説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】コンピュータなどの外部機器を用いずに、写真原稿と文字原稿とを重ね合わせて形成した合成画像における文字をユーザが容易に判別できるようにする。
【解決手段】画像合成部34は、写真処理部32で擬似中間調処理(写真処理)された各色の写真画像データと文字処理部33で文字処理された各色の文字画像データとを、対応する色ごとに画素単位で合成する際、各色において、文字画像データの文字画素に重なり合う部分に位置する、写真画像データの注目写真画素について、その周辺の所定数の画素における所定濃度以上の画素である有効画素の数を計数し、有効画素数が所定数以上である場合、注目写真画素の濃度にかかわらず注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化し、有効画素数が所定数未満である場合は、注目写真画素が高濃度画素であるときにその注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化して合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナ部で読み取った写真画像を印刷するために網点処理や誤差拡散処理などの擬似中間調処理を施した後の写真画像と文字画像とを重ね合わせて画像形成する画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
写真画像と文字画像とを重ね合わせて画像形成した場合、写真画像の高濃度部と高濃度の文字とが重なり合った部分等において、ユーザにとって文字の判別が困難になることがある。
【0003】
このような事態を回避するため、従来、下記のようにさまざまな白抜き文字を印刷できる装置または方法が開示されている。
【0004】
例えば、過去に1回使用した文字パターンを登録しておき、当該文字パターンに対するコードを受信したときには、記憶された文字パターンの形態を別の修飾パターンに変更する画像形成装置がある(特許文献1参照)。
【0005】
また、マルチメディア文書において、白抜き文字パターンがイメージデータによって白抜き部分を潰さないようにする白抜き文字印刷方式がある(特許文献2参照)。
【0006】
また、DTP(Desk Top Publishing)において、白抜き属性が設定された白抜き要素に対して最適な出力色を設定し、対話的な編集過程で白抜き要素を認識容易とする情報処理装置および方法がある(特許文献3参照)。
【0007】
また、アプリケーションやドライバが組込み可能な上位装置を用いて、任意のテキストと任意の背景画像とを、テキストの識別性を損なうことなく合成して印刷することができる印刷装置がある(特許文献4参照)。
【0008】
また、ホストコンピュータから受信される印刷データにおいて、テキストデータの周囲を囲むドットを白抜きにすることによりウォーターマークとテキストデータとの違いを明確にし、見易い印刷イメージを得ることができる印刷装置および印刷方法がある(特許文献5参照)。
【0009】
また、コンピュータなどの外部装置を用いて、営業活動に必要な名刺の注目度を向上させるようにカラー写真を合成するカラー写真合成名刺作成システムがある(特許文献6参照)。
【0010】
さらに、プリンタ装置を用いて、背景画像と重なり合うキャプション文字の色調を変化させる発明が開示されている(特許文献7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平2−235096号公報
【特許文献2】特開平4−259576号公報
【特許文献3】特開2000−125109号公報
【特許文献4】特開2005−173802号公報
【特許文献5】特開2007−045133号公報
【特許文献6】特開2001−001604号公報
【特許文献7】特開平7−256972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1の装置は、文字の黒画素部を別の修飾パターンに変更することは可能であるが、キャッシュ領域の効率的な使用と印刷速度の向上を図るものであり、写真画像と文字画像との画像合成に関するものではない。
【0013】
また、特許文献2〜6の装置または方法は、白抜き文字などを合成して印刷するものであり、すべてコンピュータなどの外部機器を用いて処理を行うものである。特許文献5の装置または方法は、白抜き処理を印刷装置で行うが、ホストコンピュータからの印刷データを用いるものである。
【0014】
すなわち、上記のような従来の装置または方法のいずれにも、コンピュータなどの外部機器を用いずに、複写装置等に付属のスキャナにより写真版下と文字原稿とを読み取り、それらを重ね合わせて画像形成する画像合成については、開示、示唆されていない。
【0015】
他方、特許文献7には、外部機器を用いずに背景画像と重なり合うキャプション文字の色調を変化させる発明が記載されている。しかし、特許文献7の実施例では、キャプション文字内の線画部分と背景とが重なる部分をドット単位で比較しているものであり、背景画像が全画素べた画像でなければ、特許文献7の図1のような結果を得ることができないものである。つまり、擬似中間調処理された写真のように画素が不均一に配置された背景画像との重ね合わせについては、何も開示されていない。
【0016】
以上の説明から明らかなように、従来の装置または方法には、コンピュータなどの外部機器を用いずに、写真版下と文字原稿とを読み取ってそれを適切に画像合成することができないという課題がある。
【0017】
確かに、コンピュータを用いて画像形成を行うことも必要ではあるが、紙版下に頼らなければならない場合も多々ある。
【0018】
例えば、紙原稿を大量に印刷したい場合で、写真をあるページの余白に貼り付けて印刷したいときに、そのページの余白のサイズよりも写真のサイズの方が大きいため、貼り付けると写真の高濃度部と文字部とが重なり、文字が読みにくくなってしまうという場合である。
【0019】
また、写真のサイズについては、通常のサービス版サイズに限らない。例えば、デジタルカメラで撮影した画像をコンピュータの画面上で見るだけでなく、専用紙にプリントして保存しておきたい、それも拡大して印刷したいという要望がある。その後、撮影した画像データを消去してしまい、印刷物に頼らざるを得ない場合である。
【0020】
また、写真のネガなどを引き伸ばして保存していて、そのような大きなサイズの写真を文字原稿の背景として用いる場合である。なぜなら、それら大きなサイズの写真をスキャナで読み取り、コンピュータで編集することは、とても手間の掛かる作業で、誰もが簡単にできる作業ではないからである。
