説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】原稿載置台に片面原稿の表裏を誤って載置した場合であっても、片面原稿を確実に読み取ってコピーを行い、印刷がなされた用紙のページ順を片面原稿と同一のページ順に整合させること。
【解決手段】画像読み取り部2が、原稿の各ページの第1の面と第2の面の画像を読み取り、制御部が、画像が原稿の各ページの一方の面にのみ含まれる場合に、画像が第1の面に含まれるのか第2の面に含まれるのかに応じて、画像が形成された用紙を排出する際の用紙の面の向きを決定し、画像形成部3が、制御部により決定された面の向きで、画像が形成された用紙を排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の形成を行う画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置によるコピー処理実行時の印刷速度の高速化に伴い、原稿の読み取り速度が向上したスキャナであって、原稿両面を同時に読み込み可能なものが画像形成装置に搭載されるようになってきている。
【0003】
しかしながら、このようなスキャナで画像形成装置が片面コピーを行なう場合、読み取り面を所定の方向にセットして原稿を読み取る必要があり、不慣れな利用者等が片面原稿の読み取り面の載置方向を誤ってコピーを開始すると、原稿の裏面の白紙を読み取って、大量の白紙コピーを行なってしまうという問題があった。
【0004】
このような場合、コンビニエンスストア等にある有料の複写機や、会社の部門単位でコピーの費用請求(課金)がなされる複写機においては、白紙コピーであっても、課金されてしまい、無駄な費用が発生することとなる。
【0005】
また、複写機の使用に慣れた利用者であっても、片面原稿の載置方向に統一された基準が無く、メーカーにより、また、同一メーカーであっても高速機、低速機などの機種により載置方向が異なることから、使用に慣れていない機種でコピーを行う際には、原稿の載置方向を誤る可能性がある。
【0006】
そのため、特許文献1には、原稿の第1の面を読み取る第1面用読み取り部と、第2の面を読み取る第2面用読み取り部とを備え、片面原稿の表裏を判断し、画像のある面のみを選択して読み取る画像読取装置が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、原稿の表面と裏面の情報を同時に読み取り、裏面に記載があるか否かを判断し、裏面に記載がある場合に裏面の情報を送信するファクシミリ装置が開示されている。
【0008】
また、特許文献3には、原稿読み取りの原稿面指定が片面だった場合でも両面を読み取り、両面の画像データを含む画像ファイルを生成し、白紙以外の画像データを出力する画像処理装置が開示されている。
【0009】
また、特許文献4には、片面原稿か両面原稿かを示す情報を原稿に形成しておき、原稿の読み取り時にその情報をセンサにより検出して、各原稿が片面原稿か両面原稿かを判別し、その判別結果に応じて原稿の画像を読み取る画像読取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−125168号公報
【特許文献2】特開平2−39765号公報
【特許文献3】特開2009−225042号公報
【特許文献4】特開2005−341185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した従来技術では、原稿の画像を読み取った後、その画像が印刷された用紙の排紙方法については何ら記載されていない。例えば、表裏を誤って原稿が載置され、その原稿のコピーがなされた場合、印刷がなされた用紙が排出されるページ順が、原稿と逆になってしまうが、上述した従来技術は、それに対して何ら対応策を提案するものではない。
【0012】
