説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】 列車T内においてユーザの都合に応じた確実な画像形成処理を実行することができ、利便性が高い画像形成装置および画像形成方法を提供できる。
【解決手段】 ユーザが乗車する列車Tに設置される画像形成装置1は、ユーザに要求された印刷が列車Tに当該ユーザが乗っている時間内に完了するか否かを判断し、この判断により列車Tにユーザが乗っている時間内に印刷が完了すると判断した場合、当該ユーザが要求する印刷処理を実行し、上記判断により列車Tにユーザが乗っている時間内に印刷が完了しないと判断した場合、当該ユーザが要求した印刷が列車Tに乗っている時間内に完了しない旨を案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば、列車、自動車、航空機あるいは船舶などの移動体(乗物)に搭載されるデジタル複合機あるいはプリンタなどの画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車に搭載した印刷機器により画像形成を行う移動印刷システムが提案されている(例えば、特許文献1)。この特許文献1に記載のシステムでは、車に搭載した印刷機器により印刷を行う場合、当該車における加速度、減速度あるいは振動により印刷が可能か否かを判断する。この判断により、特許文献1のシステムは、印刷が不可能と判断した場合には印刷処理を中止し、印刷が可能と判断した場合にのみ印刷処理を実行する。
【0003】
しかしながら、上述したような従来のシステムでは、ユーザが移動体に乗っている時間内に印刷が完了するかを確認できない。たとえば、移動体が所定の時刻で運行する列車などである場合、ユーザが移動体に乗っている時間は、目的地に到着するまでの移動時間に限られる。このような移動体に搭載された印刷機器で開始した印刷処理が目的地に到着するまでに完了しない場合、ユーザは、印刷の完了を断念するか、あるいは、目的地で降りることを断念するかしなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の一形態は、移動体内においてユーザの都合に応じた確実な画像形成処理を実行することができ、利便性が高い画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の一形態としての画像形成装置は、ユーザが乗る移動体に設置されるものであって、ユーザにより要求された印刷が前記移動体に当該ユーザが乗っている時間内に完了するか否かを判断する判断手段と、この判断手段により前記移動体にユーザが乗っている時間内に前記印刷が完了すると判断した場合、当該ユーザが要求する印刷処理を実行する印刷手段とを有する。
【0006】
この発明の一形態としての画像形成方法は、ユーザが乗る移動体に設置される画像形成装置に用いられる方法であって、ユーザに要求された印刷が前記移動体に当該ユーザが乗っている時間内に完了するか否かを判断し、この判断により前記移動体にユーザが乗っている時間内に前記印刷が完了すると判断した場合、当該ユーザが要求する印刷処理を実行する。
【発明の効果】
【0007】
この発明の一形態によれば、移動体内においてユーザの都合に応じた確実な画像形成処理を実行することができ、利便性が高い画像形成装置および画像形成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、移動体としての列車に搭載された画像形成装置を含む画像形成システムの第1の構成例を概略的に示す図である。
【図2】図2は、移動体としての列車に搭載された画像形成装置を含む画像形成システムの第2の構成例を概略的に示す図である。
【図3】図3は、画像処理装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
【図4】図4は、列車内の画像処理装置における第1の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図5】図5は、操作パネルに降車駅の候補とともに、降車駅を選択する旨の案内を表示した表示例を示す図である。
【図6】図6は、降車駅周辺の車外の画像形成装置で印刷物が受取り可能である旨を案内する表示例を示す図である。
【図7】図7は、車外の画像形成装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図8】図8は、ユーザ端末の構成例を示すブロック図である。
【図9】図9は、第2の動作例におけるユーザ端末の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】図10は、ユーザ端末の表示部における印刷実行機(印刷場所)の選択画面の表示例を示す図である。
【図11】図11は、ユーザ端末の表示部に、降車駅の候補とともに、降車駅を選択する旨の案内を表示した表示例を示す図である。
【図12】図12は、ユーザ端末の表示部に表示される降車駅での印刷案内の表示例を示す図である。
【図13】図13は、列車内の画像処理装置における第2の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図14】図14は、列車の運行経路を模式的に示している。
【図15】図15は、図14に示す印刷禁止区間を示す情報を管理するためのデータテーブルの構成例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、移動体Tとしての列車に搭載された画像形成装置1を含む画像形成システムの第1の構成例を概略的に示す図である。また、図2は、移動体Tとしての列車に搭載された画像形成装置1を含む画像形成システムの第2の構成例を概略的に示す図である。
【0010】
図1及び図2に示すように、画像形成装置1は、移動体Tに搭載される。移動体Tとは、ユーザが搭乗する乗物である。移動体Tとしての乗物は、画像形成装置1が搭載でき、かつ、ユーザが搭乗する物であれば良く、たとえば、列車、自動車、飛行機あるいは船舶などである。なお、以下の説明では、主として、移動体Tが列車であることを想定する。すなわち、以下に説明する実施の形態では、列車Tに搭乗しているユーザが当該列車Tに搭載されている画像形成装置1で画像形成を行うという運用形態を想定するものとする。
【0011】
図1及び図2に示す画像形成装置1は、たとえば、デジタル複合機(MFP)あるいはプリンタである。本実施の形態では、主として、画像形成装置1がデジタル複合機(MFP)であることを想定して説明する。この画像形成装置1としてのデジタル複合機は、コピー機、プリンタ、スキャナ、あるいは、ネットワーク通信機として機能する。上記デジタル複合機1は、ユーザによる直接的な操作に応じてコピー処理あるいはプリント処理などを行う。
【0012】
また、上記画像形成装置1は、ネットワーク等を介して外部装置と通信する機能を有する。たとえば、画像形成装置1は、ユーザが操作する携帯型のユーザ端末(モバイルPC、携帯情報端末あるいは携帯電話機など)Uとのデータ通信機能を有し、ユーザが操作するユーザ端末からの要求に応じてプリント処理などを行う機能も有する。また、画像形成装置1は、列車内の通信設備2および車外のネットワーク5を介して車外に設置された画像形成装置6などにデータを送信する機能も有する。
【0013】
図1に示す画像形成システムは、ユーザが移動体Tとしての列車に搭載されている画像形成装置1を直接的に操作することにより、画像形成処理を行う運用形態を想定した構成例である。また、図2に示す画像形成システムは、移動体Tとしての列車内においてユーザが携帯型のユーザ端末(モバイルPC、携帯情報端末あるいは携帯電話機など)Uから当該移動体T内に設置された画像形成装置1あるいは当該移動体T外に設置された画像形成装置6に印刷を要求する運用形態を想定した構成例である。
【0014】
