説明

画像形成装置の制御システム、画像形成装置および後処理装置

【課題】 画像形成装置に対して多種多様な後処理装置を柔軟かつ容易に接続し、後処理装置の機能に応じて画像形成装置の適切な制御を行う。
【解決手段】 画像形成装置のIOT100に後処理装置200を接続したシステムであって、IOT100にはターミナル制御装置110が設けられる。また、ターミナル制御装置110とデータ交換を行い、所定のタイミングで後処理装置200の機能に関する情報をターミナル制御装置110に送信するデバイス制御装置300とを備える。ターミナル制御装置110は、デバイス制御装置300から受信した情報に基づいて後処理装置200の機能を認識し、認識された後処理装置の機能に応じて画像形成装置の動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタや複写機等の画像形成装置における後処理装置に関し、より詳しくは、画像形成装置と後処理装置との間のインターフェイスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリンタや複写機等の画像形成装置に対して、画像が形成された後の転写対象に後処理を行う後処理装置(フィニッシャー)を組み合わせることができる。今日、後処理装置としては、画像形成装置のIOT(Image Output Terminal:画像出力ターミナル)から排出された転写対象を単にソートするだけの簡単なものから、転写対象を裁断したり、折ったり、製本したりするといった複雑な後処理を行うものまで、様々な装置が提供されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
画像形成装置に後処理装置を組み合わせて使用する場合、どのような機能を持った後処理装置が接続され、どのような後処理が実行されるのかをIOTが認識していることが必要な場合がある。例えば、後処理として、IOTから排出された転写対象である用紙を折る後処理が行われる場合、二つ折りや三つ折り、ゼット(Z)折りといった折りの種類に応じて、用紙のどちら側の面を表面として印刷するかを制御する必要がある。
【0004】
このように、画像形成装置に後処理装置を接続する場合、接続される後処理装置の機能に応じた画像形成処理を実行できるようにIOTの制御部を設定する必要があった。そして従来、画像形成装置に対して種々の後処理装置を接続できるようにするには、IOTの制御部に設けられた不揮発性メモリ等に対応可能な後処理装置の情報を記憶させておき、接続された後処理装置に応じて、記憶されている情報に基づき制御部の設定を変更することが行われていた。一般には、制御部の設定作業は、後処理装置を接続した際にサービスエンジニアによって行われていた。
【0005】
【特許文献1】特開平6−156852号公報
【特許文献2】特開平9−297502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
今日、後処理装置によって提供される後処理は非常に多様化している。また、各種の後処理においても、例えばステープル綴じでは一度に綴じることができる用紙の数が異なるものがあり、パンチ穴開けでは開ける穴数が異なるものがあるなど、同種の後処理で能力の異なる後処理装置が存在する。そして、後処理装置の機種は、今後もさらに増加することが予想される。
【0007】
このように、多種多様であり、かつ増え続ける後処理装置の全ての機種に関する情報をIOTの制御部に記憶させておくことは、次第に困難となりつつある。また、上記のように後処理装置の種類は今後も増加することが予想されるが、この場合に、後処理装置の制御部に後処理装置の情報を記憶させておく方法では、事実上対応できない。
【0008】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、画像形成装置に対して多種多様な後処理装置を柔軟かつ容易に接続可能とするシステム、およびそのようなシステムを構成する後処理装置並びに画像形成装置を提供することにある。また、後処理装置の機能に応じて画像形成装置の適切な制御を行うシステム、およびそのようなシステムを構成する後処理装置並びに画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明は、画像形成装置と当該画像形成装置に接続された後処理装置とを備えた、次のようなシステムとして実現される。このシステムは画像形成装置に設けられたターミナル制御装置と、このターミナル制御装置とデータ交換を行い、所定のタイミングで後処理装置の機能に関する情報をターミナル制御装置に送信するデバイス制御装置とを備える。そして、ターミナル制御装置は、デバイス制御装置から受信した情報に基づいて後処理装置の機能を認識し、認識された後処理装置の機能に応じて画像形成装置の動作を制御することを特徴とする。
【0010】
