説明

画像形成装置および画像形成システム

【課題】ユーザの所望する出力条件を実行可能な複数の画像形成装置のうち、ユーザが選択した画像形成装置に出力を指示することが可能な複合機を提供する。
【解決手段】機能を示す出力能力情報を選択項目としてユーザに選択可能に表示し、出力条件をユーザから受け付ける受付手段401と、当該出力条件の選択項目に対応する機能を示す出力能力情報と、複合機100が記憶する性能を示す出力能力情報とに対して同等以上の出力能力情報を記憶する画像形成装置の識別情報を、サーバから検索する検索手段403と、検索した識別情報に対応する画像形成装置を画像形成装置選択項目としてユーザに選択可能に表示し、受け付ける画像形成装置選択受付手段406と、受け付けた画像形成装置選択項目に対応する画像形成装置に、出力処理を実行させるよう指示する出力指示手段407とを備えることを特徴とする複合機100を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成システムに関し、詳しくは、ユーザの所望する出力条件を充足する複数の画像形成装置のうち、ユーザが選択した画像形成装置に出力を指示することが可能な画像形成装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク技術の発達に伴い、ネットワークを介して接続されたサーバと複数の画像形成装置との連携による画像形成方法の技術改良が盛んに行われている。ネットワークを利用する画像形成方法の技術改良が促進されると、接続された複数の画像形成装置の能力を効率よく発揮することができる可能性があり、近年において着目される問題である省電力化、省スペース化、環境負荷低減等を解決できる可能性がある。
【0003】
ネットワークを介して接続される画像処理装置又は画像入出力装置へ画像データに関する処理を行う従来技術として、例えば、ネットワークを介して情報出力装置に接続可能な画像処理装置において、ネットワーク上の全ての機器で出力した際には出力画像品質を損なわないようにすることができる画像処理装置を提供することを目的とし、画像処理の補正データを、ネットワークを介して取得し、出力に最適な画像補正を行ってデータをネットワークに接続された装置に出力するようにしている。
【0004】
しかしながら、ネットワークを介して画像入出力装置に接続可能な画像処理装置または画像入力装置では、当該ネットワーク上の任意の機器で出力する際に、出力装置の機器毎によってそれぞれ機能が異なっていたり、独特の特徴を備えていることから、ユーザの操作および画像の処理等が異なってしまうという問題があった。
【0005】
上記問題を解決するために、特開平3−216373号公報(特許文献1)には、複数のワークステーションを持つローカルエリアネットワークのリモートプリンタとして使用されるページプリンタを改良した技術が開示されている。当該ページプリンタは、各ワークステーション用の各種プリントモードを記憶するモード記憶手段と、サーバを介していずれかのワークステーションからデータを受信した時に、そのデータ中の識別情報によってどのワークステーションからのデータかを判別するワークステーション判別手段と、該手段によって判別したワークステーション用プリントモードを前記モード記憶手段から読み出して設定するプリントモード自動設定手段とを設けている。
【0006】
当該構成により、いずれかのワークステーションからデータを受信した時に、プリントアウトに先立って送信元のワークステーションに応じたプリンタモードを自動設定するので、ワークステーションからプリンタへデータを送信する度にそのプリントモードの確認やモード設定作業を行なう必要がなくなるとしている。
【0007】
また、特開2007−230244号公報(特許文献2)には、ネットワークを介して接続される装置及び内部処理手段とのリクエスト及びレスポンスを制御するWebサーバ手段と、ユーザによる入力によって上記リクエストを発行し、上記Webサーバ手段から受信した上記レスポンスを表示ユニットに表示させるWebブラウザ手段とを備える画像形成装置が開示されている。当該画像形成装置では、さらに、上記Webサーバ手段からの上記リクエストを所定メッセージ交換プロトコルに従って上記装置へ送信し、該装置からの該リクエストに対する上記レスポンスを所定メッセージ交換プロトコルに従って受信するWebサービスクライアント手段を有している。
【0008】
当該構成により、ユーザがネットワーク上のいずれの画像形成装置から操作する場合でも、画像形成装置がユーザインターフェイスを統一することができ、入力処理、画像処理及び出力処理を行わせるための各ユーザインターフェイスと各処理で実行可能な機能を示すオプション情報とをネットワークを介して他の画像処理装置へ提供することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平3−216373号公報
【特許文献2】特開2007−230244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ワークステーションからデータを受信した時に、送信元のワークステーションに応じたプリンタモードを自動設定するものの、接続されたプリンタの能力を十分に発揮させる機能はないため、ユーザに対する利便性という点では不十分であるという問題がある。
【0011】
また、特許文献2に記載の技術では、複数の画像形成装置のユーザインターフェイスを統一することが出来るからといって、そのままユーザに対する利便性が著しく向上するとは限らない。例えば、統一されたユーザインターフェイスを利用して所定の画像形成装置のオプション情報をユーザが閲覧できたとしても、当該閲覧が、ユーザが所望する出力条件に直接結びつく訳ではない。そのため、ネットワークに接続された複数の画像形成装置のうち、ユーザが入力した出力条件に最適な画像形成装置を選択するためには、ユーザが複数の画像形成装置のオプション情報を全て確認する必要があり、非常に手間が掛かる。従って、ユーザインターフェイスが統一されたからといって、ユーザが円滑に画像形成装置に出力指示を与えることができるようになる訳ではなく、ユーザが予め熟知した画像形成装置に出力処理の指示が集中するという問題がある。特に、ネットワーク上に接続された画像形成装置の数が増加すればするほど、各画像形成装置のオプション情報は膨大となるため、複数の画像形成装置の能力を十分に活用できないという問題は顕著となる。
【0012】
また、特許文献1または特許文献2に記載の技術の前提は、ユーザが認識している画像形成装置のオプション情報等に基づいてユーザが出力指示を所定の画像形成装置に与える構成となっており、出力指示を要求される画像形成装置の選択の幅がユーザの知識に大きく依存しているという問題がある。言い換えると、接続された複数の画像形成装置のうち、ユーザが意図する出力条件を満たす画像形成装置をユーザが予め熟知していなければ、ユーザが適切に出力指示を与えることができないという問題がある。そのため、ユーザが出力処理を希望する画像形成装置の能力と同等の能力を有する他の画像形成装置があり、他の画像形成装置で出力処理を実行する方が適切である場合等では、ユーザが他の画像形成装置を知らないと、他の画像形成装置が適切に活用されない。従って、出力処理の遅延を起こす可能性もあり、作業効率の観点、ユーザに対する利便性の観点から好ましくない。
【0013】
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ユーザの所望する出力条件を実行可能な複数の画像形成装置のうち、ユーザが選択した画像形成装置に出力を指示することが可能な画像形成装置および画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、ネットワークを介して接続された複数の画像形成装置の識別情報と、当該画像形成装置の出力に関連する機能または性能を示す出力能力情報とを関連付けて記憶するサーバと通信可能に接続された画像形成装置を前提とする。
【0015】
ネットワークに接続された複数の画像形成装置は、出力処理をすることが可能な装置であればよく、例えば、複写機、複合機、プリンタ等が該当する。
【0016】
画像形成装置の識別情報は、ネットワーク上の複数の画像形成装置のうち、所定の画像形成装置を一意に特定可能な識別情報であればよく、例えば、文字、記号、番号からなる情報、IPアドレス等であっても構わない。
【0017】
画像形成装置の出力に関連する機能とは、画像形成装置が所定の出力処理を実行することによりユーザに提供することが可能な機能のことであり、例えば、コピーサービスであれば、所定の用紙サイズの範囲内で用紙サイズを変更可能な用紙サイズ変更機能、シートの片面のみに画像を形成させる片面印刷機能、シートの両面に画像を形成させる両面印刷機能、モノクロ(白黒またはグレースケール)で画像形成させるモノクロモード、カラーで画像形成させるカラーモード、シートの左上に1点ステープルを施すステープル1点左上機能、シートの左端に2点パンチを施すパンチ2点左端機能、シートを小冊子として製本する製本小冊子機能等が該当する。ユーザにより、機能の名称等は適宜設計変更可能である。
【0018】
