説明

画像形成装置および省エネモード制御方法

【課題】画像形成装置および省エネモード制御方法を提供すること。
【解決手段】ネットワークに接続される画像形成装置200は、画像形成装置200が通常モードであったときの情報をキャッシュし、画像形成装置200が省エネモードに退避している期間に情報を保持するRAM手段304と、ネットワーク経由でパケットを送受信するインタフェース手段308と、受信パケットを解析するパケット解析手段306と、受信パケットを解析し、画像形成装置200の情報にアクセスすることが必要な場合に、RAM手段304にキャッシュした情報にアクセスして省エネモードにおいてインタフェース手段308を介して応答する制御手段302とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、より詳細には、画像形成装置が省エネモードから通常モードへの復帰を管理することにより、エネルギー効率を向上させる画像形成装置および省エネモード制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コピー機、ファクシミリ装置、いわゆるMFP(Multi-Function Peripheral)として参照される複合機は、低炭素消費量を達成するために、コピー、ファクシミリ、プリンタ、スキャナ、インターネットアクセスなどの処理を実行する期間を除き、消費電力の低い、いわゆる省エネモードに退避しておくことが要求されている。近年、地球温暖化に対する取り組みは、ますます重要視されるようになってきており、画像形成装置においてもこれまでより以上、画像形成装置がその画像処理を行うための必要最小限の期間以外では、できるだけ省エネモードに退避させておくことが好ましい。
【0003】
また、情報処理装置の機能向上、低価格化およびネットワーク基盤の普及に伴い、情報処理装置と画像形成装置とがネットワークで接続され、画像形成装置が情報処理装置からの指令に応答して各種の画像処理を実行する実装形態が普通になっており、オフィス環境ではネットワークに複数の画像形成装置が接続されているのが普通になっている。画像形成装置が省エネモードになっているかいないかにかかわらず、外部接続された情報処理装置からの処理指令が発送されると、画像形成装置は、要求された処理を実行するために省エネモードから通常動作モードに復帰し、処理を実行する。
【0004】
ネットワークに接続された画像形成装置の通常モードへの復帰を最小限とするデジタル複合機も提案されており、例えば特開2010−93609号公報(特許文献1)には、ネットワークコントローラに判定テーブルを設け、パケットの内容に応じてデジタル複合機を省エネ状態に維持したままでネットワークコントローラだけで応答するデジタル複合機が記載されている。
【0005】
特許文献1に記載された技術によっても、例えばARP(Address Resolution Protocol)コマンド、PINGなどによるポーリングなどのパケットを受信した場合に情報処理装置自体を省エネモードに維持したままでネットワークコントローラだけでパケットの処理を行うことができる。
【0006】
一方、ネットワーク接続された画像形成装置の状態を管理し、処理指令の状態や機器状態を管理するために、SNMP(Small Network Management Protocol)プロトコルが使用されており、SNMPマスタとして機能する機器がネットワークに接続され、SNMPエージェントとして機能する画像形成装置の状態をモニタすることが通常行われている。
【0007】
SNMPは、種々のコマンドが使用されており、SNMPコマンドのうち、trapや単純なポーリングなど、基本的コマンドであれば、画像形成装置を省エネモードから復帰させずともネットワークコントローラ内だけの処理で応答することもできる。この他にもプリンタネットワークにおいて各種機器管理を行うため、画像形成装置等の機器には、各種の問い合わせや応答が行われ、画像形成装置側では、これらの問い合わせや報告についても外部からの割込要求として処理しなければならない。このため、各画像形成装置のネットワークデバイスは、ネットワークを介した要求を処理するため省エネモードにあっても最小限の機能を提供しなければならず、ネットワークを介して送付される割込要求やそれに対する応答の中には、画像形成装置を省エネモードから復帰させなければ応答できない種類のものもあるし、画像形成装置を省エネモードとしたままで応答することができる種類のものもある。
【0008】
上述したSNMPプロトコルを例にとって説明すると、単なる動作状態を問い合わせるポーリングなどでは、特許文献1に示すように画像形成装置を省エネモードから復帰させる必要は必ずしも生じない。しかしながら、SNMPマスタから、例えばGET REQUESTコマンドがエージェントとして機能する画像形成装置に送付されると、画像形成装置は、MIB(Machine Information Base)といったデータベースにアクセスして、要求された情報を取得し、SNMPホストに返す必要がある。この場合、MIBにアクセスするためにだけ画像形成装置が省エネモードから復帰してしまう場合もあり、一旦省エネモードから復帰した画像形成装置は、省エネモード退避条件が満足されるまでは通常モードに維持されることになるので、まったく無駄な電力が消費されることになる。
