説明

画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及びプログラム

【課題】画像形成装置でSDHC−Cardを使用する際に、そのデータ書込み速度によってSDHC−Cardを使用する画像形成装置の機能を限定するとともに、ユーザに対して警告を通知すること。
【解決手段】SDHC−Cardを装着可能なSFP100のSOC103は、SFP100に装着されたSDHC−Cardのスピードクラスの入力をユーザに要求し、ユーザから入力されたスピードクラスに基づいて、SFP100の各機能でSDHC−Cardが使用可能かどうかをそれぞれ判定し、該判定結果をRUI画面(図3)にてユーザに提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メモリカードやUSBメモリ等は、パソコンやデジタルカメラ等に使われてきた。また、印刷装置ではハードディスクを搭載するモデル等は従来から存在している。メモリカードはハードディスクに比べてメモリ容量が少ない、書き込みスピードが遅い、書き込み回数の寿命があるという欠点がある。しかしながら、装着方法や入手性、価格、持ち運び、対振動、耐熱等に対してかなり有利な点もあり、ハードディスクの代わりに記憶媒体として使用する場合もある。
【0003】
最近のメモリカードでは、CompactFlashMemoryからSD−Cardに主流が移り、デジタルカメラではSD−Cardが主たる記憶媒体になっている。また、デジタルビデオカメラ等にも使用される場合もある。
【0004】
SD−Cardは、記憶容量2GBまでという制限があり、それ以上の容量の場合はSDHCカードになる。SD−Card若しくはSDHCカード或いはUSBメモリ、CompactFlashメモリ等はすべてフラッシュメモリが主たる記憶媒体になっており、主に大容量に向いているNAND型フラッシュメモリが使われている。
【0005】
ただし、フラッシュメモリは、読み込み速度は速いが、書き込み速度は遅いという欠点があるが、各カードで搭載されているフラッシュメモリコントローラで並行処理やバッファリング等を行い、フラッシュメモリ単体の書き込み速度の遅さを補っている。
【0006】
画像形成装置においても部品体積、装着性、価格等の難易度が高いハードディスクの代わりにメモリカード、特にSD−Card(SDカード)を装着可能なように装備している機種がある。
【0007】
画像形成装置でSDHC−Card(SDHCカード)を使用する場合には、色々な使用用途がある。例えば、プログラム自動更新ツール、受信バッファー、PDL系のデータ保存(BOX機能)等がある。これらの機能で、書き込み速度を要する機能、読み込み速度を要する機能、メモリ容量のみを要するもの等機能によって、必要とされるSD−Cardの能力は異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−147970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、SDHC−Cardでは、読み込み速度はSDHC−Cardによって大きくは変わるものではないが、書き込み速度はSDHC−Cardにより大きく異なる。一般的に同じメモリ容量であれば安価なSDHC−Cardほど書き込み速度が遅くなり、高価なSDHC−Cardほど書き込み速度は速くなる。
【0010】
従って、安価なSDHC−Cardが画像形成装置に装着されている場合、画像形成装置の各機能で必要とされるSDHC−Cardの書込み速度を満たすことができない場合がある。このような場合、画像形成装置が、装着されたSDHC−Cardを使用して動作した場合、例えば、印刷中のオーバーラン等(画像不良等)の問題が発生する可能性もある。
【0011】
このように、画像形成装置の機能の中には、SDHC−Cardの書き込み速度によっては、そのSDHC−Cardを問題なく使用できる機能と、使用できない機能がある。
しかし、そのSDHC−Cardがいずれの機能の書込み速度を満たしているのか、いずれの機能の書込み速度を満たしていないのかといった情報や、どの機能がどの程度の書込み速度を必要としているのかといった情報を、ユーザは知ることができなかった。このため、書き込み速度が速い高価なSDHC−Cardを画像形成装置に装着する必要があった。
