説明

画像形成装置および記録材処理装置

【課題】スキュー補正が行われた場合とスキュー補正が行われなかった場合とを判別することが可能な画像形成装置および記録材処理装置を提供する。
【解決手段】第3前辺検知センサ及び第4前辺検知センサにより検出された情報を取得すると(S101)、スキュー量を算出する。画像形成装置のRAMに格納されている閾値を取得すると(S102)、スキュー量が閾値より小さいか否かを判断する(S103)。スキュー量が閾値より小さくない場合(S103でNo)、スキュー補正ロールによるスキュー補正ができなかったと判断し、そのような事態に行うべき対応の内容を特定するための対応情報を取得する(S104)。取得した対応情報により特定される対応の内容についての処理を実行する(S105)。スキュー量が閾値より小さい場合(S103でYes)、スキュー補正ロールによるスキュー補正ができたと判断し、一連の処理を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および記録材処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、シートに画像を記録する記録位置に対して、シートの斜行を補正しつつシートを送り込む斜行補正ユニットと、斜行補正ユニットよりもシート搬送方向上流側に設けられ、記録位置におけるシートの搬送速度よりも速い搬送速度から搬送速度まで減速させるタイミングを変化させることで、先のシート後端と次のシート先端の間隔を制御する紙間制御センサ等からなる紙間制御ユニットと、を有する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−69784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、通常であればスキュー補正が行われるものの、例えば搬送方向に対する用紙の傾きが大きい等の理由により、ユーザの意図に反して用紙のスキュー補正が行われない場合が想定される。
【0005】
本発明は、スキュー補正が行われた場合とスキュー補正が行われなかった場合とを判別することが可能な画像形成装置および記録材処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、記録材が搬送される搬送経路を有し、当該搬送経路に沿って移動するように当該記録材を搬送する搬送手段と、記録材に画像を形成する画像形成部と、前記搬送手段により前記画像形成部に搬送される記録材の搬送方向に対する傾きを補正する傾き補正手段と、前記傾き補正手段により補正されて搬送される記録材の搬送方向に対する傾きを検出する補正後傾き検出手段と、前記補正後傾き検出手段による検出結果を基に、予め定められた対応を行うか否かの判定を行う判定手段と、を含む画像形成装置である。
請求項2に記載の発明は、前記判定手段による前記判定の結果に従って行われる前記予め定められた対応を特定する情報として、ユーザにより入力された内容を保持する保持手段をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記判定手段による前記判定の結果に従って行われる前記予め定められた対応は、前記搬送手段による記録材搬送の停止および前記画像形成部による画像形成の停止であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記判定手段による前記判定の際に前記補正後傾き検出手段の検出結果との比較に用いられる閾値を格納する格納手段をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、前記傾き補正手段は、前記傾き補正手段により傾き補正される前の記録材について搬送方向に対する傾きを検出する補正前傾き検出部と、互いに外周面が接触するように配置されて当該外周面にて挟んだ記録材を一方向に搬送するように回転する一対の回転部材と、前記一対の回転部材により記録材が搬送される際に搬送方向に対する記録材の姿勢を変更するように当該一対の回転部材の回転数を制御して当該一対の回転部材を回転する駆動部と、を含み、前記駆動部は、前記一対の回転部材のうちの少なくとも一方の回転部材の外径を特定する情報を取得し、当該情報を用いて前記一対の回転部材の回転数を制御することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項6に記載の発明は、記録材が搬送される搬送経路を有し、当該搬送経路に沿って移動するように当該記録材を搬送する搬送手段と、記録材を処理する処理部と、前記搬送手段により前記処理部に搬送される記録材の搬送方向に対する傾きを補正する傾き補正手段と、前記傾き補正手段により補正されて搬送される記録材の搬送方向に対する傾きを検出する補正後傾き検出手段と、前記補正後傾き検出手段による検出結果を基に、予め定められた対応を行うか否かを判定する判定手段と、を含む記録材処理装置である。