本発明は、上記実情に鑑み、原稿載置台に片面原稿の表裏を誤って載置した場合であっても、片面原稿を確実に読み取ってコピーを行い、印刷がなされた用紙のページ順を片面原稿と同一のページ順に整合させることが可能な画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決する為に、本発明の第1の技術手段は、複数のページからなる原稿から読み取った画像を用紙に形成する画像形成装置であって、前記原稿の各ページの第1の面と第2の面の画像を読み取る画像読み取り部と、前記画像が前記原稿の各ページの一方の面にのみ含まれる場合に、前記画像が前記第1の面に含まれるのか前記第2の面に含まれるのかに応じて、前記用紙を排出する際の該用紙の面の向きを決定する制御部と、該制御部により決定された面の向きで、前記画像が形成された用紙を排出する画像形成部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記制御部は、さらに前記画像が前記第1の面に含まれるのか前記第2の面に含まれるのかに応じて、前記画像が形成された用紙を最初のページから順に排出するのか、最終ページから順に排出するのかを決定することを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記制御部は、前記画像が形成された用紙を最後のページから排出するよう決定した場合に、前記用紙をフェースアップで排出するよう決定することを特徴とする。
【0016】
本発明の第4の技術手段は、第1〜第3のいずれかの技術手段において、前記画像形成部は、前記制御部により決定された用紙の面の向きで前記用紙を排紙する場合に、前記用紙のスイッチバックが必要な排紙トレイと、前記用紙のスイッチバックが不要な排紙トレイのうち、前記用紙のスイッチバックが不要な排紙トレイに前記用紙を排出することを特徴とする。
【0017】
本発明の第5の技術手段は、第1〜第4のいずれかの技術手段において、前記制御部は、前記画像を形成する用紙の部数が所定数よりも多いか否かを判定し、該部数が該所定数よりも多い場合に、前記画像形成部は、前記原稿のすべてのページの前記画像の読み取りが終了した後、前記用紙を前記用紙のスイッチバックが不要な排紙トレイに排紙することを特徴とする。
【0018】
本発明の第6の技術手段は、複数のページからなる原稿から読み取った画像を用紙に形成する画像形成方法であって、前記画像が前記原稿の各ページの第1の面と第2の面のいずれか一方にのみ含まれる場合に、該画像が第1の面または第2の面のいずれに含まれているのかを検出する画像検出ステップと、前記画像が前記第1の面に含まれるのか前記第2の面に含まれるのかに応じて、前記用紙を排出する際の該用紙の面の向きを決定する決定ステップと、該決定ステップにおいて決定された面の向きで、前記画像が形成された用紙を排出する画像形成ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、原稿載置台に片面原稿の表裏を誤って載置した場合であっても、片面原稿を確実に読み取ってコピーを行い、印刷がなされた用紙のページ順を片面原稿と同一のページ順に整合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の内部構造の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の電気的な回路構成を示すブロック図である。
【図3】画像読み取り装置の給紙方式と読み取り面との関係について説明する図である。
【図4】本発明の実施形態に係る印刷処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の画像形成装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1の内部構造の一例を示す図である。図1には、オプションとして大容量カセット34が画像形成装置1に取り付けられた状態が示されている。本実施形態では、画像形成装置1が、複写機能、プリンタ機能、ファックス機能、スキャナ機能を有するデジタル画像形成装置(デジタル複写機)である場合について説明するが、これに限定されず、複数のページを含む原稿の画像を読み取り、読み取った画像を用紙に形成し、画像が形成された用紙を排出する画像形成装置であればよい。
【0022】
図1に示すように、画像読み取り装置2は、透明ガラスからなる原稿載置台10、原稿載置台10上へ自動的に原稿を供給するための両面対応自動原稿送り装置(RADF)11、原稿の第1の面の画像を読み取る第1の画像読み取り部12、原稿の第2の面の画像を読み取る第2の画像読み取り部13を備える。
【0023】