【0012】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものである。本発明の目的は、画像形成装置に装着されるSDHC−Card等の書込み速度に合わせて、画像形成装置の機能を使えるとともに、SDHC−Card等を使用できない画像形成装置の機能に関してはユーザに提示することができる仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、記憶媒体を装着可能な画像形成装置であって、前記画像形成装置に装着された記憶媒体へのデータ書込み速度を示す情報を入力するための入力手段と、前記入力手段により入力されたデータ書込み速度を示す情報に基づいて、前記画像形成装置の有する各機能で前記記憶媒体が使用可能かどうかをそれぞれ判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果をユーザに提示する提示手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画像形成装置に装着される記憶媒体のデータ書込み速度に合わせて、画像形成装置の機能を使えるとともに、装着される記憶媒体を使用できない画像形成装置の機能に関してはユーザに提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例を示す画像形成装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】SFP100とPCをネットワークを介して接続した画像形成システムの一例を示す概念図である。
【図3】PC201の表示部に表示されるRUI画面の一つである機能書込み速度判定画面の一例を示す図である。
【図4】PC201の表示部に表示されるRUI画面の一つであるSDHC−Cardクラス入力画面の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施例1の画像形成装置におけるSDHC−Cardチェック処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】SDHC−Cardの実測書込みスピードとCLASSの分布の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施例2の画像形成装置におけるSDHC−Cardチェック処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施例2の画像形成装置におけるSDHC−Cardパフォーマンス診断処理(check SDHC−Card Performance処理)の一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の画像形成装置におけるSDHC記憶領域入れ換え処理(SWAP SDHC−Area処理)の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の一実施例を示す画像形成装置の構成の一例を示すブロック図である。
図1において、100はシングルファンクションプリンタである。本実施例では、本発明の画像形成装置として、比較的な簡単なシングルファンクションプリンタ(Single Function Printer、以下、SFP)を例に示すが、複合機、例えば、マルチファンクションプリンタ(Multi Function Printer、以下、MFP)であってもよい。
【0018】
101は、SFP100の印刷部全体を示す。
102は画像データ生成部で、パーソナルコンピュータ(PC)等の外部装置からの印刷要求データを具体的にイメージデータに変換して101のプリンタ印刷部に適合したデータに変換をしている部分である。画像データ生成部102は、一般的にはプリンターコントローラと呼ばれている。
【0019】
103はSystem On Chip(SOC)と呼ばれるCPU内蔵の集積回路である。SOC103は、不図示のCPUやメモリ制御部、プリンタ印刷部101との通信及び画像データ転送、またパーソナルコンピュータ(PC)からの印刷要求データを受け付けるためのUSBやLAN、又SDHC等の外部インターフェース等の制御の全てを1つのChipで行う。
【0020】
104はNAND型FlashROMで、SOC103に内蔵されているCPUを動作させるためのプログラムコードや、データ等を格納する。105はSDRAM(あるいはDDR SDRAM)で、NAND型FlashROM104に格納されているプログラムコードを展開したり、画像イメージデータを格納したり、プログラム用の一時データを格納したりするためのメモリである。
【0021】
106はビデオクロック(VIDEO CLOCK)で、SOC103から画像データをプリンタ印刷部101に転送するためのものである。107はEEPROMで、SFP100に電源が供給されなくても印刷装置に必要な情報を保持することが可能な不揮発性メモリである。
【0022】
108はPHY(ファイ)で、ネットワーク(LAN)のデータ通信用のドライバーレシーバーICである。109はネットワーク(LAN)インターフェース(I/F)で、LANケーブルを接続するためコネクタ等を有する。110は、USBデバイスインタフェース(USB I/F)で、USBデバイスを接続するためのものである。
【0023】
