説明

画像形成装置および画像形成システム

【課題】
装置の特性に応じた最適な両面印刷を可能にした画像形成装置および画像形成システムを提供する。
【解決手段】
印刷データ受付部10で受け付けた印刷データを印刷データ解析部11で両面印刷が指定されているか、指定された用紙サイズ等の解析を行う。両面印刷が指定されている場合に印刷方式判定部13で印刷方式の判定を行う。この印刷方式判定部12では、記憶部13に記憶された装置パラメータ、用紙情報を取得する。そして、印刷データの全ページを自動両面印刷した場合と手動両面印刷した場合における所要時間を算出し、この時間情報からスレッショルドとなる印刷面数を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラー印刷が可能な電子写真方式の画像形成装置では、当該カラー印刷を行うカラー印刷モードおよび白黒印刷を行う白黒印刷モードを備え、印刷要求された印刷ジョブの各印刷ページに対応する色成分情報によりこれらの印刷モードを切り替えて印刷を行っている。
【0003】
この印刷モードの切替には所定の所要時間を要し、これらの印刷モードを切り替えて印刷出力する場合には、いずれか一方の印刷モードのみによって印刷出力する場合よりも多くの印刷時間が必要となることからスループットが低下することがある。
【0004】
また、両印刷モードのスループットに大きな違いがある場合には、スループットの低い印刷モードのみを用いて印刷出力するよりも、適時、印刷モードを切り替えて印刷出力を行った場合の方が全体のスループットが高くなるという逆転の状態となる場合がある。
【0005】
このような場合に、特許文献1に開示された従来技術では、印刷処理対象の印刷ジョブにおける各印刷ページの処理時間のほか、印刷モードの切り替えに必要な時間などに代表される属性情報を用いて最適な印刷モードを選択して印刷出力を行うことを可能としている。
【0006】
以上のような印刷モードの切り替え処理を自動両面印刷処理において実行する場合には、用紙反転機構のほか当該印刷用紙の搬送路等が設けられた比較的大きな画像形成装置が必要となる。
【0007】
このため、特許文献2に開示された従来技術では、自動両面印刷機構を装置の構成上若しくは媒体の属性によって使用できない場合に、手動両面印刷を実行することを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−063450号公報
【特許文献2】特開2006−199022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、装置の特性に応じた最適な両面印刷を可能にした画像形成装置および画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、印刷媒体の第1の印刷面を印刷出力し、搬送路を利用して当該印刷媒体の印刷面を反転させて第2の印刷面を印刷出力することにより両面印刷の制御を行う両面印刷制御手段と、両面印刷による印刷要求が行われた印刷データの総印刷頁数に対する印刷面数を算出する印刷面数算出手段と、前記印刷面数算出手段によって算出された印刷面数全てを前記両面印刷制御手段による制御により両面印刷した場合に要する両面印刷処理時間を算出する両面印刷時間算出手段と、前記第1の印刷面の印刷出力と前記第2の印刷面の印刷出力との複合印刷によって前記印刷面数算出手段により算出された印刷面数の印刷面全てを印刷出力した場合に要する複合印刷処理時間を算出する複合印刷時間算出手段と、前記両面印刷時間算出手段によって算出した前記両面印刷処理時間と前記複合印刷時間算出手段によって算出した複合印刷処理時間とが同一若しくは近似する前記印刷面数を特定する特定手段と、前記特定手段によって特定した印刷面数に基づいて前記印刷データの印刷方式を決定する印刷方式決定手段とを具備する。