説明

画像形成装置、及び複合装置

【課題】画像形成装置に対する媒体カセットの挿入動作にかかるユーザの負荷を軽減するとともに、当該媒体カセットを確実に挿入規定位置まで挿入させることが可能な画像形成装置、及び複合装置を提供する。
【解決手段】装置本体101に供給する媒体を収納し、装置本体に対して挿抜自在に配設された媒体カセット102を有する画像形成装置であって、媒体カセット102に形成された係合部材と、装置本体に形成され、媒体カセット102挿入動作に伴い係合部材と係合する被係合部材と、被係合部材に接続され、係合部材と被係合部材との係合を介して媒体カセット102を装置本体に対する媒体カセット102挿入方向へ移動させる移動手段とを備えることを特徴とする画像形成装置、又は複合装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び複合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、インクジェット方式や電子写真方式等のプリンタ、ファクシミリ機、コピー機、又はプリンタ機能、ファクシミリ機能、若しくはコピー機能等の複数の機能を備えた複合機等の画像形成装置においては、画形形成機構において形成された画像を記録する媒体を収納する媒体カセットを備えている。
【0003】
通常、上記媒体カセットは、媒体を出し入れするための開口部を有する上面開放型カセット形状であり、媒体の補充が容易となるように、画像形成装置に対して挿抜自在となるように形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−173397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、媒体カセットを画像形成装置にセットするときに、ユーザによる挿入具合が十分でない場合、媒体カセットが画像形成装置内の挿入規定位置まで到達しないことがあった。また、大型サイズの媒体の収納に対応した媒体カセットを画像形成装置にセットする場合、媒体カセット本体の重量に加え、収納された大型サイズの媒体の重量もさらに加わるため、媒体カセット挿入時の負荷が増し、ユーザの負担が大きくなる、といった問題もあった。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、画像形成装置に対する媒体カセットの挿入動作にかかるユーザの負荷を軽減するとともに、当該媒体カセットを確実に挿入規定位置まで挿入させることが可能な画像形成装置、及び複合装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる画像形成装置は、装置本体に供給する媒体を収納し、装置本体に対して挿抜自在に配設された媒体カセットを有する画像形成装置であって、媒体カセットに形成された係合部材と、装置本体に形成され、媒体カセット挿入動作に伴い係合部材と係合する被係合部材と、被係合部材に接続され、係合部材と被係合部材との係合を介して媒体カセットを装置本体に対する媒体カセット挿入方向へ移動させる移動手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる複合装置は、装置本体に供給する媒体を収納し、装置本体に対して挿抜自在に配設された媒体カセットを有する画像形成装置であって、媒体カセットに形成された係合部材と、装置本体に形成され、媒体カセット挿入動作に伴い係合部材と係合する被係合部材と、被係合部材に接続され、係合部材と被係合部材との係合を介して媒体カセットを装置本体に対する媒体カセット挿入方向へ移動させる移動手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成装置に対する媒体カセットの挿入動作にかかるユーザの負荷を軽減するとともに、当該媒体カセットを確実に挿入規定位置まで挿入させることが可能な画像形成装置、及び複合装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置としてのプリンタを説明するための断面図である。
【図2】給紙カセット、及び給紙カセットの挿抜機構を説明するための、給紙カセット挿入時におけるプリンタの縦断面図である。
【図3】図2中の矢印z方向から見たプリンタの横断面図である。
【図4】給紙カセットのプリンタに対する一連の挿抜動作を段階的に説明する模式図である。
【図5】給紙カセットのプリンタに対する一連の挿抜動作を段階的に説明する模式図である。
【図6】給紙カセットのプリンタに対する一連の挿抜動作を段階的に説明する模式図である。
【図7】給紙カセットのプリンタに対する一連の挿抜動作を段階的に説明する模式図である。
【図8】給紙カセットのプリンタに対する一連の挿抜動作を段階的に説明する模式図である。
【図9】給紙カセットのプリンタに対する一連の挿抜動作を段階的に説明する模式図である。
【図10】給紙カセットのプリンタに対する一連の挿抜動作を段階的に説明する模式図である。
【図11】給紙カセットのプリンタに対する一連の挿抜動作を段階的に説明する模式図である。
