画像形成装置、画像処理装置及びプログラム
【課題】記録シートに対する画像の位置ずれを補正する。
【解決手段】サイドレジずれが発生している場合、画像の位置を主走査方向に向かって、補正量算出部によって算出された補正量から欠損量を差し引いた値に相当する分だけ、画像を移動させると、画像欠損は発生しない。また、サイドレジずれとサイドスキューが発生している場合も、画像の位置を主走査方向に向かって、補正量算出部によって算出された補正量から欠損量を差し引いた値に相当する分だけ移動させると、画像欠損は発生しない。
【解決手段】サイドレジずれが発生している場合、画像の位置を主走査方向に向かって、補正量算出部によって算出された補正量から欠損量を差し引いた値に相当する分だけ、画像を移動させると、画像欠損は発生しない。また、サイドレジずれとサイドスキューが発生している場合も、画像の位置を主走査方向に向かって、補正量算出部によって算出された補正量から欠損量を差し引いた値に相当する分だけ移動させると、画像欠損は発生しない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、感光体などの像保持体に像を形成し、これを用紙などの記録材に転写するが、このとき記録シートに対する画像の位置がずれてしまう場合がある。特許文献1,2には、記録材の位置を調整することで、そのずれを補正する技術が提案されている。また、特許文献3では、画素データのアドレスを変更することで、記録材に対する画像のずれを補正する技術が提案されている。
【特許文献1】特許第3769913号公報
【特許文献2】特開2002−60097号公報
【特許文献3】特開2000−112206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、記録材に対する画像の形成位置のずれを補正することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、記録材に対して画像を形成する画像形成手段であって、所定の画像形成幅の範囲内で画像を形成可能な画像形成手段と、前記記録材に形成された画像の画像形成位置のずれ量を取得する取得手段と、取得した前記ずれ量に応じて、前記画像形成手段により形成される画像の画像情報を補正する補正手段と、前記補正手段が前記ずれ量に応じて前記画像情報を補正した場合に前記所定の画像形成幅を超える領域で発生する画像欠損の欠損量を算出する算出手段とを備え、前記補正手段は、前記算出手段によって算出された欠損量に応じて、前記画像形成手段により形成される画像の画像情報を補正することを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記画像形成手段は、像保持体を露光して形成した潜像を現像し、現像した像を、副走査方向に搬送される記録材に転写する画像形成手段であり、前記所定の画像形成幅は、前記画像形成手段が前記露光を行うことが可能な主走査方向の幅、前記画像形成手段が前記現像を行うことが可能な主走査方向の幅、又は、前記画像形成手段が前記転写を行うことが可能な主走査方向の幅のうちのいずれかであることを特徴とする。
【0006】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、主走査方向及び副走査方向に展開される画像情報を記憶する記憶手段を備え、前記所定の画像形成幅は、前記記憶手段における主走査方向の最大幅であり、前記補正手段は、前記算出手段によって算出された欠損量に対応する領域の画像を形成しないようにすることで前記画像情報を補正するか、または、前記欠損量に応じて前記画像を前記画像形成幅の方向に圧縮することで前記画像情報を補正することを特徴とする。
【0007】
請求項4記載の発明は、記録材に画像を形成し得る画像形成幅を記憶する記憶手段と、
前記記録材に対する画像形成位置のずれ量に応じて、前記記録材に形成される画像の画像情報を補正する補正手段と、前記補正手段が前記ずれ量に応じて前記画像情報を補正した場合に前記所定の画像形成幅を超える領域で発生する画像欠損の欠損量を算出する算出手段とを備え、前記補正手段は、前記算出手段によって算出された欠損量に応じて、前記記録材に形成される画像の画像情報を補正することを特徴する。
【0008】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の画像処理装置において、前記補正手段は、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させることで、前記画像情報を補正することを特徴とする。
【0009】
請求項6記載の発明は、請求項4記載の画像処理装置において、前記補正手段は、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記差分よりも大きく且つ前記ずれ量以下の距離だけ移動させることで、前記画像情報を補正することを特徴とする。
【0010】
請求項7記載の発明は、請求項4記載の画像処理装置において、前記補正手段は、前記算出手段によって算出された欠損量に対応する領域の画像が形成されないように前記画像情報を補正することを特徴とする。
【0011】
請求項8記載の発明は、請求項4記載の画像処理装置において、前記補正手段は、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、前記差分に相当する距離だけ移動させても発生した画像欠損の欠損量に応じて、前記画像を前記画像形成幅の方向に圧縮することで、前記画像情報を補正することを特徴とする。
【0012】
請求項9記載の発明は、請求項4記載の画像処理装置において、前記補正手段は、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、前記画像の全領域のうち、当該発生した画像欠損に対応する領域を、当該画像欠損の欠損量に応じて移動させることで、前記画像情報を補正することを特徴とする。
【0013】
請求項10記載の発明は、請求項4記載の画像処理装置において、前記補正手段による補正を行うか否かを選択する選択手段を備え、前記補正手段は、前記選択手段によって補正を行うと選択された場合に前記補正を行うことを特徴とする。
【0014】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の画像処理装置において、前記選択手段は、前記画像欠損が発生する領域に有色画素からなる画像が存在する場合には補正を行うことを選択することを特徴とすることを特徴とする。
【0015】
請求項12記載の発明は、請求項10記載の画像処理装置において、前記選択手段は、前記算出手段によって算出された欠損量が閾値を超えた場合には補正を行うことを選択することを特徴とする。
【0016】
請求項13記載の発明は、請求項10記載の画像処理装置において、前記選択手段は、操作者の指示に応じて前記補正手段による補正を行うか否かを選択することを特徴とする。
【0017】
請求項14記載の発明は、請求項4記載の画像処理装置において、前記補正手段は、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させることで、前記画像情報を補正する第1の補正方法と、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記差分よりも大きく且つ前記ずれ量以下の距離だけ移動させることで、前記画像情報を補正する第2の補正方法と、前記算出手段によって算出された欠損量に対応する領域の画像が形成されないように前記画像情報を補正する第3の補正方法と、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、前記画像を、前記画像形成幅の方向に、前記差分に相当する距離だけ移動させても発生した画像欠損の欠損量に応じて圧縮することで、前記画像情報を補正する第4の補正方法と、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、前記画像の全領域のうち、当該発生した画像欠損に対応する領域を、当該画像欠損の欠損量に応じて移動させることで、前記画像情報を補正する第5の方法とのうち、少なくともいずれか2つの補正方法を実行することができ、さらに、この少なくとも2つの補正方法のうちのいずれかを選択して補正手段に実行させる補正方法選択手段を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項15記載の発明は、コンピュータを、記録材に画像を形成し得る画像形成幅を記憶する記憶手段と、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量に応じて、前記記録材に形成される画像の画像情報を補正する補正手段と、前記補正手段が前記ずれ量に応じて前記画像情報を補正した場合に前記所定の画像形成幅を超える領域で発生する画像欠損の欠損量を算出する算出手段として機能させ、さらに、前記補正手段を、前記算出手段によって算出された欠損量に応じて、前記記録材に形成される画像の画像情報を補正する手段として機能させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、記録材に対する画像形成位置のずれを補正するとともに、画像欠損による影響を抑えることができる。
請求項2記載の発明によれば、露光を行うことが可能な主走査方向の幅、現像を行うことが可能な主走査方向の幅、又は、転写を行うことが可能な主走査方向の幅を超えた場合に発生する画像欠損による影響を抑えることができる。
請求項3記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、主走査方向及び副走査方向に展開される画像情報を記憶する記憶手段における、その主走査方向の最大幅を超えた場合に発生する画像欠損による影響を抑えることができる。
請求項4記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、記録材に対する画像形成位置のずれを補正するとともに、画像欠損による影響を抑えることができる。
請求項5記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、画像欠損の欠損量を小さくすることができる。
請求項6記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、画像形成位置を画像形成幅の方向に沿ってずれ量と欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生するような場合に、その画像欠損の影響を抑えることができる。
請求項7記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、画像欠損による影響を抑えることができる。
請求項8記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、画像形成位置を画像形成幅の方向に沿ってずれ量と欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生するような場合に、その画像欠損の影響を抑えることができる。
請求項9記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、画像形成位置を画像形成幅の方向に沿ってずれ量と欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生するような場合に、その画像欠損の影響を抑えることができる。
請求項10記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、補正を行うべき場合においてその補正を行うことができる。
請求項11記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、単色画素のみからなる場合と比べて画像欠損が発生した場合に画像に与える影響が大きい有色画素からなる画像が存在する場合に発生する画像欠損による影響を抑えることができる。
請求項12記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、補正を行うことで画像に与える影響と、欠損量が画像に与える影響とを考慮した補正を行うことができる。
請求項13記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、操作者の指示に応じて補正を行うことができる。
請求項14記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、複数の補正方法の中から選択した方法によって補正を行うことができる。
請求項15記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、記録材に対する画像形成位置のずれを補正するとともに、画像欠損による影響を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
