説明

画像形成装置、画像形成方法および画像形成プログラム

【課題】大きい色ずれにより転写ベルト上のトナーパターンが重なった場合においても、確実に色ずれ補正を行うこと。
【解決手段】複数の作像ユニット1K,1C,1M,1Yのそれぞれが形成した複数色の画像を、中間転写ベルト7を介して転写紙に転写して画像形成を行う画像形成装置であって、複数の作像ユニット1K,1C,1M,1Yのそれぞれが中間転写ベルト7上に形成した複数色の色ずれ補正用のトナーパターンを検出する反射型センサ16と、反射型センサ16が単位時間内で検出したトナーパターンの数を集計するカウンタ23と、集計した値が所定の値より少ない場合、トナーパターンが異なる色同士で重なったことを検出する重なり検出部25と、重なったトナーパターンの色の種類を検出する色種類検出部26と、検出した色の種類に対応する画像作像部の画像を形成するタイミングを変化させる色ずれ補正を行う色ずれ補正部27と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法および画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー画像形成装置において、転写ベルト上に各色のトナーで所定のトナーパターンを形成し、このトナーパターンを光学式のセンサを用いて検出することによって、各色間のずれ量を、主走査方向と副走査方向のレジストずれ、倍率ずれ、スキュー、曲がりというように要因別に算出し、それぞれが一致するようにフィードバック補正を行うことによって転写ベルト(転写紙)上の各色の色ずれ(位置ずれ)を補正する色ずれ補正制御の方法が既に知られている。そして、この補正処理を、電源ON時や、温度等の環境変化時や、一定枚数以上印刷された場合に実施することによって、色ずれ量が常に所定の範囲以下になるように制御している。
【0003】
この色ずれ補正制御の方法では、トナーパターンを形成した転写ベルトに傷や継ぎ目が存在していると、色ずれ補正が正しくできないため、様々な対応方法が検討されている。例えば、特許文献1では、トナーパターンが形成された像担持体の表面に汚れや傷等があると、検出手段により検出されたトナーパターンの出力信号が所定の閾値を超えても位置ずれ情報として適用できないことを改善する目的で、トナーパターンの検出信号で位置ずれ情報として不適であるものが抽出された場合、当該トナーパターンの濃度誤差情報が使用されない構成を開示している。
【0004】
また、転写ベルト上に形成したトナーパターンの基準色から基準色までの数をカウントし、そのカウント値が規定値を超えていた場合、傷や継ぎ目が存在すると判断し、色合わせ制御を実行する検出信号として採用しないという方法も既に知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、転写ベルトに大きなゆがみ等が発生し、予期せぬほど大きい色ずれが発生する可能性がある。この状態で色ずれ補正を実施しようとすると、色ずれ量が大きいため転写ベルト上に形成した隣接するトナーパターン同士が重なってしまう場合がある。しかしながら、従来の色ずれ補正制御では、この重なりを検出することができず、適切な色ずれ補正が行えないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、大きい色ずれにより転写ベルト上のトナーパターンが重なった場合においても、確実に色ずれ補正を行うことができる画像形成装置、画像形成方法および画像形成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の画像作像部のそれぞれが形成した複数色の画像を、転写ベルトを介して転写材に転写して画像形成を行う画像形成装置であって、複数の前記画像作像部のそれぞれが前記転写ベルト上に形成した複数色の色ずれ補正用のトナーパターンを検出するトナーパターン検出手段と、前記トナーパターン検出手段が単位時間内で検出した前記トナーパターンの数を集計する集計手段と、前記集計手段が集計した値である第1の値が所定の値より少ない場合、前記トナーパターンが異なる色同士で重なったことを検出する重なり検出手段と、重なった前記トナーパターンの色の種類を検出する色種類検出手段と、検出した前記色の種類に対応する前記画像作像部の画像を形成するタイミングを変化させる色ずれ補正を行う色ずれ補正手段と、を備えたこと、を特徴とする。
【0008】
