説明

画像形成装置およびプログラム

【課題】複数の画像形成装置がネットワークにより接続されている場合に、文書データを格納するために設けられた格納領域に記憶されている文書データに対する操作を、どの画像形成装置からも可能とする。
【解決手段】制御部33は、文書データ記憶部32内に新たな親展ボックスが作成された場合、他の画像形成装置に対して仮想的な親展ボックスを生成する指示を行う。制御部33は、仮想親展ボックスが選択された場合、その仮想親展ボックスに対応する実親展ボックスを記憶している画像形成装置を特定して文書データの一覧情報を要求する。制御部33は、文書データの一覧情報を受信した場合、一覧情報を操作パネル34上に表示し、表示した一覧情報に含まれる文書データに対する出力や削除がユーザにより指示された場合、その文書データに対する処理を実親展ボックスを記憶している画像形成装置に対して指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の画像処理装置が連携して動作する場合における、文書の保存場所を特定する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−234870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、複数の画像形成装置がネットワークにより接続されている場合に、文書データを格納するために設けられた格納領域に記憶されている文書データに対する操作を、どの画像形成装置からでも可能とする画像形成装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[画像形成装置]
請求項1に係る本発明は、文書データを格納するための格納領域を記憶する記憶手段と、
他の画像形成装置において生成された第1の格納領域に対応する第2の格納領域を作成する指示を受信する受信手段と、
前記受信手段が第2の格納領域を作成する指示を受信した場合、当該他の画像形成装置を特定するための情報と関連付けた第2の格納領域を前記記憶手段に作成する作成手段とを備えた画像形成装置である。
【0006】
請求項2に係る本発明は、前記第2の格納領域に文書データを格納する指示がされた場合、前記第2の格納領域に関連付けられた情報に基づいて画像形成装置を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された画像形成装置に対して文書データを転送する転送手段とをさらに備えた請求項1記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項3に係る本発明は、前記特定手段が、前記記憶手段に作成された第2の格納領域が選択された場合、当該第2の格納領域に関連付けられた情報に基づいて画像形成装置を特定し、
前記特定手段により特定された画像形成装置に対して、前記第2の格納領域に対応する第1の格納領域に格納されている文書データの一覧情報を要求する文書一覧要求を送信する送信手段と、
前記特定手段により特定された画像形成装置から文書データの一覧情報を受信した場合、その一覧情報を表示する表示手段と、
表示した一覧情報に含まれる文書データに対する出力が指示された場合、その文書データの出力を前記特定手段により特定された画像形成装置に対して指示する出力指示手段をさらに備えた請求項2記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項4に係る本発明は、前記特定手段が、前記記憶手段に作成された第2の格納領域が選択された場合、当該第2の格納領域に関連付けられた情報に基づいて画像形成装置を特定し、
前記特定手段により特定された画像形成装置に対して、前記第2の格納領域に対応する第1の格納領域に格納されている文書データの一覧情報を要求する文書一覧要求を送信する送信手段と、
前記特定手段により特定された画像形成装置から文書データの一覧情報を受信した場合、その一覧情報を表示する表示手段と、
表示した一覧情報に含まれる文書データに対する削除が指示された場合、その文書データに対する削除を前記特定手段により特定された画像形成装置に対して指示する削除指示手段をさらに備えた請求項2記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項5に係る本発明は、前記記憶手段に格納されている第1または第2の格納領域が削除された場合、削除された当該第1または第2の格納領域に対応する格納領域を削除するよう他の画像形成装置に対して指示をする削除指示手段をさらに備えた請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置である。
【0010】
請求項6に係る本発明は、文書データを格納するための格納領域を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段内に第1の格納領域が新たに作成された場合、ネットワーク上に接続されている他の画像形成装置に対して、作成された第1の格納領域に対応する第2の格納領域を生成する指示を行う作成指示手段とを備えた画像形成装置である。
【0011】
請求項7に係る本発明は、文書データを格納するための格納領域を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段内に第1の格納領域が新たに作成された場合、ネットワーク上に接続されている他の画像形成装置に対して、作成された第1の格納領域に対応する第2の格納領域を生成する指示を行う作成指示手段と、
