画像形成装置および画像処理方法
【課題】濃度補正パラメータとしてのγ変換テーブルを作成する際の記録媒体の利用を抑制可能とする。
【解決手段】画像形成装置1は、中間転写ベルトに形成された濃度パターンから反射率を測定する反射率測定部16と、出力用紙に形成された濃度パターンに形成された濃度パターンから濃度を測定する濃度測定部15と、各測定部15、16で測定された反射率と濃度との関係を示す変換テーブルを作成する反射率濃度変換テーブル作成部17と、その作成部17で作成された既存の反射率濃度変換テーブルを使用するか否かを判定する判定手段と、その判定手段で既存の変換テーブルを使用すると判定された場合に、そのとき中間転写ベルトに形成された濃度パターンから前記第1の測定手段で測定された反射率の測定結果と、既存の反射率濃度変換テーブルとに基づいて、所定の濃度特性を実現するγ変換テーブルを作成する濃度補正パラメータ作成部18とを有する。
【解決手段】画像形成装置1は、中間転写ベルトに形成された濃度パターンから反射率を測定する反射率測定部16と、出力用紙に形成された濃度パターンに形成された濃度パターンから濃度を測定する濃度測定部15と、各測定部15、16で測定された反射率と濃度との関係を示す変換テーブルを作成する反射率濃度変換テーブル作成部17と、その作成部17で作成された既存の反射率濃度変換テーブルを使用するか否かを判定する判定手段と、その判定手段で既存の変換テーブルを使用すると判定された場合に、そのとき中間転写ベルトに形成された濃度パターンから前記第1の測定手段で測定された反射率の測定結果と、既存の反射率濃度変換テーブルとに基づいて、所定の濃度特性を実現するγ変換テーブルを作成する濃度補正パラメータ作成部18とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャリブレーション実施前後の出力可能な階調値を維持するようにした画像処理装置(特許文献1参照)が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の技術では、濃度補正パラメータとしてのγ変換テーブルを作成する度に、記録媒体への出力が必要となってしまうという課題がある。
【0004】
そこで、本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、濃度補正パラメータとしてのγ変換テーブルを作成する際の記録媒体の利用を抑制可能な画像形成装置および画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した課題を解決し、目的を達成するために、画像形成装置は、像担持体に形成された濃度パターンから反射率を測定する第1の測定手段と、記録媒体に形成された濃度パターンに形成された濃度パターンから濃度を測定する第2の測定手段と、前記第1および第2の測定手段で測定された反射率と濃度との関係を示す変換テーブルを作成する第1の作成手段と、前記第1の作成手段で作成された既存の変換テーブルを使用するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段で前記既存の変換テーブルを使用すると判定された場合に、そのとき前記担持体に形成された濃度パターンから前記第1の測定手段で測定された反射率の測定結果と、前記既存の変換テーブルとに基づいて、所定の濃度特性を実現する濃度補正テーブルを作成する第2の作成手段と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、既存の変換テーブルが使用可能であれば、濃度補正パラメータとしての濃度補正テーブルを作成する都度、変換テーブルを作成せずに濃度補正テーブルを作成することができるので、濃度補正テーブルの作成処理を簡略化することができるとともに、濃度補正テーブルを作成する場合の記録媒体の利用を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本実施形態に係る画像形成装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、画像形成装置が濃度補正パラメータとしてのγ変換テーブルを作成する処理手順を示すフローチャートである。
【図3】図3は、濃度把握用の濃度パターン画像の一構成例を示す模式図である。
【図4】図4は、各パッチに割り当てられている階調値の一構成例を示すテーブルである。
【図5】図5は、反射率濃度変換テーブルの一構成例を示す模式図である。
【図6】図6は、濃度ターゲットテーブルの一構成例を示す図である。
【図7】図7は、センサにより測定された反射率の一構成例を示すテーブルである。
【図8】図8は、γ変換テーブルの一構成例を示すテーブルである。
【図9】図9は、濃度補正パラメータ作成処理前後のγ変換テーブルと、レベルセレクト処理の詳細を示す模式図である。
【図10】図10は、レベルセレクト処理をしない場合の濃度補正パラメータ作成処理前後のγ変換テーブルを示す模式図である。
【図11】図11は、論理階調ディザパターンと濃度補正パラメータ作成処理後のCMYK各色の仮γ変換テーブルとの対応表を作成する際のデータ関連を示す図である。
【図12】図12は、ほぼ256階調となるディザパターンを生成する際のデータ関連を示す図である。
【図13】図13は、図2に示す処理手順の変形例を示すフロチャートである。
【図14】図14は、従来のγ変換テーブルの一構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の概略的な構成を示すブロック図である。
【0010】
なお、以下では、階調値すなわち画像データは、0以上255以下の整数値で表され、値が大きいほど濃度が高いことを示すものとする。
【0011】
図1に示すように、画像形成装置1は、印刷データ入力部11と、画像データ作成部12と、内部画像形成部13と、用紙出力部14と、濃度測定部15と、反射率測定部16と、反射率濃度変換テーブル作成部17と、濃度補正パラメータ作成部18とを有している。
【0012】
印刷データ入力部11は、スキャナ(不図示)やコンピュータ(不図示)などから印刷データを受け取る。この印刷データ入力部11は、必要であれば、受け取った印刷データを、画像形成装置1が処理し易いデータ形式に変換した印刷データに変換する。
【0013】
画像データ作成部12は、印刷データ入力部11が作成した印刷データに基づく画像データを作成する。また、画像データ作成部12は、濃度把握用の濃度パターン画像を作成するための画像データを作成する。この画像データ作成部12は、濃度補正パラメータ作成部18が作成したパラメータに基づいて画像データの濃度を変化させる処理も行う。
【0014】
内部画像形成部13は、画像データ作成部12が作成した画像データに基づいて、画像形成装置1内の感光体ドラム(不図示)にレーザを照射するなどして、感光体ドラム上にトナー像を形成し、そして、そのトナー像を中間転写ベルト(像担持体)(不図示)に転写して中間転写ベルト上に画像を形成する。また、この内部画像形成部13は、濃度把握用の濃度パターン画像を中間転写ベルト上に形成する。
【0015】
用紙出力部14は、内部画像形成部13が中間転写ベルト上に形成した画像を、記録媒体としての出力用紙に転写させ、更に定着させて出力用紙上に画像を形成する。
【0016】
濃度測定部15は、出力用紙上に形成された画像であり、濃度把握用の濃度パターン画像の濃度を測色計(不図示)によって測定する。なお、この濃度測定部15は、出力用紙上に形成された濃度把握用の濃度パターン画像の濃度を測定した結果を、反射率濃度変換テーブル作成部17に入力できる構成であれば、画像形成装置1内に含まれる必要はない。
【0017】
反射率測定部16は、内部画像形成部13によって中間転写ベルト上に形成された濃度把握用の濃度パターン画像の反射率を、画像形成装置1内に設置された内部のセンサ(不図示)によって測定する。
【0018】
反射率濃度変換テーブル作成部17は、濃度測定部15の測定結果と、反射率測定部16の測定結果に基づいて、所定の濃度パターンから測定された濃度と反射率との関係を示す反射率濃度変換テーブルを作成する。
【0019】
濃度補正パラメータ作成部18は、反射率濃度変換テーブル作成部17が作成した反射率濃度変換テーブルと、反射率測定部16が所定の濃度パターンの反射率を測定した測定結果とに基づいて、所定の濃度特性を実現する(即ち、経時の濃度変動を抑制するための)濃度補正パラメータとしてγ変換テーブル(濃度補正テーブル)を作成する。
【0020】
即ち、本実施形態の画像形成装置1は、入力された画像データをγ変換テーブルに基づいて変換し、さらに、スクリーン処理を行うことで階調変換して記録媒体である出力用紙上に画像を形成するものである。
【0021】
次に、前記説明した構成の画像形成装置1における処理動作について説明する。
【0022】
図2は、画像形成装置1が濃度補正パラメータとしてのγ変換テーブルを作成する処理手順を示すフローチャートである。
【0023】
図2に示すように、まず、ステップS101において、画像形成装置1は、反射率濃度変換テーブルが存在するか否かを判定する。
【0024】
この判定の結果、反射率濃度変換テーブルが存在すると判定した場合(ステップS101:Yes)、続いて、ステップS102において、画像形成装置1は、反射率濃度変換テーブルが有効であるか否かを判定する。即ち、ステップS102の処理は、既存の反射率濃度変換テーブルを使用するか否かを判定するものであり、画像形成装置1における判定手段に相当する。
【0025】
なお、ここで、反射率濃度変換テーブルが有効であるとは、反射率と濃度の対応関係が、反射率濃度変換テーブルが作成された時点から大きく変動していないことを期待できることである。より具体的には、例えば、反射率濃度変換テーブルが有効であるとは、反射率濃度変換テーブルが作成されてからの経過時間が所定時間以下である場合や、反射率濃度変換テーブルが作成されてから、画像形成装置1において出力された出力用紙の出力枚数が所定枚数以下である場合などが挙げられる。
【0026】
また、前記したステップS102では、反射率濃度変換テーブルが有効であるか否かを判定する形態について説明したが、これ以外の判定方法とすることも可能である。例えば、画像形成装置1を利用するユーザがその時画像形成装置1に存在する反射率濃度変換テーブルを利用するか否かを判断し、その判断指示を画像形成装置1に入力し、ステップS102において、画像形成装置1が、反射率濃度変換テーブルを利用するか否かの判定を行う。
【0027】
ステップS102の判定の結果、反射率濃度変換テーブルが有効であると判定された場合(ステップS102:Yes)、続いて、ステップS103において、画像形成装置1では、内部画像形成部13が、濃度把握用の濃度パターン画像(図3参照)を中間転写ベルト上に形成し、反射率測定部16が、中間転写ベルト上に形成された濃度パターン画像の反射率をセンサにより測定する。
【0028】
図3は、濃度把握用の濃度パターン画像の一構成例を示す模式図である。
【0029】
図3に示す濃度パターン画像2は、K00、K01、・・・、K16の計17個のパッチで構成されており、画像形成装置1の単色成分のうち黒成分のみを有するパッチ列で構成されている。
【0030】
そして、図3に示す濃度パターン画像2の各パッチの黒成分についての階調値は、図4に示すように、K00には「0」の階調値が、K16には「255」の階調値が、K01からK15には、おおむね均等に増加していくような階調値が与えられている。なお、図4に示す階調値は、一例を示しており、K00からK16に与えられる階調値はその他の階調値が与えられていても良く、K00からK16まで階調値が均等に増加していくような階調値でなくても良いものとする。ところで、階調値は、「0」が最も薄く、「255」が最も濃く出力することを示している。
【0031】
また、図4は、各パッチに割り当てられている階調値を示すとともに、各パッチ毎に測定された反射率および濃度、即ち、反射率濃度変換テーブルに対応するデータも有している場合を示している。
【0032】
即ち、ステップS103においては、画像形成装置1は、図3に示すような濃度パターン画像を中間転写ベルト上に形成し、該形成された濃度パターン画像2の各パッチK00〜K16の反射率をセンサで測定する。
【0033】
図2に戻って、続くステップS104において、画像形成装置1では、濃度補正パラメータ作成部18が、ステップS102で有効であると判定された反射率濃度変換テーブルと、ステップS103の測定結果とに基づいてγ変換テーブルを作成し、その後、画像形成装置1は、ここでの処理を終了する。γ変換テーブルの作成方法については後述する。
【0034】
なお、ステップS103において中間転写ベルト上に形成された濃度パターン画像は、ステップS103で反射率が測定された後や、ステップS104においてγ変換テーブルが作成された後などの所定のタイミングで消去されるようになっている。
【0035】
一方、ステップS101およびステップS102の判定でNoと判定された場合には、続いて、ステップS105において、画像形成装置1では、内部画像形成部13が、濃度把握用の濃度パターン画像(図3参照)を中間転写ベルト上に形成し、反射率測定部16が、中間転写ベルト上に形成された濃度パターン画像の反射率をセンサにより測定する。その後、用紙出力部14が、中間転写ベルト上に形成された濃度把握用の濃度パターン画像を出力用紙上に形成し、濃度測定部15が、出力用紙上に形成された濃度把握用の濃度パターンの濃度を測色計により測定する。
【0036】
即ち、ステップS105においては、画像形成装置1は、図3に示すような濃度パターン画像を中間転写ベルト上に形成し、該形成された濃度パターン画像の各パッチK00〜K16の反射率をセンサで測定するとともに、図3に示すような濃度パターン画像を出力用紙上に形成し、該形成された濃度パターン画像の各パッチK00〜K16の濃度を測色計で測定する。
【0037】
続いて、ステップS106において、画像形成装置1では、反射率濃度変換テーブル作成部17が、ステップS105の測定結果に基づいて、所定の濃度パターンから測定された濃度と反射率との関係を示す反射率濃度変換テーブル(図5参照)を作成する。