(構成)
まず、実施形態の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す図である。この画像形成装置10は、例えばカラープリンタやカラー複写機などの電子写真方式の画像形成装置である。画像形成装置10は、主に画像処理を司る画像処理装置100のほか、システム制御部108と、画像形成部109と、表示部110と、操作部111とを備えている。画像処理装置100は、画像データ入力部101と、階調補正部102と、スクリーン処理部103と、補正部104と、ずれ量検出部105と、欠損量算出部106と、記憶部107とを備えている。これらの構成101〜107は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やCPU(Central Processing Unit)などの制御回路と各種メモリによって構成されている。
【0021】
画像データ入力部101は、図示せぬ通信回路を備えており、パーソナルコンピュータなどのホスト装置200からネットワークや通信線経由で送信されてくる画像データ(画像情報)を受け取り、画像処理装置100に入力する。この画像データはページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されている。画像データ入力部101は、この画像データに基づいてラスタライズを行って、例えば600dpiのビットマップ形式の画像データ(以下、ビットマップデータという)を生成する。なお、「dpi」とは、1インチあたりの画素数を意味する“dot/inch”の略である(以下の説明において同じ)。階調補正部102は、上記ビットマップデータに対して階調補正などを行う。スクリーン処理部103は、階調補正部102によって階調補正がなされたビットマップデータに対してスクリーン処理を行う。スクリーン処理を経たビットマップデータは、補正部104によって画像形成位置を補正する処理が施されてから、画像形成部109に供給される。
【0022】
画像形成部109は、画像処理装置100から供給される画像データに応じて記録シートに画像を形成する。表示部110は、各種の情報や操作画面を表示する。操作部111は、ユーザによる各種の操作を受け付け、その操作に応じた信号をシステム制御部108に供給する。システム制御部108は、表示部110に対する表示制御や、操作部111からの信号に応じた処理を行うほか、画像形成装置10の全体的な動作を制御する。
【0023】
ここで、図2は、画像形成部109の構造を示した図である。
この画像形成部109は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)に対応した画像形成エンジン10C,10M,10Y,10Kを備えている。これらの画像形成エンジン10C,10M,10Y,10Kはいずれも、像を保持する像保持体である感光体ドラムと、感光体ドラムを決められた帯電電位に一様に帯電させる帯電装置と、各トナーの画像データに応じた光を感光体ドラムに照射して静電潜像を形成する露光装置と、静電潜像に各トナーを供給することで現像を行って感光体ドラムの表面にトナー像を形成する現像装置とを備えている。画像形成エンジン10C,10M,10Y,10Kによって形成されたトナー像は、複数のロールに掛け渡されて周回移動する中間転写ベルト15に転写(一次転写)される。さらに、このトナー像は、収容トレイ50,51,52の何れかから搬送されてくる記録材に転写(二次転写)される。画像形成ユニット10C,10M,10Y,10Kの位置から見て、記録材の搬送方向下流側には、定着装置46が設けられている。定着装置46は、トナー像が転写された記録材を加熱及び加圧することにより、記録材表面にトナー像を定着させる。このような定着処理を経た記録材は、排紙トレイ57に排出される。
【0024】
図1に示したずれ量検出部105は、感光体ドラム、中間転写ベルト15又は記録材上に形成されたトナー像を読み取って、記録シートに対する画像形成位置のずれ量を検出する。例えば中間転写ベルト15上に形成されたトナー像を読み取る場合、ずれ量検出部105は、画像形成部109の中間転写ベルトの外周面近傍に設けられた光学センサを備えている。画像形成部109は、中間転写ベルトの外周面に対し、主走査方向或いは副走査方向の異なる位置に2ヶ所以上のパターン画像を形成し、光学センサがこれを読み取る。ずれ量検出部105は、光学センサにより読み取られたパターン画像の位置に基づいて、記録シートに対する画像形成位置のずれ量を検出する。
【0025】
画像形成位置のずれには幾つかの種類があるが、本実施形態では、例えば図3に示すような3種類の画像形成位置のずれを補正の対象としている。なお、以下の説明において、主走査方向とは、画像形成部109における露光装置が像保持体の表面に照射する光の移動方向であり、副走査方向は、画像形成部109における感光体の回転方向(つまり感光体表面の移動方向)である。これら主走査方向と副走査方向は互いに直交する関係にある。
【0026】
まず1つ目の画像形成位置のずれは、図3(a)に例示しているように、点線で示した画像の理想的な形成位置Pから、記録シートSに実際に形成された画像Dの位置が主走査方向mにずれたものである。これを「サイドレジずれ」と定義する。
【0027】
2つ目のずれは、図3(b)に例示しているように、主走査方向mに進むに従って、画像Dの上端又は下端が、点線で示した理想的な画像の上端又は下端の形成位置Pから、副走査方向sに向かって徐々に離れていくようなずれである。主走査方向m及び副走査方向sに平行な辺を有する矩形画像の4隅は本来は直角であるべきだが、図3(b)のようなずれが発生した場合、実際に形成された画像Dの4隅が直角ではなくなることから、これを「直角度ずれ」と定義する。なお、直角度ずれには、図3(b)の例示内容とは逆に、主走査方向mに進むに従って、画像の上端又は下端が理想的な画像の上端又は下端の形成位置Pから副走査方向sとは逆方向に向かって徐々に離れていくような場合もある。
【0028】
3つ目のずれは、図3(c)に例示しているように、本来は主走査方向に平行であるべき画像の辺が主走査方向とは平行でなく、かつ、本来は副走査方向に平行であるべき画像の辺が副走査方向とは平行でないような画像のずれである。これを「サイドスキューずれ」と定義する。
【0029】
以上が本実施形態で想定している画像のずれであり、図1に示した補正部104はこのようなずれを補正する。そのため、補正部104は、ずれ量検出部105が検知したずれ量から補正近似関数を求め、画像形成位置のずれを補正するための補正量を算出する。
【0030】
例えばサイドレズずれの場合、上記補正量は、ビットマップデータに含まれる各画素のアドレスを主走査方向に沿って移動させる場合の移動量である。例えば図4(a)に示すように、実際の画像Dの形成位置が理想的な画像形成位置Pから主走査方向に距離dだけずれている場合、補正部104は、各画素のアドレスを主走査方向mとは逆方向に距離「d」だけ移動させれば、図4(b)に示すように、画像Dの形成位置と、理想的な画像形成位置Pとが一致する。この場合のビットマップデータの補正量は、距離「d」に相当する画素数となる。例えば、画像の解像度が2400dpiの場合、1画素の大きさは10.58(μm)である。よって、距離「d」が例えば0.1(mm)である場合、1インチを25.4(mm)とすると、補正量は、0.1÷(25.4÷2400)=9.4≒9(画素)となる。つまり、補正部104は、各画素のアドレスを主走査方向mとは逆方向に9画素分だけ変更すればよい。これにより、図5のタイミングチャートに示すように、補正後における露光の開始タイミングは、補正前における露光の開始タイミングよりも、9画素に相当する期間tdだけ早くなる。なお、図中の露光幅とは、露光装置による主走査方向の露光幅を時間軸上で表現したものである(以下の図面において同じ)。
【0031】
直角度ずれの場合には、次のような補正となる。
図6(a)は、記録シートに実際に形成した画像Dにおいて、右下がりの直角度ずれがあった場合を図示している。“右下がりの直角度ずれ”とは、主走査方向mに進むに従って、画像Dの上端又は下端が、理想的な画像の上端又は下端の形成位置Pから副走査方向sに向かって徐々に離れていくようなずれのことである。この場合、補正部104は、ビットマップデータが表す画像がずれ量に応じた距離だけ右上がりの画像となるように、そのビットマップデータの各画素のアドレスを補正すればよい。具体的には、補正部104は、ビットマップデータを、主走査方向mに沿った或る幅で区切って複数の領域に分割し、各領域の位置を主走査方向mに進むに従って1画素分ずつ、副走査方向sとは逆方向に移動させたビットマップデータを生成する。これにより、図7に示す補正前のビットマップデータb1は、補正によって、ビットマップデータb2となる。このようなビットマップデータb2に基づいて記録シートに画像が形成されると、図6(b)に示すように、画像Dの形成位置と理想的な画像形成位置Pとが一致する。
【0032】
サイドスキューずれの場合には、次のような補正となる。
サイドスキューずれが発生した画像は、図8(a)に示すように、画像全体が傾いているので、画像Dの形成位置と理想的な画像形成位置Pとが一致しない。従って、補正部104は、図9に示すようなビットマップデータb3の各画素のアドレスを、画像Dの傾きを打ち消すような画像となるように補正して、ビットマップデータb4を生成する。つまり、ビットマップデータによって表される画像を、図8(a)に示すような傾きの方向とは逆方向に傾かせるようにすればよい。このようなビットマップデータb4に基づいて記録シートに画像が形成されると、図8(b)に示すように、画像Dの形成位置と理想的な画像形成位置Pとが一致する。
【0033】
ところで、補正部104によって算出された補正量でビットマップデータを補正した場合に、露光装置の露光幅を超える領域で画像欠損が発生する場合がある。図1に示した欠損量算出部106はこの欠損量を算出する。
図10は、サイドレズずれを補正したときに画像欠損が発生する原理を説明する図である。露光装置による主走査方向の露光幅は、画像の主走査方向の幅の最大値を想定して設計されている。例えば画像の主走査方向の幅の最大値が320(mm)とした場合、露光幅はその最大値を少しだけ超える323(mm)に設計するといった具合である。サイドレジずれを補正するときの補正量は、画像の主走査方向の長さと、この露光幅に依存する。例えば露光幅が323(mm)で、画像の主走査方向の長さが320(mm)の場合、画像を露光幅の中心から1.5(mm)を超えて主走査方向に移動させると、画像の一部領域が露光幅を超えてしまって、その領域については潜像を形成することができなくなる。この領域が、記録シートに画像を形成できない欠損領域Dnとなる。この場合、記録シートの主走査方向の中心Scと、画像の主走査方向の中心Dcは一致している。
【0034】
また、図11は、サイドスキューずれ及びサイドレジずれを同時に補正する場合に画像欠損が発生する原理を説明する図である。図示のように、ビットマップデータb5のうち図中右下隅に相当する領域が露光幅を超えてしまい、潜像を形成することができなくなる。この領域が記録シートに画像を形成できない欠損領域Dnとなる。図12はこのとき記録シートSに形成される画像Dを表したものである。このように、欠損領域Dnに相当する画像が完全に欠損している。
【0035】
記憶部107は、欠損量算出部106が上述したような欠損量を画像の大きさに応じて迅速に算出し得るように、図13に示すような欠損量テーブルTa及び露光幅を記憶している。
欠損量テーブルTaには、予め想定される様々な画像の主走査方向及び副走査方向の大きさが記述されている。欠損量テーブルの「画像サイズ」の「主」が、画像の主走査方向大きさであり、「画像サイズ」の「副」が、画像の副走査方向の大きさを表している。各々の画像のサイドスキューを補正した場合、図14に示すように、露光によって形成される潜像Dの主走査方向の幅は、元々の画像の主走査方向のサイズmwよりもΔd×2だけ増加することになる。欠損量テーブルTaの「サイドスキュー補正による幅増加分」は、この潜像の主走査方向の幅の増加分(=Δd×2)である。この「サイドスキュー補正による幅増加分」は、前述した補正部104によって算出された補正量に応じて計算により求められて、この欠損量テーブルTaに記述される。
【0036】
また、各々の画像のサイドレジずれを補正した場合には、前掲の図5に示すように、露光によって形成される潜像の主走査方向の位置が移動することになる。欠損量テーブルTaの「サイドレジ補正量」は、この潜像の主走査方向の移動量である。つまり、この「サイドレジ補正量」は、補正部104によって算出された補正量に相当する距離である。
【0037】
ところで、画像形成装置10においては、定着装置に対する記録シートの主走査方向の位置を移動させるような処理が必要となることがある。これは、記録シートが定着装置の定着ロールの同じ箇所を多数回通過することによって、定着ロールの特定位置が磨耗することを防止するべく、記録シートを搬送方向と直交する方向に適宜移動させるというものである。これを「ヒューザーオシレーション」と定義する。欠損量テーブルTaの「ヒューザーオシレーション」は、この記録シートの主走査方向の移動量の最大値である。