【0021】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、コンピュータなどの外部機器を用いずに、擬似中間調処理後の写真版下(写真原稿)と文字原稿とを重ね合わせて合成画像を形成する場合に、合成画像におけるユーザによる文字の判別を容易にすることができる画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するため、請求項1に係る画像形成装置は、原稿画像を読み取る画像読取り部と、前記画像読取り部で読み取った画像データをカラー画像形成に用いる各色に対応した画像データに変換する色変換部と、前記画像読取り部で読み取り、前記色変換部で色変換された各色の写真画像データを写真処理する写真処理部と、前記画像読取り部で読み取り、前記色変換部で色変換された各色の文字画像データを文字処理する文字処理部と、写真処理された各色の写真画像データと、文字処理された各色の文字画像データとを、対応する色ごとに、画素単位で合成する画像合成部と、前記画像合成部による合成結果に基づいて媒体にカラー画像形成を行う画像形成部とを備え、前記画像合成部は、各色において、文字画像データの文字画素に重なり合う部分に位置する、写真画像データの注目写真画素について、その周辺の所定数の画素における所定濃度以上の画素である有効画素の数を計数する計数部と、各色において、前記計数部により計数した有効画素数が所定数以上である場合、注目写真画素の濃度にかかわらず注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化し、前記計数部により計数した有効画素数が所定数未満である場合は、注目写真画素が白でない画素であるときにその注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化して合成する合成演算部とを備えることを特徴とする。
【0023】
請求項2に係る画像形成装置は、原稿画像を読み取る画像読取り部と、前記画像読取り部で読み取った画像データをカラー画像形成に用いる各色に対応した画像データに変換する色変換部と、前記画像読取り部で読み取り、前記色変換部で色変換された各色の写真画像データを写真処理する写真処理部と、前記画像読取り部で読み取り、前記色変換部で色変換された各色の文字画像データからグレースケールの文字画像データを生成するグレースケール処理部と、前記色変換部で色変換された各色の文字画像データ、および前記グレースケール処理部で生成されたグレースケールの文字画像データを文字処理する文字処理部と、写真処理された各色の写真画像データと、文字処理された各色の文字画像データとを、対応する色ごとに、画素単位で合成する画像合成部と、前記画像合成部による合成結果に基づいて媒体にカラー画像形成を行う画像形成部とを備え、前記画像合成部は、各色の写真画像データにおける、グレースケールの文字画像データの文字画素に重なり合う部分に位置する注目写真画素について、その周辺の所定数の画素における所定濃度以上の画素である有効画素の数を計数する計数部と、各色において、前記計数部により計数した有効画素数が所定数以上である場合、注目写真画素の濃度にかかわらず注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化し、前記計数部により計数した有効画素数が所定数未満である場合は、注目写真画素が白でない画素であるときにその注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化し、さらに、他の色のうち少なくとも1色において白化した文字画素に対応する位置の白でない文字画素を白化して合成する合成演算部とを備えることを特徴とする。
【0024】
請求項3に係る画像形成方法は、画像読取り部で読み取った画像データをカラー画像形成に用いる各色に対応した画像データに変換する色変換ステップと、写真原稿を読み取って色変換して得られた各色の写真画像データを写真処理する写真処理ステップと、文字原稿を読み取って色変換して得られた各色の文字画像データを文字処理する文字処理ステップと、写真処理された各色の写真画像データと、文字処理された各色の文字画像データとを、対応する色ごとに、画素単位で合成する画像合成ステップと、前記画像合成ステップの合成結果に基づいて媒体にカラー画像形成を行う画像形成ステップとを含み、前記画像合成ステップは、各色において、文字画像データの文字画素に重なり合う部分に位置する、写真画像データの注目写真画素について、その周辺の所定数の画素における所定濃度以上の画素である有効画素の数を計数する計数ステップと、各色において、前記計数ステップで計数した有効画素数が所定数以上である場合、注目写真画素の濃度にかかわらず注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化し、前記計数ステップで計数した有効画素数が所定数未満である場合は、注目写真画素が高濃度画素であるときにその注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化して合成する合成演算ステップとを含むことを特徴とする。
【0025】
請求項4に係る画像形成方法は、画像読取り部で読み取った画像データをカラー画像形成に用いる各色に対応した画像データに変換する色変換ステップと、写真原稿を読み取って色変換して得られた各色の写真画像データを写真処理する写真処理ステップと、文字原稿を読み取って色変換して得られた各色の文字画像データからグレースケールの文字画像データを生成するグレースケール処理ステップと、各色の文字画像データ、およびグレースケールの文字画像データを文字処理する文字処理ステップと、写真処理された各色の写真画像データと、文字処理された各色の文字画像データとを、対応する色ごとに、画素単位で合成する画像合成ステップと、前記画像合成ステップの合成結果に基づいて媒体にカラー画像形成を行う画像形成ステップとを含み、前記画像合成ステップは、各色の写真画像データにおける、グレースケールの文字画像データの文字画素に重なり合う部分に位置する注目写真画素について、その周辺の所定数の画素における所定濃度以上の画素である有効画素の数を計数する計数ステップと、各色において、前記計数ステップで計数した有効画素数が所定数以上である場合、注目写真画素の濃度にかかわらず注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化し、前記計数ステップで計数した有効画素数が所定数未満である場合は、注目写真画素が白でない画素であるときにその注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化し、さらに、他の色のうち少なくとも1色において白化した文字画素に対応する位置の白でない文字画素を白化して合成する合成演算ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、コンピュータなどの外部機器を用いずに、不均一な濃度や彩度を持つ写真原稿と文字原稿とを重ね合わせて合成画像を形成する場合に、合成画像におけるユーザによる文字の判別を容易にすることができる。
