説明

画像形成装置、文書回収装置及び文書読み取り装置

【課題】機密文書の廃棄において、機密性を維持しつつ文書のリサイクルを妨げない状態での文書廃棄が可能とすること。
【解決手段】文書回収機能を有する画像形成装置であって、画像形成装置1内部に文書を取り込むADFユニット10と、ADFユニット10から取り込まれた文書を収容可能なセキュリティボックス42と、セキュリティボックス42を施錠する施錠部とを有し、ADFユニット10から取り込んだ文書を文書内容が判読可能な状態でセキュリティボックス42に収容することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、文書回収装置及び文書読み取り装置に関し、特に機密文書の廃棄において、紙としてのリサイクルを妨げない状態での文書廃棄に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機密性の高い文書の取り扱いとして、文書の廃棄の際にはシュレッダーにより文書を細かく細断することにより、文書の内容を判読不能な状態とすることが一般的である。他方、機密情報を文書として出力する際には、メールボックスに施錠機能を付ける技術や、ソータ部にカバーをかける技術が提案されている。また、画像形成装置内にシュレッダーを内蔵し、出力した文書が一定時間放置された場合に自動的に細断する機能により第3者に見られる危険性を回避する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。尚、これらの技術は機密文書を出力する際の機密性に係る技術であり、本発明が前提とする文書廃棄の際の技術とはその性質が異なる。
【特許文献1】特開平9−304984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
機密情報は画像形成時のみならず、画像形成後は個人の厳重な管理下に無ければ、すぐに個人以外に対して漏洩してしまう危険性がある。しかし、従来は画像形成時のみの機密性保持にばかり注力された技術が多く考案され、文書破棄時の機密性保持には着目されていない傾向がある。上述したように、機密文書の廃棄においては、シュレッダーが用いられることが一般的である。しかしながら、シュレッダーにより文書を細断すると、用紙をリサイクルすることが難しく、細断された用紙はリサイクルされずに廃棄物として処理されることが多い。このような処理は、近年の省資源、省エネルギーの要求が高まる情勢に反し、改善が望まれる。
本発明は、上述した実情を考慮してなされたもので、機密文書の廃棄において、機密性を維持しつつ文書のリサイクルを妨げない状態での文書廃棄を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、文書回収機能を有する画像形成装置であって、前記画像形成装置内部に文書を取り込むADFユニットと、前記ADFユニットから取り込まれた文書を収容可能な回収ボックスと、前記回収ボックスを施錠する施錠部とを有し、前記ADFユニットから取り込んだ文書を文書内容が判読可能な状態で前記回収ボックスに収容することを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記施錠部は電気的な施錠手段であることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記回収ボックスに収容されている文書の収容量を検知する検知手段と、前記検知手段により前記回収ボックスの文書収容量が所定の閾値以上であると検知された場合に前記回収ボックスへの文書の回収を禁止する回収禁止手段とを更に有することを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3いずれか1項に記載の画像形成装置において、前記画像形成装置内の文書を装置外部へ排紙する排紙部と、前記排紙部に文書を排紙する搬送路と前記回収ボックスに文書を回収する搬送路とを切り換える排紙・回収切換部とを更に有することを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4いずれか1項に記載の画像形成装置において、複数の前記回収ボックスと、前記複数の回収ボックスに文書を搬送する複数の搬送路を切り換える回収先切換部とを更に有することを特徴とする。
