説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】 種々の対象物へ画像形成する画像形成装置および画像形成方法を提供する。
【解決手段】
上位装置からの画像データに基づいて形成された現像剤像をシート状記録媒体上に転写し、該転写像を定着処理する画像形成手段1を有する画像形成装置において、画像形成手段へ供給されるシート状記録媒体が中間転写シートであることを検出する中間転写シート検出手段401と、中間転写シート検出手段からの検出情報に基づいて、画像形成手段による定着処理を行うか否かを判断する判断手段402と、画像形成手段からの現像剤像が形成され未定着の中間転写シートを受けると、該中間転写シート上の現像剤像を対象物の表面上に転写し、該転写像を対象物の表面上に定着する間接転写手段28と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いて画像を形成する画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、上位装置からの画像データに基づいて像担持体(以下、感光体と記述する)上に静電潜像を形成し、現像処理して現像剤像(以下、トナー画像と記述する)を得て、該トナー画像をシート状記録媒体に直接転写して、定着器により転写されたトナー画像をシート状記録媒体へ定着するのが一般的である。
【0003】
画像形成装置は、画像データに基づいてシート状記録媒体に画像を形成することができる。該画像が形成されるシート状記録媒体は、用紙や中間転写シートなどである。
中間転写シートは、感光体上のトナー画像が転写されることからトナーの密着性の良好であることおよび該転写されたトナー画像が剥離され対象物へさらに転写することから剥離性の良好であることが求められる。この要求を満たし定着時の高温に耐える耐熱性を有するものが基材として用いられている。例えば、シリコンオイル含浸紙や弗素樹脂フィルムなどがある。
【0004】
中間転写シートを用いて、金属板やプラスチック容器などに画像形成することができる。
例えば、中間転写シート上に形成したトナー画像を金属板に転写し、定着器でトナー画像を定着させて金属板上に画像を形成する。特許文献1には、金属板上に画像を形成する場合に有用な現像剤の密着性に優れた金属板を得ることのできる製造方法が開示されている。
【特許文献1】特開平06−293107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の画像形成方法は、現像剤像を形成し、該現像像を対象物に圧着する工程および対象物を搬入搬出する搬送工程が、金属板やプラスチック容器等の種類に対応し特化していた。
【0006】
例えば、プラスチック容器に画像形成する画像形成装置は、外力により凹みやすいプラスチック容器の性質を考慮した独特のプラスチック容器供給機構や容器取り出し機構や容器把持機構を備えている。
【0007】
従って、使用者が意図する対象物に適確に画像形成するには、対象物の種類ごとに専用の画像形成装置を配備するか、また画像形成方法を複数準備して、対象物の種類に対応して複数の画像形成方法から適切なもの選択し実施する必要がある。使用者にとって様々な対象物に画像を形成することは、慮外の困難を伴う煩わしい問題となっていた。そこで、種々の対象物に対応できる画像形成装置(方法)の開発が望まれていた。
【0008】
従って、本発明の目的は、対象物の種類ごとに専用の画像形成装置を備える必要がなく、種々の対象物へ画像形成する画像形成装置および画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以上の点を解決するために、次の構成を採用する。
〈構成1〉
上位装置からの画像データに基づいて形成された現像剤像をシート状記録媒体上に転写し、該転写像を定着処理する画像形成手段を有する画像形成装置において、画像形成手段へ供給されるシート状記録媒体が中間転写シートであることを検出する中間転写シート検出手段と、中間転写シート検出手段からの検出情報に基づいて、画像形成手段による定着処理を行うか否かを判断する判断手段と、画像形成手段からの現像剤像が形成され未定着の中間転写シートを受けると、該中間転写シート上の現像剤像を対象物の表面上に転写し、該転写像を対象物の表面上に定着する間接転写手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
〈構成2〉
画像形成手段は、現像剤像を前記シート状記録媒体へ直接的に転写する直接転写部と、該直接転写部によりシート状記録媒体上へ転写された現像剤像を定着する直接転写定着部と、を備えており、間接転写手段は、直接転写部において形成されたシート状記録媒体としての中間転写シート上の現像剤像を対象物の表面上に間接転写する間接転写部と、該間接転写部により対象物の表面上に転写された現像剤像を定着する間接転写定着部と、を備えることを特徴とする。
〈構成3〉
中間転写シート検出手段は、中間転写シートからの反射光を検出する反射型光センサまたは中間転写シートを透過する光を検出する透過型光センサを用いることを特徴とする。
【0011】
〈構成4〉
中間転写シート検出手段は、操作パネルから間接転写記録モードが指示されたことを示す検出情報を生成することを特徴とする。
〈構成5〉
シート状記録媒体は、用紙または中間転写シートであることを特徴とする。
〈構成6〉
直接転写定着部は、複数種類のシート状記録媒体が共通して通過する搬送路に配置され、シート状記録媒体に現像剤像を定着させるべく圧接機能を備えた離間可能の圧接部を有しており、前記判断手段が前記画像形成手段による定着処理を行わないと判断した場合、定着処理を休止させるべく前記圧接部を離間状態にし、該圧接部に間隙を設けて、該間隙を通して前記現像剤像が形成された中間転写シートを通過させることを特徴とする。
【0012】
〈構成7〉
搬送路は、前記直接転写定着部を回避可能に形成されており、判断手段が画像形成手段による定着処理を行わないと判断した場合、直接転写定着部を回避すべく、搬送経路が切替えられることを特徴とする。
〈構成8〉
画像形成の対象物は、少なくともシート状、板状、立方体状、円筒状、円錐状、角錐状、球状のいずれか一つ以上の形状であってもよい。
〈構成9〉
画像形成の対象物は、少なくとも繊維、木材、金属、プラスチック、石材、ガラス、セラミック材のいずれかであってもよい。
【0013】
〈構成10〉