請求項7に記載の発明は、前記判定手段による前記判定の結果に従って行われる前記予め定められた対応を特定する情報として、ユーザにより入力された内容を保持する保持手段をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の記録材処理装置である。
請求項8に記載の発明は、前記判定手段による前記判定の際に前記補正後傾き検出手段の検出結果との比較に用いられる閾値を格納する格納手段をさらに含むことを特徴とする請求項6または7に記載の記録材処理装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1によれば、本発明を採用しない場合に比べて、スキュー補正が行われた場合とスキュー補正が行われなかった場合とを判別することが可能になる。
請求項2によれば、本発明を採用しない場合に比べて、ユーザの使い勝手を向上させることが可能になる。
請求項3によれば、本発明を採用しない場合に比べて、ユーザに対処が必要であることを気付かせることが可能になる。
請求項4によれば、本発明を採用しない場合に比べて、判定手段による判定についてユーザの意向を反映させることが可能になる。
請求項5によれば、本発明を採用しない場合に比べて、予め定められた対応を行う頻度を下げることが可能になる。
請求項6によれば、本発明を採用しない場合に比べて、スキュー補正が行われた場合とスキュー補正が行われなかった場合とを判別することが可能になる。
請求項7によれば、本発明を採用しない場合に比べて、ユーザの使い勝手を向上させることが可能になる。
請求項8によれば、本発明を採用しない場合に比べて、判定手段による判定についてユーザの意向を反映させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置をフロント側から眺めた場合の図である。
【図2】図1の矢印II方向から第1用紙搬送経路を眺めた場合の図である。
【図3】スキュー補正ロールの斜視図である。
【図4】スキュー補正ロールの縦断面図である。
【図5】スキュー補正後センサによる検出結果を用いた処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置100をフロント側から眺めた場合の図である。
同図に示す画像形成装置100は、所謂タンデム型の構成を有するものであって、電子写真方式により各色成分のトナー像を形成する複数の画像形成ユニット10(10Y,10M,10C,10K)を備えている。また、本実施の形態に係る画像形成装置100では、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含んで構成され、画像形成装置100を構成する各装置および各部の動作を制御する制御部80が設けられている。また、表示パネルにより構成され、ユーザから受けた指示を制御部80に出力すると共に制御部80からの情報をユーザに提示するユーザインタフェース部(UI)90が設けられている。さらに、例えばパーソナルコンピュータ(PC)や画像読取装置(スキャナ)等から画像データ等を受信する受信部70が設けられている。
画像形成ユニット10は画像形成部の一例である。
【0011】
また、画像形成装置100は、各画像形成ユニット10にて形成された各色成分トナー像が順次転写(一次転写)されると共にこの各色成分トナー像を保持する中間転写ベルト20と、中間転写ベルト20上の各色成分トナー像を矩形状に形成された用紙Pに一括転写(二次転写)する二次転写装置30と、を備えている。用紙Pの種類としては、普通紙、厚紙、薄紙等であり、用紙Pは記録材の一例である。
【0012】
また、画像形成装置100には、二次転写装置30に向けて搬送される用紙Pが通過する第1用紙搬送経路R1と、二次転写装置30を通過した後の用紙Pが通過する第2用紙搬送経路R2と、定着装置50(後述)よりも下流側にて第2用紙搬送経路R2から分岐すると共に第1用紙搬送経路R1の下方まで延びる第3用紙搬送経路R3と、が設けられている。第1用紙搬送経路R1は搬送経路の一例である。
ここで、これら第1用紙搬送経路R1〜第3用紙搬送経路R3では、用紙Pが有する4つの側辺のうちの互いに対向する関係の2つの側辺がこれらの用紙搬送経路R1,R2,R3に沿って移動するように用紙Pの搬送が行われる。
【0013】
また、本実施の形態では、第3用紙搬送経路R3から第1用紙搬送経路R1へ用紙Pを搬送するとともにこの用紙Pの表裏を反転して第1用紙搬送経路R1へこの用紙Pを供給する反転機構500が設けられている。付言すると、この反転機構500は、第1用紙搬送経路R1における用紙搬送方向および第3用紙搬送経路R3における用紙搬送方向に沿う軸線を中心に用紙Pを反転させるものである。