図1及び図2に示す構成例において、移動体としての列車Tは、外部とのデータ通信を行うための通信設備2を有している。すなわち、上記通信設備2は、列車T内に搭載されている画像形成装置1に接続される。また、上記通信設備2は、列車T外の漏洩同軸ケーブル3を介して車外ネットワーク5とのデータ通信を行う。上記車外ネットワーク5には、各駅などに設置される車外の画像形成装置6に接続されている。従って、列車Tに搭載された画像形成装置1は、列車Tの通信設備2を介して車外ネットワーク5に接続されている車外の画像形成装置6とのデータ通信を行うことが可能となっている。また、図2に示す構成例では、図1に示す構成に加えて、ユーザが所持しているユーザ端末Uが列車T内の通信設備2を介して列車T内の画像形成装置1と通信可能な構成となっている。
【0015】
次に、上記画像形成装置1の構成について説明する。
図3は、上記画像形成装置1の構成例を概略的に示すブロック図である。
図3に示すように、このデジタル複合機1は、操作パネル12、スキャナ部13、プリンタ部14、CPU(Central Processing Unit)21、RAM(Random Access Memory)22、ROM(Read Only Memory)23、不揮発性メモリ24、ハードディスクドライブ(HDD)25、タイマ26、時計27、ページメモリ28、画像インターフェース(I/F)29、画像処理部30、外部インターフェース(I/F)31、外部通信インターフェース(I/F)32、認証情報取得部33、GPS(Global Positioning System)34、および、加速度センサ35などにより構成される。
【0016】
上記操作パネル12は、ユーザからの操作指示が入力されるユーザインターフェースである。上記操作パネル12は、テンキーなどのハードキー、および、タッチパネル12b内蔵の表示部12aを有している。上記操作パネル12の表示部12aには、操作案内、あるいは、タッチパネル12bにて選択可能なタッチキー(アイコン)などが表示される。たとえば、上記操作パネル12では、上記表示部12aに表示したタッチキーへのユーザの接触(入力)をタッチパネル12bにより検知し、CPU21へ通知するようになっている。
【0017】
上記スキャナ部13は、原稿の画像を画像データに変換するものである。上記スキャナ部13は、たとえば、原稿の画像をカラーあるいはモノクロのデジタル画像データに変換する。上記スキャナ部13は、原稿面を光学的に走査する走査部(図示しない)、および、上記走査部により光学的に走査される原稿面からの反射光を電気信号に変換するCCDラインセンサ等の光電変換部(図示しない)などにより構成される。
【0018】
上記プリンタ部14は、被画像形成媒体上に画像を形成するものである。上記プリンタ部14は、被画像媒体を搬送する搬送部(図示しない)、搬送部により搬送される被画像形成媒体上にカラー画像あるいはモノクロ画像を形成する画像形成部(図示しない)などにより構成される。上記プリンタ部14では、上記CPU21による制御に基づいて画像データを被画像形成媒体にプリントする。たとえば、コピー処理において、上記プリンタ部14は、上記スキャナ部13により原稿から読み取った画像データを被画像形成媒体にプリントする。また、プリント処理において、上記プリンタ部14は、外部I/Fあるいは外部通信I/F32により入力した画像データを被画像形成媒体にプリントする。
【0019】
また、上記プリンタ部14には、プリンタ部14内の状態を検知するための各種の検知センサが設けられている。たとえば、上記プリンタ部14には、現像剤としてのトナーの残量を検知するトナー残量検知センサ(インク式プリンタの場合はインク残量検知センサ)14a、被画像形成媒体としての用紙の残量を検知する給紙残量検知センサ14b、および、用紙の搬送経路における紙詰まりを検知する紙詰まり検知センサ14cなどが設けられている。
【0020】
上記CPU21は、デジタル複合機1全体の制御を司る。上記CPU21は、ROM23、不揮発性メモリ24あるいはHDD25などに記憶されている制御プログラムを実行することにより種々の処理や種々の機能を実現する。たとえば、上記CPU21には、コピー用の制御プログラムでスキャナ部13およびプリンタ部14を制御することによりコピー処理を実現する。また、上記CPU21は、プリント用の制御プログラムで外部通信I/Fあるいは外部I/Fとプリンタ部14とを制御することによりプリント処理を実現する。
【0021】
上記RAM22は、作業用のデータを一時的に記憶したり、参照用のデータを記憶したりするメモリである。上記ROM23は、書換えができない不揮発性のメモリである。上記ROM23には、たとえば、当該デジタル複合機1を制御するための制御プログラムおよび制御データなどが格納される。上記不揮発性メモリ24は、書き換え可能な不揮発性のメモリである。上記不揮発性メモリ24は、EEPROMあるいはフラッシュROMなどにより構成される。上記不揮発性メモリ24には、たとえば、システム設定情報などが保存される。タイマ26は、経過時間を計時するものである。また、時計27は、現在時刻を計時するものである。
【0022】
上記HDD25は、大容量の記憶装置である。上記HDD25は、各種のデータのバックアップ用のメモリとしても用いられる。上記HDD25は、各種の設定データあるいは管理データを記憶する。上記HDD25は、当該デジタル複合機1内の各種の処理に要する時間に関する情報として、上記プリンタ部14による印刷処理に要する時間情報などを記憶する。また、上記HDD25は、必要に応じて外部I/F31あるいは外部通信I/F32で受信したデータ、あるいは、上記スキャナ部13により読取った画像データなども記憶する。また、上記HDD25には、当該列車Tに関する情報として、運行時刻情報および運行経路に関する情報なども記憶する。また、上記HDD25は、ユーザ認証のための認証情報を記憶するようにしても良い。なお、上記認証情報は、セキュアな記憶領域を確保して記憶することが好ましい。
【0023】
上記ページメモリ28は、少なくとも1ページ分の画像データを展開する記憶領域を有するメモリである。上記ページメモリ28は、画像I/F29により制御される。
上記画像処理部30は、画像データに対して種々の画像処理を施すものである。上記画像処理部30では、たとえば、画像データの補正、圧縮あるいは伸張などの画像処理を行う。図3に示す構成例では、上記画像処理部30は、スキャナ用の画像処理部として機能し、スキャナ部13により読み取った画像データを処理する。ただし、上記画像処理部30は、ページメモリ28から読み出した画像データあるいはHDD25から読み出した画像データに対して画像処理を施すようにしても良い。
【0024】
上記外部I/F31は、ユーザが所持する記憶媒体から直接的にデータを入出力するためのインターフェースである。本実施の形態では、上記外部I/F31は、プリンタ部14により被画像形成媒体にプリントすべき画像データを記憶媒体から取得する。ユーザが所持する記憶媒体としては、たとえば、USBメモリ、メモリカード、あるいは、USB接続可能な携帯端末機などを想定する。このような記憶媒体からデータを取得するため、上記外部I/F31は、たとえば、USBインターフェースあるいはカードリーダなどにより構成される。また、図3に示す構成例では、上記外部I/F31により取得した画像データは、ページメモリ28に格納される。
【0025】
上記外部通信I/F32は、ネットワークあるいは無線通信を経由してデータを入出力するためのインターフェースである。図2に示すシステム構成例では、上記外部通信I/F32は、列車Tに設置されている通信設備に接続するためのネットワークインターフェースである。本実施の形態において、上記外部通信I/F32は、車外ネットワーク5としてのLCX3に接続する機能と、ユーザが所持するモバイル型のユーザ端末Uと通信を行う機能とを実現するものであれば良い。なお、ユーザ端末Uとの通信は、通信設備2により列車T内のネットワークを介して行うものであっても良いし、ユーザ端末Uの無線通信機能と直接的に無線通信を行うものであっても良い。
【0026】