【0038】
また、画像形成装置10においては、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色のトナー像の位置が相対的にずれることがある。そこで、これら4色のうちの少なくともいずれか1つの色のトナー像の主走査方向及び副走査方向の位置を移動させることがある。欠損量テーブルTaの「カラーレジ補正分」は、これら4色のうちの少なくともいずれか1色のトナー像の主走査方向の位置の移動量の最大値である。
【0039】
露光によって形成される潜像の主走査方向の幅は、上述した主走査方向の「画像サイズ」と、「サイドスキュー補正による幅増加分」との和として求められる。また、潜像の主走査方向の位置の変動量、つまり主走査方向に変動し得る量は、「サイドレジ補正量」、「ヒューザオシレーション」及び「カラーレジ補正分」の総和として求められる。例えば、主走査方向の「画像サイズ」が297(mm)、「サイドスキュー補正による幅増加分」が3.15(mm)、「サイドレジ補正量」が±4(mm)、「ヒューザオシレーション」が±2(mm)、「カラーレジ補正分」が±2(mm)の場合、露光によって形成される潜像の主走査方向の幅は、297+3.15=300.15(mm)となり、潜像の主走査方向の位置の変動量は、4+2+2=±8(mm)となる。ここでは露光幅が323(mm)であるから、画像の主走査方向の一方の側における露光幅の余裕分は、露光幅から、潜像の主走査方向の幅及び潜像の主走査方向の位置の変動量の最大値を差し引いて2で割った値、つまり、{323−(300.15+8×2)}÷2=3.425≒3.43(mm)となる。この値が「正」であることは、画像の主走査方向の一方の側において露光幅に余裕があることを意味しているから、画像欠損は発生しない。
【0040】
これに対し、例えば主走査方向の「画像サイズ」が304(mm)の場合には、「サイドスキュー補正による幅増加分」が3.29(mm)となり、露光によって形成される潜像の主走査方向の幅は、304+3.29=307.29(mm)となる。よって、この場合、画像の一方の側における露光幅の余裕分は、{323−(307.29+8×2)÷2=−0.145≒−0.14(mm)となる。この値は負であるから、画像欠損が発生することを意味している。この「0.14(mm)」が画像の欠損量を意味しており、これを画素数で表すと、0.14÷(25.4÷2400)=13.2≒13、つまり13画素となる。つまり、主走査方向に13画素分の画像領域が欠損するということになる。
【0041】
このように画像欠損が発生した場合、補正部104は、算出した補正量から欠損量を差し引いた値を実際の補正量とし、その補正量に相当する分だけ、ビットマップデータに含まれる各画素のアドレスを補正する。このようにすれば、画像の欠損は発生しない。このようにして各画素のアドレスが補正されたビットマップデータは、画像形成部109に出力される。画像形成部109は、このビットマップデータに基づき、上述したプロセスを経て画像を記録材に形成する。
【0042】
補正部104が画像欠損を考慮して補正を行う方法には幾つかのものがあるので、以下、これらを説明する。
(第1の補正方法)
図15に示すようにサイドレジずれが発生している場合、画像の位置を主走査方向mに向かって、補正量から欠損量を差し引いた値に相当する分だけ、画像を移動させると、画像欠損は発生しない。よって、補正部104は、補正量から欠損量を差し引いた値に相当する距離だけ画像形成位置が移動するように、ビットマップデータの各画素のアドレスを補正する。この場合、図15のタイミングチャートに示すように、画像欠損を考慮しない補正を経た露光の開始タイミングは、補正前における露光の開始タイミングよりも、期間tdだけ早くなっていたのに対し、画像欠損を考慮した補正を経た露光の開始タイミングは、補正前における露光の開始タイミングよりも、期間teだけ早くなる。なお、tdは上記補正量に相当する期間で、tfは上記欠損量に相当する期間であり、td+te=tfという関係にある。これにより、画像欠損を考慮しない場合の画像D1の形成位置は、補正後において、画像欠損を考慮した場合の画像D2の形成位置となる。なお、この場合、記録シートの主走査方向の中心Scと、画像の主走査方向の中心Dcとは一致しない。
【0043】
また、図16上段に示すように、サイドレジずれとサイドスキューが発生している場合も、画像の位置を主走査方向に向かって、補正量から欠損量を差し引いた値に相当する分だけ移動させる。つまり、補正部104は、補正量から欠損量を差し引いた値に相当する距離だけ画像形成位置が移動するように、ビットマップデータの各画素のアドレスを補正する。これにより、画像欠損を考慮しない場合の画像D1の形成位置は、補正後において、画像欠損を考慮した場合の画像D2の形成位置となる。なお、この場合も、図16下段に示すように、記録シートの主走査方向の中心Scと、画像の主走査方向の中心Dcとは一致しない。
【0044】
(第2の補正方法)
サイドレジずれとサイドスキューずれとを併せて補正する場合、図17(a)に示すように欠損量が非常に大きいときには、補正量から欠損量を差し引いた値を実際の補正量としても、図17(b)に示すように画像欠損を解消できない場合もある。例えば画像サイズが横320(mm)×縦480(mm)で、且つ、主走査方向の画像の幅(図14の「mw」+「Δd」×2)が323.6(mm)の場合には、露光幅323(mm)を超えてしまうので、主走査方向に0.6(mm)分の画像が欠損してしまう。このような場合は、画像の主走査方向の一方の側のみに画像欠損Dnを残すのではなく、図17(c)に示すように、主走査方向の両側に画像欠損Dn1、Dn2が発生するような補正を行う。つまり、補正部104は、補正量から欠損量を差し引いた値よりも大きく、且つ、その補正量以下の距離だけ画像形成位置が移動するように、ビットマップデータの各画素のアドレスを補正する。なお、図17(d)、(e)、(f)はそれぞれ図17(a)、(b)、(c)のようなビットマップデータに基づいて記録シートに形成された画像を表している。
【0045】
(第3の補正方法)
サイドレジずれとサイドスキューずれとがある場合、図11に示したように、画像の右下隅に三角形状の画像欠損が発生する。例えば記録シートの右端付近において副走査方向に延びる線分画像が形成されている場合に、このような形状の欠損領域が発生すると、その線分画像は記録シートの上端から下端に向かう途中までは形成されるが、画像の欠損領域に差しかかると消滅してしまう。このような画像の欠損は非常に目立つ。そこで、図18上段に示すように、画像の欠損領域Dnを含み、且つ、画像の副走査方向の辺と平行な領域Dm(図中網掛け領域)内の画像について、ビットマップデータをマスクし、その領域内の画像が形成されないようにする。これにより、図18下段に示すような画像が記録シートに形成される。なお、この図においては、領域Dmを明示的に表しているが、実際の記録シートにはこの領域Dmに画像は形成されていない。
【0046】
(第4の補正方法)
図19(a),(b)に示すように、サイドレジずれとサイドスキューずれとを併せて補正する場合、欠損量が大きいと、補正量から欠損量を差し引いた値を実際の補正量としても、画像の欠損領域を解消できない場合がある。この場合、補正部104は、図19(c)に示すように、ビットマップデータが表す画像を、その解消できない画像欠損の欠損量に応じて主走査方向に沿って圧縮された画像となるように、ビットマップデータに含まれる各画素のアドレスを補正する。図19(c)においては、画像の右下隅にある画素は、主走査方向とは逆方向に距離「k」だけ圧縮されていることになる。なお、図19(d)、(e)、(f)はそれぞれ図19(a)、(b)、(c)のようなビットマップデータに基づいて記録シートに形成された画像を表している。
【0047】
(第5の補正方法)
図19と同様に、図20(a),(b)においても、欠損量が大きいので、補正量から欠損量を差し引いた値を実際の補正量としても、画像の欠損領域を解消できない場合がある。この場合、画像の全領域のうち、解消できない画像欠損に対応する領域を、その画像欠損の欠損量に応じて移動させる。より具体的には、補正部104は、画像欠損が発生していない画像領域A1については、補正量から欠損量を差し引いた値を実際の補正量としてサイドレジずれとサイドスキューずれとを併せて補正する。一方、発生した画像欠損Dnに対応する画像領域A2については、画像欠損が消滅するように、ビットマップデータの各画素のアドレスを補正する。この補正においては、領域A3のように画像の主走査方向に沿った圧縮処理も含まれる。なお、画像欠損Dnに対応する画像領域A2については、画像欠損が消滅するような補正に限らず、その画像欠損量が小さくなるような補正であればよい。
【0048】
以上がそれぞれの補正方法の詳細である。
ところで、画像形成装置10においては、上記のように画像欠損を解消または小さくしたいという場合のほか、記録シートの主走査方向の中心と画像の主走査方向の中心とを一致させたいという場合がある。前者を「画質優先モード」と呼び、後者を「アライメント優先モード」と呼ぶ。画質優先モードは、例えば欠損の可能性のある領域に有色画素からなる画像が配置されているような場合に用いられ、アライメント優先モードは、欠損の可能性のある領域に有色画素からなる画像が配置されていないような場合に用いられる。この判断は、ユーザが操作部111を操作していずれかを選択することでよってなされてもよいし、補正部104がこの判断を行ってもよい。補正部104が欠損の可能性のある領域に有色画素からなる画像が存在するか否かを判断する場合、画像形成装置10やホスト装置200においてリッピング処理後に画素単位でその画素値を調べることで、有色画素からなる画像が存在するか否かを判断すればよい。
【0049】
(動作)
次に、図21に示すフローチャートを参照しながら動作説明を行う。
まず、画像データ入力部101にホスト装置200から画像データが入力されると(ステップS1;Yes)、画像データ入力部101はこれをビットマップ形式のビットマップデータ(ビットマップデータ)に変換して階調補正部102に供給する。階調補正部102は、このビットマップデータに対して階調補正などを行って、スクリーン処理部103に供給する(ステップS2)。スクリーン処理部103は、階調補正がなされたビットマップデータに対してスクリーン処理を行って補正部104に供給する(ステップS3)。補正部104は、ビットマップデータを記憶部107に展開し、ずれ量検出部によって検出されたずれ量に応じて補正量を算出する(ステップS4)。
【0050】
次に、補正部104は、画質優先モードと、アライメント優先モードとの何れかを選択する(ステップS5)。この選択は、上述したように、ユーザによる指定に従って選択するものであってもよいし、補正部104が画素単位でその画素値を調べることで、有色画素からなる画像が存在するか否かに基づいて選択するものであってもよい。ここで、アライメント優先モードが選択された場合(ステップS5;アライメント優先モード)、補正部104は、ステップS4にて取得した補正量に基づいてビットマップデータを補正する(ステップS6)。この補正は、画像欠損を考慮しない補正である。
【0051】
一方、画質優先モードが選択された場合(ステップS5;画質優先モード)、補正部104は欠損量算出部106に指示して、欠損量テーブルTaから画像の欠損量を算出させる(ステップS7)。画像欠損が発生しない場合には、欠損量算出部106が算出した欠損量は「0」である。そして、補正部104は、求められた欠損量が閾値を超えるか否かを判断する(ステップS8)。ここで、閾値を例えば「0」とすると、画像の欠損が少しでも発生した場合には、ステップS8の判断結果は「YES」となる。また、閾値を例えば「1(mm)」とすると、画像の欠損量が1(mm)を超えて発生した場合にステップS8の判断結果は「YES」となる。一方、欠損量が閾値を超えていない場合には(ステップS8;NO)、補正部104は、ステップS4にて取得した補正量に基づいてビットマップデータを補正する(ステップS6)。つまり、画像欠損を考慮しない補正が行われる。
【0052】
欠損量が閾値を超えている場合には(ステップS8;YES)、補正部104は、上述した第1の補正方法〜第5の補正方法のいずれかを選択する(ステップS9)。このときの選択基準は、例えばずれの種類に応じて選択するというものが考えられる。例えば、サイドレジずれの場合には第1の補正方法を選択し、サイドレジずれとサイドスキューずれとを併せて補正する場合には、第2の補正方法、第3の補正方法、第4の補正方法または第5の補正方法の何れかを選択するといった具合である。また、補正量から欠損量を差し引いた値を実際の補正量としても画像欠損を解消できない場合には、第2の補正方法、第4の補正方法または第5の補正方法の何れかを選択するし、補正量から欠損量を差し引いた値を実際の補正量とすれば画像欠損を解消できる場合には、第1の補正方法または第3の補正方法の何れかを選択する、というものでもよい。また、記録シートにおいて画像欠損が発生する可能性のある領域に、副走査方向に延びる線分画像が形成されている場合には、第3の補正方法を選択するというものでもよい。
