説明

画像形成装置、画像形成システム及び画像形成プログラム

【課題】画像合成の是非や合成する画像等画像合成に関する事項を印刷実行開始時に決定する。
【解決手段】画像形成装置30は、印刷対象画像に合成する合成用画像及び合成用画像を印刷対象画像に合成するか否かを判断する判断条件を関連付けて記憶する画像合成情報記憶部37と、取得された属性値及び画像合成情報記憶部37に記憶されている判断条件に基づいて当該属性値が判断条件を満たすか判断するルール判断部33と、特定された合成規則の設定内容に従い、印刷対象画像に対する画像合成制御を行う合成制御部38とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成システム及び画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプリンタ等の画像形成装置では、印刷対象となる印刷対象画像に、付加的な画像を合成してから出力するという機能を有している機種が存在する。例えば、合成画像として形成されたフォームをプリンタに事前に登録しておき、ユーザがプリンタにする印刷指示に、合成したいフォーム番号を指定する。プリンタは、この送られてきた印刷指示に従い印刷対象の本文画像に、フォーム番号により特定されるフォーム画像を合成して印刷画像を形成し、印刷を行う。
【0003】
なお、マーク情報(合成用画像情報)により識別されるマーク画像(合成用画像)を予め登録しておき、また画像データを格納するボックス領域にマーク情報を関連付けておき、画像データの出力が指示された際には、その画像データと、その画像データが格納されるボックス領域に関連付けられて登録されたマーク情報に応じたマーク画像とを合成する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−324954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、画像合成の是非や合成する画像等画像合成に関する事項を印刷実行開始時に決定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、印刷対象画像を取得する第1の取得手段と、前記印刷対象画像に合成する合成用画像及び前記合成用画像を前記印刷対象画像に合成するか否かを判断する判断条件を関連付けて記憶する記憶手段と、前記印刷対象画像の印刷実行を開始するときに、前記印刷対象画像又は印刷環境に関連する属性値を取得する第2の取得手段と、前記第2の取得手段により取得された属性値及び前記記憶手段に記憶されている前記判断条件に基づいて、当該属性値が前記判断条件を満たすか判断する判断手段と、前記判断手段によって前記属性値が前記判断条件を満たすと判断された場合に、前記印刷対象画像に前記合成用画像を合成制御する合成制御手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、前記第2の取得手段により取得された属性値のうち予め指定された属性値を合成対象の合成用画像に組み込むことで前記合成用画像を完成させ、その完成させた前記合成用画像を前記印刷対象画像に合成することを特徴とする。
【0008】
また、前記判断手段は、前記印刷対象画像が複数ページにて構成される場合、ページ毎に前記属性値が前記判断条件を満たすか判断することを特徴とする。
【0009】
また、前記記憶手段に前記判断条件に複数の前記合成用画像が関連付けられている場合、前記合成制御手段は、前記印刷対象画像に対して前記合成用画像を1つずつ順番に合成することを特徴とする。
【0010】
また、前記記憶手段に記憶される前記判断条件は複数の条件からなることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る画像形成プログラムは、コンピュータに、印刷対象画像を取得する第1の取得手段、前記印刷対象画像に合成する合成用画像及び前記合成用画像を前記印刷対象画像に合成するか否かを判断する判断条件を関連付けて記憶する記憶手段、前記印刷対象画像の印刷実行を開始するときに、前記印刷対象画像又は印刷環境に関連する属性値を取得する第2の取得手段、前記第2の取得手段により取得された属性値及び前記記憶手段に記憶されている前記判断条件に基づいて、当該属性値が前記判断条件を満たすか判断する判断手段、前記判断手段によって前記属性値が前記判断条件を満たすと判断された場合に、前記印刷対象画像に前記合成用画像を合成制御する合成制御手段、として機能させることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る画像形成システムは、印刷対象画像を取得する第1の取得手段と、前記印刷対象画像に合成する合成用画像及び前記合成用画像を前記印刷対象画像に合成するか否かを判断する判断条件を関連付けて記憶する記憶手段と、前記印刷対象画像の印刷実行を開始するときに、前記印刷対象画像又は印刷環境に関連する属性値を取得する第2の取得手段と、前記第2の取得手段により取得された属性値及び前記記憶手段に記憶されている前記判断条件に基づいて、当該属性値が前記判断条件を満たすか判断する判断手段と、前記判断手段によって前記属性値が前記判断条件を満たすと判断された場合に、前記印刷対象画像に前記合成用画像を合成制御する合成制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、印刷実行したときにおける印刷対象画像又は印刷環境に応じた画像合成を制御することができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、印刷実行したときにおいて取得した属性値を印刷対象画像に組み込んで印刷することができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、印刷対象画像を構成するページ毎に、異なる合成用画像を合成することができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、複数の合成用画像が重ねて合成される場合にも、重なり合う部分の色が混合により変化することから回避することができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、判断条件として多種多様な条件設定を行うことができる。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、印刷実行したときにおける印刷対象画像又は印刷環境に応じた画像合成を制御することができる。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、印刷実行したときにおける印刷対象画像又は印刷環境に応じた画像合成を制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明に係る画像形成処理装置の一実施の形態を利用したネットワークシステムの全体構成図である。図1には、ユーザ端末装置10と、管理端末装置20と、画像形成装置30とが、ネットワークの一形態であるLAN(Local Area Network)1に接続された構成が示されている。図2は、本実施の形態における画像形成装置30のハードウェア構成図であり、図3は、本実施の形態におけるユーザ端末装置10と管理端末装置20を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。まず、これらの図を用いて、本実施の形態の構成について説明する。
【0022】
まず、画像形成装置30は、印刷機能を搭載した装置であり、コンピュータを内蔵した装置である。図2において、CPU41は、ROM49に格納されたプログラムにしたがってスキャナ44やプリンタエンジン46等本装置に搭載された各種機構の動作制御を行う。アドレスデータバス42は、CPU41の制御対象となる各種機構と接続してデータの通信を行う。操作パネル43は、ユーザからの指示の受け付け、情報の表示を行う。スキャナ44は、ユーザがセットした原稿を読み取り、電子データとしてHDD(Hard Disk Drive)45等に蓄積する。HDD45は、LAN1を介して送られてきたり、あるいはスキャナ44を使用して読み取った電子文書データなどを格納する。本実施の形態で利用する親展ボックスは、HDD45に設けられる。プリンタエンジン46は、CPU41で実行される制御プログラムからの指示に従い出力用紙上に画像を印字する。ネットワークインタフェース(I/F)47は、LAN1を接続し、印刷対象の電子データファイルの受信、またブラウザ経由による本装置へのアクセスなどに利用される。RAM48は、プログラム実行時のワークメモリや電子データ送受信時の通信バッファとして利用される。ROM49は、本装置の制御や電子データの暗号、電子データの送受信に関する各種プログラムが格納されている。各種プログラムが実行されることで後述する各構成要素が所定の処理機能を発揮する。外部メディアインタフェース(I/F)50は、USBメモリ、フラッシュメモリ等の外部メモリ機器とのインタフェースである。