112はSDHCインターフェース(SDHC I/F)で、SD−CardとSDHC−Card共通で使用できるものであり、SD−CardやSDHC−Cardを挿入するためのものである。即ち、SFP100は、SD−Cardを装着可能な画像形成装置である。
【0024】
111はUI(ユーザインターフェース、操作パネルともいう)で、不図示の表示部と操作部を有する(表示部と操作部が一体のタッチパネル式表示部であってもよい)。UI111は、ユーザに対する通知を表示したり、ユーザがSFP100を操作したり、SFP100に対して使用用途等に合わせた各種設定を行うために使用される。113はコネクタで、プリンタ印刷部101と画像データ生成部102を接続するためのものである。
【0025】
SFP100は、LAN等のネットワークを経由して通信可能なPC上にSFP100の状態を表したり、PC上からSFP100の設定や操作を可能にするRUI(リモートUI)と呼ばれる機能を有する。
【0026】
図2は、SFP100とPCをネットワークを介して接続した画像形成システムの一例を示す概念図である。
図2に示すように、本実施例の画像形成システムでは、PC201とSFP100とが、ネットワーク(ここではインターネット網202であるがLANでもよい)を介して通信可能に接続されている。PC201は、インターネット網202を介してSFP100と通信を行って、PC201の表示部に、SFP100のRUI画面(例えば図3、図4等)を表示することができる。
【0027】
SFP100が有する各種機能には、SDHC I/F112に挿入されたSDHC−Cardを使用して動作可能なものがある。例えば、プログラム自動更新ツール(ProgramUpdateTool、以下PUT)、MEAP、FONT、SPOOL、RECEIVE BUFFER等の機能である。以下、各機能について説明する。
【0028】
PUT(プログラム自動更新ツール)は、サーバ経由で最新のプログラムが配信され、自動的にSFP100のプログラムをUpdateする機能である。PUTは、メモリ容量こそ必要ではあるが通常業務で使用する機能ではなく、メモリへの書き込み速度の影響は受けないと考えられる。
【0029】
MEAPは、ユーザがSFP100上でJAVA(登録商標)アプリを使用して、SFP100上に業務内容に必要なアプリケーションを作るためのものであり、そのアプリに必要なデータの保存をファイルシステム形式で行っている。MEAPアプリによって異なるが、一般にMEAPではファイルとして扱う容量も少なく、特にメモリへの書き込み速度の影響は受けないと考えられる。
【0030】
Fontは、印刷時に必要なフォント(文字)をサーバ等からダウンロードして、その文字を印刷する場合の文字として使うものである。Fontにおいて、メモリへの書き込み速度を要するのはダウンロードのときだけであるので、印刷時には、メモリへの書き込み速度の影響は受けないと考えられる。
【0031】
SPOOLは、PDLデータをメモリに画像展開するものである。SPOOLは、PDLデータを展開するときに画像データ生成部102のSDRAM105の容量が足りない場合に、SDHC−Card上の空き容量でデータを展開(画像再展開)するものである。すなわち、SPOOLは、SDHC−Card上の空き領域を、画像再展開が発生した場合の画像再展開を行うための領域として使用する。SPOOLは印刷時に使用する機能であるため、メモリへの書き込み速度は比較的重要になるが、SDHC−Card上に画像再展開が必要な場合は限られる。すなわち、画像再展開が発生するデータは少ないと考えられるため、SPOOLにおいて、SDHC−Cardへの書き込み速度の影響は大きくないと考えられる。
【0032】
Receive Bufferは、印刷時にPDLのデータを受ける受信バッファーである。このため、SDHC−Cardが受信バッファーに割り当てられた場合、Receive Bufferは、印刷時に毎回、SDHC−Card上に受信データを書き込むため、SDHC−Cardへの書き込み速度に完全に依存する。従って、Receive Bufferにおいて、SDHC−Cardへの書き込み速度の影響は非常に大きいと考えられる。
【0033】
このように、同じSFP100で使用する機能であっても、SDHC−Cardへのデータ書き込み速度(以下、書き込み速度)が一定速度以上必要な機能、SDHC−Cardの容量が一定容量以上必要な機能と、さまざまである。なお、SD−Cardでは書込み速度の表記はまちまちであり任意であったが、SDHC−Cardでは書込み速度を示すスピードクラスの表記が必須になっている。以下、スピードクラスを例示する。
【0034】
CLASS2:2MB/sec(16Mbps)
CLASS4:4MB/sec(32Mbps)
CLASS6:6MB/sec(48Mbps)
CLASS10:10MB/sec(80Mbps)
【0035】
