説明

画像形成装置、画像処理システム及び画像形成装置の制御プログラム

【課題】画像処理装置と情報処理装置とを連携させるシステムにおいて、画像処理装置に接続された操作部を用いる場合にも、情報処理装置との連携機能の制御において操作部の全ての機能を用いること。
【解決手段】ディスプレイパネル104a及びハードキー操作部104bを有し、別個の装置である付加機能処理装置2において実現される機能を利用することが可能な画像形成装置1であって、付加機能処理装置2において動作するアプリケーション211のGUIを表示するための表示情報を取得してディスプレイパネル104aに表示させ、それに対する操作に応じて、操作情報を付加機能処理装置2送信するRDPクライアントアプリ146と、アプリケーション211のGUIが表示されている際に、ハードキー操作部104bに対する操作を検知した場合、その操作の内容を示す情報を付加機能処理装置2に送信する主制御部110とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像処理システム及び画像形成装置の制御プログラムに関し、特に、画像形成装置に機能を付加するために設けられる情報処理装置の、画像形成装置の操作部を介した操作に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の電子化が推進される傾向にあり、電子化された情報の出力に用いられるプリンタやファクシミリ及び書類の電子化に用いるスキャナ等の画像処理装置は欠かせない機器となっている。このような画像処理装置は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能な複合機として構成されることが多い。
【0003】
このような画像処理装置に様々な機能を付加するため、従来、画像処理装置と情報書装置とを一体化し、情報処理装置によって提供される機能を画像処理装置の機能と連携させることが行われている。例えば、画像処理装置においてスキャンされて生成された画像に対して、情報処理装置においてOCR(Optical Character Recognition)を実行することや、画像処理装置においてスキャンされて生成された画像を、情報処理装置がネットワークを介して提供される記憶領域に格納すること等が行われる。
【0004】
このような情報処理装置と一体に構成される画像処理装置においては、ハードキー及びディスプレイパネル等のユーザインタフェースを情報処理装置側に接続し、情報処理装置側から画像処理装置を制御する構成が用いられていた。
【0005】
他方、画像処理装置側から情報処理装置を制御するための方法として、リモートデスクトップ機能を用いて画像処理装置側から情報処理装置を制御する方法が既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような情報処理装置と一体に構成される画像処理装置の構成では、画像処理装置と情報処理装置とが1対1で組み合わせられて構成されるが、ハードウェア資源の効率的な運用を考慮すると、複数の画像処理装置に対して情報処理装置を1つ設置し、1つの情報処理装置が複数の画像処理装置と連携可能に構成することが好ましい。この場合、夫々の画像処理装置は、夫々異なる場所に設置されることになるため、従来のように操作部を情報処理装置側に接続することはできず、画像処理装置に接続された操作部を用いることとなる。
【0007】
特許文献1に開示されたような技術を用いることにより、画像処理装置に接続された操作部を介して情報処理装置を操作することは可能であるが、リモートデスクトップ機能を用いる場合、情報処理装置との間でやりとり可能な信号は、画面に対する操作信号、即ち、ディスプレイパネルへのタッチによる操作信号のみである。
【0008】
そのため、ハードキーによる操作や、操作部に設けられたLED(Light Emitting Diode)の発光制御は、リモートデスクトップ機能を用いて情報処理装置を制御している間は不可能となってしまう。即ち、画像処理装置と情報処理装置とを連携させるシステムにおいて、画像処理装置に接続された操作部を用いる場合、情報処理装置との連携機能の制御においては、操作部の全ての機能を用いることが困難である。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、画像処理装置と情報処理装置とを連携させるシステムにおいて、画像処理装置に接続された操作部を用いる場合にも、情報処理装置との連携機能の制御において操作部の全ての機能を用いることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、表示面に対する操作によって情報の入力が可能な表示装置及び機械的に構成された操作部を有し、別個に設けられた情報処理装置において実現される機能を、ネットワークを介して利用することが可能な画像形成装置であって、前記情報処理装置において動作する機能の視覚的なインタフェースを表示するための表示情報を取得し、前記表示装置に表示させる遠隔機能表示部と、前記視覚的なインタフェースが表示された表示面に対する操作に応じて、操作の内容を示す操作情報を前記情報処理装置に送信する遠隔操作部と、前記機械的に構成された操作部に対する操作の内容を取得する機械的操作検知部とを含み、前記機械的操作検知部は、前記表示装置に前記情報処理装置において動作する機能の視覚的なインタフェースが表示されている際に、前記機械的に構成された操作部に対する操作の内容を取得した場合、前記取得した操作の内容を示す機械的操作情報を前記情報処理装置に送信することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の他の態様は、画像処理機能を有する情報処理装置と、表示面に対する操作によって情報の入力が可能な表示装置及び機械的に構成された操作部を有し、前記情報処理装置において実現される機能をネットワークを介して利用することが可能な画像形成装置とを含む画像処理システムであって、前記画像形成装置は、前記情報処理装置において動作する機能の視覚的なインタフェースを表示するための表示情報を取得し、前記表示装置に表示させる遠隔機能表示部と、前記視覚的なインタフェースが表示された表示面に対する操作に応じて、操作の内容を示す操作情報を前記情報処理装置に送信する遠隔操作部と、前記機械的に構成された操作部に対する操作の内容を取得する機械的操作検知部とを含み、前記機械的操作検知部は、前記表示装置に前記情報処理装置において動作する機能の視覚的なインタフェースが表示されている際に、前記機械的に構成された操作部に対する操作の内容を取得した場合、前記取得した操作の内容を示す機械的操作情報を前記情報処理装置に送信し、前記情報処理装置は、前記情報処理装置において動作する機能の視覚的なインタフェースを表示するための表示情報を、前記遠隔機能表示部の要求に応じて前記画像形成装置に送信する遠隔表示提供部と、前記遠隔操作部から受信した前記操作情報に基づいて、前記情報処理装置において動作する機能に操作信号を入力すると共に、前記機械的操作検知部から受信した前記機械的操作情報に基づいて、前記情報処理装置において動作する機能に操作信号を入力する遠隔操作受付部とを含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の更に他の態様は、表示面に対する操作によって情報の入力が可能な表示装置及び機械的に構成された操作部を有し、別個に設けられた情報処理装置において実現される機能を、ネットワークを介して利用することが可能な画像形成装置の制御プログラムであって、前記情報処理装置において動作する機能の視覚的なインタフェースを表示するための表示情報を取得し、前記表示装置に表示させるステップと、前記視覚的なインタフェースが表示された表示面に対する操作に応じて、操作の内容を示す操作情報を前記情報処理装置に送信するステップと、前記機械的に構成された操作部に対する操作の内容を取得するステップと前記表示装置に前記情報処理装置において動作する機能の視覚的なインタフェースが表示されている際に、前記機械的に構成された操作部に対する操作の内容を取得した場合、前記取得した操作の内容を示す機械的操作情報を前記情報処理装置に送信するステップとを画像形成装置に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像処理装置と情報処理装置とを連携させるシステムにおいて、画像処理装置に接続された操作部を用いる場合にも、情報処理装置との連携機能の制御において操作部の全ての機能を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るシステムの運用形態を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係るソフトウェア構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るハードキー識別テーブルを示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る付加機能処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態に係るアプリケーションの内容を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る付加機能処理装置の機能時の動作を示すシーケンス図である。
【図9】本発明の実施形態に係る画像形成装置のディスプレイパネルに表示される機能選択画面を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係るアプリ登録テーブルを示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係るシステムの動作を示すシーケンス図である。
【図12】本発明の実施形態に係る画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施形態に係るシステムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。本実施形態においては、
画像処理装置と情報処理装置とを連携させることにより、画像処理装置に付加的な機能を実行させる画像処理システムにおいて、画像処理装置に接続された操作部を介して情報処理装置にインストールされているアプリケーションを操作することを可能とするシステムを例として説明する。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係るシステムは、複数の画像形成装置1a、1b、1c(以降、総じて画像形成装置1とする)、付加機能処理装置2、クライアント端末3がネットワークを介して互いに接続されて運用されている。図1において夫々の機器を接続しているネットワークは、例えばオフィス等に敷設されているLAN(Local Area Network)である。
【0017】
画像形成装置1は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能なMFP(MultiFunction Peripheral:複合機)である。本実施形態に係る画像形成装置1は、付加機能処理装置2と連携することにより、付加機能処理装置2にインストールされているアプリケーションによって実現された機能を用いることを可能である。
【0018】
付加機能処理装置2は、画像形成装置1との連携処理において、情報処理機能を実現するための情報処理装置であり、インストールされたアプリケーションに従って処理を行う。また、本実施形態に係る付加機能処理装置2は、画像形成装置1からの操作信号を受け付けるためのRDP(Remote Desktop Protocol)サーバの機能や、画像形成装置1に接続された操作部の機能を用いるための機能を有する。これが、本実施形態に係る要旨の1つである。クライアント端末3は、ユーザが操作する情報処理端末であり、PC(Personal Computer)等の情報処理装置によって実現される。
【0019】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1、付加機能処理装置2及びクライアント端末3のハードウェア構成について図2を参照して説明する。尚、画像形成装置1は、図2に示すハードウェア構成に加えて、スキャナ、プリンタ等を実現するためのエンジンを備える。以下の説明においては、画像形成装置1のハードウェア構成を例として説明するが、他の装置についても同様である。
【0020】
図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC等と同様の構成を含む。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス80を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60及び操作部70が接続されている。
【0021】
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納される。
【0022】
I/F50は、バス80と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。尚、本実施形態に係る画像形成装置1の操作部70は、操作部をGUI(Graphical User Interface)として表示するためのディスプレイパネルと、汎用的な情報入力用に設けられたハードキーと、ユーザに装置状態を通知するためのLED(Light Emitting Diode)等を含む。
【0023】
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10がRAM20にロードされたプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0024】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ100、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)101、スキャナユニット102、排紙トレイ103、ディスプレイパネル104a、ハードキー操作部104b、給紙テーブル105、プリントエンジン106、排紙トレイ107及びネットワークI/F108を有する。
【0025】
また、コントローラ100は、主制御部110、エンジン制御部120、画像処理部130、操作表示制御部140、入出力制御部150及び御文書記憶部160を含む。図3に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、スキャナユニット102、プリントエンジン106を有する複合機として構成されている。尚、図3においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
【0026】
ディスプレイパネル104aは、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し、若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェースでもある。即ち、ディスプレイパネル104aは、ユーザによる操作を受けるための画像を表示する機能を含む。ハードキー操作部104bは、コピーやスキャンの開始を指示するための“スタート”キーや、0〜9の数字を入力するためのテンキー等、汎用的な情報入力のために設けられたハードキーや、夫々のキーが押下可能であることをユーザに通知するためのLED等を含む、機械的に構成された操作部である。ディスプレイパネル104a及びハードキー操作部104bは、図2に示すLCD60及び操作部70によって実現される。