上記認証情報取得部33は、ユーザの認証情報を取得するものである。上記認証情報取得部33は、ユーザの認証情報として、暗証番号、パスワード、生体情報(たとえば、指紋、顔画像、虹彩、静脈パターン等)、IDカード(たとえば、ICカード等)に記録されている識別情報などを取得する。暗証番号あるいはパスワードを取得する場合、認証情報取得部33は、テンキーあるいはキーボードなどにより構成される。この場合、認証情報取得部33は、テンキーあるいはタッチパネルなどを有する操作パネル12により実現するようにしても良い。また、IDカードから識別情報を取得する場合、認証情報取得部33は、IDカードに記録されている識別情報を読取るカードリーダにより構成される。また、ユーザの生体情報を取得する場合、認証情報取得部33は、取得する生体情報に応じた生体情報取得部により構成する。たとえば、生体情報が指紋であれば、認証情報取得部33は指紋スキャナにより構成される。
【0027】
上記GPS34は、当該画像形成装置(当該画像形成装置が搭載されている列車T)の位置を識別するものである。上記GPS34は、人口衛星が発信した電波を捉え、緯度および経度などの位置を検出する。本実施の形態では、当該列車Tの現在位置を検出できれば良い。つまり、当該列車Tの現在位置を検出するものは、GPSに限定されるものでない。たとえば、列車Tの現在位置は、線路内の各所に設けられた装置により検出するようにしても良い。
【0028】
上記加速度センサ35は、当該列車Tの加速度を検出するものである。上記加速度センサ35は、デジタル複合機1内に設置するものでなくとも良い。たとえば、デジタル複合機1は、当該列車Tの速度および加速度などは、当該列車Tの駆動制御系から取得するようにしても良い。また、上記デジタル複合機1には、ゆれ及び振動などを検知するために振動センサ(図示しない)などを設けるようにしても良い。
【0029】
次に、列車T内に設置された画像形成装置1の第1の動作例について説明する。
図4は、第1の動作例における列車T内の画像形成装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
この第1の動作例では、列車Tに乗車している人物がUSBメモリに記憶したデータの印刷を画像形成装置1により実行する場合を想定する。この場合、ユーザは、持参しているUSBメモリを当該列車Tに搭載されている画像形成装置1の外部I/F31に接続する。すると、画像形成装置1のCPU21は、外部I/F31に外部メモリとしてのUSBメモリが接続されたことを検知し、プリントなどの操作案内を操作パネル12の表示部12aに表示する。この状態において、CPU21は、ユーザによるプリントの指示を受け付ける(ステップS11)。ユーザは、操作パネル12に表示された操作案内に従ってUSBメモリ内のデータをプリントする指示を入力する。
【0030】
ユーザが操作パネル12によりプリント開始を指示すると、CPU21は、当該ユーザの降車駅情報(ユーザが降りる予定に関する情報)を取得する処理を行う(ステップS12)。ユーザの降車駅は、種々の手法で取得することが考えられる。たとえば、操作パネル12でユーザに降車駅を入力させるようにしても良いし、ユーザが所持している乗車券あるいは乗車券情報を記憶している記憶媒体から降車駅情報を読み取るようにしても良い。
【0031】
たとえば、ユーザに降車駅を入力させる形態は、画像形成装置1の操作パネル12により降車駅をユーザ自身に入力させることにより実現できる。図5は、操作パネル12に降車駅の候補とともに、降車駅を選択する旨の案内を表示した表示例を示す図である。図5に示す表示例では、操作パネル12の表示部12aには、「どちらの駅で降車予定ですか」という案内が表示されている。この案内とともに、操作パネル12の表示部12aには、タッチパネル12bにより選択可能な複数の降車駅候補のタッチキー(アイコン)が表示されている。図5に示す例では、降車駅候補のタッチキーとして、「○○」、「××」、「△△△」、「○×△」、「○△」、「×○×」などが表示されている。このような降車駅の選択画面に対して、ユーザは、降車駅が表示されているタッチキーに触れる。
【0032】
また、ユーザが所持する乗車券あるいは記憶媒体から降車駅情報を取得する形態は、画像形成装置1に、乗車券あるいは乗車券情報を記憶している記憶媒体から降車駅情報を読み取るカードリーダを設けることにより実現できる。この場合、画像形成装置1は、乗車券あるいは記憶媒体をカードリーダに提示する旨の案内を操作パネル12により表示しつつ、カードリーダによりユーザが提示する乗車券あるいは記憶媒体から降車駅情報を読み取るようにすれば良い。
【0033】
なお、当該ユーザが降車駅が明らかである場合、降車駅情報を取得する処理は、省略される。たとえば、列車が停車する駅が1つである場合、降車駅情報は、ユーザが取得することなく確定される。また、航空機、船舶、長距離バスなどの移動体で、移動する運行区間(降りる場所)が特定される場合、ユーザから降車駅情報(降車に関する情報)を取得する必要がないと考えられる。
【0034】
降車駅情報を取得すると、CPU21は、当該ユーザが降車するまでの時間を算出する(ステップS13)。降車するまでの時間は、例えば、現在の時刻と降車駅の到着予定時刻により算出するようにして良い。この場合、所定の簡単な計算により降車するまでの時間が算出できる。また、降車駅の到着予定時刻は、当該列車Tの所定の運用予定時刻(定刻)により特定するようにしても良いし、運行管理システムなどの当該列車外のシステムから取得するようにしても良い。
【0035】
また、降車駅に到着するまでの時間は、GPS34により計測される現在の位置と現在時刻とに基づいて降車駅までの所要時間を算出するようにしても良い。この場合、当該列車Tが定刻よりも遅れて運行されていても、実際の運行状況に応じて降車駅までの時間を高精度に算出できる。また、ユーザが降車するまでの時間としては、実際に列車Tが降車駅に到着する予定時間であっても良いし、ユーザによる降車準備の時間を加味したユーザが降車駅で確実に降車可能な予定時間であっても良い。
【0036】
当該ユーザが降車するまでの時間を算出すると、CPU21は、ユーザにより要求された印刷が完了する予定の時間(印刷完了予定時間)を算出する(ステップS14)。印刷完了予定時間は、印刷処理の中断無しで、当該ユーザが要求した印刷を画像形成装置1が完了するまでに要する時間(印刷処理の実働時間)、および、画像形成装置1が印刷処理を停止(中断)しなければならない時間帯(印刷停止時間帯)などにより算出する。なお、当該ユーザが要求する印刷処理に対して用紙あるいはトナーなどが不足している場合、当該画像形成装置1では、不足分が補充されるまで、印刷開始が不可であると判断するようにしても良い。
【0037】
印刷処理の実働時間は、実行すべき印刷内容と当該画像形成装置1の処理能力(印刷速度等)とにより算出されるものである。また、印刷処理の実働時間には、要求された印刷処理に要する時間の他に、当該画像形成装置1が実行中の処理(ジョブ)、実行待ちのジョブ(処理)およびウォーミングアップに要する時間などが含まれるものとする。つまり、印刷処理の実働時間は、印刷処理の中断が無いと仮定した状態において、画像形成装置1がユーザにより要求された印刷を完了するまでの時間である。また、印刷処理の実働時間は、たとえば、印刷枚数、解像度、カラー、モノクロ、両面、片面、変倍、画質補正の有無、および、ステープルの有無などの印刷処理の内容に応じた画像形成装置1の印刷速度により算出される。
【0038】
上記印刷停止時間帯は、当該列車の運行状況に応じて算出される。ここでは、上記印刷停止時間帯は、印刷処理が禁止される区間(印刷禁止区間)を列車Tが通過する間の時間であるものとする。たとえば、印刷禁止区間に達する前に印刷処理が完了する場合、印刷停止時間帯は無しとなり、印刷処理が完了する前に印刷禁止区間に到達する場合、印刷停止時間帯は当該印刷禁止区間を当該列車Tが通過する時間となる。なお、印刷停止時間帯については、後で詳細に説明するものとする。
【0039】
印刷完了予定時間を算出すると、CPU21は、当該ユーザが降車するまでに印刷が完了するか否かを判断する(ステップS15)。ユーザが降車するまでに印刷が可能であると判断した場合(ステップS15、YES)、CPU21は、当該ユーザが要求された印刷処理を開始する(ステップS16)。この場合、ユーザが画像形成装置1の近傍に居ることを想定しているため、CPU21は、当該印刷処理によって印刷された印刷物を順次、画像形成装置1の図示しない排出部に出力する(ステップS17)。当該ユーザに要求された印刷が完了すると、CPU21は、画像形成装置1内に取り込んだ印刷データを全て削除し(ステップS18)、印刷処理を完了する。
