説明

画像形成装置および画像形成システム

【課題】印刷処理を一時停止するようなエラーが発生した場合でも、生産性の低下を防止する。
【解決手段】MFP20のメインCPU200は、クライアントPC10から送信されたプリントジョブJBの出力処理においてエラーが検出された場合(S102)、そのエラーがトナーや用紙不足等の継続プリント可能なNG条件であるか否かを判断する(S106)。継続プリント可能なNG条件である場合、クライアントPC10からマシン状態を取得し、クライアントPC10が稼動状態か非稼動状態であるかを判断する(S112)。クライアントPCが非稼動状態であると判断した場合には、飛び越しモードを実行する(S114)。飛び越しモードでは、エラーが発生したプリントジョブJB以降のプリントジョブJBの優先順位を変更し、変更したプリントジョブJBを優先的に処理する。これにより、タイムダウンの低減を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式またはインクジェット方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ、またはこれらの機能を有するデジタル複合機等の画像形成装置および画像形成システムに関する。詳しくは、ジョブの出力処理時にエラーが発生した場合に、送信元の情報処理装置の稼動状態を検出し、この情報処理装置が非稼動状態である場合には飛び越しモードを実行して、エラー発生したジョブ以降の他のジョブの優先順位を変更することにより、タイムダウンの低減を図るものである。
【背景技術】
【0002】
オフィス等においては、プリンタやスキャナー、コピー機、FAX等の複数の機能を兼ね備えたMFP(Multifunction Peripheral:多機能周辺装置)が広く利用されている。MFPには、LAN等のネットワークを介して複数のクライアントPCが接続されており、各クライアントPCからは、ユーザの印刷要求に基づく複数のプリントジョブがMFPに送信される。MFPは、クライアントPCから複数のプリントジョブを受信し、受信した順番でプリント出力を行う。
【0003】
このとき、MFP側において、クライアントPCから送信されたプリントジョブで要求される、指定トナーが不足していたり、指定サイズ用紙が不足している等の場合には、印刷を継続して行うことができないので、印刷処理を一次的に停止しなければならなかった。この場合には、プリントジョブの送信元のユーザによって、指定トナーの交換や指定サイズ用紙の補給が行われるまで、MFPが非稼動状態となってしまい、印刷の生産性が低下(タイムダウン)してしまうという問題が発生する。
【0004】
このタイムダウンを低減させるために、例えば、MFP側で、指定トナー不足や指定サイズ用紙不足等のエラーを検出し、エラー検出結果が重大エラーである場合に、送信元のクライアントPCに対して重大エラーが発生していることを警告する旨の電子メールを送信するプリンタ装置が提案されている(特許文献1参照)。このプリンタ装置によれば、送信元コンピュータ側のユーザがプリンタ装置側で発生したエラーを簡単に把握することができ、早期に用紙やトナーの補給を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−202509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されるプリンタ装置では以下のような問題がある。すなわち、クライアントPCが置かれたディスクからユーザが離席中であったり、ディスクにおいてPC処理以外の仕事を行っている場合には、プリンタ装置側からクライアントPC側にエラー発生を警告する電子メールが送信されたとしても、この電子メールに気が付かない場合がある。この場合には、復旧作業が行われないので、結果としてMFPの非稼動状態が続いてしまい、タイムダウンを低減させることができないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、印刷処理を一時停止するようなエラーが発生した場合でも、生産性の低下を防止することが可能な画像形成装置および画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、ネットワークを介して情報処理装置が接続された画像形成装置であって、情報処理装置から送信されるジョブを受信する通信部と、通信部により受信されたジョブを出力する出力部と、出力部においてジョブのエラーが発生したか否かを検出する検出部と、ジョブの出力処理において検出部によりエラーが検出された場合、情報処理装置の稼動状態を確認するための稼動状態取得要求を当該情報処理装置に送信し、稼動状態取得要求に応じて情報処理装置から送信された当該情報処理装置の稼動情報に基づいて、ジョブ以降に通信部により受信された他のジョブの優先順位を変更する制御部とを備えるものである。
【0009】
