説明

画像形成装置の放熱手段及び画像形成装置

【課題】 画像形成部の上方に排紙トレイを設けた場合であっても、自然対流により効率よく放熱することができる画像形成装置の放熱手段、及びその放熱手段を備えた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 画像形成部3の上方に排紙トレイ50が設けられている画像形成装置(カラー複写機1)の放熱手段において、排紙トレイ50の表面に凸部51及び凹部52,53を形成し、この凹部52,53に画像形成部3の熱を外気に放熱する放熱口R1,R2を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機等の電子写真方式の画像形成装置に関し、詳しくは、電子写真方式の画像形成装置に設けられた放熱手段の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、設置スペースのコンパクト化の要請により、電子写真方式の画像形成装置は、装置本体側面に設けられた排紙トレイ上に排紙する方式から、画像形成部の直上に設けられた排紙トレイ上に排紙する構成が主流となってきている。
しかし、画像形成部には、画象形成ユニットなどの自己発熱する装置等が設けられており、熱せられた空気を装置本体外へ放出して排熱する放熱手段を設ける必要がある。
【0003】
この画像形成装置の放熱手段としては、装置本体側面に開口を設け、ファンモータ等を用いて機械的に気流を作り出して強制的に熱せられた空気を装置本体外へ放出する方式(例えば、特許文献1)や、装置本体上面などの画像形成部上方に開口を設け、自然対流により熱せられた空気を装置本体外へ放出する方式などがある。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の画像形成装置のように、ファンモータ等を用いた機械的な給排気による放熱手段では、流路付近にあるトナーを気流により飛散させてしまうという問題があった。
【0005】
また、自然対流による放熱手段であっても、画像形成部の直上に排紙トレイを設けた場合には、排紙トレイに放熱用の開口(以下、放熱口という)を設けなければならず、排紙トレイ上に排紙した用紙が放熱口を塞いでしまい、上手く放熱できないという問題があった。
なお、放熱口を排紙トレイではなく、画像形成部上方の装置本体の側面に設けることも考えられるが、装置本体の側面に設けた場合は、鉛直方向に開口することとなるため放熱口の開口面積の割に放熱(排熱)の効果が少ないという問題が残ってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、前記問題点を解決するべく、画像形成部の上方に排紙トレイを設けた場合であっても、自然対流により効率よく放熱することができる画像形成装置の放熱手段、及びその放熱手段を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、画像形成部の上方に排紙トレイが設けられている画像形成装置の放熱手段であって、前記排紙トレイの表面に凸部及び凹部が形成され、この凹部に前記画像形成部の熱を外気に放熱する放熱口が開口していることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画象形成装置の放熱手段において、前記凸部は、排紙口側に排紙方向に沿って下向きに傾斜する傾斜面を有し、排紙方向に沿って馬の背状に周囲の表面より高くなっていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画象形成装置の放熱手段において、前記凸部は、前記排紙トレイの周囲の表面から上方に突出した位置と、周囲の表面と面一となる位置とに可動自在となっていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の画象形成装置の放熱手段において、前記凹部は、周囲の表面より窪んだ平らな底面を有し、この底面に前記放熱口が開口していることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、画像形成部の上方に排紙トレイが設けられている画像形成装置の放熱手段であって、前記排紙トレイの周囲の表面から上方に突出した位置と、周囲の表面と面一となる位置とに可動自在に構成された可動式凸部が設けられ、この可動式凸部の内側に前記画像形成部の熱を外気に放熱する放熱口が開口していることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の画象形成装置の放熱手段において、前記放熱口は、開口孔の最大長