説明

画像形成装置、画像形成装置の制御方法、プログラム、及び記録媒体

【課題】画像処理装置を置き換えた場合に、ドライバのインストールや設定の手間を削減した画像形成装置、画像形成装置の制御方法、プログラム、及び記録媒体を提供する。
【解決手段】アソシエーション情報及び画像処理装置に関する機器情報を記憶する可搬性記憶媒体と、可搬性記憶媒体との間で各情報を授受する第1のインターフェース、第1のインターフェースからの各情報に基づいてアソシエーション及びPnPを行うセットアップ手段、及び外部のコンピュータとの間での通信に際してPnPの情報に基づいて画像情報を授受する第2のインターフェースを有する画像形成装置本体と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置の制御方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機やファクシミリ装置等の画像形成装置において、バックアップやリストアを行うため可搬性記憶媒体に設定情報を記憶させることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の発明は、可搬性記憶媒体を接続するためのインターフェースと、画像形成装置に内蔵された記憶媒体に格納されている設定情報を画像形成装置の種別を識別する種別情報とともに、可搬性記憶媒体に書き込む可搬性記憶媒体書き込み手段とを備えた画像形成装置である。
【0003】
この画像形成装置によれば、画像形成装置の設定情報を着脱可能な可搬性記憶媒体に格納して、その画像形成装置においてバックアップ及び/又はリストアを可能とする。また、同じグループに属する他の画像形成装置へ同様の設定を行うことができるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、病院、警察署、消防署などの業務を停止することができない機関では、プリンタの故障や点検時に業務を停止することがないように代替機を用意しており、問題が発生した時は即時代替機と交換する運用をしている場合がある。
【0005】
しかしUSB(Universal Serial Bus:コンピュータと周辺機器とを接続するバス規格)接続の場合、ドライバの再インストールが必要であり、ドライバがデフォルト設定でインストールされるため、再度プリンタ名称の入力や設定の変更が必須となる。このように利用者自身がドライバの再インストールおよび設定をすることは非常な手間であり、業務に支障が出る。
【0006】
また、プリンタおよびPC(Personal Computer)といったOA(Office Automation)機器の大量導入において、マスターPCを作成して何十、何百の端末に対してドライブコピーすることで、セットアップ作業の効率化をはかる方法がある。
しかしUSB接続の場合、マスターのコピーと実際の利用環境とでは、プリンタの固体が異なるため利用者環境でのセットアップ作業が必要である。そのため一括セットアップの意味がない。
【0007】
有線によるUSBでは機器間で共通のPnP(Plug and Play:周辺機器を取り付けると、すぐに動く)情報を利用することでこれらの問題を解決することができる。
しかし、プリンタに共通のPnP情報を固定値で持たせた場合、その値は容易に変更できないため設計制約となる。また動的変更する際にも、プリンタの操作パネルなどを介した操作では使い勝手が悪い。
特に無線によるWireless USBでは、PnP情報の他に、接続相手を特定するためのアソシエーション情報(CC:Connection Context)が必要であり、この情報は機器間で共通の値を機器に固定で持たせることができない。したがって、個別にセットアップを行う必要がある。
【0008】
ここで、PnP情報とは、例えばWindows(登録商標) OS(Opetating System)のドライバインストールに用いられる情報で、例えば、Windows XPはUSBプリンタの識別方法として、下記4種類の情報を使用している。
【0009】
(1)ベンダID(identification)(メーカーごと固定)
(2)プロダクトID(メーカーが任意につける)
(3)シリアルNo(固体ごとに異なる情報)
(4)デバイスID(MFG(デバイス製造元)+MDL(機器名を示す省略名称)
【0010】
通常これらのPnP情報は機器ごとに異なる値を保持しているため、機器ごとにドライバをインストールしなければならない。
【0011】
そこで、本発明の目的は、画像処理装置を置き換えた場合に、ドライバのインストールや設定の手間を削減した画像形成装置、画像形成装置の制御方法、プログラム、及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、アソシエーション情報及び画像処理装置本体に関する機器情報を記憶する可搬性記憶媒体と、前記可搬性記憶媒体との間で前記各情報を授受する第1のインターフェース、前記第1のインターフェースからの前記各情報に基づいて前記アソシエーションを行うことによる接続相手の決定及びPnPを行うことにより外部のコンピュータに認識させるセットアップ手段、及び前記外部のコンピュータとの間での通信に際して前記PnPの情報に基づいて画像情報を授受する第2のインターフェースを有する画像形成装置本体と、を備えたことを特徴とする。