【0023】
ユーザ端末装置10は、従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、コンピュータは、図3に示したようにCPU51、ROM52、RAM53、HDD54を接続したHDDコントローラ55、入力手段として設けられたマウス56とキーボード57、及び表示装置として設けられたディスプレイ58をそれぞれ接続する入出力コントローラ59、通信手段として設けられたネットワークコントローラ60を内部バス61に接続して構成される。ユーザ端末装置10は、パーソナルコンピュータ(PC)で実現可能である。なお、性能的に差異はあるかもしれないが、管理端末装置20もコンピュータであることから、そのハードウェア構成は、図3と同じように図示できる。管理端末装置20もPCで実現可能である。
【0024】
図1において、ユーザ端末装置10は、画像形成装置30を利用して印刷を行いたいユーザにより使用され、印刷対象とする電子データファイルと印刷指示を含む印刷要求を送信する印刷要求部11を有している。管理端末装置20は、画像形成装置30に対して後述する各種設定を行う管理者により使用され、合成用画像に相当するフォーム画像データを生成するフォーム設定処理部21と、合成定義情報を設定する合成定義情報設定処理部22と、を有している。
【0025】
画像形成装置30は、ユーザ端末装置10からの印刷指示、あるいは操作パネル43の操作指示に応じて印刷対象の画像を、プリンタエンジン46を動作させて印刷する。画像形成装置30は、印刷対象画像取得部31、属性値取得部32、ルール判断部33、画像形成処理部34、印刷実行部35、画像合成情報管理部36及び画像合成情報記憶部37を有している。なお、図1には、本実施の形態の説明に不要な構成要素に関しては省略している。
【0026】
印刷対象画像取得部31は、LAN1を介してユーザ端末装置10から送られてきた、あるいは事前にHDD54に格納されている画像データを、印刷対象とする画像データ(以下、「印刷対象画像」)として取得する。属性値取得部32は、印刷ジョブの実行を開始したときに、そのときの印刷指示された印刷対象画像又は印刷環境に関連する属性値を取得する。画像合成情報記憶部37には、詳細は後述する合成定義情報が蓄積されているが、ルール判断部33は、属性値取得部32により取得された属性値及び画像合成情報記憶部37に記憶されている判断条件に基づいて当該属性値が判断条件を満たすか判断する。画像形成処理部34は、実際に印刷すべき画像を形成する。画像形成処理部34に含まれている合成制御部38は、ルール判断部33により特定されたルールへの設定内容に従い印刷対象画像に対する画像合成制御を行う。印刷実行部35は、画像形成処理部34が形成した画像の印刷を実行する。画像合成情報管理部36は、管理端末装置20のフォーム設定処理部21及び合成定義情報設定処理部22と連携動作して、画像合成情報記憶部37に記憶される画像合成情報の登録、更新削除等の情報管理を行う。
【0027】
画像形成装置30における各構成要素31〜37は、画像形成装置30に搭載されたコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU41で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、画像合成情報記憶部37は、HDD54にて実現される。また、ユーザ端末装置10の印刷要求部11及び管理端末装置20のフォーム設定処理部21及び合成定義情報設定処理部22も、各装置10,20を構成するPCと、各PCに搭載されたCPU51で動作するプログラムとの協調動作により実現される。
【0028】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPU41,51がインストールプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0029】
図4は、本実施の形態における画像合成情報記憶部37に格納される画像合成情報のデータ構成例を示した図である。本実施の形態では、この画像合成情報を、印刷処理を行う前に事前に設定しておく必要があるが、この画像合成情報において合成用画像として指定されうるフォーム画像の生成について図5,6を用いて説明する。
【0030】