上位装置からの画像データに基づいて像担持体上に形成された現像剤像をシート状記録媒体へ直接転写し画像形成する画像形成方法において、供給されるシート状記録媒体が中間転写シートであることを検出することと、中間転写シートであることを示す検出情報に基づいて、直接転写による画像形成処理を行うか否かを判断することと、直接転写による画像形成処理を行わないとの判断が下されたとき、中間転写シート上に形成された現像剤像を間接転写による画像形成の対象物に転写し定着すること、を備えることを特徴とする。
【0014】
〈構成11〉
シート状記録媒体が中間転写シートであることを示す検出情報に基づいて、直接転写による画像形成または前記間接転写による画像形成のいずれかを選択する直間転写選択工程と、シート状記録媒体に転写された現像剤像を定着させる直接転写定着工程と、中間転写シートの現像剤像を前記対象物に転写し、該転写像を前記対象物上に定着させる間接転写定着工程と、検出情報に基づいて、直接転写定着工程または間接転写定着工程のいずれを選択する直間定着選択工程と、直間転写選択工程で間接転写による画像形成が選択された場合、直接転写定着工程を回避すべく、現像剤像が形成された中間転写シートを搬送する搬送工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像形成手段により、上位装置からの画像データに基づいた現像剤像をシート状記録媒体上に転写し、該転写像を定着処理すると共に、中間転写シート検出手段から、シート状記録媒体が中間転写シートであることを検出したことを示す検出情報を受けた判断手段は、画像形成手段において該中間転写シート上に現像剤像を形成し、間接転写手段において該現像剤像を対象物に転写し、該転写像を対象物に定着させて画像形成する間接転写記録モードを実行すべく判断し制御することから、直接転写記録モードおよび間接転写記録モードにおいて画像形成装置を共用することができるため、対象物の種類ごとに専用の画像形成装置を配備する必要がない。従って、本発明によれば、対象物の種類毎に専用の画像形成装置を設ける必要がないことから、設備投資費用の低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態について、図を用いて詳細に説明する。以下の説明では、各実施の形態に用いる図面について同一の構成要素は同一の符号を付し、かつ重複する説明は可能な限り省略する。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。
実施例1の画像形成装置は、図1に示されるように、上位装置からの画像データに基づいてシート状記録媒体に画像を形成するカラー画像記録装置(画像形成手段)1と、該カラー画像記録装置1で中間転写シートS2上に画像データに基づいて形成された現像剤像(以下、トナー画像と記述する)を対象物S3に転写し定着処理する間接転写装置(間接転写手段)28とで構成される。
【0018】
まず、カラー画像記録装置1は、用紙S1を収納する用紙カセット20と、少量のシート状記録媒体または中間転写シートS2を収納する手差しトレイ21と、画像データに基づいて像担持体(以下、感光ドラムと記述する)上にトナー画像を形成し該トナー画像をシート状記録媒体上に転写する4つの印刷機構2K〜2Cと、該転写されたトナー画像を用紙S1上に加熱圧着して定着する直接転写定着部24と、前記用紙カセット20と手差しトレイ21から搬送路までシート状記録媒体を給紙する給紙機構(詳しくは後述する)と、該シート状記録媒体を直接転写定着部24へ搬送する搬送路とを備えている。
【0019】
前記用紙カセット20と手差しトレイ21からのシート状記録媒体に対して、4つの印刷機構2K〜2Cで画像データに基づいて各色のトナー画像を形成すべく、シート状記録媒体を搬送する搬送路は、シート状記録媒体を搬送するための搬送ベルト12と、該搬送ベルト12を駆動する駆動ローラ13と従動ローラ14と、で構成される。
【0020】
次に、間接転写装置28は、カラー画像記録装置1からトナー画像が形成された中間転写シートS2を受けると、対象物であるハンカチS3に中間転写シートS2からトナー画像を転写し、該転写像をハンカチS3上に定着して画像を形成する装置である。
【0021】
間接転写装置28は、図1に示されるように、中間転写シートS2からトナー画像を転写し転写像をハンカチS3上に定着させる間接転写定着部29と、対象物であるハンカチS3を収納する対象物供給トレイ32と、ハンカチS3を間接転写定着部29へ供給する供給ローラ33と、カラー画像記録装置1から搬出された中間転写シートS2を間接転写定着部29へ搬送する間接転写搬送路35と、を備えている。前記間接転写搬送路35には、搬送ローラ36a、36bおよび搬送ローラ37a、37bと、搬送されてきた中間転写シートS2の先端を検知し位置を示す位置検出信号を出力する検出センサ38とが設けられている。
【0022】
間接転写定着部29は、内部に熱源を有するヒートローラ30と、中間転写シートS2と対象物であるハンカチS3をヒートローラ30へ押圧する加圧ローラ31とで構成される。
対象物供給トレイ32には、対象物である布製のハンカチS3がセットされる。
【0023】
実施例1の画像形成装置における制御系のブロック構成がブロック図(図2)に示されている.カラー画像記録装置1の印刷制御部40は、カラー画像記録装置1と間接転写装置28を統括し制御する。間接転写装置28の制御部46は、印刷制御部40の制御下で間接転写装置28内の各部を統一的に制御する。
【0024】
印刷制御部40は、中間転写シートを検出すると、該中間転写シートを検出したことを示す検出情報を出力する中間転写シート検出部(中間転写シート検出手段)401と、該検出情報に基づいて直接転写で画像形成するかまたは間接転写で画像形成するかを判断する判断部(判断手段)402と、後述するヒートローラ25および加圧ローラ26による圧接または圧接開放の制御を行う機構制御部43と、該機構制御部43に直接転写における機構制御を指示する直接転写指示部403とで構成される。
ところで印刷制御部40は、マイクロプロセッサ、RAMおよびROMなどにより、前記した各構成の機能を実現している。
【0025】
中間転写シート検出部401は、手差しトレイ21に配置した中間転写シート検出センサ23を制御しており、該中間転写シート検出センサからの検出信号を受けると、所定の基準値と比較し、該比較結果に基づいて中間転写シートを検出したことを示す検出情報を判断部402に出力する。また、該検出情報は、使用者による操作パネル41からの設定情報に基づいて作成し判断部402に出力しても良い。
【0026】