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、印刷出力における処理単位ごとに前記印刷データを順次、両面印刷する両面印刷手段を具備し、前記印刷面数算出手段は、前記印刷単位で印刷対象の全印刷データを受信することにより前記印刷面数を算出し、前記複合印刷時間算出手段は、前記印刷面数算出手段で算出した印刷面数の印刷面全てを前記複合印刷によって印刷出力した場合に要する複合印刷処理時間を算出し、前記特定手段は、前記両面印刷時間算出手段によって算出した前記両面印刷処理時間と前記複合印刷時間算出手段によって算出した複合印刷処理時間とが同一若しくは近似する前記印刷面数を特定し、前記印刷方式決定手段は、前記両面印刷手段によって印刷出力が完了した印刷面数と前記特定手段によって特定した印刷面数に基づいて前記印刷データの印刷方式を決定する。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記印刷データの総印刷頁数が前記特定手段によって特定した印刷面数以上となる場合に、前記印刷データの印刷方式を前記両面印刷手段による両面印刷から前記複合印刷による両面印刷に切り替えを行う印刷方式切替手段を更に具備する。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項2の発明において、前記印刷方式決定手段は、前記印刷面数算出手段によって算出した印刷面数と前記特定手段によって特定した印刷面数との対比結果により、前記両面印刷手段を用いて両面印刷を行うか若しくは前記複合印刷を行うかを決定する。
【0014】
また、請求項5の発明は、請求項2または4の発明において、前記印刷方式決定手段は、前記印刷面数算出手段によって算出した印刷面数が前記特定手段によって特定した印刷面数よりも小さい場合に、前記両面印刷手段を用いて両面印刷を行うことを決定する。
【0015】
また、請求項6の発明は、情報処理装置と、前記情報処理装置から受信した両面印刷が指定された印刷データを印刷出力する画像形成装置とを具備し、前記画像形成装置は、印刷媒体の第1の印刷面を印刷出力し、搬送路を利用して当該印刷媒体の印刷面を反転させて第2の印刷面を印刷出力することにより両面印刷の制御を行う両面印刷制御手段と、両面印刷による印刷要求が行われた印刷データの総印刷頁数に対する印刷面数を算出する印刷面数算出手段と、前記印刷面数算出手段によって算出された印刷面数全てを前記両面印刷制御手段による制御により両面印刷した場合に要する両面印刷処理時間を算出する両面印刷時間算出手段と、前記第1の印刷面の印刷出力と前記第2の印刷面の印刷出力とを複合印刷することにより前記印刷面数算出手段によって算出された印刷面数全てを印刷出力した場合に要する複合印刷処理時間を算出する複合印刷時間算出手段と、前記両面印刷時間算出手段によって算出した前記両面印刷処理時間と前記複合印刷時間算出手段によって算出した複合印刷処理時間とが同一若しくは近似する前記印刷面数を特定する特定手段と、前記特定手段によって特定した印刷面数に基づいて前記印刷データの印刷方式を決定する印刷方式決定手段とを具備する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1によれば、装置の特性に応じた最適な両面印刷が可能になるという効果を奏する。
【0017】
また、請求項2によれば、より短い時間で装置の特性に応じた最適な両面印刷が可能になるという効果を奏する。
【0018】
また、請求項3によれば、より短い時間で装置の特性に応じた最適な両面印刷が可能になるという効果を奏する。
【0019】
また、請求項4によれば、最適な印刷方式により印刷出力が可能になるという効果を奏する。
【0020】
また、請求項5によれば、最適な印刷方式により印刷出力が可能になるという効果を奏する。
【0021】
また、請求項6によれば、装置の特性に応じた最適な両面印刷が可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態における画像形成装置および画像形成システムを適用して構成した画像形成装置の装置構成図の一例。
【図2】画像形成装置における印刷用紙の搬送経路を示す図。
【図3】図1に示す本発明の実施の形態における画像形成装置を構成する印刷方式判定部によって行われる処理の流れを示すフローチャート。
【図4】各印刷用紙の用紙サイズに基づく処理時間情報を示す図。