また、本発明は、複数の画像作像部のそれぞれが形成した複数色の画像を、転写ベルトを介して転写材に転写して画像形成を行う画像形成装置で実行される画像形成方法であって、トナーパターン検出手段が、複数の前記画像作像部のそれぞれが前記転写ベルト上に形成した複数色の色ずれ補正用のトナーパターンを検出するトナーパターン検出工程と、集計手段が、前記トナーパターン検出工程で単位時間内で検出した前記トナーパターンの数を集計する集計工程と、重なり検出手段が、前記集計工程で集計した値である第1の値が所定の値より少ない場合、前記トナーパターンが異なる色同士で重なったことを検出する重なり検出工程と、色種類検出手段が、重なった前記トナーパターンの色の種類を検出する色種類検出工程と、色ずれ補正手段が、検出した前記色の種類に対応する前記画像作像部の画像を形成するタイミングを変化させる色ずれ補正を行う色ずれ補正工程と、を含むこと、を特徴とする。
【0009】
また、本発明は、コンピュータを、複数の画像作像部のそれぞれが転写ベルト上に形成した複数色の色ずれ補正用のトナーパターンを検出するトナーパターン検出手段と、前記トナーパターン検出手段が単位時間内で検出した前記トナーパターンの数を集計する集計手段と、前記集計手段が集計した値である第1の値が所定の値より少ない場合、前記トナーパターンが異なる色同士で重なったことを検出する重なり検出手段と、重なった前記トナーパターンの色の種類を検出する色種類検出手段と、検出した前記色の種類に対応する前記画像作像部の画像を形成するタイミングを変化させる色ずれ補正を行う色ずれ補正手段と、して機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、転写ベルト上のトナーパターンが重なっても、重なり検出手段がトナーパターンが重なったことを検出し、色種類検出手段が何色と何色のトナーパターンが重なっているかを検出することができるので、確実に色ずれ補正を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施の形態にかかる画像形成装置の画像形成部の一例を示す図である。
【図2】図2は、本発明の画像形成装置の主要構成を示す図である。
【図3】図3は、反射型センサの構成の一例を示す図である。
【図4】図4は、中間転写ベルト上に形成されるトナーパターンの形成例と反射型センサとの位置関係を示す図である。
【図5】図5は、図4に示したトナーパターンを、反射型センサにより検出した時の正反射光による出力波形を表す図である。
【図6】図6は、図5の出力波形をカウンタでカウントする方法を説明する図である。
【図7】図7は、図4に示したトナーパターンが重なった場合を示す図である。
【図8】図8は、図7のような場合に、トナーパターンを反射型センサにより検出した時の正反射光による出力波形を表す図である。
【図9】図9は、図8の出力波形をカウンタでカウントした場合を説明する図である。
【図10】図10は、Yを消灯した時のトナーパターンと出力波形との関係を示す図である。
【図11】図11は、Mを消灯した時のトナーパターンと出力波形との関係を示す図である。
【図12】図12は、色ずれ補正制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、画像形成方法および画像形成プログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態にかかる画像形成装置の画像形成部の一例を示す図である。そして、図の(a)は、中間転写体を採用したタンデム方式のカラー画像形成装置の場合の画像形成部である。画像形成部の機能の一つは、4つの感光体ドラム2K,2C,2M,2Y上に形成した潜像を、4つの現像装置4K,4C,4M,4Yが互いに異なる色のトナー像にそれぞれ現像し、像担持体としての中間転写ベルト7が、これらの異なる色のトナー像をそれぞれ重ね合わせた状態で一次転写することである。画像形成部は、4個の作像ユニット1K,1C,1M,1Yや、中間転写ベルト7等を備えている。
【0014】
4個の作像ユニット1K,1C,1M,1Yは、それぞれブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の画像を形成する。4個の作像ユニット1K,1C,1M,1Yは、それぞれ感光体ドラム2K,2C,2M,2Yと、これらの感光体ドラム2K,2C,2M,2Yの周囲に配置された帯電装置3K,3C,3M,3Yと、現像装置4K,4C,4M,4Yと、一次転写装置を構成する一次転写ローラ5K,5C,5M,5Yと、クリーニング装置6K,6C,6M,6Yとから構成されている。
