説明

画像形成装置及びこれに用いるプロセスカートリッジ

【課題】 記憶手段に記憶された特性データが、装置本体側のデータと一致するか否かを判別する必要や、記憶手段に余分な判別データを記憶させる必要がなく、記憶手段の記憶容量を有効に利用することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】 記憶手段には、画像形成動作に必要な特性データ群を複数保持し、画像形成装置本体は、前記プロセスカートリッジが装着されたときに、当該プロセスカートリッジに設けられた記憶手段に記憶された複数の特性データ群のうち、常に、特定の領域に記憶された特性データ群を読み出す読出手段を備えるように構成して課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子写真方式を採用したプリンターや複写機等の画像形成装置及びこれに用いるプロセスカートリッジに関し、特に、プロセスカートリッジに記憶手段を設け、当該記憶手段に記憶された特性データに基づいて画像形成パラメータを設定する画像形成装置及びこれに用いるプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特許第3412578号公報
【0003】
従来、この種の電子写真方式を採用したプリンターや複写機等の画像形成装置においては、像担持体としての感光体ドラムの表面を帯電器によって所定の電位に帯電した後、画像情報に応じて画像露光を施して静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置によって顕像化することによりトナー像として、当該トナー像を直接転写用紙上に転写定着したり、中間転写体を介して転写用紙上に転写定着することで、画像を形成するように構成されている。
【0004】
かかる画像形成装置では、感光体ドラムや中間転写体等を一体的に構成してプロセスカートリッジとし、感光体ドラムや中間転写体が寿命に達した場合などに、プロセスカートリッジを新しいものと交換することによって、メンテナンス性を向上させるように構成されている。
【0005】
また、上記プロセスカートリッジには、識別用のメモリー装置を設け、当該識別用のメモリー装置に感光体ドラムの種類や帯電電位、プリント枚数、あるいは画像形成特性等の特性データを格納するようになっている。そして、上記プロセスカートリッジを交換した場合など、当該プロセスカートリッジに設けられた識別用のメモリー装置に格納された特性データと、画像形成装置本体に予め記憶された特性データとが異なる場合には、プロセスカートリッジに記憶された特性データを読み出す必要がある。
【0006】
このように、プロセスカートリッジ等に識別用のメモリー装置を設けた画像形成装置において、プロセスカートリッジ等を交換した場合でも画質の変動を防止する技術としては、例えば、特許第3412578号公報に開示されているものがある。
【0007】
この特許第3412578号公報に係る画像形成装置は、画像形成処理における所定機能を行う1または複数のユニット部材が、画像形成装置本体に着脱自在に設けられており、前記ユニット部材は、自身の特性を示す特性データを記憶した記憶手段を有しており、前記画像形成装置本体は、前記記憶手段に記憶されている前記特性データに基づいて画像形成処理を行うように構成した画像形成装置において、前記画像形成装置本体は、設けられるユニット部材に関する基準特性データを格納する手段を有し、前記記憶手段は、記憶している特性データが前記基準特性データに一致するか否かを示す判別データを記憶しており、該判別データにより一致しないことを検出した場合に、前記画像形成装置本体は、前記特性データを読み出すように構成したものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来技術の場合には、次のような問題点を有している。すなわち、上記特許第3412578号公報に係る画像形成装置の場合、画像形成装置本体は、設けられるユニット部材に関する基準特性データを格納する手段を有し、前記ユニット部材に設けられた記憶手段は、記憶している特性データが前記基準特性データに一致するか否かを示す判別データを記憶しており、該判別データにより一致しないことを検出した場合に、前記画像形成装置本体は、前記特性データを読み出すように構成したものであるため、記憶手段には、記憶している特性データが、装置本体側の基準特性データに一致するか否かを示す判別データを記憶させておく必要がある。
【0009】
そのため、上記画像形成装置の場合には、ユニット部材に設けられた記憶手段から特性データを読み出す際に、まず、記憶手段に記憶された判別データによって、当該記憶手段に記憶されている特性データが、装置本体側の基準特性データに一致するか否かを判別する必要があり、その分だけ判別処理が煩雑となるばかりか、記憶手段に判別データを記憶させる分だけ余分な記憶容量が必要となるという問題点を有していた。
【0010】
そこで、この発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、プロセスカートリッジに記憶手段を設け、当該記憶手段に特性データを記憶させるように構成した画像形成装置において、前記記憶手段に記憶された特性データが、装置本体側のデータと一致するか否かを判別する必要がなく、画像形成ユニットの交換時における煩雑な処理が不要となるばかりか、記憶手段に余分な判別データを記憶させる必要がなく、記憶手段の記憶容量を有効に利用することが可能な画像形成装置及びこれに用いるプロセスカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載された発明は、画像形成装置本体に着脱可能に構成され、画像形成機能部材によって画像形成動作を実行するプロセスカートリッジと、前記プロセスカートリッジに設けられた画像形成機能部材の特性データを記憶保持する記憶手段とを備え、前記プロセスカートリッジの記憶手段に記憶された特性データを読み出して画像形成動作を実行する画像形成装置において、