判断部(判断手段)402は、前記中間転写シート検出部401からの検出情報を受けると、該検出情報に基づいて直接転写で画像形成するかまたは間接転写で画像形成するかを判断する。即ち、用紙カセット20から用紙S1を給紙するかまたは手差しトレイ21から中間転写シートS2を供給するかを判断するとともに、直接転写定着部24で転写像を定着処理するかまたは間接転写定着部29で転写像を定着処理するかを判断する。該判断結果は、直接転写定着部24の機構制御部43に伝達されるとともに伝送路47を介して間接転写装置28の制御部46に伝達される。
【0027】
直接転写指示部403は、直接転写定着部24の定着準備の完了を確認した後、前記判断部の判断結果に基づいて、間接転写記録モードのときは駆動モータ44に電力を供給しヒートローラ25と加圧ローラ26が開放すべく機構制御部43に指示する。または、直接転写記録モードのときは駆動モータ45に電力を供給しヒートローラ25と加圧ローラ26が圧接するべく機構制御部43に指示する。
【0028】
操作パネル41は、情報入力、特に直接転写で画像形成する(直接転写記録モード)かまたは間接転写で画像形成する(間接転写記録モード)か設定情報に設定すべく、オペレータからの操作入力を受ける。
記録モード格納部42は、操作パネル41から入力された内容を設定情報として記憶する。
機構制御部43は、ヒートローラ25と加圧ローラ26間の圧接、開放を制御する。
駆動モータ44は、電力を供給されるとヒートローラ25と加圧ローラ26が開放するように動作する。駆動モータ45は、電力を供給されると加圧ローラ26を駆動する。
【0029】
つぎに、間接転写装置28の制御部46について説明する。
制御部46は、印刷制御部40の制御下にあって間接転写装置28を統括し制御しており、中間転写シートの位置を示す位置検出信号に基づいて対象物を供給すべく制御する対象物供給管理部461と、間接転写定着部29の温度を管理する温度管理部462と、ヒートローラ30と加圧ローラ31が転写定着すべく間接転写定着部29に指示する間接転写指示部463とで構成される。
対象物供給管理部461は、検出センサ38から中間転写シートの位置を示す位置検出信号を受けると、中間転写シートS2と対象物S3が重なるように対象物S3を供給すべく供給ローラ33を制御する。
【0030】
温度管理部462は、供給された対象物S3へ中間転写シートS2から転写されたトナー画像を定着させるのに適した温度に間接転写定着部29の温度を一致させるべくヒートローラ30の熱源へ供給する電力を制御する。
間接転写指示部463は、間接転写定着部29の定着準備の完了を確認した後、前記判断部の判断結果に基づいて、間接転写記録モードのときはヒートローラ30と加圧ローラ31が転写定着すべく制御するように間接転写定着部29に指示する。
【0031】
ところでシート状記録媒体は、大別すると2種類のシート形状の記録媒体がある。
一方は、用紙S1であり、他方は中間転写シートS2である。中間転写シートS2は、例えば耐熱性を有した基材からなり、その表面はシリコン樹脂でコーティングされたものである。また、中間転写シートS2は、識別するための識別マークが形成されている。該識別マークは、シート周辺部に○または□の形状に現像剤を塗布されたものが好ましい。
尚本実施例において、間接転写による画像形成の対象物は布製のハンカチS3であり、該ハンカチに画像を形成する例で説明を行う。
【0032】
カラー画像記録装置1は、直接転写記録モードとして、通常用紙カセット20に収納されている用紙S1への画像形成に使用される。上位装置(図示せず)から画像データを受信し、該画像データに基づいて感光ドラムに静電潜像を形成した後、現像処理してトナー画像を得る。該トナー画像を用紙S1上に転写し、該転写像を用紙S1上に定着処理して画像を形成する。
【0033】
カラー画像記録装置1は、間接転写記録モードとして、中間転写シート検出センサ23により中間転写シートS2が手差しトレイ21に検出されると、画像データに基づいて像担持体上に静電潜像を形成し、該潜像を現像処理してトナー画像を得た後、該トナー画像を中間転写シートS2に転写し未定着のまま間接転写装置28へ搬送し、間接転写装置28で未定着のトナー画像が形成された中間転写シートS2を受けると、中間転写シートS2上のトナー画像を布製のハンカチS3上に転写し、該転写されたトナー画像をハンカチS3上に定着処理して画像を形成する。
【0034】
要するに、カラー画像記録装置1は、画像データに基づいて感光ドラムに静電潜像を形成した後、現像処理してトナー画像を得て、該トナー画像を用紙S1または中間転写シートS2に転写する。その後の処理はシート状記録媒体の種別によって異なる。シート状記録媒体が用紙S1であるときおよび操作パネル41から直接転写記録モードが設定されたときは、カラー画像記録装置1内で前記転写されたトナー画像が用紙S1上に定着処理される。中間転写シートS2が検出されたときおよび操作パネル41から間接転写記録モードが設定されたときは、中間転写シートS2上の前記転写されたトナー画像が未定着のまま、カラー画像記録装置1の定着処理を回避すべく中間転写シートS2を搬送し、間接転写装置28へ中間転写シートS2を渡す。
【0035】
カラー画像記録装置1の構造について、図1を用いて説明する。4つの独立した印刷機構2K、2Y,2M、2Cが記録媒体の挿入側から排出側へ向かう搬送路に沿って配置されている。4つの印刷機構2K〜2Cは、従来から知られているように、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のカラー画像を記録するための電子写真式LEDプリントユニットである。いずれの印刷機構も、上位装置からの画像データに基づいて感光ドラム6に静電潜像を形成するLEDヘッド3と、該感光ドラム6を一様に帯電させる帯電ローラ5と、感光ドラム6にトナー画像を形成するための現像部で構成される。例えば、ブラックを記録する印刷機構(K)2Kは、LEDヘッド3Kと、帯電ローラ5Kと、感光ドラム6Kおよび黒色トナー画像を形成するための現像部で構成される。該現像部は、現像化する現像ローラ7Kと、該現像ローラ7Kに圧接してトナ−供給ローラ9Kが設けられている。現像ローラ7Kには現像ブレード8Kが圧接してあり、黒色トナーカートリッジ10Kから供給されたトナーを薄層化する。
【0036】
感光ドラム6Kおよびシート状記録媒体S1、S2をトナ−と逆の電荷に帯電させる転写ローラ4Kの間に搬送ベルト12が移動可能に配置されている。そして、黒色トナーカートリッジ10Kにはブラックのトナーが収容されている。