後処理装置の情報は、例えば、システムの電源が投入された際に、ターミナル制御装置からデバイス制御装置へ情報の取得要求が行われることにより、この要求に応じてデバイス制御装置からターミナル制御装置へ返送される。また、後処理装置の機能が変更された場合は、少なくとも機能が変更された後処理装置の機能に関する情報がデバイス制御装置からターミナル制御装置へ送信される。
【0011】
画像形成装置に複数の後処理装置が接続されている場合は、所定の後処理装置に設けられた単一のデバイス制御装置が、複数の後処理装置の機能に関する情報を取得し、画像形成装置のターミナル制御装置に送信する構成とすることができる。また、複数の後処理装置にそれぞれ設けられたデバイス制御装置が、各々自身の設けられている後処理装置の機能に関する情報をターミナル制御装置に送信する構成とすることもできる。
【0012】
また本発明は、所定の後処理を実行する後処理装置が接続可能な画像形成装置として把握することもできる。この装置は、画像データに基づき画像を転写対象上に画像を形成する画像形成手段と、画像形成手段の動作を制御する制御手段とを備える。そして、制御手段は、後処理装置から後処理装置の機能に関する情報を受信し、受信した情報に基づいて、接続されている後処理装置の機能に応じた動作制御を行うことを特徴とする。具体的には、例えば、制御手段は、後処理装置の後処理機能の種類およびジョブ設定に基づいて、転写対象を排出する際の印字面の向きを決定する。また、制御手段は、後処理装置における後処理の作業に要する時間の情報を後処理装置から取得し、得られた時間情報に基づいて、転写対象の排出速度を制御する。
【0013】
さらに本発明は、画像形成装置から排出される転写対象に対して後処理を実行する後処理装置として把握することもできる。この装置は、所定の後処理を実行する後処理実行手段と、後処理実行手段を制御する制御手段とを備える。そして、制御手段は、所定のタイミングで後処理装置の機能に関する情報を画像形成装置に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上のように構成された本発明によれば、画像形成装置の制御装置が、後処理装置からその機能に関する情報を取得し、この情報に基づいて動作制御を行うため、多種多様な後処理装置を柔軟かつ容易に対応し、適切な制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。
図1は、本実施形態による画像形成装置と後処理装置を組み合わせたシステム構成の例を模式的に示した図である。
図1に示すシステムは、画像形成装置のIOT100の後段に種々の機能を備えた複数の後処理装置200が接続されている。図示のように、後処理装置200は、所望の機能を備えた装置を複数台連ねて接続することができる。したがって、画像形成装置のユーザは、種々の後処理装置を任意に組み合わせてIOT100に接続することで、所望の後処理機能を得ることができる。また、他の後処理機能が必要になったならば、接続されている後処理装置の一部または全部を、異なる機能を備えた装置に交換して使用することもできる。以下の説明では、図1に示された各後処理装置200を区別する場合には、添え字a、b、cを付して表記する。これらを区別しない場合には、単に後処理装置200と表記する。
【0016】
図1において、後処理装置200aは、デカーラ(Decurler)であり、前段の装置(図示の例ではIOT100)から排出された転写対象である用紙のカールを取り除く。
後処理装置200bは、フォルダであり、前段の装置(図示の例では後処理装置20)から排出された用紙を所定の形態に折りたたむ。
後処理装置200cは、用紙に対して複数の後処理選択的にあるいは組み合わせて実行する複合機であり、用紙にパンチ穴を開けるパンチユニット210、用紙をステープルで閉じるステープルユニット220、製本処理を行う製本ユニット230を備える。また、トレイ240は、パンチユニット210を経た用紙をそのまま排出するトレイである。
なお、少なくとも後処理装置200bおよび後処理装置200cのパンチユニット210は、送られてきた用紙に対して後処理を実行せずに通過させることができる。すなわち、後処理装置200aから排出された用紙を通過させて、そのままトレイ240に排出することができる。
【0017】
また、後処理装置200cには、後処理装置200による後処理機能を制御するためのデバイス制御装置300が搭載されている。デバイス制御装置300は、例えば、プログラム制御により機能するプロセッサと、プロセッサを制御するプログラムを格納した不揮発性メモリ(ROM)、プロセッサによるデータ処理等に使用される揮発性メモリ(RAM)により実現される。そして、このデバイス制御装置300は、IOT100とデータ交換を行い、IOT100に対して、現在接続されている後処理装置200の種類やその機能を認識させると共に、IOT100からのリクエストに応じて後処理装置200の動作を制御する。なお、後処理装置200aは上述したようにデカーラであるからIOT100から排出される用紙に対しては全て処理(カールの除去)を実行するものと考えて、本実施形態では、デバイス制御装置300による制御対象には含めないこととする。