【0009】
また、SNMPマスタから送付された各種情報をリアルタイムで反映させるためにも画像形成装置を省エネモードから復帰させなければならないが、当の画像形装置は、現在省エネモードであり、リアルタイムで送付された各種情報を設定する必要はない。その他、SNMPプロトコルでは、ポーリングの内にも画像形成装置の各種の現在状態を把握するためにSNMPホストが画像形成装置に対してポーリングする場合もある。これらのSNMPコマンドが送付されると、画像形成装置は、MIBに格納された情報を取得し、SNMPホストにMIBから取得した情報を送付することになるが、MIBにアクセスするためにその都度画像形成装置を省エネモードから復帰させる場合が発生していた。
【0010】
上述したSNMPプロトコルによる機器管理は、画像形成処理自体には関係しないネットワーク管理および機器管理の目的のものであり、SNMPプロトコルに対応するためにだけ画像形成装置を省エネ状態から通常動作モードに復帰させることは、低炭素要求の観点から見てさらに改善する余地があった。また、SNMPプロトコルに基づく各種コマンドの他、ネットワークを介して入来する割込に対しては、省エネ状態にある画像形成装置をリアルタイムで省エネモードから通常モードに復活させず、画像形成装置の本来の機能を提供するための割込があったときに画像形成装置に反映させれば済むものもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
すなわち、本発明は、画像形成装置の省エネモードを、画像形成装置が本来提供するべき機能を要求する外部割り込みがあるまで可能な限り持続させることを可能とする、画像形成装置および省エネモード制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、本発明では、SNMPプロトコルやその他画像形成装置をネットワークから入来する割込に対し、画像形成装置の省エネモードの割込処理能力を改善することによって、画像形成装置における省エネモードの有効利用を可能とするものである。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するために、画像形成装置に入来する割込において利用する情報、例えばSNMPプロトコルであれば、MIBといった情報を省エネモードでも維持される記憶手段にキャッシュする。また、画像形成装置に割込と同時に入来した情報を、省エネモードでも維持される記憶手段にキャッシュする。記憶手段は、ネットワークアクセスを可能とするネットワークインタフェースが画像形成装置の省エネモードに影響を与えずにアクセスできるハードウェア階層に設けられ、省エネモードの状態を変更することなくネットワークアダプタが受信したパケットの処理を可能とさせている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の画像形成装置を含むプリンタネットワーク100の概略図である。
【図2】本実施形態の画像形成装置の概略的なハードウェアブロック200を示す図。
【図3】図2に示したハードウェアブロック200が画像形成装置に提供する、機能ブロック300を示す図。
【図4】本実施形態の省エネモード制御処理の概略的なフローチャート。
【図5】本実施形態の第2の省エネモード制御処理の概略的なフローチャート。
【図6】MIBキャッシュ作成を通常モード時の外部設定によって制御することを可能とする実施形態において実装される省エネモード制御方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を図面を持って説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。図1は、本実施形態の画像形成装置を含むプリンタネットワーク100の概略図である。プリンタネットワーク100は、イーサネット(登録商標)などを含むネットワーク114により、各種の装置が相互接続されていて、電子的ドキュメントの作成および印刷を可能としている。ネットワーク114には、サーバ102、パーソナルコンピュータ106、110などの情報処理装置が接続されている。
【0016】
サーバ102は、接続されていても接続されていなくともかまわないが、接続される場合には、パーソナルコンピュータ106、110などからの印刷要求を印刷データと共に受信し、出力先とするべき画像形成装置へと印刷ジョブを振り分ける。サーバ102およびパーソナルコンピュータ106、110は、いわゆる情報処理装置として実装され、PENTIUM(登録商標)シリーズ、PENTIUM−DUAL CORE(登録商標)、CORE2−DUO(登録商標)、CORE2−QUAD(登録商標)、i3、i5、i7、XEON(登録商標)、ATHLON(登録商標)、OPETRON(登録商標)、POWER PC(登録商標)などのCPU(中央処理装置)、RAM、ROM、ハードディスク装置などを含んで構成され、WINDOWS(登録商標)シリーズ、MAC OS(登録商標)、UNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)などのオペレーティングシステム(OS)により各種アプリケーションプログラムを実行して電子的ドキュメントの作成や、印刷ジョブの管理を実行する。