請求項1記載の発明により、外部からPnP情報を設定することで新規にPnPしないようにすることができる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記アソシエーション情報は、ユーザごとに異なる情報であることを特徴とする。
請求項2記載の発明により、接続先IDの競合を回避することができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記機器情報は、プリンタ、スキャナ、もしくはストレージのPnP情報であり、該PnP情報は機器間で共通な値であることを特徴とする。
請求項3記載の発明により、ドライバ情報を複数持つ必要が無くなり、記憶領域の節約が可能となる。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記機器情報は、プリンタ、スキャナ、もしくはストレージのサービス情報であり、プリンタ、スキャナ、もしくはストレージの該サービス情報にしたがってPnP情報のフォーマットを構築することを特徴とする。
請求項4記載の発明により、USBのディスクリプタ構成をユーザ毎に再構築することができ、ディスクリプタ構成をユーザ環境に合わせて変更することでUSBデバイスとしてのPnPを動作させないようにすることが可能となる。ディスクリプタ構成が変更されると、Windows OSは異なるUSBデバイスとして認識する。そのため、PnPを動作させないようにするには、ドライバのセットアップを行ったときと同様のディスクリプタ構成で接続する必要がある。請求項4はこれを実現するものである。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記機器情報は、アソシエーション情報を生成する手段を示す情報であり、前記プリンタ、スキャナ、もしくはストレージは、前記手段で用いるFSKのキー値を保持するか、またはFSKのキー値を変更することを特徴とする。
すなわち、請求項5記載の発明は、アソシエーション方法とアソシエーションに使うキーを指定することが可能であることを特徴とする(後述する図5のTypeタグ及びKeyタグに該当する。)。また、請求項5記載の発明により、FSKを調べる必要がなく、手間の簡略化が図れる。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記プリンタ、スキャナ、もしくはストレージは、前記FSKを指定して得られたアソシエーション情報及び前記機器情報を前記可搬性記憶媒体へ保存することを特徴とする。
請求項6記載の発明により、手間の削減が図れる。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記機器情報は、アソシエーション情報を生成する手段を示す情報であり、前記プリンタ、スキャナ、もしくはストレージは、前記手段で用いるIDを保存するかまたは、該IDを変更することを特徴とする。
請求項7記載の発明により、CAMにおいてPC側に余計なデバイスの登録情報を増やさなくて済む。
【0019】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、前記プリンタ、スキャナ、もしくはストレージは、前記情報を生成したときに前記アソシエーション情報及び前記機器情報を可搬性記憶媒体へ保存することを特徴とすることを特徴とする。
請求項8記載の発明により、手間の削減が図れる。
【0020】
請求項9記載の発明は、アソシエーション情報及び画像処理装置本体に関する機器情報を記憶する可搬性記憶媒体と画像形成装置本体との間で前記各情報を授受し、前記各情報に基づいて前記アソシエーションを行うことによる接続相手の決定及びPnPを行うことにより外部のコンピュータに認識させた後で、前記外部のコンピュータと前記画像形成装置本体との間での通信に際して前記PnPの情報に基づいて画像情報を授受することを特徴とする。
請求項9記載の発明により、外部からPnP情報を設定することで新規にPnPしないようにすることができる。
【0021】
請求項10記載の発明は、コンピュータに、可搬性記憶媒体が、アソシエーション情報及び画像処理装置本体に関する機器情報を記憶する手順、画像形成装置本体が、前記可搬性記憶媒体との間で前記各情報を授受する手順、前記画像形成装置本体が、前記各情報に基づいて前記アソシエーションを行うことによる接続相手を決定する手順、前記画像形成装置本体が、PnPを行うことにより外部のコンピュータに認識させる手順、前記画像形成装置本体が、前記外部のコンピュータとの間での通信に際して前記PnPの情報に基づいて画像情報を授受する手順、を実行させることを特徴とする。
請求項10記載の発明により、外部からPnP情報を設定することで新規にPnPしないようにすることができる。