図5は、本実施の形態において用いるフォーム設定画面の例を示した図である。この設定画面は、管理端末装置20のディスプレイ58に表示される。図5には、新規生成するフォームの名称を入力指定するフォーム名領域62と、生成するフォームのレイアウトを表示するレイアウト表示領域63が示されている。設定画面の右側には、フォーム上に割り付ける各種属性項目に対応した項目ボタン64が配設されている。差込印刷としてはファイル名、ユーザ名、印字時間、シリアルNo及びページ数という各属性項目に対応する属性ボタンが設けられている。また、その下方には任意文字列、画像及び印字データをそれぞれフォーム上に割り付けるための割付ボタン65〜67が設けられている。本実施の形態では、これらのボタン64〜67を次のように使用しながらフォームを生成できるようにしている。
【0031】
まず、属性値の1つであるファイル名を印刷用紙の右上に印刷したい場合、ファイル名の属性ボタンをレイアウト表示領域63の右上にドラッグ&ドロップする。更に、ユーザ名の属性を印刷用紙の左下に印刷したい場合、ファイル名の属性ボタンをレイアウト表示領域63の左下にドラッグ&ドロップする。図5には、この状態のフォームレイアウトが例示されている。これにより、このform1が印刷対象画像に合成されて印刷されると、印刷対象画像のファイル名が印刷用紙の右上に、印刷対象画像の印刷を指示したユーザの名が印刷用紙の左下に、それぞれ印刷されることになる。他の差込印刷に含まれる属性項目に対しても同様の操作によってform1に割り付けることができる。
【0032】
また、任意文字列の割付ボタン65がレイアウト表示領域63の所望の位置にドラッグ&ドロップされると、そのドロップした位置に、ユーザが入力した文字列が印刷される領域が設けられる。画像の割付ボタン66がレイアウト表示領域63の所望の位置にドラッグ&ドロップされると、そのドロップした位置に、ユーザが指定した画像ファイルの印刷領域が設けられる。印字データの割付ボタン67がレイアウト表示領域63の所望の位置にドラッグ&ドロップされると、そのドロップした位置に、ユーザが指定したテキストデータファイルの印刷領域が設けられる。なお、文字列や画像の印刷領域の大きさは、マウス操作等によって適宜調整可能である。差込印刷される属性項目においても同様である。
【0033】
以上のようにして生成されたフォームの画像データは、図示しない保存ボタンの選択操作などによって、画像合成情報管理部36により画像合成情報記憶部37に登録される。この登録されたフォームの出力画像の例を図6に示す。図6(a)には、図5の設定画面の例に対応したフォーム名が“form1”の画像の例が示されており、図6(b)には、ファイル名の属性のみを印刷用紙の右上に割り付けたフォーム名が“form2”の画像の例が示されている。
【0034】
図7は、本実施の形態において用いる合成定義情報の設定画面(以下、「合成定義情報設定画面」)の例を示した図である。この設定画面は、管理端末装置20のディスプレイ58に表示される。図7には、処理名、ルール名を指定する各設定領域71,72と、判断領域とアクションの各設定領域73,74と、が設けられており、管理者は各領域から必要事項を設定する。設定領域71には、後述するルールを分類管理するための処理の名称を指定させる。図7に示した例では、“ユーザ名印字”と設定されていることからユーザ名の印字に関するルールが定義されることが把握できる。設定領域72には、この設定画面から設定するルールに割り付ける名称を指定させる。
【0035】
判断条件の設定領域73では、後段のアクションを実行させるか否かの判断条件を指定させる。図7では、2つの条件75が設定された例が示されている。条件75を設定するために設けられた条件の要素を設定する領域77〜79のうち領域77には属性項目を、領域78には当該属性項目の属性値を、領域79には属性値の状態を、それぞれ指定させる。このうち、領域77,79は、プルダウンメニューが割り付けられており、表示されたメニュー項目の中から設定者が選択できるようになっている。なお、領域78,79は、条件として設定すべき属性項目の種類によって異なってくるため、図8に例示したように領域77への設定内容によって表示されない場合がある。領域77〜79の間に表示される文字も同様である。そして、設定された条件を全て満たした場合あるいはいずれかを満たせば判断条件を満たしていると判断するための判断条件の真偽判定条件を指定させるためのラジオボタン76が設けられている。条件増減ボタン80は条件75として設定する条件の数を増減させるための操作ボタンである。例えば、2つの条件が設定されている図7の設定状態において「条件を増やす」ボタンが選択されると、判断条件の設定領域73の中に条件3の設定領域が設けられ、一方、「条件を減らす」ボタンが選択されると、判断条件の設定領域73の中に条件1の設定領域のみが設けられた状態になる。このように、設定者は、条件増減ボタン80を操作することによって判断条件に含める条件の数の調整を行う。
