説明

画像形成装置およびコンピュータプログラム

【課題】画像形成装置の状態をユーザに容易に把握させる。
【解決手段】ユーザが任意に設定し得るメッセージ文、およびユーザが任意に設定し得る当該メッセージ文と状態情報との関連づけをユーザに入力させ、ユーザにより入力されたメッセージ文、および当該メッセージ文と状態情報との関連づけを記憶部11に記憶する。画像形成装置1の状態が検知部23により検知されたときには、記憶部11に予め記憶された状態情報、並びにユーザにより入力され、記憶部11に記憶されたメッセージ文およびメッセージ文と状態情報との関連づけを参照することにより、検知部23により検知された画像形成装置1の状態を示す状態情報に関連づけられたメッセージ文を選択し、このメッセージ文をクライアント装置2へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複写装置、印刷装置、ファクシミリ装置、または、これら装置の機能を兼ね備えた複合機などのように、原稿画像または原稿画像データに対して所定の処理を行う画像形成装置、およびこのような画像形成装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複写装置、印刷装置、ファクシミリ装置、または、これら装置の機能を兼ね備えた複合機などの画像形成装置は、オフィスや家庭に広く普及している。
【0003】
このような画像形成装置の操作パネルには、小型のディスプレイが設けられている。画像形成装置は、例えば「印刷中」、「トナー切れ」、「紙づまり」などといった画像形成装置の状態を示す状態情報をディスプレイに表示する。ユーザは、ディスプレイに表示された状態情報を見ることにより、画像形成装置の状態を知ることができる。
【0004】
また、多くの画像形成装置は、パーソナルコンピュータなどの外部装置と通信を行い、ユーザによる画像形成装置の遠隔操作を可能にする機能を備えている。このような遠隔操作機能を備えた画像形成装置は、当該画像形成装置の状態を示す状態情報を外部装置に送信する機能を備えている。外部装置は、画像形成装置から受信した状態情報をモニタに表示する。ユーザは、モニタに表示された状態情報を見ることにより、画像形成装置の状態を知ることができる。画像形成装置のこのような機能については、例えば特開平10−222318号公報(特許文献1)または特開平10−74132号公報(特許文献2)に記載されている。
【特許文献1】特開平10−222318号公報
【特許文献2】特開平10−74132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像形成装置の中には、画像読取機構、印刷機構、記憶装置および通信装置など様々な機構や装置を備え、これらの機構や装置を駆使し、複写機能、印刷機能、ファクシミリ機能、文書管理機能などの様々な機能をユーザに提供するものがある。例えば複合機がこれに当たる。
【0006】
このような多機能型の画像形成装置の場合、画像形成装置の状態を示す状態情報の種類がきわめて多い。このため、ユーザは、全種類の状態情報を完全に把握することが難しく、この結果、画像形成装置の状態を十分に知ることができない場合がある。
【0007】
また、従来、画像形成装置の状態を示す状態情報には、例えば「トナー切れ」、「紙切れ」、「電話回線不通」など、画像形成装置が有する個々のハードウェア資源の状態を直接示すものが多い。このため、ユーザは、状態情報を見ても、画像形成装置が有する複数の機能のうち、ユーザが利用したい機能を利用することができるのか否かを明確に把握できない場合がある。
【0008】
また、画像形成装置の機能の中にユーザが必要としない機能がある場合には、ユーザはその機能に関し、画像形成装置の状態を示す状態情報の通知を望まない場合がある。不要な状態情報の通知は、ユーザに煩わしさを感じさせる場合がある。
【0009】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の第1の課題は、画像形成装置の状態をユーザに容易に把握させることができる画像形成装置およびコンピュータプログラムを提供することにある。
【0010】
本発明の第2の課題は、ユーザが利用したい機能を利用することができるのか否かをユーザに明確に把握させることができる画像形成装置およびコンピュータプログラムを提供することにある。
【0011】
本発明の第3の課題は、ユーザにとって不要な通知をなくすことができる画像形成装置およびコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1の画像形成装置は、原稿画像または原稿画像データに対して所定の処理を行う画像形成装置であって、当該画像形成装置の状態を示す状態情報が予め記憶された記憶部と、ユーザが任意に設定し得るメッセージ文、およびユーザが任意に設定し得る、当該メッセージ文と前記記憶部に記憶された状態情報との関連づけをユーザに入力させるための入力手段と、前記入力手段を介してユーザにより入力された前記メッセージ文および前記関連づけを前記記憶部に記憶する記憶制御手段と、当該画像形成装置の状態を検知する検知手段と、前記記憶部に記憶された前記状態情報、前記メッセージ文および前記関連づけを参照することにより、前記検知手段により検知された当該画像形成装置の状態を示す前記状態情報に関連づけられた前記メッセージ文を選択し、選択した前記メッセージ文を出力する出力手段とを備えている。