【0053】
そして、補正部104は、選択した補正方法によってビットマップデータを補正し(ステップS10)、画像形成部109に出力する(ステップS11)。画像形成部109は、このデータに基づき、上述したプロセスを経て画像を記録シートに形成する。
【0054】
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。
画像形成装置10は、実施例で記載したタンデム構成のものに限らず、シングルエンジン4サイクルのカラー画像形成装置でもよいし、ドラムやベルト形状の感光体に各色の露光・現像工程を繰り返すことでその感光体上で4つの色を重ね合わせるような方式の画像形成装置であってもよい。さらにカラー画像形成装置に限らず、白黒の画像形成装置でアライメント補正機能を有する場合にも有効である。また、画像形成部109は、画像形成位置が補正された画像データに基づいて画像を形成するものであれば、その方式は電子写真法域に限らず、例えばインクジェット方式など、なんでもよい。
【0055】
画像形成位置のずれ量を検知する方法としては、画像形成部109がテストパターンを画像処理装置100の外部に出力し、外部装置での測定で把握したずれ量を画像処理装置100に入力する方法も考えられる。この場合は、画像処理装置100内にずれ量検出部105を設けなくてもよい。要するに、画像形成装置10乃至画像処理装置100には、装置の外部または内部からそのずれ量を取得する取得手段さえあればよい。
【0056】
実施形態では、説明を簡素化するために、サイドレジずれやサイドスキューずれを補正する場合について説明したが、これ以外に、画素数を増加させて主走査方向の幅を補正する倍率補正を加えた場合においても、実施形態と同様の補正が可能である。例えば倍率補正のための画素数増加とサイドレジずれ及びサイドスキュー補正が組み合わさった場合、露光幅を超えて発生する欠損量はより大きくなるから、上述した補正がさらに有効となる。
【0057】
実施形態では、所定の画像形成幅として「露光幅」を例示したが、これに限らず、画像形成の可否を決定するような幅ならばすべて適応できる。例えば、画像形成部109が露光を行うことが可能な主走査方向の幅、画像形成部109が現像を行うことが可能な主走査方向の幅、又は、画像形成部109が転写を行うことが可能な主走査方向の幅のうちのいずれかであってもよい。また、一般に画像処理装置は、主走査方向及び副走査方向に展開される画像データを記憶するページメモリなどの記憶手段を備えているが、この記憶手段における主走査方向の最大幅を画像形成幅としてもよい。ただし、この場合において、画像形成幅を超える領域で発生する画像欠損を解消するための補正方法としては、上述した第3の補正方法のほか、欠損量に応じて画像を画像形成幅の方向に圧縮するようにビットマップデータを補正する方法のいずれかとなる。
【0058】
補正は、ビットマップデータ等の画像データに含まれる各画素のアドレスを変更するものに限らず、記録シートに対する画像形成位置を欠損量に応じて補正するものであればどのようなものでもよく、ハードウェアで実現するかソフトウェアで実現するかも問わない。
【0059】
なお、図1に示した画像処理装置100は、画像形成装置に内蔵されるコンピュータによって実現されるものであってもよいし、画像形成装置のホスト装置(例えばパーソナルコンピュータ)によって実現されるものであってもよい。また、図21に示した処理手順をプログラムに記述し、このプログラムをコンピュータによって読み取り可能な磁気記録媒体、光記録媒体あるいはROMなどの記録媒体に記録して画像処理装置100に提供することもできる。また、インターネットのようなネットワーク経由で画像処理装置100にダウンロードさせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】画像形成部の構成を示す図である。
【図3】記録シートに対する画像のずれを説明する図である。
【図4】サイドレジずれ補正を説明する図である。
【図5】サイドレジずれ補正を説明する図である。
【図6】直角度ずれ補正を説明する図である。
【図7】直角度ずれ補正を説明する図である。
【図8】サイドスキューずれ補正を説明する図である。
【図9】サイドスキューずれ補正を説明する図である。
【図10】サイドレジずれ補正の際に画像の欠損が発生する原理を説明する図である。
【図11】サイドレジずれ及びサイドスキューずれ補正の際に画像の欠損が発生する原理を説明する図である。
【図12】サイドレジずれ及びサイドスキューずれ補正の際に画像の欠損が発生した様子を表す図である。
【図13】欠損量テーブルの一例を表す図である。
【図14】画像の主走査方向の長さを説明する図である。
【図15】第1の補正方法を説明する図である。
【図16】第1の補正方法を説明する図である。
【図17】第2の補正方法を説明する図である。
【図18】第3の補正方法を説明する図である。
【図19】第4の補正方法を説明する図である。
【図20】第5の補正方法を説明する図である。
【図21】本実施形態の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
100・・・画像処理装置、101・・・画像データ入力部、102・・・階調補正部、103・・・スクリーン処理部、104・・・補正部、105・・・ずれ量検出部、106・・・欠損量算出部、107・・・記憶部、108・・・システム制御部、109・・・画像形成部,110・・・表示部、111・・・操作部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、感光体などの像保持体に像を形成し、これを用紙などの記録材に転写するが、このとき記録シートに対する画像の位置がずれてしまう場合がある。特許文献1,2には、記録材の位置を調整することで、そのずれを補正する技術が提案されている。また、特許文献3では、画素データのアドレスを変更することで、記録材に対する画像のずれを補正する技術が提案されている。
【特許文献1】特許第3769913号公報
【特許文献2】特開2002−60097号公報
【特許文献3】特開2000−112206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、記録材に対する画像の形成位置のずれを補正することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、記録材に対して画像を形成する画像形成手段であって、所定の画像形成幅の範囲内で画像を形成可能な画像形成手段と、前記記録材に形成された画像の画像形成位置のずれ量を取得する取得手段と、取得した前記ずれ量に応じて、前記画像形成手段により形成される画像の画像情報を補正する補正手段と、前記補正手段が前記ずれ量に応じて前記画像情報を補正した場合に前記所定の画像形成幅を超える領域で発生する画像欠損の欠損量を算出する算出手段とを備え、前記補正手段は、前記算出手段によって算出された欠損量に応じて、前記画像形成手段により形成される画像の画像情報を補正することを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記画像形成手段は、像保持体を露光して形成した潜像を現像し、現像した像を、副走査方向に搬送される記録材に転写する画像形成手段であり、前記所定の画像形成幅は、前記画像形成手段が前記露光を行うことが可能な主走査方向の幅、前記画像形成手段が前記現像を行うことが可能な主走査方向の幅、又は、前記画像形成手段が前記転写を行うことが可能な主走査方向の幅のうちのいずれかであることを特徴とする。
【0006】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、主走査方向及び副走査方向に展開される画像情報を記憶する記憶手段を備え、前記所定の画像形成幅は、前記記憶手段における主走査方向の最大幅であり、前記補正手段は、前記算出手段によって算出された欠損量に対応する領域の画像を形成しないようにすることで前記画像情報を補正するか、または、前記欠損量に応じて前記画像を前記画像形成幅の方向に圧縮することで前記画像情報を補正することを特徴とする。
【0007】
請求項4記載の発明は、記録材に画像を形成し得る画像形成幅を記憶する記憶手段と、
前記記録材に対する画像形成位置のずれ量に応じて、前記記録材に形成される画像の画像情報を補正する補正手段と、前記補正手段が前記ずれ量に応じて前記画像情報を補正した場合に前記所定の画像形成幅を超える領域で発生する画像欠損の欠損量を算出する算出手段とを備え、前記補正手段は、前記算出手段によって算出された欠損量に応じて、前記記録材に形成される画像の画像情報を補正することを特徴する。
【0008】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の画像処理装置において、前記補正手段は、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させることで、前記画像情報を補正することを特徴とする。
【0009】
請求項6記載の発明は、請求項4記載の画像処理装置において、前記補正手段は、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記差分よりも大きく且つ前記ずれ量以下の距離だけ移動させることで、前記画像情報を補正することを特徴とする。
【0010】
請求項7記載の発明は、請求項4記載の画像処理装置において、前記補正手段は、前記算出手段によって算出された欠損量に対応する領域の画像が形成されないように前記画像情報を補正することを特徴とする。
【0011】
請求項8記載の発明は、請求項4記載の画像処理装置において、前記補正手段は、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、前記差分に相当する距離だけ移動させても発生した画像欠損の欠損量に応じて、前記画像を前記画像形成幅の方向に圧縮することで、前記画像情報を補正することを特徴とする。
【0012】
請求項9記載の発明は、請求項4記載の画像処理装置において、前記補正手段は、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、前記画像の全領域のうち、当該発生した画像欠損に対応する領域を、当該画像欠損の欠損量に応じて移動させることで、前記画像情報を補正することを特徴とする。
【0013】
請求項10記載の発明は、請求項4記載の画像処理装置において、前記補正手段による補正を行うか否かを選択する選択手段を備え、前記補正手段は、前記選択手段によって補正を行うと選択された場合に前記補正を行うことを特徴とする。
【0014】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の画像処理装置において、前記選択手段は、前記画像欠損が発生する領域に有色画素からなる画像が存在する場合には補正を行うことを選択することを特徴とすることを特徴とする。
【0015】
請求項12記載の発明は、請求項10記載の画像処理装置において、前記選択手段は、前記算出手段によって算出された欠損量が閾値を超えた場合には補正を行うことを選択することを特徴とする。
【0016】
請求項13記載の発明は、請求項10記載の画像処理装置において、前記選択手段は、操作者の指示に応じて前記補正手段による補正を行うか否かを選択することを特徴とする。
【0017】
請求項14記載の発明は、請求項4記載の画像処理装置において、前記補正手段は、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させることで、前記画像情報を補正する第1の補正方法と、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記差分よりも大きく且つ前記ずれ量以下の距離だけ移動させることで、前記画像情報を補正する第2の補正方法と、前記算出手段によって算出された欠損量に対応する領域の画像が形成されないように前記画像情報を補正する第3の補正方法と、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、前記画像を、前記画像形成幅の方向に、前記差分に相当する距離だけ移動させても発生した画像欠損の欠損量に応じて圧縮することで、前記画像情報を補正する第4の補正方法と、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、前記画像の全領域のうち、当該発生した画像欠損に対応する領域を、当該画像欠損の欠損量に応じて移動させることで、前記画像情報を補正する第5の方法とのうち、少なくともいずれか2つの補正方法を実行することができ、さらに、この少なくとも2つの補正方法のうちのいずれかを選択して補正手段に実行させる補正方法選択手段を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項15記載の発明は、コンピュータを、記録材に画像を形成し得る画像形成幅を記憶する記憶手段と、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量に応じて、前記記録材に形成される画像の画像情報を補正する補正手段と、前記補正手段が前記ずれ量に応じて前記画像情報を補正した場合に前記所定の画像形成幅を超える領域で発生する画像欠損の欠損量を算出する算出手段として機能させ、さらに、前記補正手段を、前記算出手段によって算出された欠損量に応じて、前記記録材に形成される画像の画像情報を補正する手段として機能させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、記録材に対する画像形成位置のずれを補正するとともに、画像欠損による影響を抑えることができる。