【0018】
図1に示す例では、便宜的に後処理装置200cにデバイス制御装置300が搭載された構成を記載しているが、図示の構成に限らないことは言うまでもない。例えば、デバイス制御装置300は後処理装置200bに搭載されていても良い。また、種々の後処理装置200を任意に組み合わせて接続可能とするためには、各後処理装置200が各々デバイス制御装置300を備えて協働する構成としたり、各後処理装置200の複数のデバイス制御装置300のうちの1つのみを有効にして各後処理装置200の動作を統括的に制御させたりすることも考えられる。さらに、デバイス制御装置300を個々の後処理装置200とは別個に構成しておき、IOT100に接続されたいずれかの後処理装置200に装着して使用するような構成も可能である。
【0019】
また、図1に示すように、IOT100は、ターミナル制御装置110を備える。ターミナル制御装置110は、プログラム制御により機能するプロセッサと、プロセッサを制御するプログラムを格納した不揮発性メモリ、プロセッサによるデータ処理等に使用される揮発性メモリにより実現され、IOT100の画像形成機構の動作を制御する。また、特に図示しないが、IOT100には、その本来の機能である画像の形成および転写対象への転写を実現する画像形成機構として、露光装置や現像装置、像担持体、転写体、定着装置、用紙をセットするトレイ、用紙を搬送する搬送装置、搬送装置を駆動する駆動ローラ等の種々の部品が設置されている。
【0020】
次に、本実施形態におけるIOT100のターミナル制御装置110およびデバイス制御装置300の機能について説明する。
図2は、ターミナル制御装置110の機能構成を示す図である。
図2を参照すると、ターミナル制御装置110は、デバイス制御装置300とデータ交換を行うための送受信制御部111と、後処理装置の情報を保持するための後処理装置情報取得部112および後処理装置情報格納部113と、後処理装置200により実行すべき後処理を指示する処理指示部114と、IOT100の画像形成機構の動作を制御するためのジョブ制御部115とを備える。
【0021】
送受信制御部111は、所定の物理インターフェイスを介してデバイス制御装置300に接続され、所定の通信プロトコルにしたがって、デバイス制御装置300との間でデータ交換を行う。
後処理装置情報取得部112は、送受信制御部111を介してデバイス制御装置300から受信した後処理装置200に関する情報を受け付けて、後処理装置情報格納部113に格納する。ここで受信される情報は、後処理装置200の識別情報や機能に関する情報である。また、後処理装置情報取得部112は、所定のタイミングで後処理装置200のデバイス制御装置300に対して後処理装置200に関する情報の取得要求を送信する。
後処理装置情報格納部113は、例えばRAM(Random Access Memory)で実現され、後処理装置情報取得部112により受け付けられた情報を保持する。
【0022】
処理指示部114は、デバイス制御装置300に対してIOT100の制御に必要な情報を要求する等の指示を行う。また、後処理装置情報格納部113に格納されている情報に基づき、必要に応じて、デバイス制御装置300に対して後処理装置200が実行すべき後処理を指示することもできる。
ジョブ制御部115は、通常の画像形成における動作の制御を行うが、後処理装置情報格納部113に格納されている情報および処理指示部114への指示の内容に応じて、実行される後処理に応じた制御を行うことができる。例えば、上記の例のように後処理装置200がIOT100から排出される用紙を折る後処理を行う場合、折りの種類に応じて、用紙のどちら側の面を表面として印刷するかを制御する。
【0023】
図3は、デバイス制御装置300の機能構成を示す図である。
図3を参照すると、デバイス制御装置300は、IOT100とデータ交換を行うための送受信制御部301と、後処理装置200の機能に関する情報をIOT100のターミナル制御装置110に提供するための情報保持部302および情報提供部303とを備える。
【0024】
送受信制御部301は、所定の物理インターフェイスを介してIOT100に接続され、所定の通信プロトコルにしたがって、ターミナル制御装置110との間でデータ交換を行う。