【0013】
本発明の第2の画像形成装置は、上述した本発明の第1の画像形成装置において、前記入力手段は、ユーザが任意に設定し得る1つのメッセージ文と、当該画像形成装置の複数の状態をそれぞれ示す複数の状態情報との関連づけをユーザに入力させ、前記記憶制御手段は、前記1つのメッセージ文と前記複数の状態情報との関連づけを前記記憶部に記憶する。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第1のコンピュータプログラムは、原稿画像または原稿画像データに対して所定の処理を行う画像形成装置にメッセージ文管理方法を実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記メッセージ文管理方法は、ユーザが任意に設定し得るメッセージ文、およびユーザが任意に設定し得る、当該メッセージ文と記憶部に予め記憶された前記画像形成装置の状態を示す状態情報との関連づけをユーザに入力させるための入力工程と、前記入力工程においてユーザにより入力された前記メッセージ文および前記関連づけを前記記憶部に記憶する記憶工程と、前記画像形成装置の状態を検知する検知工程と、前記記憶部に記憶された前記状態情報、前記メッセージ文および前記関連づけを参照することにより、前記検知工程において検知された前記画像形成装置の状態を示す前記状態情報に関連づけられた前記メッセージ文を選択し、選択した前記メッセージ文を出力する出力工程とを備えている。
【0015】
本発明の第2のコンピュータプログラムは、上述した本発明の第1のコンピュータプログラムの前記入力工程において、ユーザが任意に設定し得る1つのメッセージ文と、前記画像形成装置の複数の状態をそれぞれ示す複数の状態情報との関連づけをユーザに入力させ、前記記憶工程において、前記1つのメッセージ文と前記複数の状態情報との関連づけを前記記憶部に記憶する。
【発明の効果】
【0016】
上述した本発明の第1の画像形成装置では、ユーザが任意に設定し得るメッセージ文、およびユーザが任意に設定し得る当該メッセージ文と状態情報との関連づけをユーザに入力させ、ユーザにより入力されたメッセージ文、および当該メッセージ文と状態情報との関連づけを記憶部に記憶する。そして、画像形成装置の状態が検知手段により検知されたときには、記憶部に予め記憶された状態情報、並びにユーザにより入力され、記憶部に記憶されたメッセージ文およびメッセージ文と状態情報との関連づけを参照することにより、検知手段により検知された画像形成装置の状態を示す状態情報に関連づけられたメッセージ文を選択し、選択したメッセージ文を出力する。このような構成を有する本発明の第1の画像形成装置によれば、画像形成装置がいかなる状態のときにいかなるメッセージ文を出力させるかをユーザに任意に設定させることができる。
【0017】
すなわち、本発明の第1の画像形成装置によれば、ユーザにとってわかりやすいように、画像形成装置の状態を示すメッセージ文をユーザに設定させることができる。これにより、画像形成装置の状態をユーザに容易に把握させることが可能になる。
【0018】
また、本発明の第1の画像形成装置によれば、画像形成装置の各機能の利用可否を示すメッセージ文をユーザに設定させ、このメッセージ文と画像形成装置の状態を示す適切な状態情報との関連づけをユーザに設定させることができる。これにより、ユーザが利用したい機能を利用することができるのか否かをユーザに明確に把握させることが可能になる。
【0019】
また、本発明の第1の画像形成装置によれば、画像形成装置の複数の機能のうち不要な機能については、画像形成装置の状態を示す状態情報とメッセージ文との関連づけをユーザに外させることができる。これにより、ユーザにとって不要な通知をなくすことができる。
【0020】
また、上述した本発明の第2の画像形成装置では、ユーザが任意に設定し得る1つのメッセージ文と、画像形成装置の複数の状態をそれぞれ示す複数の状態情報との関連づけをユーザに入力させ、入力された1つのメッセージ文と複数の状態情報との関連づけを記憶部に記憶する。これにより、画像形成装置の複数の状態について単一のメッセージ文をユーザに設定させることができる。したがって、画像形成装置から通知されるメッセージ文の種類を減らすことができ、画像形成装置の状態をユーザに容易に把握させることが可能になる。
【0021】