【0015】
中間転写ベルト7は無端状のベルトであり、本例では、その中間転写ベルト7の上部側に、その中間転写ベルト7の回動方向Aに沿って、4個の感光体ドラム2K,2C,2M,2Yを並列にそれぞれ配置している。
【0016】
感光体ドラム2K,2C,2M,2Yは、回転方向Bに回転駆動され、このとき帯電装置3K,3C,3M,3Yによって感光体ドラム2K,2C,2M,2Yの表面が所定の極性に帯電される。次に、その帯電面に、露光装置8から出射されるレーザ光が照射され、これによって感光体ドラム2K,2C,2M,2Yに静電潜像が形成され、その静電潜像が現像装置4K,4C,4M,4Yによって各色のトナー像として可視像化される。
【0017】
各感光体ドラム2K,2C,2M,2Yには、一次転写ローラ5K,5C,5M,5Yがそれぞれ対向配置されていて、その各一次転写ローラ5K,5C,5M,5Yと感光体ドラム2K,2C,2M,2Yとの間には中間転写ベルト7が挟まれた状態で回動するようになっている。その中間転写ベルト7は、駆動ローラ9とテンションローラ10の2軸によって支持されている。複数のローラによって張架しても良いが、出来る限り小型化とするため、ここでは2軸によって張架し本ユニットの高さを抑制している。
【0018】
次に、その中間転写ベルト7の表面に、各感光体ドラム2K,2C,2M,2Yに可視像化されたトナー像が、一次転写ローラ5K,5C,5M,5Yの作用によって転写される。このようにして、ブラック,シアン,マゼンタ,イエローのトナー像が、中間転写ベルト7上に正確に順次重ね合わせた状態で転写されていき、フルカラーの合成カラー画像が形成される。
【0019】
一方、中間転写ベルト7を挟んで、駆動ローラ9(二次転写対向ローラ)に対向して二次転写ローラ11が配設され、給紙ユニット12から記録媒体である転写紙Pが給紙されると、それがレジストローラ対13の回転によって所定のタイミングで、駆動ローラ9と二次転写ローラ11の間に送り込まれる。すると、中間転写ベルト7に担持されている合成カラー画像が二次転写ローラ11の作用により転写紙Pに一括して転写される。そして、その転写紙P上のトナー像が、定着装置14により熱と圧力によって定着され、図示しない排紙トレイ上に排出される。
【0020】
トナー像二次転写後の中間転写ベルト7の表面に付着する転写残トナーは、クリーニング装置15によって除去される。また、反射型センサ16が、中間転写ベルト7に向けて一定の決められた距離を置いて配設されている。
【0021】
タンデム方式のカラー画像形成装置においては、画像形成部の各々の取り付け誤差、露光装置の調整誤差/ひずみ/環境および経時変化、感光体ドラムの回転ムラ、像担持体の搬送ムラ/転写紙などの外乱による変動などにより、形成された画像において色ずれが発生する。このため、像担持体上に各色のマークとなるトナーパターン(色ずれ制御用パターン)を形成し、このトナーパターンの各色の位置を光学的な反射型センサ16により検出し、その検出結果から各色の色ずれ量を算出して、露光タイミングの調整などをフィードバックする。
【0022】
また、タンデム方式のカラー画像形成装置においては、高画質のフルカラー画像を得るためには、各色の画像濃度がそれぞれ適正に安定していることが要求される。このため、像担持体(ここでは中間転写ベルト7であるが、搬送ベルトなども含む)上に濃度の基準となるトナーパターン(濃度制御用パターン)を形成し、このトナーパッチの濃度を光学的な反射型センサ16により検出し、検出された濃度に基づいて、帯電電位,露光強度,現像バイアス電圧,転写電圧,およびトナー補給量等の画像濃度に影響を与える画像形成条件に対しフィードバックする。
【0023】
図の(b)は、搬送体を採用したタンデム方式のカラー画像形成装置の場合の画像形成部である。中間転写体を採用した場合は、二次転写ローラ11を介して転写紙Pに転写するが、搬送体を採用した場合は、転写紙Pに直接転写する。他に大きな違いはなく、それ以外の基本的な構造は図の(a)と同じである。
【0024】
図2は、本発明の画像形成装置の主要構成を示す図である。図において、CPU17は、各種制御プログラムが記憶されたROM18に従って、本画像形成装置の全体を制御する。
【0025】