【0040】
なお、画像形成装置内における不具合あるいはユーザの都合などの突発的な理由によって印刷開始後(つまり、印刷処理中)に印刷処理を強制的に中止する場合、CPU21は、プリント中の用紙を排出し、画像形成装置1内に取り込んだ印刷データを全て削除するようにすれば良い。
【0041】
また、ユーザが降車するまでに印刷が完了しないと判断した場合(ステップS15、NO)、CPU21は、降車までに印刷が完了しない旨の案内を操作パネル12の表示部12aに表示する(ステップS19)。さらに、CPU21は、当該ユーザが降車後に印刷物を受け取り可能な車外の画像形成装置を車外ネットワーク5に接続されている画像形成装置6から検索する(ステップS20)。
【0042】
たとえば、CPU21は、ユーザが降車後に印刷物を受取ることが可能な車外の画像形成装置として、降車駅あるいは降車駅周辺に設置されている車外の画像形成装置6を検索する。なお、車外ネットワーク5に接続されている印刷処理が可能な画像形成装置6を示す情報(つまり、検索対象となるデータ)は、当該画像形成装置1の記憶部(たとえばHDD25)に記憶するようにしても良いし、車外ネットワーク5を介して接続可能なサーバ(図示しない)で管理するようにしても良い。
【0043】
ユーザが降車後に印刷物を受け取ることが可能な画像形成装置が無い場合(ステップS21、NO)、CPU21は、上記ステップS19の案内とともに、当該印刷が不可である旨を案内し、当該画像形成装置1に取り込んだ印刷データを全て削除する(ステップS18)。なお、この場合、当該画像形成装置1のCPU21は、操作パネル12の表示部12aを用いて、降車後に印刷物が受取り可能な画像形成装置が存在しない旨を案内したり、降車までに印刷可能な印刷内容(例えば、印刷可能なページ数)を案内したりするようにしても良い。
【0044】
また、ユーザが降車後に印刷物を受け取ることが可能な画像形成装置が有る場合(ステップS21、YES)、CPU21は、上記ステップS19の案内とともに、降車後に印刷物が受取り可能な車外の画像形成装置6を示す案内を操作パネル12の表示部12aに表示する(ステップS22)。たとえば、降車駅に設置されている画像形成装置6が車外ネットワーク5に接続されている場合、CPU21は、降車駅に設置されている画像形成装置で印刷物の受取り可能である旨の案内を操作パネル12の表示部12aに表示する。
【0045】
図6は、降車駅の画像形成装置6で印刷物が受取り可能である旨を案内する案内表示(降車駅での印刷案内)の表示例を示す図である。図6に示す表示例では、降車までに印刷が完了できない旨と、降車駅の画像形成装置6で印刷(印刷物の受取り)が可能である旨と、降車駅の画像形成装置6で印刷を実行させるか否かをユーザが選択するためのタッチキーK1、K2と、が表示されている。
【0046】
すなわち、図6に示す表示例において、「はい」と表示されたタッチキーK1は、降車駅の画像形成装置6で印刷を実行させること(つまり、降車駅の画像形成装置で印刷物を受取ること)を指示するキーであり、「いいえ」と表示されたタッチキーK2は、降車駅の画像形成装置6での印刷および当該印刷のキャンセルを指示するキーである。なお、図6に示す表示例では、降車までに印刷が完了できない旨の案内として、「降車駅到着○分前までに印刷を完了することは出来ません」という案内が表示されている。これは、降車準備に必要な時間を○分と想定しているものである。
【0047】
ユーザが降車後に車外の画像形成装置で印刷物を受取ることを選択しない場合、あるいは、当該印刷のキャンセルを指示した場合(ステップS23、NO)、CPU21は、当該ユーザから要求された印刷(外部I/F31にユーザが接続したUSBメモリから取得する印刷データの印刷)を中止する。この場合、CPU21は、操作パネル12の表示部12aに当該印刷が不可である旨を案内し、当該画像形成装置1に取り込んだ印刷データを全て削除する(ステップS18)。なお、この場合、当該画像形成装置1のCPU21は、操作パネル12の表示部12aを用いて、降車までに印刷可能な印刷内容(例えば、印刷可能なページ数)を案内したりするようにしても良い。
【0048】
また、ユーザが降車後に車外の画像形成装置6で印刷物を受取ることを選択した場合(ステップS23、YES)、CPU21は、当該ユーザから車外の画像形成装置6で印刷物を受取るための認証情報を取得する(ステップS24)。この認証情報は、ユーザを認証でき、かつ、車外の画像形成装置6で取得可能な情報であれば良い。認証情報は、車外の画像形成装置6に設けられた認証情報取得部33で取得される情報(ユーザが所持する記憶媒体から読み取る認証情報あるいはユーザの生体情報など)である。ただし、認証情報は、操作パネル12で入力可能なパスワードあるいは暗証番号などであっても良い。
なお、認証情報は、印刷を実行する車外の画像形成装置6が発行する情報であっても良い。このような形態は、車外の画像形成装置6へ印刷要求を行った際に当該画像形成装置6から認証情報が送信されるようにすれば良い。
【0049】
印刷物を受取るための認証情報を取得すると、CPU21は、取得した認証情報と上記外部I/F31にユーザが接続したUSBメモリから取得する印刷データとを、外部通信I/F32により車外ネットワーク5を介して印刷を実行する車外の画像形成装置6へ転送する(ステップS25)。認証情報と印刷データとを車外の画像形成装置6へ転送するとともに、列車T内の画像形成装置1のCPU21は、降車後の印刷物の受取り案内を操作パネル12の表示部12aに表示する(ステップS26)。
【0050】
この場合、表示部12aには、降車後に印刷物を受取る画像形成装置(たとえば、降車駅の画像形成装置)6の案内(例えば、降車駅内の設置場所の案内など)、あるいは、印刷物を受取るための認証情報の確認画面などが表示される。なお、表示部12aに表示される情報は、降車後に印刷物を受取るための重要な情報である。このため、表示部12aに表示される情報は、当該画像形成装置1のプリンタ部14により用紙に印刷して当該ユーザに渡すようにしても良い。
【0051】
次に、第1の動作例において、列車T内の画像形成装置1から印刷データと認証情報とを受信した車外(降車駅)の画像形成装置6の動作について説明する。
図7は、車外の画像形成装置6の動作例を説明するためのフローチャートである。
すなわち、列車T内の画像形成装置1から転送された印刷データ及び認証情報は、車外ネットワーク5を介して降車駅の画像形成装置6により受信される(ステップS30)。印刷データ及び認証情報を受信した画像形成装置6では、上記印刷データに基づく印刷処理を実行する(ステップS31)。
【0052】
この印刷処理により得られた印刷物は、受信した認証情報に基づく認証処理によって認証が成功した受取人にのみ受け渡すべきものである。このため、当該画像形成装置6のCPUは、印刷処理で得られた印刷物を図示しない保護機構により保管するともに、保管した印刷物を受信した認証情報に対応づけて管理する(ステップS32)。なお、印刷物を保管(保護)する機構としては、認証が成功した場合に開放されるカバーを排紙部(例えば、排紙ビン)に設置する構成が考えられる。また、印刷物を保管する手段としては、認証が成功した場合に排出可能となる画像形成装置6内部の保留部に印刷物を保留するようにしても良い。
【0053】
一方、上記列車Tを降車したユーザは、降車駅の画像形成装置6へ向かう。降車駅の画像形成装置6に到着したユーザ(受取人)は、画像形成装置6の操作パネル12により印刷物の受取り指示を入力するとともに、画像形成装置6の認証情報取得部に認証情報を入力する(ステップS33)。当該受取人が印刷物を受取るためには、画像形成装置6の認証情報取得部に入力する認証情報は、上記ステップS24で列車T内の画像形成装置1で入力した認証情報と同一である必要がある。ここでは、認証情報は、認証情報取得部33により取得される情報(ユーザが所持する記憶媒体から読み取る認証情報あるいはユーザの生体情報など)であること想定している。このため、受取人は、画像形成装置6の認証情報取得部により認証情報を入力する。ただし、認証情報が暗証番号あるいはパスワードなどの操作パネル12により入力可能な情報である場合、受取人は、操作パネル12を用いて認証情報を入力するようにしても良い。