また、上述した本発明の第1のコンピュータプログラムによれば、上述した本発明の第1の画像形成装置と同様に、画像形成装置がいかなる状態のときにいかなるメッセージ文を出力させるかをユーザに任意に設定させることができる。これにより、画像形成装置の状態をユーザに容易に把握させることが可能になる。また、ユーザが利用したい機能を利用することができるのか否かをユーザに明確に把握させることが可能になる。また、ユーザにとって不要な通知をなくすことができる。
【0022】
また、上述した本発明の第2のコンピュータプログラムによれば、上述した本発明の第2の画像形成装置と同様に、画像形成装置から通知されるメッセージ文の種類を減らすことができ、画像形成装置の状態をユーザに容易に把握させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
(画像形成システム)
図1は、本発明の実施形態である画像形成装置を含む画像形成システムを示している。図1に示すように、画像形成システム100は、画像形成装置1、クライアント装置2、および画像形成装置1とクライアント装置2とを接続するコンピュータネットワーク3を備えている。
【0025】
画像形成装置1は、例えば複写機能、印刷機能、ファクシミリ機能、文書管理機能などの複数の機能を兼ね備えた複合機である。また、画像形成装置1は、画像形成装置1の状態を示す状態情報に関連づけられたメッセージ文をクライアント装置2のモニタに表示させるために、このメッセージ文をクライアント装置2に送信する機能を備えている。さらに、画像形成装置1は、画像形成装置1の状態を示すメッセージ文をユーザに任意に設定させ、かつ、このメッセージ文と画像形成装置の状態を示す状態情報との関連づけをユーザに任意に設定させる機能を備えている。
【0026】
クライアント装置2は例えばパーソナルコンピュータである。クライアント装置2は、文書データまたは画像データを取り込みまたは作成する機能を備えている。また、クライアント装置2は、画像形成装置1を遠隔操作する機能を備えている。ユーザは、クライアント装置2を操作することにより、取り込んだまたは作成した文書データまたは画像データをクライアント装置2から画像形成装置1に送信し、この文書データまたは画像データを画像形成装置1により印刷させ、あるいはファクシミリ送信させることができる。また、クライアント装置2は、メッセージ文の設定入力などを行うためのメッセージ文設定画面30(図3参照)をモニタに表示する機能を備えている。また、クライアント装置2は、ユーザが画像形成装置1に対してメッセージ文の設定入力などを行うための入力端末装置として機能する。また、クライアント装置2は、画像形成装置1の状態を示すメッセージ文を画像形成装置1から受信し、このメッセージ文をモニタに表示する機能を備えている。
【0027】
コンピュータネットワーク3は例えばローカルエリアネットワーク(LAN)である。コンピュータネットワーク3は、画像形成装置1とクライアント装置2との間の双方向通信を可能にする。
【0028】
(画像形成装置)
図2は、画像形成装置1の内部構造などを示している。図2に示すように、画像形成装置1は、記憶部11、制御ユニット12、操作パネル部13、画像読取機構14、印刷機構15および通信部16を備えている。制御ユニット12は、入力制御部21、記憶制御部22、検知部23、出力制御部24および総合制御部25を備えている。
【0029】
記憶部11は、例えばハードディスクドライブまたはフラッシュメモリなどの記憶装置である。記憶部11には、画像形成装置1の状態を示す、予め定められた状態情報が予め記憶されている。
【0030】
画像形成装置1の状態には、例えば、画像形成装置1の稼働状態、動作状態、機能実行状態、処理の進捗状態、管理状態、障害、故障、警告を発すべき状態などが含まれる。状態情報は、このような画像形成装置1の状態を示す情報である。状態情報には、例えば「トナー切れ」、「用紙づまり」、「原稿づまり」、「紙切れ」、「スリープ中」、「印刷中」、「原稿読取中」、「電話回線不通」、「メモリフル」などがある。状態情報は、例えば、画像形成装置1の状態を示すイベント情報である。
【0031】
制御ユニット12の入力制御部21は、入力手段の具体例であり、ユーザが任意に設定し得るメッセージ文、およびユーザが任意に設定し得る、メッセージ文と記憶部11に記憶された状態情報との関連づけをユーザに入力させる。具体的には、入力制御部21は、メッセージ文の設定入力、およびメッセージ文と状態情報との関連づけの設定入力をユーザに行わせるためのメッセージ文設定画面30(図3参照)をクライアント装置2のモニタに表示させるために、このメッセージ文設定画面30を形成するための情報(例えばHTML(HyperText Markup Language)データ)をクライアント装置2に送信する。また、入力制御部21は、ユーザがクライアント装置2のモニタに表示されたメッセージ文設定画面30を見ながら、クライアント装置2を操作し、メッセージ文の設定入力およびメッセージ文と状態情報との関連づけの設定入力を行ったときに、設定入力されたメッセージ文、および設定入力された、メッセージ文と状態情報との関連づけを示す情報をクライアント装置2から受信する。