【0036】
アクションの設定領域74では、判断条件の設定領域73において設定した条件を満たした場合に実施すべき処理内容を指定させる。アクションの要素を設定する領域81,82のうち領域81には“合成” するか“合成しない”かを、プルダウンメニューの中から選択することで指定させる。領域82には、合成する場合に合成すべき合成用画像のフォーム画像名を指定させる。なお、領域82のプルダウンメニューには、図5のフォーム設定画面を用いて生成されたフォームの各名称がリスト表示されるので、設定者は、そのリストの中から選択する。リスト表示するフォーム名は、画像合成情報管理部36に要求して取得する。なお、領域81に“合成しない”が選択された場合、領域82は表示されない。
【0037】
画像増減ボタン83は、印刷対象画像と合成させるフォーム画像の数を増減させるための操作ボタンである。例えば、1つフォーム画像が設定されている図7の設定状態において「画像を増やす」ボタンが選択されると、“text_form”に加えてフォーム画像を別途指定させるための領域82がアクションの設定領域74の中に1つ追加表示される。一方、「画像を減らす」ボタンが選択されると、アクションの設定領域74の中に存在する領域82が1つ消去される。このように、設定者は、画像増減ボタン83を操作することによって合成すべき画像を選択する。
【0038】
図8は、図7と同じ処理(処理名“ユーザ名印字”)において異なるルール(ルール名“default”)を設定したときの画面表示例を示した図である。以上のようにして生成された合成定義情報は、図示しない保存ボタンの選択操作などによって、画像合成情報管理部36により画像合成情報記憶部37に登録される。
【0039】
図9は、処理(処理名“ユーザ名印字”)に対して上記設定を行った場合に生成される画像合成情報の例を示した図であるが、この図9を用いながら図4に示した画像合成情報について説明する。
【0040】
画像合成情報は、合成定義情報設定画面を用いて生成された合成定義情報と、前述したフォーム設定画面を用いて生成されたフォーム画像とで構成される。画像合成情報は、前述したユーザ名の印字に関する画像合成処理というように、画像合成を行う処理毎に生成される。
【0041】
各処理に含まれる合成定義情報には、1又は複数のルールが設定可能であり、ルール名で識別される各ルールには、判断条件として1又は複数の条件が設定可能である。そして、更に条件の全てを満たした場合、あるいはいずれかの条件を満たした場合という真偽判定条件に合致した場合に実行するアクションが設定される。なお、図示していないが、画像合成情報には、真偽判定条件も含まれている。合成定義情報設定画面から明らかなように、アクションには、合成の是非と、合成する場合にはそのフォーム画像名が指定されている。
【0042】
各処理に含まれるフォーム画像には、アクションで指定されたフォーム画像データが含まれる。ただ、フォームを他の処理と共用することを考慮すると、フォーム画像データを各画像合成情報に含ませることは記憶容量上効率的ではないので、フォーム画像データそのものを画像合成情報に必ずしも含めなくてもよい。この場合、合成対象のフォーム画像は、アクションに設定されたフォーム画像名から特定する。
【0043】
以上のようにして、本実施の形態を実施する上で必要な情報の設定を行うことで、本実施の形態において特徴的な画像合成を行う印刷処理が実施可能になる。以下、本実施の形態における動作について説明する。
【0044】
ユーザ端末装置10の印刷要求部11は、ユーザによる印刷指示に応じて印刷対象画像と印刷指示内容を含む印刷要求を画像形成装置30に送信すると、画像形成装置30はこれを受け付ける。そして、印刷指示により実行すべき時刻になると、その印刷指示に応じて生成した印刷ジョブの実行を開始する。以下、印刷ジョブの実行が開始されてからの処理を図10に示したフローチャートを用いて説明する。
【0045】
属性値取得部32は、ジョブが開始されたときに、印刷画像取得部31が取得した印刷対象画像又は印刷環境に関連する属性値を取得する(ステップ100)。印刷対象画像に関連する属性値というのは、印刷対象画像ファイルの属性値、印刷指示に含まれる指示内容等である。印刷環境に関連する属性値というのは、印刷を実施する画像形成装置30の仕様情報、機能情報、接続されたネットワーク情報等である。このように、本実施の形態では、印刷ジョブが開始したときに各種属性値を取得する。例えば、画像形成装置30に装填されている用紙サイズは、印刷要求時と印刷実行時とで異なっている場合がありうるが、本実施の形態では、このような場合に対応できるように印刷実行開始時点において各種属性値を収集するようにしている。