が5mm以下の格子状、又は、開口幅が1mm以下のスリット状となっていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の放熱手段を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、前記のようであって、請求項1の発明によれば、画像形成部の上方に排紙トレイが設けられている画像形成装置の放熱手段であって、前記排紙トレイの表面に凸部及び凹部が形成され、この凹部に前記画像形成部の熱を外気に放熱する放熱口が開口しているので、画像形成部の直上に排紙トレイを設けた場合であっても、排紙した用紙で放熱口が塞がれることがなく、画像形成部で発生する熱を放熱口から自然対流により効率よく放熱することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の放熱手段において、前記凸部は、排紙口側に排紙方向に沿って下向きに傾斜する傾斜面を有し、排紙方向に沿って馬の背状に周囲の表面より高くなっているので、前記作用効果に加え、排紙した用紙が排紙トレイ上の凸部に引っ掛かるおそれがなく、スムーズに用紙を排紙することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の放熱手段において、前記凸部は、前記排紙トレイの周囲の表面から上方に突出した位置と、周囲の表面と面一となる位置とに可動自在となっているので、前記作用効果に加え、邪魔なときは一時的に凸部を排紙トレイの表面と面一にして収容することができ、よりスムーズに用紙を排紙することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかに記載の放熱手段において、前記凹部は、周囲の表面より窪んだ平らな底面を有し、この底面に前記放熱口が開口しているので、前記作用効果に加え、ユーザが使用する際の通常位置である斜め上方から見た場合に放熱口の孔が隠れ、目立たなくなる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、画像形成部の上方に排紙トレイが設けられている画像形成装置の放熱手段であって、前記排紙トレイの周囲の表面から上方に突出した位置と、周囲の表面と面一となる位置とに可動自在に構成された可動式凸部が設けられ、この可動式凸部の内側に前記画像形成部の熱を外気に放熱する放熱口が開口しているので、可動式凸部を突出させることにより、画像形成部の直上に排紙トレイを設けた場合であっても、排紙した用紙で放熱口が塞がれることがなく、画像形成部で発生する熱を放熱口から自然対流により効率よく放熱することができる。また、輸送時など画像形成部の熱を外気に放熱する必要がない場合には、可動式凸部を収納することができ、粉塵などが装置本体内部に入ることを防ぐことができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1ないし5のいずれかに記載の放熱手段において、前記放熱口は、開口孔の最大長が5mm以下の格子状、又は、開口幅が1mm以下のスリット状となっているので、前記作用効果に加え、安全規格上、機器外装の開口とならないため、放熱口の内部の部品等に制限が課せられず、設計の自由度が増す。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1ないし6のいずれかに記載の放熱手段を備えるので、画像形成装置において前記作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態1に係る画像形成装置の概略構成を正面からの透視状態で示す構成説明図である。
【図2】同上の画像形成装置を左側面の正面側斜め上方から見た斜視図である。
【図3】同上の画像形成装置の排紙トレイ付近を画像形成部、フロントパネル、装置本体の外装パネルを外した状態で正面の右側面側斜め上方から見た斜視図である。
【図4】同上の排紙トレイの平面図である。
【図5】同上の排紙トレイ付近を正面の左側面側斜め上方から見た斜視図である。
【図6】同上の排紙トレイ付近を左側面方向から見た斜視図である。
【図7】図1の画像形成装置の放熱口に設けた格子の拡大図である。
【図8】同上の格子を放熱口に嵌め込んで正面斜め上方から見た外観図である。
【図9】同上の格子をユーザ視線で見た外観図である。
【図10】図1の格子の変形例であるスリットの拡大図である。
【図11】実施の形態2に係る画像形成装置の排紙トレイを正面の左側面側斜め上方から見た斜視図である。
【図12】同上の排紙トレイの突出部が収納されている状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について説明する。