請求項2記載の発明によれば、露光を行うことが可能な主走査方向の幅、現像を行うことが可能な主走査方向の幅、又は、転写を行うことが可能な主走査方向の幅を超えた場合に発生する画像欠損による影響を抑えることができる。
請求項3記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、主走査方向及び副走査方向に展開される画像情報を記憶する記憶手段における、その主走査方向の最大幅を超えた場合に発生する画像欠損による影響を抑えることができる。
請求項4記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、記録材に対する画像形成位置のずれを補正するとともに、画像欠損による影響を抑えることができる。
請求項5記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、画像欠損の欠損量を小さくすることができる。
請求項6記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、画像形成位置を画像形成幅の方向に沿ってずれ量と欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生するような場合に、その画像欠損の影響を抑えることができる。
請求項7記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、画像欠損による影響を抑えることができる。
請求項8記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、画像形成位置を画像形成幅の方向に沿ってずれ量と欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生するような場合に、その画像欠損の影響を抑えることができる。
請求項9記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、画像形成位置を画像形成幅の方向に沿ってずれ量と欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生するような場合に、その画像欠損の影響を抑えることができる。
請求項10記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、補正を行うべき場合においてその補正を行うことができる。
請求項11記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、単色画素のみからなる場合と比べて画像欠損が発生した場合に画像に与える影響が大きい有色画素からなる画像が存在する場合に発生する画像欠損による影響を抑えることができる。
請求項12記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、補正を行うことで画像に与える影響と、欠損量が画像に与える影響とを考慮した補正を行うことができる。
請求項13記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、操作者の指示に応じて補正を行うことができる。
請求項14記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、複数の補正方法の中から選択した方法によって補正を行うことができる。
請求項15記載の発明によれば、本発明を採用しない場合と比較して、記録材に対する画像形成位置のずれを補正するとともに、画像欠損による影響を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
(構成)
まず、実施形態の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す図である。この画像形成装置10は、例えばカラープリンタやカラー複写機などの電子写真方式の画像形成装置である。画像形成装置10は、主に画像処理を司る画像処理装置100のほか、システム制御部108と、画像形成部109と、表示部110と、操作部111とを備えている。画像処理装置100は、画像データ入力部101と、階調補正部102と、スクリーン処理部103と、補正部104と、ずれ量検出部105と、欠損量算出部106と、記憶部107とを備えている。これらの構成101〜107は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やCPU(Central Processing Unit)などの制御回路と各種メモリによって構成されている。
【0021】
画像データ入力部101は、図示せぬ通信回路を備えており、パーソナルコンピュータなどのホスト装置200からネットワークや通信線経由で送信されてくる画像データ(画像情報)を受け取り、画像処理装置100に入力する。この画像データはページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されている。画像データ入力部101は、この画像データに基づいてラスタライズを行って、例えば600dpiのビットマップ形式の画像データ(以下、ビットマップデータという)を生成する。なお、「dpi」とは、1インチあたりの画素数を意味する“dot/inch”の略である(以下の説明において同じ)。階調補正部102は、上記ビットマップデータに対して階調補正などを行う。スクリーン処理部103は、階調補正部102によって階調補正がなされたビットマップデータに対してスクリーン処理を行う。スクリーン処理を経たビットマップデータは、補正部104によって画像形成位置を補正する処理が施されてから、画像形成部109に供給される。
【0022】
画像形成部109は、画像処理装置100から供給される画像データに応じて記録シートに画像を形成する。表示部110は、各種の情報や操作画面を表示する。操作部111は、ユーザによる各種の操作を受け付け、その操作に応じた信号をシステム制御部108に供給する。システム制御部108は、表示部110に対する表示制御や、操作部111からの信号に応じた処理を行うほか、画像形成装置10の全体的な動作を制御する。
【0023】
ここで、図2は、画像形成部109の構造を示した図である。
この画像形成部109は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)に対応した画像形成エンジン10C,10M,10Y,10Kを備えている。これらの画像形成エンジン10C,10M,10Y,10Kはいずれも、像を保持する像保持体である感光体ドラムと、感光体ドラムを決められた帯電電位に一様に帯電させる帯電装置と、各トナーの画像データに応じた光を感光体ドラムに照射して静電潜像を形成する露光装置と、静電潜像に各トナーを供給することで現像を行って感光体ドラムの表面にトナー像を形成する現像装置とを備えている。画像形成エンジン10C,10M,10Y,10Kによって形成されたトナー像は、複数のロールに掛け渡されて周回移動する中間転写ベルト15に転写(一次転写)される。さらに、このトナー像は、収容トレイ50,51,52の何れかから搬送されてくる記録材に転写(二次転写)される。画像形成ユニット10C,10M,10Y,10Kの位置から見て、記録材の搬送方向下流側には、定着装置46が設けられている。定着装置46は、トナー像が転写された記録材を加熱及び加圧することにより、記録材表面にトナー像を定着させる。このような定着処理を経た記録材は、排紙トレイ57に排出される。
【0024】
図1に示したずれ量検出部105は、感光体ドラム、中間転写ベルト15又は記録材上に形成されたトナー像を読み取って、記録シートに対する画像形成位置のずれ量を検出する。例えば中間転写ベルト15上に形成されたトナー像を読み取る場合、ずれ量検出部105は、画像形成部109の中間転写ベルトの外周面近傍に設けられた光学センサを備えている。画像形成部109は、中間転写ベルトの外周面に対し、主走査方向或いは副走査方向の異なる位置に2ヶ所以上のパターン画像を形成し、光学センサがこれを読み取る。ずれ量検出部105は、光学センサにより読み取られたパターン画像の位置に基づいて、記録シートに対する画像形成位置のずれ量を検出する。
【0025】
画像形成位置のずれには幾つかの種類があるが、本実施形態では、例えば図3に示すような3種類の画像形成位置のずれを補正の対象としている。なお、以下の説明において、主走査方向とは、画像形成部109における露光装置が像保持体の表面に照射する光の移動方向であり、副走査方向は、画像形成部109における感光体の回転方向(つまり感光体表面の移動方向)である。これら主走査方向と副走査方向は互いに直交する関係にある。
【0026】
まず1つ目の画像形成位置のずれは、図3(a)に例示しているように、点線で示した画像の理想的な形成位置Pから、記録シートSに実際に形成された画像Dの位置が主走査方向mにずれたものである。これを「サイドレジずれ」と定義する。
【0027】
2つ目のずれは、図3(b)に例示しているように、主走査方向mに進むに従って、画像Dの上端又は下端が、点線で示した理想的な画像の上端又は下端の形成位置Pから、副走査方向sに向かって徐々に離れていくようなずれである。主走査方向m及び副走査方向sに平行な辺を有する矩形画像の4隅は本来は直角であるべきだが、図3(b)のようなずれが発生した場合、実際に形成された画像Dの4隅が直角ではなくなることから、これを「直角度ずれ」と定義する。なお、直角度ずれには、図3(b)の例示内容とは逆に、主走査方向mに進むに従って、画像の上端又は下端が理想的な画像の上端又は下端の形成位置Pから副走査方向sとは逆方向に向かって徐々に離れていくような場合もある。
【0028】
3つ目のずれは、図3(c)に例示しているように、本来は主走査方向に平行であるべき画像の辺が主走査方向とは平行でなく、かつ、本来は副走査方向に平行であるべき画像の辺が副走査方向とは平行でないような画像のずれである。これを「サイドスキューずれ」と定義する。
【0029】
以上が本実施形態で想定している画像のずれであり、図1に示した補正部104はこのようなずれを補正する。そのため、補正部104は、ずれ量検出部105が検知したずれ量から補正近似関数を求め、画像形成位置のずれを補正するための補正量を算出する。
【0030】
例えばサイドレズずれの場合、上記補正量は、ビットマップデータに含まれる各画素のアドレスを主走査方向に沿って移動させる場合の移動量である。例えば図4(a)に示すように、実際の画像Dの形成位置が理想的な画像形成位置Pから主走査方向に距離dだけずれている場合、補正部104は、各画素のアドレスを主走査方向mとは逆方向に距離「d」だけ移動させれば、図4(b)に示すように、画像Dの形成位置と、理想的な画像形成位置Pとが一致する。この場合のビットマップデータの補正量は、距離「d」に相当する画素数となる。例えば、画像の解像度が2400dpiの場合、1画素の大きさは10.58(μm)である。よって、距離「d」が例えば0.1(mm)である場合、1インチを25.4(mm)とすると、補正量は、0.1÷(25.4÷2400)=9.4≒9(画素)となる。つまり、補正部104は、各画素のアドレスを主走査方向mとは逆方向に9画素分だけ変更すればよい。これにより、図5のタイミングチャートに示すように、補正後における露光の開始タイミングは、補正前における露光の開始タイミングよりも、9画素に相当する期間tdだけ早くなる。なお、図中の露光幅とは、露光装置による主走査方向の露光幅を時間軸上で表現したものである(以下の図面において同じ)。
【0031】
直角度ずれの場合には、次のような補正となる。