前記記憶手段には、画像形成動作に必要な特性データ群を複数保持し、前記画像形成装置本体は、前記プロセスカートリッジが装着されたときに、当該プロセスカートリッジに設けられた記憶手段に記憶された複数の特性データ群のうち、常に、特定の領域に記憶された特性データ群を読み出す読出手段を備えるように構成したことを特徴とする画像形成装置である。
【0012】
また、請求項2に記載された発明は、前記複数の特性データ群のうち、当該画像形成装置で読み出されない領域のデータ群は、画像形成装置のプロセス速度、使用環境条件又は使用形態のうちの少なくとも1つが異なる特性データ群であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
【0013】
さらに、請求項3に記載された発明は、画像形成動作を実行する画像形成機能部材と、前記画像形成機能部材の特性データを記憶保持する記憶手段とを備え、画像形成装置本体に着脱可能に構成されたプロセスカートリッジにおいて、
前記記憶手段には、画像形成動作に必要な特性データ群を複数保持し、前記プロセスカートリッジが画像形成装置本体に装着されたときに、当該プロセスカートリッジに設けられた記憶手段に記憶された複数の特性データ群のうち、常に、特定の領域に記憶された特性データ群が読み出されるように構成したことを特徴とするプロセスカートリッジである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、プロセスカートリッジに記憶手段を設け、当該記憶手段に特性データを記憶させるように構成した画像形成装置において、前記記憶手段に記憶された特性データが、装置本体側のデータと一致するか否かを判別する必要がなく、画像形成ユニットの交換時における煩雑な処理が不要となるばかりか、記憶手段に余分な判別データを記憶させる必要がなく記憶容量を有効に利用できることが可能な画像形成装置及びこれに用いるプロセスカートリッジを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係るプロセスカートリッジを適用した画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターを示すものであり、図3はこの発明の実施の形態1に係るプロセスカートリッジを適用した画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターの画像形成部を示すものである。尚、図3中の矢印は、各回転部材の回転方向を示している。
【0017】
このフルカラープリンター01は、図2及び図3に示すように、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)用の各感光体ドラム(像担持体)11, 12, 13, 14を有する画像形成ユニット1, 2, 3, 4と、これら感光体ドラム11, 12, 13, 14に接触又は近接する一次帯電用の帯電ロール(帯電手段)21, 22, 23, 24と、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のレーザ光31, 32, 33, 34を照射して静電潜像を書き込む図2に示すレーザ光学ユニット(潜像書き込み手段)03と、現像装置(現像手段)41, 42, 43, 44と、上記4つの感光体ドラム11, 12, 13, 14のうちの2つの感光体ドラム11, 12に接触する第1の一次中間転写ドラム(中間転写体)51及び他の2つの感光体ドラム13, 14に接触する第2の一次中間転写ドラム(中間転写体)52と、上記第1、第2の一次中間転写ドラム51, 52に接触する二次中間転写ドラム(中間転写体)53と、この二次中間転写ドラム53に接触する最終転写ロール(転写部材)60とで、その主要部が構成されている。
【0018】
感光体ドラム11, 12, 13, 14は、図3に示すように、共通の接平面M を有するように一定の間隔をおいて互いに平行に配置されている。また、第1の一次中間転写ドラム51及び第2の一次中間転写ドラム52は、各回転軸が該感光体ドラム11, 12, 13, 14軸に対し平行かつ所定の対称面を境界とした面対称の関係にあるように配置されている。さらに、二次中間転写ドラム53は、該感光体ドラム11, 12, 13, 14と回転軸が平行であるように配置されている。
【0019】
各色毎の画像情報に応じた信号は、図示しない画像処理ユニットによりラスタライジングされて図2に示すレーザ光学ユニット03に入力される。このレーザ光学ユニット03では、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のレーザ光31, 32, 33, 34が画像情報に応じて変調され、対応する色の感光体ドラム11, 12, 13, 14に照射されて静電潜像が書き込まれる。
【0020】
上記各感光体ドラム11, 12, 13, 14の周囲では、周知の電子写真方式による各色毎の画像形成プロセスが実行される。まず、上記感光体ドラム11, 12, 13, 14としては、例えば、直径20mmのOPC感光体を用いた感光体ドラムが用いられ、これらの感光体ドラム11, 12, 13, 14は、例えば、95mm/secの回転速度で回転駆動される。上記感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面は、図3に示すように、接触型帯電手段としての帯電ロール21, 22, 23, 24に、約-800VのDC電圧を印加することによって、例えば約-300V程度に帯電される。なお、上記接触型の帯電手段としては、ロールタイプのもの、フィルムタイプのもの、ブラシタイプのもの等が挙げられるが、どのタイプのものを用いても良い。この実施の形態では、近年、電子写真装置で一般に使用されている帯電ロールを採用している。また、感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面を帯電させるために、この実施の形態では、DCのみ印加の帯電方式をとっているが、AC+DC印加の帯電方式を用いても良い。
【0021】