RADF11は、所定の原稿トレイ上に複数枚の原稿を一度にセットしておき、セットされた原稿を1枚ずつ自動的に原稿載置台10上へ送給する装置である。
【0024】
第1の画像読み取り部12は、原稿面上を露光するランプリフレクタアセンブリと、原稿からの反射光像を電気的画像信号に変換する光電変換素子(CCD)17に導くための第1反射ミラーを搭載した第1走査ユニット14、および、第2、第3反射ミラーを搭載した第2走査ユニット15、反射光像をCCD17上に結像するための光学レンズ体16を備える。
【0025】
第1走査ユニット14および第2走査ユニット15はそれぞれ、原稿載置台10に沿った副走査方向に移動可能に構成されている。これにより、原稿載置台10上に載置された原稿の画像を読み取ることができる。
【0026】
また、RADF11により送給された原稿の画像を読み取る際には、第1走査ユニット14および第2走査ユニット15の位置は、所定のホームポジションに設定される。そして、第2の画像読み取り部12は、RADF11との関連した動作によって、原稿載置台10上に読み取るべき原稿を順次載置させながら、原稿載置台10上に載置された原稿の画像を1ライン毎に順次CCD17に結像させて、原稿画像を読み取る。
【0027】
第2の画像読み取り部13は、原稿面上を露光するランプリフレクタアセンブリと、原稿からの反射光像を電気的画像信号に変換する光電変換素子(CCD)18に導くための第1〜第4反射ミラー、反射光像をCCD18上に結像するための光学レンズ体19から構成される。
【0028】
RADF11により送給された原稿の画像を読み取る際には、第2の画像読み取り部13は、RADF11との関連した動作によって、原稿の画像を1ライン毎に順次CCD18に結像させて、原稿画像を読み取る。
【0029】
原稿画像を第1の画像読み取り部12、第2の画像読み取り部13で読み取ることにより得られた画像データは、各種処理が施された後、メモリに一旦記憶され、出力指示に応じてメモリから画像データを画像形成部3に出力して、感光体ドラム22上に可視画像として再現した後、用紙上に画像を転写してトナー像を形成する。
【0030】
この画像形成部3は、レーザ書き込みユニット(LSU)21および画像を形成するための電子写真プロセス部20を備えている。レーザ書き込みユニット21は、メモリから読み出した画像データまたはパーソナルコンピュータ等の外部機器から転送されてきた画像データに応じてレーザ光を出射する半導体レーザ、レーザ光を等角速度偏向するポリゴンミラー、等角速度偏向されたレーザ光が電子写真プロセス部20の感光体ドラム22上を等速度で走査するように補正するf−θレンズ等を有している。
【0031】
電子写真プロセス部20は、周知の態様に従い、感光体ドラム22の周囲に帯電装置23、現像装置24、転写装置25、剥離装置26、クリーニング装置27、除電装置を配置し、さらに感光体ドラム22の下流側に定着装置28を配置して構成される。
【0032】
給紙部4は、第1〜3カセット31〜33、および、手差しトレイ35、さらにオプションとして大容量カセット34を有している。第1カセット31は、第1のトレイ及び第2のトレイを収容するタンデムトレイで、両トレイを装置本体から同時に引き出し可能となっている。第2カセット32、第3カセット33、大容量カセット34は、それぞれ第3のトレイ、第4のトレイ、第5のトレイを収容する。つまり、4つのカセット(31〜34)に5つのトレイが収容されている。
【0033】
大容量カセット34の内部には、上方に付勢されたエレベータを有し、このエレベータに用紙が堆積され、最上部の用紙が給紙ローラーに接触し、給紙ローラーを回転することによって用紙を分離して送り出し、記録装置本体の給紙搬送部37に合流させる。大容量カセット34は大容量のトレイであるので、最も使用頻度の高い、例えばA4サイズの標準紙を収容することができる。給紙搬送部37,38は、給紙部4から感光体ドラム22と転写装置25との間の転写位置に用紙を搬送するために、給紙ローラー、搬送ローラー、レジストローラーを備えている。
【0034】
この給紙部4における第1〜第3カセット31〜33内の4つのトレイには、用紙がサイズ毎に積載されて収容されており、使用者が所望するサイズの用紙が収容されているカセットあるいはトレイを選択すると、そのトレイ内の用紙束の上から1枚ずつ送り出され、給紙搬送部37,38の搬送経路を経由して順次電子写真プロセス部20へ向けて搬送される。