なお、他のサービス、例えば、ファクシミリ送受信サービス、プリントサービス等に応じて、出力に関連する機能が決定される。
【0019】
画像形成装置の出力に関連する性能とは、画像形成装置が所定の出力処理を実行する際の性能のことであり、例えば、コピーサービスであれば、シートを所定時間内に何枚出力できるかを示す画像形成速度、コピーサービスを実行する際に必要となる最大の消費電力を示す最大消費電力、スリープ状態が解除され、最初に原稿の画像データを読み取ってからその画像データをシートに画像形成して出力させるまでの時間を示すファーストコピー時間、画像データにおける画素の密度を示す数値を示し、画像を表現する格子の細かさに相当する解像度等が該当する。
【0020】
画像形成装置の出力に関連する機能または性能を示す出力能力情報は、上述した機能または性能を一意に特定可能な情報であればよく、例えば、文字、記号、番号からなる情報、機能または性能を示す名称、略称、識別情報等であっても構わない。出力能力情報は、ネットワークに接続された複数の画像形成装置の全てに対して共通する情報である。
【0021】
当該画像形成装置は、サーバと通信可能に接続されていればどのような態様でも構わない。例えば、有線通信でも無線通信でも構わない。
【0022】
当該画像形成装置において、自装置が記憶する出力能力情報のうち、機能を示す出力能力情報を選択項目としてユーザに選択可能に表示し、選択された選択項目からなる出力条件をユーザから受け付ける受付手段と、上記受付手段が出力条件を受け付けると、出力処理が開始される前に、当該出力条件の選択項目に対応する機能を示す出力能力情報と、自装置が記憶する性能を示す出力能力情報とに対して同等以上の出力能力情報を記憶する画像形成装置の識別情報を、サーバから検索する検索手段とを有する。さらに、当該画像形成装置は、上記検索手段が検索した画像形成装置の識別情報に対応する画像形成装置を画像形成装置選択項目としてユーザに選択可能に表示し、一の画像形成装置選択項目を受け付ける画像形成装置選択受付手段と、上記画像形成装置選択受付手段が画像形成装置選択項目を受け付けると、受け付けた画像形成装置選択項目に対応する画像形成装置に、上記出力条件に基づいて出力処理を実行させるよう指示する出力指示手段とを備える。
【0023】
機能に対応する出力能力情報を選択項目としてユーザに選択可能に表示する場合、選択項目には、ユーザが視認すると選択項目に対応する出力能力情報を一意に特定可能な情報、例えば、出力能力情報に対応する機能または性能を示す名称、略称等が表示される。
【0024】
上記出力条件は、複数の選択項目が組み合わされて決定された条件のことであり、当該出力条件に基づいて画像形成装置が一の出力を実行することが可能である。従って、出力条件が受け付けられた場合、その出力条件には、禁則処理または排他処理が既に施された条件となる。
【0025】
当該出力条件の選択項目に対応する機能を示す出力能力情報(出力能力情報Aとする)と、画像形成装置が記憶する性能を示す出力能力情報(出力能力情報B)とに対して同等以上の出力能力情報とは、出力能力情報Aまたは出力能力情報Bと完全に一致する出力能力情報、出力能力情報Aまたは出力能力情報Bと一部一致する出力能力情報、出力能力情報Aまたは出力能力情報Bを包含する出力能力情報のことである。
【0026】
出力能力情報Aと出力能力情報Bとに対して同等以上の出力能力情報を記憶する画像形成装置の識別情報を、サーバから検索する方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、出力能力情報Aまたは出力能力情報Bと、サーバに記憶された画像形成装置の識別情報に関連付けられた出力能力情報とを比較して一致するか否かを判定し、一致する出力能力情報と関連付けられた画像形成装置の識別情報を取得する方法が挙げられる。なお、一致するか否かは、出力能力情報の種類に応じて、一部一致するか否か、包含するか否かに適宜設計変更される。
【0027】
画像形成装置選択項目には、ユーザが視認すると画像形成装置選択項目に対応する画像形成装置の識別情報を一意に特定可能な情報、例えば、画像形成装置の名称、略称、規格品番等が表示される。
【0028】
受け付けた画像形成装置選択項目に対応する画像形成装置に、上記出力条件に基づいて出力処理を実行させるよう指示する方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、読み取った画像データと、出力条件とを画像形成装置選択項目に対応する画像形成装置に送信して当該出力条件に基づいて出力処理を実行させる方法が挙げられる。画像データは容量が大きくなる場合もあるため、例えば、画像データをサーバの記憶手段に一次記憶させて、出力条件を送信した送信先の画像形成装置が、一次記憶された画像データを読み取って出力処理を実行するよう構成しても構わない。
【0029】
さらに、上記画像形成装置選択受付手段は、画像形成装置選択項目を受け付けると、上記出力指示手段が出力処理を実行させるよう指示する前に、当該画像形成装置選択項目に対応する画像形成装置が記憶する出力能力情報のうち、機能に対応する出力能力情報を選択項目としてユーザに選択可能に表示し、表示された選択項目のうち、所定の選択項目がユーザにより選択されると、既に受け付けた出力条件に所定の選択項目を追加して、新たな出力条件を受け付けるよう構成することができる。
【0030】
また、上記検索手段が検索を実行する前に、ユーザから出力条件の選択項目のうち、優先的に検索対象とする優先選択項目を受け付け、検索手段に、優先選択項目に対応する機能を示す出力能力情報と、性能を示す出力能力情報とに対して同等以上の出力能力情報を記憶する画像形成装置の識別情報を検索させる優先検索指示手段を備えるよう構成することができる。
【0031】
また、複数の画像形成装置の識別情報と、当該画像形成装置の出力に関連する機能または性能を示す出力能力情報とを関連付けて記憶するサーバと複数の画像形成装置とをネットワークを接続した画像形成システムに上述した各手段を採用することもできる。
【0032】
すなわち、当該画像形成システムにおいて、上記画像形成装置は、自装置が記憶する出力能力情報のうち、機能を示す出力能力情報を選択項目としてユーザに選択可能に表示し、選択された選択項目からなる出力条件をユーザから受け付ける受付手段を備える。さらに、上記サーバは、上記受付手段が出力条件を受け付けると、出力処理が開始される前に、当該出力条件の選択項目に対応する機能を示す出力能力情報と、画像形成装置が記憶する性能を示す出力能力情報とに対して同等以上の出力能力情報を記憶する画像形成装置の識別情報を検索する検索手段と、上記受付手段を備えた画像形成装置に、上記検索手段が検索した画像形成装置の識別情報に対応する画像形成装置を画像形成装置選択項目としてユーザに選択可能に表示させ、一の画像形成装置選択項目を受け付けさせる画像形成装置選択受付手段と、上記画像形成装置選択項目が受け付けられると、受け付けた画像形成装置選択項目に対応する画像形成装置に、上記出力条件に基づいて出力処理を実行させるよう指示する出力指示手段とを備えるよう構成することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の画像形成装置によれば、自装置が記憶する出力能力情報のうち、機能を示す出力能力情報を選択項目としてユーザに選択可能に表示し、選択された選択項目からなる出力条件をユーザから受け付ける受付手段と、出力処理が開始される前に、当該出力条件の選択項目に対応する機能を示す出力能力情報と、自装置が記憶する性能を示す出力能力情報とに対して同等以上の出力能力情報を記憶する画像形成装置の識別情報を、サーバから検索する検索手段と、上記検索手段が検索した画像形成装置の識別情報に対応する画像形成装置を画像形成装置選択項目としてユーザに選択可能に表示し、一の画像形成装置選択項目を受け付ける画像形成装置選択受付手段と、受け付けた画像形成装置選択項目に対応する画像形成装置に、上記出力条件に基づいて出力処理を実行させるよう指示する出力指示手段とを備えるよう構成している。
【0034】
これにより、画像形成装置に出力処理を実行させる前に、ユーザは、自己の入力した出力条件を実行可能な画像形成装置であり、かつ入力した画像形成装置と同等以上の能力を有する画像形成装置を自由に選択することが可能となる。また、ユーザは、自己の選択した画像形成装置に自己の入力した出力条件を確実に実行させることが可能となる。そのため、ユーザに対して、出力処理を実行させる画像形成装置の選択の幅を拡大することが可能となるとともに、出力処理の実行結果を、常に、ユーザの入力を受け付けた画像形成装置による実行結果に対して同等またはそれ以上のものとすることが可能となる。その結果、ユーザへの利便性を向上させるとともに、ネットワークに接続された画像形成装置の能力を十分に発揮させることが可能となる。
【0035】
さらに、上記画像形成装置選択受付手段は、画像形成装置選択項目を受け付けると、上記出力指示手段が出力処理を実行させるよう指示する前に、当該画像形成装置選択項目に対応する画像形成装置が記憶する出力能力情報のうち、機能を示す出力能力情報を選択項目としてユーザに選択可能に表示し、所定の選択項目がユーザにより選択されると、既に受け付けた出力条件に所定の選択項目を追加して、新たな出力条件を受け付けるよう構成することができる。