その後、感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面には、露光手段としてのレーザ光学ユニット03によってイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応したレーザ光31, 32, 33, 34が照射され、各色毎の入力画像情報に応じた静電潜像が形成される。感光体ドラム11, 12, 13, 14は、レーザ光学ユニット03で静電潜像が書き込まれた際に、その画像露光部の表面電位は-60 V以下程度にまで除電される。
【0022】
また、上記感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面に形成されたイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応した静電潜像は、対応する色の現像装置41, 42, 43, 44によって現像され、感光体ドラム11, 12, 13, 14上にイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像として可視化される。
【0023】
この実施の形態では、現像装置41, 42, 43, 44として、磁気ブラシ接触型の二成分現像方式を採用しているが、この現像方式に限定されるものではなく、一成分現像方式や非接触型の現像方式など、他の現像方式においてもこの発明を充分に適用することができることは勿論である。
【0024】
現像装置41, 42, 43, 44には、それぞれ色の異なったイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)色のトナーと、キャリアからなる二成分現像剤が充填されている。これらの現像装置41, 42, 43, 44は、図2に示すトナーカートリッジ04Y,04M,04C,04K からトナーが補給されると、この補給されたトナーは、図3に示すように、オーガー404 で充分にキャリアと攪拌されて摩擦帯電される。現像ロール401 の内部には、複数の磁極を所定の角度に配置したマグネットロール(不図示)が固定した状態で配置されている。この現像ロール401 に現像剤を搬送するパドル403 によって、当該現像ロール401 の表面近傍に搬送された現像剤は、現像剤量規制部材402 によって現像部に搬送される量が規制される。この実施の形態では、上記現像剤の量は、30〜50g/m2 であり、また、このとき現像ロール401 上に存在するトナーの帯電量は、概ね-20 〜35μC/g 程度である。
【0025】
上記現像装置41, 42, 43, 44で使用されるトナーとしては、次式で規定される形状係数MLS2が100〜140、例えば、MLS2=130程度のもので、平均粒径が3μm〜10μmの所謂" 球形トナー" が用いられる。
MLS2={(トナー粒子の絶対最大長)2 )}
/{(トナー粒子の投影面積)×π×1/4×100}
【0026】
上記現像ロール401 上に供給されたトナーは、マグネットロールの磁力によって、キャリアとトナーで構成された磁気ブラシ状となっており、この磁気ブラシが感光体ドラム11, 12, 13, 14と接触している。この現像ロール401 にAC+DCの現像バイアス電圧を印加して、現像ロール401 上のトナーを感光体ドラム11, 12, 13, 14上に形成された静電潜像に現像することにより、トナー像が形成される。この実施の形態では、現像バイアス電圧はACが4 kHz、1.5 kVppで、DCが-230V程度である。
【0027】
次に、上記各感光体ドラム11, 12, 13, 14上に形成されたイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像は、第1の一次中間転写ドラム51及び第2の一次中間転写ドラム52上に、静電的に二次転写される。感光体ドラム11, 12上に形成されたイエロー(Y)及びマジェンタ(M)色のトナー像は、第1の一次中間転写ドラム51上に、感光体ドラム13, 14上に形成されたシアン(C)及びブラック(K)色のトナー像は、第2の一次中間転写ドラム52上に、それぞれ転写される。従って、第1の一次中間転写ドラム51上には、感光体ドラム11または12のどちらから転写された単色像と、感光体ドラム11及び12の両方から転写された2色のトナー像が重ね合わされた二重色像が形成されることになる。また、第2の一次中間転写ドラム52上にも、感光体ドラム13,14 から同様な単色像と二重色像が形成される。
【0028】
上記第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 上に感光体ドラム11,12,13,14 からトナー像を静電的に転写するために必要な表面電位は、+250〜500 V程度である。この表面電位は、トナーの帯電状態や雰囲気温度、湿度によって最適値に設定されることになる。この雰囲気温度や湿度は、図2に示すように、雰囲気温度及び湿度を検出する環境センサによって検出される。上述のように、トナーの帯電量が-20 〜35μC/g の範囲内にあり、常温常湿環境下にある場合には、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 の表面電位は、+380V程度が望ましい。
【0029】
この実施の形態で用いる第1、第2の一次中間転写ドラム51, 52は、例えば、外径が42mmに形成され、抵抗値は108 Ω程度に設定される。第1、第2の一次中間転写ドラム51, 52は、単層、あるいは複数層からなる表面が可撓性、もしくは弾性を有する円筒状の回転体であり、一般的にはFeやAl等からなる金属製コアとしての金属パイプの上に、導電性シリコーンゴム等で代表される低抵抗弾性ゴム層(R=102 〜103 Ω)が、厚さ0.1 〜10mm程度に設けられている。更に、第1、第2の中間転写ドラム51, 52の最表面は、代表的にはフッ素樹脂微粒子を分散させたフッ素ゴムを厚さ3 〜100 μmの高離型層(R=105 〜109 Ω)として形成し、シランカップリング剤系の接着剤(プライマ)で接着されている。ここで重要なのは、抵抗値と表面の離型性であり、高離型層の抵抗値がR=105 〜109 Ω程度であり、高離型性を有する材料であれば、特に材料は限定されない。