【0023】
[実施の形態1]
(画像形成装置の全体構成)
先ず、図1を用いて、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成について説明する。図中の符号1は、本発明の一実施の形態として例示する電子写真方式を利用した胴内排紙タイプのカラー複写機であり、このカラー複写機1は、画像形成装置全体の筐体である天面が開口した概略箱状の装置本体10と、その装置本体10の上部に配置され、原稿の画像を読み取る画像読取部2と、この画像読取部2の下方に配置され、画像読取部2で読み取るか又は外部機器から送信される画像情報を基に画像を形成する画像形成部3と、装置本体10の最下部に配置され、用紙搬送路に用紙(コピー用紙やOHP用の樹脂シート、厚紙、葉書などを含むシート状の部材を指す、以下同じ)を供給する給紙部4と、画像形成部3の上方に設けられ、用紙を排紙する排紙部5と、給紙部4と排紙部5の間に設けられた用紙搬送路6などから主に構成されている。
【0024】
画像読取部2は、装置本体10の天面部分に取り付けられて原稿が載置される原稿台としてのコンタクトガラス20と、このコンタクトガラス20の直下に配置されて移動しながら原稿に光を当てる光源21と、原稿からの反射光を結像する結像レンズ22と、その結像位置に配置されて原稿画像を読み取る読取手段としてのCCD等のイメージセンサ23と、原稿からの反射光を反射しながら結像レンズ22に導く複数のミラーなどから構成されている。また、この画像読取部2の上部には、コンタクトガラス20に載置された原稿を押さえる圧板24が設けられている。なお、この圧板24に代えて、コンタクトガラス20に原稿を自動給紙する自動原稿給紙装置(図2のADF参照)を設置してもよい。
【0025】
画像形成部3は、色材三原色であるイエロー、マゼンダ、シアンと、無彩色であるブラックの計4色のトナーに対応する4つのプロセスカートリッジ3Y,3M,3C,3Kと、これら4つのプロセスカートリッジ3Y,3M,3C,3Kの下方に設けられ、後述の各感光体ドラムに潜像を書き込む書込ユニット30と、各プロセスカートリッジに対応する色の新規トナーを収容する4つのトナーボトル31Y,31M,31C,31Kと、各プロセスカートリッジで形成された画像が一旦転写された後用紙に転写する転写ユニット32と、用紙に画像を定着する定着ユニット33などから構成されている。
【0026】
プロセスカートリッジ3Y,3M,3C,3Kは、後述の中間転写ベルト32aの下面に沿って、図中の矢印で示す外周表面の移動方向上流側からイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの順に配列されている。各プロセスカートリッジ3Y,3M,3C,3Kは、正面視(図1の正対視)で時計回りに回転駆動する潜像担持体である感光体ドラムY,M,C,Kを中心として、各感光体ドラムY,M,C,Kの外周面に帯電処理を施して一様に帯電させる帯電手段、各感光体ドラムY,M,C,K上に後述の書込ユニット30で形成された静電潜像を対応する各色のトナーで単色のトナー像に可視像化する現像手段30Y,30M,30C,30K、感光体ドラムY,M,C,Kの外周面に転写後も残留する転写残トナーをクリーニングして回収するクリーニング手段などから一体成型されて装置本体10に対して脱着可能に構成された作像装置である。
【0027】
書込ユニット30は、ポリゴンミラーやfθレンズなどを備え、画像読取部2やパソコン、外部スキャナなどから入力された画像情報を基にレーザ発光装置からレーザ光を照射しながら走査し、一様に帯電された感光体ドラムY,M,C,Kの外周表面を選択的に露光させて、照射した部分の表面電位を低下させ、感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光装置である。
【0028】
トナーボトル31Y,31M,31C,31Kは、それぞれ前記4色の新規トナーが個別に充填されており、図示しない搬送経路を通じて各プロセスカートリッジ3Y,3M,3C,3Kの現像手段30Y,30M,30C,30Kへ各色のトナーを補給する仕組みとなっている。
【0029】
転写ユニット32は、中間転写体として弾性樹脂の多層構造体からなる無端状ベルトである中間転写ベルト32aと、この中間転写ベルト32aを支持・張架する4つの支持ローラ32b,32c,32d,32eと、感光体ドラムY,M,C,Kとそれぞれ中間転写ベルト32aを挟んで対向する4つの1次転写ローラ32f、支持ローラ32bに対向配置された2次転写ローラ32gなどから主に構成された中間転写方式の転写装置である。