さらに、本実施の形態では、画像形成装置100の筐体101に、開口102が形成されている。ここで、第2用紙搬送経路R2に沿って搬送されてきた用紙Pは、この開口102を通じて筐体101の外部に排出され、不図示の用紙積載部上に積載される。なお、筐体101に隣接させて処理装置(不図示)を設け、開口102から排出されてくる用紙Pに対し穴あけなどの処理をさらに行うこともできる。
【0014】
また、画像形成装置100には、第1用紙搬送経路R1に用紙Pを供給する第1用紙供給装置410が設けられている。また、第1用紙供給装置410よりも用紙Pの搬送方向における上流側に設けられ、第1用紙搬送経路R1に用紙Pを供給する第2用紙供給装置420が設けられている。
なお、第1用紙供給装置410および第2用紙供給装置420は同様に構成されており、第1用紙供給装置410および第2用紙供給装置420の各々には、用紙Pを収容する用紙収容部41と、用紙収容部41に収容された用紙Pを取り出して搬送する取り出しロール42と、が設けられている。
【0015】
また、第1用紙搬送経路R1上であって二次転写装置30の上流側には、第1用紙搬送経路R1上の用紙Pを二次転写装置30に向けて搬送する第1搬送ロール44が設けられている。さらに、第1搬送ロール44に向けて用紙Pを搬送する第2搬送ロール45と、第2搬送ロール45に向けて用紙Pを搬送する第3搬送ロール46と、第3搬送ロール46に向けて用紙Pを搬送しながらスキュー(搬送方向に対する用紙Pの傾き)の補正を行うスキュー補正ロール47と、が設けられている。
第1搬送ロール44、第2搬送ロール45、第3搬送ロール46およびスキュー補正ロール47は、搬送手段の一例である。
【0016】
また、これらの搬送ロールの他に、第1用紙搬送経路R1、第2用紙搬送経路R2、および、第3用紙搬送経路R3には、これらの用紙搬送経路上に位置する用紙Pを搬送する搬送ロール48が複数設けられている。
なお、第1搬送ロール44、第2搬送ロール45、第3搬送ロール46、スキュー補正ロール47、および搬送ロール48は、回転可能に設けられ互いに押し合う一対のロール状部材によって構成されるとともに一方のロール状部材が回転駆動されることで用紙Pの搬送を行う。
【0017】
また、本実施の形態では、スキュー補正ロール47の搬送方向下流側に、用紙Pの先端部が突き当てられる突き当て部材300が設けられている。より具体的には、この突き当て部材300は、第2搬送ロール45と第3搬送ロール46との間に位置する。そして、突き当て部材300に対して用紙Pの先端部が突き当てられることで、用紙Pのスキューが補正されるようになっている。
なお、突き当て部材300により用紙Pのスキューが補正された後、この突き当て部材300は第1用紙搬送経路R1から退避する。
【0018】
このように、本実施の形態に係る画像形成装置100では、スキュー補正手段として、スキュー補正ロール47および突き当て部材300を備えている。さらに説明すると、スキュー補正ロール47による粗調整をした後に突き当て部材300による微調整をするという二段階のスキュー補正を行うように構成されている。
スキュー補正ロール47による粗調整の機構については、後述する。
【0019】
また、本実施の形態では、第2用紙搬送経路R2上に、二次転写装置30により用紙P上に二次転写された画像をこの用紙Pに定着させる定着装置50が設けられている。さらに、二次転写装置30と定着装置50との間には、二次転写装置30を通過した用紙Pを定着装置50へ搬送する搬送装置51が設けられている。ここで、この搬送装置51は、周回移動するベルト51Aを有しており、このベルト51Aの上に用紙Pを載せて用紙Pの搬送を行う。また定着装置50には、内蔵されたヒータ(不図示)により加熱される加熱ロール50Aおよび、加熱ロール50Aを押圧する押圧ロール50Bが設けられている。そして、この定着装置50では、加熱ロール50Aと押圧ロール50Bとの間を用紙Pが通過することで、用紙Pが加圧および加熱される。これにより用紙P上の画像が用紙Pに定着される。
【0020】
ここで、画像形成部の一部として機能する画像形成ユニット10の各々は、回転可能に取り付けられた感光体ドラム11を備えている。また、感光体ドラム11の周囲には、感光体ドラム11を帯電する帯電装置12と、感光体ドラム11を露光して静電潜像を書き込む露光装置13と、感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像装置14と、が設けられている。さらに、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト20に転写する一次転写装置15と、感光体ドラム11上の残留トナーを除去するドラム清掃装置16と、が設けられている。