【0032】
記憶制御部22は、記憶制御手段の具体例であり、入力制御部21を介してユーザにより入力されたメッセージ文、およびメッセージ文と状態情報との関連づけを記憶部11に記憶する。具体的には、記憶制御部22は、記憶部11に予め記憶された状態情報、ユーザにより入力され、クライアント装置2から送信されたメッセージ文、およびユーザにより入力され、クライアント装置2から送信された、メッセージ文と状態情報との関連づけを示す情報を、後述するメッセージ文管理テーブル40(図4参照)に配列し、このメッセージ文管理テーブル40を記憶部11に記憶する。
【0033】
検知部23は、検知手段の具体例であり、画像形成装置1の状態を検知する。具体的には、検知部23は、画像形成装置1の各機構に設けられたセンサ(例えば用紙搬送路の途中に配置された光センサ)から出力される検知信号、または画像形成装置1を総合的に制御および管理する総合制御部25から提供される管理情報(例えば使用した用紙のカウント値、印刷中であることを表すフラグ)に基づいて、画像形成装置1の状態を検知する。そして、検知部23は、検知した画像形成装置1の状態を示す状態情報を生成する。
【0034】
出力制御部24は、出力手段の具体例であり、記憶部11に記憶された状態情報、メッセージ文、およびメッセージ文と状態情報との関連づけを参照することにより、検知部23により検知された画像形成装置1の状態を示す状態情報に関連づけられたメッセージ文を選択し、当該選択したメッセージ文をクライアント装置2のモニタに表示させるために、当該選択したメッセージ文をクライアント装置2に送信する。
【0035】
具体的には、出力制御部24は、まず、検知部23により生成された状態情報を検知部23から受け取る。次に、出力制御部24は、記憶部11からメッセージ文管理テーブル40(図4参照)を読み出し、このメッセージ文管理テーブル40に配列された状態情報、メッセージ文、およびメッセージ文と状態情報との関連づけを示す情報を参照することにより、検知部23から受け取った状態情報に関連づけられたメッセージ文を選択する。次に、出力制御部24は、通信部16を制御し、選択したメッセージ文をクライアント装置2へ送信する。
【0036】
総合制御部25は、画像形成装置1を総合的に制御および管理する。また、総合制御部25は、画像形成装置1の稼働、動作、機能の実行、処理の進捗状況などを監視し、画像形成装置1の稼働状態、動作状態、機能実行状態、処理の進捗状態などを示す管理情報を検知部23に提供する。
【0037】
制御ユニット12、すなわち、入力制御部21、記憶制御部22、検知部23、出力制御部24および総合制御部25は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)から構成されている。すなわち、ROMには、入力制御部21、記憶制御部22、検知部23、出力制御部24および総合制御部25を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されており、CPUはこのコンピュータプログラムをROMから読み取ることにより、入力制御部21、記憶制御部22、検知部23、出力制御部24および総合制御部25を具現化させる。RAMはCPUがコンピュータプログラムを実行するときの作業メモリとして用いられる。
【0038】
操作パネル部13は、画像形成装置1のフロント部に配置されている。操作パネル部13には、画像形成装置1を直接操作するための操作ボタンを備えた操作ボタンユニット13Aおよび画像形成装置1に関する情報を表示するディスプレイ13Bが設けられている。
【0039】
画像読取機構14は、原稿画像を読み取るための機構である。画像読取機構14は、原稿送り機構およびスキャナなどを備えている。
【0040】
印刷機構15は、画像読取機構14により読み取られた原稿画像のデータ、またはクライアント装置2から送信された原稿画像データなどを用紙に印刷するための機構である。印刷機構15は、用紙収納部、用紙送り機構、トナーコンテナ、現像、転写および定着を行う印刷ユニットなどを備えている。
【0041】
通信部16は、コンピュータネットワーク3を介して画像形成装置1とクライアント装置2との間における通信を制御する。通信部16は例えばローカルエリアネットワーク用の通信回路を備えている。
【0042】
(メッセージ文設定画面)
図3はメッセージ文設定画面を示している。図3中のメッセージ文設定画面30は、メッセージ文、およびメッセージ文と状態情報との関連づけをユーザに入力させるための画面である。メッセージ文設定画面30は、入力制御部21がメッセージ文設定画面30を形成するための情報(例えばHTMLデータ)をクライアント装置2に送信し、クライアント装置2が、この情報を受信して所定のデータ処理を行うことにより、クライアント装置2のモニタに表示される。例えば、メッセージ文設定画面30は、HTMLデータにより形成されるウェブページであり、クライアント装置2が有するウェブブラウザによりモニタに表示される。