情報保持部302は、後処理装置200の識別情報(ID)および後処理装置200がどのような機能を持っているかについての情報を保持する。機能に関する情報は、予め不揮発性メモリに格納しておいても良いし、センサ等を用いた情報収集手段を設けて後処理装置200の各機能ユニットから適宜収集し揮発性のメモリに格納するようにしても良い。後処理装置200の機能に関する情報を動的に収集する場合、カートリッジの交換等により後処理装置200の機能が変更された場合にも随時新たな機能の情報を取得して保持することができる。また、IOT100に複数の後処理装置200が接続される場合、各後処理装置200に搭載されたデバイス制御装置300が協働する構成であれば、各デバイス制御装置300の情報保持部302は、搭載されている後処理装置200の情報のみを保持していれば良い。一方、単一のデバイス制御装置300が複数の後処理装置200を制御する構成の場合は、そのデバイス制御装置300の情報保持部302は、接続されている各後処理装置200の情報を保持することが必要である。
【0025】
情報提供部303は、送受信制御部301を介してIOT100のターミナル制御装置110から受信した情報の取得要求に応じて、情報保持部302から後処理装置200の識別情報および機能に関する情報を取得し、ターミナル制御装置110に返送する。また、情報保持部302が後処理装置200の機能に関する情報を動的に収集する態様では、情報提供部303は、ターミナル制御装置110からの要求の有無に関わらず、機能の変更に伴って情報保持部302により取得された新たな機能の情報を送信する。
【0026】
図4は、上記のように構成されたIOT100のターミナル制御装置110とデバイス制御装置300による、電源投入時のデータ交換の流れ(パワーオン・シーケンス)を説明する図である。
システム(IOT100および後処理装置200)に電源が投入されると、まず、ターミナル制御装置110とデバイス制御装置300との間で通信が確立される(ステップ401)。そして、ターミナル制御装置110の後処理装置情報取得部112が、デバイス制御装置300へ後処理装置200の識別情報の送信要求を送信する(ステップ402)。
【0027】
デバイス制御装置300が後処理装置200の識別情報の送信要求を受信すると、情報提供部303が、情報保持部302から後処理装置200の識別情報を取得してターミナル制御装置110へ返送する(ステップ403)。なお、IOT100に複数の後処理装置200が接続されており、単一のデバイス制御装置300がこの複数の後処理装置200を制御する場合は、例えば電源が投入された直後に、デバイス制御装置300が各後処理装置200の情報(識別情報および後述の機能情報並びに状態情報)を取得して情報保持部302に保持しておくものとする。
ターミナル制御装置110は、デバイス制御装置300から受信した識別情報に基づいて、IOT100にどの種類の後処理装置200が接続されているかを認識することができる。
【0028】
次に、ターミナル制御装置110の後処理装置情報取得部112は、デバイス制御装置300へ後処理装置200の機能情報(Capability)の送信要求を送信する(ステップ404)。
デバイス制御装置300が後処理装置200の機能情報の送信要求を受信すると、情報提供部303が、情報保持部302から後処理装置200の機能情報を取得してターミナル制御装置110へ返送する(ステップ405)。
ターミナル制御装置110は、デバイス制御装置300から受信した機能情報に基づいて、IOT100に接続されている後処理装置200が持つ機能(実行可能な後処理)を認識することができる。
【0029】
図5は、デバイス制御装置300からターミナル制御装置110へ送信される機能情報のデータフォーマット(パケットフォーマット)の構成例を示す図である
図5に示す例では、機能情報は、9バイトのデータからなり、実行可能な機能の数(Number of Attribute =)、各機能の識別情報(* Ability =)およびサポート情報(Selectability)、各機能の具体的内容等の情報が記述されている。図5に示す機能情報では、実行可能な機能の数は2種類であり(Number of Attribute = 0x02)、ひとつは用紙にパンチ穴を開ける機能(Punch Ability = 0x4F)、もうひとつは用紙をステープル綴じする機能(Booklet Max Staple Ability = 0xCO)である。パンチ機能では、2穴(Double Punch)、3穴(Triple Punch)、4穴(Quad Punch)といったパンチ穴数等が機能の具体的内容(Punch Ability)として記述される。また、ステープル機能では、綴じることが可能な最大枚数(Max Staple)が機能の具体的内容として記述される。
【0030】
次に、ターミナル制御装置110の後処理装置情報取得部112は、デバイス制御装置300へ後処理装置200の状態情報(Configuration)の送信要求を送信する(ステップ406)。
デバイス制御装置300が後処理装置200の状態情報の送信要求を受信すると、情報提供部303が、情報保持部302から後処理装置200の状態情報を取得してターミナル制御装置110へ返送する(ステップ407)。状態情報としては、例えばステープル機能におけるステープル針の残り数、折り機能におけるどの折り方が選択されているか等の情報が含まれる。