【0038】
図5は、反射率濃度変換テーブルの一構成例を示す模式図である。
【0039】
図5に示す反射率濃度変換テーブルは、反射率に対応する濃度を示しており、図5の例では、例えば、反射率「0.865」に対応する濃度が「0.070」であることを示している。
【0040】
なお、ステップS105において濃度パターンが転写された出力用紙は、濃度測定部15が濃度を測定した後などのタイミングで所定の用紙排出口(不図示)から画像形成装置1の外部に排出される。
【0041】
ステップS106の処理後、続くステップS107において、予め定めた濃度ターゲットに示す階調値と濃度の関係を実現するように所定のレベルセレクト処理を実行する。レベルセレクト処理の方法については後述する。
【0042】
そして、ステップS107のレベルセレクト処理が完了した後、画像形成装置1では、ステップS103の処理に移行し、前記したのと同様の処理を行い、その後、ここでの処理を終了する。
【0043】
以下、γ変換テーブルの具体的な作成方法について図6〜図8を用いて説明する。
【0044】
なお、以下の説明では、ステップS103の処理において図7に示す反射率の結果が得られて、図5に示す反射率濃度変換テーブルを利用する場合のγ変換テーブルの作成方法について説明する。
【0045】
図6は、濃度ターゲットテーブルの一構成例を示す図である。
【0046】
図6に示す濃度ターゲットテーブルは、黒色の濃度ターゲットであり、階調値別の濃度ターゲットを示しており、図6の例では、例えば、階調値80に対して濃度ターゲット「0.503」が設定されており、これは、入力画像データのうち階調値80の画像データに対して濃度「0.503」で出力するよう求めていることを意味している。
【0047】
ところで、濃度「0.503」は、図5に示す反射率濃度変換テーブルから、反射率「0.322」における濃度「0.496」と、反射率「0.235」における濃度「0.633」の間に位置している。そこでそれらから、まず、濃度「0.503」に対応する反射率を線形補間により求めると、{(0.503−0.496)/(0.633−0.496)}×(0.235−0.322)+0.322の式により、濃度「0.503」に対応する反射率が「0.3175」であると求まる。
【0048】
次に、図7のセンサにより測定した結果から、反射率「0.3175」に対応する階調値を求める。
【0049】
反射率「0.3175」は、図7に示す階調値80に対応する反射率「0.318」と階調値96に対応する反射率「0.247」との間に位置している。そこでそれらから、反射率「0.3175」に対応する階調値を線形補間により求めると、{(0.3175−0.318)/(0.247−0.318)}×(96−80)+80の式により、反射率「0.3175」に対応する階調値が「80.1」であると求まる。
【0050】
前記したのと同様の方法により、図6で示す他の濃度ターゲットに対しても、階調値を求めることで、図8に示す離散的なγ変換テーブルを得ることができる。
【0051】
なお、前記では、黒に対する濃度補正パラメータとしてのγ変換テーブルを作成する方法について説明したが、画像形成装置がカラープリンタなどの場合で黒以外にも、シアン、マゼンタ、イエローなど複数の単色を有する場合も、前記黒で説明した方法と同様の方法により濃度補正パラメータとしてのγ変換テーブルを生成することができる。
【0052】
なお、γ変換テーブルの出力階調値は0未満の場合は「0」に、255より大きい場合は「255」に収まるように修正する。そして、図8に示すγ変換テーブルにおいて、線形補間、またはスプライン補間などを用いた補間処理を行い、入力階調値に従って出力階調値が単調増加となるよう整形することで、階調値0から255の1刻みのγ変換テーブルを作成することが可能である。
【0053】
なお、前記γ変換テーブルを作成する際の線形補間などにおいて、後述のレベルセレクト処理で生成されたデータ(ほぼ256階調となるディザパターン)を使用する。
【0054】
次に、図2のステップS107で示したレベルセレクト処理の詳細について図9〜図12を用いて説明する。
【0055】
図9〜図12は、レベルセレクト処理を説明するための模式図である。図9は、濃度補正パラメータ作成処理前後のγ変換テーブルと、レベルセレクト処理の詳細を示す模式図であり、図10は、レベルセレクト処理をしない場合の濃度補正パラメータ作成処理前後のγ変換テーブルを示す模式図であり、図11は、論理階調ディザパターンと濃度補正パラメータ作成処理後CMYK各色の仮γ変換テーブルとの対応表を作成する際のデータ関連を示す図であり、図12は、ほぼ256階調となるディザパターンを生成する際のデータ関連を示す図である。
【0056】
レベルセレクト処理では、まず、前記したγ変換テーブルの作成方法と略同様の方法ににより仮γ変換テーブル、即ち、図6に示す濃度濃度ターゲットを実現するための仮γ変換テーブルを作成する。
【0057】
具体的には、図6は、前記したように、黒色の濃度ターゲットの例で、階調値80に対して濃度ターゲットが0.503が設定されており、これは、階調値80の画像データに対して0.503の濃度「0.503」を実現するよう求めていることを意味している。
【0058】
測色計の測定により、図4に示すような階調値と濃度の関係が得られた場合、図6に示す濃度「0.503」は、図4に示すテーブルから、階調値「96」に対する濃度「0.496」と、階調値「112」に対する濃度「0.633」の間に位置している。
【0059】
そこで、線形補間により濃度「0.503」に対応する階調値を算出する。即ち、対応する階調値は、{(0.503−0.496)/(0.633−0.496)}×(112−96)+96の式により、「96.8」と求まる。
【0060】
そこで、濃度「0.503」を求める階調値「80」の画像データの入力に対しては、階調値「96.8」を出力することで所望の濃度特性を得ることができるため、入力階調値「80」に対して出力階調値「96.8」を対応させる仮γ変換テーブルを作成する。
【0061】
前記したのと同様の方法により、図6で示す他の階調値に対してもそれぞれ対応する階調値を求めることで、17階調値分の仮γ変換テーブルを作成する。また、他の色に対しても同様にして仮γ変換テーブルをそれぞれ作成する。
【0062】
続いて、レベルセレクト処理では、図11に示すように、前記作成した仮γ変換テーブルと、論理階調ディザパターンと濃度補正パラメータ作成処理前の仮γ変換テーブルとの対応表とから、スプライン補間を実施して、仮γ変換テーブルに対応する論理階調ディザパターンと濃度補正パラメータ作成処理後のCMYK各色の仮γ変換テーブルとの対応表を生成する。
【0063】
その後、レベルセレクト処理では、前記生成された濃度補正パラメータ作成処理後のCMYK各色の対応表と、256階調以上あるCMYK各色の論理階調ディザパターン(1000階調)とから、ほぼ256階調となるようなCMYK各色のディザパターンを生成する。
【0064】
