説明

画像形成装置、画像形成システム、及び印刷物積載装置

【課題】 印刷物を積載する技術に関し、特に印刷物を積載した際の張り付きを防止する技術を提供する。
【解決手段】 印刷物積載装置内に積載された印刷物の積載量が、印刷物間の張り付きを防止する積載制限量に達すると、印刷物作成を中止する。印刷物積載装置を複数連結可能とした場合は、排紙先の印刷物積載装置内に積載された印刷物の積載量が、印刷物間の張り付きを防止する積載制限量に達すると、次の印刷物積載装置に排紙先を切り替える。
切り替えは、画像形成装置から所定数後段に連結された印刷物積載装置までの各積載制限量が、それ以降後段の印刷物積載装置の各積載制限量よりも小さくなるように行う。
また、複数直列に連結可能にされた印刷物積載装置である場合、装置内へ印刷物が1枚搬送されるごとに、印刷物の積載と他の印刷物積載装置への搬送とを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物を積載する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
大量印刷が行われる環境下では、画像形成装置の後段にスタッカと呼ばれる印刷物積載装置を連結して、画像形成装置が排出した印刷物を積載する。このスタッカは、内部に印刷物を収容する収容空間を有し、この収容空間にトレーを設置し、トレー上に印刷物を積載していく。印刷物の積載が限界に達した場合には、後段以降のスタッカ若しくは前段以前のスタッカに搬送路を繋ぎ、印刷物を送っている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
画像形成装置では、印刷用紙にトナー像を転写して加圧及び加熱等によるトナー定着を行うことで印刷物が作成される。印刷物は、作成直後においてはトナー定着による余熱が冷めきっていない。従って、十分に冷めきっていない印刷物をスタッカに積層すると、積層された印刷物の重みで印刷物同士が強く密着されることにより、トナー同士が張り付きを起こしてしまう。この場合、印刷物の張り付きを矧がす等の処理を行わねばならず、作業効率の低下とともに、印刷物の美観を損ねるおそれがある。
【0004】
【特許文献1】特開2001−212030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、印刷物を積載する技術に関し、特に印刷物を積載した際の張り付きを防止する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様では、印刷物を積載する印刷物積載装置を連結可能とし、作成した印刷物を当該印刷物積載装置へ排紙可能する画像形成装置であって、前記印刷物積載装置内に積載された印刷物の積載量が、予め定められた印刷物間の張り付きを防止可能であることを表す積載制限量に達すると、印刷物作成を中止させる排紙制御手段を備えること、を特徴とする。
【0007】
本発明の第2の態様では、印刷物を積載する印刷物積載装置を複数段連結可能とし、作成した印刷物をいずれかの印刷物積載装置へ排紙可能とする画像形成装置であって、排紙先の印刷物積載装置内に積載された印刷物の積載量が、予め定められた印刷物間の張り付きを防止可能であることを表す積載制限量に達すると、次の印刷物積載装置に排紙先を切り替える制御を行う排紙制御手段を備えること、を特徴とする。
【0008】
本発明の第3の態様では、後段装置へ印刷物を搬送する搬送路と機内の収容空間に印刷物を搬送する搬送路とを機内で分岐させて有する印刷物積載装置を直列に複数段連結可能とし、作成した印刷物をこれら印刷物積載装置へ排紙可能とする画像形成装置であって、前段の印刷物積載装置の最大積載量が後段の印刷物積載装置の最大積載量よりも小さくなるように排紙先を切り替える制御を行う排紙制御手段を備えること、を特徴とする。
【0009】
前記排紙制御手段は、各印刷物積載装置の積載量をカウントするカウント手段と、各印刷物積載装置の積載制限量を格納する格納手段と、排紙先の印刷物積載装置の積載量と該排紙先の印刷物積載装置の積載制限量を比較する比較手段と、排紙先の印刷物積載装置に対する積載量が該排紙先の印刷物積載装置の積載制限量に到達すると、前記搬送路の分岐を制御して次の印刷物積載装置を排紙先に変更させる分岐制御手段と、を備え、前記格納手段に格納される積載制限量は、前段の印刷物積載装置の積載制限量の値が、後段の印刷物積載装置の積載制限量の値よりも小さな値であるようにしてもよい。
【0010】
前記積載制限量を設定する設定手段をさらに備えるようにしてもよい。
【0011】
印刷物積載装置の積載制限量到達情報を表示させる表示制御手段をさらに備えるようにしてもよい。
【0012】
前記前段の印刷物積載装置は、最前段に連結されたものであるようにしてもよい。
【0013】
本発明の第4の態様では、印刷用紙に画像を形成して印刷物を作成する画像形成手段と、前記印刷物の排紙先となって前記印刷物を積載する印刷物積載手段と、前記印刷物積載手段に積載された印刷物の積載量が、予め定められた印刷物間の張り付きを防止可能であることを表す積載制限量に達すると、印刷物作成を中止させる排紙制御手段と、を備えること、を特徴とする。
【0014】
本発明の第5の態様では、印刷用紙に画像を形成して印刷物を作成する画像形成手段と、前記印刷物の排紙先となって前記印刷物を積載する複数の印刷物積載手段と、排紙先の印刷物積載手段に積載された印刷物の積載量が、予め定められた印刷物間の張り付きを防止可能であることを表す積載制限量に達すると、次の印刷物積載手段に排紙先を切り替える制御を行う排紙制御手段と、を備えること、を特徴とする。
【0015】
本発明の第6の態様では、印刷用紙に画像を形成して印刷物を作成する画像形成手段と、前記画像形成手段と直列連結され、前記印刷物の排紙先となって前記印刷物を積載する複数段連結された印刷物積載手段と、各印刷物積載手段に対応して設置される第1の搬送路と、後段の印刷物積載手段へ印刷物を搬送する第2の段搬送路と、前段の印刷物積載手段の最大積載量が後段の印刷物積載手段の最大積載量よりも小さくなるように排紙先を切り替える制御を行う排紙制御手段と、を備えること、を特徴とする。
【0016】
前記排紙制御手段は、各印刷物積載手段の積載量をカウントするカウント手段と、各印刷物積載手段の積載制限量を格納する格納手段と、排紙先の印刷物積載手段の積載量と該排紙先の印刷物積載手段の積載制限量を比較する比較手段と、排紙先の印刷物積載手段に対する積載量が該排紙先の印刷物積載手段の積載制限量に到達すると、前記搬送路の分岐を制御して次の印刷物積載手段を排紙先に変更させる分岐制御手段と、を備え、前記格納手段に格納される積載制限量は、前段の印刷物積載手段の積載制限量の値が、後段の印刷物積載手段の積載制限量の値よりも小さな値であるようにしてもよい。
【0017】
前記積載制限量を設定する設定手段をさらに備えるようにしてもよい。