【0030】
このように第1、第2の一次中間転写ドラム51, 52上に形成された単色又は二重色のトナー像は、二次中間転写ドラム53上に静電的に二次転写される。従って、二次中間転写ドラム53上には、単色像からイエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)色の四重色像までの最終的なトナー像が形成されることになる。
【0031】
この二次中間転写ドラム53上へ第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 からトナー像を静電的に転写するために必要な表面電位は、+600〜1200V程度である。この表面電位は、感光体ドラム11, 12, 13, 14から第1の一次中間転写ドラム51及び第2の一次中間転写ドラム52へ転写するときと同様に、トナーの帯電状態や雰囲気温度、湿度によって最適値に設定されることになる。また、転写に必要なのは、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 と二次中間転写ドラム53との間の電位差であるので、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 の表面電位に応じた値に設定することが必要である。上述のように、トナーの帯電量が-20 〜35μC/g の範囲内にあり、常温常湿環境下であって、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 の表面電位が+380V程度の場合には、二次中間転写ドラム53の表面電位は、+880V程度、つまり第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 と二次中間転写ドラム53との間の電位差は、+500V程度に設定することが望ましい。
【0032】
この実施の形態で用いる二次中間転写ドラム53は、例えば、外径が第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 と同じ42mmに形成され、抵抗値は1011Ω程度に設定される。また、上記二次中間転写ドラム53も第1、第2の一次中間転写ドラム51, 52と同様、単層、あるいは複数層からなる表面が可撓性、もしくは弾性を有する円筒状の回転体であり、一般的にはFeやAl等からなる金属製コアとしての金属パイプの上に、導電性シリコーンゴム等で代表される低抵抗弾性ゴム層(R=102 〜103 Ω)が、厚さ0.1 〜10mm程度に設けられている。更に、二次中間転写ドラム53の最表面は、代表的にはフッ素樹脂微粒子を分散させたフッ素ゴムを厚さ3 〜100 μmの高離型層として形成し、シランカップリング剤系の接着剤(プライマ)で接着されている。ここで、二次中間転写ドラム53の抵抗値は、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 よりも高く設定する必要がある。そうしないと、二次中間転写ドラム53が第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 を帯電してしまい、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 の表面電位の制御が難しくなる。このような条件を満たす材料であれば、特に材料は限定されない。
【0033】
次に、上記二次中間転写ドラム53上に形成された単色像から四重色像までの最終的なトナー像は、最終転写ロール60によって、用紙搬送路を通る転写用紙P上に3次転写される。この転写用紙Pは、図2に示すように、給紙カセット91から紙送り工程を経てレジストローラ90を通過し、二次中間転写ドラム53と転写ロール60のニップ部に送り込まれる。この最終転写工程の後、転写用紙101 上に形成された最終的なトナー像は、定着器70によって熱及び圧力で定着され、フルカラープリンター01の上部に設けられた排出トレイT上に排出され、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0034】
最終転写ロール60は、例えば、外径が20mmに形成され、抵抗値は108 Ω程度に設定される。この最終転写ロール60は、例えば、金属シャフトの上にウレタンゴム等からなる被覆層を設け、その上に必要に応じてコーティングを施して構成されている。最終転写ロール60に印加される電圧は、雰囲気温度、湿度、用紙の種類(抵抗値等)等によって最適値が異なり、概ね+1200 〜5000V程度である。この実施の形態では、定電流方式を採用しており、常温常湿環境下で約+10 μAの電流を通電して、ほぼ適正な転写電圧(+1600〜2000V) を得ている。
【0035】
また、上記転写用紙Pの両面に画像を形成する場合には、図2に示すように、片面に画像が形成された転写用紙Pをそのまま排出トレイT上に排出せずに、表裏を反転した状態で転写用紙Pを両面用の用紙搬送路07を介して、当該転写用紙Pを再度転写部へと搬送し、転写用紙Pの裏面に画像が形成される。
【0036】
なお、図2中、符号08は図示しない手差しトレイから供給される転写用紙Pを搬送する給紙ロール、09は制御回路、10は電源回路をそれぞれ示している。
【0037】
ところで、この実施の形態では、画像形成装置本体に着脱可能に構成され、画像形成機能部材によって画像形成動作を実行するプロセスカートリッジと、前記プロセスカートリッジに設けられた画像形成機能部材の特性データを記憶保持する記憶手段とを備え、前記プロセスカートリッジの記憶手段に記憶された特性データを読み出して画像形成動作を実行する画像形成装置において、前記記憶手段には、画像形成動作に必要な特性データ群を複数保持し、前記画像形成装置本体は、前記プロセスカートリッジが装着されたときに、当該プロセスカートリッジに設けられた記憶手段に記憶された複数の特性データ群のうち、常に、特定の領域に記憶された特性データ群を読み出す読出手段を備えるように構成されている。