【0036】
これにより、画像形成装置に出力処理を実行させる前に、ユーザは、選択した画像形成装置の機能に対応する選択項目を確認することが可能となる。さらに、表示された選択項目の選択により、ユーザは、既に入力した出力条件にさらに選択した選択項目を加えた新たな出力条件を入力することが可能となる。そのため、ネットワークに接続された画像形成装置のうち、ユーザが今まで知らなかった選択項目を実行可能な画像形成装置を認識することが可能となるとともに、ユーザは、認識した選択項目をその場で設定して、新たな出力条件を入力することが可能となる。その結果、ユーザに、ネットワークに接続された画像形成装置の機能を認識する機会を与えると共に、その認識した機能を十分に活用させる機会を与えることが可能となり、ユーザへの利便性を向上させ、ネットワークに接続された画像形成装置の能力を十分に発揮させることが可能となる。
【0037】
さらに、上記検索手段が検索を実行する前に、ユーザから出力条件の選択項目のうち、優先的に検索対象とする優先選択項目を受け付け、検索手段に、優先選択項目に対応する機能を示す出力能力情報と、性能を示す出力能力情報とに対して同等以上の出力能力情報を記憶する画像形成装置の識別情報を検索させる優先検索指示手段を備えるよう構成することができる。
【0038】
これにより、ユーザは、自己の優先させたい出力処理の選択項目を有する画像形成装置と、出力条件の選択項目を有する画像形成装置と、明確に区別して認識することが可能となり、結果として、ユーザへの利便性を向上させることが可能となる。
【0039】
なお、複数の画像形成装置の識別情報と、当該画像形成装置の出力に関連する機能または性能とを示す出力能力情報とを関連付けて記憶するサーバと複数の画像形成装置とをネットワークを接続した画像形成システムにおいて、当該画像形成システムが、上記各手段を備えても、同一の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態に係る複合機内部の全体構成を示す概念図である。
【図2】複合機に備えられた操作部の外観の一例を示す図である。
【図3】複合機における制御系ハードウェアの概略構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る複合機および画像形成システムの機能ブロック図である。
【図5】本発明の実施形態の実行手順を示すためのフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る出力能力情報テーブルおよび出力条件の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態のタッチパネル上に表示された画面の一例を示す第一の図である。
【図8】本発明の実施形態に係るネットワーク情報テーブルの一例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態のタッチパネル上に表示された画面の一例を示す第二の図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に、添付図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。また、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベット「S」はステップを意味する。
【0042】
<画像形成装置>
以下に、本発明に係る画像形成装置について説明する。
【0043】
図1は、折り装置と製本装置とが接続された画像形成装置の概略模式図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。なお、本発明の画像形成装置は、例えば、プリンタやスキャナ単体、あるいはプリンタ、コピー、スキャナ、ファックス等を備えた複合機等が該当し、コピーサービス、スキャナサービス、ファクシミリサービス、プリンタサービス等を備えた画像形成装置として機能する。以下に、例えばコピーサービスを利用する場合の複合機100(MFP:Multi Function Peripheral)の動作を簡単に説明する。
【0044】
まず、ユーザが複合機100を利用する場合、原稿Pを複合機100の上面に備えられている原稿台101に載置し、コピーサービスの設定を操作部102から入力する。操作部102のタッチパネルを触れると、コピーサービスを提供する複合機100は省電力状態(待機時の電力を抑えた状態)から通常の状態(機能を即時に提供可能な状態)へ移行し、操作部102から入力可能な状態となる。この操作部102には、複合機100が提供する機能に関連する複数の選択項目(設定項目、機能項目ともいう)が画面に表示されており、ユーザの選択によって選択項目の選択・入力、すなわち、コピーサービスに関する出力条件(設定条件)の入力が行なわれる。
【0045】
出力条件の入力が終了後、ユーザは操作部102に設けられたスタートキーを押下して、複合機100にコピーサービスの処理を開始させる。
【0046】
複合機100がコピーサービスの処理を開始すると、画像読取部103において、光源104から照射された光が、上記原稿台101に置かれた原稿に反射される。反射された光は、ミラー105、106、107によって撮像素子108に導かれる。導かれた光は上記撮像素子108により光電変換されて、基本的な補正処理、画質処理、圧縮処理等を施され、上記原稿に対応する画像データが生成される。
【0047】
なお、上記画像データは、複合機100に接続された通信ケーブル109を介して、ネットワーク110から出力(画像形成)の指示とともに送信されても構わない。ネットワーク110から画像データが送信される場合は、画像読取部103の処理は省略される。
【0048】
さて、上記画像データをトナー像として転写する駆動部が画像形成部111である。上記画像形成部111には感光体ドラム112が備えられている。上記感光体ドラム112は、一定速度で所定の方向に回転し、その周囲には、回転方向の上流側から順に、帯電器113、露光ユニット114、現像器115、転写器116、クリーニングユニット117などが配置されている。
【0049】
上記帯電器113は、上記感光体ドラム112の表面を一様に帯電させる。上記露光ユニット114は、帯電された上記感光体ドラム112の表面に、上記画像データに基づいてレーザーを照射し、静電潜像を形成する。上記現像器115は、搬送された静電潜像に、トナーを付着させてトナー像を形成する。形成されたトナー像は、上記転写器116により、記録媒体(例えば、シート)に転写される。上記クリーニングユニット117は、上記感光体ドラム112の表面に残された余分なトナーを取り除く。これらの一連のプロセスは、上記感光体ドラム112が回転することにより実行される。
【0050】
上記シートは、上記複合機100に備えられた複数の給紙カセット118から搬送される。搬送される時は、上記シートはピックアップローラ119により何れか1つの上記給紙カセット118から搬送路へ引き出される。上記各給紙カセット118には、それぞれ異なる紙種のシートが収容されており、上記出力条件に関する設定に基づいてシートが給紙される。
【0051】
搬送路に引き出された上記シートは、搬送ローラ120やレジストローラ121により感光体ドラム112と転写器116の間に送り込まれる。送り込まれると、上記シートは上記転写器116により上記トナー像が転写され、定着装置122に搬送される。尚、搬送ローラ120に搬送されるシートは、複合機100に備えられた手差しトレイ123から搬送される場合もある。
【0052】
上記トナー像が転写されたシートが上記定着装置122に備えられた加熱ローラ124と加圧ローラ125の間を通過すると、上記トナー像に熱と圧力が印加されて、可視像がシートに定着される。上記加熱ローラ124の熱量は紙種に応じて最適に設定され、上記定着が適切に行われる。上記可視像がシートに定着されて画像形成が終了し、可視像が定着されたシートは、定着装置122を経て折り装置126へ搬送される。
【0053】
上記搬送されたシートは、ユーザが入力した出力条件の設定に従って、折り装置126で折り処理が施される。折り処理が入力されていない場合は、上記シートは折り装置126を通過するのみである。また、ユーザが後処理(例えば、ステープラー、製本、パンチ等)を出力条件に設定した場合、通過したシートは製本装置127に搬送されて後処理を施され、排紙トレイ128に積載、収容される。
【0054】
尚、上記折り装置126、製本装置127は複合機100から取り外し可能であるため、折り装置126、製本装置127が取り外された場合、定着装置122にて可視像が定着されたシートは、印刷物として複合機100の側面に設けられた排紙トレイ128に積載され、収容されることになる。
【0055】
上記手順により、複合機100はコピーサービスをユーザに提供する。なお、他のサービスについては、上述した画像読取部103、画像形成部111等が駆動して提供することになる。本発明の複合機100は、ネットワーク110から送信された画像データを画像形成するプリントサービス、原稿の画像を読み取るスキャンサービス、ネットワーク110に画像データを送受信するファクシミリ送受信サービス、一度読み取った画像データを保存するメモリサービスを提供しても構わない。