【0018】
印刷物積載手段の積載制限量到達情報を表示する表示手段をさらに備えるようにしてもよい。
【0019】
前記前段の印刷物積載手段は、最前段に連結されたものであるようにしてもよい。
【0020】
本発明の第7の態様では、画像形成装置が作成した印刷物を積載する複数段直列に連結可能にされた印刷物積載装置であって、装置内へ印刷物が1枚搬送されるごとに、印刷物の積載と他の印刷物積載装置への搬送とを切り替える切替手段と、を特徴とする。
【0021】
前記切替手段は、装置内へ印刷物を搬送する第1の搬送路と、後続の印刷物積載装置へ印刷物を搬送する第2の搬送路と、前記第1の搬送路内に設置される第1の印刷物検知センサと、前記第2の搬送路に設置される第2の印刷物検知センサと、前記第1の印刷物検知センサが印刷物を検知すると印刷物の搬送先を前記第2の搬送路に切り替え、前記第2の印刷物検知センサが印刷物を検知すると印刷物の搬送先を前記第1の搬送路に切り替える分岐手段と、を備えるようにしてもよい。
【0022】
前記切替手段は、装置内へ印刷物を搬送する第2の搬送路と、後続の印刷物積載装置へ印刷物を搬送する第2の搬送路と、前記第1の搬送路内に設置される印刷物検知センサと、機内の印刷物検知センサが印刷物を検知すると印刷物の搬送先を前記第2の搬送路に切り替え、後続の印刷物積載装置が備える印刷物検知センサが印刷物を検知すると印刷物の搬送先を前記第1の搬送路に切り替える分岐手段と、を備えるようにしてもよい。
【0023】
装置内の積載制限量到達情報を表示する表示手段をさらに備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の第1、2、4、5の態様では、印刷物積載装置内に積載された印刷物間の張付防止制限量を排紙量に達すると印刷物作成を中止する、又は後続の印刷物積載装置に切り替えるようにすることで、印刷物上のトナーが他の印刷物のトナーとの張り付きを起こすことを防止できる。
【0025】
本発明の第3、6の態様では、複数連結される印刷物積載装置の制限量を後段になるにつれ順次大きくすることで、印刷用紙の張り付きを防止できると共に、積載可能な印刷物数を増加させることができる。
【0026】
本発明の7の態様では、印刷物積載装置に、印刷物積載装置内へ印刷物が1枚搬送されるごとに、印刷物の積載と他の印刷物積載装置への搬送とを切り替える切替手段と備えることで、印刷物を複数の印刷物積載装置に交互に排紙できるようになり、機内に次の印刷物が積層されても張り付きを起こすことがなく、また各印刷物積載装置の容積上の積載制限量まで印刷物を積載することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明に係る画像形成システムの第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成システムの外観図であり、図2は、プリンタの内部構造を示す図であり、図3は、スタッカの内部構造を示す図である。
【0028】
図1に示すように、画像形成システムは、画像形成装置1とホッパ2とスタッカ3を連結して備えている。ホッパ2は、画像形成装置1の給紙側に連結され、スタッカ3は、画像形成装置1の排紙側に連結されている。
【0029】
各装置1,2,3の排紙口及び給紙口は、設置面から同一の高さに設置されている。画像形成装置1、ホッパ2、及びスタッカ3を一連に直列連結することで、各装置1,2,3内の印刷用紙又は印刷物を搬送する搬送路が連通され、印刷用紙又は印刷物の搬送が可能となっている。
【0030】
画像形成装置1は、複写機、レーザプリンタ、MFP(Multi−Function Peripheral)、又は印刷機等の印刷用紙に画像を出力して印刷物を作成する装置であり、例えば電子写真方式が採用される。この画像形成装置1は内部に収容されている印刷用紙を給紙し、又はホッパ2から内部へ印刷用紙を給紙し、画像を出力する。
【0031】
画像形成装置1の内部構造を図2に示す。この画像形成装置1は、装置本体100と、原稿を順次装置本体100へ送る自動原稿送り装置200とを備える。自動原稿送り装置200は、装置本体100の上部に連結されている。
【0032】
装置本体100は、操作パネル110、給紙部120、搬送路130、画像読取部140、出力部150、及び制御ユニット160を備え、ネットワークを介して受信した画像データ、若しくは光学的に読み取られた画像データ、又は装置本体100内で作成された画像データを印刷用紙に出力する。
【0033】
操作パネル110は、液晶ディスプレイで構成される表示手段、及び文字キー、数字キー、各種機能に対応づけられたキー等の操作キーで構成される入力手段で構成される。この操作パネル110は、各種表示情報を表示すると共に、キー入力に対応する指示信号を制御ユニット160に出力する。
【0034】
尚、操作パネル110は、液晶タッチパネルであってもよく、操作キーがソフトキーボードとして表示され、電磁誘導式、磁気歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出して、検出した座標を指示信号として制御ユニット160へ出力するようにしてもよい。
【0035】
装置本体100において、印刷用紙は、トレー形状や箱形状の収容体で構成された給紙部120に収容される。印刷用紙は、ホッパ3又は給紙部120から搬送路130に搬送されて、出力部150内で画像が出力され、印刷物として排出口からへ排紙される。
【0036】
出力部150は、半導体レーザ151、感光体ドラム152、定着ローラ153等で構成される。画像データに従って制御された半導体レーザ151は、出力強度を可変しながら感光体ドラム152にレーザ光を走査する。感光体ドラム152は、スコロトロン方式等の帯電方式により均一に帯電しており、レーザ光により露光されて表面に静電潜像が形成される。
【0037】
静電潜像が形成された感光体ドラム152には、トナーによる現像によってトナー像が形成され、搬送されてきた印刷用紙にトナー像を転写する。定着ローラ153は、トナー像が転写された印刷用紙を加熱及び加圧し、印刷用紙上の画像を定着し、印刷物として作成が完了する。
【0038】
画像読取部140は、原稿を光学的読み取って画像データを取得する。この画像読取部140は、光源やレンズを含む光学系141とCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ142等により構成され、原稿等の物表面から画像を読み取り、画像データを得る。
【0039】
制御ユニット160は、操作パネル110、給紙部120、搬送路130、画像読取部140、及び出力部150、また外部装置であるホッパ2に対して、各種駆動信号を出力して駆動を制御する。
【0040】