【0027】
また、色文字を背景と合成する場合にも、色文字の各色版および背景の各色版を組み合わせごとに処理する必要がなく、色文字をグレースケールに変換してから処理するので、上記組み合わせの数を少なくして、簡単かつ高速に、ユーザに判読可能な合成画像を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す画像形成装置における画像合成部の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す画像形成装置における画像合成モードの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図1に示す画像形成装置における合成演算部の論理表(真理値表)および論理式を示す説明図である。
【図5】第1の実施の形態における画像合成処理の概要を示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図7】第2の実施の形態における画像合成処理の概要を示す説明図である。
【図8】写真原稿と文字原稿とを単に重ね合わせた画像を示す図である。
【図9】写真原稿と文字原稿とを第2の実施の形態の画像合成処理を行って重ね合わせた画像を示す図である。
【図10】図9における文字付近の部分拡大図である。
【図11】各実施の形態の処理をソフトウェアを用いて行う画像形成装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。以下の図面の記載において、同一または同等の部分には同一または同等の符号を付している。
【0030】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。図1に示す画像形成装置1は、例えば複写機その他適宜の画像形成装置として構成することができる。
【0031】
図1に示すように、画像形成装置1は、原稿画像を読み取るスキャナ部2と、スキャナ部2で読み取った画像データを処理する画像処理部3と、画像処理部3で処理した結果に基づいて紙等の媒体に画像形成する画像形成部4と、ユーザの操作を受け付ける操作部5と、画像形成装置1全体の動作を制御する制御部6とを備える。
【0032】
画像形成装置1は、カラー画像形成可能な装置であり、本実施の形態では、画像形成部4は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)に対応したインクヘッド(図示せず)を有し、各色のインクを媒体に吐出するようになっているものとする。画像形成時には、同一画素に各色のインクを重ねて打ち込むことにより、様々な色を形成する。
【0033】
スキャナ部2は、読取りセンサ(画像読取り部)21と、前処理部22と、A/D(Analog to Digital)変換部23と、シェーディング補正部24と、色変換部25と、色補正部26と、変倍部27とを備える。
【0034】
読取りセンサ21は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)ラインセンサ等で構成され、写真原稿7または文字原稿(文字、線画のみからなる原稿)8をライン単位で読み取り、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色のアナログ信号をラインごとに出力する。
【0035】
前処理部22は、読取りセンサ21から出力されるRGBのアナログ信号に、サンプルホールド(Sample and Hold)等の前処理を施す。
【0036】
A/D変換部23は、前処理部22により前処理されたRGBのアナログ信号をそれぞれmビットのデジタルデータに変換する。例えば、m=8ビットならば、A/D変換部23は、各色256階調のデータに変換する。
【0037】
シェーディング補正部24は、A/D変換後のRGBデータを、読取りセンサ21の画素毎のばらつきを白画素レベルで、または、ダークレベルかつ白画素レベルで、正規化補正する。
【0038】
色変換部25は、シェーディング補正後のRGBデータを補色の関係にあるCMYデータに変換するとともに、CMYの減法混色で黒色抽出を行い、これによりCMYKの4色の画像データを生成する。
【0039】
色補正部26は、CMYKの画像データに対して、MTF(Modulation Transfer Function)、ガンマ(γ)変換等の色補正を施す。
【0040】
変倍部27は、色補正後のCMYKの画像データに対して、拡大、縮小などの変倍処理を施す。
【0041】
画像処理部3は、画像処理切替部31と、写真処理部32と、文字処理部33と、画像合成部34と、モード切替部35と、画像形成部用データ変換部36とを備える。
【0042】
画像処理切替部31は、スキャナ部2で原稿画像を読み取って得られた画像データを写真処理するか文字処理するかのいずれかを選択する。写真処理および文字処理のいずれを選択するかは、ユーザによる操作部5の操作に応じて指定される。
【0043】
写真処理部32は、スキャナ部2で写真原稿7を読み取って得られたCMYKの各色の写真画像データに、写真処理として、例えば網点処理や誤差拡散処理等の擬似中間調処理を施す。この擬似中間調処理により、写真処理部32に入力されたmビットの写真画像データは、n値化処理データに変換される。
【0044】
文字処理部33は、スキャナ部2で文字原稿8を読み取って得られた各色の文字画像データに、文字処理として、例えば単純n値化処理を施す。
【0045】
昨今の画像形成装置では、インクのドロップ量を制御することにより、4値出力、または8値出力などのn値化出力が可能である。これは、1色当たり8ビットの256階調を2ビットの4階調、または、3ビットの8階調にある複数の閾値をもって、入出力特性を線形/非線形に変換するものである。なお、本発明は、擬似階調処理に関するものではないので、説明を簡単にするために、以降ではn値化出力を2値化出力として説明するものとする。
【0046】
画像合成部34は、写真処理部32により写真処理された各色の写真画像データと、文字処理部33により文字処理された各色の文字画像データとを、対応する色ごとに、画素単位で合成する。画像合成部34の構成については後述する。