ターミナル制御装置110は、デバイス制御装置300から受信した状態情報に基づいて、IOT100に接続されている後処理装置200が持つ機能のうち、使用可能な機能や選択されている機能を認識することができる。
【0031】
以上のようにして、IOT100のターミナル制御装置110は、IOT100に接続されている後処理装置200の機種および機能を認識する。上記の例では、電源投入時の標準的な情報通知の動作について説明した。一方、電源が入った状態でステープル機能におけるステープル針のカートリッジを交換し、綴じることが可能な最大枚数が変わった場合には、電源を入れ直すことなく変更された後処理装置200の機能をターミナル制御装置110に通知することが必要である。この場合、まずデバイス制御装置300からターミナル制御装置110に対して、後処理装置200の識別情報の送信要求を行うことを依頼し、その後、上述したステップ401〜ステップ407の動作を実行すれば良い。あるいは、機能が変更された後処理装置200の情報のみを更新情報としてデバイス制御装置300からターミナル制御装置110へ送信し、ターミナル制御装置110において、受信した更新情報に基づき後処理装置情報格納部113に格納されている該当装置の情報を書き換えるようにしても良い。
【0032】
このようにしてIOT100に接続されている後処理装置200の機種および機能を認識したターミナル制御装置110は、この認識結果に基づき、必要に応じてIOT100における画像形成機構の動作を制御する。具体例として、IOT100に折り機能を備えた後処理装置200(図1に示した後処理装置200b、以下、この符号で表記する)が接続されている場合について説明する。
【0033】
なお、以上の例では、後処理装置200の識別情報がターミナル制御装置110へ送信され、この識別情報に基づいて、ターミナル制御装置110が後処理装置200の機種を認識することとした。しかしながら、ターミナル制御装置110は、少なくとも後処理装置200が持つ後処理機能の種類および状態を認識していれば、実行される後処理に応じたIOT100の制御を行うことが可能である。すなわち、装置200の機種の情報は不可欠な情報ではない。したがって、図4のステップ402、403における識別情報の送信プロセスは省くことができる。
【0034】
図6は、後処理装置200bが実行可能な折り方の例を示す図である。
後処理装置200bの機能によれば、図6に示すような4種類の折り方、すなわちC型三つ折り、Z型三つ折り、二つ折り、Z折りが可能であるものとする。
【0035】
図7は、上記の4種類の折り方とIOT100が用紙を排出する際の印字面の向きとの関係を表す図表である。
上述した4種類の折り方のうち、C型三つ折りと二つ折りは、用紙の一面が内側に折り込まれ、他面が外側に位置することとなる。したがって、用紙が折られた際に印字面が内外のどちら側になるようにするかによって、別の折り方として数えることができるので、図7では6種類の折り方として記載されている。画像形成装置によるジョブ(印字)を実行する際には、用紙のサイズや印刷の向き、画質等のパラメータをユーザが指示することが行われる。この際に、後処理における折り方としてC型三つ折りおよび二つ折りを指定した場合には、さらに外側印字か内側印字かを指定することとなる。
【0036】
図7を参照すると、C型三つ折りで印字面を外側にする場合(外側印字)、Z型三つ折り、内側印字の二つ折りおよびZ折りでは表面排出(印字面(表面)が上側を向く)となり、内側印字のC型三つ折りと外側印字の二つ折りでは裏面排出(印字面が下側を向く)となっている。すなわち、C型三つ折りと二つ折りの場合には、外側印字と内側印字とでIOT100から排出される際の印字面の向きが異なっている。IOT100から排出された用紙の面の向きが反対なので、後処理装置200bがこの用紙に対して同じようにC型三つ折りまたは二つ折りを行えば、一方は外側印字となり、他方は内側印字となる。
【0037】
このように、本実施形態では、IOT100のターミナル制御装置110がIOT100に接続されている後処理装置200の機能を認識しているため、後処理装置200の機能に応じてIOT100の画像形成機構の動作を制御することが可能である。そして、ターミナル制御装置110による後処理装置200の機能の認識は、デバイス制御装置300から送られた情報に基づいて自動的に行われるため、予めサービスエンジニアが設定するといった作業は必要ない。
【0038】
また、本実施形態は、画像形成装置におけるジョブの実行中に、後処理装置200の動的な状態に関する情報を、デバイス制御装置300からターミナル制御装置110に送信し認識させることができる。これにより、後処理装置200の動的な状態に応じてIOT100におけるジョブの実行を制御することができる。具体例として、用紙の搬送速度の制御について説明する。
