説明

画像形成装置の導通機構及び導通部材

【課題】簡単な構成で安定的に導通状態を維持できる画像形成装置の導通機構と、画像形成装置等に望ましく採用される導通部材を提供することを目的とする。
【解決手段】電力供給要部分85を備えたユニット部材80を、装置本体1に対して着脱自在に装着可能とし、該ユニット部材80を装着した際に、装置本体1の電源基板19の所定の接点部19aと上記電力供給要部分85の接点部87とが導通部材を介して電気的に導通し得るようにした画像形成装置Aの導通機構であって、上記導通部材が大径部20a及び小径部20bが連なる2段の導電性圧縮コイル20ばねからなり、装置本体のフレーム部に、上記コイルばねの小径部より大きく大径部より小さい径の円孔18aを形成し、この円孔に上記コイルばねの小径部を挿通させてユニット部材の装着部側に突出させ、大径部を圧縮状態でフレーム部と上記電源基板の接点部との間に弾装したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の導通機構に関し、特に、電力供給要部分を備えた電子写真方式のプロセスユニットを、装置本体に対して着脱自在に装着可能とし、該プロセスユニットを装着した際に、装置本体の電源基板の所定の接点部と上記電力供給要部分の接点部とが導通部材を介して電気的に導通し得るようにした画像形成装置の導通機構と導通部材に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の記録部は、複写機、ファクシミリ装置、プリンタ或いはこれらの機能を備えた所謂複合機等の画像形成装置に多用されている。このような電子写真方式の記録部は、プロセス部をユニット化し、このプロセスユニット(プロセスカートリッジ)を装置本体に対して着脱自在に装着し得るよう構成される。プロセスユニットとしては、感光体ドラム及びその周辺機器をユニット化したドラムユニット、現像剤収容部と現像ローラ或いは攪拌・搬送スクリュー等をユニット化した現像器ユニット、両ユニットを一体化したユニット等が挙げられる。これらプロセスユニットは、感光体ドラム、帯電器、現像ローラ、トナー検出センサ等の電力供給を必要とする部分や、装着有無検出の為に電力供給が必要な部分等(以下、これらを電力供給要部分と言う)を備え、これらに対しては装置本体内に設置された電源基板から電力の供給がなされる。これらプロセスユニットは消耗品である為に、定期的に交換され、またメンテナンス時には装置から脱着される。その為、装置本体に装着した時に、装置本体内の電源基板とプロセスユニット内の電力供給要部分とが導通部材を介して導通されるよう構成される。
【0003】
特許文献1には、感光体ユニットを装置本体に装着した際、ドラム軸が電源に接続された板ばねを押圧すると共にアースされると、電源とアースとの間に電流が流れ、この電流を検出して、感光体ユニットが所定の位置に装着されたと判定する技術が開示されている。この場合にはドラム軸が電力供給要部分とされる。
【0004】
プロセスユニットの着脱操作の容易性を勘案し、装置本体の側部(前後或いは両側部)から、プロセスユニットの長手方向(内蔵される軸回転機構の軸方向)に沿って水平状態で着脱し得るように構成される場合がある。この場合、プロセスユニットの挿入方向奥側の装置本体に電源基板を設置し、この電源基板の所定の接点部に導電性圧縮コイルばねからなる導通部材を取付け、プロセスユニットを挿入・装着した際、この導通部材が圧縮されて電源基板の接点部とプロセスユニットの接点部とが電気的に導通されるよう構成される。特に、導通部材は両接点部間に圧縮状態で弾装されるから、その復元弾力によって、安定した導通状態を維持すると共にプロセスユニットを所定位置に保持する機能も奏し、上記のような画像形成装置に多用されている。図6はこのような導通部材を用いた導通機構の一例を示している。
【特許文献1】特開平10−301350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図6は、電子写真方式のプロセスユニットを装置本体に対して着脱自在に装着可能とした画像形成装置の導通機構を示している。即ち、画像形成装置の装置本体100内に、プロセスユニット101が白抜矢示方向より挿入・装着可能とされ、挿入方向奥側には、装置本体のフレーム部(機体シャーシや電源基板ケース等)102に電源基板103が止着固定されている。プロセスユニット101は、ドラムユニットの場合には帯電器等を、また、現像器ユニットの場合には現像ローラ或いはトナー検出センサを、電力供給要部分101aとして内蔵している。従って、プロセスユニット101の挿入・装着方向前端部には電力供給要部分101aの入力用(トナー検出センサの場合は出力用も含む)電気接点部101bが設けられている。