イエローを記録する印刷機構(Y)2Yと、マゼンタ色を記録する印刷機構(M)2Mと、シアン色を記録する印刷機構(C)2Cの構成は、印刷機構(K)2Kの構成と同じであるので、その説明を割愛する。
【0037】
搬送路を構成する搬送ベルト12は、継ぎ目なしのリング状の構造に形成されており、その材料は高抵抗の半導電性プラシチックフィルムである。駆動ローラ13は、図示されないベルトモータに接続され、該モータにより駆動ローラ13は回転し搬送ベルトを駆動する。14は従動ローラであり、15は吸着ローラである。
搬送ベルト12は、感光ドラム6Kと転写ローラ4Kとの間、感光ドラム6Yと転写ローラ4Yとの間、感光ドラム6Mと転写ローラ4Mとの間、感光ドラム6Cと転写ローラ4Cとの間にそれぞれ掛け渡されている。
【0038】
前記給紙機構は、図1に示されるように、搬送路に用紙S1を供給するために設けられている。該給紙機構は、給紙ローラ16と、レジストローラ17と、ピンチローラ18と、ガイド19と用紙カセット20とから構成されている。該用紙カセット20に収容されている用紙S1が、弁別手段(図示せず)により1枚づつ選択され給紙ローラ16により繰り出されて、ガイド19で案内されてレジストローラ17に達する。
【0039】
用紙S1はレジストローラ17から吸着ローラ15と搬送ベルト12との間へ導かれる。吸着ローラ15は、用紙S1を従動ローラ14に圧接するとともに帯電させる。該帯電した用紙S1を搬送ベルト12は静電吸着する。
【0040】
また、カラー画像形成装置の右側には、中間転写シートS2または少量のシート状記録媒体を搬送路に供給するための手差しトレイ21が備えられている。該手差しトレイ21には、中間転写シートS2などを供給するための給紙ローラ22と、中間転写シートS2を検出するための中間転写シート検出センサ23が設けられている。
【0041】
中間転写シート検出センサ23は、中間転写シートS2が手差しトレイ21へ載せられたことを検出し、該検出信号を印刷制御部40へ出力する。
該中間転写シート検出センサ23は、手差しトレイ21の上部に備えられ、中間転写シートS2上の識別するための識別マーク304に赤外光を照射できる位置に配置されている。
中間転写シート検出センサ23は、該中間転写シートからの反射光の強度を測定する機能を有しており、中間転写シートを検出するために該反射光の強度を測定し、その測定値が用いられる。
該中間転写シート検出センサ23は、図3に示されるように、中間転写シートへ赤外線を照射する1つのLED301と、該中間転写シートからの鏡面反射光を検出する第1のフォトトランジスタ302および該中間転写シートからの乱反射光を検出する第2のフォトトランジスタ303とで構成されており、いわゆる反射型のセンサである。
【0042】
中間転写シートS2上にトナーが塗布された識別マーク304と中間転写シート検出センサ23の位置関係は、図3に示されている。印刷制御部40の中間転写シート検出部401は、中間転写シート検出センサ23の赤外光を発光する発光ダイオード(以後、LEDと記述する)301を所定の発光エネルギーを生じさせる電流で駆動し、中間転写シートS2上の識別マーク304を該赤外光で照射する。該赤外光は、識別マーク304表面で反射され、該反射された赤外光が鏡面反射光受光用フォトトランジスタ302と、拡散反射光受光用フォトトランジスタ303とで受光される。
【0043】
これらフォトトランジスタ302、303には、図示しない回路と電気的に接続されており、受光エネルギーに比例した電流が流れる。該電流は、電流電圧変換回路により電圧に変換される。該変換された電圧を受けた印刷制御部40の中間転写シート検出部(中間転写シート検出手段)401は、所定の基準値と比較して、該比較結果に基づいて中間転写シートであるか否かを判定し、中間転写シートであることを示す検出情報を出力する。
実施例1では、トナーを塗布することにより識別マークを形成している。現像剤は粒子状であり、通常のシート記録媒体より表面が粗いので拡散反射(乱反射)される割合が大となる。即ち、拡散反射光受光用フォトトランジスタ303での受光エネルギーが相対的に大きくなり、より強い電流が流れることになる。この現象を利用して中間転写シートを検出している。
【0044】
間接転写による画像形成を行う場合には、利用者は手差しトレイ21に中間転写シートS2をセットするか、または、操作パネル41から間接転写記録モードを設定する。
中間転写シートは、耐熱性を有する素材からなり、その表面はフッ素樹脂またはシリコン樹脂などの離型性を有する物質でコーティングされる。また、中間転写シートに、その周辺部にトナーを塗布して形成された識別マークが設けられることにより、前記した中間転写シート検出センサで中間転写シートであることを検出できる。
【0045】
直接転写定着部24は、図4に示されるように、内部に熱源を有するヒートローラ25と、該ヒートローラ25に対向し、搬送されてきた用紙S1を加圧する加圧ローラ26で構成されている。
直接転写定着部24の機構制御部43は、印刷制御部40からの指示に基づいて、前記ヒートローラ25と前記加圧ローラ26を圧接するべくまたは開放するべく制御する。
直接転写定着部24の後段には排出ローラ27a、27bが設けられている。
【0046】
ここで、直接転写定着部24の圧接状態について、図4および図5を用いて説明する。
内部にハロゲンランプ51を有するヒートローラ25と、該ヒートローラ25に対向して加圧ローラ26が配置されており、スプリング49によりレバー48を作用させヒートローラ25を加圧ローラ26に押し付けている。レバー48は、48aを支点として動き、ヒートローラ25の軸部を保持している。
【0047】
そのため、ヒートローラ25は、レバー48に追随して動く。レバー48に作用するカム50があり、駆動モータ44に通電することで、ギヤ列(図示せず)を介して動かされ、50aを回転軸としてカム50が回転する。ギヤ52は、駆動モータ45に通電することで回転し、加圧ローラ26に作用し加圧ローラ26を回転させる。また、ギヤ53はギヤ52と噛み合っており、ギヤ52の回転に伴い回転しヒートローラ25に作用して、ヒートローラ25を回転させる。
【0048】
次に、直接転写定着部24の開放状態について、図4および図6を用いて説明する。
直接転写定着部24の機構制御部43は、駆動モータ44が駆動するべく制御しギヤ列(図示せず)を介して50aを回転軸としてカム50を回転させる、カム50が図6の矢印の方向に回転すると、レバー48に接触してレバー48を押し上げる。レバー48は、ヒートローラ25の軸部を保持しているので、カム50が回転するにつれて、ヒートローラ25は加圧ローラ26から離反する方向に移動する。