【0027】
ネットワークI/F108は、画像形成装置1がネットワークを介してクライアント端末2や付加機能処理装置3等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。ネットワークI/F108は、TCP/IPプロトコルによる通信が可能である。また、ネットワークI/F108は、画像形成装置1がファクシミリとして機能する際に、ファクシミリ送信を実行するためのインタフェースとしても機能する。そのため、ネットワークI/F108は、電話回線にも接続されている。ネットワークI/F108は、図2に示すI/F50によって実現される。
【0028】
コントローラ100は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM30や不揮発性メモリ並びにHDD40や光学ディスク等の不揮発性記憶媒体に格納されたプログラムが、RAM20等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、CPU10がそのプログラムに従って演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ100が構成される。コントローラ100は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
【0029】
主制御部110は、コントローラ100に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ100の各部に命令を与える。エンジン制御部120は、プリントエンジン106やスキャナユニット102等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。画像処理部130は、主制御部110の制御に従い、印刷出力すべき画像情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン106が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。
【0030】
また、画像処理部130は、スキャナユニット102から入力される撮像データを処理し、画像データを生成する。この画像データとは、スキャナ動作の結果物として画像形成装置1の記憶領域に格納され若しくはネットワークI/F108を介して他の情報処理端末や記憶装置に送信される情報である。
【0031】
操作表示制御部140は、ディスプレイパネル104aへの情報表示や、ハードキー操作部104bに含まれるLEDの点灯制御等を行うと共に、ディスプレイパネル104aやハードキー操作部104bを介して入力された情報を主制御部110に通知する。入出力制御部150は、ネットワークI/F108を介して入力される情報を主制御部110に入力する。また、主制御部110は、入出力制御部150を制御し、ネットワークI/F108及びネットワークを介して付加機能処理装置2や他のネットワークに接続された機器にアクセスする。
【0032】
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部150がネットワークI/F108を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部150は、受信した印刷ジョブを主制御部110に転送する。主制御部110は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部130を制御して印刷ジョブに含まれる文書情報若しくは画像情報に基づいて描画情報を生成させる。
【0033】
画像処理部130によって描画情報が生成されると、エンジン制御部120は、プリントエンジン106を制御し、上記生成された描画情報に基づき、給紙テーブル105から搬送される用紙に対して画像形成を実行させる。即ち、画像処理部130、エンジン制御部120及びプリントエンジン106が画像形成出力部として機能する。プリントエンジン106の具体的態様としては、インクジェット方式による画像形成機構や電子写真方式による画像形成機構等を用いることが可能である。プリントエンジン106によって画像形成が施された文書は排紙トレイ107に排紙される。
【0034】
画像形成装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル104a、ハードキー操作部104bの操作若しくはネットワークI/F108を介してクライアント端末2等の他の端末から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部140若しくは入出力制御部150が主制御部110にスキャン実行信号を転送する。主制御部110は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部120を制御する。
【0035】
エンジン制御部120は、ADF101を駆動し、ADF101にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット102に搬送する。また、エンジン制御部120は、スキャナユニット102を駆動し、ADF101から搬送される原稿を撮像する。また、ADF101に原稿がセットされておらず、スキャナユニット102に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット102は、エンジン制御部120の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。即ち、スキャナユニット102が撮像部として動作すると共に、エンジン制御部120が、読取制御部として機能する。
【0036】
撮像動作においては、スキャナユニット102に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部120は、スキャナユニット102が生成した撮像情報を画像処理部130に転送する。画像処理部130は、主制御部110の制御に従い、エンジン制御部120から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。
【0037】
画像処理部130が生成した画像情報は主制御部110が取得し、主制御部110がHDD40等の複合機1に装着された記憶媒体に保存する。即ち、スキャナユニット102、エンジン制御部120及び画像処理部130が連動して、画像入力部として機能する。画像処理部130によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD40等に格納され若しくは入出力制御部150及びネットワークI/F108を介して付加機能処理装置2やクライアント端末3等の外部の装置に送信される。
【0038】
また、画像形成装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部120がスキャナユニット102から受信した撮像情報若しくは画像処理部130が生成した画像情報に基づき、画像処理部130が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部120がプリントエンジン106を駆動する。尚、描画情報と撮像情報との情報形式が同一である場合は、撮像情報をそのまま描画情報として用いることも可能である。
【0039】