【0017】
また、画像形成装置104、108、112としては、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、または、コピー機能、スキャナ機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能、データアクセス機能などの機能を1台で提供することができる、いわゆる複合機(MFP:Multi-Function Peripheral)として参照される複合機能を備える画像形成装置を挙げることができ、画像形成装置104、108、112の種類や台数については、プリンタネットワーク100に参加できるネットワーク要素を有している限り、特に限定はない。なお、画像形成装置112は、その性能が許容する場合、プリンタサーバやデータサーバなどの機能を併せて備えていても良い。画像形成装置112がサーバの機能を具備する場合でも、本実施形態では、その出力機能の点から参照する場合は画像形成装置として参照する。また、情報処理装置として参照する場合には、サーバ機能を具備するMFPも意味するものとする。
【0018】
プリンタネットワーク100の複数の情報処理装置や画像形成装置が接続されていて、それぞれ印刷ジョブを発行し、印刷ジョブの実行を行うので、通常、プリンタネットワーク100に接続された画像形成装置104、108、112の状態を管理する目的で、各画像形成装置104、108、112は、SNMP(Simple Network Management Protocol)プロトコルの下でその状態監視が行われている。また、プリンタネットワーク100に接続された画像形成装置104、108、112は、近年の低炭素化社会の実現の要請を受けて、その機能を使用しない場合には、電力消費の低い動作モード、いわゆる省エネモードに退避する構成とされる。省エネモードでは、外部からの要求がない限り、画像形成装置104、108、112は、ハードディスク装置や各種機能を提供するための処理エンジンへの通電を停止するか、または最小限の状態とされることが望まれている。
【0019】
本実施形態は、例えばSNMPプロトコルなどのネットワーク管理のための各種外部割り込みによっては省エネモードからの復帰を行わせず、画像形成装置が提供するべき機能を要求する割込を受領して初めて省エネモードからの復帰を可能とするものである。
【0020】
図2は、本実施形態の画像形成装置の概略的なハードウェアブロック200を示す図である。画像形成装置は、CPU202と、RAM204と、ハードディスク(HDD)I/F206と、NIC(Network Interface Card)210とを含んで構成されている。CPU202は、画像形成装置の各種処理を制御しており、RAM204が提供するメモリ空間を実行領域として各種制御を行う。なお、本実施形態におけるRAM204は、電力供給が停止されると記憶内容が失われる一時記憶RAMの他に、他のメモリ要素として持続性記憶領域を提供する不揮発性のランダムアクセスメモリ(NVRAM)を含むものとして定義される。
【0021】
HDDI/F206は、ハードディスク装置の動作制御およびデータアクセス制御を行い、NIC210は、ネットワーク114を介した各種通信を可能とする。CPU202、RAM204、HDDI/F206およびNIC210は、図2に示した実施形態では、システムバスにより相互接続されている。本実施形態では、システムバス230としては、例えば、PCIバス、PCI−Xバス、PCI Expressなどのホスト−PCIバスなど、バスブリッジよりも上流側、例えばノースブリッジの階層に分類されるバスを意味する。
【0022】
さらに画像形成装置は、処理エンジンを制御するための処理エンジンI/F212、USBホストI/F214、拡張機能I/F216を備えており、これらは、I/Oバス240によって相互接続されている。処理エンジンI/F212としては、画像形成のための処理を実行するための処理モジュールを制御するための、コピーエンジン制御I/F、プリンタエンジン制御I/F、スキャナ制御I/F、ファクシミリ制御用I/Fなどを挙げることができ、画像形成装置が提供するべき処理機能に対応して提供されている。また、USBホストI/F214は、USBバス250を介した各種周辺機器の接続を制御しており、USBバス250を介してEEPROM、EPROM、FlashメモリなどROM(Read Only Memory)タイプの不揮発性メモリ218や、その他デバイス2、3、…、Nまでのデバイスを制御している。
【0023】