また、本発明に係る画像形成システムは、ネットワークを介して互いに接続された情報処理装置と画像形成装置とを備えた画像形成システムであって、情報処理装置が、当該情報処理装置を制御する第1の制御部と、当該情報処理装置を特定するための識別情報を含むジョブを画像処理装置に送信すると共に、画像形成装置から送信される当該情報処理装置の稼動状態を示す稼動情報を取得するための稼動状態取得要求を受信する通信部と、通信部により受信された稼動状態取得要求に基づいて当該情報処理装置の稼動状態を第1の制御部から検出し、検出により得られた当該稼動状態に基づく稼動情報を通信部を介して画像形成装置に送信する第2の制御部とを有し、画像形成装置が、情報処理装置の通信部から送信されるジョブを受信する通信部と、通信部により受信されたジョブを出力する出力部と、出力部においてジョブのエラーが発生したか否かを検出する検出部と、ジョブの出力処理において検出部によりエラーが検出された場合、情報処理装置の稼動状態を確認するための稼動状態取得要求を当該情報処理装置の第2の制御部に送信し、稼動状態取得要求に応じて情報処理装置から送信された稼動情報に基づいて、ジョブ以降に通信部で受信された他のジョブの優先順位を変更する制御部とを有するものである。
【0010】
本発明において、情報処理装置は、プリント等のジョブをネットワークを介して画像形成装置に送信する。画像形成装置の制御部では、ジョブの出力部での出力処理において検出部によりエラーが検出された場合、情報処理装置の稼動状態を確認するための稼動状態取得要求を情報処理装置の第2の制御部に送信する。出力部でのエラーとしては、例えば、トナー不足や用紙サイズの不足等の画像形成条件に満たしていない場合が挙げられる。情報処理装置の第2の制御部は、稼動状態取得要求に基づいて第1の制御部から当該情報処理装置の稼動状態を検出し、この稼動状態を示す稼動情報を画像形成装置に送信する。
【0011】
画像形成装置の通信部では、情報処理装置から稼動情報を受信する。画像形成装置の制御部は、通信部で受信された稼動情報に基づいて、情報処理装置が稼動状態であるか否かを判断する。情報処理装置が稼動状態でないと判断した場合、エラーにより出力不可能と判断されたジョブ以降に通信部で受信された他のジョブの優先順位を変更する。例えば、エラー発生したジョブよりも他のジョブの優先順位を上げて処理する。他のジョブには、例えば、エラー発生したジョブを送信した情報処理装置からのジョブや、この情報処理装置とは異なる他の情報処理装置から送信されるジョブが含まれている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所定の情報処理装置から送信されるジョブの出力処理においてエラーが発生した場合でも、エラーが発生したジョブとは異なる他のジョブの優先順位を変更するので、タイムダウンの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成システムの構成の一例を示す図である。
【図2】クライアントPCのブロック構成の一例を示す図である。
【図3】MFPのブロック構成の一例を示す図である。
【図4】ジョブリストの構成の一例を示す図である。
【図5】飛び越しモードを実行する場合におけるクライアントPCとMFPとの間のシーケンス状態を示す図である。
【図6】MFPの動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成システムの動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明する。
<1.第1の実施の形態>
[画像形成システムの構成例]
図1は、本発明に係る画像形成システムGSの構成の一例を示している。図1に示すように、画像形成システムGSは、複数のクライアントPC10A,10B,10C,10D,10Eと、プリンタやスキャナー、コピー機、FAX等の機能を兼ねた複数のMFP20A,20Bとを備えている。複数のクライアントPC10A,10B,10C,10D,10Eと複数のMFP20A,20Bとは、インターネットやLAN(イントラネット)等で構成されるネットワーク30を介して互いに接続されている。なお、以下の説明では、複数のクライアントPC10A,10B,10C,10D,10Eを便宜上クライアントPC10と呼び、複数のMFP20A,20Bを便宜上MFP20と呼ぶ場合もある。
【0015】