【0049】
実施例1のカラー画像記録装置1および間接転写装置28と動作についてフローチャート(図7)に沿って説明する。
手差しトレイの記録媒体が中間転写シートS2であるか否かを検出する。該検出信号を印刷制御部40へ出力する。(S7−1)
【0050】
印刷制御部40は、カラー画像記録装置1の各部に対して記録動作の指示を出す。(S7−2)
前記検出信号を受けたカラー画像記録装置1の印刷制御部40は中間転写シートS2であることを示す検出情報を生成し、該検出情報に基づいて間接転写による画像形成するか、または直接転写による画像形成するかを選択する。(S7−3)
【0051】
間接転写による画像形成を選択すれば、手差しトレイ21から中間転写シートS2が給紙される。(S7−4)
カラー画像記録装置1の印刷制御部40は、直接転写定着部24の機構制御部43に対して、直接転写定着部24のヒートローラ25と加圧ローラ26の開放を指示する。(S7−5)
【0052】
印刷制御部40は、間接転写装置28に対して伝送路47を介して、間接転写定着部29の定着動作の準備を指示する。間接転写装置28の制御部46は、間接転写定着部29のヒートローラ30と、加圧ローラ31と、搬送ローラ36a、36bおよび搬送ローラ37a、37bを図示しない駆動モータにより駆動させるとともに、ヒートローラ30の温度を対象物へトナー画像の定着するために最適な温度になるように制御する。
次に、間接転写装置28の制御部46は、伝送路47を介してカラー画像記録装置1に定着準備の完了した旨を通知する。(S7−6)
【0053】
カラー画像記録装置1の印刷制御部40は、間接転写装置28からの定着準備の完了した旨の通知を受けると、間接転写装置28における記録動作を開始する。(S7−7)
【0054】
既に手差しトレイ21が選択されているので、手差しトレイ21にセットされている中間転写シートS2が給紙ローラ22により給紙され、レジストローラ17に導かれる。このとき、中間転写シートS2のスキューはレジストローラ17と相対するピンチローラ18によって修正される。
【0055】
その後、中間転写シートS2は、レジストローラ17から吸着ローラ15と搬送ベルト12との間に導かれる。吸着ローラ15は、中間転写シートS2を従動ローラ14との間で圧接するとともに帯電し、中間転写シートS2を搬送ベルト12の上面に静電吸着させる。
【0056】
次に、中間転写シートS2は、印刷機構2K〜2Cへと搬送される。
印刷機構2K〜2Cは、画像データに基づいてLEDヘッド3K〜3Cが感光体6K〜6C上に静電潜像を形成し、現像ローラ7K〜7Cによりトナー画像を形成し、転写ローラ4K〜4Cにより、搬送されてきた中間転写シートS2上にトナー画像を転写する。
その後、中間転写シートS2は、直接転写定着部24に搬送される。直接転写定着部24では、圧接開放機構によりヒートローラ25と加圧ローラ26が開放されているので、中間転写シートS2上のトナー画像は定着処理されず未定着の状態で排出ローラ27a、27bにより間接転写装置28の間接転写搬送路35へと搬送される。
【0057】
さらに、中間転写シートS2は、搬送ローラ36a、36bによって間接転写装置28内を搬送される。このとき、間接転写装置28の制御部46は、検出センサ38により中間転写シートS2の先端を検出し、ハンカチS3の先端が中間転写シートS2の先端と重なるように供給ローラ33を駆動し、ハンカチS3を対象物供給トレイ32から供給するべく制御する。
中間転写シートS2とハンカチS3は、重なった状態で間接転写定着部29に送られて、中間転写シートS2上のトナー画像は、間接転写定着部29においてハンカチS3上に転写され定着される。該トナー画像が定着されたハンカチS3は、スタッカ39に排出される。
【0058】
次に、直接転写記録モードが選択された場合は、用紙カセット20から用紙S1が給紙される。(S7−8)
印刷制御部40は、直接転写定着部24の機構制御部43に対して、直接転写定着部24のヒートローラ25と加圧ローラ26が圧接するように制御の指示をする。(S7−9)
印刷制御部40は、直接転写定着部24のヒートローラ25と加圧ローラ26を駆動モータ45により駆動させるとともに、ヒートローラ25の温度を用紙S1上にトナー画像を定着させるのに最適な温度になるように制御する。(S7−10)
【0059】
カラー画像記録装置1の印刷制御部40は、直接転写定着部24の定着準備の完了を確認し、直接転写定着部24における記録動作を開始する。(S7−11)
【0060】
用紙カセット20にセットされている用紙S1は、給紙ローラ16により給紙され、ガイド19によりレジストローラ17に導かれる。このとき、用紙S1のスキューがレジストローラ17と相対するピンチローラ18によって修正される。
次に、用紙S1は、レジストローラ17から吸着ローラ15と搬送ベルト12の間へと導かれる。吸着ローラ15は、用紙S1を従動ローラ14との間に圧接するとともに用紙S1を帯電させる。帯電した用紙S1は搬送ベルト12の上面に静電吸着される。
【0061】
そして、用紙S1は、印刷機構2K〜2Cへと搬送される。印刷機構2K〜2Cは、画像データに基づいてLEDヘッド3K〜3Cが感光体6K〜6C上に静電潜像を形成し、現像ローラ7K〜7Cによりトナー画像を形成し、転写ローラ4K〜4Cにより搬送されてきた用紙S1上にトナー画像を転写する。その後、用紙S1は、直接転写定着部24へ搬送される。直接転写定着部24は、ヒートローラ25と加圧ローラ26により転写されたトナー画像を用紙S1上に定着する。
【0062】
実施例1の画像形成装置によれば、シート状記録媒体の種別を判断することにより、カラー画像記録装置1において、直接転写記録モードで画像データに基づいて形成されたトナー画像を用紙S1へ直接転写し定着することで画像を形成することができ、間接転写記録モードで画像データに基づいてトナー画像を一旦中間転写シートS2に形成し、間接転写装置28において該トナー画像を中間転写シートS2から対象物であるハンカチS3へ転写し、ハンカチS3上にトナー画像を定着することでハンカチS3に画像を形成することができる。従って本発明によれば、カラー画像記録装置1の画像形成手段を直接転写記録モードおよび間接転写記録モードで共用することができるため、対象物の種類ごとに専用の画像形成手段を配備する必要がないことから、設備投資費用の低減を図ることができる。
【0063】