他の画像形成装置から第2の格納領域を作成する指示を受けた場合、当該他の画像形成装置を特定するための情報と関連付けた第2の格納領域を前記記憶手段に作成する作成手段とを備えた画像形成装置である。
【0012】
[プログラム]
請求項8に係る本発明は、他の画像形成装置において生成された第1の格納領域に対応する第2の格納領域を作成する指示を受信するステップと、
第2の格納領域を作成する指示を受信した場合、当該他の画像形成装置を特定するための情報と関連付けた第2の格納領域を記憶手段に作成するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0013】
請求項9に係る本発明は、前記第2の格納領域に文書データを格納する指示がされた場合、前記第2の格納領域に関連付けられた情報に基づいて画像形成装置を特定するステップと、
特定された画像形成装置に対して文書データを転送するステップとをさらにコンピュータに実行させる請求項8記載のプログラムである。
【0014】
請求項10に係る本発明は、文書データを格納するための格納領域を記憶する記憶手段内に第1の格納領域を作成する指示がされた場合、前記記憶手段内に第1の格納領域を作成するステップと、
ネットワーク上に接続されている他の画像形成装置に対して、作成された第1の格納領域に対応する第2の格納領域を生成する指示を行うステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る本発明によれば、文書データを格納するための第1の格納領域が新たに作成された場合、ネットワーク上の他の画像形成装置において、作成された第1の格納領域に対応する第2の格納領域を作成することができる画像形成装置を提供することができる。
【0016】
請求項2に係る本発明によれば、第2の格納領域への格納が指示された文書データを、第1の格納領域が記憶された画像形成装置に転送することができる画像形成装置を提供することができる。
【0017】
請求項3に係る本発明によれば、第2の格納領域が記憶されている画像形成装置において、この第2の格納領域に対応する第1の格納領域に格納されている文書データに対する出力指示を行うことを可能とする画像形成装置を提供することができる。
【0018】
請求項4に係る本発明によれば、第2の格納領域が記憶されている画像形成装置において、この第2の格納領域に対応する第1の格納領域に格納されている文書データに対する削除指示を行うことを可能とする画像形成装置を提供することができる。
【0019】
請求項5に係る本発明によれば、第1または第2の格納領域のいずれかが削除された場合、対応する他の格納領域を削除することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0020】
請求項6に係る本発明によれば、文書データを格納するための第1の格納領域が新たに作成された場合、ネットワーク上の他の画像形成装置に対して、作成された第1の格納領域に対応する第2の格納領域の作成を指示することができる画像形成装置を提供することができる。
【0021】
請求項7に係る本発明によれば、文書データを格納するための第1の格納領域が新たに作成された場合、ネットワーク上の他の画像形成装置において、作成された第1の格納領域に対応する第2の格納領域を作成することができる画像形成装置を提供することができる。
【0022】
請求項8に係る本発明によれば、文書データを格納するための第1の格納領域が新たに作成された場合、ネットワーク上の他の画像形成装置において、作成された第1の格納領域に対応する第2の格納領域が作成されるプログラムを提供することができる。
【0023】
請求項9に係る本発明によれば、第2の格納領域への格納が指示された文書データを、第1の格納領域が記憶された画像形成装置に転送することができるプログラムを提供することができる。
【0024】
請求項10に係る本発明によれば、文書データを格納するための第1の格納領域が新たに作成された場合、ネットワーク上の他の画像形成装置に対して、作成された第1の格納領域に対応する第2の格納領域の作成を指示することができるプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態の画像形成装置のシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における画像形成装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
【図4】画像形成装置20において新たな親展ボックスが作成された場合の動作を説明するためのシーケンスチャートである。
【図5】実親展ボックスおよび仮想親展ボックスの表示例を示す図である。
【図6】画像形成装置30において文書をスキャンして、得られた文書データを仮想親展ボックスに格納した場合の動作を説明するためのシーケンスチャートである。
【図7】画像形成装置10において仮想親展ボックスを選択してある文書の出力を行う場合の動作を説明するためのシーケンスチャートである。