【図5】判定処理の詳細な流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係わる画像形成装置および画像形成システムの一実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の実施の形態における画像形成装置および画像形成システムを適用して構成した画像形成装置の装置構成図の一例である。
【0025】
図1において、この画像形成装置は、印刷要求された印刷データの印刷制御を行うコントローラ100、コントローラ100により印刷制御された印刷データに基づいて印刷出力処理を行うエンジン200から構成され、コントローラ100は、印刷データ受付部10、印刷データ解析部11、印刷方式判定部12、記憶部13、報知部14、出力制御部15から構成される。
【0026】
エンジン200は、図2に示すように、用紙格納庫に格納された印刷用紙を用紙搬送ローラにより用紙搬送路上を搬送することによって印刷機構(「両面印刷機構」ともいう)へと搬送し、当該印刷機構により印刷用紙の片面を印刷する。続けて用紙搬送路上を搬送することで片面の印刷が行われた印刷用紙の一部を排紙口から排紙させ、スイッチバックさせることで印刷用紙の印刷面を反転させるための用紙搬送路によって再度、印刷機構へと印刷用紙を搬送し、印刷が行われていない印刷面を印刷機構により印刷出力して排紙口から排紙するという印刷出力処理を行う。
【0027】
この印刷機構に収容できる印刷用紙の用紙長は、印刷出力する印刷用紙の最大用紙長(長辺)よりも小さい。図2に示すように、この印刷機構に収容できる用紙長を「Ld」とし、印刷用紙の最大用紙長を「Lp」とすると、「Lp>Ld」という関係を有する。すなわち、印刷用紙を印刷機構内に完全に収容できない状態を示している。
【0028】
このような画像形成装置において、コントローラ100の印刷データ受付部10は、通信回線を介して接続されたPC等の外部機器から印刷要求された印刷データを受け付ける。もちろん、画像形成装置内の印刷データ格納部(図示せず)に格納した状態にある印刷データをユーザインターフェースを用いて印刷要求するような構成であってもよい。
【0029】
この印刷データには印刷対象となる印刷ジョブのほか、印刷部数や色情報等の情報からなる印刷要求情報が含まれる。この印刷要求情報には、少なくとも両面印刷の有無が指定されている。
【0030】
印刷データ受付部10で受け付けた印刷データは、印刷データ解析部11へと送出され、印刷データ解析部11では、印刷要求情報に指定された各種の設定情報等を解析するほか、印刷対象の印刷ジョブの色情報を解析することによってカラー印刷若しくは白黒印刷かを判断する。もちろん、設定情報により指定された色情報により判断するような構成であってもよい。
【0031】
印刷データ解析部11による解析により、印刷要求情報に両面印刷が指定されている場合には、印刷要求された印刷データを印刷方式判定部12へと送出する。両面印刷が指定されていない場合には出力制御部15へと印刷データを送出する。
【0032】
印刷方式判定部12では、印刷データ解析部11により解析され、両面印刷が指定された印刷データを受信すると、印刷データの総印刷ページ数に基づく印刷面数を算出する。例えば、1面に対して1ページを印刷する場合には総印刷ページ数がそのまま印刷面数となり、また、1面に2ページ分の印刷データを印刷出力する場合には総印刷ページ数の半分若しくは半分+1面が印刷面数となる。
【0033】
これにより算出された印刷面数を「N」とする。
【0034】
続いて、印刷データで指定された印刷サイズに対応する印刷用紙の用紙長、用紙の厚さ等の情報を記憶部13から読み取る。一例として、記憶部13から読み取った用紙長を「L」とし、印刷用紙の厚さを「M」とする。
【0035】
この記憶部13には、図4に示すような各印刷用紙の用紙サイズに基づく処理時間情報のほか、上記のような各用紙サイズにおける最大用紙長「L」、用紙の厚さ「M」等の情報を記憶する。
【0036】
図4には、各用紙サイズに対する印刷出力時の処理時間の情報を示しており、[用紙サイズ]項目401、[Ps]項目402、[Pd]項目403、[T]項目404により構成される。
【0037】