【0056】
また、上述した折り装置126、製本装置127が複合機100に接続されることにより、複合機100は所定の後処理機能を備えても構わない。後処理機能として、出力されたシートの束を小冊子(例えば、糊付けされた小冊子)にする製本機能(例えば、製本小冊子機能)、シートの束の所定の箇所にステープルを施して綴じるステープル機能(例えば、ステープル1点左上機能)、シートの束の所定の箇所に穴を開けるパンチ機能(例えば、パンチ2点左端機能)等が挙げられるがこれらに限られるものではない。
【0057】
また、所定の反転搬送路と反転ローラとを新たに複合機100に設けることにより、両面印刷機能を備えても構わない。両面印刷機能とは、コピーの出力対象となるシートの両面に出力を行う機能である。具体的には、両面印刷が可能な複合機100は、搬送されたシートの表裏が反転するための反転搬送路と反転ローラとが上述した搬送路に備えられる。反転ローラが、最初に可視像が定着されたシート面(表面)の表裏を反転するために、反転搬送路にシートを搬送し、搬送されたシート面の表裏が反転し、反転したシートが、再度感光体ドラム112と転写器116との間に送り込まれることになる。尚、感光体ドラム112には、シートが送り込まれる際に、裏面に対応するトナー像が形成されていることになる。詳細は割愛する。
【0058】
また、フルカラーに対応する現像器と中間転写ベルトとを新たに複合機100に設けることにより、カラーモード/モノクロモード(カラー印刷機能ともいう)を備えても構わない。具体的には、フルカラー画像に対応した複合機100は、フルカラーに対応するイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各トナーをそれぞれ格納する4つの現像ユニットを有する現像器が備えられる。その現像器が、新たに設けられた中間転写ベルトへの転写を上記各色毎に繰り返すことにより、当該中間転写ベルト上にフルカラー画像が形成され、そのフルカラー画像が、上述したトナー像としてシートに転写されることになる。詳細は割愛する。
【0059】
その他の機能として、Xin1機能、余白設定機能、複数枚印刷機能、スタンプ機能、ページ番号付与機能等が挙げられる。Xin1機能とは、紙の片面に複数ページ(Xページ)分の出力を行う機能である。さらに、複数枚印刷機能とは、同一の出力を複数枚の紙に対して行う機能であり、スタンプ機能とは、例えば紙全体に原稿の出力とは独立した「機密」といった情報を出力する機能であり、ページ番号付与機能とは、出力する紙に順次ページ番号に相当する番号を印刷する機能である。その他、コピーサービスには様々な機能があるが、本発明と直接には関係しないため省略する。なお、複数の機能の組み合わせにより提供される機能、すなわち複合機能も複合機100は提供可能である。
【0060】
図2は、複合機100に備えられた操作部101の外観の一例を示す図である。ユーザは、上記操作部102を用いて、上述のような機能提供についての出力条件等を入力する。出力条件の入力等が行なわれる際に、上記操作部102に備えられたタッチパネル201、タッチペン202、操作キー203が用いられる。
【0061】
上記タッチパネル201には、上述した出力条件を入力する機能と、入力された出力条件等を表示する機能とが兼ね備えられている。すなわち、タッチパネル201上に表示された画面内の選択項目等を押下することによって、選択項目等に関連付けられた設定条件の入力が行われる。また、入力された選択項目等は、その背景色を白色からグレー色へ変更してタッチパネル201上に表示されるため、ユーザによって随時視認される。
【0062】
タッチパネル201の近傍には、タッチペン202が備えられており、ユーザがそのタッチペン202の先をタッチパネル201に接触させると、タッチパネル201下方に設けられたセンサーが接触先を検知する。そのため、タッチペン202の接触により、選択項目やキーボード画面のキー等の選択・入力が可能である。
【0063】
さらに、タッチパネル201近傍には、所定数の操作キー203が設けられ、例えば、テンキー204、スタートキー205、クリアキー206、ストップキー207、リセットキー208、電源キー209が備えられている。なお、上記テンキー204は、部数や倍率を設定する際に具体的な数字の入力に用いられる。
【0064】
次に、図3を用いて、複合機100の制御系ハードウェアの構成を説明する。図3は、複合機における制御系ハードウェアの概略構成図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0065】
複合機100の制御回路は、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304、各駆動部に対応するドライバ305、通信インターフェイス306を内部バス307によって接続している。
【0066】
上記CPU301は、例えば、RAM303を作業領域として利用し、上記ROM302、上記HDD304等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて上記ドライバ305、通信インターフェイス306とデータや指示を授受し、上記図1に示した各駆動部の動作を制御する。また、上記駆動部以外の後述する各手段(図4に示す)についても、上記CPU301がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。上記ROM302や上記HDD304には、以下に説明する各手段を実現するプログラムやデータが記憶されている。
【0067】
さらに、通信インターフェイス306は、通信ケーブル109から形成されるネットワーク110と接続されている。ネットワーク110は、例えば、他の通信ケーブルを介して、後処理装置が接続された複合機308、後処理装置が接続されていない複合機309、プリンタ310、パーソナルコンピュータ(PC)311と接続されているため、上記CPU301は、通信インターフェイス306を介してネットワーク110に接続された複合機308等とデータの授受を行う。
【0068】
なお、上述した複合機308等を接続しているネットワーク110は、例えば、同一構内に複数設置された複合機から構成されるネットワークや、複数の階層を有する同一建物(オフィスビル、オフィスタワー等)において、それぞれの階層に設置された複数の複合機から構成されるネットワークが該当する。
【0069】
また、ネットワーク110に接続されたPC311は、当該ネットワーク110を管理するサーバとして機能する。PCには、図示しないCPU、ROM、RAM、HDD等が備えられており、ネットワーク110に接続された複合機308の所定の記憶手段(ROM等)を参照したり、所定の情報を記憶手段に記憶させたりする。
【0070】
ネットワーク110に接続された複合機100、後処理装置が接続された複合機308、後処理装置が接続されていない複合機309、プリンタ310等の記憶手段(ROM等)には、ネットワーク110に接続されている画像形成装置に共通した情報である出力能力情報が記憶されている。
【0071】
<本発明の実施形態>
次に図4乃至図5を参照しながら、本発明の複合機100が、ユーザの所望する出力条件を実行可能な複数の画像形成装置のうち、ユーザが選択した画像形成装置に出力を指示する手順について説明する。図4は、本発明の複合機100の機能ブロック図である。図5は、本発明の実行手順を示すためのフローチャートである。
【0072】
まず、ユーザがコピーサービスを複合機100に実行させるために、原稿Pを原稿台101に載置し、操作部102のタッチパネル201のうち、いずれかの箇所を押下すると、受付手段401が、複合機記憶手段402に記憶されているコピーサービスに対応する出力能力情報テーブルから、機能を示す出力能力情報に対応する選択項目を取得する。
【0073】
出力能力情報テーブル600には、図6Aに示すように、複合機100のコピーサービスの出力に関連する機能および性能を示す出力能力情報601と、機能を示す出力能力情報に対応する選択項目602とが関連付けられて記憶されている。尚、性能を示す出力能力情報は、ユーザにより選択されることがない情報、すなわち、複合機100に備えられた部材等に基づいて必然的に決定される情報であるため、その出力能力情報に対応する選択項目の欄には、例えば、空白603が関連付けて記憶される。
【0074】
当該出力能力情報601は、複合機100の出力に関連する一の機能または性能に対して一の出力能力情報が割り当てられる。例えば、用紙サイズ変更機能である出力用紙サイズのうち、A3、A4、B3、B4の用紙サイズを複合機100が出力可能であれば、それらの用紙サイズ変更機能を示す出力能力情報は、「用紙サイズ変更機能(A3、A4、B3、B4)」となる。また、性能である画像形成速度が、モノクロ印刷で40枚/分(A4横)であれば、その性能を示す出力能力情報は、「モノクロ:40枚/分(A4横)」となる。
【0075】