【0022】
請求項11記載の発明は、請求項10記載のプログラムを記録した記録媒体であることを特徴とする。
請求項11記載の発明により、外部からPnP情報を設定することで新規にPnPしないようにすることができる。
【0023】
ここで、「FSKを調べる」点、及び「FSKのキー値」点について述べる。
FSK(Fixed Symmetric Key)は、デバイスに固有の値である。この値は、デバイス装置を識別するためのIDのようなものである。例えばシリアルNoを用いても良い。この値自体が調査対象である。
FSKのアソシエーションでは、接続対象を特定するためにFSKを使うため、ユーザが接続したいデバイス装置のFSKを知っている必要がある。
FSKの配布方法には、特に制約はない。FSK値を記したラベルを装置に添付しても良く、メールで配布しても良い。
いずれにしろ、何らかの方法(電子通信に限らず)でユーザはFSKを手に入れがホスト装置へ値を入力することになる。
【0024】
ここで、アソシエーションには、3種類(CAM,NAM,FSK)あるので、以下に述べる。
Wireless USBでは、アソシエーションで通信相手の妥当性を確認するために以下の方法をとる。
・CAMは、ケーブル接続する。
・NAMは、一時的に生成したナンバーをホスト装置とデバイス装置で同じ値が出ていることを確認する。
・FSKは、デバイスに固有の値をホスト装置に入力する。
また、「コンピュータ」とは、後述する画像形成装置本体内のOS(LPUX)で作動するコントローラ200(図2参照。)に対応し、「外部のコンピュータ」はPC608(図8参照。)に対応する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ユーザのPCにセットアップ済みのアソシエーション情報およびプリンタのPnP情報を、外部から画像形成装置本体へセットすることで、異なる画像形成装置本体に接続する際にも、同じデバイスとして認識させることが可能となる。インストール済みのドライバを再利用可能となるため、画像形成装置本体ごとにドライバをセットアップする必要がなくなり、セットアップの工数を削減できる。また、設定情報をセットする手段として、USBメモリやNFC(Near Field Communication)デバイスを用いることで、Wireless USBの接続においてもケーブル接続と同等の手間で接続を確立することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る画像形成装置に用いられる画像読取装置の機能構成図の一例である。
【図2】本発明に係る画像形成装置のハードウェア構成図の一例である。
【図3】本発明に係る画像形成装置のモジュール構成図の一例である。
【図4】本発明に係る画像形成装置に用いられるPnP情報の構成図の一例である。
【図5】本発明の画像形成装置に用いられる可搬性記憶媒体内のアソシエーション情報及び機器情報の記述内容の一例である。
【図6】USBのインタフェースディスクリプタの構成の一例である。
【図7】USBのインタフェースディスクリプタの構成の他の一例である。
【図8】本発明に係る画像形成装置のモジュール構成図の他の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態に係る情報処理装置について、図1〜8を参照しながら以下で詳細に説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置に用いられる画像読取装置の機能構成図の一例である。
本発明の特徴は、アソシエーション手段(FSK)の指定及び、アソシエーション手段を用いた時に必要な「キーの設定」にある。
同図に示す画像読取装置100は、アプリケーション101〜104、API105、サービス106〜111、OS(LPUX)112、エンジンI/F113、エンジン制御ボード114、エンジン115,116、及びその他ハードウェアリソース117で構成されている。
【0028】
アプリケーション101〜104としては、コピーアプリケーション101、ファクスアプリケーション102、プリンタアプリケーション103、及びWebアプリケーション104が挙げられる。
サービス106〜111としては、システム制御サービス106、ファクス制御サービス107、エンジン制御サービス108、メモリ制御サービス109、操作部制御サービス110、及びネットワーク制御サービス111が挙げられる。
ネットワーク制御サービス111は、取得した情報を機器へ入力する手段である。
エンジン115,116としては、プロッタエンジン115及びスキャナエンジン116が挙げられる。
【0029】
図2は、本発明に係る画像形成装置のハードウェア構成図の一例である。
図2は、組み込み聞き機器の一例であるプリンタ/MFP(Multiple Function Printer)としての画像形成装置を想定した構成図を記している。