【図12】給紙カセット、及び給紙カセットの引き抜き動作を説明するための、給紙カセット引き抜き時におけるプリンタの縦断面図である。
【図13】給紙カセットのプリンタに対する引き抜き動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0012】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる画像形成装置を説明するための断面図である。本実施形態における画像形成装置は、例えば、プリンタ、ファクシミリ機、複写機、又は各種の機能を併せ持つ複合機等であるが、いかなる種類のものであってもよく、ここでは、プリンタ101として説明する。また、プリンタ101は、インクジェット方式、電子写真方式、熱転写方式等のいかなる種類の印刷方式を適用した装置であってもよいが、ここでは、電子写真方式を適用した電子写真方式のプリンタであるものとする。さらに、プリンタ101は、カラー画像を形成するカラープリンタであってもよいが、ここでは、モノクロ画像を形成するモノクロプリンタであるものとする。
【0013】
プリンタ101は、プリンタ下部に挿抜自在に配設され、媒体搬送経路の始端となる媒体カセットとしての給紙カセット102と、給紙カセット102の上部に一体形成された分離片103と、分離片103と当接する位置に配設され、図示せぬ駆動源から伝達された駆動力により回転する給紙ローラ104と、媒体搬送経路における給紙ローラ104よりも下流側に配設された給紙センサ105と、媒体搬送経路における給紙センサ105よりも下流側に配設されたレジストローラ106、及びプレッシャローラ107対と、媒体搬送経路におけるレジストローラ106、及びプレッシャローラ107対よりも下流側に配設された通過センサ108と、媒体搬送経路に沿って配設され、プリンタ101に対して着脱自在に装着された画像形成機構としての画像形成部109と、画像形成部109が備える感光体ドラム112の表面に照射した照射光を結像させる位置に配設された印字ヘッド110と、画像形成部109が備える感光体ドラム112と当接する位置に配設された転写ローラ111と、媒体搬送経路における画像形成部108よりも下流側に配設されたヒートローラ115、及びバックアップローラ116対と、媒体搬送経路におけるヒートローラ115、及びバックアップローラ116対よりも下流側に配設されたフェイスアップ排出ローラ117、及び従動ローラ118対と、媒体搬送経路におけるフェイスアップ排出ローラ117、及び従動ローラ118対よりも下流側に配設された排出ローラ119、及び従動ローラ120対と、プリンタ101の外筺を利用して形成され、媒体搬送経路の終端となる排出スタッカ121と、プリンタ101の外筺に形成され、ユーザにより操作可能となる位置に配設された操作部122とを備える。
【0014】
給紙カセット102はその内部に媒体を積層した状態で収納し、プリンタ101に対して媒体補充が可能となるように、プリンタ101外筺に形成された給紙カセット挿入口123に対して図1中の矢印x方向、若しくは矢印y方向へと挿抜自在となるように配設されている。なお、給紙カセット102、及び本発明にかかる給紙カセット102の挿抜機構については、後ほど詳細に説明する。
【0015】
分離片103は、給紙ローラ104に対して所定の圧接力を持って接するように配設されている。そして、給紙ローラ104は、図示せぬ駆動源から伝達された駆動力により所定の方向に回転し、給紙カセット102に収納された媒体を1枚ずつ分離して繰り出す。
【0016】
給紙センサ105は、媒体が給紙センサ上を通過したか否かの情報を図示せぬ制御部に対して出力する部材であり、この場合、機械的な動きで媒体を検出できるセンサや、光学的な光の反射や透過を利用したセンサ等を用いることができる。
【0017】
レジストローラ106、及びプレッシャローラ107は互いに圧接した状態で配設され、図示せぬ駆動源から伝達された駆動力により所定の方向に回転し、分離片103と、給紙ローラ104により給紙された媒体のスキューを矯正しながら、画像形成部109に搬送する。
【0018】
次に、画像形成部109について説明する。本実施形態にかかる画像形成部109は、ブラックのトナー色に対応したトナー像を形成するものとして説明する。画像形成部109は、図示せぬ駆動源から伝達された駆動力により所定の方向に回転する感光体ドラム112と、感光体ドラム112の回転方向上流側に配設された帯電ローラ113と、感光体ドラム112の回転方向における帯電ローラ113よりも下流側に配設された現像ローラ114とを備える。
【0019】
感光体ドラム112は、導電性支持体と光導電層とによって構成され、帯電ローラ113によりその表面が一様均一に帯電される。そして、感光体ドラム112は、図示せぬ外部装置等から入力された画像データ等に基づき、印字ヘッド110が照射した照射光を受光することによって、入力された画像データに対応した静電潜像を形成する。
【0020】