また、拡張機能I/F216は、画像形成装置のベンダが用意する各種オプション機能を提供するためのI/Fであり、IEEE1384、IEEE1284など適切なプロトコルでの相互通信を可能とする限り特に限定されない。システムバス230と、I/Oバス240とは、ASIC208によって相互接続されている。
【0024】
ところで、SNMPプロトコルのためのMIBは、画像形成装置のベンダ独自の設定を含むものであり、また各種のバージョンアップなどに対応しなければならないためHDDI/F206、ASIC208、NIC210などといった主I/Fボードに搭載することは適さず、オンボードまたはオフボードでUSB接続される書換可能なROMとして実装され、画像形成装置の実装後、機種設定に対応したMIBが書き込まれることになる。
【0025】
図3は、図2に示したハードウェアブロック200が画像形成装置に提供する、機能ブロック300を示す。図3では、制御手段302がCPU202に、RAM手段304が、RAM204に、パケット解析手段306および第2層手段308がNIC210に対応する。なお、第2層手段308は、OSI基本参照モデルにおける第1層および第2層機能の総称であり、ネットワーク114からパケットを回収し、OSI基本参照モデルの第3層以上の処理を実行しパケット解析手段306によるIPヘッダ解析のために受信パケットをバッファリングする機能を有する。
【0026】
また、HDD手段310は、HDDI/F206に、ROM手段320は不揮発性メモリ218に、拡張機能手段322は、拡張機能I/F216に、各種デバイス手段324は、デバイス220〜224に、処理エンジン手段326は、処理エンジンI/F212にそれぞれ対応するハードウェアおよびI/Fの両機能を含む手段である。また、図3に示すようにMIB328は、ROM手段320に、プリンタMIB、システムMIB、コピーMIB、スキャナMIB、ファックスMIBなどとして、各機能毎に記録されている。なお、図3のバスライン314が、図2のI/Oバスライン240に対応する。図3に示すように、要するに本実施形態の画像形成装置は、画像形成装置200の画像処理を行うために必要な機能手段を、全部I/Oバスラインに分離する構成を有する。
【0027】
図3の機能ブロック300のうち、通常モードでは、図3に示す機能ブロックは、すべて通常電力供給状態で動作する。一方、省エネモードでは、図3中、破線で示した矩形枠312内の機能だけが電力供給される。このため、画像形成装置が省エネモードにあり、MIBを参照しなければならない場合、図2のASIC208以下のデバイス、すなわち、少なくともUSBホストI/F214以下のデバイスに対応するROM手段320、拡張機能手段322、各種デバイス手段324を省エネモードから復帰させなければ、不揮発性メモリ218に格納されたMIBの情報を取得できず、この結果、ネットワーク管理のために最小限のエネルギー消費量の省エネモードから復帰してしまう事態が発生する。なお、ASIC208の実装形式によっては、図3の矩形枠312以外の全デバイスが復帰してしまうこともあり、省エネモードの利用性が低下する。
【0028】
このため、本実施形態では、通常モードの適切なタイミングで、ROM手段320に記録されたMIB328を、RAM手段304にキャッシュする。本実施形態における用語「キャッシュ」とは、アクセスのために電力供給を行いかつアクセス速度の比較的遅い不揮発性メモリ218に記憶された情報を、アクセス速度が比較的速いRAM手段304に退避させる処理を意味する。
【0029】
通常モードの適切なタイミングとは、(1)通常モードにおいて定期的にMIBをRAM手段304にコピーするなど、事前設定されたタイミング、(2)省エネモードの退避動作のシーケンス内でMIBをRAM204にコピーする、(3)画像形成装置の起動された直後などのタイミングを意味し、いずれも実施形態でも、画像形成装置の状態を正しく反映できる限り特に限定されるものではない。なお、RAM手段304は、省エネモードで、ネットワーク114を介してMIB情報やその他の情報が送付され、パケット解析手段306の解析により同期的な画像形成装置200の通常モードでの復帰が不要と判断される要求である場合に受領したパケットのペイロード情報をキャッシュするためにも用いられる。
【0030】
図4は、本実施形態の省エネモード制御処理の概略的なフローチャートである。図4の処理は、ステップS400から開始し、ステップS401で省エネモード退避のタイミングが到来したか否かを判断し、省エネモード退避のタイミングでなければ(no)処理をステップS401で反復させ、省エネモードへの退避のタイミングが到来したと判断した場合(yes)、ステップS402で、MIBキャッシュ作成済みか否かを判断する。ステップS402で、MIBキャッシュが作成済みであると判断した場合(yes)処理をステップS404に分岐させる。一方、ステップS402で、MIBキャッシュが作成済みではないと判断した場合(no)、ステップS403で、MIBキャッシュをRAM手段304にコピーして作成する。
【0031】