【0035】
定着装置28より用紙搬送方向下流側には、用紙排出路29が設けられており、この用紙排出路29は後処理装置5の排紙搬送路41と、両面複写のための搬送部42とに分岐している。
【0036】
レーザ書き込みユニット21および電子写真プロセス部20において、メモリから読み出された画像データは、レーザ書き込みユニット21によってレーザ光線を走査させることにより感光体ドラム22の表面上に静電潜像として形成され、現像装置24のトナーにより可視像化されたトナー像は、給紙部4から搬送された用紙の表面上に転写装置25により静電転写され、定着装置28によって定着される。
【0037】
また、画像読み取り装置2の下部にはインナートレイ45が備えられる。画像が形成された用紙は、定着装置28からインナートレイ45に排紙されるか、後処理装置5へ送られるか、あるいは両面複写のための搬送部42に搬送される。後処理装置5に送られた用紙は、必要に応じてソートあるいはステープル処理等の所定の処理が施され、第1排出卜レイ43または第2排出卜レイ44にスタックされる。また、両面複写の搬送部42に送られた用紙は、ここで反転され再び電子写真プロセス部20に搬送されて、用紙の裏面に画像が形成され、定着後排出される。
【0038】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1の電気的な回路構成を示すブロック図である。図2において、本実施形態に係る画像形成装置1は、原稿の画像データを読み取る画像読み取り装置(画像データ入力手段)2と、処理モード等を入力するための操作部6と、画像データの複写物を出力する画像形成部(第1の画像処理手段)3と、全体の動作を制御する制御部57と、画像データ等を受信する通信部58と、ハードディスク56と、制御部57の情報を管理する管理部60とを備えている。
【0039】
ここで、通信部58は通信ケーブルなどによりネットワーク61、インターネット62と接続されており、ネットワーク61、インターネット62に接続されたパーソナルコンピュータ64a,64b、外部パーソナルコンピュータ65、インターネットファクシミリ装置66,67などの機器から画像データを受信するようになっている。
【0040】
以下、本実施形態に係る画像記録装置の機能を、画像データの流れに基づいて説明する。デジタル複合機を複写機として利用する場合には、画像読み取り装置2により読み取られた原稿の画像データが、メモリ53を介して画像形成部3から複写物として出力される。より具体的には、画像読み取り装置2にはCCD17,18が備えられており、読み取り位置にセットされた原稿の画像を電子的に読み取ることができる。
【0041】
そして、読み取られた原稿の画像データは、画像処理部54で適宜画像処理が施され、揮発性のメモリ53上に出力画像として完成され、画像形成部3から出力されて、一旦ハードディスク56へ記憶される。原稿が複数存在する場合は、この読み取りと記憶の動作とが繰り返される。
【0042】
また、画像読み取り装置2には、読み取りのためにセットされる原稿のサイズを検出する原稿検知センサ19が複数搭載されており、各原稿検知センサ19からの原稿検出信号に応じて原稿サイズを割り出している。なお、原稿サイズ検出の手法については、セットされている原稿を予備スキャンしてCCD17,18から得られる画像領域から原稿サイズを割り出すことも可能である。
【0043】
その後、操作部6の入力部51から指示された処理モードに基づいて、ハードディスク56に記憶された画像データが適切なタイミングで順次読み出され、揮発性のメモリ53に戻される。そして、レーザ書き込みユニット21への書き込みタイミングに合わせて画像データがメモリ53からレーザ書き込みユニット21へと転送される。
【0044】
また、読み取った画像データを複数枚印刷する場合も同様に、画像データが出力画像としてページ単位でハードディスク56へ記憶され、出力するモードに合わせてハードディスク56から揮発性メモリ53に送られ、出力枚数の分だけ繰り返しレーザ書き込みユニット21の書き込みタイミングに合わせてレーザ書き込みユニット21へ転送される。
【0045】