即ち、図10に示すように、レベルセレクト処理を実施しない場合には、仮γ変換テーブル中の出力階調値が256種類以下であれば、その仮γ変換テーブルを適用することで出力される階調数も256種類以下となるため、濃度補正パラメータ作成を行うことで快調数が低減することになるが、本実施形態では、図9に示すように、レベルセレクト処理を実施し、256階調より多くの階調数を持った論理階調ディザパターン群から256階調を選択する際に平均的にディザパターンを選択するのではなく、濃度補正パラメータ作成処理前のγ変換テーブルと論理階調ディザパターンの対応表、および仮γ変換テーブルを参照して、256階調に近い階調数を確保することができる。
【0065】
また、本実施形態では、濃度補正手段として仮γ変換テーブルを使用することで、濃度補正パラメータとしてのγ変換テーブルを作成処理にかかる効率を上げることができる。即ち、濃度補正パラメータ作成処理での経時変化の結果は、CMYK別に得られるため、CMYK別の仮γ変換テーブルに反映するのは容易となる。
【0066】
即ち、以上説明した実施形態によれば、既存の反射率濃度変換テーブル(変換テーブル)が使用可能であれば、濃度補正パラメータとしてのγ変換テーブルを作成する都度、反射率濃度変換テーブルを作成せずにγ変換テーブルを作成することができるので、γ変換テーブルの作成処理を簡略化することができるとともに、γ変換テーブルを作成する場合の記録媒体の利用を抑制することができる。
【0067】
次に、画像形成装置1が濃度補正パラメータとしてのγ変換テーブルを作成する処理手順の変形例について図13を用いて説明する。
【0068】
図13に示すように、前記した図2に示す処理手順と相違する点は、ステップS104の処理の後にステップS108の処理が新たに追加され、ステップS107の処理の後にステップS109の処理が新たに追加された点である。このため、ここでは、図2の処理手順と同一の符号を付した箇所の説明は省略する。
【0069】
即ち、図13のフローチャートでは、画像形成装置1は、ステップS104の処理で、γ変換テーブルを作成した後、続くステップS108において、ステップS104で作成したγ変換テーブルの出力階調の種類数(階調数)が予め定めた所定数(種類数)より多いか否かを判定する。なお、所定数(種類数)としては、例えば、200などが設定される。
【0070】
この判定の結果、所定数(種類数)より少ないと判定された場合には(ステップS108:No)、画像形成装置1は、十分な階調数が得られないため、処理をステップS105の処理に移行し、レベルセレクト処理を実行する。
【0071】
また、図13のフローチャートでは、ステップS107の処理の後、画像形成装置1は、ステップS103に移行するのではなく、ステップS109に移行し、入力階調値と出力階調値が等しくなるようにγ変換テーブルを作成する。
【0072】
このような実施形態によれば、階調数が減少した状態を検知して、階調数を回復させることができるので、階調数が減少したγ変換テーブル(図14)が作成されるのを未然に防止することができる。
【0073】
なお、前記した実施形態では、反射率を測定するための濃度パターン2を中間転写ベルトに形成する場合について説明したが、これに限定されず、画像形成装置1内のその他の部材(像担持体)であっても良いものとする。
【0074】
また、前記した実施形態における処理手順を実行するプログラムは、画像形成装置1のROM(不図示)などの記憶部に予め組み込んで提供することが可能である。また、前記プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶して提供することが可能である。更に、前記プログラムは、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布したりすることも可能である。
【0075】
また、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1 画像形成装置
11 印刷データ入力部
12 画像データ作成部
13 内部画像形成部
14 用紙出力部
15 濃度測定部(第2の測定手段)
16 反射率測定部(第1の測定手段)
17 反射率濃度変換テーブル作成部(第1の作成手段)
18 濃度補正パラメータ作成部(第2の作成手段)
2 濃度パターン画像
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2010−141608号公報
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャリブレーション実施前後の出力可能な階調値を維持するようにした画像処理装置(特許文献1参照)が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の技術では、濃度補正パラメータとしてのγ変換テーブルを作成する度に、記録媒体への出力が必要となってしまうという課題がある。
【0004】
そこで、本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、濃度補正パラメータとしてのγ変換テーブルを作成する際の記録媒体の利用を抑制可能な画像形成装置および画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した課題を解決し、目的を達成するために、画像形成装置は、像担持体に形成された濃度パターンから反射率を測定する第1の測定手段と、記録媒体に形成された濃度パターンに形成された濃度パターンから濃度を測定する第2の測定手段と、前記第1および第2の測定手段で測定された反射率と濃度との関係を示す変換テーブルを作成する第1の作成手段と、前記第1の作成手段で作成された既存の変換テーブルを使用するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段で前記既存の変換テーブルを使用すると判定された場合に、そのとき前記担持体に形成された濃度パターンから前記第1の測定手段で測定された反射率の測定結果と、前記既存の変換テーブルとに基づいて、所定の濃度特性を実現する濃度補正テーブルを作成する第2の作成手段と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、既存の変換テーブルが使用可能であれば、濃度補正パラメータとしての濃度補正テーブルを作成する都度、変換テーブルを作成せずに濃度補正テーブルを作成することができるので、濃度補正テーブルの作成処理を簡略化することができるとともに、濃度補正テーブルを作成する場合の記録媒体の利用を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本実施形態に係る画像形成装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、画像形成装置が濃度補正パラメータとしてのγ変換テーブルを作成する処理手順を示すフローチャートである。
【図3】図3は、濃度把握用の濃度パターン画像の一構成例を示す模式図である。
