーケンス図である。同図では、ユーザKによって、コピーアプリ20aが利用され、カラーコピーの実行が正常に完了した状態を前提とする。
【0024】
コピーアプリ20aは、カラーコピーの完了に応じ、ユーザKの操作に応じてカラーコピーが実行されたことを示す事象情報をカウントマネージャ11に通知する(S101)。ここで、事象情報には、コピーアプリ20aのアプリ名(=コピーアプリ)、カラーモード(=フルカラー)、ユーザ名(=ユーザK)、及びコピー枚数等が含まれる。
【0025】
続いて、カウントマネージャ11は、通知された事象情報とカウンタ仕様情報31とに基づいて、カウントアップすべきカウンタを判定する(S102)。
【0026】
図6は、カウンタ仕様情報の構成例を示す図である。同図において、カウンタ仕様情報31は、事象一覧テーブル311及び事象対応付けテーブル312より構成される。
【0027】
事象一覧テーブル311は、複合機1においてカウントすべき事象の一覧が定義されているテーブルである。図中では、事象として「コピー数」、「カラーコピー数」、及び「モノクロコピー数」が例示されている。これらは、それぞれコピー数の変化、カラーコピー数の変化、モノクロコピー数の変化に係る事象を示す。また、事象一覧テーブル311には、事象ごとにユーザ毎(ユーザ別)のカウントの要否が登録されている。例えば、カラーコピー数についてはユーザ毎のカウント要否が「要」とされている。したがって、カラーコピー数については、ユーザごとのカウントも実施される。
【0028】
事象対応付けテーブル312には、事象とカウンタとの対応付け(対応関係)が定義されている。具体的には、事象対応付けテーブル312では、事象ごとに、事象情報、対応するカウンタのカウンタID、有効フラグが管理される。事象は、事象一覧テーブル311における「事象」と同義である。但し、後述されるように、事象対応付けテーブル312ではユーザごとにカウントが必要な事象についてはユーザごとに区別される。カウンタIDは、事象に対応するカウンタのカウンタIDであり、カウンタ管理テーブル32におけるカウンタIDに対応する。事象情報は、上記における事象情報と同義であり、本実施の形態ではアプリ名、カラーモード、及びユーザ名によって各事象を特定又は区別するための情報である。したがって、同一のアプリ及び同一のカラーモードに係る事象であっても、事象一覧テーブル311においてユーザ毎のカウント要否が「要」とされているカウンタについてはユーザごとに異なる事象及びカウンタIDが割り当てられる。例えば、2番目及び3〜6番目のレコード(行)は、カラーコピー数に係るものであるが、それぞれ異なる事象として扱われ、異なるカウンタIDが割り当てられている。
【0029】
なお、「カラーモード=不問」とされている事象情報に係る事象については、カラーモードに拘わらずカウントされる事象であることを示す。また、「ユーザ名=不問」とされている事象に係る事象については、ユーザ共通の事象であることを示す。したがって、例えば、事象対応付けテーブル312において、1番目のレコードに係る事象に対応するカウンタ(カウンタID=0のカウンタ)は、カラーモード及びユーザを問わずカウントアップされる。また、2番目及び3番前のレコードに係るカウンタ(カウンタID=1又は2のカウンタ)は、ユーザを問わずカウントアップされる。
【0030】
有効フラグは、当該カウンタが現在有効であるか(利用されているか)否かを示す情報である。図中において「○」は有効であることを示し、「×」は無効であることを示す。
【0031】
斯かるカウンタ仕様情報31に基づいて、ステップS102においてカウンタマネージャ11によって実行される処理の詳細について説明する。図7は、カウンタマネージャによるカウントアップ対象のカウンタの判定処理を説明するためのフローチャートである。
【0032】
まず、通知された事象情報に対応付けられているカウンタIDを事象対応付けテーブル312より検索する(S1021)。例えば、通知された事象情報の内容が、アプリ名=コピーアプリ、カラーモード=フルカラー、ユーザ名=ユーザKである場合、1番目、2番目、5番目のレコードに基づいて、通知された事象情報に対応付けられているカウンタIDとして、0、1、及び5が検索される。
【0033】
続いて、カウンタIDが少なくとも一つ検索されたか否かを判定する(S1022)。カウンタIDが一つも検索されなかった場合(S1022でYES)、当該事象情報に対するカウンタIDを新たに生成する(S1023)。具体的には、事象対応付けテーブル312に新たなレコードを作成し、通知された事象情報、カウンタID、及び有効フラグの値等を当該レコードに対して登録する。カウンタIDには既存のIDと重複しない値が割り当てられる。また、有効フラグの値は「○」とされる。続いて、新たに生成されたカウンタIDに係るカウンタを更新対象とする(S1026)。