クライアントPC10は、情報処理装置の一例であり、表示部に表示されるジョブ選択画面でのユーザの選択に基づくプリントジョブJBを生成し、この生成したプリントジョブJBをネットワーク30を介してMFP20に送信する。MFP20は、画像形成装置の一例であり、クライアントPC10から送信されたプリントジョブJBに基づいて印刷処理を行う。本発明においてMFP20は、プリントジョブJBで要求されている指定トナーの不足や指定用紙サイズの不足、用紙詰まり(ジャム)等によりエラーが発生した場合、クライアントPC10の稼動状態を示すマシン情報Dm(図5参照)を取得し、取得したマシン情報Dmに基づいてクライアントPC10が非稼動状態であるか否かを判断する。MFP20は、クライアントPC10が非稼動状態であると判断した場合、動作モードを通常の印刷モードから飛び越しモードに切り替える。飛び越しモードでは、現在エラーが発生しているプリントジョブJBの優先順位を下げると共に、優先順位が2番目以降の他のプリントジョブJBの優先順位を繰り上げてプリント処理を実行することでタイムダウンを回避する。
【0016】
ここで、プリントジョブJBには、各クライアントPC10を特定(識別)するための固有のIPアドレス(識別情報)とジョブ設定情報とが含まれている。ジョブ設定情報とは、各プリントジョブJBについて設定される画像形成条件であり、例えば、画像形成処理において使用する用紙サイズや、トナー、画像の濃度、縮小率、印刷面(両面又は片面)、給紙を行う給紙トレイ、排紙を行う排紙トレイ等を指定するための各種情報を含んでいる。また、他のプリントジョブJBには、エラー発生したプリントジョブJB以降に、エラー発生したプリントジョブJBの送信元のクライアントPC10やこのクライアントPCとは異なるクライアントPCから送信されるプリントジョブJBが含まれている。
【0017】
[クライアントPCのブロック構成例]
図2は、クライアントPC10Aのブロック構成の一例を示している。なお、クライアントPC10B,10C,10D,10Eの構成は、クライアントPC10Aの構成と同一であるため説明を省略する。クライアントPC10Aは、メインCPU(Central Processing Unit)100とチップセット102とシステムメモリ106とHDD(Hard Disk Drive)108とネットワークインタフェース110とを備えている。
【0018】
メインCPU100は、第1の制御部の一例を構成し、サブCPU104の上位のCPUとして機能してクライアントPC10Aの全体の動作を制御するものであり、図示しないROM(Read Only Memory)に記憶されているプログラムを実行して所定の処理を行う。メインCPU100は、ユーザの印刷要求に応じて、用紙サイズやトナー等の所定の画像形成条件が設定されたプリントジョブJBを生成してネットワークインタフェース110を介してMFP20に送信する。また、メインCPU100は、動作モードが例えばスリープモードやスタンバイモード、休止モードに切り替わったときに動作を停止することで省電力化を図る。
【0019】
チップセット102は、メインCPU100とシステムメモリ106との間に設けられ、これらの間でのデータの受け渡しを管理する回路群で構成されている。このチップセット102は、メインCPU100と独立に動作可能なサブCPU104を有している。サブCPU104は、第2の制御部の一例を構成し、メインCPU100の管理下にはなく、図示しないROM等に格納されているプログラム(ファームウェア等)によって独自に動作する。サブCPU104は、スリープモードやスタンバイモード、休止モード等の動作モードの切り替えによってメインCPU100の動作が停止した場合でも、図示しない電源部から電力が供給されて動作する。また、サブCPU104は、MFP20からクライアントPC10Aの稼動または非稼動を確認するためのマシン状態取得要求Dwが送信されると、メインCPU100からクライアントPC10Aの稼動状態を検出し、検出により得られた稼動状態に基づくマシン情報DmをMFP20に送信する。例えば、メインCPU100の動作がスリープモード等により停止していると判断した場合には非稼動状態を示すマシン情報Dmを生成し、メインCPU100が通常の動作モードで動作していると判断した場合には稼動状態を示すマシン情報Dmを生成する。
【0020】
システムメモリ106は、例えば不揮発性の半導体メモリからなるRAM(Random Access Memory)で構成され、メインCPU100等のワークエリアとして用いられる。HDD108は、読み取り装置によりスキャンされた文書や画像データ、表示部の画面上に表示されるジョブ選択画面やジョブリスト画面等に基づく画像データ等を記憶する。ネットワークインタフェース110は、通信部の一例であり、NIC(Network Interface Card)やモデム等で構成され、ネットワーク30を介してMFP20A,20Bと通信を確立する。
【0021】
[画像形成装置のブロック構成例]
図3は、MFP20Aのブロック構成の一例を示している。MFP20Bの構成は、MFP20Aの構成と同一であるため説明を省略する。図3に示すように、MFP20Aは、メインCPU200とチップセット202とシステムメモリ206とHDD208とネットワークインタフェース210と出力部220と検出部230とを備えている。
【0022】