【0054】
上記認証情報取得部により受取人からの認証情報を取得すると、CPU21は、取得した認証情報と保管している印刷物に対応づけられている認証情報とが一致するか否かによる認証処理を行う(ステップS34)。この認証処理により当該受取人の認証が成功した場合(ステップS34、YES)、CPU21は、当該認証情報に対応づけている印刷物を受取り可能とすることにより、印刷物を受取人に受け渡す(ステップS35)。
【0055】
上記のような第1の動作例によれば、ユーザが列車に乗車している間に印刷が完了するか否かを確認することができる。さらに、ユーザが降車するまでに印刷が完了しない場合には降車後に当該ユーザが受取り可能な車外の画像形成装置での印刷物の受け渡しを提示することも可能である。車外の画像形成装置で印刷物を受け渡す場合には認証情報による認証を行うため、セキュリティ上も安心して利用することが出来る。
【0056】
なお、上記第1の動作例は、外部I/F31から取り込む印刷データの印刷に限定されるものではない。たとえば、第1の動作例は、コピー処理においても適用できる。特に、複数部数のコピーを行う場合、複数部数のプリントに時間がかかることが考えられる。このうな場合、第1の動作例のように、降車までの時間を考慮して画像形成処理を制御することにより、確実な画像形成処理(コピー処理)が実現できる。
【0057】
次に、列車T内に設置された画像形成装置1の第2の動作例について説明する。
この第2の動作例では、図2に示すように、列車T内の任意の位置(例えば座席)でユーザがモバイル型のユーザ端末Uにより画像形成装置1での印刷処理を要求する場合を想定する。この場合、ユーザのユーザ端末Uは、列車Tに搭載されている通信設備2等を介して当該列車T内の画像形成装置1と通信を行う。ユーザ端末Uは、通信可能となった画像形成装置1に対して印刷条件及び印刷データ等を転送することにより印刷要求を行う。
【0058】
図8は、ユーザ端末Uの構成例を示すブロック図である。
図8に示すように、ユーザ端末Uは、CPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42、RAM(Random Access Memory)43、不揮発性メモリ44、時計45、表示部51、操作部52、外部通信インターフェース(I/F)53および認証情報取得部54などを有する。
【0059】
上記CPU41は、ユーザ端末U全体の制御を司る。上記CPU41は、ROM42あるいは不揮発性メモリ44などに記憶されているプログラムを実行することにより種々の処理や種々の機能を実現する。上記ROM42は、書換えができない不揮発性のメモリである。上記ROM42には、たとえば、当該ユーザ端末Uの基本的な動作を司る制御プログラムおよび制御データなどが格納される。上記RAM43は、作業用のデータを一時的に記憶したり、参照用のデータを記憶したりするメモリである。上記不揮発性メモリ44は、書き換え可能な不揮発性のメモリである。上記不揮発性メモリ44は、たとえば、EEPROM、フラッシュROMあるいはハードディスクドライブ(HDD)などにより構成される。上記不揮発性メモリ44には、たとえば、システム設定情報などを保存したり、各種の制御プログラムおよび各種の制御データなどが記憶される。また、不揮発性メモリ44には、ユーザが適宜保存する各種のデータなども記憶されるものとする。たとえば、印刷データなども、不揮発性メモリ44に記憶される。上記時計45は、現在の時刻を計時する。
【0060】
上記表示部51は、CPU41により表示制御される。たとえば、画像形成装置に印刷要求を行う場合、上記表示部51には、操作案内などが適宜表示される。上記操作部52は、キーボード、テンキーあるいはポインティングデバイス(例えば、タッチパット、マウス等)などにより構成される。また、上記操作部52は、表示部51に内蔵されるタッチパネルにより構成するようにしても良い。
【0061】
上記外部通信I/F53は、ネットワークあるいは無線通信を経由してデータを入出力するためのインターフェースである。図1に示すシステム構成例では、上記外部通信I/F53は、列車Tに設置されている通信設備2に接続するためのネットワークインターフェースである。本実施の形態において、上記外部通信I/F53は、通信設備2を介してLCX3を経由して車外ネットワーク5に接続する機能と、列車T内に設置されている画像形成装置1と通信を行う機能とを実現する。なお、ユーザ端末Uと画像形成装置1との通信は、通信設備2を用いて列車T内のネットワークを介して行うものであっても良いし、ユーザ端末Uの無線通信機能と直接的に無線通信を行うものであっても良い。
【0062】
上記認証情報取得部54は、ユーザの認証情報を取得するものである。上記認証情報取得部54は、上記画像形成装置1の認証情報取得部33と同様な認証情報を取得するものであれば良い。すなわち、上記認証情報取得部54は、暗証番号、パスワード、生体情報(たとえば、指紋、顔画像、虹彩、静脈パターン等)、IDカード(たとえば、ICカード等)に記録されている識別情報などを認証情報として取得するものである。なお、ユーザ端末Uは、特定のユーザが利用するものであれば、当該ユーザ(当該ユーザ端末Uの使用者)の認証情報を不揮発性メモリ44内のセキュアな記憶領域に記憶しておくようにしても良い。
【0063】
上記のように構成されるユーザ端末Uでは、画像形成装置1あるいは画像形成装置6に印刷要求を行う機能を有する。この機能は、たとえば、印刷制御用のプログラムをユーザ端末Uにインストールすることにより実現される。すなわち、ユーザ端末Uでは、CPU41が不揮発性メモリ44に記憶する印刷制御用のプログラム44aを実行することにより後述する第2の動作例としての各処理を実現するものとする。
【0064】
図9は、第2の動作例におけるユーザ端末Uの動作を説明するためのフローチャートである。
まず、ユーザ端末Uからの印刷要求を行う場合、ユーザは、当該ユーザ端末Uにおいて印刷制御用のプログラムを起動させる。すると、当該ユーザ端末UのCPU41は、印刷可能な車内の画像形成装置の情報を取得する処理を行う(ステップS41)。この処理は、ユーザ端末Uの外部通信I/Fが当該列車Tの通信設備2を介して当該列車T内に設置されている印刷可能な画像形成装置1から情報を取得することにより実現される。
【0065】
当該列車T内における印刷可能な画像形成装置の情報を取得すると、CPU41は、それらの画像形成装置をそれぞれ印刷可能な車内の画像形成装置として選択可能な案内を表示部51に表示する(ステップS42)。
たとえば、図10は、ユーザ端末Uの表示部51における印刷実行機(印刷場所)の選択画面の表示例を示す図である。図10に示す表示例では、当該列車T内の画像形成装置1として、○両面に設置されている画像形成装置(「○両面」と表示されたアイコン)と△両目に設置されている画像形成装置(「△両面」と表示されたアイコン)とが選択可能となっている。さらに、図10に示す表示例では、降車駅(降車駅周辺)に設置されている車外の画像形成装置(「降車駅で」と表示されたアイコン)、ユーザが指定する車外の画像形成装置(「ユーザ指定」と表示されたアイコン)、あるいは、印刷の中止(「キャンセル」と表示されたアイコン)が選択可能となっている。図10に示すような選択画面が表示部51に表示された状態において、ユーザは、操作部52により印刷を実行する画像形成装置を選択する。
【0066】
ユーザが車内の画像形成装置での印刷を選択した場合(ステップS43、YES)、CPU41は、当該ユーザから降車駅情報を取得する処理を行う(ステップS44)。ユーザから降車駅情報を取得する手法は、上記ステップS12で説明したものと同様な手法が適用できる。たとえば、降車駅情報は、ユーザが操作部52により直接的に指示するようにしても良いし、ユーザが所持する乗車券あるいは記憶媒体から降車駅情報を読み取るようにしても良い。
【0067】