【0030】
この支持ローラ32bは、図示しない駆動手段に接続された駆動ローラとなっており、図の矢印方向に中間転写ベルト32aを回転駆動させる機能を有している。なお、この駆動ローラ32bと中間転写ベルト32aを挟んで対向する位置には2次転写ローラ32gが配設されており、支持ローラ32cの近傍には、中間転写ベルト32aの外周表面に付着する残留トナーを掻き取ってクリーニングするクリーニング装置32hが設けられている。
【0031】
各1次転写ローラ32fは、空隙放電による画像劣化を考慮し、各感光体ドラムY,M,C,Kと中間転写ベルト32aを挟んで中心間距離が最短距離で当接する正対位置から中間転写ベルト32aの表面移動方向下流側に少しずらした位置に配設された接触印加方式の転写バイアス(転写電圧)印加手段であり、図示しないバイアス電源に接続され、1次転写バイアスを中間転写ベルト32aの裏面(内周面)から印加可能に構成されている。
【0032】
2次転写ローラ32gは、図示しない付勢手段により付勢されて駆動ローラ32bの外周において中間転写ベルト32aに圧接され、駆動ローラ32bとの間に2次転写ニップを形成するよう構成されており、駆動ローラ32bが、図示しないバイアス電源に接続された接触方式の転写バイアス印加手段となっている。また、2次転写ローラ32gが転写バイアス印加手段となっていてもよく、その場合、転写するトナー像とは逆極性の転写バイアスを印加することになる。
【0033】
定着ユニット33は、定着ローラ33aと加熱ローラ33bに張架された無端状ベルトである定着ベルト33cと、この定着ベルト33cに圧接する加圧部材としての加圧ローラ33dとの間に定着ニップが形成され、この定着ニップにおいて後述の用紙搬送路6を通って搬送されてきた用紙に熱と圧力が加えられ、前述の転写ユニット32の2次転写ニップで転写されたトナー像が用紙に溶融付着して定着されるようになっている。
【0034】
給紙部4は、用紙としてそれぞれ大きさの違う所定のコピー用紙を収容・ストックし、装置本体10から引き出し可能な給紙カセット40,41と、このストックされたコピー用紙に上方から所定圧で弾接する給紙ローラ42,43などが備えられ、制御手段(図示せず)の制御信号に基づいて、給紙カセット40,41にそれぞれ収容しているコピー用紙を給紙ローラ42,43で後述の用紙搬送路6に送り出すようになっている。
【0035】
また、給紙部4には、搬送可能な所定の大きさの範囲内の任意の用紙を載置する手差トレイ44と、この任意の用紙を送り出す給紙ローラ45と、が設けられており、手差トレイ44に載置された用紙を、給紙ローラ45を回転駆動させることにより後述の用紙搬送路6に送り出せるようになっている。
【0036】
排紙部5は、前述のトナーボトル31Y,31M,31C,31Kと画像読取部2との間に形成された斜面からなる排紙トレイ50などから構成され、後述の排紙ローラ対63によって排紙口から排紙した用紙を排紙トレイ50上に集積する機能を有した胴内排紙タイプの排紙部である。また、この排紙トレイ50には、前述の画像形成部3で発生する熱を外気に放熱するための開口である放熱口が設けられている。なお、この放熱口については、後で詳述する。
【0037】
用紙搬送路6は、装置本体10の下部に設けられた給紙部4から装置本体10の上部に設けられた排紙部5へ下から上に向けて搬送する縦搬送方式(縦パス方式)の通常搬送路60と、両面印刷のために用紙を反転させる反転搬送路61とから主に構成され、これら通常搬送路60、反転搬送路61には、最小用紙サイズに応じた間隔で複数の搬送ローラ対が設けられ、これらの搬送ローラ対で用紙を挟持しながら回転することで搬送する仕組みとなっている。
【0038】
この通常搬送路60には、搬送ローラ対の他に2次転写ニップの下方にレジストローラ対62が、用紙搬送方向の末端付近に排紙ローラ対63が設けられており、このレジストローラ対62により図示しない制御手段の指令に基づいて2次転写ニップへ用紙を搬送するタイミングが調整されたうえ、2次転写ニップで用紙に画像が転写される。そして、定着ユニット33を通過することで画像が定着されて排紙口64から排紙ローラ対63により排紙部5へ排紙される。
【0039】
これらの搬送路の切り替えは切替爪65で行われ、この切替爪65で案内された用紙が通常搬送路60から離脱し、反転搬送ローラ対66で反転搬送路61の上部搬送路67へ運ばれて行き、反転搬送ローラ対66が反転することによりスイッチバック式に用紙の先後端が反転されてレジストローラ対62手前の通常搬送路60へ搬送される間に用紙の表裏が反転される仕組みとなっている。
【0040】
(画像形成動作)