メインCPU200は、制御部の一例を構成し、MFP20Aの全体の動作を制御するものであり、図示しないROMに記憶されているプログラムを実行して所定の処理を行う。メインCPU200は、トナー検出部232や用紙検出部234等から出力される検出信号に基づいて出力処理においてエラーが発生したか否かを判断する。また、本発明においてメインCPU200は、クライアントPC10Aから送信されるプリントジョブJBで要求されている指定トナー等の不足によりエラーが発生した場合であって、かつ、クライアントPC10が非稼動状態である場合、動作モードを通常の印刷モードから飛び越しモードに切り替えて、クライアントPC10Aからの他のプリントジョブJBや、他のクライアントPC10B,10C,10D,10Eから送信されるプリントジョブJBの優先順位を変更する。
【0023】
チップセット202は、メインCPU200とシステムメモリ206との間に設けられ、これらの間でのデータの受け渡しを管理する回路群で構成されている。このチップセット202は、メインCPU200と独立に動作可能なサブCPU204を有している。サブCPU204は、メインCPU200の管理下にはなく、図示しないROM等に格納されているプログラム(ファームウェア等)によって独自に動作する。なお、本例では、クライアントPC10の稼動状態を確認するためのマシン状態取得要求Dwの送信等をメインCPU200が行っているが、サブCPU204が行うこともできる。
【0024】
システムメモリ206は、例えば不揮発性の半導体メモリからなるRAMで構成され、メインCPU200等のワークエリアとして用いられる。HDD208は、クライアントPC10から送信されるプリントジョブJBや、このプリントジョブJBに基づくジョブリストLS、表示部の画面上に表示される操作画面等に基づく画像データ等を記憶する。ネットワークインタフェース210は、通信部の一例であり、NICやモデム等で構成され、ネットワーク30を介して複数のクライアントPC10B,10C,10D,10Eのそれぞれと通信を確立する。
【0025】
出力部220は、給紙部222および画像形成部224等を有している。給紙部222は、複数の用紙トレイおよび送り出しローラ等から構成されている。各用紙トレイのそれぞれには、A4サイズ、A3サイズ、B5サイズ等の用紙が収容されており、用紙トレイから送り出しローラ等によって送り出された用紙は、画像形成部224に搬送される。
【0026】
画像形成部224は、感光体ドラムや露光部、帯電部、現像部等から構成されている。帯電部は感光体ドラム表面を帯電させる。露光部は、データに基づく光を感光体ドラム表面に照射して静電潜像を形成する。現像部は、感光体ドラムの静電潜像に基づいてトナーを付着させて現像し、そのトナー像を一次転写ローラ、二次転写ベルトを介して紙媒体に転写して定着部により定着させる処理を行う。現像部には、2成分現像剤のトナーとキャリアと混合された現像剤が収容されている。
【0027】
検出部230は、トナー検出部232と用紙検出部234とを有している。トナー検出部232は、画像形成部224を構成する現像部の近傍に設置され、例えば、現像剤(キャリア)の透磁率に基づく特性を検出し、この検出に基づく特性を電圧値としてチップセット202を介してメインCPU200に出力する。具体的には、現像部に収容されているトナーの濃度が高いときに低い電圧値をメインCPU200に出力し、現像部に収容されているトナーの濃度が低いときに高い電圧値をメインCPU200に出力する。
【0028】
用紙検出部234は、給紙部222を構成する各給紙トレイに設置されている。用紙検出部234は、各給紙トレイに積載されている用紙の例えば高さ等を検出して検出信号をチップセット202を介してメインCPU200に出力する。メインCPU200ではこの検出信号に基づいて給紙トレイに積載されている用紙の残量を把握する。
【0029】
[ジョブリストの構成例]
図4は、MFP20のHDD208に記憶されるジョブリストLSの構成の一例を示している。ジョブリストLSには、各クライアントPCから送信される複数のプリントジョブJBに対応したジョブ情報が、受信順(投入順)に順位付けられて保存されている。各ジョブ情報は、例えば、ユーザ名、ジョブID、モード名、ジョブの処理状態およびジョブ投入日時等の複数の項目から構成されている。本発明においては、飛び越しモードが実行されると、プリントジョブJBの優先順位が変更される。例えば、現在出力中のプリントジョブJB1以降の、予約中のプリントジョブJB2,JB3・・・の優先順位が繰り上げされる。
【0030】
[飛び越しモードのシーケンス例]
図5は、飛び越しモードを実行する場合のクライアントPC10とMFP20との間のシーケンス状態を示している。クライアントPC10は、ユーザの印刷要求に基づいたプリントジョブJBをMFP20に送信する。MFP20のメインCPU200は、クライアントPC10から送信されるプリントジョブJBが何らかのエラーにより印刷不可能であると判断した場合、クライアントPC10が稼動状態か、非稼動状態であるかを確認するためのマシン状態取得要求Dwを生成する。ネットワークインタフェース210は、生成したマシン状態取得要求DwをクライアントPC10に送信する。