【0021】
中間転写ベルト20は、3本のロール部材21〜23に掛け渡され、回転するように設けられている。これら3本のロール部材21〜23のうち、ロール部材22は、中間転写ベルト20を駆動するようになっている。また、ロール部材23は、中間転写ベルト20を挟んで二次転写ロール31に対向配置されており、これら二次転写ロール31およびロール部材23によって二次転写装置30が構成されている。
なお、中間転写ベルト20を挟んでロール部材21と対向する位置には、中間転写ベルト20上の残留トナーを除去するベルト清掃装置24が設けられている。
【0022】
また、本実施の形態に係る画像形成装置100では、第1用紙供給装置410等から供給された用紙Pの第1面に画像を形成することができるのに加え、用紙Pの第2面に画像を形成することができるようになっている。より具体的に説明すると、この画像形成装置100では、定着装置50を通過した用紙Pの表裏が反転機構500によって反転され、表裏が反転された用紙Pが再度二次転写装置30へと搬送される。そして、二次転写装置30にて用紙Pの第2面に対して画像が転写される。その後、この用紙Pは定着装置50を再び通過し、転写されたこの画像は用紙Pに定着される。これにより、用紙Pの第1面のみならず第2面にも画像が形成されるようになる。
【0023】
図2は、図1の矢印II方向から第1用紙搬送経路R1を眺めた場合の図である。
図2に示すように、本実施の形態では、スキュー補正ロール47と第3搬送ロール46との間に、第1用紙搬送経路R1に沿って搬送されてきた用紙Pの前辺(4つの辺のうち先行する辺ないし先頭の辺)を検知する第1前辺検知センサSK1および第2前辺検知センサSK2が設けられている。また、本実施の形態では、第3搬送ロール46の下流側(同図の右側)にも、第1用紙搬送経路R1に沿って搬送されてきた用紙Pの前辺を検知する第3前辺検知センサSK3および第4前辺検知センサSK4が設けられている。
付言すると、第1前辺検知センサSK1および第3前辺検知センサSK3は、画像形成装置100の奥側(リア側)に配置され、また、第2前辺検知センサSK2および第4前辺検知センサSK4は、画像形成装置100の手前側(フロント側)に配置されている。
【0024】
さらに説明すると、第1前辺検知センサSK1および第2前辺検知センサSK2は、スキュー補正ロール47の近くに位置する。また、第1前辺検知センサSK1および第2前辺検知センサSK2は、第1用紙搬送経路R1の横断方向(用紙搬送方向と交差する方向。図2の紙面における上下方向)に互いに一列に並ぶと共に互いに離間するように配置されている。
【0025】
また、第3前辺検知センサSK3および第4前辺検知センサSK4は、第1前辺検知センサSK1および第2前辺検知センサSK2よりも用紙搬送方向の下流側に位置する。また、第3前辺検知センサSK3および第4前辺検知センサSK4は、第1用紙搬送経路R1の横断方向に互いに一列に並ぶと共に互いに離間するように配置されている。
なお、第3前辺検知センサSK3と第4前辺検知センサSK4との間に、突き当て部材300による微調整を開始するタイミングを検出するための不図示のセンサを配置する構成も考えられる。
【0026】
これら第1〜第4前辺検知センサSK1〜SK4のいずれも、用紙Pの前辺検知の際に装置本体に対する移動を行わない固定式のセンサであり、例えばCIS(Contact Image Sensor)を用いることが考えられる。より具体的には、第1〜第4前辺検知センサSK1〜SK4の各々には、複数個の受光素子(不図示)が用紙Pの搬送方向と交差する方向に並んだ状態で配置されている。そして、本実施の形態では、この不図示の受光素子が並ぶ方向に沿って配列された複数のLED等の光源(不図示)からの照射光が用紙Pに照射されるとともに用紙Pからの反射光が不図示の受光素子にて受光される。そして、本実施の形態では、不図示の受光素子の各々にて得られる信号を2値化するとともに、2値化後の濃度レベルの変化点を用紙Pの側辺として検知する。
本実施の形態では、第1〜第4前辺検知センサSK1〜SK4を、発光素子および受光素子を備えたいわゆる反射型のセンサにより構成しているが、一方側に発光素子が配置され他方側に受光素子が配置されたいわゆる透過型のセンサにより構成することも考えられる。
【0027】
第1〜第4前辺検知センサSK1〜SK4の検知結果は、制御部80に送られる。制御部80は、検知結果を基にスキュー量を算出する。より具体的には、制御部80は、第1前辺検知センサSK1および第2前辺検知センサSK2の検知結果を基に、第1用紙搬送経路R1に沿って搬送されてきた用紙Pについてスキュー量を算出する。また、制御部80は、第3前辺検知センサSK3および第4前辺検知センサSK4の検知結果を基に、スキュー補正ロール47によりスキュー補正された後の用紙Pについてのスキュー量を算出する。