【0005】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の画像形成装置において、前記ADFユニットから取り込んだ文書を読み取る文書読み取り部と、前記文書読み取り部によって読み取った文書情報に基づいて当該文書の搬送先を決定する搬送先決定手段とを更に有することを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項4に記載の画像形成装置において、前記ADFユニットから取り込んだ文書を読み取る文書読み取り部と、前記文書読み取り部によって読み取った文書情報に基づいて当該文書の搬送先を決定する搬送先決定手段とを更に有し、前記搬送先決定手段は、前記読み取った文書情報が機密情報である場合のみ当該文書を前記回収ボックスに回収することを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記ADFユニットから取り込んだ文書を読み取る文書読み取り部と、前記文書読み取り部によって読み取った文書情報に基づいて当該文書の搬送先を決定する搬送先決定手段とを更に有し、前記搬送先決定手段は、前記読み取った文書情報の機密レベルに基づいて前記複数の回収ボックスの1つを搬送先として決定することを特徴とする。
【0006】
また、請求項9に記載の発明は、文書回収装置であって、前記画像形成装置内部に文書を取り込むADFユニットと、前記ADFユニットから取り込まれた文書を収容可能な回収ボックスと、前記セキュリティボックスを施錠する施錠部とを有し、前記ADFユニットから取り込んだ文書を文書内容が判読可能な状態で前記回収ボックスに収容することを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、文書回収機能を有する文書読取装置であって、前記画像形成装置内部に文書を取り込むADFユニットと、前記ADFユニットから取り込まれた文書を収容可能な回収ボックスと、前記セキュリティボックスを施錠する施錠部と、前記ADFユニットから取り込んだ文書を読み取る文書読み取り部と、前記文書読み取り部によって読み取った文書情報に基づいて当該文書の搬送先を決定する搬送先決定手段とを有し、前記ADFユニットから取り込んだ文書を文書内容が判読可能な状態で前記回収ボックスに収容可能である事を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、機密文書の廃棄において、機密性を維持しつつ文書のリサイクルを妨げない状態での文書廃棄が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、機密文書の廃棄において、文書をシュレッダー等で細断することなく、施錠された回収箱に回収する機能を有する。回収箱に回収された文書を、権限を有する者が一括して廃棄することにより、機密性を保ったまま文書をリサイクル可能な状態で廃棄することができる。
[実施例1]
図1は、本実施例係る画像形成装置の要部を示す側面図である。図示の容易化のため、図1においては内部構成の一部を透過させて示す。図1に示すように、本実施例に係る画像形成装置は、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)ユニット10、文書読み取りユニット20、画像形成ユニット30及び文書回収・排出ユニット40を有する。ADFユニット10は、給紙台11及びADF搬送路12を有する。また、ADF搬送路12には搬送ローラ51が所定間隔で設けられている。ADFユニット10は、給紙台11にセットされた文書を搬送ローラ51によってADF搬送路12を通して文書読み取りユニット20へ搬送する。
【0009】
文書読み取りユニット20は、ADFユニット10から搬送された文書若しくは文書読み取りユニット20に直接セットされた文書を光学的に撮像し、電子情報に変換するスキャナである。ADFユニット10から文書読み取りユニット20に搬送された文書は、文書読み取りユニット20から画像形成ユニット30へ搬送される。画像形成ユニット30は、ADF搬送路31、画像形成搬送路32、画像形成部33、分岐爪34及び給紙トレイ35を有する。また、ADF搬送路31、画像形成搬送路32には、搬送ローラ51が所定間隔で設けられている。画像形成ユニット30は実際に用紙に対して画像形成を行うユニットであり、給紙トレイ35にセットされている用紙が画像形成搬送路32に搬送され、画像形成部33によって紙面に画像が形成される。また、文書読み取りユニット20から搬送された文書はADF搬送路31を搬送され、画像形成搬送路32と合流する。ADF搬送路31と画像形成搬送路32とが合流する部位には分岐爪34が設けられている。ADF搬送路31及び画像形成搬送路32を搬送され分岐爪34が設けられた部位に到達した文書は、画像形成ユニット30と文書回収・排出ユニット40との間の共通搬送路36を通って文書回収・排出ユニット40に搬送される。
【0010】