【0031】
クライアントPC10のネットワークインタフェース210は、MFP20から送信されたマシン状態取得要求Dwを受信してサブCPU104に供給する。サブCPU104は、MFP20から送信されたマシン状態取得要求Dwに基づいて、メインCPU100(クライアントPC10)の稼動状態を検出し、検出により得られたメインCPU100の稼動状態または非稼動状態に基づくマシン情報Dmを生成する。そして、クライアントPC10のネットワークインタフェース110は、生成したマシン情報DmをMFP20に送信する。
【0032】
MFP20のネットワークインタフェース210は、クライアントPC10から送信されたマシン情報Dmを受信してメインCPU200に供給する。メインCPU200は、クライアントPC10から送信されたマシン情報Dmに基づいてクライアントPC10が稼動状態であるか、または、非稼動状態であるかを判断する。そして、MFP20は、クライアントPC10が非稼動状態であると判断した場合、動作モードを飛び越しモードに切り替えて、プリントジョブJBの優先順位を変更する。
【0033】
[画像形成システムの動作例]
以下では、MFP20AがクライアントPC10AからプリントジョブJB1を受信した場合における、画像形成システムGSの印刷処理の動作の一例について説明する。図6は、MFP20Aの動作の一例を示すフローチャートである。
【0034】
図6に示すように、ステップS100でMFP20AのメインCPU200は、クライアントPC10Aから送信されるプリントジョブJB1を受信する。そして、メインCPU200は、受信したプリントジョブJB1のジョブ情報をジョブリストLSに順番に記憶すると共に、プリントジョブLB1からクライアントPC10AのIPアドレスを取得してHDD208に保存する。MFP20Aでは、プリントジョブJB1以降にも他のクライアントPC10B等からのプリントジョブJB2・・・が送信され、投入された順番にプリントジョブJB毎のジョブ情報をジョブリストLSに保存する。
【0035】
ステップS102でメインCPU200は、クライアントPC10Aから受信したプリントジョブJB1が正常に印刷可能か否かを判断する。例えば、メインCPU200は、トナー検出部232から供給される検出信号に基づいてプリントジョブJB1で要求されている指定トナーが不足していないか判断したり、用紙検出部234から供給される検出信号に基づいてプリントジョブJB1で要求されている指定用紙サイズが不足していないか否かを判断する。また、画像形成部224や排紙部等においてジャムが発生していないか否かを判断する。メインCPU200は、エラーを検出した場合にはプリントジョブJB1を正常に出力不可能でないと判断してステップS106に進む。一方、エラーが検出されず、プリントジョブJB1を正常に出力可能であると判断した場合にはステップS104に進む。
【0036】
ステップS104でメインCPU200は、プリントジョブJB1が正常に出力可能であると判断した場合には、プリント出力を行う。具体的には、ジョブ設定条件で指定される用紙を給紙部222の所定の給紙トレイから搬出し、画像形成部224にて所定のトナー像を用紙に転写し、定着部によりトナー像を用紙に定着させた後に排出部から排出する。
【0037】
ステップS106でメインCPU200は、プリントジョブJB1が正常に出力できないと判断したときには、正常に出力できない理由がプリント出力可能なNG条件であるか否かを判断する。具体的には、プリントジョブJB1を正常にプリント出力できない理由が、指定トナー不足や指定用紙サイズ不足であって、他のトナーや用紙サイズが指定されたらプリント出力が継続可能である場合には、プリント出力可能なNG条件であると判断してステップS112に進む。一方、プリントジョブJB1を正常にプリント出力できない理由が、ジャム等であって、復旧作業が行われない限り、他のプリントジョブJBが受信されたとしてもプリント出力が不可能である場合には、プリント出力可能なNG条件でないと判断してステップS108に進む。
【0038】
継続プリントが不可能であると判断した場合、ステップS108でメインCPU200は、プリントジョブJB1を送信したクライアントPC10Aに対して、MFP20Aの出力処理においてエラーが発生した旨の電子メールを送信する。このとき、メインCPU200は、システムメモリ206に保存されているクライアントPC10AのIPアドレスを取得し、この取得したIPアドレスに基づいてプリントジョブJB1を送信したクライアントPC10Aに電子メールを送信する。
【0039】