【0038】
また、この実施の形態では、前記複数の特性データ群のうち、当該画像形成装置で読み出されない領域のデータ群は、画像形成装置のプロセス速度、使用環境条件又は使用形態のうちの少なくとも1つが異なる特性データ群であるように構成されている。
【0039】
さらに、この実施の形態では、画像形成動作を実行する画像形成機能部材と、前記画像形成機能部材の特性データを記憶保持する記憶手段とを備え、画像形成装置本体に着脱可能に構成されたプロセスカートリッジにおいて、前記記憶手段には、画像形成動作に必要な特性データ群を複数保持し、前記プロセスカートリッジが画像形成装置本体に装着されたときに、当該プロセスカートリッジに設けられた記憶手段に記憶された複数の特性データ群のうち、常に、特定の領域に記憶された特性データ群が読み出されるように構成されている。
【0040】
すなわち、この実施の形態に係るフルカラープリンタ01では、図4に示すように、メンテナンス性を向上させるため、現像装置41, 42, 43, 44を除いた感光体ドラム11, 12, 13, 14や中間転写ドラム51,52,53等からなるプロセスカートリッジ02が一体的にユニット化されており、当該プロセスカートリッジ02は、プリンター本体100 に対して着脱自在に構成されている。そして、上記プロセスカートリッジ02は、感光体ドラム11, 12, 13, 14等が寿命に達した場合など、使用済みのプロセスカートリッジ02をプリンター本体100 から取り出して、新たなプロセスカートリッジ02と交換可能となっている。
【0041】
上記プロセスカートリッジ02には、図4に示すように、例えば、当該プロセスカーリッジ02の上部に、記憶手段としてのNVRAM等からなる記憶素子101 が設けられている。この記憶素子101 は、プロセスカートリッジ02をプリンター本体100 の所定位置に装着した状態で、後述するように、プリンター本体100 の制御回路とコネクタを介して電気的に接続され、プリンター本体100 側の制御回路によって、記憶素子101 に記憶された特性データを読み出すことが可能となっている。なお、上記記憶素子101 とプリンター本体100 の制御回路とは、必ずしもコネクタ等を介して有線で電気的に接続する必要はなく、記憶素子101 と無線で通信を行うことによって、当該記憶素子101 に記憶された特性データの読出し等を行うように構成しても良い。
【0042】
また、上記記憶素子101 には、プロセスカートリッジ02が装着されるプリンター01に関する特性データのみではなく、当該プリンター01と同時又は今後開発が予定されている一連の" ファミリー" 系列のプリンターに関する特性データなどが、予め記憶されている。
【0043】
更に説明すると、上記フルカラープリンター01が" Aタイプ" のマシンであるとした場合、記憶素子101 には、図1に示すように、当該" Aタイプ" のマシンであるフルカラープリンター01に関する特性データを含む「データ1」が記憶されているのは勿論のこと、当該記憶素子101 には、当該" Aタイプ" のマシンであるフルカラープリンター01と同時に開発されて製品化されている他の" Bタイプ" のマシンであるフルカラープリンター01に関する特性データを含む「データ2」102 、更には、今後開発される予定の系列の" Cタイプ" 及び" Dタイプ" ・・・のマシンであるフルカラープリンター01に関する特性データを含む 「データ3」102 などからなる、複数の特性データを含むデータ群1021 、1022 、1023 ・・・が記憶されている。
【0044】
そして、上記記憶素子101 に記憶された特性データを含むデータ群1021、1022、1023・・・は、図5に示すように、当該記憶素子101 が装着されたプロセスカートリッジ02が、プリンター本体100 に装着された状態で、当該プリンター本体100 の制御回路に設けられた読出手段としての機能を兼ねたCPU103 によって、いずれか1つの特性データを含むデータ群1021、1022、1023・・・のみが読み出されるように構成されている。上記CPU103 は、当該プリンター本体100 に指定された記憶素子101 の特定のアドレスに記憶された特性データを含むデータ群1021、1022、1023・・・のみを読み出すようになっている。つまり、上記フルカラープリンター01が" Aタイプ" のマシンであるとした場合には、当該フルカラープリンター01のプリンター本体100 にプロセスカートリッジ02が装着された状態で、プリンター本体100 のCPU103 は、記憶素子101 の特定のアドレス、即ち、" Aタイプ" のマシン用に記憶された特性データを含むデータ群1021のみを読み出すように設定されている。
【0045】
この時点では、記憶素子101 の他のアドレスに記憶された、他の" Bタイプ" のマシンや、" Cタイプ" のマシン等の特性データは読み出されることはない。
【0046】
また、この実施の形態では、複数の特性データを含むデータ群1021、1022、1023・・・のうち、当該フルカラープリンター01で読み出されない領域のデータ群、1022、1023 ・・・は、フルカラープリンター01のプロセス速度、使用環境条件又は使用形態のうちの少なくとも1つが異なる特性データ群であるように構成されている。例えば、" Bタイプ" のマシン用に記憶された特性データを含むデータ群1022は、例えば、プロセススピードが" Aタイプ" のマシンよりも高速に設定されていたり、逆に低速で画質を優先するように設定されている。また、使用環境条件としては、例えば、" Bタイプ" のマシン用に記憶された特性データを含むデータ群1022は、高標高地用のデータであったり、高温高湿環境下で使用するためのデータであったりする。さらに、使用形態としては、白黒専用の使用であって、白黒の画像の再現性を向上させたり、逆にカラー専用の使用であり、印刷の下ずり刷りのように高画質のカラー画像が要求される場合などがある。
【0047】