文書回収・排出ユニット40は、排紙トレイ41、セキュリティボックス42分岐爪43、回収搬送路44及び排紙搬送路45を有する。また、回収搬送路44、排紙搬送路45には、搬送ローラ51が所定間隔で設けられている。文書回収・排出ユニット40は、ADFユニット10、文書読み取りユニット20及び画像形成ユニット30を搬送されてきた文書を最終的に画像形成装置1の外部へ排出し若しくは廃棄すべき機密文書として回収するユニットである。共通搬送路36から文書回収・排出ユニット40に搬送された文書は、分岐爪43によって回収搬送路44若しくは排紙搬送路45のいずれかに振り分けられ、搬送される。即ち、分岐爪43が、排紙若しくは回収を切り換える切換部となる。回収搬送路44に搬送された文書は廃棄すべき機密文書として、細断されること無くそのままの状態でセキュリティボックス42に回収される。排紙搬送路45に搬送された文書は、排紙トレイ41にスタックされる。セキュリティボックス42は画像形成装置1の制御機能により電気的に施錠される箱体であり、文書を回収する回収ボックスである。
【0011】
次に、本実施例に係る画像形成装置1において、文書回収・排出ユニット40による文書の回収・排出を制御する制御部について、図2を用いて説明する。図2は、本実施例に係る画像形成装置1の文書回収・排出制御部100の全体構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施例に係る文書回収・排出制御部100は、入力処理部101、認証制御部102、回収制御部103、搬送制御部104、文書量検知部105及びロック制御部106を有する。入力処理部101は、画像形成装置1の操作パネルから入力された情報を理解し、認証制御部102若しくは回収制御部103に対して信号を送信する。画像形成装置1の操作パネルは画像形成ユニット30に設けられるのが一般的であるが、その他のユニットに設けても良い。
認証制御部102は、セキュリティボックス42の開錠の認証を行う。回収制御部103は、ADFユニット10から文書を取り込み、セキュリティボックス42に搬送して文書を保管する際の制御を行う。搬送制御部104は、画像形成装置1内における書類の搬送を制御する。文書量検知部105は、セキュリティボックス42に保管されている文書の量を監視し、セキュリティボックス42内の文書量が補完可能な量に達したら、回収制御部103に対して通知する。ロック制御部106は、セキュリティボックス42の電気的施錠を制御する。図2に示す文書回収・排出制御部100は、操作パネルと同様画像形成ユニット30内に設けられるのが一般的であるが、他のユニット内に設けても良い。
【0012】
次に、図3を用いて、本実施例に係る画像形成装置1における文書回収動作について説明する。図3は、本実施例に係る文書回収動作を示すフローチャートである。文書回収動作の開始に際し、ユーザが画像形成装置1の操作パネルから機密文書回収開始を指示する。文書回収開始の指示は、例えば操作パネルに設けた回収ボタンを押下することにより行う。このように、操作パネル上に回収ボタンをもうけることにより、文書の回収を容易に実行させることができる。ユーザによる文書回数開始の指示は、入力処理部101から回収制御部103に伝えられる。回収制御部103は文書回収開始の信号を受信すると、給紙台11上に書類があるか否か確認する(S301)。給紙台11上に書類が無ければ、そのまま処理を終了する。給紙台11上に書類が確認されれば(S301)、次に、回収制御部103は、文書量検知部105に対してセキュリティボックス42に回収済みの文書量を問い合わせる(S302)。S302の問い合わせの結果、セキュリティボックス42内にもう空きが無く、回収不可能と判断されれば(S303)、回収制御部103は画像形成装置1の表示部に警告を表示し(S307)、処理を終了する。これにより、セキュリティボックス42に書類が詰まること等の不具合を回避することができる。
【0013】
S302の問い合わせの結果、セキュリティボックス42内にまだ回収スペースがあり回収可能であれば(S303)、回収制御部103は、搬送制御部104に回収開始を指示する。搬送制御部104は、回収開始の指示を受信すると、分岐爪34、43を制御して搬送ルートを確保する(S304)。そして、搬送制御部104は、ADFユニット10を制御して文書回収を開始し文書を搬送する(S305)。文書回収が開始されると、給紙台11上にセットされた文書は、各部の搬送ローラ51によって搬送され、ADF搬送路12、文書読み取りユニット20、ADF搬送路31、共通搬送路36及び回収搬送路44を通りセキュリティボックス42に回収される(S306)。回収制御部103は、搬送制御部104に対して回収開始を指示すると(S304)、再度給紙台11に文書があるか否か確認する(S301)。そして、給紙台11上に文書が無ければ処理を終了し、文書があればS302以降の処理を繰り返す。このように、画像形成装置1は、給紙台11上に文書が無くなるか、セキュリティボックス42が満杯になるまで、文書回収を行う。このように、廃棄のためにセキュリティボックス42に回収する文書を、ADFユニット10を介して回収することにより、ホチキス針やクリップ等によりまとめられた文書がセキュリティボックスに回収され、リサイクルの妨げとなることを防ぐことができる。