【図4】図4は、各パッチに割り当てられている階調値の一構成例を示すテーブルである。
【図5】図5は、反射率濃度変換テーブルの一構成例を示す模式図である。
【図6】図6は、濃度ターゲットテーブルの一構成例を示す図である。
【図7】図7は、センサにより測定された反射率の一構成例を示すテーブルである。
【図8】図8は、γ変換テーブルの一構成例を示すテーブルである。
【図9】図9は、濃度補正パラメータ作成処理前後のγ変換テーブルと、レベルセレクト処理の詳細を示す模式図である。
【図10】図10は、レベルセレクト処理をしない場合の濃度補正パラメータ作成処理前後のγ変換テーブルを示す模式図である。
【図11】図11は、論理階調ディザパターンと濃度補正パラメータ作成処理後のCMYK各色の仮γ変換テーブルとの対応表を作成する際のデータ関連を示す図である。
【図12】図12は、ほぼ256階調となるディザパターンを生成する際のデータ関連を示す図である。
【図13】図13は、図2に示す処理手順の変形例を示すフロチャートである。
【図14】図14は、従来のγ変換テーブルの一構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の概略的な構成を示すブロック図である。
【0010】
なお、以下では、階調値すなわち画像データは、0以上255以下の整数値で表され、値が大きいほど濃度が高いことを示すものとする。
【0011】
図1に示すように、画像形成装置1は、印刷データ入力部11と、画像データ作成部12と、内部画像形成部13と、用紙出力部14と、濃度測定部15と、反射率測定部16と、反射率濃度変換テーブル作成部17と、濃度補正パラメータ作成部18とを有している。
【0012】
印刷データ入力部11は、スキャナ(不図示)やコンピュータ(不図示)などから印刷データを受け取る。この印刷データ入力部11は、必要であれば、受け取った印刷データを、画像形成装置1が処理し易いデータ形式に変換した印刷データに変換する。
【0013】
画像データ作成部12は、印刷データ入力部11が作成した印刷データに基づく画像データを作成する。また、画像データ作成部12は、濃度把握用の濃度パターン画像を作成するための画像データを作成する。この画像データ作成部12は、濃度補正パラメータ作成部18が作成したパラメータに基づいて画像データの濃度を変化させる処理も行う。
【0014】
内部画像形成部13は、画像データ作成部12が作成した画像データに基づいて、画像形成装置1内の感光体ドラム(不図示)にレーザを照射するなどして、感光体ドラム上にトナー像を形成し、そして、そのトナー像を中間転写ベルト(像担持体)(不図示)に転写して中間転写ベルト上に画像を形成する。また、この内部画像形成部13は、濃度把握用の濃度パターン画像を中間転写ベルト上に形成する。
【0015】
用紙出力部14は、内部画像形成部13が中間転写ベルト上に形成した画像を、記録媒体としての出力用紙に転写させ、更に定着させて出力用紙上に画像を形成する。
【0016】
濃度測定部15は、出力用紙上に形成された画像であり、濃度把握用の濃度パターン画像の濃度を測色計(不図示)によって測定する。なお、この濃度測定部15は、出力用紙上に形成された濃度把握用の濃度パターン画像の濃度を測定した結果を、反射率濃度変換テーブル作成部17に入力できる構成であれば、画像形成装置1内に含まれる必要はない。
【0017】
反射率測定部16は、内部画像形成部13によって中間転写ベルト上に形成された濃度把握用の濃度パターン画像の反射率を、画像形成装置1内に設置された内部のセンサ(不図示)によって測定する。
【0018】
反射率濃度変換テーブル作成部17は、濃度測定部15の測定結果と、反射率測定部16の測定結果に基づいて、所定の濃度パターンから測定された濃度と反射率との関係を示す反射率濃度変換テーブルを作成する。
【0019】
濃度補正パラメータ作成部18は、反射率濃度変換テーブル作成部17が作成した反射率濃度変換テーブルと、反射率測定部16が所定の濃度パターンの反射率を測定した測定結果とに基づいて、所定の濃度特性を実現する(即ち、経時の濃度変動を抑制するための)濃度補正パラメータとしてγ変換テーブル(濃度補正テーブル)を作成する。
【0020】
即ち、本実施形態の画像形成装置1は、入力された画像データをγ変換テーブルに基づいて変換し、さらに、スクリーン処理を行うことで階調変換して記録媒体である出力用紙上に画像を形成するものである。
【0021】
次に、前記説明した構成の画像形成装置1における処理動作について説明する。
【0022】
図2は、画像形成装置1が濃度補正パラメータとしてのγ変換テーブルを作成する処理手順を示すフローチャートである。
【0023】
図2に示すように、まず、ステップS101において、画像形成装置1は、反射率濃度変換テーブルが存在するか否かを判定する。
【0024】
この判定の結果、反射率濃度変換テーブルが存在すると判定した場合(ステップS101:Yes)、続いて、ステップS102において、画像形成装置1は、反射率濃度変換テーブルが有効であるか否かを判定する。即ち、ステップS102の処理は、既存の反射率濃度変換テーブルを使用するか否かを判定するものであり、画像形成装置1における判定手段に相当する。
【0025】
なお、ここで、反射率濃度変換テーブルが有効であるとは、反射率と濃度の対応関係が、反射率濃度変換テーブルが作成された時点から大きく変動していないことを期待できることである。より具体的には、例えば、反射率濃度変換テーブルが有効であるとは、反射率濃度変換テーブルが作成されてからの経過時間が所定時間以下である場合や、反射率濃度変換テーブルが作成されてから、画像形成装置1において出力された出力用紙の出力枚数が所定枚数以下である場合などが挙げられる。
【0026】
また、前記したステップS102では、反射率濃度変換テーブルが有効であるか否かを判定する形態について説明したが、これ以外の判定方法とすることも可能である。例えば、画像形成装置1を利用するユーザがその時画像形成装置1に存在する反射率濃度変換テーブルを利用するか否かを判断し、その判断指示を画像形成装置1に入力し、ステップS102において、画像形成装置1が、反射率濃度変換テーブルを利用するか否かの判定を行う。
【0027】
ステップS102の判定の結果、反射率濃度変換テーブルが有効であると判定された場合(ステップS102:Yes)、続いて、ステップS103において、画像形成装置1では、内部画像形成部13が、濃度把握用の濃度パターン画像(図3参照)を中間転写ベルト上に形成し、反射率測定部16が、中間転写ベルト上に形成された濃度パターン画像の反射率をセンサにより測定する。
【0028】
図3は、濃度把握用の濃度パターン画像の一構成例を示す模式図である。
【0029】
図3に示す濃度パターン画像2は、K00、K01、・・・、K16の計17個のパッチで構成されており、画像形成装置1の単色成分のうち黒成分のみを有するパッチ列で構成されている。
【0030】