【0034】
一方、カウンタIDが少なくとも一つ検索された場合(S1022でYES)、当該カウンタIDに係るカウンタは、ユーザ毎にカウントする必要があるか否かを事象一覧テーブル311及び事象対応付けテーブル312に基づいて判定する(S1024)。より詳しくは、当該カウンタIDに対する「事象」の値を事象対応付けテーブル312より取得し、取得された「事象」の値を事象一覧テーブル311に当てはめることで、ユーザ毎のカウンタの要否を判定する。
【0035】
ユーザ毎のカウンタが必要な場合(S1024でYES)、検索結果にカレントユーザ個別のカウンタ(ここでは、カウンタID=4のカウンタ)が含まれているか否かを判定する(S1025)。含まれている場合(S1025でYES)、検索されたカウンタIDに係るカウンタを更新対象とする(S1026)。
【0036】
検索結果にカレントユーザ個別のカウンタが含まれていない場合(例えば、カレントユーザが、初めて当該事象に係る機能を利用した場合等)(S1025でNO)、上述したステップS1023を実行することにより、カレントユーザ個別のカウンタIDを生成し、検索されたカウンタID及び生成されたカウンタIDに係るカウンタを更新対象とする(S1026)。
【0037】
図5に戻る。ステップS102に続いて、カウンタマネージャ11は、図7のステップS1023において新たにカウンタIDが生成された場合は、当該カウンタIDをカウンタコントローラに通知し、新たなカウンタの作成を要求する(S103)。当該要求に応じ、カウンタコントローラ12は、個別カウンタテーブル321に新たなレコード(行)を追加し、当該レコードのカウンタID及びカウンタ値に、通知されたカウンタID又は初期値(「0」)を登録する。
【0038】
続いて、カウンタマネージャ11は、図7のステップS1026において更新対象とされた各カウンタのカウンタID及びカウント数(カウンタの増加数)をカウンタコントローラ12に通知することにより、カウンタのカウントアップを要求する(S105、S107)。当該要求に応じ、カウンタコントローラ12は、通知されたカウンタIDのうち、個別カウンタテーブル321に登録されているカウンタIDのカウンタ値をカウントアップする(S106、S108等)。すなわち、ここでは、個別カウンタのみがカウントアップされ、合計カウンタについてはカウントアップされない。例えば、カウンタID=0、1、及び5のカウンタのカウントアップが要求された場合、合計カウンタであるカウンタID=0に係るカウンタについてはカウントアップされない。
【0039】
次に、上位アプリケーションがカウンタ値を参照する際の処理手順について説明する。図8は、カウンタ値参照時の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【0040】
例えば、コピーアプリ20aが、任意のカウンタのカウンタ値の取得をカウンタマネージャ11に対して要求する(S201)。ここでの要求は、事象情報を構成する情報と同じ情報(アプリ名、カラーモード、ユーザ名)を指定することにより行われる。但し、カラーモードやユーザ名を問わない場合、これらの値は指定されない。
【0041】
続いて、カウンタマネージャ11は、カウンタ値の取得が要求されたカウンタのカウンタIDを判定し、当該カウンタIDに係るカウンタ値の取得をカウンタコントローラ12に要求する(S202)。
【0042】
ステップS202の詳細について説明する。図9は、カウントマネージャによるカウンタ値取得処理を説明するためのフローチャートである。
【0043】
まず、取得が要求されたカウンタのカウンタIDを事象対応付けテーブル312より検索する(S2021)。すなわち、取得要求の構成は、事象情報と同じであるため、指定されたアプリ名、カラーモード、及びユーザ名が「事象情報」の値に一致するレコードを事象対応付けテーブル312より検索し、当該レコードのカウンタIDを取得する。但し、ここでは、取得要求に「一致する」もののみが検索される。例えば、カラーモード又はユーザ名に指定が無い場合、カラーモード=不問又はユーザ名=不問とされている事象情報に係るレコードのみが検索される。したがって、高々一つのカウンタIDが検索される。
【0044】
カウンタIDが検索された場合(S2022でYES)、検索されたカウンタIDをカウンタコントローラ12に通知することにより、当該カウンタIDに係るカウンタ値の取得を要求する(S2023)。一方、カウンタIDが検索されなかった場合、要求元(コピーアプリ20a)に対してエラーを返却する。
【0045】