本実施例のSFP100では、上記SFP100の各機能が必要とするSDHC−Cardのスピードクラスと、各機能におけるデータの書込み速度の影響と、SDHC I/F112に挿入されたSDHC−Cardのスピードクラス(書込み速度を示す情報)とに基づいて各機能が使用可能かどうか判断し、ユーザに提示する構成を有する。
【0036】
図3は、PC201の表示部に表示されるRUI画面の一つである機能書込み速度判定画面の一例を示す図である。
図3において、300は機能書込み速度判定画面で、SFP機能の特性とSDHC書込み速度とに基づいて判定された機能の使用可否の判定結果をユーザに提示するための画面である。
【0037】
列306には、現状装着されているSDHC−Cardから読み取った名称や、301〜305に示す各機能の名称が表示される。
列307には、現状装着されているSDHC−Cardのスピードクラスを示す情報や、301〜305に示す各機能が現状装着されているSDHC−Cardのスピードクラスでの使用可否を示す情報(使用可能かどうかの判定結果)が表示される。「○」はその機能にSDHC−Cardが適合していることを示す。また、「×」はその機能にSDHC−Cardが適合しておらずSDHC−Card上の領域が割り当てられないことを示す。さらに、「△」はその機能にSDHC−Cardが適合していないがSDHC−Card上の領域が割り当てられることを示す。
【0038】
例えば、305に示すReceive Bufferで要求されているスピードクラスは「CLASS8」で現状装着されているSDHC−Cardのスピードクラスは「CLASS4」であるため、要求を満たさないため、適合せず、SDHC−Card上の領域が割り当てられないことを示すエラーメッセージとして「×」が表示されている。この場合、Receive Bufferは、受信バッファとしてSDHC−Cardは使用できず、SDHC−Card以外のメモリ(例えばSDRAM105)を使用することとなる。
【0039】
また、304に示すSPOOLで要求されているスピードクラスは「CLASS6」で現状装着されているSDHC−Cardのスピードクラスは「CLASS4」であるため、要求を満たさないため、適合しない。しかし、上述したように、SPOOLでは、SDHC−Cardへの書き込み速度の影響は大きくないと考えられるため、適合しないが、SDHC−Card上の領域が割り当てられることを示すワーニングメッセージとして「△」が表示さている。この場合、SPOOLは、SDHC−Cardを使用可能であるが、印刷中にオーバーラン等が発生する可能性を含んでいる。
【0040】
なお、エラーメッセージやワーニングメッセージ等の警告は、「×」や「△」でなくとも、文章であってもよい。例えば、「SDHC−Cardのスピードクラスが低いため、Receive Buffer機能に適合せず、SDHC−Card上の領域は割り当てられません。Receive Buffer機能で要求されるスピードクラスはCLASS8以上です。」、「SDHC−Cardのスピードクラスが低いため、SPOOL機能に適合しませんが、SDHC−Card上の領域は割り当てられます。SPOOL機能で要求されるスピードクラスはCLASS6以上です。」等をRUIに表示してもよい。
【0041】
列308には、301〜305に示す各機能が要求するSDHC−Cardのスピードクラスを示す情報が表示されている。
列309には、301〜305に示す各機能に割り当てられたSDHC−Cardの容量が表示されている。なお、305に示すReceive Bufferは現状装着されている「CLASS4」のSDHC−Cardに適合しないため(307が「×」であるため)割り当てられておらず、「0」と表示されている。
【0042】
311には、各機能に割り当てられたSDHC−Cardの容量の合計が表示されている。312には、割り当てられていないSDHC−Cardの容量が表示されている。
【0043】
列310には、301〜305に示す各機能の、現状装着されているSDHC−Cardへの、現状の書込み回数が表示されている。なお、SFP100は、いずれかの機能のSDHC−Cardへの書込み回数が、SDHC−Cardの書込み制限を超えた場合、その旨を示す警告のメッセージをRUIに表示するようにしてもよい。このように、SFP100は、SDHC−Card毎に機能毎の書込み回数や書き込まれてからの時間を、EEPROM107等に記録しており、SDHC−Cardへの書き込み寿命を管理する。
【0044】
図4は、PC201の表示部に表示されるRUI画面の一つであるSDHC−Cardクラス入力画面の一例を示す図である。
図4において、400はSDHC−Cardクラス入力画面で、ユーザに対してSDHC−Cardのスピードクラスの入力を要求するための画面である。
SDHC−Cardクラス入力画面400は、SFP100のSDHC I/F112にSDHC−Cardが挿入された場合に、SFP100のSOC103により、最初に、RUI或いはUI111に表示される画面である。