【図8】親展ボックスに格納されている文書データを削除する際の動作を説明するためのシーケンスチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態の画像形成システムにおいて文書をスキャンして、得られた文書データを仮想親展ボックスに格納する場合の動作を説明するためのシーケンスチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態の画像形成システムにおいて文書をスキャンして、得られた文書データを仮想親展ボックスに格納する場合の別の動作を説明するためのシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0028】
本発明の第1の実施形態の画像形成システムは、図1に示されるように、ネットワーク40により相互に接続された複数の画像形成装置10、20、30により構成される。本実施形態では、画像形成装置が3台の場合について説明しているが、本発明は画像形成装置の台数に限定されるものではなく、少なくとも2台以上の画像形成装置が接続されているシステムであれば適用可能である。なお、画像形成装置10、20、30は、印刷(プリント)機能、スキャン機能、複写(コピー)機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有するいわゆる複合機と呼ばれる装置である。
【0029】
次に、本実施形態の画像形成システムにおける画像形成装置10のハードウェア構成を図2に示す。なお、画像形成装置20、30の構成は、画像形成装置10の構成と同様であるため、その説明は省略する。
【0030】
画像形成装置10は、図2に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置13、ネットワーク40を介して他の画像形成装置20、30等との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IF)14、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UI)装置15、スキャナ16、プリントエンジン17を有する。これらの構成要素は、制御バス18を介して互いに接続されている。
【0031】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、画像形成装置10の動作を制御する。
【0032】
なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明したが、当該プログラムをCD−ROM等の記憶媒体に格納してCPU11に提供することも可能である。
【0033】
図3は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現される画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0034】
本実施形態の画像形成装置10は、図3に示されるように、画像読取部31と、文書データ記憶部32と、制御部33と、操作パネル34と、送受信部35と、画像出力部36とを備えている。
【0035】
画像読取部31は、原稿画像を読み込んで文書データに変換する。文書データ記憶部32は、文書データを格納するための親展ボックス(格納領域)を記憶する。
【0036】
操作パネル34は、タッチパネル等により構成されユーザに表示する機能と、ユーザからの指示を入力する機能とを備えている。送受信部35は、画像形成装置20、30等との間でデータの送受信を行う。また、画像出力部36は、制御部33からの指示に基づいて、文書データを印刷用紙上に出力する。
【0037】
制御部33は、文書データ記憶部32内に新たな親展ボックス(第1の格納領域)が作成された場合、ネットワーク40上に接続されている他の画像形成装置20、30に対して、作成された親展ボックスに対応する仮想的な親展ボックス(第2の格納領域)を生成する指示を行う。
【0038】
ここで、以下の説明では、最初に作成された新たな親展ボックスを現実の親展ボックス(以下、実親展ボックスと略す。)と称し、この実親展ボックスに対応して作成される親展ボックスを仮想的な親展ボックス(以下、仮想親展ボックスと略す。)と称する。この実親展ボックスとは、実際に文書データを格納するための親展ボックスであり、仮想親展ボックスとは、対応する実親展ボックスが設けられている画像形成装置を特定するためのアドレス情報等の情報を関連付けて記憶するための親展ボックスである。
【0039】
また、制御部33は、送受信部35を介して他の画像形成装置20、30から仮想親展ボックスを作成する指示を受けた場合、その画像形成装置20、30を特定するための情報と関連付けた仮想親展ボックスを文書データ記憶部32内に作成する。
【0040】
さらに、制御部33は、文書データ記憶部32内の仮想親展ボックスに文書データを格納する指示がされた場合、その仮想親展ボックスに関連付けられた情報に基づいて、その仮想親展ボックスに対応する実親展ボックスが存在する画像形成装置を特定する。
【0041】
そして、送受信部35は、制御部33により特定された画像形成装置に対して文書データを転送する。
【0042】
また、制御部33は、文書データ記憶部32内の仮想親展ボックスが操作パネル34を介して選択された場合、その仮想親展ボックスに関連付けられた情報に基づいて、その仮想親展ボックスに対応する実親展ボックスを記憶している画像形成装置を特定する。
【0043】