ステップS110でメインCPU200は、MFP20Aがエラー状態から復帰したか否かを判断する。例えば、電子メールを読んだクライアントPC10AのユーザがMFP20Aのジャム等の復旧作業を行った場合には、メインCPU200はMFP20Aがエラー状態から復帰したと判断してステップS104に進む。ジャム等のエラーが解消したか否かは、例えば画像形成部224や排紙部等に設置されたセンサから出力される出力信号により判断できる。そして、ステップS104で、プリントジョブJB1に基づくプリント出力が行われる。一方、MFP20Aがエラー状態から復帰していないと判断した場合には、プリント出力を行うことができないので、エラー状態が復帰するまで待機状態となる。
【0040】
ステップS106で継続プリントが不可能であると判断した場合、ステップS112でメインCPU200は、クライアントPC10Aのマシン状態が稼動状態であるか、または非稼動状態であるかを判断する。マシン状態の判断は、上述したように、マシン状態取得要求Dwに応じてクライアントPC10AのサブCPU104から返信されるマシン情報Dmに基づいて行う。クライアントPC10Aが稼動状態であると判断した場合にはステップS108に進み、クライアントPC10AにMFP20Aでエラーが発生した旨の電子メールを送信する。これは、クライアントPC10Aが稼動状態である場合には、ユーザがクライアントPC10Aの前に座ってクライアントPC10Aの操作をおこなっている可能性が高いからである。一方、クライアントPC10Aが非稼動状態であると判断した場合にはステップS114に進む。
【0041】
クライアントPC10Aが非稼動状態である場合、ステップS114でメインCPU200は、飛び越しモードを実行する。例えば、クライアントPC10A以外のクライアントPC10BからプリントジョブJB2がMFP20Aに送信されている場合には、プリントジョブJB2の優先順位を変更して、クライアントPC10AのプリントジョブJB1よりもクライアントPC10BのプリントジョブJB2の優先順位を上げる制御を行う。
【0042】
ステップS116でメインCPU200は、優先順位を変更したプリントジョブJB2が正常出力可能であるか否かを判断する。正常出力可能か否かの判断は、エラー発生しているプリントジョブJB1のジョブ設定条件のうちエラー発生原因となったジョブ設定条件と、優先順位を上げたプリントジョブJB2のジョブ設定条件とが同一であるか否かにより判断する。これは、例えば、優先順位を上げたプリントジョブJB2で指定される用紙サイズや指定トナーが、プリントジョブJB1でのエラー発生の要因となった指定用紙サイズや指定トナーと同一である場合には、再度エラーが発生してしまい、プリントジョブJB1を正常に出力することができないからである。
【0043】
メインCPU200は、優先順位を変更したプリントジョブJB2が正常出力可能であると判断した場合には、ステップS104でプリントジョブJB2に基づく印刷処理を行う。
【0044】
一方、メインCPU200は、優先順位を変更したプリントジョブJB2が正常出力可能でないと判断した場合には、プリントジョブJB2以降のプリントジョブJB3の優先順位を変更して、このプリントジョブJB3が正常出力可能であるか否かを判断する。そして、プリントジョブJB3が正常出力可能であると判断した場合にはプリント処理を行い、正常出力可能でないと判断した場合には、プリントジョブJB3以降のプリントジョブJB4の優先順位を変更して、上述した処理と同様の処理を行う。なお、このとき、最初にエラー発生したプリントジョブJB1のエラー復旧作業が行われたと判断した場合には、プリントジョブJB1を現在処理しているプリントジョブJBに前に割り込ませて、プリント処理を実行しても良い。
【0045】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、所定のクライアントPC10からのプリントジョブJBの出力処理においてエラーが発生した場合でも、エラーが出力を継続できないジャム等の理由でなく、かつ、そのクライアントPC10が非稼動状態であるときには、飛び越しモードを実行して、エラーが発生していない他のプリントジョブJBの優先順位を上げて印刷処理を実行する。これにより、ユーザが離席中や他の仕事を行っているような場合(非稼働中)でも、MFP20を一時停止させることなく、他のプリントジョブJBを実行できるので、タイムダウンの低減を図ることができる。例えば、省エネルギー化の推進により、一定期間操作が行われていないと直ぐに、スリープモードやスタンバイモードに切り替わって、非稼動状態となってしまうように設定されたクライアントPC10を使用する場合であっても、本発明の飛び越しモードを適用することで、タイムダウンの低減を図ることができる。
【0046】
<2.第2の実施の形態>