図6(a)は、記録シートに実際に形成した画像Dにおいて、右下がりの直角度ずれがあった場合を図示している。“右下がりの直角度ずれ”とは、主走査方向mに進むに従って、画像Dの上端又は下端が、理想的な画像の上端又は下端の形成位置Pから副走査方向sに向かって徐々に離れていくようなずれのことである。この場合、補正部104は、ビットマップデータが表す画像がずれ量に応じた距離だけ右上がりの画像となるように、そのビットマップデータの各画素のアドレスを補正すればよい。具体的には、補正部104は、ビットマップデータを、主走査方向mに沿った或る幅で区切って複数の領域に分割し、各領域の位置を主走査方向mに進むに従って1画素分ずつ、副走査方向sとは逆方向に移動させたビットマップデータを生成する。これにより、図7に示す補正前のビットマップデータb1は、補正によって、ビットマップデータb2となる。このようなビットマップデータb2に基づいて記録シートに画像が形成されると、図6(b)に示すように、画像Dの形成位置と理想的な画像形成位置Pとが一致する。
【0032】
サイドスキューずれの場合には、次のような補正となる。
サイドスキューずれが発生した画像は、図8(a)に示すように、画像全体が傾いているので、画像Dの形成位置と理想的な画像形成位置Pとが一致しない。従って、補正部104は、図9に示すようなビットマップデータb3の各画素のアドレスを、画像Dの傾きを打ち消すような画像となるように補正して、ビットマップデータb4を生成する。つまり、ビットマップデータによって表される画像を、図8(a)に示すような傾きの方向とは逆方向に傾かせるようにすればよい。このようなビットマップデータb4に基づいて記録シートに画像が形成されると、図8(b)に示すように、画像Dの形成位置と理想的な画像形成位置Pとが一致する。
【0033】
ところで、補正部104によって算出された補正量でビットマップデータを補正した場合に、露光装置の露光幅を超える領域で画像欠損が発生する場合がある。図1に示した欠損量算出部106はこの欠損量を算出する。
図10は、サイドレズずれを補正したときに画像欠損が発生する原理を説明する図である。露光装置による主走査方向の露光幅は、画像の主走査方向の幅の最大値を想定して設計されている。例えば画像の主走査方向の幅の最大値が320(mm)とした場合、露光幅はその最大値を少しだけ超える323(mm)に設計するといった具合である。サイドレジずれを補正するときの補正量は、画像の主走査方向の長さと、この露光幅に依存する。例えば露光幅が323(mm)で、画像の主走査方向の長さが320(mm)の場合、画像を露光幅の中心から1.5(mm)を超えて主走査方向に移動させると、画像の一部領域が露光幅を超えてしまって、その領域については潜像を形成することができなくなる。この領域が、記録シートに画像を形成できない欠損領域Dnとなる。この場合、記録シートの主走査方向の中心Scと、画像の主走査方向の中心Dcは一致している。
【0034】
また、図11は、サイドスキューずれ及びサイドレジずれを同時に補正する場合に画像欠損が発生する原理を説明する図である。図示のように、ビットマップデータb5のうち図中右下隅に相当する領域が露光幅を超えてしまい、潜像を形成することができなくなる。この領域が記録シートに画像を形成できない欠損領域Dnとなる。図12はこのとき記録シートSに形成される画像Dを表したものである。このように、欠損領域Dnに相当する画像が完全に欠損している。
【0035】
記憶部107は、欠損量算出部106が上述したような欠損量を画像の大きさに応じて迅速に算出し得るように、図13に示すような欠損量テーブルTa及び露光幅を記憶している。
欠損量テーブルTaには、予め想定される様々な画像の主走査方向及び副走査方向の大きさが記述されている。欠損量テーブルの「画像サイズ」の「主」が、画像の主走査方向大きさであり、「画像サイズ」の「副」が、画像の副走査方向の大きさを表している。各々の画像のサイドスキューを補正した場合、図14に示すように、露光によって形成される潜像Dの主走査方向の幅は、元々の画像の主走査方向のサイズmwよりもΔd×2だけ増加することになる。欠損量テーブルTaの「サイドスキュー補正による幅増加分」は、この潜像の主走査方向の幅の増加分(=Δd×2)である。この「サイドスキュー補正による幅増加分」は、前述した補正部104によって算出された補正量に応じて計算により求められて、この欠損量テーブルTaに記述される。
【0036】
また、各々の画像のサイドレジずれを補正した場合には、前掲の図5に示すように、露光によって形成される潜像の主走査方向の位置が移動することになる。欠損量テーブルTaの「サイドレジ補正量」は、この潜像の主走査方向の移動量である。つまり、この「サイドレジ補正量」は、補正部104によって算出された補正量に相当する距離である。
【0037】
ところで、画像形成装置10においては、定着装置に対する記録シートの主走査方向の位置を移動させるような処理が必要となることがある。これは、記録シートが定着装置の定着ロールの同じ箇所を多数回通過することによって、定着ロールの特定位置が磨耗することを防止するべく、記録シートを搬送方向と直交する方向に適宜移動させるというものである。これを「ヒューザーオシレーション」と定義する。欠損量テーブルTaの「ヒューザーオシレーション」は、この記録シートの主走査方向の移動量の最大値である。
【0038】
また、画像形成装置10においては、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色のトナー像の位置が相対的にずれることがある。そこで、これら4色のうちの少なくともいずれか1つの色のトナー像の主走査方向及び副走査方向の位置を移動させることがある。欠損量テーブルTaの「カラーレジ補正分」は、これら4色のうちの少なくともいずれか1色のトナー像の主走査方向の位置の移動量の最大値である。
【0039】
露光によって形成される潜像の主走査方向の幅は、上述した主走査方向の「画像サイズ」と、「サイドスキュー補正による幅増加分」との和として求められる。また、潜像の主走査方向の位置の変動量、つまり主走査方向に変動し得る量は、「サイドレジ補正量」、「ヒューザオシレーション」及び「カラーレジ補正分」の総和として求められる。例えば、主走査方向の「画像サイズ」が297(mm)、「サイドスキュー補正による幅増加分」が3.15(mm)、「サイドレジ補正量」が±4(mm)、「ヒューザオシレーション」が±2(mm)、「カラーレジ補正分」が±2(mm)の場合、露光によって形成される潜像の主走査方向の幅は、297+3.15=300.15(mm)となり、潜像の主走査方向の位置の変動量は、4+2+2=±8(mm)となる。ここでは露光幅が323(mm)であるから、画像の主走査方向の一方の側における露光幅の余裕分は、露光幅から、潜像の主走査方向の幅及び潜像の主走査方向の位置の変動量の最大値を差し引いて2で割った値、つまり、{323−(300.15+8×2)}÷2=3.425≒3.43(mm)となる。この値が「正」であることは、画像の主走査方向の一方の側において露光幅に余裕があることを意味しているから、画像欠損は発生しない。
【0040】
これに対し、例えば主走査方向の「画像サイズ」が304(mm)の場合には、「サイドスキュー補正による幅増加分」が3.29(mm)となり、露光によって形成される潜像の主走査方向の幅は、304+3.29=307.29(mm)となる。よって、この場合、画像の一方の側における露光幅の余裕分は、{323−(307.29+8×2)÷2=−0.145≒−0.14(mm)となる。この値は負であるから、画像欠損が発生することを意味している。この「0.14(mm)」が画像の欠損量を意味しており、これを画素数で表すと、0.14÷(25.4÷2400)=13.2≒13、つまり13画素となる。つまり、主走査方向に13画素分の画像領域が欠損するということになる。
【0041】
このように画像欠損が発生した場合、補正部104は、算出した補正量から欠損量を差し引いた値を実際の補正量とし、その補正量に相当する分だけ、ビットマップデータに含まれる各画素のアドレスを補正する。このようにすれば、画像の欠損は発生しない。このようにして各画素のアドレスが補正されたビットマップデータは、画像形成部109に出力される。画像形成部109は、このビットマップデータに基づき、上述したプロセスを経て画像を記録材に形成する。
【0042】
補正部104が画像欠損を考慮して補正を行う方法には幾つかのものがあるので、以下、これらを説明する。
(第1の補正方法)
図15に示すようにサイドレジずれが発生している場合、画像の位置を主走査方向mに向かって、補正量から欠損量を差し引いた値に相当する分だけ、画像を移動させると、画像欠損は発生しない。よって、補正部104は、補正量から欠損量を差し引いた値に相当する距離だけ画像形成位置が移動するように、ビットマップデータの各画素のアドレスを補正する。この場合、図15のタイミングチャートに示すように、画像欠損を考慮しない補正を経た露光の開始タイミングは、補正前における露光の開始タイミングよりも、期間tdだけ早くなっていたのに対し、画像欠損を考慮した補正を経た露光の開始タイミングは、補正前における露光の開始タイミングよりも、期間teだけ早くなる。なお、tdは上記補正量に相当する期間で、tfは上記欠損量に相当する期間であり、td+te=tfという関係にある。これにより、画像欠損を考慮しない場合の画像D1の形成位置は、補正後において、画像欠損を考慮した場合の画像D2の形成位置となる。なお、この場合、記録シートの主走査方向の中心Scと、画像の主走査方向の中心Dcとは一致しない。
【0043】
また、図16上段に示すように、サイドレジずれとサイドスキューが発生している場合も、画像の位置を主走査方向に向かって、補正量から欠損量を差し引いた値に相当する分だけ移動させる。つまり、補正部104は、補正量から欠損量を差し引いた値に相当する距離だけ画像形成位置が移動するように、ビットマップデータの各画素のアドレスを補正する。これにより、画像欠損を考慮しない場合の画像D1の形成位置は、補正後において、画像欠損を考慮した場合の画像D2の形成位置となる。なお、この場合も、図16下段に示すように、記録シートの主走査方向の中心Scと、画像の主走査方向の中心Dcとは一致しない。
【0044】
(第2の補正方法)
サイドレジずれとサイドスキューずれとを併せて補正する場合、図17(a)に示すように欠損量が非常に大きいときには、補正量から欠損量を差し引いた値を実際の補正量としても、図17(b)に示すように画像欠損を解消できない場合もある。例えば画像サイズが横320(mm)×縦480(mm)で、且つ、主走査方向の画像の幅(図14の「mw」+「Δd」×2)が323.6(mm)の場合には、露光幅323(mm)を超えてしまうので、主走査方向に0.6(mm)分の画像が欠損してしまう。このような場合は、画像の主走査方向の一方の側のみに画像欠損Dnを残すのではなく、図17(c)に示すように、主走査方向の両側に画像欠損Dn1、Dn2が発生するような補正を行う。つまり、補正部104は、補正量から欠損量を差し引いた値よりも大きく、且つ、その補正量以下の距離だけ画像形成位置が移動するように、ビットマップデータの各画素のアドレスを補正する。なお、図17(d)、(e)、(f)はそれぞれ図17(a)、(b)、(c)のようなビットマップデータに基づいて記録シートに形成された画像を表している。
【0045】
(第3の補正方法)
サイドレジずれとサイドスキューずれとがある場合、図11に示したように、画像の右下隅に三角形状の画像欠損が発生する。例えば記録シートの右端付近において副走査方向に延びる線分画像が形成されている場合に、このような形状の欠損領域が発生すると、その線分画像は記録シートの上端から下端に向かう途中までは形成されるが、画像の欠損領域に差しかかると消滅してしまう。このような画像の欠損は非常に目立つ。そこで、図18上段に示すように、画像の欠損領域Dnを含み、且つ、画像の副走査方向の辺と平行な領域Dm(図中網掛け領域)内の画像について、ビットマップデータをマスクし、その領域内の画像が形成されないようにする。これにより、図18下段に示すような画像が記録シートに形成される。なお、この図においては、領域Dmを明示的に表しているが、実際の記録シートにはこの領域Dmに画像は形成されていない。
【0046】
(第4の補正方法)
図19(a),(b)に示すように、サイドレジずれとサイドスキューずれとを併せて補正する場合、欠損量が大きいと、補正量から欠損量を差し引いた値を実際の補正量としても、画像の欠損領域を解消できない場合がある。この場合、補正部104は、図19(c)に示すように、ビットマップデータが表す画像を、その解消できない画像欠損の欠損量に応じて主走査方向に沿って圧縮された画像となるように、ビットマップデータに含まれる各画素のアドレスを補正する。図19(c)においては、画像の右下隅にある画素は、主走査方向とは逆方向に距離「k」だけ圧縮されていることになる。なお、図19(d)、(e)、(f)はそれぞれ図19(a)、(b)、(c)のようなビットマップデータに基づいて記録シートに形成された画像を表している。
【0047】
(第5の補正方法)