【0043】
ユーザは、クライアント装置2のモニタに表示されたメッセージ文設定画面30を見ながら、クライアント装置2を操作し、メッセージ文の設定入力およびメッセージ文と状態情報との関連づけの設定入力を行うことができる。
【0044】
具体的には、図3に示すように、メッセージ文設定画面30中には、状態情報ドロップダウンリスト31、メッセージ文ドロップダウンリスト32、メッセージ文新規作成ボタン33、メッセージ文編集ボタン34、メッセージ文削除ボタン35、関連づけ設定ボタン36および関連づけ削除ボタン37が形成されている。
【0045】
状態情報ドロップダウンリスト31は、予め定められた状態情報のリストを表示し、このリストに含まれる複数の状態情報の中から所望の1つ以上の状態情報をユーザに選択させるためのドロップダウンリストである。
【0046】
メッセージ文ドロップダウンリスト32は、すでに登録されたメッセージ文のリストを表示し、このリストに含まれる複数のメッセージ文の中から所望の1つ以上のメッセージ文をユーザに選択させるためのドロップダウンリストである。
【0047】
メッセージ文新規作成ボタン33は、新たなメッセージ文をユーザに作成させ、これをメッセージ文ドロップダウンリスト32により表示されるリストに登録させるためのボタンである。
【0048】
メッセージ文編集ボタン34は、メッセージ文ドロップダウンリスト32により表示されるリストにすでに登録されたメッセージ文をユーザに修正させるためボタンである。
【0049】
メッセージ文削除ボタン35は、メッセージ文ドロップダウンリスト32により表示されるリストにすでに登録されたメッセージ文をユーザに削除させるためのボタンである。
【0050】
関連づけ設定ボタン36は、状態情報ドロップダウンリスト31により表示されたリストに含まれる複数の状態情報の中からユーザが選択した1つ以上の状態情報と、メッセージ文ドロップダウンリスト32により表示されたリストに含まれる複数のメッセージ文の中からユーザが選択した1つ以上のメッセージ文との関連づけをユーザに設定させるためのボタンである。
【0051】
関連づけ削除ボタン37は、状態情報ドロップダウンリスト31により表示されるリストに含まれる複数の状態情報の中からユーザが選択した1つ以上の状態情報にすでに設定された、メッセージ文との関連づけをユーザに削除させるためのボタンである。
【0052】
(メッセージ文管理テーブル)
図4はメッセージ文管理テーブルを示している。メッセージ文管理テーブル40は記憶部11に記憶されており、メッセージ文管理テーブル40には、図4に示すように、状態情報、メッセージ文、およびメッセージ文と状態情報との関連づけを示す情報が配列されている。
【0053】
図4中のメッセージ文管理テーブル40中の「○」は、その行に記述された状態情報と、その列に記述されたメッセージ文とが関連づけられていることを示す。例えば、状態情報:「トナー切れ」、「用紙づまり」、「紙切れ」、「印刷中」はそれぞれ、メッセージ文:「印刷できません」と関連づけられている。
【0054】
ユーザがメッセージ文設定画面30を見て設定入力したメッセージ文、およびメッセージ文と状態情報との関連づけを示す情報は、記憶制御部22により、メッセージ文管理テーブル40に配列され、記憶部11に記憶される。また、ユーザがメッセージ文、およびメッセージ文と状態情報との関連づけの設定入力を行う度に、必要に応じて、メッセージ文管理テーブル40が記憶制御部22により更新される。
【0055】
また、出力制御部24が、検知部23により検知された画像形成装置の状態を示す状態情報に関連づけられたメッセージ文を選択するときには、メッセージ文管理テーブル40が記憶部11から読み出され、メッセージ文管理テーブルに整理された状態情報、メッセージ文、およびメッセージ文と状態情報との関連づけを示す情報が参照される。
【0056】
(メッセージ文管理処理)
図5は、画像形成装置1において行われるメッセージ文管理処理を示している。メッセージ文管理処理は、画像形成装置1の状態を示すメッセージ文の設定入力、およびメッセージ文と状態情報との関連づけの設定入力をユーザに行わせると共に、検知部23により画像形成装置1の状態が検知されたときには、画像形成装置1の状態を示す状態情報に関連づけられたメッセージ文をクライアント装置2に送信する処理である。なお、メッセージ文管理処理の各ステップは、メッセージ文管理方法の各工程の具体例である。
【0057】