【0006】
また、電源基板103の所定の部位には、出力用(トナー検出センサの場合は入力用も含む)電気接点部103aが形成され、この出力用電気接点部103aにはビス104によって電源基板103に止着固定された取付プレート105が電気的導通状態で添装されている。そして、この取付プレート105には導電性の圧縮コイルばね106がプロセスユニット101側に向くよう電気的導通状態で取付けられている。この圧縮コイルばね106は、フレーム部102に形成された円孔102aに遊端側が挿通され、その腰折れ等の防止が図られている。プロセスユニット101を、図6の白抜矢示に沿って装置本体100内に挿入すると、プロセスユニット101の上記入力用電気接点部101bが圧縮コイルばね106の先端に当接し、所定の位置に装着された時には圧縮コイルばね106が圧縮され、電源基板103の出力用電気接点部103aと、入力用電気接点部101aとが圧縮コイルばね106を介して電気的導通状態とされ、上記電力供給要部分101aに対して所定電位の電圧印加が可能とされる。
【0007】
図6に示す導通機構において、プロセスユニット101を装着すると、圧縮コイルばね106が圧縮され、両接点部101b,103a間の電気的導通状態が維持されるが、プロセスユニット101を取外した際に、圧縮コイルばね106が落下しないよう圧縮コイルばね106を固定する為のビス104及び取付プレート105を必要とする。特に、プロセスユニット101をその長手方向に沿って水平状態で装着させるようにした場合は、圧縮ばね106が横向きとなるので、この落下防止が確実になされる必要がある。その為、部品点数及び組付工数も増え、生産効率を低下させる一要因となっていた。特許文献1に示す導通機構も、板ばね部材をビスによって固定することを要し、同様の問題点を内包していた。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、簡単な構成で安定的に導通状態を維持できる画像形成装置の導通機構と、画像形成装置等に望ましく採用される導通部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明に係る画像形成装置の導通機構は、電力供給要部分を備えたユニット部材を、装置本体に対して着脱自在に装着可能とし、該ユニット部材を装着した際に、装置本体の電源基板の所定の接点部と上記電力供給要部分の接点部とが導通部材を介して電気的に導通し得るようにした画像形成装置の導通機構であって、上記導通部材が大径部及び小径部が連なる2段の導電性圧縮コイルばねからなり、装置本体のフレーム部に、上記コイルばねの小径部より大きく大径部より小さい径の円孔を形成し、この円孔に上記コイルばねの小径部を挿通させてユニット部材の装着部側に突出させ、大径部を圧縮状態でフレーム部と上記電源基板の接点部との間に弾装したことを特徴とする。
【0010】
本発明において、前記ユニット部材を、電子写真方式のプロセスユニットとすることができる。この場合、プロセスユニットが、装置本体に対してその長手方向に沿って水平状態で着脱自在に装着されるものとすることができる。
【0011】
第2の発明に係る導通部材は、2個の接点部間に圧縮状態で介装されて両接点部を導通させる為の導通部材であって、大径部及び小径部が連なる2段の導電性圧縮コイルばねからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明に係る画像形成装置の導通機構においては、導通部材が大径部及び小径部が連なる2段の導電性圧縮コイルばねからなり、装置本体のフレーム部に形成された円孔にコイルばねの小径部を挿通させてユニット部材の装着部側に突出させ、大径部を圧縮状態でフレーム部と上記電源基板の接点部との間に弾装させるようにしているから、ユニット部材を取外した際には、圧縮コイルばねがフレーム部と電源基板の接点部との間に復元弾力を保有した状態で保持され、従って、この復元弾力による拮抗作用によって、従来のような取付けの為の部材を用いなくとも落下する懸念がない。そして、ユニット部材を装着した時は、円孔より突出した小径部が大径部と共に圧縮され、電源基板の接点部と電力供給要部分の接点部とが圧縮された導通部材を介して導通し、この導通状態が安定且つ良好に維持される。