CPU17は、その機能で区分した場合、トナーパターン形成指示部24、重なり検出部25、色種類検出部26、色ずれ補正部27、および、トナー濃度補正部28を備えて構成されている。トナーパターン形成指示部24は、中間転写ベルト7上にトナーパターン(色ずれ制御用パターンおよび濃度制御用パターン)の形成を指示する。重なり検出部25は、トナーパターンが異なる色同士で重なったことを検出する。色種類検出部26は、重なったトナーパターンが何色と何色であるかを検出する。色ずれ補正部27は、各色に対応する作像ユニットの画像を形成するタイミングを変化させる色ずれ補正を行う。トナー濃度補正部28は、各作像ユニットが形成する画像の濃度を補正する濃度補正を行う。
【0026】
RAM19は、各種必要なパラメータ及び本画像形成装置の全体制御のワークエリア領域等を含む。I/F部20は、有線LAN,無線LAN,USB等を経由して外部装置(図示せず)と接続し、または、画像形成装置の他の構成部(図示せず)と接続する。書込部21は、I/F部20から受信した画像データをK,C,M,Yの各色の画像デジタル信号に分離し、これらの信号をRAM19に格納されたトナー濃度および色ずれパラメータに従って、露光装置8に送信する。
【0027】
色ずれ補正制御およびトナー濃度制御では、まず、中間転写ベルト7を一定速度で動かしながら、トナーパターン(色ずれ制御用パターンおよび濃度制御用パターン)を、RAM19に格納されたタイミングで中間転写ベルト7上に形成する。次に、反射型センサ16より検出された色ずれ情報およびトナー濃度情報がI/O部22に入力され、その情報に基づきCPU17により演算し、その補正パラメータ(色ずれ量およびトナー濃度量)がRAM19に格納され、次の画像形成動作に受け継がれる。
【0028】
カウンタ23は、中間転写ベルト7上に形成されたトナーパターン(色ずれ制御用パターンおよび濃度制御用パターン)の数をカウントするためのカウンタである。
【0029】
図3は、反射型センサ16の構成の一例を示す図である。反射型センサ16は、中間転写ベルト7に向けて配置されており、中間転写ベルト7の表面上に形成されたトナーパターン29の濃度および各色の位置を検知する。反射型センサ16は、赤外発光ダイオードなどの発光素子30と、フォトトランジスタ/フォトダイオードの受光素子31,32と、これらを収容するホルダ33とからなり、出力電圧信号により各色のトナー濃度および位置を測る。
【0030】
受光素子31は、トナーパターン29からの正反射光を検知し、受光素子32は、トナーパターン29からの拡散反射光を検知する。そして、両方を検知することにより、ブラック,シアン,マゼンタ,イエローの各色を低濃度から高濃度までの範囲で検知することが可能となる。一方、各色の位置検出だけであれば、正反射光を検知する受光素子31のみで検知することが可能である。そして、この正反射光は、中間転写ベルト7の変形等によりトナーパターン29の各色が重なった場合には、その検出値が極端に変動するが、これについては後ほど改めて説明する。
【0031】
図4は、中間転写ベルト7上に形成されるトナーパターン29の形成例と反射型センサ16との位置関係を示す図である。本例では、反射型センサ16は、3個備えられている。そして、トナーパターン(色ずれ制御用パターン)29は、中間転写ベルト7の中央および両端付近に形成され、その位置に対応する反射型センサ16a,16b,16cがそれぞれ正反射光を検知することにより、色ずれ制御用パターンの各色の位置を検出する。
【0032】
トナーパターン(色ずれ制御用パターン)29は、具体的には、イエロー,ブラック,シアン,マゼンタの各トナーパターンが直線および斜め線で並んで形成されたものである。そして、ブラックを基準色として、ブラックとイエロー,シアン,マゼンタの各色の位置関係から各色の色ずれ量を検出する。具体的には、直線のトナーパターン間で搬送方向の色ずれ量、直線のトナーパターンと斜め線のトナーパターン間で主走査方向の色ずれ量を検出する。位置関係は、それらのトナーパターンの通過タイミングをカウンタ23でカウントすることで分かる。CPU17(色ずれ補正部27)は、そのカウント値からの色ずれ量に基づき、書込部21における書き込みタイミングを制御する色ずれ補正制御を行う。
【0033】