そして、送受信部35は、制御部33により特定された画像形成装置に対して、仮想親展ボックスに対応する実親展ボックスに格納されている文書データの一覧情報を要求する文書一覧要求を送信する。
【0044】
そして、制御部33は、送受信部35を介して文書データの一覧情報を受信した場合、その一覧情報を操作パネル34上に表示する。
【0045】
さらに、制御部33は、操作パネル34上に表示した一覧情報に含まれる文書データに対する出力がユーザにより指示された場合、その文書データの出力を、実親展ボックスを記憶している画像形成装置に対して指示する。
【0046】
なお、制御部33は、操作パネル34上に表示した一覧情報に含まれる文書データに対する削除がユーザにより指示された場合、その文書データに対する削除を、実親展ボックスを記憶している画像形成装置に対して指示する。
【0047】
また、制御部33は、文書データ記憶部32に格納されている仮想親展ボックスまたは実親展ボックスが削除された場合、削除されたその仮想親展ボックスまたは実親展ボックスに対応する親展ボックスを削除するよう他の画像形成装置20、30に対して送受信部35を介して指示をする。
【0048】
次に、本実施形態の画像形成システムの動作を図面を参照して詳細に説明する。
先ず、画像形成装置20において新たな親展ボックスが作成された場合の動作について図4のシーケンスチャートを参照して説明する。
【0049】
画像形成装置20において親展ボックスを作成する処理が行われた場合(ステップS41)、画像形成装置20はネットワーク40上に接続されている画像形成装置10、30に対して仮想親展ボックスを作成する指示を送信する(ステップS42)。
【0050】
この仮想親展ボックスの作成指示を受信した画像形成装置10では、画像形成装置20を特定するための情報に関連付けられた仮想親展ボックスを作成して文書データ記憶部内に記憶する(ステップS43)。同様に、仮想親展ボックスの作成指示を受信した画像形成装置30においても、画像形成装置20を特定するための情報に関連付けられた仮想親展ボックスを作成して文書データ記憶部内に記憶する(ステップS44)。
【0051】
このようにして作成された実親展ボックスおよび仮想親展ボックスの表示例を図5に示す。図5に示した表示例では、画像形成装置10の操作パネル34上に親展ボックスの一覧が表示されている。ここで、実線で表示されている親展ボックスは、実親展ボックスを示し、点線で示される親展ボックスは、仮想親展ボックスを示している。つまり、この図5に示された例では、画像形成装置10の文書データ記憶部32内には、ユーザB、Dの実親展ボックスが作成されており、ユーザA、Cの仮想親展ボックスが作成されていることがわかる。
【0052】
次に、画像形成装置30において文書をスキャン(読み取り)して、得られた文書データを仮想親展ボックスに格納した場合の動作を図6のシーケンスチャートを参照して説明する。
【0053】
まず、仮想親展ボックスを指定して画像形成装置30において文書をスキャンした場合(ステップS61)、その文書データは、指定された仮想親展ボックスに関連付けて記憶されている情報により特定される画像形成装置20に転送される(ステップS62)。そして、画像形成装置20では、転送されてきた文書データを、スキャンの際に指定された仮想親展ボックスに対応する実親展ボックスに格納する(ステップS63)。
【0054】
次に、画像形成装置10において仮想親展ボックスを選択してある文書の出力を行う場合の動作を図7のシーケンスチャートを参照して説明する。
【0055】
まず、画像形成装置10において操作パネル34上に表示されている仮想親展ボックスが選択されると(ステップS71)、その仮想親展ボックスに関連付けて記憶されている情報に基づいて、選択された仮想親展ボックスに対応する実親展ボックスを記憶している画像形成装置20が特定される。そして、画像形成装置10から画像形成装置20に対して、実親展ボックス内の文書データの一覧情報の要求を送信する(ステップS72)。
【0056】
なお、この時点において画像形成装置20の電源がオフされている場合には、例えば操作パネル34上において「画像形成装置20の電源をオンしてください。」というような表示を行うことにより、ユーザに実親展ボックスが記憶されている画像形成装置を報知するようにしてもよい。
【0057】
この文書一覧情報要求を受けた画像形成装置20では、実親展ボックス内の文書一覧情報を作成して画像形成装置10に転送する(ステップS73)。すると、画像形成装置10では、転送されてきた文書一覧情報を操作パネル34に表示する(ステップS74)。
【0058】
この操作パネル34上に表示された文書一覧情報を参照したユーザが、ある文書データの印刷を指示した場合、その印刷指示は画像形成装置20に送信される(ステップS75)。そして、この印刷指示を受信した画像形成装置20では、格納している文書データを印刷するための印刷ジョブを作成し(ステップS76)、その印刷ジョブを画像形成装置10に送信する(ステップS77)。
【0059】
画像形成装置20からの印刷ジョブを受信した画像形成装置10では、受信した印刷ジョブに基づいて印刷処理を実行する(ステップS78)。
【0060】
次に、親展ボックスに格納されている文書データを削除する際の動作を図8のシーケンスチャートを参照して説明する。
【0061】