[用紙サイズ]項目401は、印刷用紙の種類を示し、[Ps]項目402は、最大用紙長Lと用紙の厚さMに基づく印刷用紙を使用して片面印刷を行った際のスループット(単位時間当たりの仕事量)を示し、[Pd]項目403は、最大用紙長Lと用紙の厚さMに基づく印刷用紙を使用して自動両面印刷を行った際のスループット(単位時間当たりの仕事量)を示し、[T]項目404は、最大用紙長Lと用紙の厚さMに基づく印刷用紙を使用して手動両面印刷におけるユーザの加入時間期待値を示している。
【0038】
例えば、[用紙サイズ]項目401が「A4」であり、[Ps]項目402が「PsA4」であり、[Pd]項目403が「PdA4」であり、[T]項目404が「TA4_10」であるレコードは、A4の印刷用紙を用いて片面印刷を行う際のスループットが「PsA4」であり、自動両面印刷行う際のスループットが「PdA4」であり、10枚の手動セットを行う際の手動両面印刷におけるユーザの介入時間期待値が「TA4_10」であることを示している。なお、[T]項目404の「TA4_100」は、100枚の手動セットを行う際の手動両面印刷におけるユーザの介入時間期待値を示している。
【0039】
ちなみに、この「PsA4」は最大用紙長Lと用紙の厚さMを用いて「Ps(L(A4),M(A4))」とも表記でき、「PdA4」は最大用紙長Lと用紙の厚さMを用いて「Pd(L(A4),M(A4))」とも表記できる。
【0040】
このような各印刷用紙のサイズに対する処理時間情報等を記憶部13から読み取った印刷方式判定部12では、これらの情報を元に、印刷データの総印刷ページ全てを自動両面印刷で行った場合の所要時間「Tad」および手動両面印刷で行った場合の所要時間「Tmd」をそれぞれ算出する。
【0041】
これにより算出した両所要時間「Tad」、「Tmd」を元に、自動両面印刷若しくは手動両面印刷のいずれかの印刷方式による印刷出力を行うかを決定する際に用いるスレッショルド(閾値)を算出する。
【0042】
このスレッショルド(閾値)は、印刷面数によって与えられることから、印刷要求された印刷データに対する印刷面が当該スレッショルドよりも大きい場合、小さい場合によって自動両面印刷を行うか、手動両面印刷を行うかを判断する。
【0043】
この印刷方式判定部12におけるスレッショルドの詳細な算出手順を以下に示す。
【0044】
この印刷方式判定部12では、自動両面印刷若しくは手動両面印刷における印刷スループット(単位時間当たりの仕事量)により実行する印刷方式を判定する。
【0045】
なお、上記に示すように、印刷要求された印刷対象の印刷ジョブで指定された印刷ページ数における印刷面数を「N」とし、印刷する印刷用紙の用紙長を「L」とし、当該印刷用紙の厚さを「M」とする。
【0046】
この場合において、印刷ジョブの全ページを同一の印刷方式で印刷出力した場合に、全ページの印刷出力が終了するまでに要する印刷時間は以下の(数式1)および(数式2)によって表すことができる。なお、手動両面印刷を行った場合における印刷時間を「Tmd」とし、自動両面印刷を行った場合における印刷時間を「Tad」とする。
【0047】

【0048】

【0049】
以上の(数式2)に示す「T(L,M,N)」は、手動両面印刷を実行した際における演算要素(用紙長L、印刷用紙の厚さM、印刷面数N)に基づいたユーザの加入時間の期待値である。
【0050】
このようにして、自動両面印刷、手動両面印刷における所要時間(Tmd、Tad)が算出される。
【0051】
ここで、「Ps(L,M)>Pd(L,M)」が成り立つことから、ある印刷面数Nにおいて「Tmd=Tad」の関係が成り立ち、さらに、印刷面数Nが大きくなった場合には「Tmd<Tad」の関係が成り立つこととなる。
【0052】
このことから、Tmd=Tadの関係が成り立つ印刷面数をスレッショルド(閾値)として、(数式1)および(数式2)をNについて計算すると以下の(数式3)に示される関係が成立する。
【0053】

【0054】
このときの用紙長Lと用紙の厚さMとは、用紙格納庫に格納された印刷用紙により決定されることから、印刷面数Nsは、印刷出力対象の印刷ジョブにおいて一意に決定される定数となる。
【0055】
このようにして算出したスレッショルドとなる印刷面数Nsに対して、印刷要求された印刷データの印刷面数の大きいか小さいかを判定することにより自動両面印刷を行うか、手動両面印刷を行うかを決定する。