帯電ローラ113は、金属シャフトとエピクロロヒドリンゴム等の半導電性ゴム層によって構成されていおり、感光体ドラム112の回転に伴い従動回転する。この帯電ローラ113には、図示せぬ帯電ローラ用電源が接続されており、帯電ローラ用電源から印加されたバイアス電圧により感光体ドラム112の表面を一様均一に帯電させる。
【0021】
現像ローラ114は、金属シャフトとウレタン等の半導電性ゴム層によって構成されており、感光体ドラム112の回転に伴い従動回転する。この現像ローラ114には、図示せぬ現像ローラ用電源が接続されており、図示せぬ供給ローラから供給されたトナーを帯電させるとともに、帯電したトナーを感光体ドラム112表面上に形成された静電潜像に回転搬送することでトナー像を形成させる。
【0022】
印字ヘッド110は、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子とレンズアレイ等を備え、発光素子から出力される照射光が感光体ドラム112の表面に結像する位置に配設される。印字ヘッド110は、図示せぬ外部装置から入力された画像データ等に基づく照射光を照射することで感光体ドラム112表面上に静電潜像を形成させる。
【0023】
転写ローラ111は、導電性ゴム層等によって構成され、感光体ドラム112に対向して圧接するように配設されている。この転写ローラ111には、図示せぬ転写ローラ用電源が接続されており、転写ローラ用電源から印加されたバイアス電圧により感光体ドラム112表面上に形成されたトナー像を媒体に転写させる。
【0024】
ヒートローラ115は、例えば、アルミニウム等からなる中空円筒状の芯金にシリコーンゴムの耐熱性弾性層を被覆し、その上にPFA(テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブを被覆することによって構成されている。そして、その芯金内には、例えば、ハロゲンランプ等の加熱ヒータが設けられている。バックアップローラ116は、例えば、アルミニウム等からなる芯金にシリコーンゴムの耐熱性弾性層を被覆し、その上にPFAチューブを被覆した構成であり、ヒートローラ115との間に圧接部が形成されるように配設されている。このようにして構成されたヒートローラ115とバックアップローラ116とで形成される圧接部をトナー像が転写された媒体が通過することにより、熱、及び圧力が付与され、媒体上のトナーが溶融し、トナー像が定着される。
【0025】
フェイスアップ排出ローラ117、及び従動ローラ118対は、図示せぬ駆動源から伝達された駆動力により回転し、画像形成部109から搬送された媒体を排出ローラ119、及び従動ローラ120対に搬送する。
【0026】
排出ローラ119、及び従動ローラ120対は、図示せぬ駆動源から伝達された駆動力により回転し、フェイスアップ排出ローラ117、及び従動ローラ118対から搬送された媒体を排出スタッカ121に排出する。
【0027】
操作部122は、例えば、数値の入力を受付けるテンキー、アルファベット等の入力を受付ける入力ボタンキー、又はユーザによる操作の確定を受け付ける確定ボンタンキー等の各種入力装置や、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置を備え、プリンタ101が実行する動作の実行指令の入力受付けや、プリンタ101の動作状況等を表示する。
【0028】
なお、上記構成以外にも、プリンタ101は、図示せぬ、プリンタ101全体を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)、CPUが実行する制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)や、CPUのワーキングエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)等の記憶装置、外部装置等との間におけるデータの送受信を制御する各種インターフェース、プリンタ101内部の温度や湿度を検出する温湿度センサや、濃度補正時に印字濃度を検出する濃度センサ等の各種センサ、プリンタ101が備えるローラ部材等に駆動力を供給する各種駆動モータを備える。
【0029】
次に、本願発明にかかる給紙カセット102、及び当該給紙カセット102の挿抜機構について詳細に説明する。図2は、給紙カセット102、及び給紙カセットの挿抜機構を説明するための、給紙カセット102挿入時におけるプリンタ101の縦断面図である。
【0030】
給紙カセット102は、媒体を出し入れするための開口部を有する上面開放型カセット形状となるように形成され、プリンタ101外筺に形成された給紙カセット挿入口123対して図中x方向、若しくはy方向へと挿抜可能となるように配設されている。そして、給紙カセット102の左右の外側側面102a、又は102bには、プリンタ101本体側に形成された被係合部材205a、又は205bと係合するための係合部材201a、又は201bが凸設されている。
【0031】