上記各データ群102 の内容としては、例えば、図6に示すように、識別ID104 と、プリント枚数等をカウントするカウンタのカウント値CNTR105 と、帯電ロール21, 22, 23, 24に印加する印加電圧の値、感光体ドラム11, 12, 13, 14の帯電電位、感光体ドラム11, 12, 13, 14の回転速度、現像装置41, 42, 43, 44に印加する現像バイアスの直流成分と交流成分の値、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 及び二次中間転写ドラム53に印加する転写バイアスの値、最終転写ロール60に印加する転写バイアスの値などの特性データ106 ,106 ・・・と、当該マシンの製造年月日や製造工場等を示す製造データ107 と、予備の記憶領域108 とが記憶されている。
【0048】
上記記憶素子101 の特定のアドレスに記憶された" Aタイプ" のマシン用の特性データ102 1 としては、上述したように、帯電ロール21, 22, 23, 24に印加する印加電圧の値、感光体ドラム11, 12, 13, 14の帯電電位、感光体ドラム11, 12, 13, 14の回転速度、現像装置41, 42, 43, 44に印加する現像バイアスの直流成分と交流成分の値、第1及び第2の一次中間転写ドラム51,52 及び二次中間転写ドラム53に印加する転写バイアスの値、最終転写ロール60に印加する転写バイアスの値などが挙げられる。これらのデータを温度や湿度等の環境条件に応じてそのまますべて記憶した場合には、記憶素子101 の記憶容量として多大な容量を必要とする。
【0049】
そこで、この実施の形態では、帯電ロールに印加する印加電圧の値等を、温度や湿度等の環境条件に応じてそのまますべて記憶するのではなく、前記帯電手段、前記潜像書き込み手段又は前記現像手段の少なくとも1つに印加するバイアス電圧を決定するバイアス条件の一部を記憶している記憶手段と、前記記憶手段に記憶されたバイアス条件の一部に基づいて、前記帯電手段、前記潜像書き込み手段又は前記現像手段の少なくとも1つに印加する所望のバイアス電圧値を算出する算出手段を備えるように構成されている。
【0050】
また、この実施の形態は、前記記憶手段は、前記帯電手段、前記潜像書き込み手段又は前記現像手段の少なくとも1つに印加するバイアス電圧を決定する上で最小限必要とされる絶対湿度もしくは絶対湿度に相当する値Xiと、当該絶対湿度におけるバイアス電圧値もしくは前記バイアス電圧値に相当する値Viを記憶しているように構成されている。
【0051】
さらに、この実施の形態は、前記算出手段は、前記帯電手段、前記潜像書き込み手段又は前記現像手段の少なくとも1つに印加する所望のバイアス電圧値Vを、前記記憶手段に記憶された絶対湿度もしくは絶対湿度に相当する値Xiと、当該絶対湿度におけるバイアス電圧値もしくは前記バイアス電圧値に相当する値Viに基づいて算出するように構成されている。
【0052】
又、この実施の形態は、前記算出手段は、前記任意の絶対湿度をXとしたとき、Xi<X<Xi+1を満たし、Xiのときのバイアス電圧値をVi、Xi+1のときのバイアス電圧値をVi+1とすると、任意の絶対湿度もしくは絶対湿度に相当する値がXのときの前記帯電手段、前記潜像書き込み手段又は前記現像手段の少なくとも1つに印加するバイアス電圧値もしくはバイアス電圧値に相当する値Vを、V=(Vi+1−Vi)/(Xi+1−Xi)×(X−Xi)+Vi+αに基づいて算出する(αは定数)ように構成されている。
【0053】
すなわち、この実施の形態では、図5に示すように、各画像形成ユニット1, 2, 3, 4の帯電ロール21,22,23,24 に、所定のバイアス電圧を印加する帯電用の帯電電源100 を備えており、当該帯電ロール21,22,23,24 に印加されるバイアス電圧は、読出手段及び制御手段としてのCPU103 によって読み出され制御される。CPU103 は、図示しないROM等に記憶されたプログラムに基づいて、バイアス電圧値を算出したり、画像形成動作を制御するものであり、バイアス電圧値の算出に必要なパラメータ等は、記憶素子101 に記憶されている。また、上記CPU103 には、温度センサ109 及び湿度センサ110 の検出値がデジタル信号に変換された状態で入力されるようになっている。上記温度センサ109 及び湿度センサ110 は、フルカラープリンター01が設置される環境の温度や湿度、当該実施の形態では絶対湿度Xを検出するものであり、例えば、図2に示すように、フルカラープリンター01の内部に配設されている。ここで、絶対湿度とは、空気1m3 の水蒸気の量をグラム数で表したものであり、例えば、絶対湿度センサによって検出される。
【0054】
また、上記記憶素子101 には、CPU103 が帯電ロール21,22,23,24 に印加するバイアス電圧を決定するバイアス条件の一部であって、当該バイアス電圧を算出する上で最小限必要とされるデータ、つまり絶対湿度もしくは絶対湿度に相当する値Xiと、当該絶対湿度におけるバイアス電圧値もしくは前記バイアス電圧値に相当する値Viとが、複数の組で記憶されている。
【0055】
具体的には、絶対湿度Xと、帯電ロール21,22,23,24 のバイアス電圧値Vi との関係を近似すると、例えば、図7に示すように、折れ曲がった3本の一次関数(直線)L1、L2、L3で結ばれた関係を有している。なお、図示の例では、3本の一次関数(直線)L1、L2、L3で近似した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、1〜2本の直線、又は4本以上の直線で近似しても良く、あるいは二次関数等によって近似するように構成しても良い。
【0056】
そこで、この実施の形態では、記憶素子101 に記憶されたパラメータのうち、帯電ロール21,22,23,24 に印加されるバイアス電圧Vを制御するパラメータとして、図5に示すように、絶対温度Xと帯電ロール21,22,23,24 の放電開始電圧Vの値が、4つの組だけ記憶されている。これら4組の絶対温度Xと帯電ロール21,22,23,24 の放電開始電圧Vの値としては、図7に示すように、絶対温度Xと帯電ロール21,22,23,24 の放電開始電圧Vの関係において、開始点P1の絶対温度X1と放電開始電圧V1の組、第1の変曲点P2の絶対温度X2と放電開始電圧V2の組、第2の変曲点P3の絶対温度X3と放電開始電圧V3の組、及び終了点P4の絶対温度X4と放電開始電圧V4の組からなる8つのデータのみが記憶されている。