更に、実施例1の画像形成装置によれば、間接転写記録モードにおいて、中間転写シートに形成されたトナー画像を対象物S3に転写して定着させる間接転写装置128において、例えば対象物を供給する対象物供給トレイ32や対象物供給ローラ33などの機構のみを対象物の種別に応じて変更することにより、各種形状および様々な材種の対象物に画像を簡便に形成することができる。
【実施例2】
【0064】
実施例2の画像形成装置は、図8に示されるように、上位装置からの画像データに基づいてシート状記録媒体に画像を形成するカラー画像記録装置101と、該カラー画像記録装置101で中間転写シートS2上に画像データに基づいて形成されたトナー画像を対象物S4に転写し定着処理する間接転写装置128で構成される。
実施例2では、間接転写による画像形成の対象物はプラスチック容器S4とする。
【0065】
まず、カラー画像記録装置101は、用紙S1を収納する用紙カセット20と、少量のシート状記録媒体または中間転写シートS2を収納する手差しトレイ21と、画像データに基づいて感光ドラム上にトナー画像を形成し該トナートナー画像をシート状記録媒体上に転写する4つの印刷機構2K〜2Cと、該転写されたトナー画像を用紙S1上に加熱圧着して定着する直接転写定着部102と、前記用紙カセット20と手差しトレイ21から搬送路までシート状記録媒体を給紙する給紙機構と、該シート状記録媒体を搬送する搬送路とを備えている。
【0066】
前記搬送路は、前記用紙カセット20と手差しトレイ21からのシート状記録媒体に対して、4つの印刷機構2K〜2Cにおいて画像データに基づいてトナー画像を形成し、直接転写定着部102においてトナー画像を定着するためにシート状記録媒体を搬送する搬送ベルト12と、該搬送ベルト12を駆動する駆動ローラ13と従動ローラ14と、直接転写定着部102へ導く搬送路107および搬送ローラ105a、105bと、間接転写装置128へ導く搬送路57および搬送ローラ56a、56bおよび搬出ローラ58a、58bと、シート状記録媒体を搬送路107または搬送路57により搬送するかを切替える切替ガイド106と、で構成される。
【0067】
次に、間接転写装置128は、カラー画像記録装置1からトナー画像が形成された中間転写シートS2を受けると、対象物であるプラスチック容器S4に中間転写シートS2からトナー画像を転写し、該転写像をプラスチック容器S4上に定着して画像を形成する装置である。
【0068】
間接転写装置128は、図8に示されるように、中間転写シートS2からトナー画像を転写し転写像をプラスチック容器S4上に定着させる間接転写定着部129と、カラー画像記録装置101から搬出された中間転写シートS2を間接転写定着部129へ搬送する搬送路170と、を備えている。前記搬送路170には、中間転写シートS2を搬送するための搬送ローラ169a、169bが設けられている。
【0069】
間接転写定着部129は、内部に熱源となるハロゲンランプ160を有する定着プレート161と、対象物であるプラスチック容器S4を把持するホルダ163と、ホルダ163を下方へ駆動するためのバネ164a、164bと、ホルダ163を上下に牽引するワイヤ165と、該ワイヤ165を巻き取り可能な駆動モータ166と、定着プレート161の温度を検出する温度センサ167と、搬送されてきた中間転写シートS2の位置を検出する検出センサ168とで構成される。
【0070】
実施例2の画像形成装置における制御系のブロック構成がブロック図(図9)に示されている.カラー画像記録装置101の印刷制御部40は、カラー画像記録装置101と間接転写装置128を統括し制御する。間接転写装置128の制御部146は、印刷制御部40の制御下で間接転写装置128内の各部を統一的に制御する。
【0071】
印刷制御部40は、中間転写シート検出センサ23から検出信号を受けて中間転写シートである旨の検出情報を出力する中間転写シート検出部(中間転写シート検出手段)401と、該検出情報に基づいて直接転写記録モードで画像形成するかまたは間接転写記録モードで画像形成するかを判断する判断部402と、切替ガイド106を動作させるべく機構制御部143に指示する直接転写指示部403とで構成される。
【0072】
機構制御部143は、直接転写指示部403からの指示に基づいてシート状記録媒体を、直接転写定着部102へ搬送する搬送路107または間接転写装置128へ搬送する搬送路57のいずれか一方に切替えるべく切替ガイド106の切替え制御のための制御信号を出力する。
切替ガイド106は、図示しない駆動モータにより搬送経路の切替えを行うために、回転軸で回転動作するための支点106aを備えており、該支点106aは、回転軸として回転可能になっており、機構制御部143からの制御信号に基づいて駆動される駆動モータ(図示せず)の動作により支点106aを回転し、用紙S1を直接転写定着部102へ導く搬送路107と、中間転写シートS2を間接転写装置128へ導く搬送路57との搬送経路を切替える。
【0073】
つぎに、間接転写装置128の制御部146について説明する。
制御部146は、印刷制御部40の制御下にあって間接転写装置128を統括し制御しており、中間転写シートS2の位置を示す位置検出信号に基づいて対象物を上下に昇降すべく制御する対象物昇降管理部1461と、間接転写定着部129の定着プレートの温度を管理する温度管理部1462と、定着プレート161と中間転写シートS2とプラスチック容器が圧接するべくまたは開放すべく指示する間接転写指示部1463とで構成される。
対象物昇降管理部1461は、検出センサ168から中間転写シートの位置を示す位置検出信号を受けると、中間転写シートS2と対象物S4が重なり圧接するように対象物S4を降下すべく駆動モータ166を制御する。
【0074】
温度管理部1462は、対象物S4へ中間転写シートS2から転写されたトナー画像を定着させるのに最適な温度に定着プレート161の温度を一致させるべくヒータ160へ供給する電力を制御する。
間接転写指示部1463は、間接転写定着部129の定着準備の完了を確認した後、前記判断部の判断結果に基づいて、間接転写記録モードのときは定着プレート161と中間転写シートS2とプラスチック容器S4が圧接すべく制御するように駆動モータ166を制御する。
【0075】
伝送路47は、カラー画像記録装置101と間接転写装置128とを電気的に接続し各種の情報通信の仲介をしている。
【0076】