また、本実施形態に係る画像形成装置1は、付加機能処理装置2との間で情報をやり取りすることにより、付加機能処理装置2にインストールされている機能を利用する。例えば、画像形成装置1は、スキャンによって生成した画像情報を、ネットワークを介して提供されるクラウドシステムのファイルサーバに格納するため、付加機能処理装置2に画像情報と共に格納要求を送信する。また、画像形成装置1は、クラウドシステムに格納されている画像情報を印刷出力するために画像情報の一覧をディスプレイパネル104aに表示する場合、付加機能処理装置2に画像情報の一覧の取得要求を送信し、付加機能処理装置2がクラウドシステムから取得した画像情報の一覧の転送を受けてディスプレイパネル104aに表示する。
【0040】
次に、画像形成装置1が上述したような機能を実現するための主走制御部110のソフトウェア構成について、図4を参照して説明する。図4に示すように、主制御部110のソフトウェア構成としては、種々のアプリケーション131と、プラットフォーム132が存在する。これらは、UNIX(登録商標)等のOS(Operating System)によりプロセス単位で並列的に実行される。アプリケーション131は、融合機101の各機能に固有の情報処理を実行するためのソフトウェアである。
【0041】
アプリケーション131としては、コピー機用のアプリケーションであるコピーアプリ141、プリンタ用のアプリケーションであるプリンタアプリ142、スキャナ用のアプリケーションであるスキャナアプリ143、ファクシミリ用のアプリケーションであるFAXアプリ144、付加機能処理装置2にスキャン結果を格納するための機能を提供するアプリケーションであるDocumentBOXアプリ145及び付加機能処理装置2を画像形成装置1を介して操作するためのRDP(Remote Desktop Protocol)機能を提供するRDPクライアントアプリ146が存在する。
【0042】
プラットフォーム132は、アプリケーション131からディスプレイパネル104aやネットワークI/F108等の夫々のハードウェアへの処理要求に関する情報処理を実行するためのソフトウェアである。アプリケーション131からの処理要求の受信には、予め定義されている関数により処理要求を受信するAPI(Application Programming Interface)133を利用して、ハードウェアへの処理要求の送信には、予め定義されている関数により処理要求を送信するENI(Engine Interface)134を利用する。
【0043】
プラットフォーム132は、種々のコントロールサービス151と、SRM(System Resource Manager)152と、種々のハンドラ153を有する。コントロールサービス151は、アプリケーション131からハードウェアへの処理要求を解釈して、解釈結果に応じてハードウェアの獲得要求を生成する。
【0044】
コントロールサービス151としては、NCS(Network Control Service)161、FCS(Facsimile Control Service)162、DCS(Delivery Control Service)163、ECS(Engine Control Service)164、MCS(Memory Control Service)165、OCS(Operation Control Service)166、UCS(User Directory Control Service)167、SCS(System Control Service)168、OUS(On Demand Update Service)169が存在する。
【0045】
NCS161のプロセスは、ネットワーク等を介してデータ通信を行うためのAPIを提供する。FCS162のプロセスは、ファクシミリとして画像データ通信・画像データ取得・画像データ印刷等を行うためのAPIを提供する。DCS163のプロセスは、融合機101に蓄積されている文書データの配信に関する制御を行う。ECS164のプロセスは、撮像部121や印刷部122等のエンジン部に関する制御を行う。MCS165のプロセスは、画像データ記憶・画像データ処理等のメモリやハードディスクドライブに関する制御を行う。OCS166のプロセスは、ディスプレイパネル104aやハードキー操作部104bに関する制御を行う。
【0046】
UCS167のプロセスは、ユーザ情報の管理に関する制御を行う。SCS168のプロセスは、システムの管理に関する制御を行う。OUS169のプロセスは、プログラムの更新に関する制御を行う。SRM152は、ハードウェアの獲得要求を調停して、調停結果に応じてハードウェアへの処理要求を実現するための制御を行う。具体的に言うと、SRM152のプロセスは、獲得要求に係るハードウェアが利用可能か否か(他の獲得要求と競合しないか否か)を判定して、利用可能である場合にはその旨をコントロールサービス151に通知する。さらには、獲得要求に係るハードウェアの利用スケジュールを作成して、作成結果に応じてハードウェアへの処理要求を実現するための制御を行う。
【0047】
ハンドラ153は、上記の調停結果に応じてハードウェアを管理する。ハンドラ153としては、FCUH(Facsimile Control Unit Hndler)171と、IMH(Image Memory Handler)172が存在する。FCUH171は、ファクシミリコントロールユニットを管理する。IMH172は、メモリを各プロセスに割り振り、各プロセスが割り振られたメモリを管理する。融合機起動部113は、融合機101の電源投入時に最初に実行される。これにより、UNIX(登録商標)等のOSが起動されて、アプリケーション131とプラットフォーム132が起動される。
【0048】
図5は、本実施形態に係るOCS166が保持しているテーブルを示す図である。図5に示すテーブルは、画像形成装置1が、ハードキー操作部104bに対する操作の内容や制御の内容を、付加機能処理装置2との間でやりとりするために用いられるテーブル(以降、ハードキー識別テーブルとする)である。ハードキー識別テーブルにおいては、図5に示すように、ハードキー操作部104bに含まれるハードキーを示す“ハードキー名”と、夫々のハードキーを識別する“識別子”とが関連付けられている。
【0049】
OCS166は、操作表示制御部140を介してハードキー104bに対するユーザの操作を検知すると、図5に示すようなハードキー識別テーブルに基づき、操作されたハードキーを識別するための“識別子”を取得する。ハードキー識別テーブルに含まれる“識別子”の情報は、付加機能処理装置2にも登録されており、画像形成装置1と付加機能処理装置2とは、上述したように取得した“識別子”をやり取りすることにより、ハードキー操作部104bに対する操作や、ハードキー操作部104bの制御を装置間で行うことができる。
【0050】
次に、本実施形態に係る付加機能処理装置2の機能構成について図6を参照して説明する。図6に示すように、本実施形態に係る付加機能処理装置2は、コントローラ200及びネットワークI/F201を有する。また、コントローラ200は、入出力制御部210、アプリケーション211、RDPサーバ212及び画像形成装置通信モジュール213を含む。
【0051】
ネットワークI/F201は、付加機能処理装置2がネットワークを介して画像形成装置1やクライアント端末2等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。
【0052】
コントローラ200は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM30や不揮発性メモリ並びにHDD40や光学ディスク等の不揮発性記憶媒体に格納されたプログラムが、RAM20等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、CPU10がそのプログラムに従って演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ200が構成される。コントローラ200は、付加機能処理装置2全体を制御する制御部として機能する。
【0053】