【0013】
前記ユニット部材を、電子写真方式のプロセスユニットとした場合、プロセスユニットは、消耗品であって高価な電源部材等を内蔵せず、しかも高電位の電圧の印加が必要とされる電力供給要部分を含むから、上記の安定した導通状態の維持は特に有効である。また、プロセスユニットが、装置本体に対してその長手方向に沿って水平状態で着脱自在に装着されるものとした場合、導通部材は横向きに保持される必要があるが、このような場合でも何ら取付けの為の部材を要さず安定保持される。
【0014】
第2の発明に係る導通部材においては、大径部をして2部材間に弾装させることによって、落下することなく安定保持されるから、取付けの為の部材を不要とし、2個の接点部間の電気的導通状態の保持が簡易になされ、画像形成装置その他の導通機構に広く採用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明の最良の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は本発明の導通機構が採用された画像形成装置の一例を示す概略的斜視図、図2は同縦断面図、図3及び図4は本発明の導通機構の一実施形態を示す断面図であり、図3は同導通機構が確立する前の状態を、図4は確立した後の状態を示す。図5は他の実施形態の図3と同様図である。
【0016】
図1及び図2の画像形成装置Aは、電子写真方式の記録部を備えたプリンタを例に採って示しているが、これに限らず、画像読取装置を備えた複写機、ファクシミリ装置或いはこれらの機能を兼ね備えた所謂複合機等であっても良いことは言うまでもない。図において、画像形成装置Aの装置本体1は、記録紙(用紙)の給紙部2と、電子写真方式の画像記録部3と、印字後の記録紙の排出部4とが、この順序で高さ方向に層積されて構成されている。記録紙の給紙部2は、多数枚の記録紙を堆積収納し得る抜差し可能な給紙カセット2aと、該給紙カセット2aの給紙方向前端部に設置された分離給紙ローラ2bと、該分離給紙ローラ2bの周面に弾接する分離パッド2cとよりなる。
【0017】
画像記録部3は、感光体ドラム5の周囲に、帯電器6、LED等からなる露光器7、現像器8、転写ローラ9及び残留トナー除去装置10をこの順序で配したプロセス部と、その下流側の定着器11とより構成される。これらプロセス部は、露光器7及び転写ローラ9を除き、感光体ドラム5、帯電器6及び残留トナー除去装置10を一括したドラムユニット50と、現像剤容器、攪拌器及び現像ローラ等を一括した現像器ユニット80とよりなるプロセスユニットとされ、ドラムユニット50及び現像器ユニット80は、装置本体1に対してその前面側より、個々に或いは両者を何等かの結合手段で結合した状態で着脱可能に装着される。また、露光器7及び転写ローラ9を除く全てのプロセス部を一括してプロセスユニットとすることも可能である。ここで、装置本体1の前面側とは、図1における右斜め手前側を言い、左斜め奥側を背面側と言う。この図においては、現像器ユニット80を装置本体1に対して前面側より装着する状態を示しており、装置本体1の前面には開閉可能なメンテナンス扉1aが設けられ、このメンテナンス扉1aを開けて、現像器ユニット80を装置本体1内の所定位置に挿入・装着し得るようになされている。給紙カセット2aも装置本体1に対して前面側より抜差し可能とされている。現像器ユニット80の装着に関しては後記する。
【0018】
図例の現像器ユニット80は、2成分現像剤を用いる方式の現像器であって、樹脂成型された現像剤容器を兼ねる現像器ハウジング81内にトナーとキャリアを収容し、2本の平行な攪拌・搬送スクリュー82、83で攪拌・搬送しながら、供給パドル84によりバイアス印加された現像ローラ85に現像剤を供給するようになされている。現像器ハウジング81の外面には磁気センサ86が付設され、現像器ハウジング81内のトナー濃度(トナーとキャリアの混合比)が常時検出される。この現像器ユニット80から離間した位置には、トナーホッパー12が設置され、上記磁気センサ86により現像器ハウジング81内のトナー濃度が低下したことが検出されると、スクリューコンベア(パイプスクリュー)13を介してトナーが現像器ハウジング81内に補給される。トナーホッパー12内には、アジテータ12a及び給送用スクリュー12bが配設されている。