図5に示すように、ユーザがクライアント装置2を操作し、メッセージ文の設定入力、およびメッセージ文と状態情報との関連づけの設定入力を行う旨の指示を画像形成装置1に送信したとき、画像形成装置1の入力制御部21は、ユーザが任意に設定し得るメッセージ文、およびユーザが任意に設定し得る、当該メッセージ文と記憶部11に予め記憶された画像形成装置1の状態を示す状態情報との関連づけをユーザに入力させるためのメッセージ文設定画面30を形成するための情報をクライアント装置2へ送信する(ステップS1:入力工程)。この情報は、クライアント装置2に受信され、これにより、メッセージ文設定画面30がクライアント装置2のモニタに表示される。
【0058】
ユーザは、クライアント装置2のモニタに表示されたメッセージ文設定画面30を見て、メッセージ文の設定入力、およびメッセージ文と状態情報との関連づけの設定入力を行う。例えば、ユーザが、まず、図3に示すメッセージ文設定画面30中のメッセージ文新規作成ボタン33を押し、新たなメッセージ文を入力し、この新たなメッセージ文を、メッセージ文ドロップダウンリスト32により表示されるリストに登録する。続いて、ユーザが、状態情報ドロップダウンリスト31により表示されるリストに含まれる複数の状態情報の中から所望の1つ以上の状態情報を選択し、続いて、メッセージ文ドロップダウンリスト32により表示されるリストに含まれる複数のメッセージ文の中から、たった今登録したばかりの新たなメッセージ文を選択し、関連づけ設定ボタン36を押す。これにより、新たに登録されたメッセージ文、およびこの新たなメッセージ文と状態情報との関連づけを示す情報がクライアント装置2から画像形成装置1へ送信される。以上より、ユーザによるメッセージ文の設定入力、およびメッセージ文と状態情報との関連づけの設定入力が完了する(ステップS2:YES)。
【0059】
続いて、入力制御部21は、クライアント装置2から送信されたメッセージ文、およびメッセージ文と状態情報との関連づけを示す情報を受信し、続いて、記憶制御部22は、受信されたメッセージ文、およびメッセージ文と状態情報との関連づけを示す情報を記憶部11に記憶する。具体的には、記憶制御部22は、受信されたメッセージ文、およびメッセージ文と状態情報との関連づけを示す情報をメッセージ文管理テーブル40に追加的に配列することにより、メッセージ文管理テーブル40を更新する(ステップS3:記憶工程)。
【0060】
続いて、検知部23は、画像形成装置1の状態を検知する(ステップS4:検知工程)。そして、検知部23は、検知結果に基づいて、画像形成装置1の状態を示す状態情報を生成する。なお、本実施形態では、説明の便宜上、検知部23による画像形成装置1の状態を検知する処理が、ユーザによるメッセージ文の設定入力、およびメッセージ文と状態情報との関連づけの設定入力に続いて行われるように記載したが、実際には、検知部23による画像形成装置1の状態を検知する処理は、例えば一定の周期で、あるいはクライアント装置2からの要求に応じて行われる。
【0061】
続いて、出力制御部24は、検知部23が生成した状態情報を検知部23から受け取る。そして、出力制御部24は、記憶部11に記憶されたメッセージ文管理テーブル40に配列された状態情報、メッセージ文、およびメッセージ文と状態情報との関連づけを示す情報を参照することにより、検知部23により検知された画像形成装置1の状態を示す状態情報(すなわち検知部23から受け取った状態情報)に関連づけられたメッセージ文を選択し、選択したメッセージ文をクライアント装置2へ送信する(ステップS5:出力工程)。
【0062】
クライアント装置2に送信されたメッセージ文は、クライアント装置2により受信される。そして、受信されたメッセージ文がクライアント装置2のモニタに表示される。
【0063】
以上のとおり、本発明の実施形態である画像形成装置1では、ユーザが任意に設定し得るメッセージ文、およびユーザが任意に設定し得る当該メッセージ文と状態情報との関連づけをユーザに入力させ、ユーザにより入力されたメッセージ文、および当該メッセージ文と状態情報との関連づけを記憶部11に記憶する。そして、画像形成装置1の状態が検知部23により検知されたときには、記憶部11に予め記憶された状態情報、並びにユーザにより入力され、記憶部11に記憶されたメッセージ文およびメッセージ文と状態情報との関連づけを参照することにより、検知部23により検知された画像形成装置1の状態を示す状態情報に関連づけられたメッセージ文を選択し、選択したメッセージ文を示す情報をクライアント装置2へ送信する。このような構成を有する画像形成装置1によれば、画像形成装置1がいかなる状態のときにいかなるメッセージ文をクライアント装置2へ送信させるかをユーザに任意に設定させることができる。
【0064】
すなわち、画像形成装置1によれば、ユーザにとってわかりやすいように、画像形成装置1の状態を示すメッセージ文をユーザに設定させることができる。例えば、ユーザの環境(画像形成装置1を利用している職場の環境、画像形成装置1の利用態様、ネットワークの構築態様など)に適合するようなメッセージ文をユーザに設定させることができる。これにより、画像形成装置1の状態をユーザに容易に把握させることが可能になる。