給紙カセット挿入口123を介して給紙カセット102が挿入されるプリンタ101の底面部付近には、給紙カセット102を給紙カセット挿入方向である図中矢印x方向に移動させるための移動手段としてのカセット移動部材202a、202bがそれぞれ左右対称となる位置に形成されている。そして、それぞれのカセット移動部材202a、202bには、当該カセット移動部材202a、202bを図中x方向に付勢する付勢部材としてのスプリング203a、203bが設けられている。さらに、当該カセット移動部材202a、202bには、スプリング203a、203bからの付勢力を減衰させ、給紙カセット102の挿入速度を調節する減衰器204a、204bが設けられている。
【0032】
そして、それぞれのカセット移動部材202a、202bの上部には、給紙カセット102の左右の外側側面102a、102bに形成された係合部材201a、201bと係合し、回転支点401a、401bを中心として回転自在な被係合部材205a、205bが設けられている。この被係合部材205a、205bには、当該被係合部材205a、205bを付勢する付勢部材206a、206bと、操作部122を介したユーザによる操作に基づき動作するソレノイド207a、207bとがそれぞれ接続されている。
【0033】
図3は、図2中の矢印z方向から見たプリンタ101の横断面図である。そして、本図を用いての説明においては、図2中矢印z方向から見た一の側の構成についてのみ説明するが、当該構成は、反対側の他の側も同じ構成であるものとする。
【0034】
図3に示すように、給紙カセット102には、外側側面102aから底面部にかけてリブ形状部部301aが設けられている。また、プリンタ101の底面部には、付勢部材303a、303bにより付勢されている移動規制部材302が設けられている。移動規制部材302は、給紙カセット102が挿入されていない、又は給紙カセット102が挿入されていても上記リブ形状部301aが当該移動規制部材302に当接していない状態においては、付勢部材303a、303bからの図中上方向への付勢力によりカセット移動部材202aと当接することになる。この場合、カセット移動部材202aは移動規制部材302と当接しているため、スプリング203aの付勢力に基づく給紙カセット挿入方向への移動が規制されることになる。これに対して、給紙カセット102の挿入動作に伴い、リブ形状部301aが移動規制部材302と当接するようになると、当該移動規制部材302は図中下方向に押し下げられ、カセット移動部材202aと移動規制部材302との当接が解除されるため、当該カセット移動部材202aは、スプリング203aの付勢力に基づく給紙カセット挿入方向への移動が可能となる。
【0035】
次に、上記給紙カセット102、及び当該給紙カセット102の挿抜機構を備えたプリンタ101の印刷動作について説明する。
【0036】
例えば、図示せぬ外部装置から画像データが入力され、印字開始の実行指令が出力されると、給紙ローラ104は、図示せぬ駆動モータから伝達された駆動力に基づき、一定周速度での回転を開始し、給紙カセット102に積層された媒体を1枚ずつ分離して繰り出す。
【0037】
そして、レジストローラ106、及びプレッシャローラ107は、給紙ローラ104により繰り出された媒体のスキューを矯正しながら、当該媒体を画像形成部109に挟持搬送する。
【0038】
レジストローラ106、及びプレッシャローラ107により、媒体が画像形成部109に挟持搬送される間の所定のタイミングで、感光体ドラム112は、図示せぬ駆動モータから伝達された駆動力に基づき、一定周速度で回転を開始する。そして、感光体ドラム112の表面に接触して設けられた帯電ローラ113は、従動回転しながら、図示せぬ帯電ローラ用電源から供給されたバイアス電圧を感光体ドラム112表面が一様均一となるように印加する。
【0039】
次に、感光体ドラム112表面に対して対向となる位置に設けられた印字ヘッド110は、入力された画像データに基づく照射光を、一様均一に帯電された感光体ドラム112表面に照射し、光照射部分の電位を光減衰させて静電潜像を形成させる。
【0040】
現像ローラ114は、感光体ドラム112表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて反転現像する。感光体ドラム112の導電性支持体と現像ローラ114との間にはバイアス電圧が印加されているため、感光体ドラム112と現像ローラ114との間には、感光体ドラム112に形成された静電潜像に伴う電気力線が発生する。このため、現像ローラ114上の帯電したトナーは、静電気力により感光体ドラム112表面上の静電潜像部分に付着し、トナー像が形成される。
【0041】
感光体ドラム112表面にトナー像が形成されると、転写ローラ111は、図示せぬ転写ローラ用電源から印加されたバイアス電圧によって、当該トナー像を媒体に転写させる。
【0042】
トナー像が転写された媒体は、ヒートローラ115とバックアップローラ116とで形成される圧接部に搬送される。このヒートローラ115とバックアップローラ116とで形成される圧接部を媒体が通過することにより、熱、及び圧力が付与され、媒体上のトナーが溶融し、トナー像が定着される。