そして、図3に示す濃度パターン画像2の各パッチの黒成分についての階調値は、図4に示すように、K00には「0」の階調値が、K16には「255」の階調値が、K01からK15には、おおむね均等に増加していくような階調値が与えられている。なお、図4に示す階調値は、一例を示しており、K00からK16に与えられる階調値はその他の階調値が与えられていても良く、K00からK16まで階調値が均等に増加していくような階調値でなくても良いものとする。ところで、階調値は、「0」が最も薄く、「255」が最も濃く出力することを示している。
【0031】
また、図4は、各パッチに割り当てられている階調値を示すとともに、各パッチ毎に測定された反射率および濃度、即ち、反射率濃度変換テーブルに対応するデータも有している場合を示している。
【0032】
即ち、ステップS103においては、画像形成装置1は、図3に示すような濃度パターン画像を中間転写ベルト上に形成し、該形成された濃度パターン画像2の各パッチK00〜K16の反射率をセンサで測定する。
【0033】
図2に戻って、続くステップS104において、画像形成装置1では、濃度補正パラメータ作成部18が、ステップS102で有効であると判定された反射率濃度変換テーブルと、ステップS103の測定結果とに基づいてγ変換テーブルを作成し、その後、画像形成装置1は、ここでの処理を終了する。γ変換テーブルの作成方法については後述する。
【0034】
なお、ステップS103において中間転写ベルト上に形成された濃度パターン画像は、ステップS103で反射率が測定された後や、ステップS104においてγ変換テーブルが作成された後などの所定のタイミングで消去されるようになっている。
【0035】
一方、ステップS101およびステップS102の判定でNoと判定された場合には、続いて、ステップS105において、画像形成装置1では、内部画像形成部13が、濃度把握用の濃度パターン画像(図3参照)を中間転写ベルト上に形成し、反射率測定部16が、中間転写ベルト上に形成された濃度パターン画像の反射率をセンサにより測定する。その後、用紙出力部14が、中間転写ベルト上に形成された濃度把握用の濃度パターン画像を出力用紙上に形成し、濃度測定部15が、出力用紙上に形成された濃度把握用の濃度パターンの濃度を測色計により測定する。
【0036】
即ち、ステップS105においては、画像形成装置1は、図3に示すような濃度パターン画像を中間転写ベルト上に形成し、該形成された濃度パターン画像の各パッチK00〜K16の反射率をセンサで測定するとともに、図3に示すような濃度パターン画像を出力用紙上に形成し、該形成された濃度パターン画像の各パッチK00〜K16の濃度を測色計で測定する。
【0037】
続いて、ステップS106において、画像形成装置1では、反射率濃度変換テーブル作成部17が、ステップS105の測定結果に基づいて、所定の濃度パターンから測定された濃度と反射率との関係を示す反射率濃度変換テーブル(図5参照)を作成する。
【0038】
図5は、反射率濃度変換テーブルの一構成例を示す模式図である。
【0039】
図5に示す反射率濃度変換テーブルは、反射率に対応する濃度を示しており、図5の例では、例えば、反射率「0.865」に対応する濃度が「0.070」であることを示している。
【0040】
なお、ステップS105において濃度パターンが転写された出力用紙は、濃度測定部15が濃度を測定した後などのタイミングで所定の用紙排出口(不図示)から画像形成装置1の外部に排出される。
【0041】
ステップS106の処理後、続くステップS107において、予め定めた濃度ターゲットに示す階調値と濃度の関係を実現するように所定のレベルセレクト処理を実行する。レベルセレクト処理の方法については後述する。
【0042】
そして、ステップS107のレベルセレクト処理が完了した後、画像形成装置1では、ステップS103の処理に移行し、前記したのと同様の処理を行い、その後、ここでの処理を終了する。
【0043】
以下、γ変換テーブルの具体的な作成方法について図6〜図8を用いて説明する。
【0044】
なお、以下の説明では、ステップS103の処理において図7に示す反射率の結果が得られて、図5に示す反射率濃度変換テーブルを利用する場合のγ変換テーブルの作成方法について説明する。
【0045】
図6は、濃度ターゲットテーブルの一構成例を示す図である。
【0046】
図6に示す濃度ターゲットテーブルは、黒色の濃度ターゲットであり、階調値別の濃度ターゲットを示しており、図6の例では、例えば、階調値80に対して濃度ターゲット「0.503」が設定されており、これは、入力画像データのうち階調値80の画像データに対して濃度「0.503」で出力するよう求めていることを意味している。
【0047】
ところで、濃度「0.503」は、図5に示す反射率濃度変換テーブルから、反射率「0.322」における濃度「0.496」と、反射率「0.235」における濃度「0.633」の間に位置している。そこでそれらから、まず、濃度「0.503」に対応する反射率を線形補間により求めると、{(0.503−0.496)/(0.633−0.496)}×(0.235−0.322)+0.322の式により、濃度「0.503」に対応する反射率が「0.3175」であると求まる。
【0048】
次に、図7のセンサにより測定した結果から、反射率「0.3175」に対応する階調値を求める。
【0049】
反射率「0.3175」は、図7に示す階調値80に対応する反射率「0.318」と階調値96に対応する反射率「0.247」との間に位置している。そこでそれらから、反射率「0.3175」に対応する階調値を線形補間により求めると、{(0.3175−0.318)/(0.247−0.318)}×(96−80)+80の式により、反射率「0.3175」に対応する階調値が「80.1」であると求まる。
【0050】
前記したのと同様の方法により、図6で示す他の濃度ターゲットに対しても、階調値を求めることで、図8に示す離散的なγ変換テーブルを得ることができる。
【0051】
なお、前記では、黒に対する濃度補正パラメータとしてのγ変換テーブルを作成する方法について説明したが、画像形成装置がカラープリンタなどの場合で黒以外にも、シアン、マゼンタ、イエローなど複数の単色を有する場合も、前記黒で説明した方法と同様の方法により濃度補正パラメータとしてのγ変換テーブルを生成することができる。
【0052】
なお、γ変換テーブルの出力階調値は0未満の場合は「0」に、255より大きい場合は「255」に収まるように修正する。そして、図8に示すγ変換テーブルにおいて、線形補間、またはスプライン補間などを用いた補間処理を行い、入力階調値に従って出力階調値が単調増加となるよう整形することで、階調値0から255の1刻みのγ変換テーブルを作成することが可能である。
【0053】
なお、前記γ変換テーブルを作成する際の線形補間などにおいて、後述のレベルセレクト処理で生成されたデータ(ほぼ256階調となるディザパターン)を使用する。
【0054】
次に、図2のステップS107で示したレベルセレクト処理の詳細について図9〜図12を用いて説明する。
【0055】