【0047】
モード切替部35は、ユーザによる操作部5の操作に応じて、画像合成モードまたは通常モードを選択する。画像合成モードが指定されたとき、モード切替部35は、画像合成部34による合成処理で生成された各色の合成画像データを画像形成部用データ変換部36に出力する。通常モードが指定されたとき、モード切替部35は、写真処理部32により写真処理された各色の写真画像データ、または文字処理部33により文字処理された各色の文字画像データを画像形成部用データ変換部36に出力する。
【0048】
画像形成部用データ変換部36は、モード切替部35から入力される各色の画像データを画像形成部4で画像形成可能な形式に変換し、変換後の画像データを画像形成部4に出力する。
【0049】
図2は、画像合成部34の構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像合成部34は、写真画像記憶部41と、文字画像記憶部42と、演算部43と、合成画像記憶部44とを備える。
【0050】
写真画像記憶部41は、写真処理部32により写真処理された各色の写真画像データを記憶する。文字画像記憶部42は、文字処理部33により文字処理された各色の文字画像データを記憶する。
【0051】
演算部43は、C,M,Y,Kにそれぞれ対応したC用演算部43C、M用演算部43M、Y用演算部43Y、K用演算部43Kを備える。
【0052】
C用演算部43Cは、計数部431Cと、合成演算部432Cとを備える。計数部431Cは、文字処理部33により文字処理されたC(シアン)の文字画像データの文字画素に重なり合う部分に位置する、写真処理部32により写真処理されたC(シアン)の写真画像データの画素(注目写真画素という)について、その周辺の所定数の画素における所定濃度以上の画素である有効画素の数を計数する。
【0053】
合成演算部432Cは、写真処理部32により写真処理されたC(シアン)の写真画像データと、文字処理部33により文字処理されたC(シアン)の文字画像データとを、画素単位で合成する。この際、合成演算部432Cは、計数部431Cにより計数した有効画素数が所定数以上である場合、注目写真画素の濃度にかかわらず注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化し、計数部431Cにより計数した有効画素数が所定数未満である場合は、注目写真画素が白でない画素であるときにその注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化して合成する。
【0054】
M用演算部43M、Y用演算部43Y、およびK用演算部43Kは、いずれもC用演算部43Cと同様の構成であり、それぞれ計数部431M,431Y,431Kと、合成演算部432M,432Y,432Kとを備える。
【0055】
合成画像記憶部44は、演算部43により生成された各色の合成画像データを記憶する。
【0056】
次に、画像形成装置1の動作について説明する。
【0057】
まず、通常モード時の動作について説明する。ユーザの操作により通常モードで写真処理を行うことが指定された場合、スキャナ部2は、読取りセンサ21により写真原稿7を読み取る。読取りセンサ21から出力されたRGBのアナログ信号は、前処理部22により前処理が施され、A/D変換部23によりデジタルデータに変換される。A/D変換部23から出力されたRGBの写真画像データは、シェーディング補正部24によりシェーディング補正が施された後、色変換部25により、色変換されてCMYKの写真画像データとなる。
【0058】
色変換部25から出力されたCMYKの写真画像データは、色補正部26により色補正が施され、変倍部27により変倍処理された後、画像処理切替部31を介して写真処理部32に入力される。
【0059】
写真処理部32は、スキャナ部2から入力された各色の写真画像データに、写真処理として擬似中間調処理を施し、この写真処理後の各色の写真画像データを写真画像記憶部41に記憶する。読取りセンサ21で読み取った写真原稿7の画像をそのまま印刷する場合は、モード切替部35は、写真画像記憶部41に記憶する前の写真画像データ、または写真画像記憶部41から読み出した写真画像データを画像形成部用データ変換部36に供給する。
【0060】
そして、画像形成部用データ変換部36は、モード切替部35から入力される各色の写真画像データを画像形成部4で画像形成可能な形式に変換し、変換後の画像データを画像形成部4に出力する。
【0061】
ユーザの操作により通常モードで文字処理を行うことが指定された場合は、スキャナ部2は、読取りセンサ21により文字原稿8を読み取る。そして、上記写真処理の場合と同様の処理により、CMYKの文字画像データが文字処理部33に入力される。
【0062】
文字処理部33は、スキャナ部2から入力された各色の文字画像データに、文字処理として単純n値化処理を施し、この文字処理後の各色の文字画像データを文字画像記憶部42に記憶する。その後の処理は、上記写真処理の場合と同様であるため説明を省略する。
【0063】
次に、画像合成モード時の動作について説明する。図3は、画像合成モードの処理手順を示すフローチャートである。
【0064】
まず、ステップS10において、制御部6は、原稿の読み取り回数を示すNum値の初期値を2に設定する。本実施の形態では、写真原稿7と文字原稿8とを1回ずつ、合計2回読み取るという意味で、Num値の初期値を2に設定する。なお、写真原稿7および文字原稿8を合計で3回以上読み取り、画像合成の組み合わせを選択指定可能とすることによって、他のNum値を採ることも可能である。
【0065】
次いでステップS20において、制御部6は、ユーザ操作により入力された写真原稿/文字原稿の種別の指定を操作部5から読み取る。
【0066】
次いで、ステップS30において、制御部6は、スキャナ部2に原稿を読み取らせ、CMYKの画像データを画像処理部3の画像処理切替部31に入力させる。
【0067】
次いで、ステップS40において、制御部6は、ステップS20で読み取った指定の種別が、写真原稿であるか否かを判断する。
【0068】
指定の種別が写真原稿である場合(ステップS40:YES)、制御部6は、ステップS50においてパス0に進み、ステップS60において、スキャナ部2から入力された各色の写真画像データに写真処理として擬似中間調処理を施すよう写真処理部32を制御する。
【0069】
次いで、ステップS70において、制御部6は、写真処理後の各色の写真画像データを写真画像記憶部41に記憶するよう制御する。
【0070】