まず、画像形成装置10において操作パネル34上に表示されている仮想親展ボックスが選択されると(ステップS81)、その仮想親展ボックスに関連付けて記憶されている情報に基づいて、選択された仮想親展ボックスに対応する実親展ボックスを記憶している画像形成装置20が特定される。そして、画像形成装置10から画像形成装置20に対して、実親展ボックス内の文書データの一覧情報取得要求を送信する(ステップS82)。
【0062】
この文書一覧情報要求を受けた画像形成装置20では、実親展ボックス内の文書一覧情報を作成して画像形成装置10に転送する(ステップS83)。すると、画像形成装置10では、転送されてきた文書一覧情報を操作パネル34に表示する(ステップS84)。
【0063】
この操作パネル34上に表示された文書一覧情報を参照したユーザが、ある文書データの削除を指示した場合、その削除指示は画像形成装置20に送信される(ステップS85)。そして、この削除指示を受信した画像形成装置20では、実親展ボックス内に格納されている文書データのうち、削除指示を受けた文書データを削除する処理を実行する(ステップS86)。
【0064】
本実施形態では、文書データを実際に格納するための実親展ボックスが1つのみの場合について説明しているが、1つのシステム上に複数の実親展ボックスを設けるようにしてもよい。例えば、2つの実親展ボックスを作成する場合には、1つの実親展ボックスをメイン(主)として他の実親展ボックスをサブ(予備)とし、仮想親展ボックスには、メインとサブの実親展ボックスがそれぞれ設けられている画像形成装置のアドレス情報等を記憶する。そして、メインの実親展ボックスが記憶された画像形成装置の電源がオフされている等の理由により通信できない場合、サブの実親展ボックスが記憶された画像形成装置との間でデータの送受信を行うようにする。
【0065】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態の画像形成システムについて説明する。本実施形態の画像形成システムは、上記で説明した第1の実施形態と基本的な構成は同様な構成となっている。ただし、本実施形態の画像形成システムでは、文書データの移動回数を削減するために仮想親展ボックスに文書データを格納する点が、上記の第1の実施形態の画像形成システムとは異なる。
【0066】
本実施形態の画像形成システムにおいて文書をスキャンして、得られた文書データを仮想親展ボックスに格納した場合の動作を図9のシーケンスチャートを参照して説明する。
【0067】
まず、仮想親展ボックスを指定して画像形成装置30において文書をスキャンした場合(ステップS91)、その文書データは、画像形成装置30の仮想親展ボックスに格納され(ステップS92)、その仮想親展ボックスへのリンク情報のみが、実親展ボックスが記憶されている画像形成装置20に転送される(ステップS93)。リンク情報が転送された画像形成装置20では、実親展ボックス内にリンク情報を格納する(ステップS94)。
【0068】
ここで、リンク情報には、その仮想親展ボックスが記憶されている画像形成装置のアドレス情報およびその仮想親展ボックス番号だけでなく、その仮想親展ボックスに含まれる文書数、およびそれぞれの文書のページ数、ページサイズの情報等が含まれるようにしてもよい。
【0069】
また、本実施形態の画像形成システムにおいて文書をスキャンして、得られた文書データを仮想親展ボックスに格納した場合の別の動作を図10のシーケンスチャートを参照して説明する。
【0070】
仮想親展ボックスを指定して画像形成装置30において文書をスキャンした場合(ステップS101)、その文書データは、画像形成装置30の仮想親展ボックスに格納されるとともに(ステップS102)、その仮想親展ボックスへのリンク情報と文書データとが、実親展ボックスが記憶されている画像形成装置20に転送される(ステップS103)。リンク情報が転送された画像形成装置20では、実親展ボックス内に文書データとリンク情報を格納する(ステップS104)。
【0071】
[変形例]
上記実施形態では、画像形成装置10、20、30がそれぞれ同様な構成となっている場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、実親展ボックスの作成は画像形成装置20においてのみ行う、画像形成装置10、30では、仮想親展ボックスの作成のみを行うようにしてもよい。このような構成とした場合、画像形成装置20では、文書データ記憶部32内に実親展ボックスが作成されると、ネットワーク40上に接続されている他の画像形成装置20、30に対して、作成された実親展ボックスに対応する仮想親展ボックスを生成する指示を行う。そして、画像形成装置20、30では、画像形成装置10から仮想親展ボックスを作成する指示を受信すると、その画像形成装置10を特定するための情報と関連付けた仮想親展ボックスを記憶手段に作成する。
【符号の説明】
【0072】
10 画像形成装置
11 CPU
12 メモリ
13 記憶装置
14 通信インタフェース(IF)
15 ユーザインタフェース(UI)装置
16 スキャナ
17 プリントエンジン
18 制御バス
20 画像形成装置
30 画像形成装置
31 画像読取部
32 文書データ記憶部
33 制御部
34 操作パネル
35 送受信部
36 画像出力部
40 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書データを格納するための格納領域を記憶する記憶手段と、
他の画像形成装置において生成された第1の格納領域に対応する第2の格納領域を作成する指示を受信する受信手段と、