入出力制御部210は、ネットワークI/F201を介してのネットワーク通信を制御する。また、入出力制御部210は外部インターネットからの不正なアクセスやウィルスを監視し、セキュアな状態を保つ機能を有する。アプリケーション211は、画像形成装置1と連携することにより付加的な機能を実現するためのソフトウェア・モジュールである。図7を参照して、本実施形態に係るアプリケーション211によって実現される機能について説明する。
【0054】
図7に示すように、本実施形態に係る付加機能処理装置2にインストールされるアプリケーション211としては、画像転送クライアントアプリ211a及びOCR(Optical Character Recognition)アプリ211b等がある。画像転送クライアントアプリ211aは、画像形成装置1においてスキャンにより生成された画像情報を、ネットワークを介して提供されるクラウドシステムのファイルサーバに格納する機能(以降、スキャンtoクラウド機能とする)や、画像形成装置1からの要求に応じて、クラウドシステムのファイルサーバに格納されている画像情報を取得して画像形成装置1に印刷ジョブとして送信する機能(以降、クラウドtoプリント機能とする)等を提供する。OCRアプリ211bは、画像形成装置1にスキャンにより生成された画像情報に画像として含まれる文字を認識し、文字情報を生成する機能を提供する。
【0055】
RDPサーバ212は、リモートデスクトップ機能を実現するためのモジュールであり、画像形成装置1において動作しているRDPクライアントアプリ146との間で情報をやり取りする。RDPサーバ212は、リモートデスクトップ機能が有効である場合に、アプリケーション211によって提供されるGUI(Graphical User Interface)の画像情報を、情報をやり取りしているRDPクライアントアプリ146が動作中の画像形成装置1に送信する。
【0056】
また、RDPサーバ212は、画像形成装置1において動作中のRDPクライアントアプリ146が検知したディスプレイパネル104aに対する操作の内容を示す情報を、ネットワークを介して画像形成装置1から取得し、アプリケーション211に通知する。このようなRDPサーバ212の機能により、画像形成装置1の操作部を介したアプリケーション211の操作が可能となる。
【0057】
画像形成装置通信モジュール213は、リモートデスクトップ機能が有効である場合において、ハードキー操作部104bの操作によるアプリケーション211の操作や、アプリケーション211の動作状態に応じたハードキー操作部104bの制御を可能とするための機能を提供する。画像形成装置通信モジュール213は、上述したハードキー識別テーブルの“識別子”を記憶しており、画像形成装置1から“識別子”を受信した場合には、その“識別子”に基づいて操作されたハードキーを識別する。
【0058】
また、アプリケーション211の動作状態に応じて画像形成装置1のハードキー操作部104bを制御する場合、例えば、スタートキーのLEDを点灯させる場合、画像形成装置通信モジュール213は、制御対象のハードキーを示す“識別子”を指定して画像形成装置1にコマンドを送信する。このような画像形成装置通信モジュール213の機能により、リモートデスクトップ機能を介して画像形成装置1からアプリケーション211の機能を利用する場合に、ハードキー操作部104bに含まれるキーやLED等を用いることが可能となる。
【0059】
図7に示すように付加機能処理装置2にインストールされているアプリケーション211は、付加機能処理装置2の起動時に画像形成装置1に登録されることによって画像形成装置1を介して利用可能となる。図8を参照して、付加機能処理装置2の起動時の動作を説明する。図8に示すように、電源が投入されて付加機能処理装置2が起動すると(S801)、画像形成装置通信モジュール213が、画像形成装置1のコントロールサービス151との間で通信を開始する(S802)。
【0060】
画像形成装置1のコントロールサービス151との間で通信を開始すると、画像形成装置通信モジュール213は、付加機能処理装置2にインストールされているアプリケーション211、即ち、画像転送クライアントアプリ211aやOCRアプリ211b等を画像形成装置1に通知する(S803)。付加機能処理装置2からのアプリの通知を受けた画像形成装置1においては、主制御部110が、通知されたアプリの機能をRAM20等の記憶領域に記憶することにより登録し(S804)、処理を終了する。図1に示すように、複数の画像形成装置1a〜1cがネットワークに接続されている場合、付加機能処理装置2は、複数の画像形成装置1a〜1c夫々との間で図8に示すような動作を実行する。
【0061】
図8に示すような処理により、付加機能処理装置2において実現される機能が画像形成装置1に登録され、画像形成装置1のディスプレイパネル104aにおいて選択可能に表示されるようになる。図9に、画像形成装置1のディスプレイパネル104aに表示される機能選択画面の例を示す。図9に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1の機能選択画面においては、“コピー”、“スキャン”、“FAX”、“プリント”、“DocumentBOX”、“スキャンtoクラウド”、“クラウドtoプリント”のように、夫々の機能を選択するためのボタンが表示される。機能選択画面は、主制御部110の制御によって表示される。即ち、主制御部110において動作するコントロールサービス151が、機能選択画面表示部として機能する。
【0062】
図1に示す各機能のうち、“コピー”、“スキャン”、“FAX”、“プリント”、“DocumentBOX”は、図4に示すように画像形成装置1にインストールされているアプリケーションによって実現される機能である。また、“スキャンtoクラウド”、“クラウドtoプリント”は、付加機能処理装置2にインストールされている画像転送クライアントアプリ211aによって実現される機能である。
【0063】
このように、画像形成装置1は、アプリケーションと機能とを1対1で対応させて登録する態様に限らず、1つのアプリケーションによって複数の機能が実現される場合は、夫々の機能を登録する。また、OCRアプリ211bは、単体で用いられる機能ではなく、“スキャン”機能や“スキャンtoクラウド”機能のオプションとして用いられる。従って、OCRアプリ211b単体としては登録されず、“スキャン”機能や“スキャンtoクラウド”機能のオプション設定機能として登録される。
【0064】
図10は、画像形成装置1において、図9に示すように登録された機能を示す“登録アプリ名”と、夫々の機能に応じて実行するアプリケーションを示す“起動アプリ”及びハードキー操作の通知先である“ハードキー操作通知先”が関連付けられたテーブル(以降、アプリ登録テーブルとする)の例を示す図である。図10に示すように、“コピー”機能が選択された場合、画像形成装置1において起動されるアプリはコピーアプリ141であり、その際にハードキー操作部104bが操作された場合、操作内容はコピーアプリ141に通知される。
【0065】
他方、“スキャンtoクラウド”機能が選択された場合、画像形成装置1において起動されるアプリはRDPクライアントアプリ146であり、その際にハードキー操作部104bが操作された場合、操作内容はコントロールサービス151を介して付加機能処理装置2に通知される。図10に示すアプリ登録テーブルは、図8のS804の処理によって生成される。即ち、主制御部110が、アプリ登録テーブルを記憶媒体に記憶する遠隔機能記憶部として機能する。
【0066】
このような画像形成装置1及び付加機能処理装置2において、本実施形態に係る要旨は、リモートデスクトップ機能が有効である場合、即ち、画像形成装置1においてRDPクライアントアプリ146が起動されている場合の、ハードキー操作部104bの制御に関する。以下、その際の動作について説明する。