ステップS404では、CPU、RAM、NICを残して電力供給を停止し、省エネモードに退避させる。ステップS405では、パケットを受信し、ステップS406で、受信したパケットがSNMPパケットであるか否かを判断する。ステップS406の判断でパケットがSNMPパケットであると判断された場合、(yes)ステップS407でRAM手段304内のMIBキャッシュを参照し、SNMP応答を返し、処理をステップS405に戻し、後続するパケットの受信を行う。また、ステップS406でSNMPパケットではないと判断した場合(no)、ステップS408で、省エネモードからの復帰処理を呼び出して画像形成装置を通常モードに復帰させ、処理をステップS409で終了する。
【0032】
図4に示した処理によって、少なくとも、画像形成装置における画像処理を指令するポート番号以外のパケットの到来によって画像形成装置が省エネモードから復帰しないようにすることができる。なお、本実施形態の他の態様では、例えばネットワーク114を介してHTTPアクセスやFTPアクセスによる割込を検出した場合、HDD手段310だけを起動させるように構成することもできる。
【0033】
図5は、本実施形態の省エネモード制御処理の第2の実施形態の概略的なフローチャートを示す。図5の処理は、画像形成装置が同時または通常モードの適時的なタイミングでMIBキャッシュを作成する実施形態に対応する。図5の処理は、ステップS500から開始し、ステップS501で、MIBキャッシュが作成済みであるか否かを判断する。MIBキャッシュが作成済みであれば(yes)処理をステップS503に分岐させる。また、MIBキャッシュ作成済みでない場合(no)、ステップS502でMIBキャッシュをRAM手段304にコピーして作成する。ステップS503では、省エネモードに退避するタイミングが到来したか否かを判断し、省エネモードに退避するタイミング他到来していない場合(no)、処理をステップS503で反復させて省エネモード遷移へのタイミング到来を待機する。
【0034】
ステップS503で、省エネモード体品おタイミングが到来した場合(yes)、ステップS504でCPU、RAM、NICを残して電力供給を停止し、省エネモードに退避させる。ステップS505では、パケットを受信し、ステップS506で、受信したパケットがSNMPパケットであるか否かを判断する。ステップS506の判断でパケットがSNMPパケットであると判断された場合、(yes)ステップS507でRAM手段304内のMIBキャッシュを参照し、SNMP応答を返し、処理をステップS505に戻し、後続するパケットの受信を行う。また、ステップS505でSNMPパケットではないと判断した場合(no)、ステップS508で、省エネモードからの復帰処理を呼び出して画像形成装置を通常モードに復帰させ、処理をステップS509で終了する。
【0035】
図5に示した実施形態では、通常モード動作時にMIBキャッシュを作成するものであり、省エネモードに退避するための制御シーケンスを代えることなくMIBキャッシュを利用可能とする。なお、例えばネットワーク114を介してHTTPアクセスやFTPアクセスによる割込を検出した場合、HDD手段310だけを起動させるように構成することができる点については、図4の実施形態と同様である。
【0036】
図6は、MIBキャッシュ作成を通常モード時の外部設定によって制御することを可能とする実施形態において実装される省エネモード制御方法のフローチャートである。図6に示した実施形態は、機種によっては、MIBが予めシステムバス230に接続されている場合や、メモリ容量などの制約上、MIBキャッシュを作成できない機種の場合などに適用できる。図6の処理は、ステップS600から開始し、ステップS601で、MIBキャッシュ作成が設定されているか否かを、設定フラグや環境設定値などから取得し、MIBキャッシュを作成する設定がされていると判断された場合(yes)、ステップS602で図4または図5に示した処理を呼び出してMIBキャッシュ作成を行い、省エネモードを制御し、ステップS604で処理を終了する。
【0037】
一方、ステップS601で、MIBキャッシュ作成が設定されていないと判断された場合(no)、ステップS603で、MIBキャッシュを使用しない省エネモードを制御し、ステップS604で処理を終了する。
【0038】
以上説明したように、本発明によれば、画像形成装置の省エネモードを、画像形成装置が本来提供するべき機能を要求する外部割り込みがあるまで可能な限り持続させることを可能とする、画像形成装置および省エネモード制御方法を提供することが可能となる。
【0039】
本実施形態の上記機能は、C++、Java(登録商標)、などのオブジェクト指向プログラミング言語や手続指向型のレガシープログラミング言語で記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、プログラムは、ハードディスク装置、CD−ROM、MO、フレキシブルディスク、EEPROM、EPROMなどの装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。