【0057】
また、上記CPU103 では、温度センサ109 及び湿度センサ110 によって検知された絶対湿度Xの検出値に基づいて、帯電ロール21,22,23,24 に印加するバイアス電圧値Vを算出するにあたり、温度センサ109 及び湿度センサ110 における絶対湿度Xの検出値を求め、当該絶対湿度Xに対応する帯電ロール21,22,23,24 の放電開始電圧Vが、記憶素子101 に記憶されたパラメータ(X1,V1)、(X2,V2)、(X3,V3)、(X4,V4)及び式V=(Vi+1−Vi)/(Xi+1−Xi)×(X−Xi)+Vi+αに基づいて、次のように算出されるように構成されている。
【0058】
1≦X≦X2のとき
V0=(V2−V1)/(X2−X1)×(X−X1)+V1 (1)
2<X≦X3 のとき
V0=(V3−V2)/(X3−X2)×(X−X2)+V2 (2)
3<X≦X4のとき
V0=(V4−V3)/(X4−X3)×(X−X3)+V3 (3)
【0059】
なお、上記実施の形態では、絶対温度X及び帯電ロール21,22,23,24 の放電開始電圧Vの値に基づいて、帯電ロール21,22,23,24 に印加するバイアス電圧値Vを算出する場合について説明したが、記憶素子101 には、絶対温度X及び放電開始電圧Vの値そのものを記憶させておく必要はなく、絶対湿度に相当する値、もしくはバイアス電圧値に相当する値を用いても良いことは勿論である。
【0060】
以上の構成において、この実施の形態に係る画像形成装置では、次のようにして、プロセスカートリッジに記憶手段を設け、当該記憶手段に特性データを記憶させるように構成した画像形成装置において、前記記憶手段に記憶された特性データが、装置本体側のデータと一致するか否かを判別する必要がなく、画像形成ユニットの交換時における煩雑な処理が不要となるばかりか、記憶手段に余分な判別データを記憶させる必要がなく記憶容量を有効に利用できることが可能となっている。
【0061】
すなわち、この実施の形態に係るフルカラープリンター01は、図2乃至図4に示すように、プロセスカートリッジ02がプリンター本体100 に対して着脱自在に構成されており、このプロセスカートリッジ02には、当該プロセスカートリッジ02に装着された画像形成機能部材の特性データ等のデータ102 が記憶された記憶素子101 が装着されている。
【0062】
そして、上記プロセスカートリッジ02を新たなものと交換した場合などには、図5に示すように、プロセスカートリッジ02をプリンター本体100 に装着すると、プリンター本体100 のCPU103 によって、プロセスカートリッジ02の記憶素子101 に記憶された特性データを含むデータ102 のうち、特定のアドレスに記憶されたデータ102 が自動的に読み出される。その際、上記記憶素子101 には、特性データが必要最小限のデータとして記憶されているので、当該記憶素子101 の記憶領域を無駄に消費することがない。
【0063】
そのため、上記CPU103 は、記憶素子101 に記憶された複数のデータ102 を、何ら識別するなどの動作を行うことなく、特定のアドレスに記憶されたデータ102 を読み出して、当該データ102 に基づいて画像形成動作を制御するようになっている。その結果、上記記憶素子101 には、余分な判別データを記憶させる必要がなく記憶容量を有効に利用できることが可能となっている。
【0064】
また、この実施の形態に係るフルカラープリンター01では、図2及び図3に示すように、プリント動作を開始するにあたって、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各画像形成ユニット1, 2, 3, 4において、感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面を帯電ロール21, 22, 23, 24によって所定の電位に帯電した後、当該感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面に、レーザ光学ユニット03によって、画像情報に基づいて各色のレーザ光31, 32, 33, 34を照射して静電潜像を書き込むとともに、当該静電潜像を現像装置41, 42, 43, 44によって対応する色のトナーで現像することにより、フルカラーの画像を形成するようになっている。
【0065】
その際、上記フルカラープリンター01では、感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面を帯電ロール21, 22, 23, 24によって所定の電位に帯電するにあたって、当該帯電ロール21, 22, 23, 24の帯電特性が、環境の絶対湿度に応じて変動する。そのため、このフルカラープリンター01では、感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面を帯電ロール21, 22, 23, 24によって帯電するときに、当該帯電ロール21, 22, 23, 24に印加するバイアス電圧を、絶対湿度に応じて制御する必要がある。
【0066】
そこで、上記実施の形態に係るフルカラープリンター01では、図2に示すように、当該フルカラープリンター01が設置されている環境の絶対湿度Xが、温度センサ109 及び湿度センサ110 によって検出される。これらの温度センサ109 及び湿度センサ110 によって検出された絶対湿度Xは、図5に示すように、デジタル信号に変換された後、CPU103 に入力される。すると、CPU103 は、入力された絶対湿度Xが、X1≦X≦X2、X2<X≦X3、X3<X≦X4のいずれの範囲にあるかを判別し、入力された絶対湿度Xが、X1≦X≦X2の範囲にある場合には、前記(1)式に基づいて、X2<X≦X3の範囲にある場合には、前記(2)式に基づいて、X3<X≦X4の範囲にある場合には、前記(3)式に基づいて、帯電ロール21, 22, 23, 24に印加するバイアス電圧を算出する。