【0046】
本実施の形態では、印刷対象画像をページ単位にルール判定をし、アクション、すなわち、画像の合成の是非を判断するようにしている。従って、1ページ目から順番に処理することになるが(ステップ110)、最終ページに対する処理が終了するまで(ステップ120でY)、以降の処理を繰り返し実行する。
【0047】
まず、印刷対象画像の処理対象ページがメモリ(RAM48)に展開されると(ステップ130)、ルール判断部33は、当該ページに対する合成の是非等の判断に用いるルールを特定する。以下、ルールを特定する際に行う合成判定処理を図11に示したフローチャートを用いて説明する。
【0048】
ルール判断部33は、合成判定処理を行う際、判定結果の初期値として“合成しない”を設定する(ステップ141)。画像合成を要求するユーザからの印刷指示には、画像合成情報記憶部37に登録されている画像合成情報のうちどの処理名に該当する情報を使用するかについて指定されている。処理名が指定されていない場合(ステップ142でN)、画像の合成は、ユーザによって要求されていないと判断し、判定結果として“合成しない”を返すことになる。処理名が指定されていた場合(ステップ142でY)、該当する画像合成情報の合成定義情報に含まれている最初のルールを取り出し(ステップ143)、そのルールに従って評価を行う(ステップ145)。ここで評価というのは、印刷画像取得部31に取得された属性値を、当該ルールに設定された判断条件と照合することにより、当該属性値がその判断条件を満たすか否かを判定することをいう。判断条件には、前述したように複数の条件が含まれている場合がありうるが、この場合は上段に位置する条件から判定することにし、そして、各条件に合致しているか否かを判定すると共に、条件の全てを満たしているか、あるいはいずれかの条件を満たしているかという判断条件の真偽判定条件に従って判断条件を満たすか否かの判定を行う。なお、判断条件に含まれる条件は、判断条件の登録順に判定を行うものとする。
【0049】
このルールの評価の結果、判断条件を満たしていないと判定すると(ステップ146でFALSE)、合成定義情報に含まれている次のルールを取得する(ステップ149)。そして、前述したルールの評価を行う(ステップ145)。次のルールが存在しない場合(ステップ144でN)、判定結果として“合成しない”を返すことになる。なお、この処理から、合成定義情報において上段に位置するルールにおいて判断条件を満たしていると判断するとそれよりも下位に位置するルールについての評価を行わないためルールの設定順序を考慮して合成定義情報を生成する必要がある。
【0050】
また、本実施の形態では、属性値の取得を印刷実行を開始するときに行うようにしたが、ページ毎にルールの評価を行うので、厳密にはページに対する評価を行うときに属性値を取得するのが望ましい。印刷実行過程において変更してしまう属性値が存在するからである。例えば、ステープルすべき用紙枚数が画像形成装置30の仕様を超えた場合におけるステープルの可否、排出トレイのオーバーフローによる印刷不可などがこれに該当する。
【0051】
いずれかのルールの評価において、当該ルールが判断条件を満たしていると判定すると(ステップ146でTRUE)、ルール判断部33は、これにより印刷対象画像に対する画像合成のルールを特定することになる。
【0052】
次に、ルール判断部33は、当該ルールに含まれるアクションを参照し、アクション内容として合成するか否かを判断する。ここで、ルールに合成しないと設定されている場合(ステップ147でN)、判定結果として“合成しない”を返す。一方、ルールに合成すると設定されている場合(ステップ147でY)、判定結果として“合成する”を設定すると共に、アクションに対する設定内容から合成すべきフォーム画像名を取得する(ステップ148)。
【0053】