このように、第1前辺検知センサSK1と第2前辺検知センサSK2との組み合わせによって、用紙Pのスキュー補正すべき量が検出される。この意味において、第1前辺検知センサSK1と第2前辺検知センサSK2をスキュー補正前センサということができる。
また、第3前辺検知センサSK3と第4前辺検知センサSK4との組み合わせによって、スキュー補正後のスキュー量が検出される。この意味において、第3前辺検知センサSK3と第4前辺検知センサSK4をスキュー補正後センサということができる。
なお、スキュー補正ロール47、第1前辺検知センサSK1、第2前辺検知センサSK2および制御部80は、傾き補正手段の一例であり、また、第3前辺検知センサSK3、第4前辺検知センサSK4および制御部80は、補正後傾き検出手段の一例である。また、第1前辺検知センサSK1、第2前辺検知センサSK2および制御部80は、傾き補正手段の補正前傾き検出部の一例である。
【0028】
図3は、スキュー補正ロール47の斜視図である。
図3に示すように、スキュー補正ロール47は、装置本体側のフレーム61と、フレーム61に対して回転可能に両端部がフレーム61に支持されるシャフト部材62と、シャフト部材62に対して回転可能にシャフト部材62に保持される2つのロール部材63と、を備えている。シャフト部材62は、用紙搬送方向に交差する方向に延びるように配設されており、より具体的には、用紙搬送方向と交差する方向に延びている。
さらに説明すると、シャフト部材62は、ボールベアリング64を介してフレーム61に保持される。また、2つのロール部材63の各々は、フレーム61との間にボールベアリング64が介装されるシャフト部材62とは異なり、シャフト部材62との間にボールベアリング64等の転がり軸受が介装されることなくシャフト部材62と摺動可能に構成されている。
【0029】
また、スキュー補正ロール47は、2つのロール部材63の各々に駆動力を伝達する2つのモータ65と、2つのモータ65の各々により出力された駆動力をロール部材63に伝達する無端状のベルト部材66と、を備えている。すなわち、2つのモータ65のうちの一方のモータ65は、2つのロール部材63のうちの一方のロール部材63に駆動力を供給するものであり、また、他方のモータ65は、他方のロール部材63に駆動力を供給するものである。
これら2つのモータ65は、制御部80(図1参照)により回転制御される。さらに説明すると、制御部80は、2つのモータ65をそれぞれ独立して回転制御を行う。このため、2つのロール部材63は、異なる回転数で回転することが可能である。なお、モータ65は、ステッピングモータで構成されている。
ベルト部材66によるモータ65の駆動力を伝達する構成を採用するので、簡易な駆動伝達系にすることが可能になる。
【0030】
なお、モータ65は、取り付け部材65aによりフレーム61に取り付けられている。モータ65の取り付け部材65aがフレーム61に対する位置を変更することが可能なように構成されている。すなわち、取り付け部材65aには、フレーム61にねじ止めされる際に用いられる不図示の取り付け穴が複数形成されている。このため、ベルト部材66のテンション(張り具合)に合わせて取り付け穴を選択することによってモータ65とロール部材63との間の相対的な位置を調整することが可能である。すなわち、ベルト部材66のテンションのバラツキを抑えることが可能である。
シャフト部材62の撓みをより小さくするために、シャフト部材62の長さ方向の中央部分をフレーム61により保持するように構成することも考えられる。
【0031】
また、スキュー補正ロール47は、2つのロール部材63の各々に対向して回転可能に配設される2つのロール部材67を備えている。すなわち、ロール部材67は、ロール部材67の外周面とロール部材63の外周面とが互いに接触するように配置されている。ロール部材63とロール部材67とは各外周面が互いに押し合うように配置されている。
また、ロール部材67は、ロール部材67の回転軸とロール部材63の回転軸とが互いに平行になるように配置されている。スキュー補正ロール47は、シャフト部材62の長手方向に関して中央部分を中心として左右対称に各部品が配置されている。
付言すると、2つのロール部材67の各々は、ロール部材63がモータ65の駆動力により回転することに伴って回転する。ロール部材63は駆動ロールであり、ロール部材67は従動ロールである。
なお、ロール部材63およびロール部材67は傾き補正手段の一対の回転部材の一例であり、モータ65およびベルト部材66は、傾き補正手段の駆動部の一例である。
【0032】
図4は、スキュー補正ロール47の縦断面図であり、(a)はシャフト部材62とロール部材63との関係を説明する図であり、(b)はシャフト部材62とフレーム61との関係を説明する図である。