図6Aに示すように、例えば、機能を示す出力能力情報のうち、両面印刷機能のように、一の機能を示す出力能力情報に、両面印刷に対応する一の選択項目「両面」が関連付けて記憶されている場合も、用紙サイズ変更機能のように、一の機能を示す出力能力情報に、用紙サイズに対応する複数の選択項目(「A3 普通紙」、「A4 普通紙」等)が関連付けて記憶されている場合もある。
【0076】
受付手段401が、コピー機能に関連する選択項目を取得すると、取得した選択項目を選択可能に表示したコピー機能の初期設定画面をタッチパネル201上に表示させる(図5:S101、図7A)。
【0077】
コピー機能の初期設定画面700には、図7Aに示すように、コピー機能に関連する選択項目701(602)が選択可能に表示される。選択項目701(602)は、例えば、出力能力情報と関連付けられた選択項目であって、用紙の出力サイズを示す選択項目(「A3 普通紙」、「A4 普通紙」、「B3 普通紙」、「B4 普通紙」等)、両面印刷するか片面印刷するかを示す選択項目(「両面」、「片面」等)、カラー印刷にするかモノクロ印刷にするかを示す選択項目(「カラー」、「モノクロ」等)、画像形成したシートにステープルを施すか否かを示す選択項目(「ステープル1点左上」等)が表示されている。ユーザは、表示された選択項目701(602)を押下・選択し、複数の選択項目701(602)を組み合せることによって、自己の希望する出力条件(設定条件)を複合機100に設定することになる。
【0078】
尚、コピー機能の初期設定画面700に表示される選択項目は、必ずしも出力能力情報と関連付けられた選択項目、言い換えると、出力能力情報テーブル600に記憶された選択項目のみが表示される訳ではない。例えば、出力能力情報テーブル600に記憶されていない選択項目、例えば、画像の印字濃度を調整するための選択項目(所定の範囲内で印字濃度を増加させる「→」、所定の範囲内で印字濃度を減少させる「←」等)、原稿に対して画像の出力倍率を示す選択項目(「自動倍率」、「100%」、「拡大/縮小」等)を選択可能に表示される。それは、出力能力情報テーブル600に記憶される出力能力情報と選択項目は、画像形成装置の品種、性能、備えられた部材のスペック等を考慮してユーザ(製造者、管理者等)が適宜設計し追加削除するからである。
【0079】
また、受付手段401が後続の出力処理を完了してからコピー機能の初期設定画面700を最初に表示する場合、予めユーザ(製造者、管理者等)により設定された初期設定条件に対応する選択項目の背景色をグレー色に変更し、当該初期設定条件を出力条件として選択される。当該選択に対応する初期設定条件は、出力条件として未だ確定していない状態である。本実施形態では、例えば、図7Aに示すように、初期設定条件として、選択項目「A4 普通紙」702、「片面」703、「自動濃度」704、「自動倍率」705、「モノクロ」706、「ステープルなし」707が予め選択される。
【0080】
さて、ユーザは、コピー機能の初期設定画面700を見ながら、例えば、「片面」703を「両面」708に、「モノクロ」706を「カラー」709に、それぞれ押下・選択すると、受付手段401が、押下・選択された選択項目(「両面」708、「カラー」709)の背景色をグレー色に変更する。元の選択項目(「片面」703、「モノクロ」706)の背景色はグレー色から白色に変更される。
【0081】
ユーザは、背景色がグレー色である選択項目からなる出力条件を確認しながら、スタートキー205を押下すると、受付手段401が当該出力条件を受け付ける(設定する)(図5:S102)。
【0082】
受付手段401が出力条件を受け付けると、出力処理が開始される前に、検索手段403が、当該出力条件の選択項目に対応する機能を示す出力能力情報と、複合機記憶手段402の出力能力情報テーブル600が記憶する性能を示す出力能力情報とを取得する(図5:S103、図6A、図6B)。
【0083】
出力条件の選択項目に対応する機能を示す出力能力情報を取得する方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、以下の取得方法が挙げられる。検索手段403が、受け付けた出力条件の選択項目と、複合機記憶手段402に記憶された出力能力情報テーブル600とを参照して、出力条件の選択項目と一致する出力能力情報テーブル600の選択項目を抽出し、その抽出した選択項目に対応する機能を示す出力能力情報を出力能力情報テーブル600から取得する方法が挙げられる。検索手段403が出力能力情報テーブル600を参照する際に、出力能力情報テーブル600に記憶された性能を示す出力能力情報も取得する。
【0084】
本実施形態では、図6A、図6Bに示すように、検索手段403が、出力条件の選択項目604(「A4 普通紙」、「両面」、「自動濃度」、「自動倍率」、「カラー」、「ステープルなし」)に対応する機能を示す出力能力情報605(「用紙サイズ変更機能(A3、A4、B3、B4)」、「両面印刷機能」、「カラーモード」)を取得し、性能を示す出力能力情報606(「モノクロ:40枚/分(A4横)」、「カラー:35枚/分(A4横)」、「最大消費電力(640W以下)」)を取得することになる。
【0085】
尚、上記では、検索手段403が、出力条件の選択項目に対応する機能を示す出力能力情報のみを取得するよう構成しているが、出力能力情報テーブルに記憶されている選択項目に対応する機能を示す出力能力情報を全て取得するよう構成しても構わない。
【0086】
検索手段403が、上述した出力能力情報を取得すると、通信手段404を介して、サーバ311のサーバ記憶手段405に記憶されたネットワーク情報テーブルを参照して、取得した出力能力情報に対して同等以上の出力能力情報を記憶する画像形成装置の識別情報を検索する(図5:S104)。上記通信手段404は、ネットワークに接続された装置(複数の画像形成装置またはサーバ)を一意に特定し、特定した装置と複合機100とを通信可能とする。
【0087】
ネットワーク情報テーブル800には、図8に示すように、ネットワーク110に接続された画像形成装置の識別情報801と、その画像形成装置に記憶された機能または性能を示す出力能力情報802とが関連付けて記憶されている。図8の画像形成装置の識別情報801には、理解を容易にするために、例えば、画像形成装置の名称が記憶されている。複合機100の名称は、「複合機A」と表示し、その欄の出力能力情報には、検索手段403が取得した出力能力情報を示している。
【0088】
取得した出力能力情報に対して「同等以上の出力能力情報」を記憶する画像形成装置の識別情報を検索する方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、以下の検索方法が挙げられる。図8に示すように、検索手段403が、最初に、ネットワーク情報テーブル800に記憶された画像形成装置の識別情報801のうち、一の識別情報803(例えば、「複合機B」)を選定する。次に、検索手段403が、先ほど取得した出力能力情報のうち、一の出力能力情報804(例えば、「用紙サイズ変更機能(A3、A4、B3、B4)」)を選定し、選定した識別情報803に関連付けられた出力能力情報805を一出力能力情報毎に参照し、参照した出力能力情報806(例えば、「用紙サイズ変更機能(A3、A4、A5、B3、B4、B5)」)と、選定した出力能力情報804とを比較して、両者が一致するか否かを判定する。
【0089】
判定の結果、取得した出力能力情報と一致する出力能力情報があれば、検索手段403が、取得した出力能力情報のうち、新たな出力能力情報807(例えば、「両面印刷機能」)を選定し、選定した識別情報803に関連付けられた出力能力情報805を一出力能力情報毎に参照し、両者を比較して、当該判定を実行する。
【0090】
当該判定を繰り返して、取得した全ての出力能力情報と一致する出力能力情報と関連付けられた画像形成装置の識別情報があれば、検索手段403は、当該識別情報と、当該識別情報に関連付けられた全ての出力能力情報をネットワーク情報テーブル800から取得する。
【0091】
一方、判定の結果、取得した出力能力情報と一致する出力能力情報がなければ、検索手段403は、選定した識別情報803は取得対象(検索対象)でないと判定し、ネットワーク情報テーブル800の識別情報801のうち、新たな識別情報を選定する。検索手段403は、取得した出力能力情報のうち、新たな出力能力情報(例えば、「用紙サイズ変更機能(A3、A4、B3、B4)」)を選定し直し、新たに選定した識別情報に関連付けられた出力能力情報を一出力能力情報毎に参照し、両者を比較して、上述した判定を実行する。
【0092】
上述した検索方法を、ネットワーク情報テーブル800に記憶された識別情報の全てについて実行する。当該検索方法により、検索手段403は、取得した出力能力情報に対して「同等以上の出力能力情報」を記憶する画像形成装置の識別情報を検索することが可能となる。
【0093】
尚、出力能力情報802は、画像形成装置の出力に関連する一の機能または性能に対して一の出力能力情報が与えられているため、検索手段403が、取得した出力能力情報と一致するまたは取得した出力能力情報を包含する出力能力情報を記憶する画像形成装置の識別情報をネットワーク情報テーブル800から検索することによって、取得した出力能力情報に対して同等以上の出力能力情報を記憶する画像形成装置の識別情報を検索することができる。