【0014】
次に、図4を用いて、セキュリティボックス42に回収された文書を廃棄するために取り出す際の動作を説明する。図4は、セキュリティボックス42に回収された文書を取り出す際の動作を示すフローチャートである。回収された文書の取り出しに際し、ユーザが画像形成装置1の操作パネルからセキュリティボックスの開錠を指示する。セキュリティボックス開錠の指示は、例えば操作パネルに設けた文書取り出しボタンを押下することにより行う。このように、操作パネル上に文書取り出しボタンをもうけることにより、文書の取り出しを容易に実行することができる。ユーザによるセキュリティボックス42の開錠の指示は、入力処理部101から認証制御部102に伝えられる。認証制御部102はセキュリティボックス42開錠の信号を受信すると、画像形成装置1の表示部に認証画面を表示する(S401)。ユーザは画像形成装置1の操作パネルから認証を実行する。ここで実行される認証とは、パスワードの入力でも良いし、IDカードによる認証を用いても良い。更には、指紋や眼球の奥の虹彩、あるいは声等の身体的特徴を用いたバイオメトリクス認証を用いても良い。認証に失敗すると(S402)、認証制御部102は、画像形成装置の表示部に警告画面を表示し(S403)、再度認証画面に戻る(S401)。
【0015】
認証に成功すると(S402)、認証制御部102は、ロック制御部106に対して開錠信号を送信し、ロック制御部106がセキュリティボックス42のロックを解除する(S404)。セキュリティボックス42のロックが解除されると、ユーザがセキュリティボックス42を開けて内部に回収された文書を取り出すことが可能となる。ユーザはセキュリティボックス42内部の文書を取り出し、リサイクル業者等に渡すことによって文書を廃棄する。ロック制御部106は、ユーザによってセキュリティボックス42が開けられた後、再度閉じられたことを検出すると(S405)、自動的にセキュリティボックス42をロックし(S406)、処理を終了する。このように、電子的に施錠されたセキュリティボックス42に廃棄文書を回収し、権限を有する者のみが開錠を可能とすることにより、機密性を保ったままリサイクルを妨げない状態での文書廃棄を可能とすることができる。
【0016】
尚、上記の説明においては、文書回収機能を有する複合型の画像形成装置を例として説明した。画像形成装置にこのような機能を持たせる事により、ADFユニット10や文書読み取りユニット20に設けられた夫々の機能を有効に利用できると共に、装置の設置スペースを削減することができる。他方、少なくともADFユニット10とセキュリティボックス42があれば上記と同等の機能を実現可能である。従って、ADFユニット10とセキュリティボックス42とを組み合わせ、文書回収装置として構成することもできる。また、更に文書読み取りユニット20を組み合わせ、文書読取装置として構成しても良い。
また、上記の説明においては、回収される文書はADFユニット10、文書読み取りユニット20、画像形成ユニット30、文書回収・排出ユニット40を通って回収される例を説明した。文書の回収において文書読み取りユニット20内文書が搬送される際、搬送される文書は文書読み取りユニット20の原稿読み取り台には搬送されず、画像形成ユニット30へと搬送される。また、その際には文書読み取りユニット20の撮像装置は動作する必要はない。これにより、より迅速に文書を回収することができる。
【0017】
また、上記の説明においては、画像形成装置1内の搬送路を搬送された文書がそのままの状態でセキュリティボックス42に回収される例を説明した。こうすることにより、文書を細断するためのカッター等を設ける必要が無く、文書回収の時間も短縮することができる。しかしながら、本発明はリサイクル容易な状態で文書を回収することが目的であり、回収文書が、特にそのままの状態である必要はない。即ち、シュレッダーによる細断のように、リサイクルが困難な状態にまで細断されなければよく、その状態としては文書の内容が判読可能な状態とすることができる。従って、例えばセキュリティボックスのサイズに合わせて文書を細断して回収しても良い。また、上記の説明においては、セキュリティボックス42を電気的な施錠手段により施錠する例を説明した。これにより、セキュリティボックス42の開錠権限を個人情報等に関連させて制御することが可能となる。しかしながら、セキュリティボックス42の施錠手段は物理的な方法でも良く、一般的な鍵により施錠を行っても良い。この場合においても、鍵の所有者を管理することにより、セキュリティボックス42の開錠権限を管理することができる。