【0019】
定着器11の下流側には、切替ゲート4a、排出ローラ対4b及び排出トレイ4cが連設され、これらによって排出部4が構成される。上記プロセス部の上流側近傍には、レジストローラ対14が配設され、上記給紙カセット2aから、分離給紙ローラ2b及び分離パッド2cの作用により1枚ずつ分離繰出された記録紙(用紙)は、該レジストローラ対14によりレジストされて、前記感光体ドラム5と転写ローラ9との対合部に導入される。感光体ドラム5は図2の矢示方向に回転しながら、帯電器6によりその表面が一様に帯電され、画像情報に基づく光学画像が露光器7によって感光体ドラム5の表面に照射され、感光体ドラム5の表面には静電潜像が形成される。この静電潜像は、感光体ドラム5の表面の光導電体の特性により、光の照射部分の電位が変化し、その他の部位の電位が維持されて形成されるものである。
【0020】
そして、この静電潜像は、バイアス印加された現像器8で逐次現像されてトナー画像として感光体ドラム5と転写ローラ9との対合部に至る。この現像の際、光の照射により電位が変化した部位には、現像器8との電位差によりトナーが感光体ドラム5に吸引されて黒部分となり、その他の部分にはトナーは吸引されず白部分となって、全体として、画像情報に基づく白黒のトナー画像が形成されるのである。上記レジストローラ対14は、感光体ドラム5の表面のトナー画像に同期して記録紙がこの対合部に導入されるようレジスト制御されて回転駆動される。
【0021】
転写ローラ9はバイアス印加されており、感光体ドラム5と対合され且つ矢示方向(感光体ドラム5とウイズ方向)に回転駆動されながら記録紙をニップ搬送し、この間感光体ドラム5の表面のトナー像が記録紙に転写される。感光体ドラム5の表面に残ったトナーは、残留トナー除去装置10で除去・回収される。トナー像が転写された記録紙は、定着器11に導入され、永久画像として定着された後、切替ゲート4aを押し上げ、排出ローラ対4bを経て排出トレイ4c上に排出される。この一連の記録紙の給送は、給紙カセット2aからの繰出し直後に略垂直(鉛直)に立ち上がり、排出ローラ対4bでは給紙カセット2aからの繰出し方向とは略180度の方向にUターンするような主給送パスPに沿ってなされる。このようなレイアウト構成により、装置全体のコンパクト化が図られる。
【0022】
図例の画像形成装置Aは、両面記録機能を備えており、上記主給送パスPの切替ゲート4aの取付け位置から、前記レジストローラ対14の上流側で上記主給送パスPに循環合流する反転給送パスP1が形成されている。前記排出ローラ対4bは、正逆転可能とされ、また、反転給送パスP1には搬送ローラ対15、16が配設されており、両面記録する場合は、上記のように片面記録がされた記録紙が主給送パスPに沿って搬送され、記録紙の後端が排出ローラ対4bに至ると、該排出ローラ対4bは一旦停止して記録紙の後端をニップする。次いで、排出ローラ対4bが逆転し、記録紙はその後端より搬送ローラ対15、16によって反転給送パスP1を搬送され、主給送パスPに合流し、レジストローラ対14に至る。該レジストローラ対14によってレジストされて、再度感光体ドラム5と転写ローラ9との対合部に導入されてその裏面の記録がなされる。両面記録された記録紙は、その後、上記同様主給送パスPに沿って排出トレイ4c上に排出される。
【0023】
図例の画像形成装置Aは、記録紙の手差機能を更に備えており、装置本体1の側部には上下に開閉可能な手差トレイ17が付設されている。該手差トレイ17は、使用しない時は、図2の2点鎖線のように閉止され、把手17aをして開閉が可能とされている。該手差トレイ17の前端部には分離給紙ローラ17bと分離パッド17cとが弾接状態で配設され、その更に下流側には主給送パスPに合流する手差給送パスP2が連設されている。
【0024】