一方、濃度制御パターン(図示せず)は、イエロー,ブラック,シアン,マゼンタのそれぞれの単色の階調を表すトナーパターン(例えば、10階調の場合は10種類のトナーパターン)が並んでおり、その階調度は、イエローを例に、濃度10%、20%、・・・、濃度100%とあらかじめ決められている。そして、濃度制御パターンが反射型センサ16により検出されると、CPU17(トナー濃度補正部28)はその検出値を画像濃度との関係に基づいて画像濃度に変換し、その結果に基づいてプロセス条件を制御する濃度補正制御を行う。
【0034】
中間転写ベルト7上に形成された各トナーパターン29(色ずれ制御用パターンのみ図示)は、中間転写ベルト7の搬送方向(副走査方向)に搬送され、各トナーパターン29が3個の反射型センサ16a,16b,16cの真下を通過すると、これらの反射型センサによって、各階調および色ずれの各トナーパターン29が順次並行検知される。
【0035】
図5は、図4に示したトナーパターン(色ずれ制御用パターン)29を、反射型センサ16により検出した時の正反射光による出力波形を表す図である。色ずれ制御用パターン29のうち、ブラックは他の色(イエロー,シアン,マゼンタ)に比べて反射率が少し悪いので出力電圧値は他の色より下がっている一方、他の色は、ほぼ同じ出力電圧値である。そして、色ずれを検出した場合は、予め決められたしきい値を基準として、立ち下がりの交点と立ち上がりの交点を足して2で割り中心値を求め、検出値とする。一方、図示しないが、濃度制御パターンを反射型センサ16により検出した時の出力波形は、その階調に従って出力電圧値が順々に下がる。そして、トナー濃度を検出する場合は、この波形の振幅値を検出し、検出値とする。
【0036】
図6は、図5の出力波形をカウンタ23でカウントする方法を説明する図である。出力波形値が一回しきい値をまたぐとカウンタ23が1カウントする。そして、カウンタ23によるカウント数は、RAM19に格納される。また、RAM19内にはCPU17によって単位時間当たりの規定カウント値が展開されており、CPU17(重なり検出部25)によって前記単位時間当たりのカウンタ23のカウント値が規定カウント値と等しいか否かの比較演算処理が単位時間毎に行われる。
【0037】
(トナーパターンの色同士が重なった場合)
次に、中間転写ベルト7上に形成されたトナーパターン29の色同士が重なった場合についての色ずれ補正制御について説明する。図7は、図4に示したトナーパターン29が重なった場合を示す図である。本例では、中間転写ベルト7の変形等、何らかの原因により大きな色ずれが発生し、CとMのトナーパターンが重なっている。このようにトナーパターンが重なった場合、ブラックを基準色として、ブラックとマゼンタの位置関係からマゼンタの色ずれ量を検出する制御を行うことができない。すなわち、ブラックとマゼンタの直線のトナーパターン間で搬送方向の色ずれ量、ブラックとマゼンタの直線のトナーパターンと斜め線のトナーパターン間で主走査方向の色ずれ量を検出するという制御が行われないため、結果的にマゼンタに対しては色ずれ補正を実施することができない。
【0038】
図8は、図7のような場合に、トナーパターン29を反射型センサ16により検出した時の正反射光による出力波形を表す図である。実際にトナーパターン29が重なっている部分を検出した時の出力波形は、その幅が広がった形状となっている。このように出力波形が広がるため、立ち下がりの交点と立ち上がりの交点を足して2で割った中心値が実際のシアンのトナーパターンの中心値に対してずれるため、その検出値が極端に変動してしまい、前述したマゼンタだけではなくシアンも、正常な色ずれ補正を実施することができない。
【0039】
図9は、図8の出力波形をカウンタ23でカウントした場合を説明する図である。図6と比べて、トナーパターン29が重なっているため、重なっているCとMの出力波形で一回しきい値をまたぐ形となり、カウンタ23は重なってるCとMのトナーパターン29で1カウントする動作となる。このため、単位時間当たりのカウント値が前述の規定カウント値よりも減少する。
【0040】
このように単位時間当たりの規定カウント値に対して実際のカウント値が減少した場合、CPU17(重なり検出部25)はトナーパターン29が重なっていると判断する。CPU17(重なり検出部25)は、トナーパターン29が重なっていると判断した場合、減少したカウント値をRAM19に格納する。
【0041】