図11は、ユーザ端末Uの表示部51に、降車駅の候補とともに、降車駅を選択する旨の案内を表示した表示例を示す図である。図11に示す表示例では、表示部51には、「どちらの駅で降車予定ですか」という案内が表示されている。また、図11の表示例では、選択可能な複数の降車駅候補のアイコンとして、「○○」、「××」、「△△△」、「○×△」、「○△」、「×○×」が表示部51に表示されている。このような降車駅の選択画面に対して、ユーザは、操作部52を操作して降車駅を選択する。
【0068】
ユーザから降車駅情報を取得すると、CPU41は、ユーザが指定した車内の画像形成装置1に対して印刷要求を送信する(ステップS45)。ここでは、印刷要求として、印刷内容、および降車駅情報が送信される。なお、印刷データ本体は、印刷要求とともに画像形成装置1へ送信しても良いし、印刷開始後に順次画像形成装置1へ送信するようにしても良い。
【0069】
印刷要求を送信した後、CPU41は、当該画像形成装置1からの当該印刷要求に対する応答を待つ。印刷要求に対する画像形成装置1からの応答では、後述するような降車までに印刷を完了することが可能か否かを示す情報などが得られる。すなわち、画像形成装置1から印刷要求に対応する応答を受信すると(ステップS46)、CPU41は、当該印刷が指定した車内の画像形成装置で可能か否かを確認する(ステップS47)。ユーザが指定した車内の画像形成装置1での印刷が可能であることを確認した場合(ステップS47、YES)、CPU41は、当該印刷処理により得られる印刷物を受取るための認証情報の入力をユーザに促す案内を表示部51に表示する(ステップS48)。
【0070】
このような認証情報の入力案内に応じて、ユーザは、認証情報取得部54に認証情報を入力する。すると、CPU41は、認証情報取得部54に入力された情報を認証情報として取得する(ステップS49)。認証情報を取得すると、CPU41は、印刷要求を送った画像形成装置1に対して認証情報も送信する(ステップS50)。認証情報を送信した場合、CPU41は、当該ユーザに対して上記車内の画像形成装置1から印刷物を受取るための受取り案内を表示部51に表示する(ステップS51)。この車内での受取り案内では、たとえば、印刷を実行する画像形成装置1の設置位置および当該印刷処理により得られる印刷物を受取るための認証情報などが案内表示される。
【0071】
また、上記印刷要求に対する応答によりユーザが指定した車内の画像形成装置1では降車までに印刷が完了しないことを確認した場合(ステップS47、YES)、CPU41は、降車までに印刷が完了しないことともに、降車駅周辺の画像形成装置6による印刷の案内(降車駅での印刷案内)を表示部51に表示する(ステップS52)。この場合、表示部51に表示する案内は、上述した図6と同様なもので良い。
【0072】
図12は、ユーザ端末Uの表示部51に表示される降車駅での印刷案内の表示例を示す図である。図12に示す表示例では、指定された車内の画像形成装置1では降車までに印刷が完了できない旨と、降車駅周辺の画像形成装置6で印刷(印刷物の受取り)が可能である旨と、降車駅の画像形成装置6で印刷を実行させるか否かをユーザが選択するためのアイコンと、が表示されている。この状態において降車駅の画像形成装置6で印刷しない旨を指示した場合、あるいは、図10に示すような印刷場所の選択画面において印刷のキャンセルを指示した場合(ステップS53、NO)、CPU41は、印刷処理をキャンセルする。
【0073】
また、図12に示すような降車駅での印刷案内において降車駅の画像形成装置6での印刷が指示された場合、あるいは、図10に示すような印刷場所の選択画面において降車駅の画像形成装置での印刷が指示された場合(ステップS53、YES)、CPU41は、降車駅情報が取得済みでなければ、上記ステップS44と同様に降車駅情報を取得する(ステップS55)。降車駅情報を取得すると、CPU41は、車外ネットワーク5に接続され、当該ユーザが降車後に印刷物を受け取り可能な降車駅周辺に設置されている画像形成装置を検索する処理を行う(ステップS56)。この検索処理は、上記ステップS20と同様な処理により実現できる。
【0074】
ユーザが降車後に印刷物を受け取ることが可能な画像形成装置が検出できなかった場合(ステップS57、NO)、CPU21は、降車駅周辺に印刷可能な画像形成装置1が存在しない旨を案内するとともに、当該印刷をキャンセル処理を行う(ステップS54)。また、ユーザが降車後に印刷物を受け取ることが可能な画像形成装置が検出された場合(ステップS57、YES)、CPU21は、検出した降車駅周辺の画像形成装置(つまり、降車後に印刷物が受取り可能な車外の画像形成装置)6を示す案内を表示部51に表示する(ステップS58)。たとえば、降車駅に設置されている画像形成装置6が車外ネットワーク5に接続されている降車駅に設置されている画像形成装置6が検出された場合、CPU21は、降車駅に設置されている画像形成装置で印刷物の受取り可能である旨の案内を表示部51に表示する。
【0075】
ユーザが降車後に車外の画像形成装置で印刷物を受取ることを選択しない場合、あるいは、当該印刷のキャンセルを指示した場合(ステップS59、NO)、CPU41は、当該印刷をキャンセルする。
また、ユーザが降車駅周辺の画像形成装置6で印刷物を受取ることを選択した場合(ステップS59、YES)、CPU21は、当該ユーザから車外の画像形成装置6で印刷物を受取るための認証情報を取得する(ステップS60)。この認証情報は、ユーザを認証できるものであり、かつ、車外の画像形成装置6で取得可能な情報であれば良い。ここでは、認証情報は、車外の画像形成装置6に設けた認証情報取得部33により取得される情報(ユーザが所持する記憶媒体から読み取る認証情報あるいはユーザの生体情報など)であること想定する。ただし、認証情報は、たとえば、操作パネル12で入力可能なパスワードあるいは暗証番号などであっても良い。
なお、認証情報は、印刷を実行する車外の画像形成装置6が発行する情報であっても良い。このような形態は、車外の画像形成装置6へ印刷要求を行った際に当該画像形成装置6から認証情報が送信されるようにすれば良い。
【0076】
印刷物を受取るための認証情報を取得すると、CPU21は、取得した認証情報と実際に用紙に印刷すべきデータを含む印刷データとを外部通信I/F32により車外ネットワーク5を介して印刷を実行する車外の画像形成装置6へ送信する(ステップS61)。認証情報と印刷データとを車外の画像形成装置6へ送信した場合、ユーザ端末UのCPU41は、表示部51に降車後の印刷物の受取り案内を表示する(ステップS62)。この受取り案内では、降車後に印刷物を受取る画像形成装置6の案内(例えば、降車駅内の設置場所などの案内)、および、印刷物を受取るための認証情報の確認画面などが表示される。
【0077】
なお、上述したステップS56乃至S61の各処理は、ユーザ端末Uからの印刷要求を受けた列車T内の画像形成装置1が実行するようにしても良い。これらの処理を列車T内の画像形成装置1が実行する手順は、上記第1の動作例で説明したステップS20乃至S25の処理と同様に実現できる。
【0078】
次に、第2の動作例において、ユーザ端末Uからの印刷要求に対する列車T内の画像形成装置1の動作について説明する。
図13は、第2の動作例における列車T内の画像形成装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
まず、列車T内の画像形成装置1では、ユーザ端末Uからの送信された印刷要求と降車駅情報とを受信する(ステップS71、S72)。
当該画像形成装置1のCPU21では、受信した降車駅情報に基づいて、当該ユーザが降車するまでの時間を算出する(ステップS73)。降車するまでの時間は、上記第1の動作例で説明したステップS13と同様な処理により算出可能である。また、降車するまでの時間を算出すると、CPU21は、ユーザにより要求された印刷が完了する予定の時間(印刷完了予定時間)を算出する(ステップS74)。印刷完了予定時間は、上記第1の動作例で説明したステップS14と同様な処理により算出可能である。
【0079】