また、上記の説明においては、セキュリティボックス42内の文書量が補完可能な量に達したら文書の回収を禁止する例を説明した。これにより、回収可能な限界量まで文書を回収することができる。しかしながら、文書の回収量が限界量に達していなくとも、所定の閾値以上の場合に回収を禁止しても良い。これにより、文書の回収量にある程度の余裕を持たせ、文書が回収ボックスに詰まることを更に防止することができる。また、ある程度余裕を持たせた量を、文書の回収可能量として設定しても良い。
【0018】
[実施例2]
本実施例においては、文書認識機能と連動した文書回収機能を説明する。尚、実施例1と同様の符号を付す構成については実施例1と同一又は相当部を示し、説明を省略する。図5は、本実施例係る画像形成装置の要部を示す側面図である。図示の容易化のため、図5においては内部構成の一部を透過させて示す。図5に示すように、本実施例に係る画像形成装置2は、複数のセキュリティボックス42a〜42e及び分岐爪46a〜46dを更に有する。複数のセキュリティボックス42a〜42eは、夫々に機密レベルが設定されており、文書の機密レベルに従って、異なるセキュリティボックスに文書が回収される。また、分岐爪46a〜46dは、文書の回収先をセキュリティボックス42a〜42eに切り換える回収先切換部である。ここで、セキュリティボックス42は5個である必要はなく、4個以下でも6個以上でも良い。
【0019】
図6は、本実施例に係る画像形成装置2の文書回収・排出制御部200の全体構成を示すブロック図である。図5に示すように、本実施例に係る文書回収・排出制御部200は、実施例1に係る文書回収・排出制御部100に加えて、文書検知部107及び排出制御部108を有する。文書検知部107は、文書読み取りユニット20と連動し、給紙台11から廃棄文書として搬送された文書が機密文書であるか否かを判断すると共に、機密文書である場合は文書の機密レベルを判断する。排出制御部108は、文書検知部の判断結果に従って、文書回収・排出ユニット40における文書の搬送を制御する。尚、図6に示すブロック図は一例であり、他の実現態様も考えられる。例えば排出制御部108の機能を搬送制御部104が兼ねても良い。図6に示す文書回収・排出制御部200は、操作パネルと同様画像形成ユニット30内に設けられるのが一般的であるが、他のユニット内に設けても良い。
【0020】
次に、図7を用いて、本実施例に係る画像形成装置2における文書回収動作について説明する。図7は、本実施例に係る文書回収動作を示すフローチャートである。文書回収動作の開始に際し、ユーザが画像形成装置2の操作パネルから機密文書回収開始を指示する。ユーザによる文書回数開始の指示は、入力処理部101から回収制御部103に伝えられる。回収制御部103は文書回収開始の信号を受信すると、給紙台11上に書類があるか否か確認する(S701)。給紙台11上に書類が無ければ、そのまま処理を終了する。給紙台11上に書類が確認されれば(S701)、回収制御部103は、文書量検知部105に対してセキュリティボックス42に回収済みの文書量を問い合わせる(S702)。S302の問い合わせの結果、セキュリティボックス42内にもう空きが無く、回収不可能と判断されれば(S703)、回収制御部103は画像形成装置1の表示部に警告を表示し(S704)、処理を終了する。これにより、セキュリティボックス42a〜42eに書類が詰まること等の不具合を回避することができる。ここで、S703の時点では搬送される文書がセキュリティボックス42a〜42eのうちどのセキュリティボックスに回収されるか不明であるため、どれか1つでも回収可能文書量に達していれば、回収不可能と判断する。
【0021】
S702の問い合わせの結果、セキュリティボックス42内にまだ回収スペースがあり回収可能であれば(S703)、回収制御部103は、搬送制御部104に回収開始を指示する。搬送制御部104は、回収開始の指示を受信すると、分岐爪34、43を制御して搬送ルートを確保する(S705)。そして、搬送制御部104は、ADFユニット10を制御して文書回収を開始し文書を搬送する(S706)。文書回収が開始されると、給紙台11上にセットされた文書は、搬送ローラ51によって搬送され、ADF搬送路12を通って文書読み取りユニット20に搬送される。文書が文書読み取りユニット20に搬送されると、文書読み取りユニットは搬送された文書を撮像し、撮像情報を文書検知部107に送信する(S707)。文書検知部107は、文書の撮像情報を受信すると、その内容を解析し、搬送中の文書が機密文書であるか否か及び文書が機密文書である場合はその文書の機密レベルを判別する(S708)。