要するに、カラー画像記録装置101において、画像データに基づいて感光ドラムに静電潜像を形成した後、現像処理してトナー画像を得て、該トナー画像を用紙S1または中間転写シートS2に転写する。その後の処理はシート状記録媒体の種別によって異なる。シート状記録媒体が用紙S1であるときおよび操作パネル41から直接転写記録モードが設定されたときは、カラー画像記録装置1内で前記転写像を用紙S1上に定着処理される。
中間転写シートS2が検出されたときおよび操作パネル41から間接転写記録モードが設定されたときは、中間転写シートS2上の前記転写像が未定着のまま、カラー画像記録装置101の定着処理を迂回すべく搬送路を切替えて中間転写シートS2を搬送し、間接転写装置128へ中間転写シートS2を渡す。
【0077】
カラー画像記録装置101の構造について、図8を用いて説明する。実施例1のカラー画像記録装置1の構造と同じ部分の説明は割愛して、異なる部分を中心に説明する。
実施例2の構造は、搬送路切替ガイド106を装置内に設け、搬送路切替ガイド106により直接転写定着部102を通過する搬送路107と直接転写定着部102を通過しない搬送路57とを切替え制御する点を特徴としている。
【0078】
次に、間接転写装置128の構造について、図8を用いて説明する。
バネ164a、164bの他端は間接転写定着部129の筐体に固定され、常時縮んだ状態で保持されている。駆動モータ166が回転し巻き上げられていたワイヤが元に戻り長くなれば、バネ164a、164bはホルダ163を下方へ駆動する。そして、対象物S4は。ホルダ163とともにバネ164a、164bの力により押し下げられ定着プレート161に圧接される。
【0079】
実施例2のカラー画像記録装置101の動作は実施例1のカラー画像記録装置1の動作と、間接転写装置128の動作は実施例1の間接転写装置28の動作とほぼ同じなので、実施例1のカラー画像記録装置1の動作と異なる動作について説明をする。
まず、カラー画像記録装置101の搬送路切替ガイド106の切替え動作について図10を用いて説明する。図10(b)は間接転写による画像形成の場合を示し、切替ガイド106は支点106aを中心に矢印方向に回転し、中間転写シートS2を間接転写装置128へ導く搬送路57に搬送経路が切替えられている。
【0080】
次に、間接転写装置128におけるプラスチック容器への間接転写の動作について図11を用いて説明する。
プラスチック容器S4は、ホルダ163に保持されている。図11(b)は圧接状態を示し、駆動モータ166によりワイヤ165が矢印の方向に繰り出されて、ホルダ163が下降し、プラスチック容器S4を中間転写シートS2のトナー画像面に接触させて、バネ164a、164bの復元力により押し付ける。中間転写シートS2上のトナー画像は、プラスチック容器S4の表面上に転写定着される。
【0081】
実施例2の画像形成装置によれば、カラー画像形成装置101において中間転写シートS2を検出すると、中間転写シートS2上のトナー画像が未定着のままの中間転写シートS2を搬送すべく、カラー画像記録装置101の定着処理を迂回するように搬送路を切替える。中間転写シートS2を間接転写装置128へ搬送すると、該間接転写装置128において該トナー画像をプラスチック容器S4表面上に転写し定着することから、カラー画像記録装置101の画像形成手段を直接転写記録モードおよび間接転写記録モードにおいて共用することができ、対象物の種類ごとに専用の画像形成手段を配備する必要がなく、設備投資を低減することができる。
【0082】
また、間接転写記録モードにおいて、中間転写シートに形成されたトナー画像を対象物S4に転写して定着させる間接転写装置128において、例えば対象物を把持するホルダ163や定着のための基台などの機構のみを対象物の種別に応じて変更することにより、各種形状および様々な材種の対象物に画像を簡便に形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上のように、実施例1および実施例2では、中間転写シート検出手段として反射型センサを用いた例について説明したが、本発明は、これに限定するものでなく中間転写シートに識別マークとして貫通孔を設け、該貫通孔を透過する光を検出する透過型光センサを用いて中間転写シートを検出するようにしてもよい。
【0084】
また、実施例1および実施例2では、画像形成の対象物の形状をシート状と板(直方体)状を取り上げて説明したが、これらに限定するものでなく、画像形成の対象物の形状については、立方体状、円筒状、円錐状、角錐状、または球状でもよく本発明を適用することができる。
また、実施例1の対象物はハンカチ(繊維)で、実施例2の対象物はプラスチック容器を取り挙げて説明したが、本発明は、これらに限定するものでなく、対象物の材質は、木材、金属、石材、ガラス、セラミック材のいずれに対しても適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】実施例1の画像形成装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】実施例1の画像形成装置の制御系のブロック図である。
【図3】中間転写シート検出センサの動作を説明する図である。
【図4】直接転写定着部の斜視図である。
【図5】直接転写定着部の圧接状態を説明する図である。
【図6】直接転写定着部の開放状態を説明する図である。
【図7】実施例1の画像形成装置のフローチャート1である。
【図8】実施例2の画像形成装置の概略構成を示す構成図である。
【図9】実施例2の画像形成装置の制御系のブロック図である。
【図10】実施例2のカラー画像記録装置内の搬送路の切替えを説明する図である。
【図11】実施例2の間接転写装置の動作(開放/圧接)を説明する図である。
【符号の説明】
【0086】
1、101 カラー画像記録装置
2K、2Y、2M、2C イメージドラムユニット
3K、3Y、3M、3C LEDヘッド
4K、4Y、4M、4C 転写ローラ
5K、5Y、5M、5C 帯電ローラ
6K、6Y、6M、6C 感光体(感光ドラム)
7K、7Y、7M、7C 現像ローラ
8K、8Y、8M、8C 現像ブレード
9K、9Y、9M、9C トナー供給ローラ
10K、10Y、10M、10C トナーカートリッジ
12 搬送ベルト
13 駆動ローラ
14 従動ローラ
15 吸着ローラ
16 給紙ローラ
17 レジストローラ
18 ピンチローラ
19 給紙ガイド
20 用紙カセット
21 手差しトレイ
22 給紙ローラ
23 中間転写シート検出センサ
24 直接転写定着部
25 ヒートローラ
26 加圧ローラ
27a、27b 排出ローラ
28、128 間接転写装置