ホッパ2は、印刷用紙を収容する箱体である。画像形成装置1とは、接続線により電気的に接続されており、画像形成装置1が備える制御ユニット160から出力される駆動信号に応答して印刷用紙を機内の搬送路に給紙する。機内の搬送路を通る印刷用紙は、ホッパ2の排紙口に到達すると、対向する画像形成装置1の給紙口から画像形成装置1の搬送路に搬送される。
【0041】
図3に示すスタッカ3は、印刷物を積載する印刷物積載装置である。画像形成装置1から排出された印刷物を機内に積載する。内部に印刷物の収容空間Kを有する。収容空間Kには、印刷物を積載するトレー11が設置されている。外部には、印刷物を載置するサブトレー12が設置されている。
【0042】
トレー11には、ローラ11aが回転可能に取り付けられている。トレー11は、収容空間Kを縦断するレール11bをこのローラ11aにより挟持することでその位置をレール11bに沿って上昇又は下降可能に維持する。
【0043】
トレー11は、積載された印刷物の最上段面が積載可能な上限の位置を保つように、積載量に応じて徐々に下降する。また、印刷物の積載量が限界に達すると、さらに印刷物取出位置Tまで下降する。印刷物取出位置Tは、限界まで積載された印刷物の最上段がスタッカ3の扉上枠よりも低い位置にくる位置である。
【0044】
印刷物のトレー11への配送は、内部に配設された至トレー搬送路13によって行われ、サブトレー12への配送は、内部に配設された至サブトレー搬送路14によって行われる。
【0045】
至トレー搬送路13、及び至サブトレー搬送路14には、それぞれ複数のローラ対13a、14aが搬送路に沿って所定距離離間して設置され、搬送路の下流方向へ対向回転している。ローラ対13a、14aは、下流方向へ対向回転することによって印刷物を挟み込み下流へ搬送する。
【0046】
至トレー搬送路13と至サブトレー搬送路14は、スタッカ3の給紙口16から分岐して延びている。分岐路には、分岐爪機構17が設置されている。分岐爪機構17は、搬送路を切り替える機構である。分岐爪機構17は、それぞれ分岐爪17aと、この分岐爪17aを回動させる駆動モータで構成されている。分岐爪17aは、分岐先の何れかの搬送路へ印刷物をガイドする。駆動モータが所定量正回転又は逆回転することにより、分岐爪17aが分岐路と何れかの搬送路とを連通させる位置まで回動する。尚、駆動モータの回転量は、分岐爪17aを停止させる位置にスイッチレバーを設置して、分岐爪17aが当該スイッチレバーを倒すことによって、当該駆動モータへの給電を遮断するように制御してもよい。
【0047】
スタッカ3の収容空間Kには、印刷物の積載状態を検知する各種センサが設置されている。収容空間Kの積載上限位置近傍には、物体による遮蔽を検知する上面検知センサ19が設置されている。上面検知センサ19は、印刷物が積載上限位置近傍にまで積み上がると、積み上がった印刷物による遮蔽を検知して検知信号を出力する。この検知により、トレー11は所定量下降し、トレー11に積み上がった印刷物の最上段面の位置を一定に保つ。
【0048】
収容空間Kの下方には、物体による遮蔽を検知する積載有無判別センサ20が設置されている。トレー11の縁には格子11cが貫設されており、積載有無判別センサ20は、格子11cを監視し、トレー11に印刷物が載置されているか否かを判別する。格子11cが印刷物により塞がれていなければ検知信号を出力する。格子11cが印刷物により塞がれている場合は検知信号を出力しない。この積載有無判別センサ20により、トレー11に積載されている印刷物が取り出されたか否かが判断される。
【0049】
スタッカ3の外装面には、装置操作者に対して情報を提示する表示部21が嵌め込まれている。表示部21は、例えば液晶ディスプレイであり、主にスタッカ3の状態を表示する。また点灯色によって情報を提示するランプであってもよい。
【0050】
また、スタッカ3の一側面には、収容空間Kと連通する図示しない印刷物取出口が形成されている。この印刷物取出口は、扉によって塞がれており、ロックされている。トレー11が印刷物取出位置Tに下降すると、このロックは解除され、扉の開閉が可能になる。
【0051】
このようなスタッカ3に対する画像形成装置1の排紙制御を図4に基づき説明する。図4は、画像形成装置1が備える制御ユニット160を示すブロック図である。
【0052】
制御ユニット160は、いわゆるCPU、記憶回路や不揮発性半導体メモリ等の記憶媒体、及び各種制御回路が配され、バス等によりそれぞれ電気的に接続されている。記憶媒体には、画像形成システムを制御するプログラムが記憶されており、このプログラムをCPUが実行することで、各種機能が実現する。
【0053】
このような制御ユニット160は、プログラムの実行により、画像形成制御部161を備える。画像形成制御部161は、いわゆるCPUを含み構成され、制御ユニット160の各部、又はホッパ2に、画像を形成するための駆動信号を印刷一枚毎に出力している。記憶媒体又は制御回路としては、画像書込制御部162、プリンタ制御部163、画像メモリ164が配され、それぞれ駆動信号に応答して駆動する。画像形成制御部161から出力される駆動信号は、ホッパ2にも入力され、ホッパ2の印刷用紙給紙タイミングとなる。
【0054】
さらに、制御ユニット160は、プログラムの実行により、いわゆるCPU及び記憶媒体を含み構成された排紙制御部165Aを備え、画像形成制御部161への割り込み処理及び画像形成制御部161からの駆動信号に応答して作動する。
【0055】
画像メモリ164は、記憶媒体を含み構成されており、印刷用紙に出力する画像データが格納される。画像形成制御部161から駆動信号が出力されると、格納されている画像データを画像書込制御部162に出力する。
【0056】
画像書込制御部162は、半導体レーザ151を制御する制御回路を含み構成される。画像形成制御部161から駆動信号が出力されると、画像メモリ164から出力された画像データに従って半導体レーザ151を出力強度を可変しながら駆動させる。プリンタ制御部163は、画像形成制御部161から駆動信号が出力されると、給紙部120、搬送路130、及び出力部150を駆動させる。
【0057】
排紙制御部165Aは、画像形成制御部161による印刷処理を中止させ、操作パネル110にスタッカ3の積載量が制限量に到達したことを示す情報を表示させる。スタッカ3が備える表示部21に積載量が制限量に到達したことを示す情報を表示させてもよい。この排紙制御部165Aは、制限量メモリ165aと積載量カウンタ165bと比較部165cとで構成される。
【0058】
積載量カウンタ165bは、記憶媒体に確保された格納エリアである。この積載量カウンタ165bは、スタッカ3に積載した印刷物の積載量をカウントする。
【0059】
積載量は、例えば積載枚数により表すと簡便にカウントできる。積載枚数と印刷する枚数とは通常一致するので、積載量カウンタ165bは、画像形成制御部161が印刷処理が一枚完了する毎に出力する駆動信号に応答してカウントアップを行う。尚、積載された印刷物が取り除かれたことをスタッカ3から通知されると、積載量カウンタ165bに格納している積載量の値は初期化される。