【0065】
また、画像形成装置1によれば、画像形成装置1の各機能の利用可否を示すメッセージ文をユーザに設定させ、このメッセージ文と画像形成装置1の状態を示す適切な状態情報との関連づけをユーザに設定させることができる。これにより、ユーザが利用したい機能を利用することができるのか否かをユーザに明確に把握させることが可能になる。例えば、図4に示すように、「トナー切れ」の状態情報に、「印刷できません」というメッセージ文と「コピーを使用できません」というメッセージ文とを関連づけることにより、例えば、トナー切れが検知されたときには、クライアント装置2のモニタに「印刷できません」というメッセージ文と「コピーを使用できません」というメッセージ文が表示される。画像形成装置1の印刷機能または複写機能を利用したいと思っているユーザは、これらのメッセージ文を見ることにより、印刷機能または複写機能が現在利用できないことを明確に知ることができる。
【0066】
また、画像形成装置1によれば、画像形成装置1の複数の機能のうち不要な機能については、画像形成装置1を示す状態情報とメッセージ文との関連づけをユーザに外させることができる。これにより、ユーザにとって不要な通知をなくすことができる。例えば、ユーザが画像形成装置1のファクシミリ機能を利用しないときには、ユーザは、「ファクシミリを使用できません」というメッセージ文と状態情報との関連づけを外す(あるいは、「ファクシミリを使用できません」というメッセージ文の設定入力を行わない)。これにより、例えば、画像形成装置1においてファクシミリ機能の利用を不能にする障害が検知されても、「ファクシミリを使用できません」というメッセージ文はクライアント装置2に送信されない。これにより、ファクシミリ機能を利用しないユーザに対し、「ファクシミリを使用できません」という不要なメッセージ文がクライアント装置2のモニタに表示されるのを防ぐことができる。
【0067】
また、画像形成装置1では、ユーザが任意に設定し得る1つ以上のメッセージ文と、画像形成装置1の複数の状態をそれぞれ示す複数の状態情報との関連づけをユーザに入力させることができる。すなわち、画像形成装置1の複数の状態について単一のメッセージ文をユーザに設定させることができる。したがって、画像形成装置1から通知されるメッセージ文の種類を減らすことができ、画像形成装置1の状態をユーザに容易に把握させることが可能になる。例えば、図4に示すように、単一のメッセージ文:「印刷できません」と、複数の状態情報:「トナー切れ」、「用紙づまり」、「紙切れ」、「印刷中」とを関連づけることができる。これにより、画像形成装置1の状態が「トナー切れ」、「用紙づまり」、「紙切れ」、「印刷中」のいずれであっても、「印刷できません」というメッセージ文がクライアント装置2に送信され、このメッセージ文がクライアント装置2のモニタに表示される。したがって、ユーザは、「トナー切れ」、「用紙づまり」、「紙切れ」、「印刷中」といった印刷不能の様々な原因から印刷不能である旨を間接的に把握する必要がなく、「印刷できません」というメッセージ文から印刷不能である旨を直接的に把握することができる。
【0068】
また、画像形成装置1では、検知部23により検知された画像形成装置1の状態を示す状態情報に関連づけられたメッセージ文がクライアント装置2に送信される。したがって、クライアント装置2は、画像形成装置1から送信されたメッセージ文を受信し、このメッセージ文をモニタに表示するだけで、画像形成装置1の状態をユーザに容易に把握させることができる。すなわち、クライアント装置2は、画像形成装置1から受信した情報を、画像形成装置1の状態をユーザに容易に把握させるための別の情報に変換したり、再編集したりする必要がない。それゆえ、クライアント装置2が行う処理を減らすことができる。
【0069】
なお、上述した実施形態では、入力制御部21がメッセージ文設定画面30を形成するための情報をクライアント装置2に送信することにより、クライアント装置2のモニタにメッセージ文設定画面30を表示させ、ユーザがクライアント装置2のモニタに表示されたメッセージ文設定画面30を見ながら、クライアント装置2を操作し、メッセージ文の設定入力およびメッセージ文と状態情報との関連づけの設定入力を行ったときに、これら設定入力に関する情報をクライアント装置2から受信する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。例えば、入力制御部21が操作パネル部13に設けられたディスプレイ13Bにメッセージ文設定画面を表示し、ユーザが操作ボタンユニット13Aの操作ボタンを操作してメッセージ文の設定入力およびメッセージ文と状態情報との関連づけを設定入力を行ったときに、これら設定入力に関する情報を受け取ってもよい。
【0070】