図10に戻り、合成判定処理において合成すると判定された場合(ステップ150でY)、画像形成処理部34は、フォーム名から特定されるフォーム画像を画像合成情報記憶部37から取り出す。そして、取り出したフォーム画像に対し、フォーム設定時に差込印刷としてフォーム上に属性項目が割り付けられている場合、そのフォーム上の予め指定された位置に、予め割り付けられた属性項目の属性値を割り付けることで合成用画像を完成させる(ステップ160)。つまり、図5,6を用いて説明したように、例えばファイル名の割付位置には、属性値取得部32により取得された印刷対象画像の実際のファイル名が割り付けられて印刷されるように合成用画像を形成する。なお、差込印刷に含まれる属性項目がフォーム上に割り付けられていなければ、合成用画像としてフォーム画像をそのまま採用する。
【0054】
このようにして、合成用画像を完成させると、画像形成処理部34は、印刷対象画像に合成用画像を合成することによって実際に印刷する印刷画像を生成する(ステップ170)。そして、印刷実行部35は、生成された合成画像を印刷する(ステップ180)。一方、合成判定処理において合成しないと判定された場合(ステップ150でN)、画像形成処理部34は、印刷対象画像から画像合成以外の印刷指示に従って印刷画像を形成し、印刷実行部35は、生成された合成画像を印刷する(ステップ200)。その後、次のページに処理を移し(ステップ190)、前述した処理を印字が終了するまで繰り返し実行する。
【0055】
図12は、本実施の形態において行われる画像合成を示した概念図である。図12(a)には、ルール判断部33による評価の結果、 “form1”と合成することが決定された結果、印刷用紙の右上に印刷対象画像のファイル名“file1.txt”、左下に印刷要求をしたユーザの名“user001”が、それぞれ合成され印刷された例が示されている。また、図12(b)には、“form2”と合成することが決定された結果、印刷用紙の右上に印刷対象画像のファイル名“file2.doc”のみが合成され印刷された例が示されている。
【0056】
合成定義情報の設定について図7,8を用いて説明したが、この際、合成する画像として複数のフォーム画像を設定できると説明した。ここで、合成する画像が複数存在する場合において各合成画像を単純に合成すると、重なり合う部分の色が混合により変化する可能性がある。従って、本実施の形態では、合成していく順番を決め、その順番に1つずつ印刷対象画像に合成していくことにする。なお、その順番は、例えば合成定義情報の設定画面への記載順とする。
【0057】
本実施の形態では、以上説明したように印刷実行を開始したときに取得した属性値を、判断条件と照合することで画像合成の是非、画像合成する場合には合成する画像を決定することになる。印刷実行を開始したときに特定される属性値としては、例えば、印刷実行開始時の時刻等がある。また、ステープルの実施を印刷指示しても、印刷実行途中においてステープルすべき印刷枚数が画像形成装置30の仕様を超えた場合にステープル不能となった場合も印刷指示時から属性値が変更される場合の例に相当する。
【0058】
なお、本実施の形態では、画像合成情報の設定を、管理端末装置20にて実施するように構成したが、画像形成装置30の操作パネル43に前述した設定画面を表示して画像形成装置30側で設定できるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る画像形成処理装置の一実施の形態を利用したネットワークシステムの全体構成図である。
【図2】本実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成図である。
【図3】本実施の形態におけるユーザ端末装置と管理端末装置を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。
【図4】本実施の形態における画像合成情報記憶部に格納される画像合成情報のデータ構成例を示した図である。
【図5】本実施の形態において用いるフォーム設定画面の例を示した図である。
【図6】図5の設定画面から生成されるフォーム画像の出力例を示した図である。
【図7】本実施の形態において用いる合成定義情報の設定画面の例を示した図である。
【図8】図7と同じ処理において異なるルールを設定した場合の合成定義情報設定画面の表示例を示した図である。
【図9】図7及び図8に示した各設定画面から生成された画像合成情報の例を示した図である。
【図10】本実施の形態において印刷ジョブの実行が開始されてからの処理を示したフローチャートである。
【図11】図10における合成判定処理を示したフローチャートである。
【図12】本実施の形態において行われる画像合成を示した概念図である。
【符号の説明】
【0060】