【0067】
いま、入力された絶対湿度Xが、X1≦X≦X2の範囲にあるとすると、前記(1)式が選択され、CPU103 は、記憶素子101 に記憶された絶対温度X及び放電開始電圧値Vの組から、所定のアドレスに記憶されたパラメータ(X1,V1)、(X2,V2)を読出し、次の式(1)に基づいて、帯電ロール21, 22, 23, 24に印加するバイアス電圧である放電開始電圧値V0を算出する。
V0=(V2−V1)/(X2−X1)×(X−X1)+V1 (1)
【0068】
次に、上記CPU103 は、算出された放電開始電圧値V0に基づいて、帯電電源120 によって帯電ロール21, 22, 23, 24に所定の放電開始電圧値V0を印加することによって、感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面を所定の電位に帯電し、プリント動作を実行するようになっている。
【0069】
このように、上記実施の形態では、帯電ロール21, 22, 23, 24に印加すべきバイアス電圧値を、個々の絶対湿度Xに応じて、記憶素子101 にすべて記憶させておく必要がなく、当該記憶素子101 には、図8に示すように、帯電ロール21, 22, 23, 24に印加するバイアス電圧を決定するバイアス条件の一部のみを記憶させておけば良いので、記憶素子101 の記憶容量は、従来に比べて大幅に少なくて済み、記憶素子101 として安価なものを使用することができ、装置のコストダウンが可能となる。
【0070】
また、上記記憶素子101 として記憶容量の少ないものを使用した場合でも、検出された絶対湿度Xに応じて、帯電ロール21, 22, 23, 24に印加すべきバイアス電圧を個々に算出して制御することができるので、個々の絶対湿度Xに応じた最適なバイアス電圧を帯電ロール21, 22, 23, 24に印加することができ、感光体ドラム11, 12, 13, 14の表面電位を環境条件に応じて制御することにより、高画質のフルカラー画像を形成することができる。
【0071】
なお、前記実施の形態では、帯電ロールに印加するバイアス電圧を個々に算出して制御する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、帯電手段、潜像書き込み手段又は現像手段の少なくとも1つに印加するバイアス電圧を決定する際に、同様に適用することができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1はこの発明の実施の形態1に係るプロセスカートリッジを適用した画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンタープロセスカートリッジに設けられた記憶素子を示す模式図である。
【図2】図2はこの発明の実施の形態1に係るプロセスカートリッジを適用した画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターを示す構成図である。
【図3】図3はこの発明の実施の形態1に係るプロセスカートリッジを適用した画像形成装置としてのタンデム型のフルカラープリンターの画像形成部を示す構成図である。
【図4】図4はプロセスカートリッジを示す構成図である。
【図5】図5は制御回路を示すブロック図である。
【図6】図6はデータを示す図表である。
【図7】図7は絶対湿度と帯電ロールの放電開始電圧との関係を示すグラフである。
【図8】図8は記憶素子に記憶されたデータを示す図表である。
【符号の説明】
【0073】
02:プロセスカートリッジ、100:プリンター本体、101:記憶素子、102:データ、103:CPU(読出手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に着脱可能に構成され、画像形成機能部材によって画像形成動作を実行するプロセスカートリッジと、前記プロセスカートリッジに設けられた画像形成機能部材の特性データを記憶保持する記憶手段とを備え、前記プロセスカートリッジの記憶手段に記憶された特性データを読み出して画像形成動作を実行する画像形成装置において、
前記記憶手段には、画像形成動作に必要な特性データ群を複数保持し、前記画像形成装置本体は、前記プロセスカートリッジが装着されたときに、当該プロセスカートリッジに設けられた記憶手段に記憶された複数の特性データ群のうち、常に、特定の領域に記憶された特性データ群を読み出す読出手段を備えるように構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数の特性データ群のうち、当該画像形成装置で読み出されない領域のデータ群は、画像形成装置のプロセス速度、使用環境条件又は使用形態のうちの少なくとも1つが異なる特性データ群であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
画像形成動作を実行する画像形成機能部材と、前記画像形成機能部材の特性データを記憶保持する記憶手段とを備え、画像形成装置本体に着脱可能に構成されたプロセスカートリッジにおいて、
前記記憶手段には、画像形成動作に必要な特性データ群を複数保持し、前記プロセスカートリッジが画像形成装置本体に装着されたときに、当該プロセスカートリッジに設けられた記憶手段に記憶された複数の特性データ群のうち、常に、特定の領域に記憶された特性データ群が読み出されるように構成したことを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−30659(P2006−30659A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210165(P2004−210165)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】