次に、図1を参照しつつカラー複写機1の画像形成動作について説明する。
コピーを取るときは、まず圧板24を開いて画像読取部2のコンタクトガラス20上に原稿がセットされる(圧板24に代えてADFを設けるときは、ADFの原稿台上に原稿がセットされる)。続いて、操作パネルのスタートスイッチが押されて画像読取部2が駆動し、走行する光源21から発せられた光が原稿面に当って反射し、その反射光を複数のミラーで反射して結像レンズ22を通してイメージセンサ23に結像し、イメージセンサ23で電子信号に変換されて、原稿の画像(内容)が読み取られる。なお、ADFを取り付けた場合は、ADFの載置台から原稿をコンタクトガラス20上へ自動搬送した後、前記動作が開始される。そして、操作パネルで選択されたモード設定等に応じて、フルカラーモード、又は白黒モードで画像形成動作が開始される。
【0041】
先ず、フルカラーモードが選択されて、カラー画像を形成する場合を説明する。カラー複写機1において画像形成動作が開始されると、各感光体ドラムY,M,C,Kがカラー複写機1の正面(図1の方向)から見て時計回りの方向に回転駆動し、このとき各帯電手段によって各感光体ドラムY,M,C,Kの外周面が所定の極性(例えば、マイナス)に一様に帯電される。次いで、それぞれの帯電面に、書込ユニット30からトナー色に対応するよう色分解された画像情報に基づいてレーザ光が照射され、各感光体ドラムY,M,C,Kの外周面上に静電潜像が形成される。そして、この静電潜像は、各現像手段30Y,30M,30C,30Kによって単色のトナー像として可視像化され、各色のトナー像はそれぞれ対応する1次転写ローラ32fによって1次転写バイアスが印加され中間転写ベルト32a上に順次重ねて転写されて行き、フルカラーのトナー像が形成される。なお、モノクロ画像を形成する場合は、ブラックのプロセスカートリッジ3Kで前記動作が行われる。
【0042】
一方、給紙部4の給紙カセット40,41にストックされている用紙が、給紙ローラ42,43により1枚ずつ用紙搬送路6に送り出される。そして、用紙が用紙搬送路6を上昇して行き、その先端がレジストローラ対62に突き当たって停止する。突き当たることによって用紙の先端が整えられ、中間転写ベルト32a上に形成された前記カラートナー像が2次転写ニップに到達するタイミングに合わせてレジストローラ対62を回転させ、2次転写ニップに向けてコピー用紙が送り出される。
【0043】
次に、転写ユニット32の2次転写ニップで、2次転写バイアスが印加され中間転写ベルト32a上の前記フルカラーのトナー像が用紙に静電気力により転写された上、定着ユニット33の定着ニップに送られる。そこで、定着ベルト33cと加圧ローラ33dによって熱と圧力が加えられ、用紙に担持された未定着のトナー像が用紙に定着される。このように、用紙にトナー像が定着された後、排紙ローラ対63が回転することによって用紙が排紙トレイ50上に排紙される。
【0044】
また、両面モードが選択されて両面コピーを行う場合は、切替爪65で搬送路が切り替えられ、片面に画像が定着済みの用紙を反転搬送路61の上部搬送路67に一時的にストックした後、反転搬送ローラ対66でスイッチバック式に進行方向が反転され、搬送ローラにより反転搬送路61を搬送されて行き、レジストローラ対62の手前に再給紙され、前記画像形成動作と同様に裏面側の画像形成(印刷)が行われる。
【0045】
なお、感光体ドラムY,M,C,K上の残留トナーは、各クリーニング手段でクリーニングされ、その後、帯電手段によって直流に交流成分が重畳されたバイアスが印加され除電と同時に一様に帯電される。また、中間転写ベルト32a上の残留トナーは、クリーニング装置32hによってクリーニングされて、次の画像形成動作に備えられる。
【0046】
(放熱手段)
次に、カラー複写機1の放熱手段について図2〜図6を参照して説明する。
カラー複写機1の放熱手段は、図3、4等に示すように、前述の排紙トレイ50に設けられた2つの放熱口R1,R2から主に構成された自然対流による放熱手段である。
この排紙トレイ50は、図3に示すように、画像形成部3のトナーボトル31Y,31M,31C,31Kの直上に設けられており、上面となる排紙トレイ50の表面には、凸部51及び凹部52、53が形成されている。
【0047】
この凸部51は、用紙の排紙方向の中央線に沿って馬の背状に周囲の表面より所定幅だけ高くなっており(図3、4等参照)、用紙の先端を案内できるようにその頂部がなだらかな面となっていると共に、排紙口64側に用紙の排紙方向に沿って傾斜する傾斜面51aを有している。また、排紙トレイ50は、この凸部51で区画されて残りが2つの凹部52,53となっている。