【0060】
制限量メモリ165aは、記憶媒体により構成され、スタッカ3に積載する印刷物の制限量を格納している。制限量は、印刷物の排紙枚数により表すことが簡便である。この制限量は、操作パネル110を用いて設定された値を制限量メモリ165aに格納することもできる。
【0061】
スタッカ3に排紙された印刷物には、収容空間K内で積層されることで積載された印刷物の量に比例する加重がかかる。定着ローラ153による熱が残存している状態で印刷物が積層されると、加重により密着して印刷物間でトナーを媒介にした張り付きが起こりやすくなる。制限量メモリ165aに格納されている制限量は、積載された印刷物の張り付きを防止する張付防止制限量である。
【0062】
この制限量は、定着ローラ153から収容空間Kまでの搬送距離、印刷物の紙質や坪量、トナー量から算出する。一般的な普通紙に平均的なトナー量を塗布して作成された印刷物を画像形成装置1の直後に連結したスタッカ3に積載する場合、2000枚を超えると張り付きが発生しやすくなることが実験及び経験に基づき確かめられた。従って、この条件の場合、制限量メモリ165aには、例えば2000枚を上限とした制限量の値を格納することが好ましい。
【0063】
比較部165cは、いわゆるCPUにより構成され、スタッカ3に積載した印刷物の積載量とスタッカ3に排紙できる印刷物の制限量を比較し、積載量が制限量に到達していれば、画像形成制御部161に対して印刷処理を中止させる。比較部165cは、画像形成制御部161が印刷処理を一枚完了する度に当該処理に割り込み、積載量と制限量の比較を行う。比較は、積載量カウンタ165bから積載量を読み出し、制限量メモリ165aから制限量を読み出して行う。
【0064】
中止処理は、例えば記憶媒体に排紙制御用の変数格納エリアを確保する。印刷処理を中止させる場合には、この格納エリアに印刷中止情報を格納する。印刷中止情報は、所定の値、例えば2進数の「1」等である。印刷処理を続行させる場合には、この格納エリアに印刷続行情報を格納する。印刷続行情報は、例えば所定の値、例えば2進数の「0」等である。画像形成制御部161は、印刷処理を一枚行う毎に次の印刷処理のために排紙制御用の変数格納エリアを読み出して変数を参照する。変数の内容が印刷続行情報であれば、次の一枚の印刷処理を続行し、印刷中止情報であれば次以降の印刷処理を中止する。
【0065】
画像形成装置1の排紙制御の動作について図5に基づき詳細に説明する。図5は、画像形成装置1の排紙制御の動作を示すフローチャート図である。まず、画像形成制御部161は、記憶媒体の排紙制御用の変数格納エリアから変数を読み出す(S01)。変数の内容が印刷続行情報であれば(S02,C)、ホッパ2、画像書込制御部162、プリンタ制御部163、画像メモリ164、及び積載量カウンタ165bに駆動信号を出力して給紙された印刷用紙に画像を出力してスタッカ3に排紙する(S03)。積載量カウンタ165bは、駆動信号が入力されて、格納されている積載量の値をカウントアップする(S04)。
【0066】
印刷処理が一枚終了すると、比較部165cは、印刷処理に割り込み、積載量カウンタ165bから積載量の値を読み出し、また制限量メモリ165aから制限量の値を読み出し、両者を比較する(S05)。比較の結果、積載量が制限量に到達している場合(S05,Yes)、排紙制御用の変数格納エリアに印刷中止情報を格納する(S06)。比較の結果、積載量が制限量に到達していない場合には(S05,No)、排紙制御用の変数格納エリアに印刷続行情報を格納する(S07)。
【0067】
画像形成制御部161は、比較部165cから処理権限が返され、印刷処理を再会する場合は(S08,Yes)、S01に戻り処理を続行する。
【0068】
一方、変数の内容が印刷中止情報であれば(S02,R)、その後の印刷処理を中止する(S09)。
【0069】
このように、本実施形態では、スタッカ3へ積載している印刷物の積載量が制限量に到達すると、印刷処理を中止する。この制限量は、設定された張付防止制限量の範囲内であり、トナーを媒介して印刷物同士が張り付きを起こすことを防止できる。
【0070】
〔第2の実施形態〕
次に本発明に係る画像形成システムの第2の実施形態について説明する。本実施形態の画像形成システムは、スタッカ3が複数連結されている場合の排紙制御に係る。尚、第1の実施形態と同一の構成、同一の機能については、同一符号を付し詳細な説明を省略する。
【0071】
図6は、本実施形態に係る画像形成システムの外観図である。図6に示すように、本実施形態の画像形成システムでは、スタッカ3を複数連結して備える。スタッカ3,3・・・は、画像形成装置1の排紙側に直列に連結しており、前段のスタッカ3の排紙側とその直後のスタッカ3の給紙側が対向している。
【0072】
図7は、本実施形態のスタッカ3の内部構造を示す図である。スタッカ3は、印刷物をトレー11に搬送する至トレー搬送路13とサブトレー12へ搬送する至サブトレー搬送路14に加えて、後続のスタッカ3へ印刷物を搬送する至後続搬送路15を備える。至後続搬送路15には、印刷物を搬送するローラ対15aが配置される。
【0073】
至後続搬送路15は、至トレー搬送路13と至サブトレー搬送路14と共に給紙口16から分岐して延びている。まず、至トレー搬送路13と至後サブトレー搬送路14とが分岐し、下流で至サブトレー搬送路14と至後続搬送路15とが分岐する。
【0074】
至トレー搬送路13と至サブトレー搬送路14との分岐には、分岐爪機構17が設置され、至サブトレー搬送路14と至後続搬送路15の分岐路には、分岐爪機構18が設置されている。分岐爪機構18は、分岐爪機構17と同一構成及び同一機能を有し、分岐路と何れかの搬送路とを繋ぐ位置まで回動ずる分岐爪18aと、この分岐爪18aを回動させる駆動モータで構成される。
【0075】
図8は、本実施形態の画像形成装置1が備える制御ユニット160を示すブロック図である。図8に示すように、制御ユニット160内には、各部を制御する画像形成制御部161が配されている。画像形成制御部161と電気的に接続され、当該画像形成制御部161から出力される駆動信号により駆動する画像書込制御部162、プリンタ制御部163、及び画像メモリ164が配されている。また、画像形成制御部161からの駆動信号による駆動と画像形成制御部161の処理に割り込んで処理を行う排紙制御部165Bが配されている。
【0076】
排紙制御部165Bは、制限量メモリ165aと積載量カウンタ165bと比較部165dとスタッカ制御部166で構成される。積載量カウンタ165bは、画像形成装置1の直後に連結されたスタッカ3の積載量をカウントし、制限量メモリ165aには、画像形成装置1の直後に連結されたスタッカ3の張付防止制限量が格納されている。比較部165dは、画像形成装置1の直後に連結されたスタッカ3に積載した印刷物の積載量と当該スタッカ3に排出する印刷物の制限量を比較し、積載量が制限量に到達していれば、スタッカ制御部166へ駆動信号を出力する。