第2の実施の形態では、クライアントPC10が稼動状態の場合でも、一定期間復旧作業が実施されない場合には飛び越しモードを適用する点において、上記第1の実施の形態のMFP20の動作と異なっている。なお、その他の画像形成システムGSの構成および動作は、上記第1の実施の形態と同様であるため、共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0047】
[画像形成装置の動作例]
図7は、本発明の第2の実施の形態に係るMFP20Aの動作の一例を示すフローチャートである。なお、図7に示すステップS118以外のステップは、上記第1の実施の形態の図6で説明したMFP20Aのステップの内容と同様なので、省略または簡略化して説明する。
【0048】
図7に示すように、ステップS110でメインCPU200は、MFP20Aがエラー状態から復帰したか否かを判断する。例えば、メインCPU200は、ユーザによりジャム等のエラー復旧作業が行われ、給紙部222に設置された用紙検出部234や排紙部等に設置されたセンサ等からエラー復旧を示す検出信号が供給された場合には、MFP20Aがエラー状態から復帰したと判断して、ステップS104に進む。そして、ステップS104では、プリントジョブJB1に基づくプリント出力を行う。一方、エラー復旧を示す検出信号が供給されない場合であって、クライアントPC10Aにメールを送信した時点から予め設定した復旧待機時間が経過したと判断した場合には、MFP20Aがエラー状態から復帰していないと判断してステップS118に進む。復旧待機時間は、MFP20Aに設けられた図示しない入力部により、任意の時間を設定できるようになっている。
【0049】
ステップS118でメインCPU200は、再度、プリントジョブJB1を正常に出力できない理由がプリント出力可能なNG条件に該当するか否かを判断する。例えば、ステップS106でジャム等の理由により特定のNG条件に該当しないと判断されている場合には、ステップS118においても特定のNG条件に該当しないと判断する。この場合には、ユーザによる復旧作業が行われない限り、プリントジョブJB1を実行することができないので、クライアントによる復旧作業が行われるまで待機する。一方、ステップS106でトナー不足や用紙サイズ不足等の理由により、特定のNG条件に該当すると判断されている場合には、ステップS118においても特定のNG条件に該当すると判断して、ステップS114に進む。
【0050】
ステップS114でメインCPU200は、飛び越しモードを実行する。これは、エラー発生をメールでクライアントPC10Aに送信した場合でも、ユーザがメールに気付かずに、いつまでも復旧作業が行われない場合があるからである。そのため、このような場合には、クライアントPC10A以外のクライアントPC10B,10C・・・等から送信された他のプリントジョブJB2の優先順位を上げてプリント処理を実行する。
【0051】
ステップS116でメインCPU200は、優先順位を変更したプリントジョブJB2が正常出力可能であるか否かを判断する。例えば、エラー発生しているプリントジョブJB1のジョブ設定条件のうちエラー発生原因となったジョブ設定条件と、優先順位を上げたプリントジョブJB2のジョブ設定条件とが同一である場合には、エラーが再度発生してプリントジョブJB2を正常に出力することができないので、一連の飛び越しモードを終了する。このとき、上述したように、プリントジョブJB2以降の優先順位を変更し、優先順位を変更した例えばプリントジョブJB3が正常出力可能であるか否かを判断しても良い。一方、メインCPU200は、優先順位を変更したプリントジョブJB2が正常出力可能であると判断した場合には、ステップS104に進み、優先順位を上げたプリントジョブJB2に基づいたプリント出力を行う。
【0052】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、クライアントPC10Aにエラーを知らせるメールを送信したにも係らず、エラー状態の復旧作業が行われない場合でも、そのプリントジョブJBがトナー不足や用紙サイズ不足等の特定のNG条件に該当するときには飛び越しモードを実行して、他のプリントジョブJBの優先順位を上げるように制御する。これにより、いつまでもエラー発生したプリントジョブJBの復旧作業が行われない場合においても、他のプリントジョブJBのプリント処理を実行できるので、よりMFP20のタイムダウンの低減を図ることができる。
【0053】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。上記の実施の形態では、MFP20の内部で発生したエラーを検出した場合に飛び越しモードを適用する例について説明したが、これに限定されることはない。例えば、MFP20の前段に接続される大容量給紙装置において指定用紙の不足によるエラーが発生した場合や、MFP20の後段に接続される後処理装置においてステープル処理や穴あけ処理でエラーが発生した場合にも本発明の飛び越しモードを適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