【0056】
この印刷方式判定部12により行われる印刷方式判定処理の詳細な処理の流れを図3に示し、以下で説明する。
【0057】
印刷方式判定部12によって判定された印刷方式が手動両面印刷である場合には、両面印刷に際して、ユーザの操作が必要であることを報知部14から報知する。この報知部14は、画像形成装置の表示ディスプレイのほか、印刷データの印刷要求元に対してその旨を通知するユーザーインターフェースである。
【0058】
印刷方式判定部12によって印刷方式が判定されると若しくは印刷データ解析部11によって片面印刷であると解析されると、出力制御部15では、エンジン200による印刷出力処理の形式に変換してエンジン200へと印刷ジョブを送出する。
【0059】
このとき、エンジン200では、上述する経路を搬送されることにより両面印刷、片面印刷を行い、両面印刷を行う場合には印刷方式判定部12により判定された方式にて印刷出力が行われる。
【0060】
図3は、図1に示す本発明の実施の形態における画像形成装置を構成する印刷方式判定部12によって行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0061】
図3において、解析結果とともに印刷データを受信すると処理が開始され、解析された印刷データを構成する総印刷ページ数および印刷形式に基づいて印刷面数を算出する(301)。上記に示すように、単位ページ当りの印刷ページ数により決定される。
【0062】
続いて、解析結果により示される印刷用紙サイズに基づく印刷用紙の最大用紙長、用紙の厚さ等の情報の読み出しを行い(302)、印刷データの全てのページを自動両面印刷および手動両面印刷を行った場合における所要時間をそれぞれ算出する(303)。
【0063】
この所要時間は、上記の(数式1)、(数式2)によって算出される値である。
【0064】
それぞれの所要時間が算出されると、自動両面印刷若しくは手動両面印刷のいずれかの印刷方式による印刷出力を行うかを決定する際に用いるスレッショルド(閾値)を算出する(304)。このスレッショルドは、上記の(数式3)によって与えられる値である。
【0065】
そして、印刷データの総印刷ページに基づいて算出した印刷面数が、上記のスレッショルド以上であるかを判断し(305)、スレッショルド以上の印刷面数である印刷データの場合(305でYES)には、印刷方式を手動両面印刷に決定する(306)。この手動両面印刷に決定した場合には、その旨を報知するような構成としてもよい。
【0066】
また、印刷面数がスレッショルド以上でない場合(305でNO)には、印刷方式を自動両面印刷に決定する(307)。
【実施例2】
【0067】
上記の実施例1では、印刷データの総印刷ページ数に対する印刷面数に基づく印刷方式の判定処理を行う構成であるが、本実施例2では、印刷データの総印刷ページ数の確定前に所定の印刷方式で印刷し、その後、判定処理により決定した印刷方式によって印刷出力を行う。
【0068】
本実施例2に示す構成図は、実施例1と同様、図1および図2を用いて説明する。
【0069】
図1は、本発明の実施の形態における画像形成装置および画像形成システムを適用して構成した画像形成装置の装置構成図の一例である。
【0070】
図1において、この画像形成装置は、印刷要求された印刷データの印刷制御を行うコントローラ100、コントローラ100により印刷制御された印刷データに基づいて印刷出力処理を行うエンジン200から構成され、コントローラ100は、印刷データ受付部10、印刷データ解析部11、印刷方式判定部12、記憶部13、報知部14、出力制御部15から構成される。
【0071】
エンジン200は、図2に示すように、用紙格納庫に格納された印刷用紙を用紙搬送ローラにより用紙搬送路上を搬送することによって印刷機構へと搬送し、当該印刷機構により印刷用紙の片面を印刷する。続けて用紙搬送路上を搬送することで片面の印刷が行われた印刷用紙の一部を排紙口から排紙させ、スイッチバックさせることで印刷用紙の印刷面を反転させるための用紙搬送路によって再度、印刷機構へと印刷用紙を搬送し、印刷が行われていない印刷面を印刷機構により印刷出力して排紙口から排紙するという印刷出力処理を行う。