次に、CPU17(色種類検出部26)は、以下の制御を行う。まず、露光装置8から出射されるレーザ光を1色だけ消灯し、その状態で再度中間転写ベルト7上に色ずれ制御用パターンであるトナーパターン29を形成するように指示する。次に、トナーパターン29を反射型センサ16により検出し、正反射光による出力波形をカウンタ23でカウントする。最後に、測定した単位時間当たりのカウント値をRAM19に格納してあるカウント値と比較する。そして、測定したカウント値がRAM19に格納してあるカウント値より少ない場合、消灯した色は重なっている色ではないと判断し、両方のカウント値が同じ場合は、消灯した色は重なっている色であると判断する。
【0042】
CPU17(色種類検出部26)は、これらの制御を全色に対して実施する。すなわち、Kを消灯してトナーパターンを形成してKが重なっている色かを判断し、次に、Cを消灯してトナーパターンを形成してCが重なっている色かを判断し、次に、Mを消灯してトナーパターンを形成してMが重なっている色かを判断し、最後に、Yを消灯してトナーパターンを形成してYが重なっている色かを判断する。なお、重なっている色かを判断する順番は、K,C,M,Yの順番である必要はなく任意である。
【0043】
図10は、Yを消灯した時のトナーパターン29と出力波形との関係を示す図である。この場合、図9と比べてカウント値が少ないので、消灯した色(Y)は重なっている色ではないと判断される。一方、図11は、Mを消灯した時のトナーパターン29と出力波形との関係を示す図である。この場合、図9と比べてカウント値は同じなので、消灯した色(M)は重なっている色であると判断される。本例の場合、CPU17(色種類検出部26)は、K,C,M,Yの全てについて制御を行った後、重なったトナーパターンがCとMであることを検出することができる。
【0044】
最後に、CPU17(色ずれ補正部27)は、重なっていた色の片方(本例では、C)を消灯した状態で色ずれ補正を行い、さらに、もう片方の色(本例では、M)を消灯した状態で色ずれ補正を行う。以上により、中間転写ベルト7上に形成されたトナーパターン29の色同士が重なった場合でも確実に色ずれ補正制御を行うことができる。
【0045】
(色ずれ補正制御方法)
次に、画像形成部による色ずれ補正制御方法について説明する。図12は、色ずれ補正制御方法を示すフローチャートである。
【0046】
初めに、トナーパターン形成指示部24は、中間転写ベルト7上にトナーパターン(色ずれ制御用パターン)29の形成を指示し(ステップS1)、中間転写ベルト7上にトナーパターン29が形成される。次に、CPU17(重なり検出部25)は、単位時間当たりのトナーパターン29の数を検出する(カウントする)(ステップS2)。
【0047】
次に、CPU17(重なり検出部25)は、検出した単位時間当たりのトナーパターン29の数が、規定の数と同じか否かを判断する(ステップS3)。CPU17(重なり検出部25)は、検出した単位時間当たりのトナーパターン29の数が、規定の数と同じであると判断した場合、すなわち、中間転写ベルト7上に形成されたトナーパターン29の色同士が重なっていないと判断した場合(ステップS3:Yes)、CPU17(色ずれ補正部27)は、色ずれ補正を実施し(ステップS4)、処理を終了する。
【0048】
一方、CPU17(重なり検出部25)は、検出した単位時間当たりのトナーパターン29の数が、規定の数と同じではないと判断した場合、すなわち、中間転写ベルト7上に形成されたトナーパターン29の色同士が重なっていると判断した場合(ステップS3:No)、検出した単位時間当たりのトナーパターン29の数をRAM19に格納する(ステップS5)。
【0049】
次に、CPU17(色種類検出部26)は、露光装置8から出射されるレーザ光を1色だけ消灯し、その状態で再度中間転写ベルト7上にトナーパターン29を形成するように指示し(ステップS6)、再度中間転写ベルト7上にトナーパターン29が形成される。次に、CPU17(色種類検出部26)は、再度単位時間当たりのトナーパターン29の数を検出する(カウントする)(ステップS7)。
【0050】
次に、CPU17(色種類検出部26)は、再度検出した単位時間当たりのトナーパターン29の数が、RAM19に格納してあるトナーパターン29の数と同じか否かを判断する(ステップS8)。CPU17(色種類検出部26)は、再度検出した単位時間当たりのトナーパターン29の数が、RAM19に格納してあるトナーパターン29の数と同じであると判断した場合(ステップS8:Yes)、消灯した色は重なっている色であると判断し(ステップS9)、ステップS11へ進む。
【0051】