図19と同様に、図20(a),(b)においても、欠損量が大きいので、補正量から欠損量を差し引いた値を実際の補正量としても、画像の欠損領域を解消できない場合がある。この場合、画像の全領域のうち、解消できない画像欠損に対応する領域を、その画像欠損の欠損量に応じて移動させる。より具体的には、補正部104は、画像欠損が発生していない画像領域A1については、補正量から欠損量を差し引いた値を実際の補正量としてサイドレジずれとサイドスキューずれとを併せて補正する。一方、発生した画像欠損Dnに対応する画像領域A2については、画像欠損が消滅するように、ビットマップデータの各画素のアドレスを補正する。この補正においては、領域A3のように画像の主走査方向に沿った圧縮処理も含まれる。なお、画像欠損Dnに対応する画像領域A2については、画像欠損が消滅するような補正に限らず、その画像欠損量が小さくなるような補正であればよい。
【0048】
以上がそれぞれの補正方法の詳細である。
ところで、画像形成装置10においては、上記のように画像欠損を解消または小さくしたいという場合のほか、記録シートの主走査方向の中心と画像の主走査方向の中心とを一致させたいという場合がある。前者を「画質優先モード」と呼び、後者を「アライメント優先モード」と呼ぶ。画質優先モードは、例えば欠損の可能性のある領域に有色画素からなる画像が配置されているような場合に用いられ、アライメント優先モードは、欠損の可能性のある領域に有色画素からなる画像が配置されていないような場合に用いられる。この判断は、ユーザが操作部111を操作していずれかを選択することでよってなされてもよいし、補正部104がこの判断を行ってもよい。補正部104が欠損の可能性のある領域に有色画素からなる画像が存在するか否かを判断する場合、画像形成装置10やホスト装置200においてリッピング処理後に画素単位でその画素値を調べることで、有色画素からなる画像が存在するか否かを判断すればよい。
【0049】
(動作)
次に、図21に示すフローチャートを参照しながら動作説明を行う。
まず、画像データ入力部101にホスト装置200から画像データが入力されると(ステップS1;Yes)、画像データ入力部101はこれをビットマップ形式のビットマップデータ(ビットマップデータ)に変換して階調補正部102に供給する。階調補正部102は、このビットマップデータに対して階調補正などを行って、スクリーン処理部103に供給する(ステップS2)。スクリーン処理部103は、階調補正がなされたビットマップデータに対してスクリーン処理を行って補正部104に供給する(ステップS3)。補正部104は、ビットマップデータを記憶部107に展開し、ずれ量検出部によって検出されたずれ量に応じて補正量を算出する(ステップS4)。
【0050】
次に、補正部104は、画質優先モードと、アライメント優先モードとの何れかを選択する(ステップS5)。この選択は、上述したように、ユーザによる指定に従って選択するものであってもよいし、補正部104が画素単位でその画素値を調べることで、有色画素からなる画像が存在するか否かに基づいて選択するものであってもよい。ここで、アライメント優先モードが選択された場合(ステップS5;アライメント優先モード)、補正部104は、ステップS4にて取得した補正量に基づいてビットマップデータを補正する(ステップS6)。この補正は、画像欠損を考慮しない補正である。
【0051】
一方、画質優先モードが選択された場合(ステップS5;画質優先モード)、補正部104は欠損量算出部106に指示して、欠損量テーブルTaから画像の欠損量を算出させる(ステップS7)。画像欠損が発生しない場合には、欠損量算出部106が算出した欠損量は「0」である。そして、補正部104は、求められた欠損量が閾値を超えるか否かを判断する(ステップS8)。ここで、閾値を例えば「0」とすると、画像の欠損が少しでも発生した場合には、ステップS8の判断結果は「YES」となる。また、閾値を例えば「1(mm)」とすると、画像の欠損量が1(mm)を超えて発生した場合にステップS8の判断結果は「YES」となる。一方、欠損量が閾値を超えていない場合には(ステップS8;NO)、補正部104は、ステップS4にて取得した補正量に基づいてビットマップデータを補正する(ステップS6)。つまり、画像欠損を考慮しない補正が行われる。
【0052】
欠損量が閾値を超えている場合には(ステップS8;YES)、補正部104は、上述した第1の補正方法〜第5の補正方法のいずれかを選択する(ステップS9)。このときの選択基準は、例えばずれの種類に応じて選択するというものが考えられる。例えば、サイドレジずれの場合には第1の補正方法を選択し、サイドレジずれとサイドスキューずれとを併せて補正する場合には、第2の補正方法、第3の補正方法、第4の補正方法または第5の補正方法の何れかを選択するといった具合である。また、補正量から欠損量を差し引いた値を実際の補正量としても画像欠損を解消できない場合には、第2の補正方法、第4の補正方法または第5の補正方法の何れかを選択するし、補正量から欠損量を差し引いた値を実際の補正量とすれば画像欠損を解消できる場合には、第1の補正方法または第3の補正方法の何れかを選択する、というものでもよい。また、記録シートにおいて画像欠損が発生する可能性のある領域に、副走査方向に延びる線分画像が形成されている場合には、第3の補正方法を選択するというものでもよい。
【0053】
そして、補正部104は、選択した補正方法によってビットマップデータを補正し(ステップS10)、画像形成部109に出力する(ステップS11)。画像形成部109は、このデータに基づき、上述したプロセスを経て画像を記録シートに形成する。
【0054】
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。
画像形成装置10は、実施例で記載したタンデム構成のものに限らず、シングルエンジン4サイクルのカラー画像形成装置でもよいし、ドラムやベルト形状の感光体に各色の露光・現像工程を繰り返すことでその感光体上で4つの色を重ね合わせるような方式の画像形成装置であってもよい。さらにカラー画像形成装置に限らず、白黒の画像形成装置でアライメント補正機能を有する場合にも有効である。また、画像形成部109は、画像形成位置が補正された画像データに基づいて画像を形成するものであれば、その方式は電子写真法域に限らず、例えばインクジェット方式など、なんでもよい。
【0055】
画像形成位置のずれ量を検知する方法としては、画像形成部109がテストパターンを画像処理装置100の外部に出力し、外部装置での測定で把握したずれ量を画像処理装置100に入力する方法も考えられる。この場合は、画像処理装置100内にずれ量検出部105を設けなくてもよい。要するに、画像形成装置10乃至画像処理装置100には、装置の外部または内部からそのずれ量を取得する取得手段さえあればよい。
【0056】
実施形態では、説明を簡素化するために、サイドレジずれやサイドスキューずれを補正する場合について説明したが、これ以外に、画素数を増加させて主走査方向の幅を補正する倍率補正を加えた場合においても、実施形態と同様の補正が可能である。例えば倍率補正のための画素数増加とサイドレジずれ及びサイドスキュー補正が組み合わさった場合、露光幅を超えて発生する欠損量はより大きくなるから、上述した補正がさらに有効となる。
【0057】
実施形態では、所定の画像形成幅として「露光幅」を例示したが、これに限らず、画像形成の可否を決定するような幅ならばすべて適応できる。例えば、画像形成部109が露光を行うことが可能な主走査方向の幅、画像形成部109が現像を行うことが可能な主走査方向の幅、又は、画像形成部109が転写を行うことが可能な主走査方向の幅のうちのいずれかであってもよい。また、一般に画像処理装置は、主走査方向及び副走査方向に展開される画像データを記憶するページメモリなどの記憶手段を備えているが、この記憶手段における主走査方向の最大幅を画像形成幅としてもよい。ただし、この場合において、画像形成幅を超える領域で発生する画像欠損を解消するための補正方法としては、上述した第3の補正方法のほか、欠損量に応じて画像を画像形成幅の方向に圧縮するようにビットマップデータを補正する方法のいずれかとなる。
【0058】
補正は、ビットマップデータ等の画像データに含まれる各画素のアドレスを変更するものに限らず、記録シートに対する画像形成位置を欠損量に応じて補正するものであればどのようなものでもよく、ハードウェアで実現するかソフトウェアで実現するかも問わない。
【0059】
なお、図1に示した画像処理装置100は、画像形成装置に内蔵されるコンピュータによって実現されるものであってもよいし、画像形成装置のホスト装置(例えばパーソナルコンピュータ)によって実現されるものであってもよい。また、図21に示した処理手順をプログラムに記述し、このプログラムをコンピュータによって読み取り可能な磁気記録媒体、光記録媒体あるいはROMなどの記録媒体に記録して画像処理装置100に提供することもできる。また、インターネットのようなネットワーク経由で画像処理装置100にダウンロードさせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】画像形成部の構成を示す図である。
【図3】記録シートに対する画像のずれを説明する図である。
【図4】サイドレジずれ補正を説明する図である。
【図5】サイドレジずれ補正を説明する図である。
【図6】直角度ずれ補正を説明する図である。
【図7】直角度ずれ補正を説明する図である。
【図8】サイドスキューずれ補正を説明する図である。
【図9】サイドスキューずれ補正を説明する図である。
【図10】サイドレジずれ補正の際に画像の欠損が発生する原理を説明する図である。
【図11】サイドレジずれ及びサイドスキューずれ補正の際に画像の欠損が発生する原理を説明する図である。
【図12】サイドレジずれ及びサイドスキューずれ補正の際に画像の欠損が発生した様子を表す図である。
【図13】欠損量テーブルの一例を表す図である。
【図14】画像の主走査方向の長さを説明する図である。
【図15】第1の補正方法を説明する図である。
【図16】第1の補正方法を説明する図である。
【図17】第2の補正方法を説明する図である。
【図18】第3の補正方法を説明する図である。
【図19】第4の補正方法を説明する図である。
【図20】第5の補正方法を説明する図である。
【図21】本実施形態の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
100・・・画像処理装置、101・・・画像データ入力部、102・・・階調補正部、103・・・スクリーン処理部、104・・・補正部、105・・・ずれ量検出部、106・・・欠損量算出部、107・・・記憶部、108・・・システム制御部、109・・・画像形成部,110・・・表示部、111・・・操作部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に対して画像を形成する画像形成手段であって、所定の画像形成幅の範囲内で画像を形成可能な画像形成手段と、
前記記録材に形成された画像の画像形成位置のずれ量を取得する取得手段と、
取得した前記ずれ量に応じて、前記画像形成手段により形成される画像の画像情報を補正する補正手段と、
前記補正手段が前記ずれ量に応じて前記画像情報を補正した場合に前記所定の画像形成幅を超える領域で発生する画像欠損の欠損量を算出する算出手段とを備え、
前記補正手段は、前記算出手段によって算出された欠損量に応じて、前記画像形成手段により形成される画像の画像情報を補正する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成手段は、像保持体を露光して形成した潜像を現像し、現像した像を、副走査方向に搬送される記録材に転写する画像形成手段であり、
前記所定の画像形成幅は、前記画像形成手段が前記露光を行うことが可能な主走査方向の幅、前記画像形成手段が前記現像を行うことが可能な主走査方向の幅、又は、前記画像形成手段が前記転写を行うことが可能な主走査方向の幅のうちのいずれかである
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
主走査方向及び副走査方向に展開される画像情報を記憶する記憶手段を備え、
前記所定の画像形成幅は、前記記憶手段における主走査方向の最大幅であり、
前記補正手段は、
前記算出手段によって算出された欠損量に対応する領域の画像を形成しないようにすることで前記画像情報を補正するか、または、前記欠損量に応じて前記画像を前記画像形成幅の方向に圧縮することで前記画像情報を補正する
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録材に画像を形成し得る画像形成幅を記憶する記憶手段と、
前記記録材に対する画像形成位置のずれ量に応じて、前記記録材に形成される画像の画像情報を補正する補正手段と、
前記補正手段が前記ずれ量に応じて前記画像情報を補正した場合に前記所定の画像形成幅を超える領域で発生する画像欠損の欠損量を算出する算出手段とを備え、
前記補正手段は、前記算出手段によって算出された欠損量に応じて、前記記録材に形成される画像の画像情報を補正する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