上記手差トレイ17を用いて画像記録をする場合、上記把手17aをして手差トレイ17を開け、その上に記録紙をセットし、適宜スタート操作により、手差給紙ローラ17bを作動させる。手差トレイ17上の記録紙は、分離給紙ローラ17bと分離パッド17cとの作用により1枚ずつ分離されて繰出され、手差給送パスP2を搬送され、主給送パスPに合流する。その後、レジストローラ対14によってレジストされて、感光体ドラム5と転写ローラ9との対合部に導入されて記録がなされる。手差記録紙に両面記録する場合、記録紙は排出ローラ対4bの逆転により、反転給送パスP1を搬送され、上記の通りその裏面記録がなされる。記録が完了した記録紙は、排出ローラ対4bによって排出トレイ4c上に排出される。
【実施例1】
【0025】
次に、図3及び図4を参照して現像器ユニット80に対する通電機構を詳細に説明する。現像器ユニット80は、バイアス電位が印加される現像ローラ85や、磁気センサ86(図2参照)等の電力供給要部分を備えており、これら電力供給要部分の電気的接点部87が、現像器ハウジング81の挿入方向前端部に設けられている。装置本体1の背面側(挿入方向奥側)には、背面側機体の一部としてのフレーム部(機体シャーシ或いは電源基板ケース)1bが設置され、該フレーム部18の背面側には、間隔を隔て電源基板19が止着固定されている。この電源基板19は、その表面に不図示の電源部、その他の電子部品等を搭載し、プリント配線がなされている。また、現像器ユニット80の挿入方向に沿った上記電気的接点部87に対応する位置には、現像器ユニット80に電力を供給する為の接点部19aがプリント配線の一部として形成されている。
【0026】
上記フレーム部18における上記両接点部87,19aを結ぶ線上位置には、円孔18aが開設されている。そして、この円孔18aに挿通されて両接点部87,19aを電気的に導通させる為の導通部材20が取付けられる。導通部材20は、大径部20a及び小径部20bが連なる2段の導電性圧縮コイルばねからなり、上記円孔18aの径は、小径部20bの径より大で、大径部20aの径より小とされている。この円孔18aに上記コイルばね20の小径部20bを電源基板19側から挿通させて現像器ユニット80の装着部側に突出させ、大径部20aを圧縮状態でフレーム部18における円孔18aの周縁部と上記電源基板19の接点部19aとの間に弾装させる。大径部20aのフレーム部18及び電源基板19間での復元弾力を伴った弾装によって、コイルばね20の基端部が接点部19aに弾接した状態で落下することなく安定保持される。従って、コイルばね20を取付ける為の治具等が一切不要とされる。コイルばね20は、SUS、ピアノ線、リン青銅等の弾性線材によって構成される。また、フレーム部18は、樹脂等の絶縁性材料で構成することが望ましいが、金属材で構成する場合は、円孔18aの内周面及び開口周縁部等のコイルばね20が触れる部分に、絶縁処理(樹脂コーティングや樹脂部材の嵌め込み等)を施しておくことが必要である。
【0027】
斯くして、現像器ユニット80は、図1及び図3の白抜矢示で示すように画像形成装置Aの装置本体1の所定部に挿入される。挿入に伴い、現像器ユニット80の接点部87がコイルばね20の先端に当接し、引き続く挿入によって、コイルばね20が圧縮され、現像器ユニット80が所定部に挿入・装着された時には、図4に示すようにコイルばね20は、現像器ユニット80の接点部87及び電源基板19の接点部19a間に圧縮状態で弾装される。これによって両接点部87,19a間の電気的導通状態が確立される。この導通状態は、コイルばね20の復元弾力を伴う弾装によって確実且つ安定的に維持される。また、小径部20bは円孔18aに挿通されているから、圧縮の際の腰折れ等も生じる懸念がない。現像器ユニット80を取出す場合、上記白抜矢示方向と逆方向に引出されるが、この引出しに伴いコイルばね20が伸張し、大径部20aの伸張側端(小径部20bとの段部)が円孔18aの開口周縁部に至るとこれによって規制され、その後は図3に示すようにフレーム部18と電源基板19との間に弾装された状態で維持される。
【実施例2】
【0028】
図6は、第2の実施形態の一例を示すものである。即ち、フレーム部18における円孔18aの現像器ユニット80側にはコイルばね20の小径部20bに略同径・同軸のガイド筒18bが連成されている。コイルばね20の小径部20bは、円孔18a及びこのガイド筒18bに挿通されて現像器ユニット80側に突出されている。このようなガイド筒18bを設けると、小径部20bがこのガイド筒18bに規制され、その腰折れ防止が効果的になされる。従って、装置レイアウトの関係で、コイルばね20の全体長を長くせざるを得ない場合には特に有効である。尚、大径部20a側に、大径部20aを挿通し得る同様のガイド筒を設けることも可能である。その他の構成は上記と同様であるので、共通部分に同一の符号を付し、ここではその説明を割愛する。