一方、指定の種別が写真原稿でない、つまり文字原稿である場合(ステップS40:NO)、制御部6は、ステップS80においてパス0に進み、ステップS90において、スキャナ部2から入力された各色の文字画像データに文字処理として単純n値化処理を施すよう文字処理部33を制御する。
【0071】
次いで、ステップS100において、制御部6は、文字処理後の各色の文字画像データを文字画像記憶部42に記憶するよう制御する。
【0072】
次いで、制御部6は、ステップS110において、Num値を1だけ減算し、ステップS120において、Num値が0であるか否かを判断する。
【0073】
1回の読み取りが終わった段階では、Num値は1であって、0ではない(ステップS120:NO)。このため、ステップS130において、制御部6は、ステップS130において、別パスの処理を行うための設定をして、その後ステップS20に戻る。
【0074】
すなわち、1回目の処理が写真原稿7の読み取りであった場合は、2回目は文字原稿8の読み取りを行い、1回目の処理が文字原稿8の読み取りであった場合は、2回目は写真原稿7の読み取りを行う。このとき写真原稿7の読み取りサイズは、文字原稿8の読み取りサイズと同じにする。
【0075】
なお、写真原稿7および文字原稿8のサイズは、それぞれ例えばA4サイズのように同じサイズであることが望ましいが、互いに異なるサイズであっても、原点を予め決めておけばよいので、異なるサイズであることに制約はない。
【0076】
2回の読み取りが終わると、Num値が0となるため(ステップS120:YES)、ステップS140に進む。
【0077】
ステップS140では、制御部6は、色ごとに、文字処理後の文字画像データの文字画素に重なり合う部分に位置する、写真処理後の写真画像データの注目写真画素について、その周辺の所定数の画素における所定濃度(濃度閾値)以上の画素である有効画素の数を計数し、この計数結果に基づいて、注目写真画素の周辺における有効画素数の指標であるCir値を算出するよう計数部431C,431M,431Y,431Kを制御する。
【0078】
例えば、計数部431C,431M,431Y,431Kは、注目写真画素の8近傍画素において有効画素数を計数し、有効画素数が所定数(閾値)以上である場合、Cir値を1とし、有効画素数が所定数未満である場合、Cir値を0とする。
【0079】
なお、有効画素数を計数する注目写真画素の周辺画素数は、上記の8近傍画素に限らず、また、色ごとに変えてもよい。また、有効画素であるか否かを判断するための濃度閾値も、色ごとに変えてもよい。さらに、Cir値を算出するための有効画素数の閾値も、色ごとに変えてもよい。
【0080】
次いで、ステップS150において、制御部6は、色ごとに、写真処理後の写真画像データと、文字処理後の文字画像データとを、画素単位で合成するよう合成演算部432C,432M,432Y,432Kを制御する。この画像合成演算処理の詳細については後述する。
【0081】
次いで、ステップS160において、制御部6は、画像合成演算の結果により得られた各色の合成画像データを合成画像記憶部44に記憶するよう制御する。
【0082】
次いで、ステップS170において、制御部6は、各色の合成画像データをモード切替部35を介して画像形成部用データ変換部36に供給し、各色の合成画像データを画像形成部4で画像形成可能な形式に変換するよう画像形成部用データ変換部36を制御する。
【0083】
そして、ステップS180において、制御部6は、画像形成部用データ変換部36で変換後の各色の画像データを画像形成部4に出力するよう制御する。なお、合成画像データを合成画像記憶部44に記憶する上記ステップS160については、画像形成部4用のデータ変換の形式によっては省略できることもある。
【0084】
次に、上述の図3のステップS150における画像合成演算処理について説明する。以下では、合成演算部432Cの処理として記載するが、合成演算部432M,432Y,432Kの処理も同様である。
【0085】
図4は、合成演算部432Cの論理表(真理値表)と、この論理表による論理式を表わしたものである。
【0086】
ここで、写真処理後の写真画像データにおける各画素をP(hoto)、文字処理後の文字画像データにおける各画素をT(ext)とし、n値化された値が0の画素を白画素として「0」で表し、n値化された値が0以外(1〜n−1)の画素を白でない画素として「1」で表す。前述のように、本実施の形態ではn値化出力を2値化出力として説明するため、上記のようにP,Tをそれぞれ0または1で表す。すなわち、写真処理後の写真画像データにおける画素が白画素の場合はP=0、白でない画素の場合はP=1、文字処理後の文字画像データにおける画素が白画素の場合はT=0、白でない画素の場合はT=1と表す。
【0087】
合成演算部432Cは、注目写真画素のCir値が0のとき(注目写真画素の周辺に有効画素が少ないとき)、図4(a)に示すように、注目写真画素とそれに重なり合う文字画素との排他的論理和の演算を行う。ここで、図4(a),(b)において、Gout=1は合成後の画素が白でない画素であることを示し、Gout=0は合成後の画素が白画素であることを示す。
【0088】
すなわち、PもTも「0」のとき、つまり、注目写真画素とそれに重なり合う文字画素とがともに白画素であるときは、合成演算部432Cは両画素をそのまま合成する。
【0089】
Pが「0」でTが「1」のとき、つまり、注目写真画素が白画素で、注目写真画素に重なり合う文字画素が白でない画素であるときは、そのまま合成しても文字が写真に埋没しにくいため、合成演算部432Cは両画素をそのまま合成する。
【0090】
Pが「1」でTが「0」のとき、つまり、注目写真画素が白でない画素で、注目写真画素に重なり合う文字画素が白画素であるときは、そのまま合成しても文字が写真に埋没しにくいため、合成演算部432Cは両画素をそのまま合成する。
【0091】
PもTも「1」のとき、つまり、注目写真画素とそれに重なり合う文字画素とがともに白でない画素であるときは、そのまま合成すると文字が写真に埋没して判別困難となることがあるため、白でない文字画素を白画素に反転する白化処理をして注目写真画素と合成する。
【0092】
一方、注目写真画素のCir値が1のとき(注目写真画素の周辺に有効画素が多いとき)、図4(b)に示すように、注目写真画素の濃度にかかわらず、注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化して注目写真画素と合成する。
【0093】