【0067】
図11は、付加機能処理装置2によって実現される機能が画像形成装置1に選択された場合の動作の一例を示すシーケンス図である。図11に示すように、画像形成装置1において、主制御部110が“スキャンtoクラウド”や“クラウドtoスキャン”等の付加機能処理装置2によって実現される機能の選択を受け付けると(S1101)、主制御部110は、図4において説明したRDPクライアントアプリ146を起動する(S1102)。ここでは、“スキャンtoクラウド”の機能が選択されたものとして説明する。RDPクライアントアプリ146は起動されて動作を開始すると、付加機能処理装置2のRDPサーバ212に対して、ネットワークを介して画面情報を要求する(S1103)。
【0068】
S1103における画面情報の要求においては、S1101において選択された機能に対応するアプリを指定する情報も含まれる。主制御部110は、図10において説明した情報に基づき、S1101において選択された機能に対応するアプリを識別する。付加機能処理装置2において、RDPサーバ212は、画像形成装置1からの画面情報要求を取得すると、指定されたアプリのGUIの画面情報を画像形成装置1のRDPクライアントアプリ146に送信する(S1104)。即ち、RDPサーバ212が遠隔表示提供部として機能する。S1104には、指定されたアプリが起動されていなければ起動する処理も含まれる。即ち、S1103において、RDPクライアントアプリ146が、遠隔機能起動部としても機能する。
【0069】
RDPクライアントアプリ146は、RDPサーバ212から画面情報を取得すると、操作表示制御部140を介して、ディスプレイパネル104aの表示面に取得した画面情報を表示させる(S1105)。即ち、RDPクライアントアプリ146が、遠隔機能表示部として機能する。ユーザは、このようにしてディスプレイパネル104aに表示された画面を確認し、タッチ操作をすることにより、付加機能処理装置2にインストールされているアプリケーション211を、画像形成装置1を介して操作することが可能となる。ここでは、“スキャンtoクラウド”機能における各種の設定操作が行われる。
【0070】
主制御部110のRDPクライアントアプリ146は、ディスプレイパネル104aに表示されたGUIに対する操作を操作表示制御部140を介して受け付けると(S1106)、受け付けた操作情報を画像形成装置1のRDPクライアントアプリ146に通知する(S1107)。即ち、RDPクライアントアプリ146が遠隔操作部として機能する。RDPサーバ212は、画像形成装置1からの操作情報の通知を受けると、通知された操作情報に従ってアプリケーション211に対する操作制御を実行する(S1108)。即ち、RDPサーバ212が遠隔操作受付部として機能する。ここでは、画像形成装置1のディスプレイパネル104aに表示されたGUI上で設定されたパラメータがアプリケーション211に通知され、アプリケーション211において保持される。
【0071】
S1108の処理により、アプリケーション211のGUIの表示が変化する場合、RDPサーバ212は、操作されたアプリケーション211のGUIの変化した画面情報を画像形成装置1のRDPクライアントアプリ146に送信する(S1109)。これにより、画像形成装置1において、RDPクライアントアプリ146が、RDPサーバ212から取得した画面情報に従ってディスプレイパネル104aの表示を更新する(S1110)。
【0072】
また、S1108の処理によるアプリケーション211の動作状態の変化に応じて、画像形成装置1のハードキー操作部104bに設けられたLEDを点灯する等の、ハードキー操作部104bの制御が生じた場合、画像形成装置通信モジュール213が、画像形成装置1の主制御部110に対して制御状態を通知する(S1111)。即ち、画像形成装置通信モジュール213が、機械的に構成された操作部を制御するための制御情報を送信する制御情報送信部として機能する。S1111の通知には、図5において説明した“識別子”が含まれ、これによって、点灯させるべきLED等の制御対象が識別される。
【0073】
画像形成装置通信モジュール213から制御状態の通知を受けた画像形成装置1においては、主制御部110において動作しているコントロールサービス151が、“識別子”によって指定されたハードキー操作部104bのデバイスを制御する(S1112)。即ち、主制御部110において動作しているコントロールサービス151が、機械的操作制御部として機能する。これにより、ハードキー操作部104bにおいて、スタートキーの効果が可能となったことを示すLED等が点灯される。即ち、付加機能処理装置2によって実現される機能であっても、ハードキー操作部104bによる機能によってユーザインタフェースを構成することが可能となり、ユーザの利便性を向上することが可能となる。
【0074】
このような状態において、スタートキー等のハードキー操作部104bに含まれるキーが押下されると、主制御部110がハードキー操作部104bの操作を受け付け(S1113)、その操作内容を示す操作情報を付加機能処理装置2の画像形成装置通信モジュール213に通知する(S1114)。即ち、主制御部110において動作しているコントロールサービス151が、機械的操作検知部として機能する。S1114の通知には、図5において説明した“識別子”が含まれ、これによって、操作されたハードキーが識別される。ここでは、“スキャンtoクラウド”機能においてスキャンの実行を指示するためのスタートキーが押下された物として説明する。
【0075】
画像形成装置1からハードキー操作部104bの操作情報の通知を受けた画像形成装置通信モジュール213は、上記“識別子”に基づいてハードキーが押下されたことを認識すると、アプリケーション211にそれを通知する。これにより、アプリケーション211は、“スキャンtoクラウド”の機能を実行するための待機状態となる。そして、画像形成装置通信モジュール213が、クラウドサービスによって提供されるファイルサーバに格納するための画像情報をスキャンによって生成するように、画像形成装置1に対してスキャン実行要求を送信する(S1115)。
【0076】
付加機能処理装置2からスキャン実行要求を受信した画像形成装置1においては、主制御部110が各部を制御してスキャンを実行し、その結果生成された画像情報を付加機能処理装置2の画像形成装置通信モジュール213に送信する(S1116)。画像形成装置1においてスキャンにより生成された画像情報を取得すると、付加機能処理装置2は、取得した画像情報をアプリケーション211に入力する。アプリケーション211は、入力された画像上方に対してS1107、S1108の処理に等によって設定されたパラメータに応じた画像処理を行い、クラウドサービスによって提供されるファイルサーバに画像情報を送信する(S1117)。
【0077】
S1117の処理によりアプリケーション211のGUIが変化すると、RDPサーバ212が、画面情報を画像形成装置1のRDPクライアントアプリ146に送信する(S1118)。これにより、画像形成装置1において、RDPクライアントアプリ146が、RDPサーバ212から取得した画面情報に従ってディスプレイパネル104aの表示を更新し(S1119)、1回分の“スキャンtoクラウド”の機能に関する処理を終了する。
【0078】
このような処理により、付加機能処理装置2において実現される機能を、画像形成装置1に接続されたハードキー操作部104bを介して制御すると共に、付加機能処理装置2における機能の実行状態に応じて、ハードキー操作部104bを制御すると言う本実施形態の要旨に係る機能が発揮される。次に、図11のS1112において画像形成装置1のハードキー操作部104bが操作された場合の、主制御部110の処理について図12を参照して詳細に説明する。
【0079】