一方、CPU17(色種類検出部26)は、再度検出した単位時間当たりのトナーパターン29の数が、RAM19に格納してあるトナーパターン29の数と同じではないと判断した場合(ステップS8:No)、消灯した色は重なっている色ではないと判断し(ステップS10)、ステップS11へ進む。
【0052】
ステップS11で、CPU17(色種類検出部26)は、全色に対してS6〜S10の処理を実施したか否かを判断する。CPU17(色種類検出部26)は、全色に対してS6〜S10の処理を実施していないと判断した場合(ステップS11:No)、ステップS6へ戻り以下のステップを繰り返す。
【0053】
一方、CPU17(色種類検出部26)は、全色に対してS6〜S10の処理を実施していると判断した場合(ステップS11:Yes)、CPU17(色ずれ補正部27)は、重なっていた色の片方を消灯した状態で再度中間転写ベルト7上にトナーパターン29を形成するように指示し(ステップS12)、再度中間転写ベルト7上にトナーパターン29が形成される。
【0054】
次に、CPU17(色ずれ補正部27)は、消灯されている色以外について色ずれ補正を実施する(ステップS13)。次に、CPU17(色ずれ補正部27)は、重なっていた色全てについて色ずれ補正を実施したか否かを判断する(ステップS14)。CPU17(色ずれ補正部27)は、重なっていた色全てについて色ずれ補正を実施していないと判断した場合(ステップS14:No)、ステップS12へ戻り以下のステップを繰り返す。
【0055】
一方、CPU17(色ずれ補正部27)は、重なっていた色全てについて色ずれ補正を実施していると判断した場合(ステップS14:Yes)、全色に対して色ずれ補正が実施されたと判断し、処理を終了する。以上のステップを経て、色ずれ補正制御が終了する。
【0056】
このように、本実施の形態の画像形成装置によれば、中間転写ベルト上のトナーパターンが重なっても、重なり検出部がトナーパターンが重なったことを検出し、色種類検出部が何色と何色のトナーパターンが重なっているかを検出することができるので、色ずれ補正部が確実に色ずれ補正を行うことが可能となる。
【0057】
なお、本実施の形態の画像形成装置で実行される画像形成プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0058】
また、本実施の形態の画像形成装置で実行される画像形成プログラムを、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0059】
さらに、本実施の形態の画像形成装置で実行される画像形成プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の画像形成装置で実行される画像形成プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0060】
本実施の形態の画像形成装置で実行される画像形成プログラムは、上述した各部(トナーパターン形成指示部24、重なり検出部25、色種類検出部26、色ずれ補正部27、および、トナー濃度補正部28)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから画像形成プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、トナーパターン形成指示部24、重なり検出部25、色種類検出部26、色ずれ補正部27、および、トナー濃度補正部28が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0061】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1K,1C,1M,1Y 作像ユニット
2K,2C,2M,2Y 感光体ドラム
3K,3C,3M,3Y 帯電装置
4K,4C,4M,4Y 現像装置
5K,5C,5M,5Y 一次転写ローラ
6K,6C,6M,6Y クリーニング装置
7 中間転写ベルト
8 露光装置
9 駆動ローラ
10 テンションローラ
11 二次転写ローラ
12 給紙ユニット
13 レジストローラ対
14 定着装置
15 クリーニング装置
16 反射型センサ
17 CPU
18 ROM
19 RAM
20 I/F部
21 書込部
22 I/O部
23 カウンタ
24 トナーパターン形成指示部
25 重なり検出部
26 色種類検出部