【0029】
尚、上記実施例では、ユニット部材としてのプロセスユニットが現像器ユニット80である場合について述べたが、ドラムユニット50においても同様の導通機構を採用することができる。ドラムユニット50の場合には、電力供給要部として、帯電器6が挙げられるが、残留トナー除去装置10にバイアス電位を印加する場合や、不図示の徐電ランプ或いはクリーナレスシステムのメモリー除去部材等が組み込まれる場合にはこれらも対象とされる。また、プロセスユニットを横向き水平状態で着脱する例について述べたが、上下に着脱するものであっても良い。この場合は、装置本体の底部に導通部材が垂直状態で取付けられる。更に、給紙カセット2aに用紙サイズセンサが設置される場合には、給紙カセット2aをユニット部材、用紙サイズセンサを電力供給要部として、その挿入奥側部分に同様の導通機構を設けることもできる。加えて、電子写真方式のプロセスユニットを着脱自在に装着可能とした画像形成装置に限らず、電力供給要部材を備えたユニット部材を着脱自在に装着可能とする他の画像形成装置にも本発明の導通機構を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の導通機構が採用された画像形成装置の一例を示す概略的斜視図である。
【図2】同縦断面図である。
【図3】本発明の導通機構の一実施形態を示す断面図であり、同導通機構が確立する前の状態を示す。
【図4】同確立した後の状態を示す断面図である。
【図5】他の実施形態の図3と同様図である。
【図6】は従来の同通機構の一例を示す図4と同様図である。
【符号の説明】
【0031】
1 装置本体
18 フレーム部
18a 円孔
19 電源基板
19a 接点部
20 導電性圧縮コイルばね(導通部材)
20a 大径部
20b 小径部
80 現像器ユニット(プロセスユニット、ユニット部材)
85 現像ローラ(電力供給要部分)
87 接点部
A 画像形成装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給要部分を備えたユニット部材を、装置本体に対して着脱自在に装着可能とし、該ユニット部材を装着した際に、装置本体の電源基板の所定の接点部と上記電力供給要部分の接点部とが導通部材を介して電気的に導通し得るようにした画像形成装置の導通機構であって、
上記導通部材が大径部及び小径部が連なる2段の導電性圧縮コイルばねからなり、装置本体のフレーム部に、上記コイルばねの小径部より大きく大径部より小さい径の円孔を形成し、この円孔に上記コイルばねの小径部を挿通させてユニット部材の装着部側に突出させ、大径部を圧縮状態でフレーム部と上記電源基板の接点部との間に弾装したことを特徴とする画像形成装置の導通機構。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置の導通機構において、
前記ユニット部材が、電子写真方式のプロセスユニットであることを特徴とする画像形成装置の導通機構。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置の導通機構において、
前記プロセスユニットが、装置本体に対してその長手方向に沿って水平状態で着脱自在に装着されるものであることを特徴とする画像形成装置の導通機構。
【請求項4】
2個の接点部間に圧縮状態で介装されて両接点部を導通させる為の導通部材であって、
大径部及び小径部が連なる2段の導電性圧縮コイルばねからなることを特徴とする導通部材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−304447(P2007−304447A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−134574(P2006−134574)
【出願日】平成18年5月13日(2006.5.13)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】