同図に示す画像形成装置は、コントローラ200、USBメモリ215、メモリカード216、操作部(オペレーションパネル)223、ファクス制御ユニット217、G3(218)、G4(219)、プロッタ220、スキャナ221、及びその他ハードウェアリソース222で構成されている。
【0030】
コントローラ200は、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)201、NB(North Bridge)202、MEM(memory)−P204、ASIC(Application Specification Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)203、MEM−C205、HDD(Hard Disc Drive)206、PCIBUS207、シリアルバス208、NIC(Network Interface Card)209、USB210、アソシエーションを必要とするWUSB224、IEEE802.11b(211)、IEEE1394(212)、USBホスト213、及びメモリカードI/F214で構成されている。
【0031】
OS(LPUX)112は、アソシエーション情報を生成する生成手段であり、機器情報を可搬性記憶媒体へ保存する手段でもあり、情報を取得する手段でもあり、図示しないROM(Read Only Memory)に格納されており、電源投入後、図示しないRAM(Random Acess Memory)に展開されて稼動する。
【0032】
図3は、本発明に係る画像形成装置のモジュール構成図の一例である。
同図において、画像形成装置300は、可搬性記憶媒体301と、画像形成装置本体としての画像読取装置(プリンタ)305とで、構成されている。この構成は、本願の特徴である「通信インターフェースの簡単セットアップ」を実現するための構成である。
可搬性記憶媒体301は、アソシエーション情報(CC)302と、機器情報303とで構成されており、例えば、USBフラッシュメモリやICカードが用いられる。
【0033】
画像読取装置305は、インターフェース1(304)と、セットアップ処理機構306と、インターフェース2(307)とを有する。本実施の形態では、原稿を照射する光源、光学系、原稿からの反射光を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)、及び原稿を搬送する搬送手段は省略されている。
【0034】
インターフェース1(304)は、情報を取得する手段でもあり、機器情報を可搬性記憶媒体へ保存する手段でもあり、可搬性記憶媒体301としてのUSBフラッシュメモリもしくはICカードと画像読取装置305との間でアソシエーション情報及び機器情報を授受するためのインターフェースである。
ここで、可搬性記憶媒体301は、アソシエーション情報や機器情報を保存するだけである。
【0035】
セットアップ処理機構306は、画像読取装置305がセットアップを行うための機構である。
インターフェース2(307)は、アソシエーションを必要とし、画像読取装置305がPC308と画像情報を授受するためのインターフェースであり、アソシエーション情報を生成する生成手段でもある。すなわち、図3におけるインターフェース2(307)は、さまざまな周辺機器を接続するためのインターフェースである。例としてUSB、Wireless USB、IEEE1394等の異なる用途のデバイスを接続できるインターフェースを適用できる。
インターフェース1(304)、インターフェース2(307)及びセットアップ処理機構(306)は、図1のOS(LPUX)112と、ネットワーク制御サービス111とで構成される。
【0036】
ここで、サービス構成について説明する。
本発明の対象装置であるMFPには、プリント機能の他に、スキャナやストレージ(外付けHDD)などの機能(サービス)を提供することが可能である。「サービス構成」は、この機能の有効/無効の情報にあたる。
USBはサービス構成が変わると、異なる装置と認識して再度PnP処理が動作する(windows OSの場合)。このPnP処理を動作させないようにすることが、本発明の特徴である。
【0037】
図4は、本発明に係る画像形成装置に用いられるPnP情報の構成図の一例である。
図4に示すPnP情報は、デバイスデスクリプタ400と、コンフィグレーションディスクリプタ401と、インターフェース0(402)〜インターフェース2(404)とがツリー構造を有するものである。
【0038】
尚、図3ではインターフェース1がUSBホストI/ForICカードR/W、インターフェース2がワイヤレスUSBとなっており、図4ではインターフェース0がプリンタ、インターフェース1がスキャナ、インターフェース2がストレージとなっている点について述べる。
図4に記載の「インターフェース」はUSBの技術用語であり、インタフェースディスクリプタのことである。インタフェースディスクリプタにはUSBデバイスが備える機能カテゴリー(USB Class Codes)が記されることになっている。プリンタ(07h)、ストレージ(08h)で表現される。スキャナは存在しないので、ベンダ依存(FFh)が使用される場合がある(参考:http://www.usb.org/developers/defind class)。