前記補正手段は、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させることで、前記画像情報を補正する
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記補正手段は、
前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、
前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記差分よりも大きく且つ前記ずれ量以下の距離だけ移動させることで、前記画像情報を補正する
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記補正手段は、前記算出手段によって算出された欠損量に対応する領域の画像が形成されないように前記画像情報を補正する
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記補正手段は、
前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、
前記差分に相当する距離だけ移動させても発生した画像欠損の欠損量に応じて、前記画像を前記画像形成幅の方向に圧縮することで、前記画像情報を補正する
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記補正手段は、
前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、
前記画像の全領域のうち、当該発生した画像欠損に対応する領域を、当該画像欠損の欠損量に応じて移動させることで、前記画像情報を補正する
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記補正手段による補正を行うか否かを選択する選択手段を備え、
前記補正手段は、前記選択手段によって補正を行うと選択された場合に前記補正を行う
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記選択手段は、前記画像欠損が発生する領域に有色画素からなる画像が存在する場合には補正を行うことを選択する
ことを特徴とする請求項10記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記選択手段は、前記算出手段によって算出された欠損量が閾値を超えた場合には補正を行うことを選択する
ことを特徴とする請求項10記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記選択手段は、操作者の指示に応じて前記補正手段による補正を行うか否かを選択する
ことを特徴とする請求項10記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記補正手段は、
前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させることで、前記画像情報を補正する第1の補正方法と、
前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記差分よりも大きく且つ前記ずれ量以下の距離だけ移動させることで、前記画像情報を補正する第2の補正方法と、
前記算出手段によって算出された欠損量に対応する領域の画像が形成されないように前記画像情報を補正する第3の補正方法と、
前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、前記画像を、前記画像形成幅の方向に、前記差分に相当する距離だけ移動させても発生した画像欠損の欠損量に応じて圧縮することで、前記画像情報を補正する第4の補正方法と、
前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、前記画像の全領域のうち、当該発生した画像欠損に対応する領域を、当該画像欠損の欠損量に応じて移動させることで、前記画像情報を補正する第5の方法と
のうち、少なくともいずれか2つの補正方法を実行することができ、
さらに、この少なくとも2つの補正方法のうちのいずれかを選択して補正手段に実行させる補正方法選択手段を備える
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項15】
コンピュータを、
記録材に画像を形成し得る画像形成幅を記憶する記憶手段と、
前記記録材に対する画像形成位置のずれ量に応じて、前記記録材に形成される画像の画像情報を補正する補正手段と、
前記補正手段が前記ずれ量に応じて前記画像情報を補正した場合に前記所定の画像形成幅を超える領域で発生する画像欠損の欠損量を算出する算出手段として機能させ、
さらに、前記補正手段を、前記算出手段によって算出された欠損量に応じて、前記記録材に形成される画像の画像情報を補正する手段として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
記録材に対して画像を形成する画像形成手段であって、所定の画像形成幅の範囲内で画像を形成可能な画像形成手段と、
前記記録材に形成された画像の画像形成位置のずれ量を取得する取得手段と、
取得した前記ずれ量に応じて、前記画像形成手段により形成される画像の画像情報を補正する補正手段と、
前記補正手段が前記ずれ量に応じて前記画像情報を補正した場合に前記所定の画像形成幅を超える領域で発生する画像欠損の欠損量を算出する算出手段とを備え、
前記補正手段は、前記算出手段によって算出された欠損量に応じて、前記画像形成手段により形成される画像の画像情報を補正する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成手段は、像保持体を露光して形成した潜像を現像し、現像した像を、副走査方向に搬送される記録材に転写する画像形成手段であり、
前記所定の画像形成幅は、前記画像形成手段が前記露光を行うことが可能な主走査方向の幅、前記画像形成手段が前記現像を行うことが可能な主走査方向の幅、又は、前記画像形成手段が前記転写を行うことが可能な主走査方向の幅のうちのいずれかである
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
主走査方向及び副走査方向に展開される画像情報を記憶する記憶手段を備え、
前記所定の画像形成幅は、前記記憶手段における主走査方向の最大幅であり、
前記補正手段は、
前記算出手段によって算出された欠損量に対応する領域の画像を形成しないようにすることで前記画像情報を補正するか、または、前記欠損量に応じて前記画像を前記画像形成幅の方向に圧縮することで前記画像情報を補正する
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録材に画像を形成し得る画像形成幅を記憶する記憶手段と、
前記記録材に対する画像形成位置のずれ量に応じて、前記記録材に形成される画像の画像情報を補正する補正手段と、
前記補正手段が前記ずれ量に応じて前記画像情報を補正した場合に前記所定の画像形成幅を超える領域で発生する画像欠損の欠損量を算出する算出手段とを備え、
前記補正手段は、前記算出手段によって算出された欠損量に応じて、前記記録材に形成される画像の画像情報を補正する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
前記補正手段は、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させることで、前記画像情報を補正する
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記補正手段は、
前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、
前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記差分よりも大きく且つ前記ずれ量以下の距離だけ移動させることで、前記画像情報を補正する
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記補正手段は、前記算出手段によって算出された欠損量に対応する領域の画像が形成されないように前記画像情報を補正する
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記補正手段は、
前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、
前記差分に相当する距離だけ移動させても発生した画像欠損の欠損量に応じて、前記画像を前記画像形成幅の方向に圧縮することで、前記画像情報を補正する
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記補正手段は、
前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、
前記画像の全領域のうち、当該発生した画像欠損に対応する領域を、当該画像欠損の欠損量に応じて移動させることで、前記画像情報を補正する
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記補正手段による補正を行うか否かを選択する選択手段を備え、
前記補正手段は、前記選択手段によって補正を行うと選択された場合に前記補正を行う
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記選択手段は、前記画像欠損が発生する領域に有色画素からなる画像が存在する場合には補正を行うことを選択する
ことを特徴とする請求項10記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記選択手段は、前記算出手段によって算出された欠損量が閾値を超えた場合には補正を行うことを選択する
ことを特徴とする請求項10記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記選択手段は、操作者の指示に応じて前記補正手段による補正を行うか否かを選択する
ことを特徴とする請求項10記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記補正手段は、
前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させることで、前記画像情報を補正する第1の補正方法と、
前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記差分よりも大きく且つ前記ずれ量以下の距離だけ移動させることで、前記画像情報を補正する第2の補正方法と、
前記算出手段によって算出された欠損量に対応する領域の画像が形成されないように前記画像情報を補正する第3の補正方法と、
前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、前記画像を、前記画像形成幅の方向に、前記差分に相当する距離だけ移動させても発生した画像欠損の欠損量に応じて圧縮することで、前記画像情報を補正する第4の補正方法と、
前記記録材に対する画像形成位置を、前記画像形成幅の方向に沿って、前記記録材に対する画像形成位置のずれ量と前記算出手段によって算出された欠損量との差分に相当する距離だけ移動させたとしても画像欠損が発生する場合には、前記画像の全領域のうち、当該発生した画像欠損に対応する領域を、当該画像欠損の欠損量に応じて移動させることで、前記画像情報を補正する第5の方法と
のうち、少なくともいずれか2つの補正方法を実行することができ、
さらに、この少なくとも2つの補正方法のうちのいずれかを選択して補正手段に実行させる補正方法選択手段を備える
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項15】
コンピュータを、
記録材に画像を形成し得る画像形成幅を記憶する記憶手段と、
前記記録材に対する画像形成位置のずれ量に応じて、前記記録材に形成される画像の画像情報を補正する補正手段と、
前記補正手段が前記ずれ量に応じて前記画像情報を補正した場合に前記所定の画像形成幅を超える領域で発生する画像欠損の欠損量を算出する算出手段として機能させ、
さらに、前記補正手段を、前記算出手段によって算出された欠損量に応じて、前記記録材に形成される画像の画像情報を補正する手段として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−164945(P2008−164945A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354511(P2006−354511)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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