27 色ずれ補正部
28 トナー濃度補正部
29 トナーパターン
30 発光素子
31,32 受光素子
33 ホルダ
P 転写紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開2005−352291号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像作像部のそれぞれが形成した複数色の画像を、転写ベルトを介して転写材に転写して画像形成を行う画像形成装置であって、
複数の前記画像作像部のそれぞれが前記転写ベルト上に形成した複数色の色ずれ補正用のトナーパターンを検出するトナーパターン検出手段と、
前記トナーパターン検出手段が単位時間内で検出した前記トナーパターンの数を集計する集計手段と、
前記集計手段が集計した値である第1の値が所定の値より少ない場合、前記トナーパターンが異なる色同士で重なったことを検出する重なり検出手段と、
重なった前記トナーパターンの色の種類を検出する色種類検出手段と、
検出した前記色の種類に対応する前記画像作像部の画像を形成するタイミングを変化させる色ずれ補正を行う色ずれ補正手段と、を備えたこと、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記色種類検出手段は、
複数の前記画像作像部から1つの前記画像作像部を選択し、選択された画像作像部以外の前記画像作像部に対して、前記トナーパターンを形成する様に指示し、
この状態で形成された前記トナーパターンの数を集計した値が前記第1の値と同じ場合、選択した前記画像作像部が形成する色が重なった色の1つであると判断すること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記色ずれ補正手段は、
重なった色のいずれか1つに対応した前記画像作像部以外の前記画像作像部に対して、前記トナーパターンを形成する様に指示し、
この状態で形成された前記トナーパターンから算出した色ずれ量に基づいて、前記色ずれ補正を行うこと、
を特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の値および前記所定の値を記憶する記憶手段をさらに備えたこと、
を特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
複数の画像作像部のそれぞれが形成した複数色の画像を、転写ベルトを介して転写材に転写して画像形成を行う画像形成装置で実行される画像形成方法であって、
トナーパターン検出手段が、複数の前記画像作像部のそれぞれが前記転写ベルト上に形成した複数色の色ずれ補正用のトナーパターンを検出するトナーパターン検出工程と、
集計手段が、前記トナーパターン検出工程で単位時間内で検出した前記トナーパターンの数を集計する集計工程と、
重なり検出手段が、前記集計工程で集計した値である第1の値が所定の値より少ない場合、前記トナーパターンが異なる色同士で重なったことを検出する重なり検出工程と、
色種類検出手段が、重なった前記トナーパターンの色の種類を検出する色種類検出工程と、
色ずれ補正手段が、検出した前記色に対応する前記画像作像部の画像を形成するタイミングを変化させる色ずれ補正を行う色ずれ補正工程と、を含むこと、
を特徴とする画像形成方法。
【請求項6】
コンピュータを、
複数の画像作像部のそれぞれが転写ベルト上に形成した複数色の色ずれ補正用のトナーパターンを検出するトナーパターン検出手段と、
前記トナーパターン検出手段が単位時間内で検出した前記トナーパターンの数を集計する集計手段と、
前記集計手段が集計した値である第1の値が所定の値より少ない場合、前記トナーパターンが異なる色同士で重なったことを検出する重なり検出手段と、
重なった前記トナーパターンの色の種類を検出する色種類検出手段と、
検出した前記色の種類に対応する前記画像作像部の画像を形成するタイミングを変化させる色ずれ補正を行う色ずれ補正手段と、して機能させるための画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−217721(P2010−217721A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66431(P2009−66431)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】