【0077】
スタッカ制御部166は、印刷物を積載するスタッカ3を画像形成装置1の直後に連結されたスタッカ3からその後段に連結されたスタッカ3に切り替える。スタッカ制御部166は、比較部165dから出力された駆動信号を受けると、画像形成装置1の直後に連結されたスタッカ3の分岐爪機構17,18を駆動させる。
【0078】
分岐爪機構17については、駆動モータを駆動させて分岐爪17aを分岐路と至サブトレー搬送路14を繋ぐ位置に回動させる。分岐爪機構18については、駆動モータを駆動させて分岐爪18aを分岐路と至後続搬送路15を繋ぐ位置に回動させる。印刷物は、この排紙制御部165B及びスタッカ制御部166により、後続のスタッカ3に積載される。
【0079】
画像形成装置1の排紙制御の動作について図9に基づき詳細に説明する。図9は、画像形成装置1の排紙制御の動作を示すフローチャート図である。まず、ホッパ3、画像書込制御部162、プリンタ制御部163、画像メモリ164、及び積載量カウンタ165bに制御信号を出力して給紙された印刷用紙に画像を出力してスタッカ3,3・・・に排紙する(S11)。同時に、積載量カウンタ165bは、格納されている積載量の値をカウントアップする(S12)。
【0080】
積載量の値がカウントアップされると、積載量カウンタ165bから積載量の値を読み出し、また制限量メモリ165aから画像形成装置1の直後に連結されたスタッカ3の制限量の値を読み出し、両者を比較する(S13)。
【0081】
比較の結果、積載量が制限量に到達している場合(S13,Yes)、画像形成装置1の直後に連結されたスタッカ3が備える分岐爪機構17,18を駆動させて分岐爪17a,18aを回動させ、印刷物を積載させるスタッカ3を後続のスタッカ3に切り替える(S14)。
【0082】
比較の結果、積載量が制限量に到達していない場合には(S13,No)、比較部165cから画像形成制御部161に処理権限が渡され、印刷枚数が設定枚数に到達していない場合は(S15,Yes)、S01に戻り処理を続行する。印刷枚数が設定枚数に到達している場合は(S15,No)、印刷処理を完了する。
【0083】
このように、スタッカ3への排紙制御の動作においては、画像形成装置1の直後に連結されたスタッカ3への積載量が制限量に到達すると、印刷物の搬送先を後続のスタッカ3へ切り替える。この制限量は、制限量メモリ165aに設定され、張付防止制限量の範囲内であるので、定着されたトナーが他の印刷物のトナーと張り付きを起こすことを防止できる。
【0084】
〔第3の実施形態〕
次に本発明に係る画像形成システムの第3の実施形態について説明する。本実施形態の画像形成システムは、スタッカ3が複数連結されている場合の排紙制御に係る。尚、第1の実施形態又は第2の実施形態と同一の構成、同一の機能については、同一符号を付し詳細な説明を省略する。
【0085】
本実施形態の画像形成装置1が備える制御ユニット160は、制限量メモリ165aに各スタッカ3,3・・・に係る印刷物積載の制限量が格納されている。各スタッカ3,3,・・・の制限量の値については、画像形成装置1直後から所定数後段までに連結されたスタッカ3,3・・・と、それ以降後段に連結されたスタッカ3,3,・・・とでは、それ以降後段に連結されたスタッカ3,3・・・に係る制限量の値の方が大きく設定されている。
【0086】
画像形成装置1から排紙された印刷物は、その搬送距離が長いほど積載までの冷却時間が確保される。搬送距離が長ければ、印刷物が十分に冷えて張付防止制限量が大きくなる若しくは張り付きのおそれがなくなるため、張付防止制限量が大きくなる、若しくは張付防止制限量を設定する必要がなくなる。
【0087】
すなわち、画像形成装置1から順に所定台数毎に制限量が段階的に大きく設定される。所定数は、一台後段になるにつれ制限量を順次大きく設定するものであってもよいし、複数台毎に制限量を順次大きく設定するものであってもよい。もちろん、所定数後段以降のスタッカ3,3・・・の制限量を全て同じに設定してもよい。制限量は、画像形成装置1からの搬送距離より張り付きのおそれがない場合、張付防止制限量を超えてスタッカ3の容積上の積載制限量としてもよい。
【0088】
図10は、制限量メモリ165aに格納されている各制限量を示す図である。説明の都合上、画像形成システムには二台のスタッカ3,3が連結されているものとする。図10に示すように、制限量メモリ165aには、前段のスタッカ3に係る制限量Aと後段のスタッカ3に係る制限量Bが格納され、制限量Bは制限量Aよりも大きい値が設定される。後段のスタッカ3は、前段のスタッカ3よりも画像形成装置1から遠く、画像形成装置1から排紙された印刷物の搬送距離が長い。搬送距離が長ければ印刷物が十分に冷えて張付防止制限量が大きくなる若しくは張り付きのおそれがなくなるため、制限量Bは制限量Aよりも大きい値として設定されて格納される。
【0089】
この構成の画像形成システムでは、排紙制御部165Bは、スタッカ3の切り替えタイミングと同期して積載量カウンタ165bを初期化してから再度カウントアップを行い、切り替え先のスタッカ3に対応する制限量と比較を行い、積載量が制限量に到達していれば、スタッカ制御部166を制御して次のスタッカ3へ排紙先を切り替えるようにすればよい。次のスタッカ3への排紙先切り替えは、排紙先となるスタッカ3より前段の各スタッカ3の分岐爪機構17,18を駆動させ、前段の各スタッカ3の至後続搬送路15に印刷物を通すように分岐爪17a,18aを回動させる。
【0090】
このように、複数連結されるスタッカ3の制限量を後段になるにつれ順次大きくすることで、印刷用紙の張り付きをより効果的に防止できると共に、積載可能な印刷物数を増加させることができる。
【0091】
〔第4の実施形態〕
次に本発明に係る画像形成システムの第4の実施形態について説明する。本実施形態の画像形成システムでは、スタッカ3が複数連結され、スタッカ3により排紙制御がなされる。尚、第1の実施形態乃至第3の実施形態と同一の構成、同一の機能については、同一符号を付し詳細な説明を省略する。図11は、本実施形態のスタッカ3の内部構造を示す図であり、図12は、スタッカ3が備える制御機構を示す図である。説明の都合上、画像形成システムには、2台のスタッカ3,3が連結されているものとし、図11及び図12は、前段のスタッカ3の内部構造及び制御機構である。
【0092】
図11又は図12に示すように、スタッカ3の至トレー搬送路13には、第1の印刷物検知センサ22が設置されている。スタッカ3の至後続搬送路15には、第2の印刷物検知センサ23が設置されている。第1の印刷物検知センサ22及び第2の印刷物検知センサ23は、それぞれ物体による遮蔽を検知するセンサであり、設置された搬送路を通過する印刷物を検知して検知信号を出力する。