図9〜図12は、レベルセレクト処理を説明するための模式図である。図9は、濃度補正パラメータ作成処理前後のγ変換テーブルと、レベルセレクト処理の詳細を示す模式図であり、図10は、レベルセレクト処理をしない場合の濃度補正パラメータ作成処理前後のγ変換テーブルを示す模式図であり、図11は、論理階調ディザパターンと濃度補正パラメータ作成処理後CMYK各色の仮γ変換テーブルとの対応表を作成する際のデータ関連を示す図であり、図12は、ほぼ256階調となるディザパターンを生成する際のデータ関連を示す図である。
【0056】
レベルセレクト処理では、まず、前記したγ変換テーブルの作成方法と略同様の方法ににより仮γ変換テーブル、即ち、図6に示す濃度濃度ターゲットを実現するための仮γ変換テーブルを作成する。
【0057】
具体的には、図6は、前記したように、黒色の濃度ターゲットの例で、階調値80に対して濃度ターゲットが0.503が設定されており、これは、階調値80の画像データに対して0.503の濃度「0.503」を実現するよう求めていることを意味している。
【0058】
測色計の測定により、図4に示すような階調値と濃度の関係が得られた場合、図6に示す濃度「0.503」は、図4に示すテーブルから、階調値「96」に対する濃度「0.496」と、階調値「112」に対する濃度「0.633」の間に位置している。
【0059】
そこで、線形補間により濃度「0.503」に対応する階調値を算出する。即ち、対応する階調値は、{(0.503−0.496)/(0.633−0.496)}×(112−96)+96の式により、「96.8」と求まる。
【0060】
そこで、濃度「0.503」を求める階調値「80」の画像データの入力に対しては、階調値「96.8」を出力することで所望の濃度特性を得ることができるため、入力階調値「80」に対して出力階調値「96.8」を対応させる仮γ変換テーブルを作成する。
【0061】
前記したのと同様の方法により、図6で示す他の階調値に対してもそれぞれ対応する階調値を求めることで、17階調値分の仮γ変換テーブルを作成する。また、他の色に対しても同様にして仮γ変換テーブルをそれぞれ作成する。
【0062】
続いて、レベルセレクト処理では、図11に示すように、前記作成した仮γ変換テーブルと、論理階調ディザパターンと濃度補正パラメータ作成処理前の仮γ変換テーブルとの対応表とから、スプライン補間を実施して、仮γ変換テーブルに対応する論理階調ディザパターンと濃度補正パラメータ作成処理後のCMYK各色の仮γ変換テーブルとの対応表を生成する。
【0063】
その後、レベルセレクト処理では、前記生成された濃度補正パラメータ作成処理後のCMYK各色の対応表と、256階調以上あるCMYK各色の論理階調ディザパターン(1000階調)とから、ほぼ256階調となるようなCMYK各色のディザパターンを生成する。
【0064】
即ち、図10に示すように、レベルセレクト処理を実施しない場合には、仮γ変換テーブル中の出力階調値が256種類以下であれば、その仮γ変換テーブルを適用することで出力される階調数も256種類以下となるため、濃度補正パラメータ作成を行うことで快調数が低減することになるが、本実施形態では、図9に示すように、レベルセレクト処理を実施し、256階調より多くの階調数を持った論理階調ディザパターン群から256階調を選択する際に平均的にディザパターンを選択するのではなく、濃度補正パラメータ作成処理前のγ変換テーブルと論理階調ディザパターンの対応表、および仮γ変換テーブルを参照して、256階調に近い階調数を確保することができる。
【0065】
また、本実施形態では、濃度補正手段として仮γ変換テーブルを使用することで、濃度補正パラメータとしてのγ変換テーブルを作成処理にかかる効率を上げることができる。即ち、濃度補正パラメータ作成処理での経時変化の結果は、CMYK別に得られるため、CMYK別の仮γ変換テーブルに反映するのは容易となる。
【0066】
即ち、以上説明した実施形態によれば、既存の反射率濃度変換テーブル(変換テーブル)が使用可能であれば、濃度補正パラメータとしてのγ変換テーブルを作成する都度、反射率濃度変換テーブルを作成せずにγ変換テーブルを作成することができるので、γ変換テーブルの作成処理を簡略化することができるとともに、γ変換テーブルを作成する場合の記録媒体の利用を抑制することができる。
【0067】
次に、画像形成装置1が濃度補正パラメータとしてのγ変換テーブルを作成する処理手順の変形例について図13を用いて説明する。
【0068】
図13に示すように、前記した図2に示す処理手順と相違する点は、ステップS104の処理の後にステップS108の処理が新たに追加され、ステップS107の処理の後にステップS109の処理が新たに追加された点である。このため、ここでは、図2の処理手順と同一の符号を付した箇所の説明は省略する。
【0069】
即ち、図13のフローチャートでは、画像形成装置1は、ステップS104の処理で、γ変換テーブルを作成した後、続くステップS108において、ステップS104で作成したγ変換テーブルの出力階調の種類数(階調数)が予め定めた所定数(種類数)より多いか否かを判定する。なお、所定数(種類数)としては、例えば、200などが設定される。
【0070】
この判定の結果、所定数(種類数)より少ないと判定された場合には(ステップS108:No)、画像形成装置1は、十分な階調数が得られないため、処理をステップS105の処理に移行し、レベルセレクト処理を実行する。
【0071】
また、図13のフローチャートでは、ステップS107の処理の後、画像形成装置1は、ステップS103に移行するのではなく、ステップS109に移行し、入力階調値と出力階調値が等しくなるようにγ変換テーブルを作成する。
【0072】
このような実施形態によれば、階調数が減少した状態を検知して、階調数を回復させることができるので、階調数が減少したγ変換テーブル(図14)が作成されるのを未然に防止することができる。
【0073】
なお、前記した実施形態では、反射率を測定するための濃度パターン2を中間転写ベルトに形成する場合について説明したが、これに限定されず、画像形成装置1内のその他の部材(像担持体)であっても良いものとする。
【0074】
また、前記した実施形態における処理手順を実行するプログラムは、画像形成装置1のROM(不図示)などの記憶部に予め組み込んで提供することが可能である。また、前記プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶して提供することが可能である。更に、前記プログラムは、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布したりすることも可能である。
【0075】
また、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1 画像形成装置
11 印刷データ入力部
12 画像データ作成部
13 内部画像形成部
14 用紙出力部
15 濃度測定部(第2の測定手段)
16 反射率測定部(第1の測定手段)
17 反射率濃度変換テーブル作成部(第1の作成手段)
18 濃度補正パラメータ作成部(第2の作成手段)
2 濃度パターン画像