図8に戻る。カウンタ値の取得要求を受けたカウンタコントローラ12は、指定されたカウンタIDに対応するカウンタ値をカウンタ管理テーブル32より取得する(S203)。具体的には、指定されたカウンタIDが、個別カウンタテーブル321に登録されている場合は、当該カウンタIDに対するカウンタ値を個別カウンタテーブル321より取得する。一方、指定されたカウンタIDが合計カウンタテーブル322に登録されている場合は、当該カウンタIDに対する構成カウンタIDを合計カウンタテーブル322より取得し、各構成カウンタIDのカウンタ値を個別カウンタテーブル321より取得し、取得されたカウンタ値の合計(総和)を要求されたカウンタ値とする。
【0046】
続いて、カウンタコントローラ12は、取得又は算出されたカウンタ値をカウンタマネージャ11に返却する(S204)。カウンタマネージャ11は、返却されたカウンタ値をコピーアプリ20aに返却する(S205)。
【0047】
次に、不要となったカウンタを削除(廃棄)する際の処理手順について説明する。図10は、カウンタの削除時の処理手順を説明するためのシーケンス図である。カウンタの削除は、例えば、或るユーザのアカウントが複合機1より削除されたとき等、当該ユーザによって複合機1が利用されなくなったときに行われる。
【0048】
例えば、或るアプリケーション20は、或るユーザのアカウントの消滅に応じて、ユーザ名を指定して、当該ユーザに係るカウンタの利用の終了をカウンタマネージャ11に通知する(S301)。カウンタマネージャ11は、指定されたユーザ名を事象情報の中に含むレコードを事象対応付けテーブル312より検索し、当該レコードのカウンタIDを取得する(S302)。続いて、カウンタマネージャ11は、検索されたレコードの有効フラグを「×」(無効)とする(S303)。但し、当該レコードを削除してしまってもよい。
【0049】
続いて、カウンタマネージャ11は、ステップS302において取得されたカウンタIDをカウントコントローラ12に通知し、当該カウンタIDに係るカウンタの削除を要求する(S304)。カウントコントローラ12は、カウンタ管理テーブル32より、指定されたカウンタIDに係るレコードを削除する(S305)。なお、カウンタ管理テーブル32より完全に削除するのではなく、レコードは残したまま、当該レコードが無効であることを示すフラグ情報を記録するようにしてもよい。この場合、以降において当該カウンタIDに係る操作が要求された場合は無視される。斯かる措置は、削除が要求されたカウンタが、課金に関するカウンタや、合計カウンタの構成カウンタである場合等に有効である。
【0050】
カウンタの削除が完了すると、カウンタマネージャ11は、削除の完了をアプリケーション20に通知する(S306)。なお、上記のように、課金に関するカウンタ等、削除されてはならないカウンタが不用意に削除されてしまうことを避けるため、カウンタごとに削除の可否を示す情報をカウンタ仕様情報31において管理するようにしてもよい。この場合、カウンタマネージャ11は、削除が不可能なカウンタについて削除が要求された際は、エラーを返却するようにすればよい。
【0051】
なお、削除ではなく、カウンタの初期化(0クリア)についても、図10と同様のシーケンスによって実行することができる。
【0052】
上述したように、本発明の実施の形態における複合機1によれば、事象とカウンタとの対応付けがカウンタモジュール10によって一元的に管理される。カウンタモジュール10は、アプリケーションより通知された事象に基づいて更新すべきカウンタを判定し、判定されたカウンタの値を更新する。したがって、各アプリケーション20は、カウントマネージャ20に対して発生した事象を示す情報を通知すればよく、カウンタを直接操作する実装が各アプリケーションに散在するのを回避することができる。
【0053】
また、アプリケーションにカウンタが直接操作されないことにより、カウンタに対するセキュリティを適切に確保することができる。
【0054】
また、カウンタの仕様(どのような事象が発生した場合にどのカウンタを更新するか等)が変化した場合は、基本的に、事象対応付けテーブル312を編集すればよいため、仕様変更に対する柔軟性を向上することができる。
【0055】
なお、カウンタマネージャ11において、カウンタの更新の際にログを記録するようにしてもよい。そうすることで、カウンタに対するセキュリティをより向上させることができる。
【0056】
なお、上記では、コピーアプリ20aによるカウンタの操作を例として説明したため、事象を特定又は構成するための情報(事象情報)に「カラーモード」が含まれていたが、事象情報の構成は、アプリケーションの種別等に応じて適宜変化させればよい。
【0057】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態の画像形成装置においてカウンタに関連するソフトウェア構成例を示す図である。