前記したように、画像形成装置1の給紙部4は、第1〜3カセット31〜33、手差しトレイ35、およびオプションとして付加された大容量カセット34を備える。第1カセット31には第1および第2のトレイが収容されており、装置本体から同時に引き出し可能となっている。
【0046】
第1〜第3カセット31〜33、およびオプションとして付加された大容量カセット34の4つのカセットに包含される第1〜第5のトレイには、それぞれ収容されている用紙の残量を検出するセンサ31a,31a,32a,33a,34a、用紙のサイズを検出するセンサ31b,31b,32b,33b,34bが設けられており、それぞれの情報が制御部57に入力され、これらのセンサから得られた情報は操作部6の表示部52に表示される。また、5つのトレイに収容されている用紙のそれぞれの紙質(普通紙、再生紙、厚紙など)については操作部6から適宜設定することができる。
【0047】
従来、複写機では、最終ページの原稿から順次原稿を読み取って、コピーされた用紙を排紙トレイに排紙する場合、画像が印刷された用紙の識別を容易にするため、フェースアップ(印刷面が上方に向いた状態)で排紙されていた。
【0048】
しかしながら、昨今、複写機のデジタル化に伴い、複写機をプリンタとして用いることが多くなり、プリンタの出力処理を高速化するため、先に複写機に入力されたプリントデータから順次出力する方法が用いられている。そのため、フェースダウン(印刷面が下方に向いた状態)の出力が一般化している。
【0049】
このようなことから、近年のプリンタ機能を備えた複合機ではコピー処理であってもフェースダウンで出力されるのが一般的となっている(なお、プリンタドライバの設定によりフェースアップの設定も可能である)。
【0050】
図3は、画像読み取り装置2の給紙方式と読み取り面との関係について説明する図である。通常、画像形成装置では、図3(A)〜図3(D)のいずれかに画像読み取り装置2の給紙方式が固定されている。
【0051】
図3(A)は、反転パスであって、複数のページからなる原稿をピックアップローラー70で上から順次搬送する原稿の上取り方式を示している。原稿は、上側が1ページ目となるように載置され、1ページ目から順に下方にある第1の読み取り部で読み取り面Aが読み取られた後、即座に印刷部で印刷が行われ、印刷された用紙がフェースダウンで排紙されることで、コピー処理が高速化されるとともに、原稿と印刷された用紙との間でページ順序の整合性が保たれる。
【0052】
図3(B)は、ストレートパスであって、複数のページからなる原稿をピックアップローラー70で上から順次搬送する原稿の上取り方式を示している。原稿は、上側が1ページ目となるように載置され、1ページ目から順に上方にある第2の読み取り部で読み取り面Aが読み取られ、印刷部により印刷された用紙がフェースダウンで排紙されることで、原稿と印刷された用紙との間でページ順序の整合性が保たれる。
【0053】
図3(C)は、反転パスであって、複数のページからなる原稿をピックアップローラー70で下から順次搬送する原稿の下取り方式を示している。原稿は、下側が1ページ目となるように載置され、1ページ目から順に上方にある第2の読み取り部で読み取り面Aが読み取られ、印刷部により印刷された用紙がフェースダウンで排紙されることで、原稿と印刷された用紙との間でページ順序の整合性が保たれる。
【0054】
図3(D)は、ストレートパスであって、複数のページからなる原稿をピックアップローラー70で下から順次搬送する原稿の下取り方式を示している。原稿は、下側が1ページ目となるように載置され、1ページ目から順に下方にある第1の読み取り部で読み取り面Aが読み取られ、印刷部により印刷された用紙がフェースダウンで排紙されることで、原稿と印刷された用紙との間でページ順序の整合性が保たれる。
【0055】
つぎに、図1を用いて、後処理装置5と印刷された用紙の表裏の関係について説明を行なう。感光体ドラム22で静電潜像が転写された用紙は、定着装置28でトナーが固着され、画像読み取り装置2の下部に備えられたインナートレイ45、又は後処理装置5に排紙される。その際、ゲート46によって排紙方向が切り替えられるので、インナートレイ45にはフェースダウン、後処理装置5にはフェースアップで排紙される。
【0056】