また、上述した実施形態では、本発明の画像形成装置として、複数の機能を兼ね備えた複合機を例にあげたが、本発明はこれに限らない。本発明は、複写装置、印刷装置、ファクシミリ装置など、機能が絞り込まれた画像形成装置にも適用することができる。また、画像形成装置とクライアント装置とを接続するコンピュータネットワークはインターネットや広域通信網(WAN)でもよい。
【0071】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う画像形成装置およびコンピュータプログラムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態である画像形成装置を含む画像形成システムを示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態である画像形成装置の内部構造などを示すブロック図である。
【図3】メッセージ文設定画面を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態である画像形成装置が有するメッセージ文管理テーブルを示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態である画像形成装置によるメッセージ文管理処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
1 画像形成装置
11 記憶部
21 入力制御部(入力手段)
22 記憶制御部(記憶制御手段)
23 検知部(検知手段)
24 出力制御部(出力手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像または原稿画像データに対して所定の処理を行う画像形成装置であって、
当該画像形成装置の状態を示す状態情報が予め記憶された記憶部と、
ユーザが任意に設定し得るメッセージ文、およびユーザが任意に設定し得る、当該メッセージ文と前記記憶部に記憶された状態情報との関連づけをユーザに入力させるための入力手段と、
前記入力手段を介してユーザにより入力された前記メッセージ文および前記関連づけを前記記憶部に記憶する記憶制御手段と、
当該画像形成装置の状態を検知する検知手段と、
前記記憶部に記憶された前記状態情報、前記メッセージ文および前記関連づけを参照することにより、前記検知手段により検知された当該画像形成装置の状態を示す前記状態情報に関連づけられた前記メッセージ文を選択し、選択した前記メッセージ文を出力する出力手段とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記入力手段は、ユーザが任意に設定し得る1つのメッセージ文と、当該画像形成装置の複数の状態をそれぞれ示す複数の状態情報との関連づけをユーザに入力させ、
前記記憶制御手段は、前記1つのメッセージ文と前記複数の状態情報との関連づけを前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
原稿画像または原稿画像データに対して所定の処理を行う画像形成装置にメッセージ文管理方法を実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記メッセージ文管理方法は、
ユーザが任意に設定し得るメッセージ文、およびユーザが任意に設定し得る、当該メッセージ文と記憶部に予め記憶された前記画像形成装置の状態を示す状態情報との関連づけをユーザに入力させるための入力工程と、
前記入力工程においてユーザにより入力された前記メッセージ文および前記関連づけを前記記憶部に記憶する記憶工程と、
前記画像形成装置の状態を検知する検知工程と、
前記記憶部に記憶された前記状態情報、前記メッセージ文および前記関連づけを参照することにより、前記検知工程において検知された前記画像形成装置の状態を示す前記状態情報に関連づけられた前記メッセージ文を選択し、選択した前記メッセージ文を出力する出力工程とを備えていることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記入力工程において、ユーザが任意に設定し得る1つのメッセージ文と、前記画像形成装置の複数の状態をそれぞれ示す複数の状態情報との関連づけをユーザに入力させ、
前記記憶工程において、前記1つのメッセージ文と前記複数の状態情報との関連づけを前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項3に記載のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−188517(P2009−188517A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23973(P2008−23973)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】