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2010−141608号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に形成された濃度パターンから反射率を測定する第1の測定手段と、
記録媒体に形成された濃度パターンに形成された濃度パターンから濃度を測定する第2の測定手段と、
前記第1および第2の測定手段で測定された反射率と濃度との関係を示す変換テーブルを作成する第1の作成手段と、
前記第1の作成手段で作成された既存の変換テーブルを使用するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段で前記既存の変換テーブルを使用すると判定された場合に、そのとき前記担持体に形成された濃度パターンから前記第1の測定手段で測定された反射率の測定結果と、前記既存の変換テーブルとに基づいて、所定の濃度特性を実現する濃度補正テーブルを作成する第2の作成手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記変換テーブルには所定の有効期間が定められており、
前記判定手段は、前記有効期間に基づいて前記既存の変換テーブルを使用するか否かを判定する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の作成手段は、前記既存の変換テーブルが前記有効期間を越えたものである場合に、新たな変換テーブルを作成する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記有効期間とは、前記変換テーブルが作成されてからの経過時間が所定時間以下である期間、または、前記変換テーブルが作成されてからの記録媒体の出力数が所定数以下である期間である、請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の作成手段は、前記像担持体に形成された濃度パターンの反射率と、前記像担持体に形成された濃度パターンに基づいて前記記録媒体上に形成された濃度パターンの濃度とに基づいて前記変換テーブルを作成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2の作成手段により作成された濃度補正テーブルの出力階調の種類数が所定数より少ない場合には、濃度補正テーブルを再度作成し直す、請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
像担持体に形成された濃度パターンから反射率を測定する第1の測定ステップと、
記録媒体に形成された濃度パターンに形成された濃度パターンから濃度を測定する第2の測定ステップと、
前記第1および第2の測定ステップで測定された反射率と濃度との関係を示す変換テーブルを作成する第1の作成ステップと、
前記第1の作成ステップで作成された既存の変換テーブルを使用するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで前記既存の変換テーブルを使用すると判定された場合に、そのとき前記像担持体に形成された濃度パターンから測定された反射率の測定結果と、前記既存の変換テーブルとに基づいて、所定の濃度特性を実現する濃度補正テーブルを作成する第2の作成ステップと、
を含む画像処理方法。
【請求項1】
像担持体に形成された濃度パターンから反射率を測定する第1の測定手段と、
記録媒体に形成された濃度パターンに形成された濃度パターンから濃度を測定する第2の測定手段と、
前記第1および第2の測定手段で測定された反射率と濃度との関係を示す変換テーブルを作成する第1の作成手段と、
前記第1の作成手段で作成された既存の変換テーブルを使用するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段で前記既存の変換テーブルを使用すると判定された場合に、そのとき前記担持体に形成された濃度パターンから前記第1の測定手段で測定された反射率の測定結果と、前記既存の変換テーブルとに基づいて、所定の濃度特性を実現する濃度補正テーブルを作成する第2の作成手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記変換テーブルには所定の有効期間が定められており、
前記判定手段は、前記有効期間に基づいて前記既存の変換テーブルを使用するか否かを判定する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の作成手段は、前記既存の変換テーブルが前記有効期間を越えたものである場合に、新たな変換テーブルを作成する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記有効期間とは、前記変換テーブルが作成されてからの経過時間が所定時間以下である期間、または、前記変換テーブルが作成されてからの記録媒体の出力数が所定数以下である期間である、請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の作成手段は、前記像担持体に形成された濃度パターンの反射率と、前記像担持体に形成された濃度パターンに基づいて前記記録媒体上に形成された濃度パターンの濃度とに基づいて前記変換テーブルを作成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2の作成手段により作成された濃度補正テーブルの出力階調の種類数が所定数より少ない場合には、濃度補正テーブルを再度作成し直す、請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
像担持体に形成された濃度パターンから反射率を測定する第1の測定ステップと、
記録媒体に形成された濃度パターンに形成された濃度パターンから濃度を測定する第2の測定ステップと、
前記第1および第2の測定ステップで測定された反射率と濃度との関係を示す変換テーブルを作成する第1の作成ステップと、
前記第1の作成ステップで作成された既存の変換テーブルを使用するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで前記既存の変換テーブルを使用すると判定された場合に、そのとき前記像担持体に形成された濃度パターンから測定された反射率の測定結果と、前記既存の変換テーブルとに基づいて、所定の濃度特性を実現する濃度補正テーブルを作成する第2の作成ステップと、
を含む画像処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−12926(P2013−12926A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144613(P2011−144613)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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