図12に示すように、ハードキー操作部104bが操作され(S1201)、主制御部110が操作表示制御部140を介してハードキー操作部104bに対する操作を検知すると、主制御部110は、現在ディスプレイパネル104aに表示されているGUIのオーナーアプリ、即ち、ディスプレイパネル104aの画面オーナーを確認する(S1202)。
【0080】
図4において説明したように、主制御部110には、複数のアプリケーションが含まれ、ユーザによって選択された機能に対応するアプリケーションが画面オーナーとなり、そのアプリケーションのGUIがディスプレイパネル104に表示される。従って、主制御部110は、現在選択された画面オーナーとなっているアプリケーションが何かを確認することができる。
【0081】
S1202の確認の結果、RDPクライアントアプリ146が画面オーナーであった場合(S1202/YES)、主制御部110は、図10において説明したテーブルに基づき、付加機能処理装置2に、ハードキーの操作信号を送信し(S1203)、処理を終了する。S1203において送信される操作情報は、図5において説明した“識別子”を含む情報である。
【0082】
S1202の確認の結果、RDPクライアントアプリ146以外のアプリが画面オーナーであった場合(S1202/NO)、主制御部110は、図10において説明したテーブルに基づき、画面オーナーであるアプリに操作信号を送信し(S1204)、処理を終了する。このような主制御部110の処理により、リモートデスクトップ機能が有効である場合には、ハードキー操作部104bの操作情報が付加機能処理装置2に送信され、画像形成装置1単体で実行可能なアプリが選択されている場合には、そのアプリにハードキー操作部104bの操作情報が送信されることとなる。
【0083】
次に、リモートデスクトップ機能による画面表示が失敗した場合の処理について、図13を参照して説明する。一般的なリモートデスクトップ機能を使用したシステムの場合、RDPクライアントアプリ146が動作している画像形成装置1側において画面の表示が正しく行われているか否かは、RDPサーバ212側のアプリケーション211では判断できない。
【0084】
具体的には、RDPサーバ212側のアプリケーション211は、GUIが、付加機能処理装置2に接続された表示装置に表示されているか、RDPサーバ212及びRDPクライアントアプリ146を介して画像形成装置1のディスプレイパネル104aに表示されているのか意識しないため、リモートデスクトップ機能のエラー有無に関わらず、正しく表示されている者として動作する。これを解決するために、本実施形態に係る画像形成装置通信モジュール213は、リモートデスクトップ機能使用時に画面が正しく表示されない場合に、アプリケーション211に通知する手段を提供する。
【0085】
図12に示すように、画像形成装置1においてアプリが起動し(S1301)、RDPサーバ212が、RDPクライアントアプリ146からの画面情報の要求に応じて画面情報を送信すると(S1302)、上述したように、画像形成装置1のRDPクライアントアプリ146によって画面の表示処理が実行される。ここで、RDPクライアントアプリ146が画面表示の失敗を検知すると(S1303)、主制御部110によって、ディスプレイパネル104aにエラーダイアログが表示される(S1304)。尚、S1304の処理は、ディスプレイパネル104aへのエラーダイアログの表示の他、ハードキー操作部104bに含まれるLEDの点灯処理でも良い。
【0086】
続いて主制御部110は、付加機能処理装置2の画像形成装置通信モジュール213に対して、画面表示が失敗したことを示すエラー通知を行う(S1305)。即ち、主制御部110において動作するコントロールサービス151が、エラー情報送信部として機能する。画像形成装置1からのエラー通知を取得した画像形成装置通信モジュール213は、エラーをアプリケーション211に通知する。即ち、画像形成装置通信モジュール213が、エラー通知部として機能する。これにより、アプリケーション211は、予め定められた画面表示エラーに対応したエラー処理を実行する(S1306)。このような処理により、アプリケーション211が、リモートデスクトップ機能による画面表示のエラーを認識することが可能となり、それに対応した処理を実行することが可能となる。
【0087】
以上、説明したように、本実施形態に係る画像形成装置1においては、ハードキー操作部104bが操作された場合、主制御部110がディスプレイパネル104aの画面オーナーを確認し、リモートデスクトップ機能を提供するアプリ、即ち、本実施形態に係るRDPクライアントアプリ146が画面オーナーであれば、操作情報を画像形成装置1に送信する。この際、送信される操作情報は、画像形成装置1と付加機能処理装置2とにおいて共通に設定されている“識別子”を含む。このような構成により、付加機能処理装置2にインストールされているアプリケーション211によって実現される機能を、画像形成装置1に接続されたハードキー操作部104bによって操作することが可能となる。
【0088】
また、本実施形態に係る付加機能処理装置2においては、画像形成装置通信モジュール213が、アプリケーション211の動作状態に応じてハードキー操作部104bを制御するための制御信号を生成して画像形成装置1に送信する。この際、送信される制御信号は、画像形成装置1と付加機能処理装置2とにおいて共通に設定されている“識別子”を含む。このような構成により、付加機能処理装置2にインストールされているアプリケーション211の動作状態に応じて、画像形成装置1に接続されたハードキー操作部104bを制御し、LEDを点灯させる等の動作をさせることが可能となる。
【0089】
このように、本実施形態に係る画像形成装置1及び付加機能処理装置2により、画像処理装置と情報処理装置とを連携させるシステムにおいて、画像処理装置に接続された操作部を用いる場合にも、情報処理装置との連携機能の制御において操作部の全ての機能を用いることが可能となる。
【0090】
尚、上記実施形態においては、図1に示すように、1の付加機能処理装置2に対して複数の画像形成装置1がネットワークを介して接続されている場合を例として説明した。これに限らず、付加機能処理装置2と画像形成装置1とを1対1で構成しても良い。その場合でも、本実施形態に係る構成を採用することにより。画像処理装置側の操作部を用いることが可能となり、付加機能処理装置に接続するための操作部を画像処理装置に応じて作りこむ必要がなくなる。
【0091】
また、上記実施形態においては、画像形成装置1側から付加機能処理装置2を操作するための態様として、RDPを例として説明したが、VNC(Virtual Network Computing)等、リモートデスクトップ機能を提供する技術であれば、同様に用いることが可能である。
【符号の説明】
【0092】
1、1a、1b、1c 画像形成装置
2 付加機能処理装置
3 クライアント端末
10 CPU
20 RAM
30 ROM
40 HDD
50 I/F
60 LCD
70 操作部
80 バス
100 コントローラ
101 ADF
102 スキャナユニット
103 排紙トレイ
104 ディスプレイパネル
105 給紙テーブル
106 プリントエンジン
107 排紙トレイ
108 ネットワークI/F
110 主制御部
120 エンジン制御部
130 画像処理部
131 アプリケーション
132 プラットフォーム
133 API
134 ENI
140 操作表示制御部
141 コピーアプリ
142 プリンタアプリ
143 スキャナアプリ
144 FAXアプリ
145 DocumentBOXアプリ
146 RDPクライアントアプリ
150 入出力制御部
151 コントロールサービス
152 SRM
153 ハンドラ
160 文書記憶部
161 NCS
162 FCS
163 DCS
164 ECS
165 MCS
166 OCS