【0022】
搬送中の文書が機密文書でないと判断されれば(S708)、文書検知部107は排紙制御部108に対して、搬送中の文書をセキュリティボックスに回収せず、排出する旨の信号を送信する。排紙制御部108は分岐爪43を動かして搬送中の文書が排紙搬送路45を通って排紙トレイ41に搬送されるように搬送ルートを制御する(S709)。搬送中の文書が機密文書であると判断されれば(S708)、文書検知部107は更に搬送中の文書の機密レベルを判断する。そして、搬送中の文書の機密レベルを排紙制御部108に通知する。排紙制御部108は、搬送中の文書の機密レベルを受信すると、分岐爪46a〜46dを動かし、機密レベルに従ったセキュリティボックス42a〜42eに文書が回収されるように搬送ルートを制御する(S710)。
搬送中の文書を回収すべきセキュリティボックス42a〜42eへの搬送ルートが設定されたら、文書読み取りユニット20で撮像された文書は、搬送ローラ51によって搬送され、ADF搬送路31、共通搬送路36及び回収搬送路44を通ってセキュリティボックス42a〜42eのうち設定されたボックスに回収される(S711)。回収制御部103は、搬送制御部104に対して回収開始を指示すると(S705)、再度給紙台11に文書があるか否か確認する(S701)。そして、給紙台11上に文書が無ければ処理を終了し、文書があればS702以降の処理を繰り返す。このように、画像形成装置1は、給紙台11上に文書が無くなるか、セキュリティボックス42が満杯になるまで、文書回収を行う。
【0023】
機密文書であるか否かの判断及び機密レベルの判別は、例えば文書を撮像した画像のOCR(Optical Character Reader:光学式文字読み取り装置)による文字検出により行う。この他、書類を特定のフォーマットに統一し、そのフォーマット中に機密レベルを示す記号等を設けても良い。セキュリティボックス42a〜42eに回収された文書を取り出す際には、実施例1と同様認証処理によりセキュリティボックスの開錠を行う。この時、セキュリティボックス42a〜42eによってパスワードを変更しても良いし、認証を実行する者の役職や配属等によって、開錠できるセキュリティボックスを機密レベル毎に設定しても良い。このように、文書回収に際して、文書内容の読み取り機能及び仕分け機能を用いることにより、機密文書と一般文書が混ざっている場合等に、自動的に機密文書を仕分けして回収することができる。また、複数のセキュリティボックスを設けて機密レベルごとに回収先を分けることにより、例えば、機密レベルの低い文書はリサイクル業者に出し、機密レベルの高い文書は自主的に廃棄する等の対応を取ることが可能となる。
【0024】
尚、上記の説明においては、文書の機密レベルに従って回収先をセキュリティボックス42a〜42eに切り換える例を説明したが、回収先の切り換えは、文書の機密レベル以外を基準としても良い。例えば、セキュリティボックス42a〜eに回収順序が設定されており、セキュリティボックス42aが回収可能限界量に達したらセキュリティボックス42bに回収するようにしても良い。また、施錠されているセキュリティボックスと施錠されていないセキュリティボックスとを設け、機密文書は施錠されているセキュリティボックスに、非機密文書は施錠されていないセキュリティボックスに夫々回収するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例に係る画像形成装置の要部を示す透過側面図である。
【図2】本発明の実施例に係る画像形成装置の制御部を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例に係る文書回収動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例に係るセキュリティボックスの開錠動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施例に係る画像形成装置の要部を示す透過側面図である。
【図6】本発明の他の実施例に係る画像形成装置の制御部を示すブロック図である。
【図7】本発明の他の実施例に係る文書回収動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0026】