すなわち、Pが「0」であっても「1」であっても、Tが「1」のときは、白でない文字画素を白画素に反転する白化処理をして注目写真画素と合成する。これにより、写真画像データの多くの白でない画素に囲まれた位置にある、文字画像データの白でない画素が白画素に反転されることで、その文字の画素(白画素)を容易に判別することができる。
【0094】
図4(c)は、上記の処理を実現する論理式である式(1)、式(2)を示すものである。なお、式(2)は式(1)を変形して得られるものであり、式(1)と式(2)とは等価である。合成演算部432C,432M,432Y,432Kは、式(1)または式(2)を用いた演算を行うことにより、上記の処理を実現する。式(1)または式(2)の演算は、簡単な回路構成により実現できる。
【0095】
式(1)は、通常の排他的論理和の演算を行う第1項に、Cir値が1のときには注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化して合成することを示す第2項を付加したものである。すなわち、式(1)の第1項は図4(a)の論理表に対応し、第2項は図4(b)の論理表に対応している。
【0096】
図5は、本実施の形態における画像合成処理の概要を示す説明図である。図5において、写真画像10は写真原稿(写真画像データ)の一部、文字画像11は文字原稿(文字画像データ)の一部、合成画像12は写真画像10と文字画像11との合成の結果を示す。
【0097】
写真画像10の白でない画素が多い領域10aにおいては、式(1)の第2項(図4(b))により文字画像11の白でない画素が白化されて合成され、写真画像10の白画素が多い領域10bにおいては、式(1)の第1項(図4(a))により写真画像10と文字画像11とがそのまま合成される。これにより合成画像12が得られる。
【0098】
本実施の形態では、上述のような画像合成処理より、CMYKのうち文字と同色の写真とが重なる場合に、写真に重なる文字画素を白化処理できる。つまり、例えば、マゼンタ文字が写真のマゼンタ部分と重なり合う場合、写真のマゼンタ部分だけを白化処理し、この文字内の白化処理を施された部分は、CYKの3色のいずれか1色、または2色以上の混合色で画像形成部4により画像形成される。これにより、写真画像の高濃度部に重なる文字が判別可能な色で印刷される。
【0099】
以上説明したように第1の実施の形態によれば、擬似中間調処理後の不均一な濃度や彩度を持つ写真画像と文字画像とを重ね合わせて画像形成するときに、画像合成部34の演算部43において、上記式(1)または式(2)を用いた演算を行って画像合成するので、コンピュータなどの外部機器を用いずに、写真画像の高濃度部に重なる文字の色を変換し、合成画像における文字をユーザが容易に判別できるようにすることができる。
【0100】
また、文字単位での変換処理でなく、画素単位での変換処理のため、文字の一部が高濃度写真と重なり合った箇所でも、その文字を判別することができる。また、写真画像記憶部41および文字画像記憶部42には、原画像多値画像データを記憶するのではなく、擬似中間調処理の結果および単純n値化処理の結果をそれぞれ記憶するので、メモリ容量を節約できる。
【0101】
なお、上記説明では、スキャナ部2で読み取った写真画像データと文字画像データとを合成する場合について示したが、ネットワークを介して外部のコンピュータから、プリンタドライバで展開された後の写真画像データ、文字画像データを受け取って写真画像記憶部41、文字画像記憶部42に記憶し、これらを用いて画像合成処理を行ってもよい。合成対象の写真画像データおよび文字画像データともに外部のコンピュータから受け取ったものを用いてもよいし、合成対象の写真画像データおよび文字画像データのいずれか一方を外部のコンピュータから受け取り、他方をスキャナ部2で読み取ってもよい。
【0102】
(第2の実施の形態)
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。図6に示すように、第2の実施の形態に係る画像形成装置1Aは、図1に示した第1の実施の形態の画像形成装置1に対し、画像処理部3にグレースケール処理部37を追加した構成である。
【0103】
グレースケール処理部37は、画像合成モード時においてスキャナ部2から出力される各色の文字画像データからグレースケールの文字画像データを生成し、これを文字処理部33に出力する。
【0104】
文字処理部33は、画像合成モード時においては、スキャナ部2から入力された各色の文字画像データに文字処理として単純n値化処理を施すとともに、グレースケール処理部37から入力されるグレースケールの文字画像データに文字処理として単純n値化処理を施す。
【0105】
画像形成装置1Aでは、画像合成モード時において、C用演算部43C、M用演算部43M、Y用演算部43Y、K用演算部43Kで、対応する色の写真画像データと文字画像データとの画像合成演算処理を行う際に、グレースケール処理部37で生成したグレースケールの文字画像データを用いる。
【0106】
C用演算部43Cの計数部431Cは、文字処理部33により文字処理されたグレースケールの文字画像データの文字画素に重なり合う部分に位置する、写真処理部32により写真処理されたC(シアン)の写真画像データの注目写真画素について、その周辺の所定数の画素における所定濃度以上の画素である有効画素の数を計数し、Cir値を算出する。計数部431M,431Y,431Kについても同様である。
【0107】
合成演算部432Cは、写真処理されたC(シアン)の写真画像データと文字処理されたC(シアン)の文字画像データとを画素単位で合成する際、計数部431Cにより計数した有効画素数が所定数以上である場合、注目写真画素の濃度にかかわらず注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化し、計数部431Cにより計数した有効画素数が所定数未満である場合は、注目写真画素が白でない画素であるときにその注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化して合成する。この処理は、第1の実施の形態で説明した図3のステップS150の画像合成演算処理と同様である。合成演算部432M,432Y,432Kについても同様の処理を行う。
【0108】
さらに、合成演算部432C,432M,432Y,432Kは、上記の文字画素に加えて、他の色のうち少なくとも1色において白化した文字画素に対応する位置の白でない文字画素も白化して合成する。例えば、合成演算部432M,432Y,432Kは、自身における上記のような画像合成演算処理の結果では白化の対象でない文字画素でも、合成演算部432Cで白化するCの文字画像データの文字画素に対応する位置の白でない文字画素については白化する。
【0109】