【0040】
これまで本実施形態につき説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0041】
100 プリンタネットワーク
102 サーバ
104、108、112 画像形成装置
106、110 パーソナルコンピュータ
114 ネットワーク
200 ハードウェアブロック
202 CPU
204 RAM
206 HDDI/F
208 ASIC
210 NIC
212 処理エンジンI/F
214 USBホストI/F
216 拡張機能I/F
218 不揮発性メモリ
220、222、224 デバイス
230 システムバス
240 I/Oバス
250 USBバス
300 機能ブロック
302 制御手段
304 RAM手段
306 パケット解析手段
308 第2層手段
310 HDD手段
312 矩形枠
314 バスライン
320 ROM手段
322 拡張機能手段
324 デバイス手段
326 処理エンジン手段
328 MIB
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】
【特許文献1】特開2010−93609号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続される画像形成装置であって、前記画像形成装置は、
前記画像形成装置が通常モードであったときの前記画像形成装置に関する情報をキャッシュし、前記画像形成装置が省エネモードに退避している期間に情報を保持する記憶手段と、
ネットワーク経由でパケットを送受信するインタフェース手段と、
受信パケットを解析するパケット解析手段と、
前記受信パケットを解析し、前記解析の結果、前記画像形成装置の前記情報にアクセスすることが必要な場合に、前記省エネモードにおいて前記キャッシュした記憶手段にアクセスして前記インタフェース手段を介して前記パケットに対する応答するための制御手段と
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記情報は、SNMPプロトコルのために使用する装置情報である、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記情報のキャッシュを前記省エネモードへの退避時、前記通常モードの期間内で設定された周期、または前記画像形成装置の起動時に行う、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記インタフェース手段、前記記憶手段および前記制御手段が省エネモードにおいて電力供給が維持されるバスラインに接続される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置は、前記ネットワークを介して入来する割込要求が前記画像形成装置の画像処理機能を要求する以外、省エネモードを維持する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
ネットワークに接続される画像形成装置の省エネモード制御方法であって、前記省エネモード制御方法は、
前記画像形成装置が通常モードであったときの前記画像形成装置に関する情報を記憶手段にキャッシュするステップと、
前記画像形成装置が省エネモードに退避している期間に前記記憶手段の前記情報を保持するステップと、
ネットワーク経由でパケットを受信して、受信パケットを解析するステップと、
前記受信パケットの解析の結果、前記画像形成装置の前記情報にアクセスすることが必要か否かを判断するステップと、
前記情報にアクセスすることは必要であると判断した場合、前記省エネモードから復帰させることなく前記キャッシュした記憶手段にアクセスして前記情報を取得するステップと、
取得した前記情報を前記受信パケットに対する応答として前記ネットワークを介して送付するステップと
を含む省エネモード制御方法。
【請求項7】
前記情報は、SNMPプロトコルのために使用する装置情報である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記キャッシュするステップは、前記省エネモードへの退避時、前記通常モードの期間内で設定された周期、または前記画像形成装置の起動時に行なわれる、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
さらに前記ネットワークを介して入来する割込要求が前記画像形成装置の画像処理機能を要求する場合に前記情報を取得するステップをスキップして前記画像形成装置を通常モードに遷移させるステップを含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−152934(P2012−152934A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11762(P2011−11762)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】