【0045】
ユーザは、このSDHC−Cardクラス入力画面400の入力部401から、SDHC I/F112に挿入したSDHC−Cardのスピードクラスを入力する必要がある。なお、SDHC−Cardクラス入力画面400に表示されている容量402は、SFP100のSOC103が、SDHC I/F112に挿入したSDHC−Cardから情報を取得して自動的に計算して表示したものである。
【0046】
以下、図5を参照して、実施例1のSDHC−Cardチェック処理について説明する。
図5は、本発明の実施例1の画像形成装置におけるSDHC−Cardチェック処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートのS503〜S509は、SOC103のCPUが、NAND型FlashROM104にコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにおり実現されるものである。
【0047】
まず、ユーザが、SDHC I/F112に、SDHC−Cardを挿入し(501)、SFP100の電源をONにする(502)と、SFP100が起動され、SOC103のCPUは、S503以降の処理を開始する。
【0048】
S503では、SOC103のCPUは、SDHC I/F112に挿入されているSDHC−Cardをチェックし、このSDHC−Cardが初めて挿入されたものであるか否かを判定する。SDHC−Cardがフォーマットされていない場合には、初めて挿入されたものと判定する。一方、SDHC−Cardがフォーマットされている場合には、初めて挿入されたものでないと判定する。
【0049】
そして、そのSDHC−Cardが初めて挿入されたものでないと判定した場合(S503でNo)、SOC103のCPUは、S508に処理を進める。
S508では、SOC103のCPUは、SDHC I/F112に挿入されているSDHC−Cardをフォーマットし、S504に処理を進める。
一方、そのSDHC−Cardが初めて挿入されたものであると判定した場合(S503でYes)、SOC103のCPUは、S504に処理を進める。
【0050】
S504では、SOC103のCPUは、図4に示した画面をRUI又はUI111に表示して、SDHC−Cardのスピードクラスの入力をユーザに要求する。
【0051】
次に、S505において、SOC103のCPUは、図4の入力部401からSDHC−Cardのスピードクラスの入力を受け付けると、S506に処理を進める。
S506では、SOC103のCPUは、上記S505で入力されたSDHC−CardのスピードクラスとSFP100が有する各機能(例えば、PUT、MEAP、FONT、SPOOL、RECEIVE BUFFER等)の要求するスピードクラスとを比較する。
【0052】
次に、S507において、SOC103のCPUは、上記S506での比較結果に基づいて、図3に示したような機能書込み速度判定画面300を、RUI又はUI111に表示する。そして、本フローチャートの処理を終了する(S509)。
【0053】
以上示したように、本発明の実施例1によれば、ユーザがSDHC−Cardを画像形成装置に装着して使用するときに、SDHCのスピードグレードを入力することにより、そのSDHC−Cardの能力に合わせて画像形成装置の機能を使えるとともに、SDHC−Cardを使用できない機能に関してはユーザに警告を提示することができる。また、SDHC−Cardを効果的に使用できる機能もユーザに提示することができる。
【0054】
また、SDHC−Cardが書込み速度の要求を満足する機能にだけにSDHC−Cardの記憶領域を割り当てて、SDHC−Cardの書込み速度による問題の発生を防止しつつ、画像形成装置を動作させることができる。
【実施例2】
【0055】
上記実施例1では、ユーザから入力されるSDHC−CardのスピードクラスとSFP100が有する各機能の要求するスピードクラスとを比較して、機能書込み速度判定画面(図3)をRUIに表示する構成について説明した。
【0056】
しかし、同じCLASS表記でもSDHC−Cardによって書込みスピードに大きな差が有る場合がある。例えば、同じCLASS2でも2MB/Sに近いもの、4MB/Sに近いものが存在する場合がある。よって、CLASS2のSDHC−Cardでも、例えば4MB/Sに近いものであれば、MEAP機能の要求する書込みスピードを満足する場合がある。
【0057】
図6は、SDHC−Cardの実測書込みスピードとCLASSの分布の一例を示す図である。
図6に示すように、SDHC−Aは限りなく4MB/Secに近く、SDHC−Bは2MB/Secに近いスピードで書込みが可能である。また、SDHC−CはCLASS4であるが4MB/Secに近いスピードで書込みが行われる。