上記のような画像合成演算の結果により得られた各色の合成画像データは、合成画像記憶部44に記憶され、画像形成部用データ変換部36において画像形成部4で画像形成可能な形式に変換された後、画像形成部4に出力される。
【0110】
図7は、本実施の形態における画像合成処理の概要を示す説明図である。図7は、前述の式(2)の第1項の演算を模式的に示すものであり、CMYK各色の写真画像13c,13m,13y,13kに対して、グレースケールの文字画像14の反転画像15c,15m,15y,15kを積算(AND)し、合成画像16c,16m,16y,16kが得られることを示す。
【0111】
このような各色の合成画像16c,16m,16y,16kを重ねて印刷することにより、文字部が白いカラーの印刷画像17が得られる。
【0112】
なお、式(2)の第2項については、注目写真画素の周辺に有効画素が少ない場合(Cir=0)に、その注目写真画素を反転させて文字画素をそのまま積算(AND)するものである。これは、写真画像の淡い部分に文字が反転されることなく重ね合わされることを意味しているが、本実施の形態では前述のように、少なくとも1色において白化した文字画素については他の色においても白化するので、図7においては、式(2)の第2項の演算は印刷画像17に影響しないため図示を省略した。
【0113】
図8は、文字との重なり部分に高濃度部を有する写真原稿(写真画像データ)と、文字原稿(文字画像データ)とを単に重ね合わせた画像を示す図、図9は、図8と同様の写真原稿と文字原稿とを第2の実施の形態の画像合成処理を行って重ね合わせた画像を示す図、図10は、図9における文字付近の部分拡大図である。
【0114】
図8においては、写真の高濃度部と重なり合う文字は判別することが困難である。これに対し、図9および図10では、写真原稿の高濃度部と重なり合う位置にある文字原稿の文字部の画素が白画素になっているため、ユーザは文字を容易に判別することができる。しかも、文字部と重なり合う位置にある写真の濃度が高いほど、文字部の画素(白画素)を容易に判別することができる。
【0115】
このように第2の実施の形態によれば、画像合成モード時において、グレースケールの文字画像データを用い、少なくとも1色において白化した文字画素については他の色においても白化して写真画素に合成するので、文字部が白い画像を形成することができ、ユーザによる文字の判別を容易にすることができる。
【0116】
また、色文字をグレースケールに変換してから処理するので、色文字を背景と合成する場合でも、色文字の各色版および背景の各色版を組み合わせごとに処理する必要がなく、上記組み合わせの数を少なくして、簡単かつ高速に、ユーザに判読可能な合成画像を提供できる。
【0117】
上記各実施の形態の画像形成装置1,1Aにおける処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。画像形成装置1,1Aと同様の処理をソフトウェアを用いて行う画像形成装置のハードウェア構成を図11に示す。
【0118】
図11において、画像形成装置50は、画像形成装置1,1Aと同様のスキャナ部2と、画像形成部4と、操作部5とを備える。また、画像形成装置50は、画像処理部3の画像合成演算処理等の各種処理を実行するCPU(Central Processing Unit)51と、CPU51の動作のためのプログラム等を格納するROM(Read Only Memory)52と、一時的なデータの保存や演算時におけるCPU51のワーク領域として使用されるRAM(Random Access Memory)53と、写真処理後の写真画像データ、文字処理後の文字画像データ、合成画像データ等を記憶するハードディスク(HD)54とを備える。
【0119】
さらに、画像形成装置50は、操作部5からの指定信号が入力される入力ポート55と、スキャナ部2からの画像データが入力される入力ポート56と、画像形成部4に画像データを出力する出力ポート57と、各部を接続するデータバス58および制御用データバス59とを備える。
【0120】
なお、RAM53に大容量メモリを用いることによって、ハードディスク54を搭載しないことも可能である。
【0121】
上記のように構成された画像形成装置50において、操作部5から画像合成モードを選択することが指定されると、この指定信号が入力ポート55を介してCPU51に入力される。
【0122】
CPU51は、ROM52から読み出したメインプログラムにより(メインフローを図示せず)、入力ポート55をループして監視している。そして、画像合成モードを選択する指定信号が入力されたら、CPU51は、上記各実施の形態で図3等を用いて説明した画像合成モードの処理を実行する。
【0123】
一方、CPU51は、通常モードで写真処理を選択する指定信号が入力された場合、写真原稿の処理を実行し、通常モードで文字処理を選択する指定信号が入力された場合、文字原稿の処理を実行する。そして、CPU51は、処理の結果を画像形成部4で画像形成可能な形式に変換し、出力ポート57を介して画像形成部4へ送出する。
【0124】
図11のような汎用的な回路構成により、プログラムを変更するだけで、図2の演算部43に相当する演算アルゴリズムを容易に変更することができる。また、リップ後の画像を処理するために、背景の濃淡に応じて、一文字内の色を変えることができる。
【符号の説明】
【0125】
1,1A,50 画像形成装置
2 スキャナ部
3 画像処理部
4 画像形成部
5 操作部
6 制御部
7 写真原稿
8 文字原稿
21 読取りセンサ
22 前処理部
23 A/D変換部
24 シェーディング補正部
25 色変換部
26 色補正部
27 変倍部
31 画像処理切替部
32 写真処理部
33 文字処理部
34 画像合成部
35 モード切替部
36 画像形成部用データ変換部
37 グレースケール処理部
41 写真画像記憶部
42 文字画像記憶部
43 演算部
44 合成画像記憶部
43C C用演算部
43M M用演算部
43Y Y用演算部
43K K用演算部
431C,431M,431Y,431K 計数部
432C,432M,432Y,432K 合成演算部
51 CPU
52 ROM
53 RAM
54 ハードディスク
55,56 入力ポート
57 出力ポート
58 データバス
59 制御用データバス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像を読み取る画像読取り部と、
前記画像読取り部で読み取った画像データをカラー画像形成に用いる各色に対応した画像データに変換する色変換部と、
前記画像読取り部で読み取り、前記色変換部で色変換された各色の写真画像データを写真処理する写真処理部と、