【0094】
また、機能(性能)を示す出力能力情報のうち、個数(数値)が示された出力能力情報であれば、その個数が意味する機能の優劣に基づいて、取得した出力能力情報の示す個数以上の個数を有する出力能力情報または取得した出力能力情報の示す個数以下の個数を有する出力能力情報を「同等以上の出力能力情報」とする。
【0095】
例えば、機能を示す出力能力情報である「用紙サイズ変更機能(A3、A4、B3、B4)」の場合、用紙サイズの情報(A3等)が相互に一致していることはもちろん、その個数が4個以上であれば、用紙サイズを変更する選択の幅が広がり、用紙サイズ変更機能が優れていることを意味するから、4個以上の出力能力情報が「同等以上の出力能力情報」に該当する。
【0096】
また、性能を示す出力能力情報である「モノクロ:40枚/分(A4横)」の場合、40枚以上であれば画像形成速度が優れていることを意味するから、40枚以上の出力能力情報が「同等以上の出力能力情報」に該当する。また、「最大消費電力(640W以下)」の場合、640W以下であれば最大消費電力が抑えられて省エネ性能が優れていることを意味するから、640W以下の出力能力情報が「同等以上の出力能力情報」に該当する。
【0097】
本実施形態では、検索手段403が、画像形成装置の識別情報808(「複合機C」、「プリンタA」)と、その識別情報に関連付けられた全ての出力能力情報809(「用紙サイズ変更機能(A3、A4、A5、B3、B4、B5)」等)を取得することになる。
【0098】
当該検索が完了すると、検索手段403は、取得した画像形成装置の識別情報808と、その識別情報に関連付けられた全ての出力能力情報809(以下、取得情報とする)を画像形成装置選択受付手段406に送信する。画像形成装置選択受付手段406が、取得情報を受信すると、その取得情報を用いて初期設定画面から出力指示画面に切り替えて表示する(図5:S105、図7A、図7B)。
【0099】
出力指示画面710には、図7Bに示すように、出力処理を実行させる画像形成装置の選択を促すメッセージ711「出力させる画像形成装置を選択して下さい。」と、ユーザにより受け付けた出力条件712(「A4 普通紙」、「両面」、「自動濃度」、「自動倍率」、「カラー」、「ステープルなし」)と、取得情報のうち、画像形成装置の識別情報808に対応する画像形成装置選択項目713(「複合機A(本体)」、「複合機C(2階)」、「プリンタA(1階)」)と、出力指示を実行するためのボタンである「出力開始」ボタン714と、取得情報のうち、選択された画像形成装置選択項目713に対応する出力能力情報を表示させるためのボタンである「詳細情報」ボタン715と、「キャンセル」ボタン716とが表示される。尚、画像形成装置選択項目713には、例えば、画像形成装置の名称とともに、その画像形成装置が設置されている場所の情報も表示されても構わない。また、複合機100本体の全体外観を模した画像717を表示するよう構成しても構わない。
【0100】
ユーザが出力指示画面710を見ながら、一の画像形成装置選択項目718(例えば、「複合機C(2階)」)を押下・選択すると、画像形成装置選択受付手段406が、押下・選択された画像形成装置選択項目718の背景色をグレー色に変更する。
【0101】
ここで、ユーザが出力指示画面の「出力開始」ボタン714を押下すると、画像形成装置選択受付手段406が、選択された画像形成装置選択項目718(「複合機C(2階)」)を受け付ける。画像形成装置選択受付手段406が画像形成装置選択項目718を受け付けると、出力指示手段407は、受け付けた画像形成装置選択項目718に対応する画像形成装置に、上記出力条件に基づいて出力処理を実行させるよう指示する(図5:S106YES→S107)。
【0102】
出力指示手段407が所定の画像形成装置に出力処理を実行させるよう指示する方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0103】
所定の画像形成装置が、出力条件を受け付けた複合機「複合機A(本体)」100であれば、出力指示手段407が、その複合機100の画像読取手段408に、原稿台101に載置された原稿の画像データを読み取る旨の命令を送信し、その複合機100の出力手段409に、受け付けた出力条件と、画像読取手段408が読み取った画像データとに基づいて出力処理を実行する旨の命令を送信する。
【0104】
すると、画像読取手段408が原稿の画像データを読み取り、出力手段409が、出力条件と画像データとに基づいて出力処理を実行する(図5:S108)。本実施形態では、出力手段409が、A4普通紙のシートに画像データを両面かつカラー印刷で実行する。これは、通常のコピー機能の提供手順と同様である。
【0105】
一方、所定の画像形成装置が、出力条件を受け付けた複合機100以外の画像形成装置(他の画像形成装置「複合機C」308とする)であれば、出力指示手段407が、出力条件を受け付けた複合機100の画像読取手段408に、原稿の画像データを読み取る旨の命令を送信する。その画像読取手段408が画像データの読み取りを完了すると、次に、出力指示手段407が、読み取った画像データを画像読取手段408から取得し、通信手段404を介して、ネットワーク110を管理するサーバの所定のメモリ(画像データを記憶可能な容量を有する記憶手段、サーバ記憶手段405であっても構わない)に、画像データを送信し、一次記憶させる。
【0106】
さらに、出力指示手段407が、ユーザにより選択された画像形成装置の識別情報を利用してネットワーク110の他の画像形成装置「複合機C」308を特定する。そして、出力指示手段407が、その特定された他の画像形成装置「複合機C」308に備えられた他の出力手段410に、受け付けた出力条件と、所定のメモリに一次記憶された画像データとに基づいて出力処理を実行する旨の命令を送信する。
【0107】
特定された他の出力手段410は、出力処理を実行する旨の命令を受信すると、他の通信手段411を介して、ネットワーク110のサーバの所定のメモリから画像データを取得し、当該出力条件に基づいて出力処理を実行する(図5:S108)。
【0108】
他の出力手段410を備える他の画像形成装置「複合機C」308は、当該出力条件の選択項目に対応する機能を示す出力能力情報と、複合機100に記憶された性能を示す出力能力情報とに対して同等以上の出力能力情報を記憶する画像形成装置に該当するため、常に出力条件に合致またはそれ以上の出力処理を実行することになる。
【0109】
尚、出力手段409または他の出力手段410が、シートに関する出力処理を実行する際に、その出力手段409(410)に、他のユーザがシートに関する出力処理の指示を行っている或いはシートを出力している場合や従前に実行した出力処理のシートが残存している場合は、出力手段409または他の出力手段410に、新たに出力されるシートの位置を出力方向に対して左右に聊か移動させて出力させるよう構成しても構わない。
【0110】
また、原稿の画像データを読み取った画像読取手段408を有する複合機100と、選択された他の画像形成装置「複合機C」308との間の距離が、物理的に離れている場合、出力指示手段407が、選択された他の画像形成装置「複合機C」308に備えられた他の出力手段410に予め出力指示(例えば、出力条件等)を送信しておき、他の画像形成装置「複合機C」308に備えられた他の受付手段412がユーザから所定のボタンの選択・押下を検知した時点で、他の出力手段410が出力処理を実行するよう構成しても構わない。
【0111】
上記手順により、ユーザが入力した出力条件に基づいて出力手段409または他の出力手段410が出力処理を完了する。
【0112】
ところで、例えば、ユーザが出力指示画面の「詳細情報」ボタン715を押下すると、出力指示手段407が出力処理を実行させるよう指示する前に、画像形成装置選択受付手段406が、取得情報のうち、選択された画像形成装置選択項目718(「複合機C(2階)」)に対応する出力能力情報を用いて出力指示画面から画像形成装置詳細情報画面に切り換えて表示する(図5:S106NO→S109YES→S110)。
【0113】
画像形成装置詳細情報画面900には、図9Cに示すように、選択された画像形成装置の出力能力情報を示すメッセージ901「選択された画像形成装置の出力能力です。」と、ユーザにより選択された出力条件902(712)(「A4 普通紙」、「両面」、「自動濃度」、「自動倍率」、「カラー」、「ステープルなし」)と、選択された画像形成装置選択項目(「複合機C」)903(718)と、当該画像形成装置選択項目903に対応する画像形成装置が設置された場所の情報904(例えば、「場所:2階、西のフロア」)と、当該画像形成装置選択項目903に対応する出力能力情報のうち、機能を示す出力能力情報に対応する選択項目905(「ステープル1点左上」、「パンチ2点左端」、「製本(小冊子)」)と、「出力開始」ボタン906と、画像形成装置詳細情報画面900から出力指示画面710へ切り換えるボタンである「戻る」ボタン907と、「キャンセル」ボタン908とが表示される。
【0114】