【0043】
トナー像が定着された媒体は、フェイスアップ排出ローラ117、及び従動ローラ118対、排出ローラ119、及び従動ローラ120対によって、最終的に排出スタッカ121に排出され、一連の印字動作が終了する。
【0044】
次に、上記構成を備える給紙カセット102のプリンタ101に対する挿抜動作について説明する。図4、図5、図6、図7、図8、図9、図10、及び図11は、給紙カセット102のプリンタ101に対する一連の挿抜動作を段階的に説明する模式図である。なお、以下の説明においては、図1中、一の側(符号にaが付与されている側)の動作についてのみ説明するが、当該動作は反対側(符号にbが付与されている側)の他の側も同じ動作を行う。
【0045】
まず、給紙カセット102挿入時の初期状態について説明する。図2でも説明したように、移動規制部材302は、給紙カセット102が挿入されていない、又は給紙カセット102が挿入されていても上記リブ形状部301aが当該移動規制部材302に当接していない状態(以下、初期状態と称する)においては、付勢部材303a、303bからの図中上方向への付勢力によりカセット移動部材202aと当接することになる。この場合、図3に示すように、カセット移動部材202aは移動規制部材302と当接しているため、スプリング203aの付勢力に基づく給紙カセット挿入方向への移動が規制されている。
【0046】
そして、ユーザにより給紙カセット102が挿入されると、係合部材201aの摺接面201a−1は、カセット移動部材202a上部に設けられた被係合部材205aの摺接部205a−1と摺動することになる。図5に示すように、被係合部205は、カセット移動部材202aに対して回転支点401aを中心に回転自在となるように形成されているため、被係合部材205aは給紙カセット102の挿入動作に伴い、給紙カセット外側方向に押し出されることになる。
【0047】
さらに、給紙カセット102が挿入されると、係合部材201aの当接面201a−1と被係合部材205aの当接部205a−1との摺接が解除され、図6に示すように、被係合部材205aは、付勢部材206aからの付勢力により回転支点401aを中心に回転し、係合部材201aと被係合部材205aとは係合する。なお、係合部材201aと被係合部材205aとが係合した状態を表わしたのが図7である。
【0048】
図8は、図7中の矢印z方向から見たプリンタ101の横断面図である。図7に示す状態からさらに、給紙カセット102を挿入し、図8に示すように、給紙カセット102のリブ形状部301aが移動規制部材302と当接するようになると、当該移動規制部材302は図中下方向に押し下げられ、カセット移動部材202aと移動規制部材302との当接が解除されるため、当該カセット移動部材202aは、スプリング203aの付勢力に基づく給紙カセット挿入方向への移動が可能となる。このとき、係合部材201aと被係合部部材205aとは係合しているため、給紙カセット102は、スプリング203aの付勢力に基づき給紙カセット挿入方向に引き込まれ、挿入規定位置まで挿入される。なお、カセット移動部材202aには、スプリング203aからの付勢力を減衰させ、給紙カセット102の挿入速度を調節する減衰器204aが設けられているため、給紙カセット102が給紙カセット挿入方向に引き込まれる際に過度に加速されることがなく、略一定速度での移動が可能である。
【0049】
次に、給紙カセット102を引き抜く際の動作について説明する。
【0050】
図9は、給紙カセット102が挿入規定位置まで挿入された状態を表わすプリンタ101の縦断面図であり、図10は、図9中の矢印z方向から見たプリンタ101の横断面図である。
【0051】
図9、又は図10に示す状態から、給紙カセット102を引き抜いていくと、係合部材201aと被係合部材205aとは係合しているため、カセット移動部材202aも給紙カセット引き抜き方向へと移動していく。そして、給紙カセット102のリブ形状部301aと移動規制部材302との当接が解除されるようになると、付勢部材303a、303bからの図中上方向への付勢力により移動規制部材302は上方に移動し、カセット移動部材202aと当接することになり、給紙カセット挿入方向への移動が規制されることになる。そして、最終的には、図7に示す状態にまで、給紙カセット102をプリンタ101から引き抜くことができる。なお、図7に示す状態の給紙カセット102の位置は、給紙カセット102への媒体供給可能位置であるため、給紙カセット102を完全にプリンタ101から完全に引き抜くことなく、媒体を補充することができる。
【0052】
図7に示す状態から、さらに給紙カセット102を引き抜く場合には、操作部122を介してソレノイド207aに吸引動作を実行するよう指示を与える。この際、ソレノイド207aの吸引動作時間は、給紙カセット102を引き抜くために十分な時間であるとする。ソレノイド207aが吸引動作を行うと、図11に示すように、被係合部材205aは回転支点401aを中心に回転し、係合部材201aと被係合部材205aとの係合が解除される。これにより、プリンタ101から給紙カセット102の引き抜きが可能となる。