印刷完了予定時間を算出すると、CPU21は、当該ユーザが降車するまでに印刷が完了するか否かを判断する(ステップS75)。この判断によりユーザが降車するまでに印刷が完了しないと判断した場合(ステップS75、NO)、CPU21は、降車するまでに印刷が完了しない旨の通知を印刷要求元のユーザ端末Uに対して送信する(ステップS76)。この場合、CPU21は、当該画像形成装置1に既に取り込んだ印刷データがあれば、全てを削除する(ステップS84)。
【0080】
また、ユーザが降車するまでに印刷が可能であると判断した場合(ステップS75、YES)、CPU21は、当該ユーザを認証するための認証情報をユーザ端末Uへ要求し(ステップS77)、ユーザ端末Uから認証情報を取得する処理を行う(ステップS78)。この第2の動作例では、ユーザは、車内の画像形成装置1と離れた場所(たとえば、自席)に居ることが想定される。このため、画像形成装置1による印刷結果としての印刷物は、セキュリティを保護する必要がある。従って、画像形成装置1では、印刷物を認証情報による認証が成功した人にのみ受け渡すものとする。このような認証処理を行うため、画像形成装置1のCPU21は、ユーザ端末Uへ認証情報を要求し、ユーザ端末Uから認証情報を取得する。なお、認証情報は、画像形成装置1側で発行してユーザ端末Uへ通知するようにしても良い。
【0081】
上記のような認証情報を取得すると、当該画像形成装置1のCPU21は、ユーザ端末Uから与えられた印刷要求に応じた印刷処理を実行する(ステップS79)。この場合、画像形成装置1のCPU21は、当該印刷処理で得られた印刷物を図示しない保護機構により保管するともに、保管した印刷物を受信した認証情報に対応づけて管理する(ステップS80)。なお、印刷物を保管(保護)する機構としては、認証が成功した場合に開放されるカバーを排紙部(例えば、排紙ビン)に設置する構成が考えられる。また、印刷物を保管する手段としては、認証が成功した場合に排出可能となる画像形成装置6内部の保留部に印刷物を保留するようにしても良い。
【0082】
一方、上記列車T内では、ユーザ端末Uを用いて印刷要求を行ったユーザは、降車前に印刷を要求した車内の画像形成装置1へ向かう。車内の画像形成装置1に来たユーザ(受取人)は、画像形成装置1の操作パネル12により印刷物の受取り指示を入力するとともに、画像形成装置1の認証情報取得部33に認証情報を入力する(ステップS81)。当該受取人が印刷物を受取るためには、画像形成装置1の認証情報取得部33に入力する認証情報は、上記ステップS78でユーザ端末Uから取得した認証情報と同一である必要がある。
【0083】
すなわち、上記認証情報取得部33により受取人から認証情報を取得すると、CPU21は、取得した認証情報と保管している印刷物に対応づけられている認証情報とが一致するか否かによる認証処理を行う(ステップS82)。この認証処理により当該受取人の認証が成功した場合(ステップS82、YES)、CPU21は、当該認証情報に対応づけている保管していた印刷物を受取り可能とすることにより、当該印刷物を受取人に受け渡す(ステップS83)。この際、CPU21は、当該画像形成装置1に取り込んだ印刷データを完全に削除する(ステップS84)。ただし、印刷データの削除は、実際の印刷が終了した時に行っても良い。
【0084】
なお、上述したステップS72、S72及びS74の各処理は、ユーザ端末U側で実行するようにしても良い。これは、ユーザ端末Uが、降車までの時間を算出するための情報(例えば、降車駅の到着予定時刻)、および、印刷を要求する車内の画像形成装置における処理能力(印刷速度)を示す情報を列車内の画像形成装置1から取得することにより実現できる。
【0085】
また、第2の動作例において、ユーザ端末Uからの印刷要求に対する降車駅周辺の画像形成装置(車外の画像形成装置)6の動作は、上記第1の動作例で説明した車外の画像形成装置6の動作と同様である。つまり、第2の動作例において、ユーザ端末Uから印刷要求を受けた車外の画像形成装置6は、図7に示すような流れで印刷処理および印刷物の受け渡し処理を行う。このため、第2の動作例としての車外の画像形成装置6の動作については詳細な説明を省略するものとする。
【0086】
上記のような第2の動作例によれば、列車に乗車しているユーザが、自席からユーザ端末などにより列車内の画像形成装置で印刷を行うことができ、さらに、印刷要求時には列車に乗車している間に車内の画像形成装置での印刷が完了するか否かを確認することも可能となる。さらに、ユーザが降車するまでに印刷が完了しない場合には降車駅周辺などの降車後に当該ユーザが印刷物を受取り可能な車外の画像形成装置での印刷を案内したり、実行したりすることも可能である。また、車内および車外の画像形成装置で印刷した印刷物は、受け渡し時に認証情報による認証を行うため、セキュリティ上も安心して利用することが出来る。
【0087】
次に、上述した第1の動作例のステップS13における印刷完了予定時間の算出処理、および、第2の動作例のステップS74における印刷完了予定時間の算出処理について詳細に説明する。
上述したように、印刷完了予定時間は、印刷処理の実働時間、および、印刷停止時間帯などにより算出される。印刷処理の実働時間は、列車Tに搭載された画像形成装置1が、要求された印刷処理と実行中あるいは実行待ちとなっている印刷処理(ジョブ)を実行するのに要する時間である。つまり、印刷処理の実働時間は、印刷を停止する時間帯がなければ、要求された印刷処理が完了するまでの時間を示すものである。すなわち、印刷処理の実働時間は、列車Tの運行状況等には関係なく、実行すべき印刷処理の内容と画像形成装置1の処理能力とにより決定される。
【0088】
これに対して、印刷停止時間帯は、列車Tの運行に伴って印刷処理を停止(禁止)する時間帯である。従って、印刷完了予定時間は、上記印刷処理の実働時間から印刷停止時間帯を減算した時間となっている。画像形成装置1は、ゆれ及び振動などが所定の基準値を超えた場合に印刷を停止すべきものであるものとする。この場合、画像形成装置1は、加速度センサ35あるいは振動センサ(図示しない)により計測される値が所定の閾値を超えた場合に印刷を停止する。このため、画像形成装置1に発生するゆれ及び振動が予測不可能である場合、印刷停止時間帯も、予測不可能となる。ただし、列車Tは、通常、既設の線路上を所定の運用予定に従って走行する。従って、列車Tに搭載される画像形成装置1は、印刷停止時間帯を予め予測することが可能となっている。
【0089】
すなわち、当該画像形成装置1を搭載した列車Tは、運行予定に基づいてゆれ及び振動が大きくなる箇所が予め予測できる。このため、画像形成装置1の印刷停止時間帯も、列車Tの運行状況(運行予定)に基づいて予め予測できる。
たとえば、図14は、○○駅から××駅までの列車Tの運行経路を模式的に示している。図14に示す運行経路では、A、B、C、D、E、Fの各区間が印刷停止区間に設定されるものとする。A区間は、○○駅からの発車直後の急加速等に起因するゆれ及び振動が激しくなる区間である。F区間は、××駅への停止直前の急減速等に起因するゆれ及び振動が激しくなる区間である。また、B、C、D及びEの各区間は、カーブなどに起因するゆれ及び振動が激しくなる区間である。これらの各区間を印刷禁止区間に設定することにより、印刷停止時間帯が予測可能となる。なお、上述したような加速、減速、カーブなどに起因するものの他に、ポイントの切替位置、および、他の列車とのすれ違い時間などに起因してゆれ及び振動が激しくなる区間を印刷禁止区間として設定するようにしても良い。
【0090】
また、図15は、図14に示す印刷禁止区間を示す情報を管理するためのデータテーブルの構成例である。図15に示すようなデータテーブルは、例えば、画像形成装置1のHDD25あるいは不揮発性メモリ24内に設けられる。また、図15に示すようなデータは、通信設備2を介して列車T内の制御機構あるいは車外ネットワーク5を経由して外部のサーバから取得するようにしても良い。
【0091】