尚、選択された画像形成装置「複合機C」308本体の全体外観を模した画像909を表示するよう構成しても構わない。また、表示された選択項目905の内容を詳細に設定可能な選択項目「詳細設定」等、他の選択項目を選択可能に表示しても構わない。
【0115】
画像形成装置詳細情報画面900に表示される選択項目は、ユーザにより選択可能に表示されるため、画像形成装置選択受付手段406が、ユーザにより選択された選択項目を既に受け付けた(表示された)出力条件902に追加して、新たな出力条件を受け付けることが可能となる。
【0116】
ユーザが画像形成装置詳細情報画面900を見ながら出力能力を確認して、選択項目を押下せずに「出力開始」ボタン906を押下すると、画像形成装置選択受付手段406が、表示した画像形成装置選択項目(「複合機C」)903を受け付ける。すると、出力指示手段407は、受け付けた画像形成装置選択項目(「複合機C」)903に対応する画像形成装置に、表示した出力条件に基づいて出力処理を実行させるよう指示する(図5:S111NO→S107)。出力処理を実行させるよう指示する方法は、上述した方法と同様であるため、割愛する。
【0117】
一方、ユーザが画像形成装置詳細情報画面900に表示された選択項目(例えば、「製本(小冊子)」)を押下すると、画像形成装置選択受付手段406が、押下された選択項目の背景色をグレー色に変更する。ユーザは、出力条件および当該選択項目を確認しながら「出力開始」ボタン906を押下すると、画像形成装置選択受付手段403が、ユーザにより選択された選択項目を出力条件に追加して、新たな出力条件(「A4 普通紙」、「両面」、「自動濃度」、「自動倍率」、「カラー」、「ステープルなし」、「製本(小冊子)」)と、表示した画像形成装置選択項目(「複合機C」)903とを受け付ける(図5:S111YES→S112)。
【0118】
出力指示手段407は、受け付けた画像形成装置選択項目(「複合機C」)906に対応する画像形成装置に、新たな出力条件に基づいて出力処理を実行させるよう指示する(図8:S112→S107)。出力処理を実行させるよう指示する方法は、上述した方法と同様であるため、割愛する。
【0119】
尚、ユーザが、図7Bに示す出力指示画面に表示された「出力開始」714ボタンも「詳細情報」ボタン715も押下せずに、例えば、「キャンセル」716を押下すると、画像形成装置選択受付手段406が、受付手段401に出力条件を受け付ける旨の命令を送信し、受付手段401が、再度、コピー機能の初期設定画面をタッチパネル201上に表示させることになる(図5:S101、図7A)。
【0120】
このように、自装置が記憶する出力能力情報のうち、機能を示す出力能力情報を選択項目としてユーザに選択可能に表示し、選択された選択項目からなる出力条件をユーザから受け付ける受付手段と、出力処理が開始される前に、当該出力条件の選択項目に対応する機能を示す出力能力情報と、自装置が記憶する性能を示す出力能力情報とに対して同等以上の出力能力情報を記憶する画像形成装置の識別情報を、サーバから検索する検索手段と、上記検索手段が検索した画像形成装置の識別情報に対応する画像形成装置を画像形成装置選択項目としてユーザに選択可能に表示し、一の画像形成装置選択項目を受け付ける画像形成装置選択受付手段と、受け付けた画像形成装置選択項目に対応する画像形成装置に、上記出力条件に基づいて出力処理を実行させるよう指示する出力指示手段とを備えるよう構成している。
【0121】
これにより、画像形成装置に出力処理を実行させる前に、ユーザは、自己の入力した出力条件を実行可能な画像形成装置であり、かつ入力した画像形成装置と同等以上の能力を有する画像形成装置を自由に選択することが可能となる。また、ユーザは、自己の選択した画像形成装置に自己の入力した出力条件を確実に実行させることが可能となる。そのため、ユーザに対して、出力処理を実行させる画像形成装置の選択の幅を拡大することが可能となるとともに、出力処理の実行結果を、常に、ユーザの入力を受け付けた画像形成装置による実行結果に対して同等またはそれ以上のものとすることが可能となる。その結果、ユーザへの利便性を向上させるとともに、ネットワークに接続された画像形成装置の能力を十分に発揮させることが可能となる。
【0122】
さらに、上記画像形成装置選択受付手段は、画像形成装置選択項目を受け付けると、上記出力指示手段が出力処理を実行させるよう指示する前に、当該画像形成装置選択項目に対応する画像形成装置が記憶する出力能力情報のうち、機能を示す出力能力情報を選択項目としてユーザに選択可能に表示し、所定の選択項目がユーザにより選択されると、既に受け付けた出力条件に所定の選択項目を追加して、新たな出力条件を受け付けるよう構成することができる。
【0123】
これにより、画像形成装置に出力処理を実行させる前に、ユーザは、選択した画像形成装置の機能に対応する選択項目を確認することが可能となる。さらに、表示された選択項目の選択により、ユーザは、既に入力した出力条件にさらに選択した選択項目を加えた新たな出力条件を入力することが可能となる。そのため、ネットワークに接続された画像形成装置のうち、ユーザが今まで知らなかった選択項目を実行可能な画像形成装置を認識することが可能となるとともに、ユーザは、認識した選択項目をその場で設定して、新たな出力条件を入力することが可能となる。その結果、ユーザに、ネットワークに接続された画像形成装置の機能を認識する機会を与えると共に、その認識した機能を十分に活用させる機会を与えることが可能となり、ユーザへの利便性を向上させ、ネットワークに接続された画像形成装置の能力を十分に発揮させることが可能となる。
【0124】
尚、本実施形態では、受付手段が出力条件を受け付けると、検索手段が、所定の画像形成装置の識別情報を、サーバのサーバ記憶手段から検索するよう構成したが、例えば、検索手段が当該検索する前に、ネットワークに接続された複数の画像形成装置と通信し、現時点で接続されている画像形成装置の識別情報と、その画像形成装置が記憶する全ての出力能力情報とを取得する取得手段をサーバに備えるよう構成しても構わない。当該取得手段が、新たに画像形成装置の識別情報とその出力能力情報とを取得した場合は、それらの情報に基づいてネットワーク情報テーブルを更新するよう構成する。
【0125】
当該構成とすると、ネットワークに接続される画像形成装置が頻繁に脱離されたり、新たな画像形成装置がネットワークに頻繁に接続されたりしても、検索手段がネットワークに接続された画像形成装置を適切に検索対象の範囲に含めることが可能となる。
【0126】
また、本実施形態の画像形成装置の出力能力情報テーブルに記憶される機能を示す出力能力情報および選択項目は、当該画像形成装置に取り付けられたオプション(例えば、後処理装置)に応じて適宜、追加・削除されるよう構成しても構わない。例えば、複合機に製本装置が連結されると、複合機は、製本装置の製本機能を示す出力能力情報「製本小冊子機能」と、その出力能力情報に対応する選択項目「製本(小冊子)」とが出力能力情報テーブルに追加して記憶される。製本装置が複合機から脱離されると、出力能力情報「製本小冊子機能」と選択項目「製本(小冊子)」とが出力能力情報テーブルから削除される。
【0127】
また、本実施形態の画像形成装置では、受付手段が出力条件を受け付けると、検索手段が検索を実行し、画像形成装置選択受付手段が一の画像形成装置選択項目を受け付けるよう構成したが、他の構成をさらに追加しても構わない。
【0128】
例えば、上記検索手段が検索を実行する前に、ユーザから出力条件の選択項目のうち、優先的に検索対象とする優先選択項目を受け付け、検索手段に、優先選択項目に対応する機能を示す出力能力情報と、性能を示す出力能力情報とに対して同等以上の出力能力情報を記憶する画像形成装置の識別情報を検索させる優先検索指示手段を備えるよう構成しても構わない。優先的に検索対象とする優先選択項目とは、検索手段が検索を実行する際に、最初に出力条件から取得する選択項目のことである。
【0129】
例えば、受付手段が出力条件を受け付けると、優先検索指示手段が、当該出力条件の選択項目を選択可能に表示した優先検索指示画面をタッチパネル上に表示させる。
【0130】
優先検索指示画面910には、図9Dに示すように、検索を実行する旨を示すメッセージ911「ネットワークに接続された画像形成装置を検索します。」と、優先選択項目の選択を促すメッセージ912「優先したい選択項目を選択してください。」と、第一に優先させたい選択項目であって、出力条件に対応する選択項目913と、検索の開始を実行させるためのボタンである「検索開始」ボタン914と、「キャンセル」ボタン915とが表示される。
【0131】
優先検索指示画面910に表示される選択項目は複数に渡る場合があるため、図9Dに示すように、ドロップダウンリスト形式でユーザに選択可能に表示するよう構成されるが、他の表示方法であっても構わない。また、表示される選択項目913(例えば、「カラー」)と連動して、その選択項目913に対応する機能を示す出力能力情報916(例えば、「カラーモード」)が表示されるよう構成しても構わない。表示される出力能力情報916に連動して当該選択項目913が表示されるよう構成しても、もちろん構わない。
【0132】