【0053】
そして、操作部122を介した操作時から一定時間が経過すると、ソレノイド207aは吸引動作を停止する。このとき、被係合部205aは、付勢部材206aからの付勢力により回転支点401aを中心に回転し元の状態位置に戻ることになる。
【0054】
なお、本実施形態の説明においては、付勢部材としてスプリングを用いた形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、モータ等のアクチュエータを駆動源とすることも可能である。
【0055】
また、本実施形態の説明においては、プリンタの操作部を介してソレノイドの吸引動作を実行させる形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、給紙カセットの挿抜を検知するセンサ等の検知手段を所定位置に配置し、当該給紙カセットが所定位置に到達した時点でソレノイドの吸引動作を実行させる形態としてもよい。
【0056】
以上のように、第1の実施形態によれば、給紙カセットの挿入動作に伴い、カセット移動部材が給紙カセットをプリンタ内に引き込むため、挿入動作にかかるユーザの負荷を軽減するとともに、確実に給紙カセットを挿入規定位置にまで挿入することができる。
【0057】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態にかかるプリンタ、及び給紙トレイの構成は、第1の実施形態において説明したものと略同一である。したがって、本実施形態の説明においては、第1の実施形態と同一な構成、並びに動作についてはその説明を省略し、異なる箇所について説明する。
【0058】
なお、第2の実施形態は、給紙カセットの挿抜機構において、特に、給紙カセットの引き抜き動作に特徴を有するものである。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態における図7の状態に対応する場所に位置する給紙カセットの引き抜き動作を中心に説明する。
【0059】
図12は、給紙カセット102’、及び給紙カセット102’の引き抜き動作を説明するための、給紙カセット102’引き抜き時におけるプリンタ101の縦断面図である。
【0060】
第2の実施形態にかかる給紙カセット102’は、第1の実施形態にかかる係合部材201a、201bに代わる係合部材1022a、1022bと、この係合部材1022a、1022bのそれぞれに接続された解除レバー1021と、この解除レバー1021を給紙カセット挿入方向に付勢する付勢部材1023とを備える。
【0061】
係合部材1022a、1022bは、それぞれ、保持部材1025a、1025bに保持された圧縮バネ1024a、1024bにより、回転支点1022a−1、1022b−1を中心に回転自在となるように付勢されている。また、係合部材1022a、1022bには、解除レバー1021に一体形成された係合部1021a、1021bが移動自在に係合可能となるように、被係合部としての空隙1022a−2、1022−bが形成されている。
【0062】
このような構成を有する給紙カセット102’の引き抜き動作について説明する。
【0063】
給紙カセット102’の解除レバー1021は、給紙カセット挿入時、あるいは、図12に示す状態時に至るまでは、付勢部材1023による付勢力により給紙カセット挿入方向に付勢されている。このとき、係合部材1022a、1022bはそれぞれ、圧縮バネ1024a、1024bによる付勢力により給紙カセット外側方向に付勢され、カセット移動部材202a、202b上部の被係合部材205a,205bと係合している。
【0064】
図12に示す状態から、さらに給紙カセット102’を引き抜く場合には、解除レバー1021を図12中矢印y方向に押し込む。すると、図13に示すように、解除レバー1021に一体形成された係合部1021a、1021bは空隙1022a−2、1022−b内を移動し、係合部材1022a、1022bが、圧縮バネ1024a、1024bによる付勢力に反して、回転支点1022a−1、1022b−1を中心に給紙カセット内側方向に回転することで、係合部材1022a、1022bと被係合部部材205a、205bとの係合が解除される。これにより、プリンタ101から給紙カセット102’の引き抜きが可能となる。
【0065】
なお、本実施形態の説明においては、付勢部材としてスプリングを用いた形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、モータ等のアクチュエータを駆動源とすることも可能である。
【0066】
以上のように、第2の実施形態によれば、給紙カセット自体に係合部材と被係合部部材との係合を解除する機構を設けたことで、第1の実施形態の効果に加えてプリンタの構成をより簡素化することができる。
【0067】