前記画像読取り部で読み取り、前記色変換部で色変換された各色の文字画像データを文字処理する文字処理部と、
写真処理された各色の写真画像データと、文字処理された各色の文字画像データとを、対応する色ごとに、画素単位で合成する画像合成部と、
前記画像合成部による合成結果に基づいて媒体にカラー画像形成を行う画像形成部とを備え、
前記画像合成部は、
各色において、文字画像データの文字画素に重なり合う部分に位置する、写真画像データの注目写真画素について、その周辺の所定数の画素における所定濃度以上の画素である有効画素の数を計数する計数部と、
各色において、前記計数部により計数した有効画素数が所定数以上である場合、注目写真画素の濃度にかかわらず注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化し、前記計数部により計数した有効画素数が所定数未満である場合は、注目写真画素が白でない画素であるときにその注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化して合成する合成演算部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
原稿画像を読み取る画像読取り部と、
前記画像読取り部で読み取った画像データをカラー画像形成に用いる各色に対応した画像データに変換する色変換部と、
前記画像読取り部で読み取り、前記色変換部で色変換された各色の写真画像データを写真処理する写真処理部と、
前記画像読取り部で読み取り、前記色変換部で色変換された各色の文字画像データからグレースケールの文字画像データを生成するグレースケール処理部と、
前記色変換部で色変換された各色の文字画像データ、および前記グレースケール処理部で生成されたグレースケールの文字画像データを文字処理する文字処理部と、
写真処理された各色の写真画像データと、文字処理された各色の文字画像データとを、対応する色ごとに、画素単位で合成する画像合成部と、
前記画像合成部による合成結果に基づいて媒体にカラー画像形成を行う画像形成部とを備え、
前記画像合成部は、
各色の写真画像データにおける、グレースケールの文字画像データの文字画素に重なり合う部分に位置する注目写真画素について、その周辺の所定数の画素における所定濃度以上の画素である有効画素の数を計数する計数部と、
各色において、前記計数部により計数した有効画素数が所定数以上である場合、注目写真画素の濃度にかかわらず注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化し、前記計数部により計数した有効画素数が所定数未満である場合は、注目写真画素が白でない画素であるときにその注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化し、さらに、他の色のうち少なくとも1色において白化した文字画素に対応する位置の白でない文字画素を白化して合成する合成演算部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
画像読取り部で読み取った画像データをカラー画像形成に用いる各色に対応した画像データに変換する色変換ステップと、
写真原稿を読み取って色変換して得られた各色の写真画像データを写真処理する写真処理ステップと、
文字原稿を読み取って色変換して得られた各色の文字画像データを文字処理する文字処理ステップと、
写真処理された各色の写真画像データと、文字処理された各色の文字画像データとを、対応する色ごとに、画素単位で合成する画像合成ステップと、
前記画像合成ステップの合成結果に基づいて媒体にカラー画像形成を行う画像形成ステップとを含み、
前記画像合成ステップは、
各色において、文字画像データの文字画素に重なり合う部分に位置する、写真画像データの注目写真画素について、その周辺の所定数の画素における所定濃度以上の画素である有効画素の数を計数する計数ステップと、
各色において、前記計数ステップで計数した有効画素数が所定数以上である場合、注目写真画素の濃度にかかわらず注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化し、前記計数ステップで計数した有効画素数が所定数未満である場合は、注目写真画素が高濃度画素であるときにその注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化して合成する合成演算ステップと
を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項4】
画像読取り部で読み取った画像データをカラー画像形成に用いる各色に対応した画像データに変換する色変換ステップと、
写真原稿を読み取って色変換して得られた各色の写真画像データを写真処理する写真処理ステップと、
文字原稿を読み取って色変換して得られた各色の文字画像データからグレースケールの文字画像データを生成するグレースケール処理ステップと、
各色の文字画像データ、およびグレースケールの文字画像データを文字処理する文字処理ステップと、
写真処理された各色の写真画像データと、文字処理された各色の文字画像データとを、対応する色ごとに、画素単位で合成する画像合成ステップと、
前記画像合成ステップの合成結果に基づいて媒体にカラー画像形成を行う画像形成ステップとを含み、
前記画像合成ステップは、
各色の写真画像データにおける、グレースケールの文字画像データの文字画素に重なり合う部分に位置する注目写真画素について、その周辺の所定数の画素における所定濃度以上の画素である有効画素の数を計数する計数ステップと、
各色において、前記計数ステップで計数した有効画素数が所定数以上である場合、注目写真画素の濃度にかかわらず注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化し、前記計数ステップで計数した有効画素数が所定数未満である場合は、注目写真画素が白でない画素であるときにその注目写真画素に重なり合う白でない文字画素を白化し、さらに、他の色のうち少なくとも1色において白化した文字画素に対応する位置の白でない文字画素を白化して合成する合成演算ステップと
を含むことを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−130092(P2011−130092A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285393(P2009−285393)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】