図15に示す例では、各区間について、位置座標、区間長、通過所要時間、進入予定時刻などが格納されている。位置座標は、区間の開始位置を示す座標値と終了位置を示す座標値とである。また、位置座標としての座標値は、GPS34で検出される位置情報に対応する座標値で表される。区間長は、当該区間の長さを示す情報である。通過所要時間は、所定の運行予定(所定の速度)で列車Tが走行する場合に、当該区間を通過するのに要する時間を示す。ただし、列車Tの速度は、運用状況に応じて変更される可能性がある。このため、列車Tの速度の変更に応じて実際の通過所要時間も変化する。進入時刻は、当該区間に進入する予定の時刻である。また、進入予定時刻は、所定の運行予定に応じた絶対的な時刻であっても良いし、直前の駅を発車した時間を基準として当該区間に進入する時刻を示すようにしても良い。
【0092】
列車Tに搭載された画像形成装置1では、GPS34により得られる情報により現在位置を認識することができる。このため、画像形成装置1では、図15に示すようなデータテーブルに格納されている印刷禁止区間を示す情報を参照することにより、現在位置から印刷を開始した場合の印刷停止時間帯を算出できる。このような印刷停止時間帯を用いることにより、画像形成装置1では、印刷完了予定時間を正確に算出することができ、ユーザが降車するまでに印刷が完了するか否かを正確に判断することが可能となる。
【符号の説明】
【0093】
T…移動体(列車)、U…ユーザ端末(端末装置)、1…列車内の画像形成装置(デジタル複合機)、2…通信設備、3…漏洩同軸ケーブル(LCX)、5…車外ネットワーク、6…車外の画像形成装置、12…操作パネル、12a…表示部、12b…タッチパネル、13…スキャナ部、14…プリンタ部、21…CPU、22…RAM、23…ROM、24…不揮発性メモリ、25…ハードディスクドライブ(HDD)、26…タイマ、27…時計、28…ページメモリ、29…画像インターフェース、30…画像処理部、31…外部インターフェース、32…外部通信インターフェース、33…認証情報取得部、34…GPS、35…加速度センサ、41…CPU、42…ROM、43…RAM、44…不揮発性メモリ、44a…プログラム、51…表示部、52…操作部、53…外部通信インターフェース、54…認証情報取得部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【特許文献1】特開2003−330640号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが乗る移動体に設置される画像形成装置であって、
ユーザに要求された印刷が前記移動体に当該ユーザが乗っている時間内に完了するか否かを判断する判断手段と、
この判断手段により前記移動体に当該ユーザが乗っている時間内に前記印刷が完了すると判断した場合、当該ユーザに要求された印刷処理を実行する印刷手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
さらに、前記判断手段により前記移動体に当該ユーザが乗っている時間内に前記印刷が完了しないと判断した場合、当該ユーザに要求された印刷が前記移動体に乗っている時間内に完了しない旨を案内する案内手段を有する、
ことを特徴とする前記請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
さらに、前記移動体内のネットワークを介して前記移動体内のユーザが操作する端末装置との通信を行う通信手段を有し、
前記判断手段は、前記通信手段により前記移動体内の前記端末装置から印刷要求を受信した場合、当該ユーザが乗っている時間内に完了するか否かを判断する、
ことを特徴とする前記請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
さらに、前記移動体内のネットワークを介して前記移動体内のユーザが操作する端末装置との通信を行う通信手段を有し、
前記判断手段は、前記通信手段により前記移動体内の前記端末装置から印刷要求を受信した場合、当該ユーザが乗っている時間内に完了するか否かを判断する、
ことを特徴とする前記請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷手段による前記ユーザに要求された印刷の処理が完了するまでの処理時間を算出する処理時間算出手段を有し、
前記判断手段は、前記処理時間算出手段により算出した印刷時間に基づいて前記ユーザが乗っている時間内に当該ユーザに要求された印刷が完了するか否かを判断する、
ことを特徴とする前記請求項1乃至4の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記処理時間算出手段は、前記ユーザに要求された印刷を完了するまでに実行すべき処理内容に応じた処理の実働時間から当該処理を実行中に印刷を停止する印刷停止時間帯を減算した時間を処理時間として算出する、
ことを特徴とする前記請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ユーザが前記移動体から降りる予定の情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段により取得した情報に基づいて前記ユーザが前記移動体に乗っている搭乗時間を算出する搭乗時間算出手段と、を有し、
前記判断手段は、前記搭乗時間算出手段により算出した搭乗時間内にユーザに要求された印刷が完了するか否かを判断する、
ことを特徴とする前記請求項1乃至6の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記案内手段は、前記移動体にユーザが乗っている時間内に印刷が完了しない旨とともに、当該ユーザが前記移動体から降りた後に印刷結果を受取れる前記移動体外に設置された画像形成装置での印刷を案内するものであり、
さらに、前記案内手段により案内された前記移動体外の画像形成装置による印刷を要求された場合、前記ユーザに要求された印刷の印刷データを前記移動体外の画像形成装置へ送信する送信手段を有する、
ことを特徴とする前記請求項2又は4の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
さらに、前記案内手段により案内された前記移動体外の画像形成装置による印刷を要求された場合、前記移動体外の画像形成装置による印刷結果を受取るための認証情報を取得する認証情報取得手段を有し、
前記送信手段は、前記認証情報取得手段により取得した認証情報と前記ユーザに要求された印刷の印刷データとを前記移動体外の画像形成装置へ送信する、
ことを特徴とする前記請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記印刷手段は、前記判断手段により前記移動体にユーザが乗っている時間内に前記印刷が完了すると判断した場合、前記ユーザに要求された印刷の結果を受け渡すための認証情報が確定した後に、前記ユーザに要求された印刷処理を実行し、
さらに、前記印刷手段により得られた印刷結果を前記確定した認証情報に対応づけて保管する保管手段と、
前記保管手段に保管した印刷結果の受取人から認証情報を取得する認証情報取得手段と、
前記認証情報取得手段により取得した認証情報と前記保管手段に保管している印刷結果に対応づけられている認証情報とによる認証を行う認証手段と、
前記認証手段による認証が成功した場合に、前記保管手段に保管した印刷結果を受け渡す受渡手段と、を有する、
ことを特徴とする前記請求項3又は4の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
ユーザが乗る移動体に設置される画像形成装置に用いられる画像形成方法であって、
ユーザに要求された印刷が前記移動体に当該ユーザが乗っている時間内に完了するか否かを判断し、
この判断により前記移動体にユーザが乗っている時間内に前記印刷が完了すると判断した場合、当該ユーザに要求された印刷処理を実行する、
ことを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−20765(P2010−20765A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159928(P2009−159928)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】