そして、凹部52,53は、それぞれ周囲の表面より窪んだ一番低い部分に、平らな底面52a,53aを有し、この底面52a,53aに放熱手段である放熱口R1,R2が開口している。
【0048】
このため、図5、6に示すように、用紙が排紙トレイ50上に排紙されて排紙トレイ50に用紙が積層されていっても、用紙により放熱口R1,R2が塞がれることがなく、自然対流でも十分に画像形成部3等で発生した熱を外気に放熱することができる。また、カラー複写機1のユーザが、用紙の束を手に取る際にも、凹部52が形成されているため、用紙の束の下に手を入れることができ、出力した用紙を排紙トレイ50から容易に取り出すことができる。
【0049】
なお、凸部51を後述の可動式凸部51’(図11、12参照)に変更し、可動式凸部51’以外のその他の排紙トレイ50の表面を凹部として、その表面に放熱口を設けてもよく、その場合でも前述の放熱手段と同様に用紙により放熱口が塞がれることがなく、自然対流でも十分に画像形成部3等で発生した熱を外気に放熱することができるようにすることができる。
【0050】
次に、図7〜9を用いて、放熱口R1,R2に取り付けられた格子について説明する。
放熱口R1,R2には、ユーザの手が誤って入ってしまうことや、装置本体10内に外部から異物が入ってしまうことを防ぐため、格子Lが嵌め込まれており、この格子Lは、安全規格上放熱口R1,R2が機器外装の開口とならないようにするため、格子の開口孔の最大長X(格子の開口孔の対角線の内寸法の長さ:図7参照)が5mm以下となるように定められている。このため、放熱口R1,R2の内部の部品の材質等が制限されたり、内部部品によって放熱口R1,R2を開口することができなかったりすることがない。よって、設計の自由度が高まり、コンパクトな装置設計をする際に有利となる。
【0051】
また、放熱口R1,R2は、凹部52、53のそれぞれ周囲の表面より窪んだ平らな底面52a,53aに開口していると共に、前記の格子Lが嵌め込まれているので、放熱するのに必要な開口面積を確保することができるだけでなく、図9に示すように、ユーザのプリントアウト時の通常の視線である正面の排紙トレイ50の斜め上方から見た場合、開口内部が目立たなくなりデザイン上見栄えがよい。
【0052】
次に、図10に、格子Lの変形例としてスリットSを示す。このスリットSは、スリット幅Wが1mm以下となるように定められており、格子Lと同様に放熱口R1,R2が、安全規格上機器外装の開口とならない。よって、放熱口R1,R2の内部の部品の材質等が制限されたり、内部部品によって放熱口R1,R2を開口することができなかったりすることがなく、設計の自由度が高まり、コンパクトな装置設計をする際に有利となる。また、ユーザの視線において、開口内部が目立たなくなりデザイン上見栄えがよい。
【0053】
以上のように、実施の形態1に係るカラー複写機1の放熱手段によれば、排紙トレイ50表面に凸部51及び凹部52、53を形成し、この凹部52、53のそれぞれの平らな底面52a,53aに放熱口R1,R2を設けているので、用紙が排紙トレイ50上に排紙されても、用紙により放熱口R1,R2が塞がれることがなく、自然対流でも十分に画像形成部3等で発生した熱を外気に放熱することができる。
【0054】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る画像形成装置について図11、12を用いて説明する。
実施の形態2に係る画像形成装置の一例として示すカラー複写機1’は、前述のカラー複写機1と相違する点は、放熱手段、及び放熱手段に関連する排紙部5’の排紙トレイ50’だけであるので、相違部分についてのみ説明し、その他のカラー複写機1と同一構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
このカラー複写機1’の放熱手段は、図11に示すように、排紙トレイ50’に設けられた1つの放熱口R’から主に構成された自然対流による放熱手段である。
この排紙トレイ50’には、図11、12に示すように、周囲の表面から上方に突出した位置と周囲の表面と面一となる位置とに可動自在(周囲の表面から突出又は周囲の表面と面一自在)に構成された可動式凸部51’が設けられており、可動式凸部51’を上方に突出させた状態において、その内部となる図中の×印部分が放熱口R’となっている。
【0056】
この放熱口R’には、図示しないが、前述の格子LやスリットSと同等の部材が嵌め込まれており、放熱するのに必要な開口面積を確保すると共に、ユーザの手が誤って入ってしまうことや、装置本体10内に外部から異物が入ってしまうことを防ぐことができるようになっている。
【0057】