また、用紙を後処理装置5の排紙トレイ43,44に排紙する際に、インナートレイ45の排紙ローラー47でスイッチバックすることで、後処理装置5の排紙トレイ43,44に用紙をフェースダウンで排紙することもできる。なお、搬送路48、49でもスイッチバックが可能である。
【0057】
つぎに、本発明の実施形態に係る印刷処理の処理手順について説明する。図4は、本発明の実施形態に係る印刷処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、図3(A)、図3(B)に示した原稿上取りの給紙方法が採用されている場合であって、利用者により片面コピーの指示を受け付けた場合について説明する。
【0058】
画像形成装置1の制御部57は、画像読み取り装置2を制御して、原稿の両面を読み取る処理を実行し、原稿の有無、及び、原稿の記録面を判断する(ステップS1)。この処理は、図3(A)、図3(B)の場合において、利用者により原稿載置台に記録面が上になるよう原稿が正しく載置され、片面コピーの指示を受け付けた場合でも実行される。
【0059】
そして、制御部57は、読み取り面A、Bのいずれに画像が検出されたかに応じて、正しい読み取り面を設定する(ステップS2)。例えば、原稿が正しく載置された場合に画像が読み取られる読み取り面Aに画像が検出された場合には、制御部57は、読み取り面Aを正しい読み取り面として設定するとともに、読み取り面Bに対する読み取りを停止し、また、読み取り面Bで読み取られた画像を廃棄する。
【0060】
また、読み取り面Bに画像が検出された場合には、制御部57は、読み取り面Bを正しい読み取り面として設定するとともに、読み取り面Aに対する読み取りを停止し、また、読み取り面Aで読み取られた画像を廃棄する。
【0061】
そして、制御部57は、設定した読み取り面の情報、印刷された用紙を排紙する排紙トレイの情報に基づいて、排紙トレイへ用紙を排紙する方法を、ストレート排紙またはスイッチバック排紙のいずれかに決定する(ステップS3)。
【0062】
例えば、図3(A)、図3(B)の場合において、1ページ目が上になるように原稿が正しく載置され、読み取り面Aが正しい読み取り面として設定され、用紙がインナートレイ45に排出される場合、原稿は1ページ目から読み取られるので、制御部57は、用紙の排紙方法を、インナートレイ45にフェースダウンでストレート排紙する方法に決定する。この排紙方法は、用紙がインナートレイ45方向に直接搬送されるようにゲート46を切り替えることにより実現される。
【0063】
また、図3(A)、図3(B)の場合において、1ページ目が上になるように原稿が正しく載置され、読み取り面Aが正しい読み取り面として設定され、用紙が排紙トレイ43,44に排出される場合、原稿は1ページ目から読み取られるので、制御部57は、用紙の排紙方法を、排紙トレイ43,44にフェースダウンでスイッチバック排紙する方法に決定する。この排紙方法は、用紙がインナートレイ45方向に搬送されるようにゲート46を切り替え、排紙ローラー47で用紙のスイッチバックを行うことにより実現される。
【0064】
また、図3(A)、図3(B)の場合において、1ページ目が下になるように読み取り原稿が誤って載置され、読み取り面Bが正しい読み取り面として設定され、用紙がインナートレイ45に排出される場合、原稿は最終ページから読み取られるので、制御部57は、用紙の排紙方法を、インナートレイ45にフェースアップでスイッチバック排紙する方法に決定する。この排紙方法は、用紙が搬送路41方向に搬送されるようにゲート46を切り替え、ローラー50を用いて用紙のスイッチバックを行うことにより実現される。
【0065】
また、図3(A)、図3(B)の場合において、1ページ目が下になるように原稿が誤って載置され、読み取り面Bが正しい読み取り面として設定され、用紙が排紙トレイ43,44に排出される場合、原稿は最終ページから読み取られるので、制御部57は、用紙の排紙方法を、排紙トレイ43,44にフェースアップでストレート排紙する方法に決定する。この排紙方法は、用紙が搬送路41方向に搬送されるようにゲート46を切り替えることにより実現される。
【0066】