【0039】
図5は、本発明の画像形成装置に用いられる可搬性記憶媒体内のアソシエーション情報及び機器情報の記述内容の一例である。
設定情報がXMLで表記されている。
<Type>FSK</Type>は、使用するアソシエーションタイプを示す。
<Key>AAAA</Key>は、FSK値(例えば、シリアルNo)を示す。
<conectionContext>〜<CK>DDD</CK>は、CCの値を示す。
<connfigureDevice>〜<seialNo>123456789AB</serialNo>は、USBデバイスとしてのPnP情報を示す。
<configureService>は、サービス構成を示す。
【0040】
ここで、図5の<application>タグの情報を用いてUSBのインタフェースディスクリプタを構成する場合について述べる。
インタフェースディスクリプタは、USBデバイスがもつ機能のカテゴリーを示す。
例えば、<application>printer scanner storage</application>ならば図6に示すような構成になる。
また、例えば、<application>printere</application>ならば図7に示すような構成になる。
【0041】
以下に、図3を用いて可搬性記憶媒体装着時から、プリンタのセットアップが完了してWireless USBで通信可能となるまでの流れを記す。
まず、可搬性記憶媒体301をインターフェース1(304)へ装着することで、アソシエーション情報(CC)と機器情報(PnP情報)とをプリンタ305へ入力する(手順S1)。
可搬性記憶媒体301は、ICカードやUSBメモリなどのユーザ毎に持ち運びの可能な記憶媒体である。
インターフェース1(304)は、可搬性記憶媒体301から情報を取得する装置であり、USBホストI/FまたはNFCなどが挙げられる。
【0042】
アソシエーション情報(CC:Connection Context)は、接続先を一意に特定するための認証情報であり、CHID、CDID、CKから構成される。
ここで、CCはWireless USBなどの無線通信において、接続相手を一意に特定するための情報であり、CHID、CDID、CKの3値から構成される。
CHIDはホスト(例えばPC)のIDである。
CDIDはホストがデバイスを識別するためのIDであり、CHID毎に異なる値でホストからデバイス(例えばプリンタ)へ割り当てられる。
CKはコネクションキー(通信の暗号化などに用いられる)であり、CHIDとCDIDの組み合わせにおいて固有の値となる。
【0043】
CHID:Connection Host ID
CDID:Connection Device ID
CK :Connection Key
【0044】
CHID、CDID、及びCKは、それぞれ16バイトで、CCは48バイトとなる。
【0045】
機器情報303は、例えばプリンタのPnP情報及びサービス構成に関する情報である。
Wireless USBでは、CCはホストとデバイスとで同じものを保持する必要があり、PnPの際に同じCCを保持していることを確認することで、接続相手の妥当性を判断する。
【0046】
機器情報はWindows OSなどを搭載したPCがプリンタのPnPに使用するVendor、Product、Serial Noである。さらにプリンタとしてPnPするためにUSBデバイスの特性を特定するためのサービス情報、およびプリンタのPnPに使用するデバイスIDから構成される。
これらの情報は可搬性記憶媒体へ、図5のように保存される。
【0047】
インターフェース1(304)から入力された情報は、セットアップ処理機構306へ入力される(手順S2)。
セットアップ処理機構306は、入力された情報を基にして、アソシエーションとPnPとに必要な論理的な機器構成(図4参照)を構築する機構である。
セットアップ処理機構306で構成された機器構成は、インターフェース2(307)へ入力される(手順S3)。
インターフェース2(307)は、アソシエーションを必要とする通信I/Fであり、Wireless USB I/Fなどがあげられる。
インターフェース2(307)は、セットアップ処理機構306が構築した論理的な機器構成を基にアソシエーションとPnP(共に手順S3)を行う。
手順S1〜S4は、ユーザがプリンタ305と接続する毎に行うことで、複数のプリンタに接続する際でも、一つのインストール済みのドライバを再利用できる。そのため、プリンタのセットアップに要する手間を削減可能となる。例えば、本実施形態で紹介したWirelss USBの場合、ケーブル接続と同等の手間で複数のプリンタを利用可となる。
【0048】
手順S1では、アソシエーション手段を指定することが可能であり、手順S4において適切なアソシエーション情報を持たない場合、新規にアソシエーションを実施することが可能である。ことのきのアソシエーション情報および機器情報を可搬性記憶媒体301へ保存することが可能である(手順S5、S6、S7)。