本発明にかかる実施の形態の説明において、プリンタを一例にして説明したが、本発明は上記記述に限定されるものではなく、画像形成にかかる媒体を収容する給紙カセットを備える構成であれば、複合装置、複写機、又はFAX等のプリンタ以外の画像形成装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
101 プリンタ
102、102’ 給紙カセット
103 分離片
104 給紙ローラ
105 給紙センサ
106 レジストローラ
107 プレッシャローラ
108 通過センサ
109 画像形成部
110 印字ヘッド
111 転写ローラ
112 感光体ドラム
113 帯電ローラ
114 現像ローラ
115 ヒートローラ
116 バックアップローラ
117 排出ローラ
118 従動ローラ
119 排出ローラ
120 従動ローラ
121 排出スタッカ
122 操作部
123 給紙カセット挿入口
201a、201b 係合部材
201a−1 摺接面
202a、202b カセット移動部材
203a、203b スプリング
204a、204b 減衰器
205a、205b 被係合部材
205a−1 摺接部
206a、206b 付勢部材
207a、207b ソレノイド
302 移動規制部材
303a、303b 付勢部材
401a、401b 回転支点
1021 解除レバー
1021a、1021b 係合部
1022a、1022b 係合部材
1022a−1、1022b−1 回転支点
1022a−2、1022b−2 空隙
1023 付勢部材
1024a、1024b 圧縮バネ
1025a、1025b 保持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に供給する媒体を収納し、装置本体に対して挿抜自在に配設された媒体カセットを有する画像形成装置であって、
前記媒体カセットに形成された係合部材と、
装置本体に形成され、前記媒体カセットの挿入動作に伴い前記係合部材と係合する被係合部材と、
前記被係合部材に接続され、前記係合部材と前記被係合部材との係合を介して前記媒体カセットを前記装置本体に対する媒体カセット挿入方向へと移動させる移動手段とを備えること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記移動手段は、
前記被係合部材を前記媒体カセット挿入方向へと付勢する付勢部材を備えること
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記付勢部材は、
スプリングであること
を特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記付勢部材は、
アクチュエータであること
を特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記付勢部材による付勢力を減衰させる減衰器を備えること
を特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記係合部材と前記被係合部材との係合を解除する解除手段を備えること
を特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記解除手段は、
前記媒体カセットに配設されること
を特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
装置本体に供給する媒体を収納し、装置本体に対して挿抜自在に配設された媒体カセットを有する複合装置であって、
前記媒体カセットに形成された係合部材と、
装置本体に形成され、前記媒体カセットの挿入動作に伴い前記係合部材と係合する被係合部材と、
前記被係合部材に接続され、前記係合部材と前記被係合部材との係合を介して前記媒体カセットを前記装置本体に対する媒体カセット挿入方向へと移動させる移動手段とを備えること
を特徴とする複合装置。
【請求項9】
前記移動手段は、
前記被係合部材を前記媒体カセット挿入方向へと付勢する付勢部材を備えること
を特徴とする請求項8記載の複合装置。
【請求項10】
前記付勢部材は、
スプリングであること
を特徴とする請求項9記載の複合装置。
【請求項11】
前記付勢部材は、
アクチュエータであること
を特徴とする請求項9記載の複合装置。
【請求項12】
前記付勢部材による付勢力を減衰させる減衰器を備えること
を特徴とする請求項9乃至請求項11の何れか1項に記載の複合装置。
【請求項13】
前記係合部材と前記被係合部材との係合を解除する解除手段を備えること
を特徴とする請求項9乃至請求項12の何れか1項に記載の複合装置。
【請求項14】
前記解除手段は、
前記媒体カセットに配設されること
を特徴とする請求項13記載の複合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−197355(P2011−197355A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63554(P2010−63554)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】