29、129 間接転写定着部
30 ヒートローラ
31 加圧ローラ
32 対象物供給トレイ
33 供給ローラ
35 搬送路
36a、36b 搬送ローラ
37a、37b 搬送ローラ
38 検出センサ
39、108 スタッカ
S1 用紙
S2 中間転写シート
S3、S4 対象物
40、140 印刷制御部
401 中間転写シート検出部
402 判断部
403 直接転写指示部
41 操作パネル
42 記録モード格納部
43 直接転写定着部の機構制御部
44,45 駆動モータ
46、146 制御部
461 対象物供給管理部
1461 対象物昇降管理部
462、1462 温度管理部
463、1463 間接転写指示部
47 伝送路
48 レバー
48a 支点
49 バネ
50 カム
50a 回転軸
52、53 ギヤ
56a、56b 搬送ローラ
57 搬送路
58a、58b 搬出ローラ
102 直接転写定着部
103 ヒートローラ
104 加圧ローラ
105a、105b 搬送ローラ
106 切替ガイド
106a 回転軸
107 搬送路
160 ヒータ
161 定着プレート
163 ホルダ
164a、164b バネ
165 ワイヤ
166 駆動モータ
167 温度センサ
168 検出センサ
169a、169b 搬送ローラ
170 搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位装置からの画像データに基づいて形成された現像剤像をシート状記録媒体上に転写し、該転写像を定着処理する画像形成手段を有する画像形成装置において、
前記画像形成手段へ供給されるシート状記録媒体が中間転写シートであることを検出する中間転写シート検出手段と、
前記中間転写シート検出手段からの検出情報に基づいて、前記画像形成手段で定着処理を行わせるか否かを判断する判断手段と、
前記画像形成手段で現像剤像が形成された中間転写シートを受けると、該中間転写シート上の現像剤像を対象物の表面上に転写し、該転写像を対象物の表面上に定着する間接転写手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成手段は、前記現像剤像を前記シート状記録媒体へ直接的に転写する直接転写部と、該直接転写部によりシート状記録媒体上へ転写された現像剤像を定着する直接転写定着部と、を備えており、
前記間接転写手段は、前記直接転写部において形成された前記シート状記録媒体としての中間転写シート上の現像剤像を対象物の表面上に間接転写する間接転写部と、該間接転写部により対象物の表面上に転写された現像剤像を定着する間接転写定着部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記中間転写シート検出手段は、中間転写シートからの反射光を検出する反射型光センサまたは中間転写シートを透過する光を検出する透過型光センサを用いることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記中間転写シート検出手段は、操作パネルから間接転写記録モードが指示されたことを示す前記検出情報を生成することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記シート状記録媒体は、用紙または中間転写シートであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記直接転写定着部は、複数種類のシート状記録媒体が共通して通過する搬送路に配置され、シート状記録媒体に現像剤像を定着させるべく圧接機能を備えた離間可能の圧接部を有しており、前記判断手段が前記画像形成手段による定着処理を行わないと判断した場合、定着処理を休止させるべく前記圧接部を離間状態にし、該圧接部に間隙を設けて、該間隙を通して前記現像剤像が形成された中間転写シートを通過させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記搬送路は、前記直接転写定着部を回避可能に形成されており、
前記判断手段が前記画像形成手段による定着処理を行わないと判断した場合、前記直接転写定着部を回避すべく、前記搬送経路が切替えられることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成の対象物は、少なくともシート状、板状、立方体状、円筒状、円錐状、角錐状、球状のいずれか一つ以上の形状であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成の対象物は、少なくとも繊維、木材、金属、プラスチック、石材、ガラス、セラミック材のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
上位装置からの画像データに基づいて像担持体上に形成された現像剤像をシート状記録媒体へ直接転写し画像形成する画像形成方法において、
供給されるシート状記録媒体が中間転写シートであることを検出することと、
前記中間転写シートであることを示す検出情報に基づいて、前記直接転写による画像形成処理を行うか否かを判断することと、
直接転写による画像形成処理を行わないとの判断が下されたとき、前記中間転写シート上に形成された現像剤像を間接転写による画像形成の対象物に転写し定着すること、
を備えることを特徴とする画像形成方法。
【請求項11】
前記シート状記録媒体が中間転写シートであることを示す検出情報に基づいて、前記直接転写による画像形成または前記間接転写による画像形成のいずれかを選択する直間転写選択工程と、
前記シート状記録媒体に転写された現像剤像を定着させる直接転写定着工程と、
前記中間転写シートの現像剤像を前記対象物に転写し、該転写像を前記対象物上に定着させる間接転写定着工程と、
前記検出情報に基づいて、前記直接転写定着工程または前記間接転写定着工程のいずれを選択する直間定着選択工程と、
前記直間転写選択工程で間接転写による画像形成が選択された場合、前記直接転写定着工程を回避すべく、現像剤像が形成された中間転写シートを搬送する搬送工程と、
を備えることを特徴とする請求項10に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−227059(P2006−227059A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37431(P2005−37431)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】