説明

画像形成装置及びステータスページ評価プログラム

【課題】 画像形成装置において、装置の設定状態を出力するステータスページの正当性、特にステータスページ上に出力される印刷枚数のカウンタ値が正しいかどうかについての検証を自動で行って省力化すること。
【解決手段】 画像形成装置が出力するステータスページ上に出力された印刷枚数のカウンタ値が出力部から出力された印刷枚数に合致しているかどうかを検証する枚数値チェック部を有して、ステータスページの正当性の検証を行う。さらに、ステータスページ作成時のメモリの空き容量及び印刷速度を監視して、ステータスページ作成時に問題が発生しているかどうかの監視を自動で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
画像形成装置において、装置の設定状態等を通知するためのステータスページ出力の正当性を検証する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、装置の設定状態等を通知するためのステータスページと呼ばれるページを用紙に出力することが一般的に行われている。ステータスページには、画像形成装置のモデル名、ファームウェアのバージョン番号、言語設定、現地時間設定、搭載メモリ量、ネットワーク設定、インタフェース設定、装着給紙カセット情報、コピー枚数等の印刷設定、画像スキャン時のファイルフォーマットや解像度等のスキャナ設定、印刷枚数のカウンタ情報といった多種多様の画像形成装置の情報が出力される。
【0003】
このステータスページの出力が意図された正しいものであるかどうかについての確認方法について、従来は用紙にステータスページを印刷したものを目視でチェックすることにより行われていた。そのため、例えばステータスページ内の項目毎にデータが変化したものをチェックする場合などは非常に多数の出力についてのチェックが必要となり時間がかかる問題があった。
【0004】
特に画像形成装置での用紙種類(用紙サイズ)毎、印刷モード(白黒、カラー)毎の印刷枚数をデータとして出力するステータスページにおいて、これらの枚数の数値が実際の印刷出力に応じて正しくカウントされているかどうかについての検証を行うには、異なる種類、印刷モード毎の出力を実際に手動で設定して実行し、その後のステータスページに記載された枚数の数値が実行した分だけ正しく増加しているかどうかを目視にて検証しなければならないという問題があった。
【0005】
従来技術として、複数台のプリンタを含むネットワーク印刷システムであって、情報収集のための通信トラフィック量が少なく、かつジョブ情報等を収集させるコンピュータの変更作業も簡単なネットワーク印刷システムを提供する目的で、ネットワーク印刷システムを構成する各プリンタを、指定しておいたスケジュールで、指定しておいたコンピュータにプリンタ状態情報(エラー/ステータス/ジョブレポート)を送信する装置としておくと共に、各プリンタに対して、ネットワーク印刷システム内の同じコンピュータにプリンタ状態情報を送信させるための設定をしておく方法がある(特許文献1参照)。
【0006】
しかし、この方法によっても、画像形成装置が作成するステータスページが意図されたものとなっているかどうか、特にステータスページ中の印刷枚数のカウント値の正当性の検証を自動で行って評価の効率化及び省力化を行うことはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−1128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする課題は、ステータスページ出力可能な画像形成装置において、出力されたステータスページが意図された正しい出力となっているか、特に印刷枚数の値が正しく表示されているかどうかを自動で効率よく検証することができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、装置の設定状態が項目毎に記載されたステータスページを作成して出力可能とするためのステータスページ作成部と、装置が印刷出力する用紙の枚数をカウントする枚数カウンタを有して、前記ステータスページ作成部は、前記枚数カウンタに基づいて前記ステータスページ上に印刷枚数を出力可能であり、前記印刷出力された枚数を計数して、前記ステータスページ上の印刷枚数のカウント値との比較を行って当該カウント値が正しいかどうかをチェックする枚数値チェック部と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の画像形成装置の前記ステータスページ作成部がステータスページの出力を行うたびにメモリの空き容量を監視してメモリリークの発生を検証するメモリ空値監視部を有することを特徴としてもよい。
【0011】
また、本発明の画像形成装置の前記ステータスページ作成部がステータスページの出力を行うたびに印刷出力の時間を記録してステータスページ作成時の印刷速度の監視を行う印刷速度監視部を有することを特徴としてもよい。
【0012】
本発明のステータスページ評価プログラムは、コンピュータに、装置の設定状態が項目毎に記載されたステータスページを作成して出力可能とするためのステータスページ作成機能と、装置が印刷出力する用紙の枚数をカウントする枚数カウンタ機能とを実現させ、前記ステータスページ作成機能は、前記枚数カウンタに基づいて前記ステータスページ上に印刷枚数を出力可能であり、コンピュータに、前記印刷出力された枚数を計数して、前記ステータスページ上の印刷枚数のカウント値との比較を行って当該カウント値が正しいかどうかをチェックする枚数値チェック機能と、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像形成装置は、装置の設定状態が項目毎に記載されたステータスページを作成して出力可能とするためのステータスページ作成部と、装置が印刷出力する用紙の枚数をカウントする枚数カウンタを有して、前記ステータスページ作成部は、前記枚数カウンタに基づいて前記ステータスページ上に印刷枚数を出力可能であり、前記印刷出力された枚数を計数して、前記ステータスページ上の印刷枚数のカウント値との比較を行って当該カウント値が正しいかどうかをチェックする枚数値チェック部と、を有することを特徴とする。