その後、画像読み取り装置2は、ステップS2で設定された読み取り原稿の読み取り面の読み取りを行い(ステップS4)、画像形成部3は、読み取った画像の印刷を行う(ステップS5)。その後、画像形成部3、後処理装置5は、ステップS3で決定された排紙方法に従って、印刷された用紙を、インナートレイ45、または、排紙トレイ43,44にストレート排紙、または、スイッチバック排紙する(ステップS6)。
【0067】
その後、画像読み取り装置2は、最後の原稿の読み取りが終了したか否かを判定する(ステップS7)。そして、最後の原稿の読み取りが終了していない場合(ステップS7においてNOの場合)、ステップS4に移行して、それ以後の処理が継続される。最後の原稿の読み取りが終了した場合(ステップS7においてYESの場合)、この印刷処理は終了する。
【0068】
なお、スイッチバック排紙はストレート排紙よりも時間がかかるため、印刷の処理能力が低下する。そのため、ストレート排紙が可能な排紙トレイ43,44、または、インナートレイ45に排紙トレイを変更することにより、印刷部21が最大能力で印字することとしてもよい。
【0069】
例えば、図3(A)、図3(B)の場合において、1ページ目が上になるように原稿が正しく載置され、読み取り面Aが正しい読み取り面として設定され、用紙が排紙トレイ43,44に排出されるように設定されている場合、原稿は1ページ目から読み取られるので、制御部57は、排紙トレイを、用紙のスイッチバックが不要なインナートレイ45に変更する。そして、画像形成部3は、用紙がインナートレイ45に直接搬送されるようにゲート46を切り替え、インナートレイ45にフェースダウンで用紙をストレート排紙する。
【0070】
また、図3(A)、図3(B)の場合において、1ページ目が下になるように原稿が誤って載置され、読み取り面Bが正しい読み取り面として設定され、用紙がインナートレイ45に排出される場合、原稿は最終ページから読み取られるので、制御部57は、排紙トレイを、用紙のスイッチバックが不要な排紙トレイ43,44に変更する。そして、画像形成部3は、用紙が搬送路48,49を介して排紙トレイ43,44に直接搬送されるようにゲート46を切り替え、排紙トレイ43,44にフェースアップで用紙をストレート排紙する。
【0071】
スイッチバックによる排紙を行なうと、用紙の排紙が遅くなり、印刷速度が低下するため、利用者によって意図的に排紙トレイが選択されない限り、原稿の読み取り面を認識し、スイッチバックを行なわない排紙トレイを選択することで、最大の印刷速度で印刷を行うことが可能となる。
【0072】
なお、ここでは、図3(A)、図3(B)に示した原稿上取りの給紙方法が採用された場合について説明したが、図3(C)、図3(D)の原稿下取りの給紙方法が採用された場合にも同様に、ストレート排紙またはスイッチバック排紙のいずれかを選択することにより、原稿のページ順と用紙のページ順とを整合させることができる。
【0073】
なお、上記実施形態では、図3(A)、図3(B)の場合において、1ページ目が下になるように原稿が誤って載置され、読み取り面Bが正しい読み取り面として設定され、用紙がインナートレイ45に排出される場合、最終ページから原稿を読み取ることになるので、制御部57は、用紙が搬送路41方向に搬送されるようにゲート46を切り替え、ローラー50を用いて用紙のスイッチバックを行うことにより、インナートレイ45にフェースアップで用紙をスイッチバック排紙することとした。しかし、この場合、利用者によってコピー部数が複数に設定された場合、最終ページからフェースアップで排紙すると印刷時間が長くなってしまう。
【0074】
そのため、コピー部数が複数に設定された場合には、すべての原稿を読み取った後に、1ページ目からフェースダウンでインナートレイ45にストレート排紙することで、ページ毎に行なわれていたスイッチバックの時間を省略し、印刷を短時間で行なうことができるようになる。インナートレイ45への用紙のストレート排紙は、用紙がインナートレイ45方向に直接搬送されるようにゲート46を切り替えることにより実現される。
【0075】