10,10A,10B,10C,10D,10E・・・クライアントPC(情報処理装置)、20,20A,20B・・・MFP(画像形成装置)、100・・・メインCPU(第1の制御部)、104・・・サブCPU(第2の制御部)、110・・・ネットワークインタフェース(通信部)、200・・・メインCPU(制御部)、210・・・ネットワークインタフェース(通信部)、220・・・出力部、222・・・画像形成部(出力部)、224・・・給紙部(出力部)、230・・・検出部、232・・・トナー検出部(検出部)、234・・・用紙検出部(検出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して情報処理装置が接続された画像形成装置であって、
前記情報処理装置から送信されるジョブを受信する通信部と、
前記通信部により受信された前記ジョブを出力する出力部と、
前記出力部において前記ジョブのエラーが発生したか否かを検出する検出部と、
前記ジョブの出力処理において前記検出部により前記エラーが検出された場合、前記情報処理装置の稼動状態を確認するための稼動状態取得要求を当該情報処理装置に送信し、前記稼動状態取得要求に応じて前記情報処理装置から送信された当該情報処理装置の稼動情報に基づいて、前記ジョブ以降に前記通信部により受信された他のジョブの優先順位を変更する制御部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記情報処理装置から送信される前記稼動情報に基づいて前記情報処理装置が稼動状態であるか否かを判断し、前記情報処理装置が稼動状態でないと判断した場合、前記ジョブ以降に前記通信部により受信された他のジョブの優先順位を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記他のジョブの優先順位を変更する際に、前記他のジョブのジョブ設定条件が、エラー発生した前記ジョブのジョブ設定条件のうちエラー原因となった当該ジョブ設定条件と一致しているか否かを判断し、
前記ジョブ設定条件が一致していると判断した場合には前記他のジョブを優先出力しないように制御し、前記ジョブ設定条件が一致していないと判断した場合には前記他のジョブを優先出力するように制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記情報処理装置から送信される前記稼動情報に基づいて前記情報処理装置が稼動状態であるか否かを判断し、前記情報処理装置が稼動状態であると判断した場合、当該情報処理装置に対して前記ジョブがエラー発生したことを報知する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記報知後に前記ジョブがエラーから復帰したか否かを判断し、エラーから復帰していないと判断した場合には、前記ジョブ以降に前記通信部により受信された他のジョブの優先順位を変更する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
ネットワークを介して互いに接続された情報処理装置と画像形成装置とを備えた画像形成システムであって、
前記情報処理装置は、
当該情報処理装置を制御する第1の制御部と、
当該情報処理装置を特定するための識別情報を含むジョブを前記画像処理装置に送信すると共に、前記画像形成装置から送信される当該情報処理装置の稼動状態を示す稼動情報を取得するための稼動状態取得要求を受信する通信部と、
前記通信部により受信された前記稼動状態取得要求に基づいて当該情報処理装置の稼動状態を前記第1の制御部から検出し、検出により得られた当該稼動状態に基づく前記稼動情報を前記通信部を介して前記画像形成装置に送信する第2の制御部とを有し、
前記画像形成装置は、
前記情報処理装置の前記通信部から送信される前記ジョブを受信する通信部と、
前記通信部により受信された前記ジョブを出力する出力部と、
前記出力部において前記ジョブのエラーが発生したか否かを検出する検出部と、
前記ジョブの出力処理において前記検出部により前記エラーが検出された場合、前記情報処理装置の稼動状態を確認するための稼動状態取得要求を当該情報処理装置の前記第2の制御部に送信し、前記稼動状態取得要求に応じて前記情報処理装置から送信された前記稼動情報に基づいて、前記ジョブ以降に前記通信部で受信された他のジョブの優先順位を変更する制御部とを有する
ことを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−3557(P2012−3557A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138706(P2010−138706)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】