図4の(a)に示すように、スキュー補正ロール47のロール部材63は、シャフト部材62の外周面62aに対応する内径を有する円筒形状のコアロール71と、コアロール71に取り付けられているゴム製のゴムロール72と、を備えている。すなわち、ロール部材63は、コアロール71とゴムロール72とが一体となっている。
ロール部材63のコアロール71は、シャフト部材62の外周面62aと摺動可能な内周面71aが形成されている。コアロール71の内周面71aは、長さ方向(図4における左右方向)の一端部から他端部にかけて比較的長く形成されている。このため、摺動に伴う滑り抵抗が低減される。なお、シャフト部材62は、外周面が円滑に形成された金属製であり、また、ロール部材63は、内周面が円滑に形成された樹脂製である。すなわち、ロール部材63のコアロール71は、樹脂ベアリングとして機能する。このように、ロール部材63は、シャフト部材62とボールベアリング64等の転がり軸受を介さずに回転可能に保持されている。このため、シャフト部材62の外径を小さくすることが可能になり、スキュー補正ロール47を小型化することが可能になる。
【0033】
また、コアロール71の外周面には、外径が互いに異なる部分が形成されている。すなわち、コアロール71には、長さ方向の中央部に形成される拡径部73と、拡径部73に隣接して長さ方向の両端部の各々に形成される2つの縮径部74と、が形成されている。2つの縮径部74のうちいずれか一方の縮径部74(図4の(a)では左側の縮径部74)に、ベルト部材66が巻き掛けられている。すなわち、コアロール71の縮径部74は、プーリーとして機能する。なお、ベルト部材66からロール部材63への駆動力が円滑に伝達されるように縮径部74の外周面に凹凸を形成することが考えられる。付言すると、縮径部74に巻き掛けられたベルト部材66は、用紙Pとの干渉を防止するために、拡径部73に取り付けられたゴムロール72の外周面よりもシャフト部材62寄りに位置する。
縮径部74は、外周面以外の残余の部分の一例であり、プーリーの一例である。
【0034】
ゴムロール72は、コアロール71の拡径部73に取り付けられており、コアロール71の縮径部74に取り付けられていない。
さらに説明すると、図4の(a)に示すように、スキュー補正ロール47において、互いに接触しているロール部材67の外周面とロール部材63の外周面との間に用紙Pが進入すると、ベルト部材66を介して伝達されるモータ65の駆動力により一方向に回転するロール部材63およびロール部材67により、用紙Pが用紙搬送方向の下流側に搬送される。その際に、2つのロール部材63の回転数が互いに同じであれば、用紙搬送方向に対する用紙Pの姿勢が変更されないで用紙搬送方向の下流側に搬送される。また、2つのロール部材63の回転数が互いに異なれば、用紙搬送方向に対する用紙Pの姿勢が変更されながら用紙搬送方向の下流側に搬送される。
このようにして、スキュー補正ロール47によりスキュー補正が行われる。なお、上述したように、スキュー補正ロール47によるスキュー補正の量(スキュー量)は、スキュー補正前センサとしての第1前辺検知センサSK1および第2前辺検知センサSK2の検出結果を基に、制御部80により算出される。そして、スキュー補正後の用紙Pのスキュー量は、スキュー補正後センサとしての第3前辺検知センサSK3および第4前辺検知センサSK4の検出結果を基に、制御部80により算出される。
【0035】
ロール部材63は、長さ方向(図4における左右方向)に関して左右対称の形状である。すなわち、コアロール71において、長さ方向の中央に拡径部73が位置し、長さ方向の両端に拡径部73が位置する。このような2つの縮径部74は互いに同じように形成されているので、スキュー補正ロール47が備える2つのロール部材63を同じ部品で共用することが可能である。付言すると、図3を参照すると、2つのロール部材63において、ベルト部材66が巻き掛けられているコアロール71の縮径部74が互いに逆のものになっている。
また、ロール部材63をシャフト部材62の長さ方向へ移動しないように、ロール部材63を挟むようにシャフト部材62に止め輪68が取り付けられている。なお、シャフト部材62には、止め輪68用の溝が予め形成されている。このような止め輪68用の溝を複数形成しておくことで、ロール部材63の取り付け場所を任意に変更可能になる。
【0036】
図4の(b)に示すように、フレーム61に取り付け穴61aが形成されており、この取り付け穴61aにボールベアリング64が取り付けられている。このように、シャフト部材62の端部は、フレーム61にボールベアリング64を介して回転可能に支持されている。したがって、シャフト部材62は、フレーム61に対して低い転がり抵抗で回転することが可能である。このため、ロール部材63を駆動するための駆動力が少なくて済み、モータ65の小型化を図ることが可能になる。