1、2 画像形成装置、10 ADFユニット、11 給紙台、12 ADF搬送路、20 文書読み取りユニット、30 画像形成ユニット、31 ADF搬送路、32 画像形成搬送路、33 画像形成部、34 分岐爪、35 給紙トレイ、36 共通搬送路、40 文書回収・排出ユニット、41 排紙トレイ、42、42a〜42e セキュリティボックス、43 分岐爪、44 回収搬送路、45 排紙搬送路、46a〜46e 分岐爪、51 搬送ローラ、100 文書回収・排出制御部、101 入力処理部、102 認証制御部、103 回収制御部、104 搬送制御部、105 文書量検知部、106 ロック制御部、107 文書検知部、108 排紙制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書回収機能を有する画像形成装置であって、
前記画像形成装置内部に文書を取り込むADFユニットと、
前記ADFユニットから取り込まれた文書を収容可能な回収ボックスと、
前記回収ボックスを施錠する施錠部とを有し、
前記ADFユニットから取り込んだ文書を文書内容が判読可能な状態で前記回収ボックスに収容することを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記施錠部は電気的な施錠手段であることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記回収ボックスに収容されている文書の収容量を検知する検知手段と、
前記検知手段により前記回収ボックスの文書収容量が所定の閾値以上であると検知された場合に前記回収ボックスへの文書の回収を禁止する回収禁止手段とを更に有することを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置内の文書を装置外部へ排紙する排紙部と、
前記排紙部に文書を排紙する搬送路と前記回収ボックスに文書を回収する搬送路とを切り換える排紙・回収切換部とを更に有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
複数の前記回収ボックスと、
前記複数の回収ボックスに文書を搬送する複数の搬送路を切り換える回収先切換部とを更に有することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ADFユニットから取り込んだ文書を読み取る文書読み取り部と、
前記文書読み取り部によって読み取った文書情報に基づいて当該文書の搬送先を決定する搬送先決定手段とを更に有することを特徴とする、請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ADFユニットから取り込んだ文書を読み取る文書読み取り部と、
前記文書読み取り部によって読み取った文書情報に基づいて当該文書の搬送先を決定する搬送先決定手段とを更に有し、
前記搬送先決定手段は、前記読み取った文書情報が機密情報である場合のみ当該文書を前記回収ボックスに回収することを特徴とする、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ADFユニットから取り込んだ文書を読み取る文書読み取り部と、
前記文書読み取り部によって読み取った文書情報に基づいて当該文書の搬送先を決定する搬送先決定手段とを更に有し、
前記搬送先決定手段は、前記読み取った文書情報の機密レベルに基づいて前記複数の回収ボックスの1つを搬送先として決定することを特徴とする、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成装置内部に文書を取り込むADFユニットと、
前記ADFユニットから取り込まれた文書を収容可能な回収ボックスと、
前記セキュリティボックスを施錠する施錠部とを有し、
前記ADFユニットから取り込んだ文書を文書内容が判読可能な状態で前記回収ボックスに収容することを特徴とする、文書回収装置。
【請求項10】
文書回収機能を有する文書読取装置であって、
前記画像形成装置内部に文書を取り込むADFユニットと、
前記ADFユニットから取り込まれた文書を収容可能な回収ボックスと、
前記セキュリティボックスを施錠する施錠部と、
前記ADFユニットから取り込んだ文書を読み取る文書読み取り部と、
前記文書読み取り部によって読み取った文書情報に基づいて当該文書の搬送先を決定する搬送先決定手段とを有し、
前記ADFユニットから取り込んだ文書を文書内容が判読可能な状態で前記回収ボックスに収容可能である事を特徴とする、文書読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−141541(P2008−141541A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326340(P2006−326340)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】