また、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1…画像形成装置(デジタル複合機)、2…画像読み取り装置、3…画像形成部、4…給紙部、5…後処理装置、6…操作部、10…原稿載置台、11…両面対応自動原稿送り装置(RADF)、12…第1の画像読み取り部、13…第2の画像読み取り部、14…第1走査ユニット、15…第2走査ユニット、16,19…光学レンズ体、17,18…光電変換素子(CCD)、20…電子写真プロセス部、21…レーザ書き込みユニット(LSU)、22…感光体ドラム、23…帯電装置、24…現像装置、25…転写装置、26…剥離装置、27…クリーニング装置、28…定着装置、31〜33…第1〜第3カセット、31a,31a,32a,33a,34a…用紙残量センサ、31b,31b,32b,33b,34b…用紙サイズセンサ、34…大容量カセット、35…手差しトレイ、37,38…給紙搬送部、41…排紙搬送路、42…両面複写の搬送部、43…第1排出卜レイ、44…第2排出卜レイ、45…インナートレイ、46…ゲート、47…排紙ローラー、48,49…搬送路、50…ローラー、51…入力部、52…表示部、53…メモリ、54…画像処理部、56…ハードディスク、57…制御部、58…通信部、59…FAXモデム、60…管理部、61…ネットワーク、62…インターネット、63…電話回線網、64a,64b…パーソナルコンピュータ、65…外部パーソナルコンピュータ、66,67…インターネットファクシミリ装置、70…ピックアップローラー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のページからなる原稿から読み取った画像を用紙に形成する画像形成装置であって、
前記原稿の各ページの第1の面と第2の面の画像を読み取る画像読み取り部と、
前記画像が前記原稿の各ページの一方の面にのみ含まれる場合に、前記画像が前記第1の面に含まれるのか前記第2の面に含まれるのかに応じて、前記用紙を排出する際の該用紙の面の向きを決定する制御部と、
該制御部により決定された面の向きで、前記画像が形成された用紙を排出する画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、さらに前記画像が前記第1の面に含まれるのか前記第2の面に含まれるのかに応じて、前記画像が形成された用紙を最初のページから順に排出するのか、最終ページから順に排出するのかを決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記画像が形成された用紙を最後のページから排出するよう決定した場合に、前記用紙をフェースアップで排出するよう決定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成部は、前記制御部により決定された用紙の面の向きで前記用紙を排紙する場合に、前記用紙のスイッチバックが必要な排紙トレイと、前記用紙のスイッチバックが不要な排紙トレイのうち、前記用紙のスイッチバックが不要な排紙トレイに前記用紙を排出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記画像を形成する用紙の部数が所定数よりも多いか否かを判定し、該部数が該所定数よりも多い場合に、前記画像形成部は、前記原稿のすべてのページの前記画像の読み取りが終了した後、前記用紙を前記用紙のスイッチバックが不要な排紙トレイに排紙することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
複数のページからなる原稿から読み取った画像を用紙に形成する画像形成方法であって、
前記画像が前記原稿の各ページの第1の面と第2の面のいずれか一方にのみ含まれる場合に、該画像が第1の面または第2の面のいずれに含まれているのかを検出する画像検出ステップと、
前記画像が前記第1の面に含まれるのか前記第2の面に含まれるのかに応じて、前記用紙を排出する際の該用紙の面の向きを決定する決定ステップと、
該決定ステップにおいて決定された面の向きで、前記画像が形成された用紙を排出する画像形成ステップと、
を含むことを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−58962(P2013−58962A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196910(P2011−196910)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】