【0049】
外部からPnP情報を設定することで新規にPnPしないようにする方法として、図3、図4の機能を以下に説明する。
機器へ入力するタイミングは、ホスト(PC)308とデバイス(プリンタ)305とをWireless USBで接続する際に行う。Wireless USBを用いたプリンタ305とPC308との接続は、「Wireless USBの接続確立」と、「プリンタのPnP」との2つの処理がある。
例えば、NFCへCCと機器情報を保持しており、今まで接続したことのないプリンタに対してPCを接続したい場合、以下の手順1〜8の流れでWireless USB接続確立とプリンタのPnPとを行う。
【0050】
ここで、「NFCへCCと機器情報を保持しており」とは、図5のうち、以下の情報をICカードなどの記憶媒体へ保存してある状態」を意味している。<association>タグは不要である。
CC(<connectionContext>タグ)
機器情報(<configureDevice>タグ)
機器情報(<configureService>タグ)
【0051】
1.ノートPC(ホスト)をもったユーザがプリンタ(デバイス)305へ近づく。
2.ユーザがNFCで規格されたICカード301をプリンタ305へかざして、プリンタ305へCCと機器情報を入力する。
(ここからWireless USBの接続確立処理)
3.ユーザがノートPC(ホスト)に対して、接続したいプリンタ(デバイス)305を検索するように指示する。
4.プリンタ(デバイス)305でノートPC(ホスト)が検出されるので、ユーザがプリンタ(デバイス)305のパネルなどからノートPC(ホスト)を接続先として選択する。
5.ノートPC(ホスト)とプリンタ(デバイス)305との間で同じCCを保持していることを確認する処理が無線通信で行われる。
6.Wireless USBで接続が確立する。
【0052】
(ここからプリンタのPnP処理)
7.入力した機器情報を用いて、図4のようなPnP用の情報を生成する。
8.入力した機器情報を用いて、プリンタ305のPnPが行われる。このとき、PnP情報は既にセットアップ済みのドライバのものなのでドライバインストールは起こらない。
上述の手順7、8のポイントは、ユーザのPCでPnPした際の構成でPnPを行えることである。
【0053】
例えば、通常接続しようとしているプリンタ305が、プリンタ、スキャナ、ストレージの機能を持っており、セットアップ済みのドライバがプリンタのみの装置としてインストールされているならば、ドライバの再セットアップが必要になる。
【0054】
さらに、接続しようとしているプリンタが、プリンタのみの機能を持っており、セットアップ済みのドライバがプリンタ、スキャナ、ストレージの装置としてインストールされているならば、ドライバの再セットアップが必要になる。
【0055】
つまり、構成が変わると異なる装置と認識されるため、全く同じ構成にする必要があるが、本発明では、セットアップ済みの構成情報を使用したいプリンタへ入力してからPnPを行うので、ドライバの再インストールが不要となる。
【0056】
なお、アソシエーション情報(CC)に関しては、ユーザごとに異なる(ユニークな)CCを使用する。
【0057】
以下に、FSK、NAM、CAMの意味とその機能説明を記載する。
FSK、NAM、CAMはCCを生成する仕組みであり、Wireless USBの規格に記載されているものであり、FSKは、Fixed Symmetric Keyの略である。デバイスの持つ一意の値を接続キーとしてホスト側で入力することで接続相手を特定した後、ホストで生成したCCをデバイスへセットする。
NAMは、Numeric Association Modelの略である。ホストとデバイスで同じナンバーが表示されることをユーザが確認することで接続相手を特定した後、ホストで生成したCCをデバイスへセットする。
CAMは、Cable Association Modelの略である。有線USBでケーブル接続することで、ホストで生成したCCをデバイスへセットする。
【0058】
図8は、本発明に係る画像形成装置のモジュール構成図の他の一例である。
図8に示したモジュール構成図と図3に示したモジュール構成図との相違点は、インターフェース2の代わりにインターフェース3を用いた点である。
インターフェース3(607)はUSBプリフェラル(有線USB)である。手順S10〜S17は、手順S1〜S7と同様のため、説明を省略する。
【0059】
ここで、本実施形態における可搬性記憶媒体は、原則としてプリンタや固定PC(デスクトップ型)の最初のセットアップのときだけ使用(かざすか差し込む)でよく、プリンタやPCの電源をオフした後、再度オンするときは不要である。