【0072】
この印刷機構に収容できる印刷用紙の用紙長は、印刷出力する印刷用紙の最大用紙長(長辺)よりも小さい。図2に示すように、この印刷機構に収容できる用紙長を「Ld」とし、印刷用紙の最大用紙長を「Lp」とすると、「Lp>Ld」という関係を有する。すなわち、印刷用紙を印刷機構内に完全に収容できない状態を示している。
【0073】
このような画像形成装置において、コントローラ100の印刷データ受付部10は、通信回線を介して接続されたPC等の外部機器から印刷要求された印刷データを所定の描画単位で受け付ける。
【0074】
この描画単位は、エンジン200により印刷出力処理が可能なデータ単位であって、例えばページ単位や走査線1ライン単位などである。
【0075】
また、印刷データには、印刷対象となる印刷ジョブのほか、印刷部数や色情報等の情報からなる印刷要求情報が含まれる。この印刷要求情報には、少なくとも両面印刷の有無が指定されている。
【0076】
印刷データ受付部10で受け付けた所定の描画単位の印刷データは、印刷データ解析部11へと送出され、印刷データ解析部11では、印刷要求情報によって指定された各種の設定情報等を解析するほか、印刷対象の印刷ジョブの色情報を解析することによってカラー印刷若しくは白黒印刷かを判断する。もちろん、設定情報により指定された色情報により判断するような構成であってもよい。
【0077】
印刷データ解析部11による解析により、印刷要求情報に両面印刷が指定されていない場合には、印刷要求された印刷データを描画単位で出力制御部15へと印刷データを送出する。
【0078】
それに対して、印刷要求情報に両面印刷が指定されている場合には、印刷要求された印刷データのうち、先頭1ページ分の描画単位においては出力制御部15へと送出し、出力制御部15が初期情報として設定された自動両面印刷による印刷方式で、その描画単位による出力制御を行うことによりエンジン200によって印刷出力処理が行われる。
【0079】
すなわち、先頭1ページ分の描画単位がページ単位である場合には、先頭1ページを出力制御部15へと送出し、また、先頭1ページ分の描画単位が走査線1ライン単位である場合には1ラインごとに出力制御部15へと送出する。
【0080】
さらに、この印刷データ解析部11では、全印刷ページの印刷データ若しくは先頭1ページの印刷データを受信すると、印刷方式判定部12へとその印刷データを送出する。
【0081】
印刷方式判定部12では、印刷データ解析部11により解析され、両面印刷が指定された印刷データを受信すると、その印刷データの総印刷ページ数を「K」とし、自動両面印刷を行うページ数を「X」とし、印刷する印刷用紙の用紙長を「L」とし、当該印刷用紙の厚さを「M」とした場合に、印刷データ全てを印刷出力するまでに要する印刷時間「T_all」は、以下の(数式4)のようになる。
【0082】

【0083】
このとき、全印刷ページを自動両面印刷で印刷出力した場合に要する印刷時間は、

となる。
【0084】
以上の(数式4)と

を自動両面印刷を行うページ数「X」を元に演算すると、以下の(数式5)となる。
【0085】

【0086】
すなわち、この「Ns2」の値が、自動両面印刷と手動両面印刷の切替を行う印刷データの印刷ページ数となる。なお、「Ns」の値は、上記の実施例1で(数式3)によって算出した値である。
【0087】
このとき、印刷実行中に総印刷ページ数「K」が決定し、印刷出力処理が継続していることによって「X>Ns2」という関係が成り立っていることがある。
【0088】
この場合における判定処理の詳細な流れを図5に示す。
【0089】
図5において、印刷要求された印刷データが両面印刷での印刷出力が指定されているかを判断し(501)、両面印刷が指定されていない場合(502でNO)には、まず印刷データの先頭1ページ目を片面印刷で印刷出力処理を行う(505)。
【0090】
また、両面印刷での印刷出力が指定されている場合(501でNO)には、続いて、上記の(数式5)に示す「Ns2」の値を算出した状態にあるかを判断する(502)。印刷データの先頭1ページ目を受信した状態では算出していない(502でNO)と判断し、この場合、続いて印刷データの総印刷ページ数が確定しているかを判断する(507)。