【0093】
また、図12に示すように、スタッカ3は、内部に、搬送路の切り替えを制御する切替制御部24と分岐爪機構17,18等に電源を供給するための電源ユニット25を備える。切替制御部24は、前段のスタッカ3と後段のスタッカ3に対して一枚ずつ順番に印刷物を搬送して積載させる制御を行う。画像形成システムに2台のスタッカが連結されている場合には、前段のスタッカ3と後段のスタッカ3の収容空間Kに一枚ずつ交互に印刷物が搬送される。
【0094】
切替制御部24は、分岐爪機構17,18に入力された信号に応じた給電を行うスイッチ回路を含み構成され、分岐爪機構17,18と電源ユニット25との接続線に介在して設置される。また、第1の印刷物検知センサ22及び第2の印刷物検知センサ23と電気的に接続し、それぞれの検知信号が入力される。
【0095】
この切替制御部24は、第1の印刷物検知センサ22から検知信号が入力された場合、電源ユニット25と分岐爪機構17が備える駆動モータ、及び電源ユニット25と分岐爪機構18が備える駆動モータとを電気的に接続する。分岐爪機構17が備える駆動モータに対する電源ユニット25との接続は、当該駆動モータが、分岐爪17aを至サブトレー搬送路14と分岐路とを繋ぐ方向に回動させる方向へ回転するように接続する。分岐爪機構18が備える駆動モータに対する電源ユニット25との接続は、当該駆動モータが、分岐爪18aを至後続搬送路15と分岐路とを繋ぐ方向に回動させる方向へ回転するように接続する。
【0096】
分岐爪機構18については、常時、至後続搬送路15と分岐路とを繋ぐ位置に分岐爪18aを位置させておき、サブトレーへ印刷物を積層する場合にのみ分岐爪機構18を制御するようにしてもよい。
【0097】
この切替制御部24は、第2の印刷物検知センサ23から検知信号が入力された場合、電源ユニット25と分岐爪機構17が備える駆動モータを電気的に接続する。分岐爪機構17が備える駆動モータに対する電源ユニット25との接続は、当該駆動モータが、分岐爪17aを至トレー搬送路13と分岐路とを繋ぐ方向に回動させる方向へ回転するように接続する。
【0098】
このスタッカ3の排紙先切り替え動作について図13に基づき説明する。図13は、前段のスタッカ3が備える切替制御部24の排紙先切り替えの動作を説明するフローチャート図である。まず、前段のスタッカ3は、予め分岐爪17aを分岐路と至トレー搬送路13とを繋ぐ位置に回動させ、分岐爪18aを分岐路と至後続搬送路15とを繋ぐ位置に回動させておく。
【0099】
プリンタ1から排紙された印刷物一枚が分岐爪17aにガイドされて至トレー搬送路13を通ると(S21)、第1の印刷物検知センサ22が至トレー搬送路13を通る印刷物を検知する(S22)。切替制御部24は、第1の印刷物検知センサ22からの検知信号に応答して、電源ユニット25と分岐爪機構17が備える駆動モータとを電気的に接続して分岐爪17aを分岐路と至サブトレー搬送路14とを繋ぐ位置に回動させ、印刷物の搬送路を至後続搬送路15へ切り替える(S23)。
【0100】
分岐爪18aを分岐路と至後続搬送路15とを繋ぐ位置に予め回動させ、分岐爪17aを分岐路と至サブトレー搬送路14とを繋ぐ位置に回動させると、次に排紙されてくる印刷物は、至後続搬送路15へ搬送され、後続のスタッカ3へ排紙される。
【0101】
プリンタ1から排紙された次の印刷物一枚が分岐爪17a及び分岐爪18aにガイドされて至後続搬送路15を通ると(S24)、第2の印刷物検知センサ23が至後続搬送路15を通る印刷物を検知する(S25)。切替制御部24は、第2の印刷物検知センサ23からの検知信号に応答して、電源ユニット25と分岐爪機構17が備える駆動モータとを電気的に接続して分岐爪17aを分岐路と至トレー搬送路13とを繋ぐ位置に回動させ、印刷物の搬送路を至トレー搬送路13へ切り替える(S26)。
【0102】
分岐爪17aを分岐路と至トレー搬送路13とを繋ぐ位置に回動させると、その次に排紙されてくる印刷物は、至トレー搬送路13へ搬送され、前段のスタッカ3へ排紙される。以後、印刷物が一枚排紙される毎にS2乃至S6を繰り返すことで、印刷物が前段のスタッカ3と後段のスタッカ3に交互積載される。
【0103】
このように、本実施形態の画像形成システムでは、複数のスタッカ3,3・・・が連結されている場合、第1の印刷物検知センサ22、第2の印刷物検知センサ23、至トレー搬送路13、至後続搬送路15、及び分岐爪機構17,18は、切替手段として機能し、印刷物を各スタッカ3,3・・・に交互に排紙するようにした。
【0104】
一のスタッカ3に印刷物が積載されてから、当該スタッカ3に次の印刷物が排紙されてくるのは他のスタッカ3,3・・・に印刷物を排紙し終えた後になるので、先に積載された印刷物は十分に冷めてトナーが定着している。従って、次の印刷物が積層されても張り付きを起こすことがなく、またスタッカ3の容積上の積載制限量まで印刷物を積載することが可能となる。
【0105】
尚、この切替制御中にスタッカ3,3・・・のいずれかの積載量が制限量に到達した場合は、プリンタ1が備える操作パネル110にスタッカ3の積載量が制限量に到達したことを示す情報を表示させてもよいし、スタッカ3が備える表示部21に積載量が制限量に到達したことを示す情報を表示させてもよい。
【0106】
〔第5の実施形態〕
次に本発明に係る画像形成システムの第5の実施形態について説明する。本実施形態の画像形成システムは、第4の実施形態の変形例である。第4の実施形態と同一の構成、同一の機能については、同一符号を付し詳細な説明を省略する。図14は、スタッカ3が備える制御機構を示す図である。説明の都合上、画像形成システムには、2台のスタッカ3,3が連結されているものとし、図14は、前段のスタッカ3の制御機構である。
【0107】
本実施形態の各スタッカ3には、搬送路内の印刷物を検知するセンサとして、第1の印刷物検知センサ22のみが設置されている。第1の印刷物検知センサ22は、至トレー搬送路13に設置されている。至トレー搬送路13に各第1の印刷物検知センサ22は、それぞれ物体による遮蔽を検知するセンサであり、設置された搬送路を通過する印刷物を検知して検知信号を出力する。この各第1の印刷物検知センサ22が切替手段としての機能の一端を担う。
【0108】
また、図14に示すように、前段のスタッカ3と後段のスタッカ3に対して一枚ずつ順番に印刷物を搬送して積載させる制御を行う切替制御部24は、機内の印刷物検知センサと後段のスタッカ3が備える印刷物検知センサと電気的に接続し、それぞれの検知信号が入力される。
【0109】
この切替制御部24は、機内の第1の印刷物検知センサ22から検知信号が入力された場合、分岐爪17aを至サブトレー搬送路14と分岐路とを繋ぐ方向に回動させる方向へ回転するように分岐爪機構17に給電を行う。同時に、分岐爪18aを至後続搬送路15と分岐路とを繋ぐ方向に回動させる方向へ回転するように分岐爪機構18に給電を行う。尚、第4の実施形態と同様に、分岐爪機構18については、常時、至後続搬送路15と分岐路とを繋ぐ位置に分岐爪18aを位置させておき、サブトレーへ印刷物を積層する場合にのみ分岐爪機構18を制御するようにしてもよい。