【0058】
本実施例では、このような場合のために、SDHC−Cardが装着され、例えばCLASSが低めのときに、特定ファイルを書き込む速度を実測するように構成する。
例えば、ユーザがCLASS2のSDHCCardを装着して、CLASS2と入力しても、CLASS4に近い実力のSDHC−Cardであることが実測により判れば、CLASS4を要求する機能にSDHC−Cardの使用を許可する。
【0059】
以下、図7、図8を参照して、実施例2のSDHC−Cardチェック処理について説明する。
図7は、本発明の実施例2の画像形成装置におけるSDHC−Cardチェック処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートのS503〜S510は、SOC103のCPUが、NAND型FlashROM104にコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにおり実現されるものである。
【0060】
なお、図7のS501〜S505は、図5のS501〜S505と同一の処理であるため説明は省略する。
S510において、SOC103のCPUは、図8に示すSDHC−Cardパフォーマンス診断処理(check SDHC−Card Performance処理)を実行する。上記S505で入力されたSDHC−Cardのスピードクラスが、所定以上の場合(例えば、CLASS4以上の場合)にS510をスキップしてS506に処理を進めるように構成してもよい。
【0061】
次に、S506'において、SOC103のCPUは、上記S505で入力されたSDHC−Cardのスピードクラスと、SFP100が有する各機能(例えば、PUT、MEAP、FONT、SPOOL、RECEIVE BUFFER等)の要求するスピードクラスとを比較する。そして、SDHC−Cardを使用できない機能が存在する場合に、SOC103のCPUは、上記S510で実測診断されたSDHC−Cardのスピードクラスと、各機能の要求するスピードクラスとを比較するものとする。
なお、図7のS507〜S509は、図5のS507〜S509と同一の処理であるため説明は省略する。
【0062】
以下、図8を参照して、SDHC−Cardパフォーマンス診断処理(check SDHC−Card Performance処理)について説明する。
図8は、本発明の実施例2の画像形成装置におけるSDHC−Cardパフォーマンス診断処理(check SDHC−Card Performance処理)の一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、SOC103のCPUが、NAND型FlashROM104にコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにおり実現されるものである。
【0063】
S701において、SOC103のCPUは、SDHC−Cardパフォーマンス診断処理をスタートし、S702に処理を進める。
S702では、SOC103のCPUは、時計をスタートし、S703において、特定ファイルをSDHC−Cardに書き込み、書き込み終了後、S704において、時計を停止させる。
【0064】
次に、S705において、SOC103のCPUは、SDHC−Cardのパフォーマンス(実測スピード)を計算し、S706において、該計算結果からSDHC−Cardのパフォーマンスに対応するスピードクラスを決定し、処理を図7のフローチャートに戻す。
【0065】
以上示したように、本発明の実施例2によれば、実測したSDHC−Cardの能力に合わせて機能を使えるとともに、SDHC−Cardを使用できない機能に関してはユーザに警告を提示することができる。また、SDHC−Cardを使用できる機能もユーザに提示することができる。
【0066】
なお、前記S504のSDHC−Cardのスピードクラスの入力要求ステップの代わりに、図8に示したSDHC−Cardパフォーマンス診断処理を実行するように構成してもよい。この構成の場合、SOC103のCPUは、上記SDHC−Cardパフォーマンス診断(実測)で実測診断されたSDHC−Cardスピードと、SFP100が有する各機能の要求するスピードとを比較して、図3に示したような画面を表示するものとする。
【実施例3】
【0067】
本発明の画像形成装置では、SDHC−Cardの寿命管理を行う。以下、その実施例について詳細に説明する。
基本的にSDHC−Card内部でウェアレベリングという書き込み回数均等化による寿命の延命を行っているのは周知の事実である。
しかしながら、図3の例のように、画像形成装置でSDHC−Cardを使用する場合には、機能により書き込み回数が異なる。PUTやFONTなどは1度書き込むと殆どファイルを消去せずに更新することもない。
【0068】