【0091】
総ページ数が確定している場合(507でYES)には、上記に示すような処理により、自動両面印刷と手動両面印刷の切替を行う印刷データの印刷ページ数「Ns2」を算出する(508)。この「Ns2」の算出に際して、図3に示すような処理により(数式3)に示すスレッショルド「Ns」を算出し、この「Ns」の値を用いて「Ns2」を確定する。
【0092】
このようにして「Ns2」の値が算出して確定すると、再度、「Ns2」の値が算出されたかを判断するステップ502以降の処理を実行する。
【0093】
なお、総印刷ページ数が確定していない場合(507でNO)には、1ページ分の印刷出力を行う(505)。
【0094】
そして、ステップ502の処理で、上記の(数式5)に示す「Ns2」の値を算出した状態にあると判断する場合(502でYES)には、算出した「Ns2」が自動両面印刷を行う印刷ページ数として算出した「X」と同一であるかを判断する(503)。
【0095】
同一であると判断されない場合(503でNO)には、初期情報として設定された自動両面印刷による印刷方式を継続することによって印刷出力を行う(505)。
【0096】
また、同一であると判断される場合(503でYES)には、(数式5)によって算出した自動両面印刷と手動両面印刷の切替を行う印刷データの印刷ページであることから、初期情報として設定された自動両面印刷の印刷方式から手動両面印刷の印刷方式へ切替を行う(504)。
【0097】
そして、切り替えられた手動両面印刷によって印刷出力を行う(505)。
【0098】
このようにして印刷出力されたページが印刷データで指定された最終ページであるかを判断して(506)、最終ページではなく次ページ以降もある場合(506でNO)には、再度ステップ501以降の処理を繰り返し行う。また、最終ページである場合(506でYES)には、処理を終了する。
【0099】
以上に示す実施の形態は、本発明の実施の一形態であって、これらの実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0100】
なお、本発明は、通信機能を備えた画像形成システムで上述の動作を実行させ、あるいは上述の手段を構成させるためのプログラムを格納した記録媒体(CD−ROM、DVD−ROM等)から該プログラムをコンピュータにインストールし、これを実行させることにより、上述の処理を実行する画像形成システムを構成することも可能である。画像形成システムを構成するコンピュータは、システムバスを介してCPU(Central Processor Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクが接続されている。CPUは、ROMまたはハードディスクに記憶されているプログラムに従い、RAMを作業領域にして処理を行う。
【0101】
また、プログラムを供給するための媒体は、通信媒体(通信回線、通信システムのように一時的または流動的にプログラムを保持する媒体)でもよい。例えば、通信ネットワークの電子掲示板(BBS:Bulletin Board Service)に該プログラムを掲示し、これを通信回線を介して配信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0102】
10 印刷データ受付部
11 印刷データ解析部
12 印刷方式判定部
13 記憶部
14 報知部
15 出力制御部
100 コントローラ
200 エンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体の第1の印刷面を印刷出力し、搬送路を利用して当該印刷媒体の印刷面を反転させて第2の印刷面を印刷出力することにより両面印刷の制御を行う両面印刷制御手段と、
両面印刷による印刷要求が行われた印刷データの総印刷頁数に対する印刷面数を算出する印刷面数算出手段と、
前記印刷面数算出手段によって算出された印刷面数全てを前記両面印刷制御手段による制御により両面印刷した場合に要する両面印刷処理時間を算出する両面印刷時間算出手段と、
前記第1の印刷面の印刷出力と前記第2の印刷面の印刷出力との複合印刷によって前記印刷面数算出手段により算出された印刷面数の印刷面全てを印刷出力した場合に要する複合印刷処理時間を算出する複合印刷時間算出手段と、