なお、ボールベアリング64は、止め輪68によりシャフト部材62の長さ方向へ移動しないようになっている。
【0037】
図5は、スキュー補正後センサによる検出結果を用いた処理手順を示すフローチャートである。
図5に示すフローチャートでは、制御部80(図1参照)は、スキュー補正後センサとしての第3前辺検知センサSK3および第4前辺検知センサSK4(図2参照)により検出された情報(検出結果)を取得すると(ステップ101)、スキュー量Sを算出する。そして、制御部80は、画像形成装置100が備えるRAMに格納されている閾値Vを取得すると(ステップ102)、算出したスキュー量Sが取得した閾値Vより小さいか否かを判断する(ステップ103)。
【0038】
スキュー量Sが閾値Vより小さくない場合(ステップ103でNo)、制御部80は、スキュー補正ロール47によるスキュー補正ができなかったと判断し、そのような事態に行うべき対応の内容を特定するための対応情報を取得する(ステップ104)。より具体的には、制御部80は、画像形成装置100が備えるRAMに保持されているデータを読み出すことで、対応情報を取得し、取得した対応情報により特定される対応の内容についての処理を実行する(ステップ105)。
スキュー量Sが閾値Vより小さい場合(ステップ103でYes)、制御部80は、スキュー補正ロール47によるスキュー補正ができたと判断し、一連の処理を終了する。
なお、制御部80は、判定手段の一例であり、また、画像形成装置100のRAMは、ユーザにより入力された内容を保持する保持手段の一例であり、閾値を格納する格納手段の一例である。
【0039】
閾値Vは、予め設定されたものであり、閾値Vに関する制御例としては、画像形成装置100が備えるROMに書き込まれた値をRAMに保持した上で、必要に応じてRAMからデータを読み出して用いるやり方が考えられる。
また、閾値Vに関する他の制御例としては、ユーザが事前に入力した値を画像形成装置100のRAMに保持しておき、必要に応じてこの値を読み出して用いるやり方も考えられる。後者の場合には、ユーザが閾値Vを手動で変更することが可能になる。
【0040】
ここにいう対応情報としては、例えば、用紙Pの搬送停止および画像形成ユニット10の動作停止によって画像形成装置100を停止することが考えられる。このような対応によって、ユーザにスキュー補正ができなかったことを気付かせることが可能になる。
また、他の対応情報としては、スキュー補正できなかった用紙Pに画像形成せずにそのまま排出することや、画像形成装置100を停止することなくUI90にスキュー補正できなかったことを表示すること(フェイル表示)等が考えられる。
さらに説明すると、これらの対応情報のうちいずれか一の対応情報を画像形成装置100のROMに格納しておき、画像形成装置100の起動に伴ってRAMに保持しておく制御例が考えられる。また、これら複数の対応情報をROMに格納しておき、画像形成装置100の起動に伴ってRAMに保持した上で、事前にユーザに選択させ、選択された対応情報にフラグを立ててRAMに保持しておく制御例も考えられる。
【0041】
ここで、スキュー補正ロール47のロール部材63(ゴムロール72)の外径は、例えば26mmの値を採用することが考えられるが、ロール部材63単体としての製品にある程度のばらつきが発生することが想定される。そのようなロール部材63の外径ばらつきによって、スキュー補正ができずに上述した画像形成装置100の停止などの対応を行う頻度が高まるおそれがある。そこで、制御部80は、ロール部材63の外径を特定する情報を予め取得し、その情報を基にロール部材63の回転数を制御することで、安定したスキュー補正を行うことが可能になる。
【0042】
ここにいうロール部材63の外径を特定する情報の取得の仕方としては、ロール部材63のメーカにて、ロール部材63の外径寸法をロッド番号に対応付けし、そのデータの提供を画像形成装置100のメーカが受ける場合が考えられる。この場合には、画像形成装置100のメーカは、提供されたデータを画像形成装置100のROMに格納する。
また、ロール部材63の外径を特定する情報の他の取得の仕方としては、スキュー補正ロール47の2つのロール部材63の回転数を変更して何度かのスキュー補正を行いながら、スキュー補正後センサとしての第3前辺検知センサSK3および第4前辺検知センサSK4による検出を継続する。制御部80は、検出結果を基に、用紙搬送方向に対する用紙Pの姿勢が変更されない状態になる2つのロール部材63の状態を自動的に特定することで、安定したスキュー補正を行うことが可能になる。
【0043】