例外としては、モバイル装置(例えばノートPC)の一時的な接続が挙げられる。つまり通常は印刷サーバなどの固定PCに接続されているプリンタの接続を、一時的にノートPCに切り替えて使用する場合である。例えば、プリンタを利用する際に毎回、ICカードなどでプリンタとノートPCとをペアリングすることが挙げられる。一般的にペアリングしただけではPnPが動作してしまうので、本願発明ではPnPが動作しないようにプリンタの設定を変更している。
【0060】
<プログラム及び記録媒体>
以上で説明した本発明にかかる画像形成装置は、コンピュータで処理を実行させるプログラムによって実現されている。コンピュータとしては、例えばパーソナルコンピュータやワークステーションなどの汎用的なものが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。よって、一例として、プログラムにより本発明を実現する場合の説明を以下で行う。
【0061】
コンピュータに、
(1)可搬性記憶媒体が、アソシエーション情報及び画像処理装置本体に関する機器情報を記憶する手順、
(2)画像形成装置本体が、可搬性記憶媒体との間で前記各情報を授受する手順、
(3)画像形成装置本体が、各情報に基づいてアソシエーションを行うことによる接続相手を決定する手順、
(4)画像形成装置本体が、PnPを行うことにより外部のコンピュータに認識させる手順、
(5)画像形成装置本体が、外部のコンピュータとの間での通信に際してPnPの情報に基づいて画像情報を授受する手順、
を実行させるプログラムが挙げられる。
【0062】
これにより、プログラムが実行可能なコンピュータ環境さえあれば、どこにおいても本発明にかかる装置を実現することができる。
このようなプログラムは、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
ここで、記録媒体としては、例えば、CD−ROM(Compact Disc ROM)、フレキシブルディスク(FD)、CD−R(CD−Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、FeRAM(強誘電体メモリ)等の半導体メモリやHDDが挙げられる。
【0063】
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【0064】
<発明の効果>
本発明の特徴は、PnP情報をユーザ毎に設定することでドライバの再利用を可能とすることにある。これにより、以下の効果を得られる。
【0065】
本発明によれば、ユーザのPCにセットアップ済みのアソシエーション情報およびプリンタのPnP情報を、外部からプリンタへセットすることで、固体の異なるプリンタに接続する際にも、同じデバイスとして認識させることが可能となる。
インストール済みのドライバを再利用可能となるため、プリンタごとにドライバをセットアップする必要がなくなり、セットアップの工数を削減できる。
また、設定情報をセットする手段として、USBメモリやNFCを用いることで、Wireless USBの接続においてもケーブル接続と同等の手間で接続を確立することが可能である。
【0066】
本発明によれば、複数のプリンタが存在する環境において、接続先を一意に特定することが可能となる。
【0067】
本発明によれば、ドライバ情報を複数持たなくてよく、記憶領域の節約が可能となる。また、アソシエーション情報およびPnP情報の管理簡略化が可能となる。
【0068】
本発明によれば、USBのディスクリプタ構成をユーザ毎に再構築する。
プリンタはモデルによって、スキャナオプションを付与することが可能なものもある。ディスクリプタ構成が変わるとドライバの再インストールが必須であるが、USBのディスクリプタ構成をユーザ毎に再構築することで、モデルの構成が異なる個体に対しても再インストールを不要とすることが可能となる。
【0069】
本発明によれば、Wireless USBのようにアソシエーションを必要とするI/Fにおいて、アソシエーション方法とその実現に際して使用するキーを変更できる。これにより、アソシエーション方法をユーザ毎に変更可能となる。また機器固有のキーを調べる必要がなくなり、セットアップの負担が軽減する。
【0070】
本発明によれば、Wireless USBのようにアソシエーションを必要とするI/Fにおいて、アソシエーション完了とともに設定情報を可搬性記憶媒体へ保存する。これによりユーザは、設定内容の妥当性を管理する必要がなくなる。
【0071】
本発明によれば、これらの値を機器に固有の値とするのではなく、ユーザに固有の値として機器を利用する際に機器へセットすることで、インストール済みのドライバを使用してPnPを行うことが可能にする。結果として、Winsows(登録商標)OSでドライバのインストールを不要としている。
【0072】
本発明によれば、バックアッププリンタ置き換え時の工数削減である。プリンタ置き換え時において、ドライバのインストールや設定の手間を削減することができる。
【0073】
本発明によれば、プリンタ大量導入時のセットアップ効率化である。マスターPCを作成して何十、何百の端末に対してドライブコピーすることで、セットアップ作業の効率化を実現する。
【0074】