前記受信手段が第2の格納領域を作成する指示を受信した場合、当該他の画像形成装置を特定するための情報と関連付けた第2の格納領域を前記記憶手段に作成する作成手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記第2の格納領域に文書データを格納する指示がされた場合、前記第2の格納領域に関連付けられた情報に基づいて画像形成装置を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された画像形成装置に対して文書データを転送する転送手段と、
をさらに備えた請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記特定手段は、前記記憶手段に作成された第2の格納領域が選択された場合、当該第2の格納領域に関連付けられた情報に基づいて画像形成装置を特定し、
前記特定手段により特定された画像形成装置に対して、前記第2の格納領域に対応する第1の格納領域に格納されている文書データの一覧情報を要求する文書一覧要求を送信する送信手段と、
前記特定手段により特定された画像形成装置から文書データの一覧情報を受信した場合、その一覧情報を表示する表示手段と、
表示した一覧情報に含まれる文書データに対する出力が指示された場合、その文書データの出力を前記特定手段により特定された画像形成装置に対して指示する出力指示手段をさらに備えた請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記特定手段は、前記記憶手段に作成された第2の格納領域が選択された場合、当該第2の格納領域に関連付けられた情報に基づいて画像形成装置を特定し、
前記特定手段により特定された画像形成装置に対して、前記第2の格納領域に対応する第1の格納領域に格納されている文書データの一覧情報を要求する文書一覧要求を送信する送信手段と、
前記特定手段により特定された画像形成装置から文書データの一覧情報を受信した場合、その一覧情報を表示する表示手段と、
表示した一覧情報に含まれる文書データに対する削除が指示された場合、その文書データに対する削除を前記特定手段により特定された画像形成装置に対して指示する削除指示手段をさらに備えた請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記憶手段に格納されている第1または第2の格納領域が削除された場合、削除された当該第1または第2の格納領域に対応する格納領域を削除するよう他の画像形成装置に対して指示をする削除指示手段をさらに備えた請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
文書データを格納するための格納領域を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段内に第1の格納領域が新たに作成された場合、ネットワーク上に接続されている他の画像形成装置に対して、作成された第1の格納領域に対応する第2の格納領域を生成する指示を行う作成指示手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項7】
文書データを格納するための格納領域を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段内に第1の格納領域が新たに作成された場合、ネットワーク上に接続されている他の画像形成装置に対して、作成された第1の格納領域に対応する第2の格納領域を生成する指示を行う作成指示手段と、
他の画像形成装置から第2の格納領域を作成する指示を受けた場合、当該他の画像形成装置を特定するための情報と関連付けた第2の格納領域を前記記憶手段に作成する作成手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項8】
他の画像形成装置において生成された第1の格納領域に対応する第2の格納領域を作成する指示を受信するステップと、
第2の格納領域を作成する指示を受信した場合、当該他の画像形成装置を特定するための情報と関連付けた第2の格納領域を記憶手段に作成するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
前記第2の格納領域に文書データを格納する指示がされた場合、前記第2の格納領域に関連付けられた情報に基づいて画像形成装置を特定するステップと、
特定された画像形成装置に対して文書データを転送するステップとをさらにコンピュータに実行させる請求項8記載のプログラム。
【請求項10】
文書データを格納するための格納領域を記憶する記憶手段内に第1の格納領域を作成する指示がされた場合、前記記憶手段内に第1の格納領域を作成するステップと、
ネットワーク上に接続されている他の画像形成装置に対して、作成された第1の格納領域に対応する第2の格納領域を生成する指示を行うステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−44986(P2011−44986A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192922(P2009−192922)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】