【0039】
高性能なIOT100では、ジョブの実行速度が1分間に数十から百数十枚に及ぶ。一方、IOT100から排出された用紙に対して折りやパンチ穴開け等の物理的な作業を伴う後処理を行う場合、そのような後処理の作業には一定の時間を要するため、IOT100からの用紙の排出速度に追随できない場合がある。また、後処理の作業に要する時間は実行される後処理の種類や組合せによって異なる。そこで、デバイス制御装置300が実行される後処理の作業に要する時間の情報をターミナル制御装置110に通知することにより、後処理の作業に要する時間に対応する搬送速度で用紙の排出を行うようにIOT100を制御する。
【0040】
図8は、ジョブの実行時の動的制御におけるターミナル制御装置110およびデバイス制御装置300の動作を説明する図である。なお、図8は、ターミナル制御装置110の動作を表すフローチャートとデバイス制御装置300の動作を表すフローチャートとを並べて記載し、ターミナル制御装置110とデバイス制御装置300の間のデータのやり取りを破線で示している。
図8を参照すると、まず、ターミナル制御装置110の制御によりIOT100のジョブが開始される(ステップ801)。そして、ターミナル制御装置110の処理指示部114が、デバイス制御装置300へ用紙の搬送情報を通知する(ステップ802)。ここで、搬送情報とは、用紙サイズや実行される(選択された)後処理機能の情報等である。
【0041】
デバイス制御装置300は、ターミナル制御装置110から搬送情報を受信すると(ステップ811)、この搬送情報に基づき、情報提供部303が、IOT100から排出された用紙に対して選択された後処理を実行するのに要する時間(必要時間)を計算する(ステップ812)。そして、算出された必要時間をターミナル制御装置110へ返送する(ステップ813)。なお、必要時間の計算は、種々の方法で行うことができるが、例えば、情報保持部302等の記憶手段に、後処理の種類ごとに必要時間を予め格納しておき、選択された各後処理の必要時間を加算するといった方法を採ることができる。
ターミナル制御装置110は、デバイス制御装置300から必要時間を受信すると(ステップ803)、受信した必要時間に応じて、搬送される用紙間の距離を調節し、IOT100からの排出速度を制御する(ステップ804)。
【0042】
本実施形態では、上述したように実際のジョブ実行時に、ターミナル制御装置110が、後処理装置200の動作状態に基づく情報を取得し、この情報に基づいてIOT100の動作を動的に制御することにより、実行される後処理に応じて柔軟かつ適切に動作制御を行うことが可能である。
【0043】
また本実施形態は、上述したように、ターミナル制御装置110が、後処理装置200側に設けられたデバイス制御装置300から後処理装置200の機能に関する情報を取得する。そのため、共通の通信プロトコルを使用することによりターミナル制御装置110とデバイス制御装置300との間のデータ交換が可能である限り、後処理装置200の機種に関わらず、その後処理機能に応じた動作制御を行うことが可能である。したがって、画像形成装置と異なるメーカーの後処理装置や、将来投入される新機種に対しても、柔軟かつ容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態による画像形成装置と後処理装置を組み合わせたシステム構成の例を模式的に示した図である。
【図2】本実施形態のターミナル制御装置の機能構成を示す図である。
【図3】本実施形態のデバイス制御装置の機能構成を示す図である。
【図4】本実施形態のターミナル制御装置とデバイス制御装置による、電源投入時のデータ交換の流れ(パワーオン・シーケンス)を説明する図である。
【図5】本実施形態のデバイス制御装置からターミナル制御装置へ送信される機能情報のデータフォーマット(パケットフォーマット)の構成例を示す図である。
【図6】後処理装置が実行可能な折り方の例を示す図である。
【図7】図6に示した折り方とIOTが用紙を排出する際の印字面の向きとの関係を表す図表である。
【図8】ジョブの実行時の動的制御における、本実施形態のターミナル制御装置およびデバイス制御装置の動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0045】
100…IOT(画像出力ターミナル)、110…ターミナル制御装置、111、301…送受信制御部、112…後処理装置情報取得部、113…後処理装置情報格納部、114…処理指示部、115…ジョブ制御部、200…後処理装置、210…パンチユニット、220…ステープルユニット、230…製本ユニット、240…トレイ、300…デバイス制御装置、302…情報保持部、303…情報提供部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置と当該画像形成装置に接続された後処理装置とを備えたシステムにおいて、