【図3】カウンタモジュールの構成例を示す図である。
【図4】カウンタ管理テーブルの構成例を示す図である。
【図5】カウントアップ時の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【図6】カウンタ仕様情報の構成例を示す図である。
【図7】カウンタマネージャによるカウントアップ対象のカウンタの判定処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】カウンタ値参照時の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【図9】カウントマネージャによるカウンタ値取得処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】カウンタの削除時の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【符号の説明】
【0059】
1 複合機
10 カウンタモジュール
11 カウンタマネージャ
12 カウンタコントローラ
20 アプリケーション
20a コピーアプリ
20b FAXアプリ
20c プリンタアプリ
20d スキャナアプリ
31 カウンタ仕様情報
32 カウンタ管理テーブル
601 コントローラ
602 オペレーションパネル602
603 ファクシミリコントロールユニット
604 撮像部
605 印刷部
611 CPU
612 ASIC
621 NB
622 SB
631 MEM−P
632 MEM−C
633 HDD
634 メモリカードスロット
635 メモリカード
641 NIC
642 USBデバイス
643 IEEE1394デバイス
644 セントロニクスデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
事象とカウンタとの対応関係を管理する対応関係管理手段と、
カウンタごとに値を管理するカウンタ値管理手段と、
事象の発生通知に応じ、当該事象に対応付けられているカウンタを前記対応関係管理手段に基づいて判定する判定手段と、
前記カウンタ値管理手段によって管理されているカウンタ値のうち、前記判定手段によって判定されたカウンタのカウンタ値を更新する更新手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カウンタ値管理手段は、少なくとも一部のカウンタについてユーザ別にカウンタ値を管理することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記事象に対応付けられているカウンタが存在しないときに、前記カウンタ値管理手段に当該カウンタを生成することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カウンタ値管理手段は、複数のカウンタの合計値によってその値が示されるカウンタについては、前記複数のカウンタとの関連付けを管理することを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成装置が実行するカウンタ管理方法であって、
事象の発生通知に応じ、当該事象に対応付けられているカウンタを、事象とカウンタとの対応関係を管理する対応関係管理手段に基づいて判定する判定手順と、
カウンタごとに値を管理するカウンタ値管理手段によって管理されているカウンタ値のうち、前記判定手順によって判定されたカウンタのカウンタ値を更新する更新手順とを有することを特徴とするカウンタ管理方法。
【請求項6】
前記カウンタ値管理手段は、少なくとも一部のカウンタについてユーザ別にカウンタ値を管理することを特徴とする請求項5記載のカウンタ管理方法。
【請求項7】
前記判定手順は、前記事象に対応付けられているカウンタが存在しないときに、前記カウンタ値管理手段に当該カウンタを生成することを特徴とする請求項5又は6記載のカウンタ管理方法。
【請求項8】
前記カウンタ値管理手段は、複数のカウンタの合計値によってその値が示されるカウンタについては、前記複数のカウンタとの関連付けを管理することを特徴とする請求項5乃至7いずれか一項記載のカウンタ管理方法。
【請求項9】
請求項5乃至8いずれか一項記載のカウンタ管理方法を画像形成装置に実行させるためのカウンタ管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−163129(P2009−163129A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2434(P2008−2434)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】