付言すると、このような自動的なロール部材63の回転数の補正制御のほかに、ユーザ自らが手動でロール部材63の回転数を変更可能な構成例も考えられる。このような手動による場合には、例えば、スキュー補正を行うのではなく、スキュー補正ロール47により同じスキュー量になるように用紙Pを斜行させた状態で用紙Pに画像を形成することにより、印字させることが可能になる。
【0044】
このように、本実施の形態では、スキュー補正が行われた場合とスキュー補正が行われなかった場合とを判別することが可能になる。なお、本実施の形態では、画像形成装置に適用した場合について説明しているが、用紙Pに対して、ステープル綴じなどの綴じ処理、穴開け加工、エンボス加工などの後処理を行う個所を変更するための記録材処理装置に適用する場合も考えられる。
【符号の説明】
【0045】
10…画像形成ユニット、47…スキュー補正ロール、61…フレーム、62…シャフト部材、63,67…ロール部材、65…モータ、66…ベルト部材、80…制御部、100…画像形成装置、R1…第1用紙搬送経路、SK1…第1前辺検知センサ、SK2…第2前辺検知センサ、SK3…第3前辺検知センサ、SK4…第4前辺検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材が搬送される搬送経路を有し、当該搬送経路に沿って移動するように当該記録材を搬送する搬送手段と、
記録材に画像を形成する画像形成部と、
前記搬送手段により前記画像形成部に搬送される記録材の搬送方向に対する傾きを補正する傾き補正手段と、
前記傾き補正手段により補正されて搬送される記録材の搬送方向に対する傾きを検出する補正後傾き検出手段と、
前記補正後傾き検出手段による検出結果を基に、予め定められた対応を行うか否かの判定を行う判定手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記判定手段による前記判定の結果に従って行われる前記予め定められた対応を特定する情報として、ユーザにより入力された内容を保持する保持手段をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判定手段による前記判定の結果に従って行われる前記予め定められた対応は、前記搬送手段による記録材搬送の停止および前記画像形成部による画像形成の停止であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判定手段による前記判定の際に前記補正後傾き検出手段の検出結果との比較に用いられる閾値を格納する格納手段をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記傾き補正手段は、
前記傾き補正手段により傾き補正される前の記録材について搬送方向に対する傾きを検出する補正前傾き検出部と、
互いに外周面が接触するように配置されて当該外周面にて挟んだ記録材を一方向に搬送するように回転する一対の回転部材と、
前記一対の回転部材により記録材が搬送される際に搬送方向に対する記録材の姿勢を変更するように当該一対の回転部材の回転数を制御して当該一対の回転部材を回転する駆動部と、
を含み、
前記駆動部は、前記一対の回転部材のうちの少なくとも一方の回転部材の外径を特定する情報を取得し、当該情報を用いて前記一対の回転部材の回転数を制御することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
記録材が搬送される搬送経路を有し、当該搬送経路に沿って移動するように当該記録材を搬送する搬送手段と、
記録材を処理する処理部と、
前記搬送手段により前記処理部に搬送される記録材の搬送方向に対する傾きを補正する傾き補正手段と、
前記傾き補正手段により補正されて搬送される記録材の搬送方向に対する傾きを検出する補正後傾き検出手段と、
前記補正後傾き検出手段による検出結果を基に、予め定められた対応を行うか否かを判定する判定手段と、
を含む記録材処理装置。
【請求項7】
前記判定手段による前記判定の結果に従って行われる前記予め定められた対応を特定する情報として、ユーザにより入力された内容を保持する保持手段をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の記録材処理装置。
【請求項8】
前記判定手段による前記判定の際に前記補正後傾き検出手段の検出結果との比較に用いられる閾値を格納する格納手段をさらに含むことを特徴とする請求項6または7に記載の記録材処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−240771(P2012−240771A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110974(P2011−110974)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】