SFP100では、上述したSDHC−Card内部でのウェアレベリングとは別に、書き込み回数の多い機能のファイルと、書き込み回数の少ない機能のファイルのSDHC−Card内の記憶場所(素子)を入れ換える処理(図8に示すSWAP SDHC−Area処理)を行う。
【0069】
図9は、本発明の画像形成装置におけるSDHC記憶領域入れ換え処理(SWAP SDHC−Area処理)の一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、SOC103のCPUが、NAND型FlashROM104にコンピュータ読み取り可能に記録されたプログラムを読み出して実行することにおり実現されるものである。
【0070】
なお、SOC103のCPU、このSDHC記憶領域入れ換え処理(SWAP SDHC−Area処理)を、一定時間の経過毎に、又は、特定ファイルの書き込み回数が一定量(一定回数)に達した(超えた)場合等に、実行するものとする。
【0071】
S801において、SOC103のCPUは、SWAP SDHC−Area処理をスタートし、S802において、SDHC−Card上のPUTやFONTのように書込み回数が少ない特定の機能のファイルを一旦、SDRAM105にコピーする(退避させる)。
【0072】
次に、S803において、SOC103のCPUは、SDHC−Card上のPUTやFONTファイルを削除する。
次に、S804において、SOC103のCPUは、SDHC−Card上のMEAPやその他、書き込み回数の多い(一定の回数に達した)機能のファイルを、SDHC−Cardの、上記PUTやFONTのように書込み回数が少ない特定の機能のファイルを記憶していた素子で構成される記憶領域に、移動させる。
【0073】
次に、S805において、SOC103のCPUは、上記S802で退避させておいたPUTやFONTのファイルを、SDHC−Cardの、上記MEAP等の書き込み回数が一定の回数に達した機能のファイルを記憶していた素子で構成される記憶領域に、再度書き込む。そして、本フローチャートの処理を終了する。
【0074】
即ち、SOC103のCPUは、SDHC−Cardへのデータ書込み回数が一定回数に達した機能の使用しているSDHC−Card内の領域を、書込み回数が少ない特定の機能が使用しているSDHC−Cardの領域とを交換するように制御する。
【0075】
以上示したように、本発明の実施例3によれば、実施例1,2の効果に加え、画像形成装置としてもSDHC−Cardの寿命を延命することに寄与することができる。
【0076】
なお、上述した実施例では、図4に示した画面をRUI又はUI111に表示して、SDHC−Cardのスピードクラスの入力をユーザに要求する構成をしめした。しかし、SDHC−CardのスピードクラスをSDHC−Cardから取得可能な場合にはSDHC−Cardから取得するようにしてもよい。
【0077】
また、上記各実施例では、SDHC−Cardを例に説明したが、SDHC−Cardの代わりに他の記憶媒体(例えばUSBメモリ等)を用いる構成も本発明に含まれるものである。この場合、図4に示したような画面をRUI又はUI111に表示して、記憶媒体の書込み速度を示す情報の入力をユーザに要求したり、記憶媒体から書込み速度を示す情報を取得するようにするものとする。
【0078】
以上示したように、本発明の画像形成装置では、画像形成装置に装着された記憶媒体の能力に合わせて画像形成装置の機能を使えるとともに、前記記憶媒体を使用できない機能に関してはユーザに警告を提示することができる。前記記憶媒体を使用できる機能もユーザに提示することができる。これらの提示により、ユーザは、画像形成装置に記憶媒体を装着したことによる画像形成装置の機能のパフォーマンス向上の状態を的確に知ることができるようになる。例えば、画像形成装置に記憶媒体を装着したことによりパフォーマンス向上が期待できる機能、パフォーマンス向上が期待できない機能も知ることができるようになる。
【0079】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
また、上記各実施例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0080】
(他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0081】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施例の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施例及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0082】
100 シングルファンクションプリンタ(SFP)
101 プリンタ印刷部