1 LAN、10 ユーザ端末装置、11 印刷要求部、20 管理端末装置、21 フォーム設定処理部、22 合成定義情報設定処理部、30 画像形成装置、31 印刷対象画像取得部、32 属性値取得部、33 ルール判断部、34 画像形成処理部、35 印刷実行部、36 画像合成情報管理部、37 画像合成情報記憶部、38 合成制御部、41,51 CPU、42 アドレスデータバス、43 操作パネル、44 スキャナ、45,54 ハードディスクドライブ(HDD)、46 プリンタエンジン、47 ネットワークインタフェース(I/F)、48,53 RAM、49,52 ROM、50 外部メディアインタフェース(I/F)、55 HDDコントローラ、56 マウス、57 キーボード、58 ディスプレイ、59 入出力コントローラ、60 ネットワークコントローラ、61 内部バス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象画像を取得する第1の取得手段と、
前記印刷対象画像に合成する合成用画像及び前記合成用画像を前記印刷対象画像に合成するか否かを判断する判断条件を関連付けて記憶する記憶手段と、
前記印刷対象画像の印刷実行を開始するときに、前記印刷対象画像又は印刷環境に関連する属性値を取得する第2の取得手段と、
前記第2の取得手段により取得された属性値及び前記記憶手段に記憶されている前記判断条件に基づいて、当該属性値が前記判断条件を満たすか判断する判断手段と、
前記判断手段によって前記属性値が前記判断条件を満たすと判断された場合に、前記印刷対象画像に前記合成用画像を合成制御する合成制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記第2の取得手段により取得された属性値のうち予め指定された属性値を合成対象の合成用画像に組み込むことで前記合成用画像を完成させ、その完成させた前記合成用画像を前記印刷対象画像に合成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記判断手段は、前記印刷対象画像が複数ページにて構成される場合、ページ毎に前記属性値が前記判断条件を満たすか判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記記憶手段に前記判断条件に複数の前記合成用画像が関連付けられている場合、
前記合成制御手段は、前記印刷対象画像に対して前記合成用画像を1つずつ順番に合成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記記憶手段に記憶される前記判断条件は複数の条件からなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
コンピュータに、
印刷対象画像を取得する第1の取得手段、
前記印刷対象画像に合成する合成用画像及び前記合成用画像を前記印刷対象画像に合成するか否かを判断する判断条件を関連付けて記憶する記憶手段、
前記印刷対象画像の印刷実行を開始するときに、前記印刷対象画像又は印刷環境に関連する属性値を取得する第2の取得手段、
前記第2の取得手段により取得された属性値及び前記記憶手段に記憶されている前記判断条件に基づいて、当該属性値が前記判断条件を満たすか判断する判断手段、
前記判断手段によって前記属性値が前記判断条件を満たすと判断された場合に、前記印刷対象画像に前記合成用画像を合成制御する合成制御手段、
として機能させることを特徴とする画像形成プログラム。
【請求項7】
印刷対象画像を取得する第1の取得手段と、
前記印刷対象画像に合成する合成用画像及び前記合成用画像を前記印刷対象画像に合成するか否かを判断する判断条件を関連付けて記憶する記憶手段と、
前記印刷対象画像の印刷実行を開始するときに、前記印刷対象画像又は印刷環境に関連する属性値を取得する第2の取得手段と、
前記第2の取得手段により取得された属性値及び前記記憶手段に記憶されている前記判断条件に基づいて、当該属性値が前記判断条件を満たすか判断する判断手段と、
前記判断手段によって前記属性値が前記判断条件を満たすと判断された場合に、前記印刷対象画像に前記合成用画像を合成制御する合成制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−94970(P2009−94970A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266065(P2007−266065)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】