前記画像形成装置に設けられたターミナル制御装置と、
前記ターミナル制御装置とデータ交換を行い、所定のタイミングで前記後処理装置の機能に関する情報を前記画像形成装置の前記ターミナル制御装置に送信するデバイス制御装置とを備え、
前記ターミナル制御装置は、前記デバイス制御装置から受信した情報に基づいて前記後処理装置の機能を認識し、認識された当該後処理装置の機能に応じて前記画像形成装置の動作を制御することを特徴とする画像形成装置の制御システム。
【請求項2】
前記ターミナル制御装置は、電源が投入された際に、前記デバイス制御装置に対して前記後処理装置の情報の取得要求を送信し、
前記デバイス制御装置は、前記ターミナル制御装置からの要求に応じて前記後処理装置の機能に関する情報を前記ターミナル制御装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の制御システム。
【請求項3】
前記デバイス制御装置は、前記後処理装置の機能が変更された場合に、少なくとも機能が変更された当該後処理装置の機能に関する情報を前記ターミナル制御装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の制御システム。
【請求項4】
前記デバイス制御装置は、前記後処理装置に搭載されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の制御システム。
【請求項5】
前記画像形成装置に複数の前記後処理装置が接続されている場合、所定の当該後処理装置に設けられた単一の前記デバイス制御装置が、複数の後処理装置の機能に関する情報を取得し、前記画像形成装置の前記ターミナル制御装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の制御システム。
【請求項6】
前記画像形成装置に複数の前記後処理装置が接続されている場合、複数の当該後処理装置にそれぞれ設けられた前記デバイス制御装置が、各々自身の設けられている後処理装置の機能に関する情報を前記ターミナル制御装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の制御システム。
【請求項7】
所定の後処理を実行する後処理装置が接続可能な画像形成装置であって、
画像データに基づき画像を転写対象上に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段の動作を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記後処理装置から当該後処理装置の機能に関する情報を受信し、受信した当該情報に基づいて、接続されている前記後処理装置の機能に応じた動作制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記後処理装置の後処理機能の種類およびジョブ設定に基づいて、前記転写対象を排出する際の印字面の向きを決定することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記後処理装置における後処理の作業に要する時間の情報を前記後処理装置から取得し、得られた時間情報に基づいて、転写対象の排出速度を制御することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
画像形成装置から排出される転写対象に対して後処理を実行する後処理装置であって、
所定の後処理を実行する後処理実行手段と、
前記後処理実行手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、所定のタイミングで後処理装置の機能に関する情報を前記画像形成装置に送信することを特徴とする後処理装置。
【請求項11】
前記制御手段は、後処理装置の機能が変更された場合に、少なくとも機能が変更された当該後処理装置の機能に関する情報を前記画像形成装置に送信することを特徴とする請求項10に記載の後処理装置。
【請求項12】
前記画像形成装置に複数の後処理装置が接続されている場合、所定の後処理装置の前記制御手段が、他の後処理装置の情報を取得して、当該所定の後処理装置の情報と共に前記画像形成装置に送信することを特徴とする請求項10に記載の後処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−259139(P2006−259139A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−75564(P2005−75564)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】