102 画像データ生成部
103 SOC
112 SDHC I/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体を装着可能な画像形成装置であって、
前記画像形成装置に装着された記憶媒体へのデータ書込み速度を示す情報を入力するための入力手段と、
前記入力手段により入力されたデータ書込み速度を示す情報に基づいて、前記画像形成装置の有する各機能で前記記憶媒体が使用可能かどうかをそれぞれ判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果をユーザに提示する提示手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記憶媒体へデータの書込みを行って前記記憶媒体へのデータ書込み速度を実測する実測手段を有し、
前記判定手段は、前記入力手段により入力されたデータ書込み速度を示す情報に基づいて、いずれかの機能において前記記憶媒体が使用できないと判定した場合、前記実測手段により実測されたデータ書込み速度を示す情報に基づいて前記各機能で前記記憶媒体が使用可能かどうかをそれぞれ判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
記憶媒体を装着可能な画像形成装置であって、
前記画像形成装置に装着された記憶媒体へのデータ書込み速度を実測する実測手段と、
前記実測手段により実測されたデータ書込み速度を示す情報に基づいて、前記画像形成装置の有する各機能で前記記憶媒体が使用可能かどうかをそれぞれ判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果をユーザに提示する提示手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記記憶媒体へのデータ書込み速度と、前記各機能に要求される各データ書込み速度とをそれぞれ比較して、前記各機能で前記記憶媒体が使用可能かどうかをそれぞれ判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記提示手段は、前記判定手段により前記記憶媒体を使用できない機能が存在すると判定された場合、前記記憶媒体を使用できない機能の情報を、ユーザに対して提示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記機能により前記記憶媒体にデータを書き込んだ回数を示すデータ書込み回数を、前記機能毎に記憶する記憶手段と、
前記提示手段は、前記記憶手段に記憶される前記機能毎のデータ書込み回数をユーザに提示することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記提示手段は、前記いずれかの機能のデータ書込み回数が前記記憶媒体の書込み制限を超えた場合、その旨をユーザに通知することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記データ書込み回数が一定回数に達した機能が存在する場合、該機能の使用している前記記憶媒体の領域を、書込み回数が少ない特定の機能が使用している前記記憶媒体の領域とを交換するように制御する交換手段を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記記憶媒体は、SDHC−Cardであり、
前記記憶媒体へのデータ書込み速度を示す情報は、SDHC−Cardのスピードクラスであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
記憶媒体を装着可能な画像形成装置の制御方法であって、
入力手段が、前記画像形成装置に装着された記憶媒体へのデータ書込み速度を示す情報のユーザからの入力を受け付ける入力ステップと、
判定手段が、前記入力ステップで入力されたデータ書込み速度を示す情報に基づいて、前記画像形成装置の有する各機能で前記記憶媒体が使用可能かどうかをそれぞれ判定する判定ステップと、
提示手段が、前記判定ステップでの判定結果をユーザに提示する提示ステップと、
を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1乃至9のいずれか1項に記載された手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−22737(P2013−22737A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156230(P2011−156230)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.COMPACTFLASH
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】