【0110】
また、この切替制御部24は、後段のスタッカ3が備える第1の印刷物検知センサ22から検知信号が入力された場合、分岐爪17aを至トレー搬送路13と分岐路とを繋ぐ方向に回動させる方向へ回転するように分岐爪機構17に給電を行う。
【0111】
この画像形成システムの排紙先切り替え動作について図15に基づき説明する。図15は、前段のスタッカ3が備える切替制御部24の排紙先切り替えの動作を説明するフローチャート図である。まず、前段のスタッカ3は、予め分岐爪17aを分岐路と至トレー搬送路13とを繋ぐ位置に回動させ、分岐爪18aを分岐路と至後続搬送路15とを繋ぐ位置に回動させておく。
【0112】
プリンタ1から排紙された印刷物一枚が分岐爪17aにガイドされて至トレー搬送路13を通ると(S31)、機内の第1の印刷物検知センサ22が至トレー搬送路13を通る印刷物を検知する(S32)。切替制御部24は、機内の第1の印刷物検知センサ22からの検知信号を受けて、電源ユニット25と分岐爪機構17が備える駆動モータとを電気的に接続し、分岐爪17aを分岐路と至サブトレー搬送路14とを繋ぐ位置に回動させる(S33)。
【0113】
分岐爪18aを分岐路と至後続搬送路15とを繋ぐ位置に予め回動させ、分岐爪17aを分岐路と至サブトレー搬送路14とを繋ぐ位置に回動させると、次に排紙されてくる印刷物は、至後続搬送路15へ搬送され、後続のスタッカ3へ排紙される。
【0114】
プリンタ1から排紙された次の印刷物一枚が後続のスタッカ3へ排紙されると(S34)、後続のスタッカ3に備えられた第1の印刷物検知センサ22が印刷物を検知する(S35)。切替制御部24は、後続のスタッカ3に備えられた第1の印刷物検知センサ22からの検知信号を受けて、電源ユニット25と分岐爪機構17が備える駆動モータとを電気的に接続し、分岐爪17aを分岐路と至トレー搬送路13とを繋ぐ位置に回動させる(S36)。
【0115】
分岐爪17aを分岐路と至トレー搬送路13とを繋ぐ位置に回動させると、その次に排紙されてくる印刷物は、至トレー搬送路13へ搬送され、前段のスタッカ3へ排紙される。以後、印刷物が一枚排紙される毎にS2乃至S6を繰り返すことで、印刷物が前段のスタッカ3と後段のスタッカ3に交互積載される。
【0116】
尚、以上の第2の実施形態乃至第5の実施形態では、至サブトレー搬送路14は、至トレー搬送路13と至後続搬送路15とを結ぶ経路としての機能を有しているが、至トレー搬送路13と至後続搬送路15とが直接分岐しているように搬送路を配してもよい。この場合は、至トレー搬送路13と至る後続搬送路15との分岐を切り替える分岐爪機構を設置し、当該分岐爪機構を制御すれば足りる。
【0117】
また、印刷物間の張り付きの問題が生じる大部分は、最前段のスタッカ3にある場合が多い。最前段のスタッカ3では、まだ定着ローラ153を通過したばかりであり、トナーを保持した印刷物が冷却しきれていない場合が多く、その結果、最前段のスタッカ3で張り付きが起こる割合が突出して高いものである。そこで、以上の第1の実施形態乃至第5の実施形態においては、最前段のスタッカ3についてのみ制限量を小さくするように制御するようにしてもよい。最前段のスタッカ3以降の後段のスタッカ3については張り付きが起こる割合が無いか少ない場合は、特に制御によって制限を設けることなく、物理的な最大積載量まで印刷物を積載できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】第1の実施形態に係る画像形成システムの外観図である。
【図2】第1乃至第5の実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係るスタッカの内部構造を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る画像形成装置が備える制御ユニットを示すブロック図である。
【図5】第1の実施形態に係る画像形成装置の排紙制御動作を示すフローチャートである。
【図6】第2乃至第5の実施形態に係る画像形成システムの外観図である。
【図7】第2及び第3の実施形態に係るスタッカの内部構造を示す図である。
【図8】第2の実施形態に係る画像形成装置が備える制御ユニットを示すブロック図である。
【図9】第2の実施形態に係る画像形成装置の排紙制御動作を示すフローチャートである。
【図10】第3の実施形態に係る画像形成装置が備える制限量メモリ165aに格納されている各制限量を示す図である。
【図11】第4の実施形態に係るスタッカの内部構造を示す図である。
【図12】第4の実施形態に係るスタッカが備える制御機構を示す図である。
【図13】第4の実施形態に係るスタッカの排紙先切り替え動作を示すフローチャートである。
【図14】第5の実施形態に係るスタッカが備える制御機構を示す図である。
【図15】第5の実施形態に係るスタッカの排紙先切り替え動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0119】
1 画像形成装置
100 装置本体
110 操作パネル
120 給紙部
130 搬送路
140 画像読取部
141 光学系
142 CCDイメージセンサ
150 出力部
151 半導体レーザ
152 感光体ドラム
153 定着ローラ
160 制御ユニット
161 画像形成制御部
162 画像書込制御部
163 プリンタ制御部
164 画像メモリ
165A,165B 排紙制御部
165a 制限量メモリ
165b 積載量カウンタ
165c,165d 比較部
200 自動原稿送り装置
2 ホッパ
3 スタッカ
11 トレー
11a ローラ
11b レール
11c 格子
12 サブトレー
13 至トレー搬送路
14 至サブトレー搬送路
15 至後続搬送路
13a,14a,15a ローラ対
16 給紙口
17,18 分岐爪機構
17a,18a 分岐爪
19 上面検知センサ
20 積載有無判別センサ
21 表示部
22 第1の印刷物検知センサ
23 第2の印刷物検知センサ
24 切替制御部
A,B 制限量
K 収容空間
T 印刷物取出位置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物を積載する印刷物積載装置を連結可能とし、作成した印刷物を当該印刷物積載装置へ排紙可能する画像形成装置であって、
前記印刷物積載装置内に積載された印刷物の積載量が、予め定められた印刷物間の張り付きを防止可能であることを表す積載制限量に達すると、印刷物作成を中止させる排紙制御手段を備えること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