そのため、実施の形態2に係る画像形成装置の放熱手段によれば、可動式凸部51’を突出させることにより、排紙トレイ50’の周囲の表面から高くして他の部分と段差を付けることができるので、排紙した用紙で可動式凸部51’の直下に設けた放熱口R’が塞がれることがなく、画像形成部3で発生する熱を放熱口R’から自然対流により効率よく放熱することができる。また、搬送時などの画像形成部3の熱を外気に放熱する必要がない場合には、図12に示すように、可動式凸部51’を収納して放熱口R’を塞ぐことができ、粉塵などが装置本体内部に入ることを防ぐことができる。
【0058】
以上のように、この発明の実施の形態に係る画像形成装置として、電子写真方式を利用した4連タンデム型の中間転写方式の胴内排紙タイプのカラー複写機を例に挙げて説明したが、必ずしもこのようなものに限られず、複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機等の一般的な画像形成装置において、画像形成部などの熱を発生させる部位の上方に装置本体を覆うように排紙トレイを設けているような設置スペースの省スペース化を図った画像形成装置には、本発明を適用することができる。
【0059】
そして、実施の形態に係る画像形成装置の説明における画像読取部2、画像形成部3、給紙部4、排紙部5、用紙搬送路6などは、あくまでも一例を示したものであって、他の公知の装置・手段などの構成を採用することができる。その場合でも、前記課題に対して同様の作用効果を奏することは明らかである。また、図面で示した各構成部材の形状や構造等も、あくまでも好ましい一例を示すものであり、特許請求の範囲内で適宜設計変更が可能であることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0060】
1 カラー複写機(画像形成装置)
10 装置本体
3 画像形成部
5,5’ 排紙部
50,50’ 排紙トレイ
51 凸部
51a 傾斜面
51’ 可動式凸部
52,53 凹部
52a,53a 凹部の底面
R1,R2,R’ 放熱口
L 格子
S スリット
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【特許文献1】特開2007−148102号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部の上方に排紙トレイが設けられている画像形成装置の放熱手段であって、
前記排紙トレイの表面に凸部及び凹部が形成され、この凹部に前記画像形成部の熱を外気に放熱する放熱口が開口していることを特徴とする画像形成装置の放熱手段。
【請求項2】
前記凸部は、排紙口側に排紙方向に沿って下向きに傾斜する傾斜面を有し、排紙方向に沿って馬の背状に周囲の表面より高くなっていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の放熱手段。
【請求項3】
前記凸部は、前記排紙トレイの周囲の表面から上方に突出した位置と、周囲の表面と面一となる位置とに可動自在となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置の放熱手段。
【請求項4】
前記凹部は、周囲の表面より窪んだ平らな底面を有し、この底面に前記放熱口が開口していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置の放熱手段。
【請求項5】
画像形成部の上方に排紙トレイが設けられている画像形成装置の放熱手段であって、
前記排紙トレイの周囲の表面から上方に突出した位置と、周囲の表面と面一となる位置とに可動自在に構成された可動式凸部が設けられ、この可動式凸部の内側に前記画像形成部の熱を外気に放熱する放熱口が開口していることを特徴とする画像形成装置の放熱手段。
【請求項6】
前記放熱口は、開口孔の最大長が5mm以下の格子状、又は、開口幅が1mm以下のスリット状となっていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置の放熱手段。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の放熱手段を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−63372(P2012−63372A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197258(P2010−197258)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】