本発明によれば、異なる複数のプリンタを使用する環境において、ドライバセットアップの手間を削減とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、複写機、ファクシミリ装置、スキャンプリンタ、複合機等の画像形成装置に利用できる。
【符号の説明】
【0076】
300 画像形成装置
301 可搬性記憶媒体
302 アソシエーション情報
303 機器情報
304 インターフェース1
305 画像読取装置(画像形成装置本体)
306 セットアップ処理機構
307 インターフェース2
308 PC
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2007−128493号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アソシエーション情報及び画像処理装置本体に関する機器情報を記憶する可搬性記憶媒体と、
前記可搬性記憶媒体との間で前記各情報を授受する第1のインターフェース、前記第1のインターフェースからの前記各情報に基づいて前記アソシエーションを行うことによる接続相手の決定及びPnPを行うことにより外部のコンピュータに認識させるセットアップ手段、及び前記外部のコンピュータとの間での通信に際して前記PnPの情報に基づいて画像情報を授受する第2のインターフェースを有する画像形成装置本体と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1において、前記アソシエーション情報は、ユーザごとに異なる情報であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1において、前記機器情報は、プリンタ、スキャナ、もしくはストレージのPnP情報であり、該PnP情報は機器間で共通な値であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1において、前記機器情報は、プリンタ、スキャナ、もしくはストレージのサービス情報であり、プリンタ、スキャナ、もしくはストレージ該サービス情報にしたがってPnP情報のフォーマットを構築することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1において、前記機器情報は、アソシエーション情報を生成する手段を示す情報であり、FSKのキー値を保持するか、またはFSKのキー値を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5において、前記FSKを指定して得られたアソシエーション情報及び前記機器情報を前記可搬性記憶媒体へ保存することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1において、前記機器情報は、アソシエーション情報を生成する手段を示す情報であり、前記情報のIDを保存するかまたは、該IDを変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7において、前記機器情報の手段で得られたアソシエーション情報及び前記機器情報を前記可搬性記憶媒体へ保存することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
アソシエーション情報及び画像処理装置本体に関する機器情報を記憶する可搬性記憶媒体と画像形成装置本体との間で前記各情報を授受し、
前記各情報に基づいて前記アソシエーションを行うことによる接続相手の決定及びPnPを行うことにより外部のコンピュータに認識させた後で、前記外部のコンピュータと前記画像形成装置本体との間での通信に際して前記PnPの情報に基づいて画像情報を授受することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項10】
コンピュータに、
可搬性記憶媒体が、アソシエーション情報及び画像処理装置本体に関する機器情報を記憶する手順、
画像形成装置本体が、前記可搬性記憶媒体との間で前記各情報を授受する手順、
前記画像形成装置本体が、前記各情報に基づいて前記アソシエーションを行うことによる接続相手を決定する手順、
前記画像形成装置本体が、PnPを行うことにより外部のコンピュータに認識させる手順、
前記画像形成装置本体が、前記外部のコンピュータとの間での通信に際して前記PnPの情報に基づいて画像情報を授受する手順、を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
請求項10記載のプログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−198455(P2010−198455A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44094(P2009−44094)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】