前記両面印刷時間算出手段によって算出した前記両面印刷処理時間と前記複合印刷時間算出手段によって算出した複合印刷処理時間とが同一若しくは近似する前記印刷面数を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定した印刷面数に基づいて前記印刷データの印刷方式を決定する印刷方式決定手段と
を具備する画像形成装置。
【請求項2】
印刷出力における処理単位ごとに前記印刷データを順次、両面印刷する両面印刷手段
を具備し、
前記印刷面数算出手段は、
前記印刷単位で印刷対象の全印刷データを受信することにより前記印刷面数を算出し、
前記複合印刷時間算出手段は、
前記印刷面数算出手段で算出した印刷面数の印刷面全てを前記複合印刷によって印刷出力した場合に要する複合印刷処理時間を算出し、
前記特定手段は、
前記両面印刷時間算出手段によって算出した前記両面印刷処理時間と前記複合印刷時間算出手段によって算出した複合印刷処理時間とが同一若しくは近似する前記印刷面数を特定し、
前記印刷方式決定手段は、
前記両面印刷手段によって印刷出力が完了した印刷面数と前記特定手段によって特定した印刷面数に基づいて前記印刷データの印刷方式を決定する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印刷データの総印刷頁数が前記特定手段によって特定した印刷面数以上となる場合に、前記印刷データの印刷方式を前記両面印刷手段による両面印刷から前記複合印刷による両面印刷に切り替えを行う印刷方式切替手段
を更に具備する請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷方式決定手段は、
前記印刷面数算出手段によって算出した印刷面数と前記特定手段によって特定した印刷面数との対比結果により、前記両面印刷手段を用いて両面印刷を行うか若しくは前記複合印刷を行うかを決定する請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷方式決定手段は、
前記印刷面数算出手段によって算出した印刷面数が前記特定手段によって特定した印刷面数よりも小さい場合に、前記両面印刷手段を用いて両面印刷を行うことを決定する請求項2または4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
情報処理装置と、
前記情報処理装置から受信した両面印刷が指定された印刷データを印刷出力する画像形成装置と
を具備し、
前記画像形成装置は、
印刷媒体の第1の印刷面を印刷出力し、搬送路を利用して当該印刷媒体の印刷面を反転させて第2の印刷面を印刷出力することにより両面印刷の制御を行う両面印刷制御手段と、
両面印刷による印刷要求が行われた印刷データの総印刷頁数に対する印刷面数を算出する印刷面数算出手段と、
前記印刷面数算出手段によって算出された印刷面数全てを前記両面印刷制御手段による制御により両面印刷した場合に要する両面印刷処理時間を算出する両面印刷時間算出手段と、
前記第1の印刷面の印刷出力と前記第2の印刷面の印刷出力とを複合印刷することにより前記印刷面数算出手段によって算出された印刷面数全てを印刷出力した場合に要する複合印刷処理時間を算出する複合印刷時間算出手段と、
前記両面印刷時間算出手段によって算出した前記両面印刷処理時間と前記複合印刷時間算出手段によって算出した複合印刷処理時間とが同一若しくは近似する前記印刷面数を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定した印刷面数に基づいて前記印刷データの印刷方式を決定する印刷方式決定手段と
を具備する画像形成システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−211050(P2010−211050A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58307(P2009−58307)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】