167 UCS
168 SCS
169 OUS
171 FCUH
172 IMH
200 コントローラ
201 ネットワークI/F
210 入出力制御部
211 アプリケーション
211a 画像転送クライアントアプリ
211b OCRアプリ
212 RDPサーバ
213 画像形成装置通信モジュール
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】
【特許文献1】特開2007−304881号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面に対する操作によって情報の入力が可能な表示装置及び機械的に構成された操作部を有し、別個に設けられた情報処理装置において実現される機能を、ネットワークを介して利用することが可能な画像形成装置であって、
前記情報処理装置において動作する機能の視覚的なインタフェースを表示するための表示情報を取得し、前記表示装置に表示させる遠隔機能表示部と、
前記視覚的なインタフェースが表示された表示面に対する操作に応じて、操作の内容を示す操作情報を前記情報処理装置に送信する遠隔操作部と、
前記機械的に構成された操作部に対する操作の内容を取得する機械的操作検知部とを含み、
前記機械的操作検知部は、前記表示装置に前記情報処理装置において動作する機能の視覚的なインタフェースが表示されている際に、前記機械的に構成された操作部に対する操作の内容を取得した場合、前記取得した操作の内容を示す機械的操作情報を前記情報処理装置に送信することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記機械的操作検知部は、前記機械的に構成された操作部に含まれる各部を夫々識別するための識別子として、前記情報処理装置と共通に定義されている識別子を記憶しており、前記取得した操作の内容に応じた前記識別子を含む機械的操作情報を記情報処理装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記情報処理装置において動作する機能の動作状態の変化に応じて前記機械的に構成された操作部を制御するための制御情報を取得し、その制御情報に従って前記機械的に構成された操作部を制御する機械的操作制御部を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記情報処理装置からの通知に応じて前記情報処理装置において動作する機能を示す遠隔機能情報を取得し、前記情報処理装置において動作する機能を、前記遠隔機能表示部及び前記遠隔操作部を実現するためのアプリケーション・プログラム並びに前記機械的に構成された操作部が操作された場合の前記機械的操作情報の送信先を示す情報と関連づけて記憶媒体に記憶する遠隔機能記憶部と、
前記画像処理装置において動作する機能及び前記記憶された遠隔機能情報に基づき、利用する機能をユーザに選択させる機能選択画面を前記表示装置に表示させる機能選択画面表示部と、
前記機能選択画面が表示された表示面に対する操作に応じて、前記遠隔機能表示部及び前記遠隔操作部を実現するためのアプリケーション・プログラムに関連付けられた機能が選択された場合に、前記アプリケーション・プログラムを起動する遠隔機能起動部とを含み、
前記機械的操作検知部は、前記遠隔機能記憶部によって記憶された情報に基づいて前記取得した操作の内容を示す機械的操作情報を前記情報処理装置に送信することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記遠隔機能表示部による前記情報処理装置において動作する機能の視覚的なインタフェースの表示が失敗した場合に、失敗したことを示すエラー情報を前記情報処理装置に送信するエラー情報送信部を含むことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像処理機能を有する情報処理装置と、表示面に対する操作によって情報の入力が可能な表示装置及び機械的に構成された操作部を有し、前記情報処理装置において実現される機能をネットワークを介して利用することが可能な画像形成装置とを含む画像処理システムであって、
前記画像形成装置は、
前記情報処理装置において動作する機能の視覚的なインタフェースを表示するための表示情報を取得し、前記表示装置に表示させる遠隔機能表示部と、
前記視覚的なインタフェースが表示された表示面に対する操作に応じて、操作の内容を示す操作情報を前記情報処理装置に送信する遠隔操作部と、
前記機械的に構成された操作部に対する操作の内容を取得する機械的操作検知部とを含み、
前記機械的操作検知部は、前記表示装置に前記情報処理装置において動作する機能の視覚的なインタフェースが表示されている際に、前記機械的に構成された操作部に対する操作の内容を取得した場合、前記取得した操作の内容を示す機械的操作情報を前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、
前記情報処理装置において動作する機能の視覚的なインタフェースを表示するための表示情報を、前記遠隔機能表示部の要求に応じて前記画像形成装置に送信する遠隔表示提供部と、
前記遠隔操作部から受信した前記操作情報に基づいて、前記情報処理装置において動作する機能に操作信号を入力すると共に、前記機械的操作検知部から受信した前記機械的操作情報に基づいて、前記情報処理装置において動作する機能に操作信号を入力する遠隔操作受付部とを含むことを特徴とする画像処理システム。
【請求項7】
前記情報処理装置は、前記情報処理装置において動作する機能の動作状態に応じて、前記機械的に構成された操作部を制御するための制御情報を前記画像形成装置に送信する制御情報送信部を含み、
前記画像形成装置は、前記情報処理装置から前記制御情報を取得し、その制御情報に従って前記機械的に構成された操作部を制御する機械的操作制御部を含むことを特徴とする請求項6に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記画像形成装置は、前記遠隔機能表示部による前記情報処理装置において動作する機能の視覚的なインタフェースの表示が失敗した場合に、失敗したことを示すエラー情報を前記情報処理装置に送信するエラー情報送信部を含み、
前記情報処理装置は、前記エラー情報を受信して前記情報処理装置において動作する機能に入力するエラー通知部を含むことを特徴とする請求項6または7に記載の画像処理システム。
【請求項9】
表示面に対する操作によって情報の入力が可能な表示装置及び機械的に構成された操作部を有し、別個に設けられた情報処理装置において実現される機能を、ネットワークを介して利用することが可能な画像形成装置の制御プログラムであって、
前記情報処理装置において動作する機能の視覚的なインタフェースを表示するための表示情報を取得し、前記表示装置に表示させるステップと、
前記視覚的なインタフェースが表示された表示面に対する操作に応じて、操作の内容を示す操作情報を前記情報処理装置に送信するステップと、
前記機械的に構成された操作部に対する操作の内容を取得するステップと
前記表示装置に前記情報処理装置において動作する機能の視覚的なインタフェースが表示されている際に、前記機械的に構成された操作部に対する操作の内容を取得した場合、前記取得した操作の内容を示す機械的操作情報を前記情報処理装置に送信するステップとを画像形成装置に実行させることを特徴とする画像形成装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−31096(P2013−31096A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167102(P2011−167102)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】