印刷物を積載する印刷物積載装置を複数段連結可能とし、作成した印刷物をいずれかの印刷物積載装置へ排紙可能とする画像形成装置であって、
排紙先の印刷物積載装置内に積載された印刷物の積載量が、予め定められた印刷物間の張り付きを防止可能であることを表す積載制限量に達すると、次の印刷物積載装置に排紙先を切り替える制御を行う排紙制御手段を備えること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
後段装置へ印刷物を搬送する搬送路と機内の収容空間に印刷物を搬送する搬送路とを機内で分岐させて有する印刷物積載装置を直列に複数段連結可能とし、作成した印刷物をこれら印刷物積載装置へ排紙可能とする画像形成装置であって、
前段の印刷物積載装置の最大積載量が後段の印刷物積載装置の各最大積載量よりも小さくなるように排紙先を切り替える制御を行う排紙制御手段を備えること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記排紙制御手段は、
各印刷物積載装置の積載量をカウントするカウント手段と、
各印刷物積載装置の積載制限量を格納する格納手段と、
排紙先の印刷物積載装置の積載量と該排紙先の印刷物積載装置の積載制限量を比較する比較手段と、
排紙先の印刷物積載装置に対する積載量が該排紙先の印刷物積載装置の積載制限量に到達すると、前記搬送路の分岐を制御して次の印刷物積載装置を排紙先に変更させる分岐制御手段と、
を備え、
前記格納手段に格納される積載制限量は、
前段の印刷物積載装置の積載制限量の値が、後段の印刷物積載装置の各積載制限量の値よりも小さな値であること、
を特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記積載制限量を設定する設定手段をさらに備えること、
を特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項6】
印刷物積載装置の積載制限量到達情報を表示させる表示制御手段をさらに備えること、
を特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記前段の印刷物積載装置は、最前段に連結されたものであること、
を特徴とする請求項3又は4記載の画像形成装置。
【請求項8】
印刷用紙に画像を形成して印刷物を作成する画像形成手段と、
前記印刷物の排紙先となって前記印刷物を積載する印刷物積載手段と、
前記印刷物積載手段に積載された印刷物の積載量が、予め定められた印刷物間の張り付きを防止可能であることを表す積載制限量に達すると、印刷物作成を中止させる排紙制御手段と、
を備えること、
を特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
印刷用紙に画像を形成して印刷物を作成する画像形成手段と、
前記印刷物の排紙先となって前記印刷物を積載する複数の印刷物積載手段と、
排紙先の印刷物積載手段に積載された印刷物の積載量が、予め定められた印刷物間の張り付きを防止可能であることを表す積載制限量に達すると、次の印刷物積載手段に排紙先を切り替える制御を行う排紙制御手段と、
を備えること、
を特徴とする画像形成システム。
【請求項10】
印刷用紙に画像を形成して印刷物を作成する画像形成手段と、
前記画像形成手段と直列連結され、前記印刷物の排紙先となって前記印刷物を積載する複数段連結された印刷物積載手段と、
各印刷物積載手段に対応して設置される第1の搬送路と、
後段の印刷物積載手段へ印刷物を搬送する第2の段搬送路と、
前段の印刷物積載手段の最大積載量が後段の印刷物積載手段の各最大積載量よりも小さくなるように排紙先を切り替える制御を行う排紙制御手段と、
を備えること、
を特徴とする画像形成システム。
【請求項11】
前記排紙制御手段は、
各印刷物積載手段の積載量をカウントするカウント手段と、
各印刷物積載手段の積載制限量を格納する格納手段と、
排紙先の印刷物積載手段の積載量と該排紙先の印刷物積載手段の積載制限量を比較する比較手段と、
排紙先の印刷物積載手段に対する積載量が該排紙先の印刷物積載手段の積載制限量に到達すると、前記搬送路の分岐を制御して次の印刷物積載手段を排紙先に変更させる分岐制御手段と、
を備え、
前記格納手段に格納される積載制限量は、
前段の印刷物積載手段の積載制限量の値が、後段の印刷物積載手段の各積載制限量の値よりも小さな値であること、
を特徴とする請求項10記載の画像形成システム。
【請求項12】
前記積載制限量を設定する設定手段をさらに備えること、
を特徴とする請求項10記載の画像形成システム。
【請求項13】
印刷物積載手段の積載制限量到達情報を表示する表示手段をさらに備えること、
を特徴とする請求項10記載の画像形成システム。
【請求項14】
前記前段の印刷物積載手段は、最前段に連結されたものであること、
を特徴とする請求項11又は12記載の画像形成システム。
【請求項15】
画像形成装置が作成した印刷物を積載する複数段直列に連結可能にされた印刷物積載装置であって、
装置内へ印刷物が1枚搬送されるごとに、印刷物の積載と他の印刷物積載装置への搬送とを切り替える切替手段と、
を特徴とする印刷物積載装置。
【請求項16】
前記切替手段は、
装置内へ印刷物を搬送する第1の搬送路と、
後続の印刷物積載装置へ印刷物を搬送する第2の搬送路と、
前記第1の搬送路内に設置される第1の印刷物検知センサと、
前記第2の搬送路に設置される第2の印刷物検知センサと、
前記第1の印刷物検知センサが印刷物を検知すると印刷物の搬送先を前記第2の搬送路に切り替え、前記第2の印刷物検知センサが印刷物を検知すると印刷物の搬送先を前記第1の搬送路に切り替える分岐手段と、
を備えること、
を特徴とする請求項15記載の印刷物積載装置。
【請求項17】
前記切替手段は、
装置内へ印刷物を搬送する第2の搬送路と、
後続の印刷物積載装置へ印刷物を搬送する第2の搬送路と、
前記第1の搬送路内に設置される印刷物検知センサと、
機内の印刷物検知センサが印刷物を検知すると印刷物の搬送先を前記第2の搬送路に切り替え、後続の印刷物積載装置が備える印刷物検知センサが印刷物を検知すると印刷物の搬送先を前記第1の搬送路に切り替える分岐手段と、
を備えること、
を特徴とする請求項15記載の印刷物積載装置。
【請求項18】
装置内の積載制限量到達情報を表示する表示手段をさらに備えること、
を特徴とする請求項15乃至17の何れか記載の印刷物積載装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−76886(P2007−76886A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−270297(P2005−270297)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】