ユーザが優先検索指示画面910を見ながら、選択項目913「カラー」を選択し、「検索開始」ボタン914を押下すると、優先検索指示手段が、選択された選択項目913「カラー」を優先選択項目として受け付け、検索手段に、当該優先選択項目913「カラー」に対応する機能を示す出力能力情報916「カラーモード」と、性能を示す出力能力情報(例えば、「モノクロ:40枚/分(A4横)」等)とに対して同等以上の出力能力情報を記憶する画像形成装置の識別情報を検索させる。検索方法は、上述と同様であるため、割愛する。
【0133】
当該検索が完了すると、優先検索指示手段が、検索手段が検索により取得した取得情報を第一優先取得情報として所定のメモリに一時記憶する。さらに、優先検索指示手段が、優先選択項目として選択されていない選択項目(例えば、「両面」)に対応する機能を示す出力能力情報(例えば、「両面印刷機能」)を検索対象に含めて、検索手段に検索を実行させる。
【0134】
当該検索が完了すると、優先検索指示手段が、検索手段が検索により取得した後続の取得情報を第二優先取得情報とし、第一優先取得情報と、第二優先取得情報とを画像形成装置選択受付手段に送信する。当該画像形成装置選択受付手段は、第一優先取得情報のうち、画像形成装置の識別情報に対応する画像形成装置を第一優先画像形成装置選択項目とし、第二優先取得情報のうち、画像形成装置の識別情報に対応する画像形成装置を第二優先画像形成装置選択項目として出力指示画面に選択可能に表示する。
【0135】
これにより、ユーザは、自己の優先させたい出力処理の選択項目を有する画像形成装置と、出力条件の選択項目を有する画像形成装置と、明確に区別して認識することが可能となり、結果として、ユーザへの利便性を向上させることが可能となる。
【0136】
尚、図9Dに示すように、上記優先検索指示画面910に、第一に優先させたい選択項目に加えて、第二に優先させたい選択項目917を表示し、優先検索指示手段が、選択された選択項目に優先順位を付して、検索手段に検索を実行させるよう構成しても構わない。
【0137】
また、本発明の実施形態では、画像形成装置が上記受付手段と、上記検索手段と、上記画像形成装置選択受付手段と、上記出力指示手段とを備えるよう構成したが、各手段を備える画像形成装置とサーバとから構成される画像形成システムであっても、本実施形態と同一の作用効果を奏する。
【0138】
すなわち、複数の画像形成装置の識別情報と、当該画像形成装置の出力に関連する機能または性能とを示す出力能力情報とを関連付けて記憶するサーバと複数の画像形成装置とをネットワークを接続した画像形成システムにおいて、上記画像形成装置は、自装置が記憶する出力能力情報のうち、機能を示す出力能力情報を選択項目としてユーザに選択可能に表示し、選択された選択項目からなる出力条件をユーザから受け付ける受付手段を備える。さらに、上記サーバは、上記受付手段が出力条件を受け付けると、出力処理が開始される前に、当該出力条件の選択項目に対応する機能を示す出力能力情報と、画像形成装置が記憶する性能を示す出力能力情報とに対して同等以上の出力能力情報を記憶する画像形成装置の識別情報を検索する検索手段と、上記受付手段を備えた画像形成装置に、上記検索手段が検索した画像形成装置の識別情報に対応する画像形成装置を画像形成装置選択項目としてユーザに選択可能に表示させ、一の画像形成装置選択項目を受け付けさせる画像形成装置選択受付手段と、上記画像形成装置選択項目が受け付けられると、受け付けた画像形成装置選択項目に対応する画像形成装置に、上記出力条件に基づいて出力処理を実行させるよう指示する出力指示手段とを備える。当該構成であっても、本実施形態と同一の作用効果を奏する。
【0139】
また、本発明の実施形態では、複合機が各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、上記プログラムを複合機に読み出させ、その複合機が上記各手段を実現する。その場合、上記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各手段が実行するステップをハードディスクに記憶させる記憶方法として提供することも可能である。
【0140】
また、本発明の実施形態では、コピーサービスとの処理に関して採用したが、例えば、ファクシミリ送受信サービス、プリントサービス等に対しても採用できる。
【産業上の利用可能性】
【0141】
以上のように、本発明にかかる画像形成装置は、複合機はもちろん、複写機、プリンタ等に有用であり、ユーザの所望する出力条件を実行可能な複数の画像形成装置のうち、ユーザが選択した画像形成装置に出力を指示することが可能な画像形成装置および画像形成システムとして有効である。
【符号の説明】
【0142】
100 複合機
110 ネットワーク
311 サーバ
401 受付手段
402 複合機記憶手段
403 検索手段
404 通信手段
405 サーバ記憶手段
406 画像形成装置選択受付手段
407 出力指示手段
408 画像読取手段
409 出力手段
410 他の出力手段
411 他の通信手段
412 他の受付手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の出力に関連する機能または性能を示す出力能力情報を記憶する複数の画像形成装置とネットワークを介して接続され、当該画像形成装置の識別情報と、当該画像形成装置の機能または性能を示す出力能力情報とを関連付けて記憶するサーバと通信可能に接続された画像形成装置において、
自装置が記憶する出力能力情報のうち、機能を示す出力能力情報を選択項目としてユーザに選択可能に表示し、選択された選択項目からなる出力条件をユーザから受け付ける受付手段と、
上記受付手段が出力条件を受け付けると、出力処理が開始される前に、当該出力条件の選択項目に対応する機能を示す出力能力情報と、自装置が記憶する性能を示す出力能力情報とに対して同等以上の出力能力情報を記憶する画像形成装置の識別情報を、サーバから検索する検索手段と、
上記検索手段が検索した画像形成装置の識別情報に対応する画像形成装置を画像形成装置選択項目としてユーザに選択可能に表示し、一の画像形成装置選択項目を受け付ける画像形成装置選択受付手段と、
上記画像形成装置選択受付手段が画像形成装置選択項目を受け付けると、受け付けた画像形成装置選択項目に対応する画像形成装置に、上記出力条件に基づいて出力処理を実行させるよう指示する出力指示手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
さらに、上記画像形成装置選択受付手段は、画像形成装置選択項目を受け付けると、上記出力指示手段が出力処理を実行させるよう指示する前に、当該画像形成装置選択項目に対応する画像形成装置が記憶する出力能力情報のうち、機能に対応する出力能力情報を選択項目としてユーザに選択可能に表示し、
表示された選択項目のうち、所定の選択項目がユーザにより選択されると、既に受け付けた出力条件に所定の選択項目を追加して、新たな出力条件を受け付けることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
さらに、上記検索手段が検索を実行する前に、ユーザから出力条件の選択項目のうち、優先的に検索対象とする優先選択項目を受け付け、
検索手段に、優先選択項目に対応する機能を示す出力能力情報と、性能を示す出力能力情報とに対して同等以上の出力能力情報を記憶する画像形成装置の識別情報を検索させる優先検索指示手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
複数の画像形成装置の識別情報と、当該画像形成装置の出力に関連する機能または性能を示す出力能力情報とを関連付けて記憶するサーバと複数の画像形成装置とをネットワークを接続した画像形成システムにおいて、
上記画像形成装置は、自装置が記憶する出力能力情報のうち、機能を示す出力能力情報を選択項目としてユーザに選択可能に表示し、選択された選択項目からなる出力条件をユーザから受け付ける受付手段を備え、
上記サーバは、上記受付手段が出力条件を受け付けると、出力処理が開始される前に、当該出力条件の選択項目に対応する機能を示す出力能力情報と、画像形成装置が記憶する性能を示す出力能力情報とに対して同等以上の出力能力情報を記憶する画像形成装置の識別情報を検索する検索手段と、
上記受付手段を備えた画像形成装置に、上記検索手段が検索した画像形成装置の識別情報に対応する画像形成装置を画像形成装置選択項目としてユーザに選択可能に表示させ、一の画像形成装置選択項目を受け付けさせる画像形成装置選択受付手段と、
上記画像形成装置選択項目が受け付けられると、受け付けた画像形成装置選択項目に対応する画像形成装置に、上記出力条件に基づいて出力処理を実行させるよう指示する出力指示手段とを備えることを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−167693(P2010−167693A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12738(P2009−12738)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】