【0014】
このため、ステータスページ上の印刷枚数の値が正しいかどうかについて、これまで目視で行っていた作業を自動で行うことが可能となり、ステータスページの正当性検証の効率化、省力化が可能となる。
【0015】
また、本発明の画像形成装置の前記ステータスページ作成部がステータスページの出力を行うたびにメモリの空き容量を監視してメモリリークの発生を検証するメモリ空値監視部を有することを特徴としてもよい。
【0016】
このため、ステータスページ作成時にメモリリークが発生しているかどうかについて検証可能となる。
【0017】
また、本発明の画像形成装置の前記ステータスページ作成部がステータスページの出力を行うたびに印刷出力の時間を記録してステータスページ作成時の印刷速度の監視を行う印刷速度監視部を有することを特徴としてもよい。
【0018】
このため、ステータスページ作成時に印刷速度の低下が発生しているかどうかについて検証可能となる。
【0019】
本発明のステータスページ評価プログラムは、コンピュータに、装置の設定状態が項目毎に記載されたステータスページを作成して出力可能とするためのステータスページ作成機能と、装置が印刷出力する用紙の枚数をカウントする枚数カウンタ機能とを実現させ、前記ステータスページ作成機能は、前記枚数カウンタに基づいて前記ステータスページ上に印刷枚数を出力可能であり、コンピュータに、前記印刷出力された枚数を計数して、前記ステータスページ上の印刷枚数のカウント値との比較を行って当該カウント値が正しいかどうかをチェックする枚数値チェック機能と、を実現させることを特徴とする。
【0020】
このため、ステータスページ上の印刷枚数の値が正しいかどうかについて、これまで目視で行っていた作業を自動で行うことが可能となり、ステータスページの正当性検証の効率化、省力化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明実施例の画像形成装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明実施例の画像形成装置の動作のフローチャートである。
【図3】本発明実施例の正解データ作成モードとステータスページの評価モードとの説明図である。
【図4】本発明実施例の画像形成装置が出力するステータスページの例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ステータスページの出力が可能な画像形成装置において、出力されたステータスページが意図された正しい出力となっているかどうか、特に印刷枚数の値が正しく表示されているかどうかを自動で効率よく評価することができないという問題をステータスページ上の印刷枚数カウント値についてビットマップパターンマッチングを行うことにより正しいかどうかの検証を行うことにより解決した。
【実施例】
【0023】
本発明実施例の画像形成装置101について以下に説明する。
【0024】
[構成]
図1に本発明実施例の画像形成装置101の機能ブロック図を示す。
【0025】
画像形成装置101は、以下の各機能ブロック、通信I/F(インタフェース)111、データ受信部113、印刷ジョブ制御部115、ステータスページ評価部117、NVRAM119、ディスク制御部121、ディスク123、データ解析部125、描画データ処理部127、描画部129、パネル131、ステータスページ作成部133、メモリ管理部135、システム制御部137、機器情報保持部138、評価シーケンス生成部139、正解ページ入力部140、正解ページ生成部141、枚数カウンタ142、出力部143、印刷エンジン145、枚数値チェック部151、メモリ空値監視部153、印刷速度監視部155を有する。
【0026】
画像形成装置101は、通信I/F111を介して他の画像形成装置である画像形成装置B102や端末装置201と接続されている。
【0027】
また、画像形成装置101は、不図示のコンピュータを有しており、このコンピュータにより各機能ブロック(又は各機能ブロックを示す装置の制御部分)を実現させる。
【0028】
具体的には、コンピュータは、プログラムを実行して演算および/または制御を行う装置である。コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有する。CPU、ROM、RAMおよびインタフェースは、バス、コントローラなどにより相互にデータ通信可能に接続される。
【0029】
CPUは、プログラムに記述された処理を実行し、各機能ブロックを内部に形成する演算処理装置である。また、ROMは、プログラムおよびデータを予め記憶した不揮発性のメモリである。また、RAMは、プログラムを実行する際にそのプログラムおよびデータを一時的に記憶して、作業領域として用いるメモリである。
【0030】
以下に各機能ブロックについて説明する。
【0031】
通信I/F(インタフェース)111は、画像形成装置101とPC(Personal Computer)等の端末装置201や他の画像形成装置(画像形成装置B102)とを接続するための仲介装置である。通信I/F111は、ネットワークインタフェースであってもよいし、その他のUSBインタフェースやパラレルインタフェースであってもよい。
【0032】
データ受信部113は、通信I/F111が受信した印刷データ等をバッファして、印刷データ毎にデータを再構築する機能部である。
【0033】
印刷ジョブ制御部115は、画像形成装置101の印刷ジョブの実行・停止・完了の動作を制御する機能部である。
【0034】
ステータスページ評価部117は、画像形成装置101が生成するステータスページの評価を行う機能部である。正解ページ入力部140が受け付けた意図された正しいステータスページのビットマップデータと、画像形成装置101のステータスページ作成部133が出力したステータスページのビットマップデータを比較評価して、画像形成装置101が出力するステータスページの正当性を評価する。評価の際には、実行日時やファームウェアバージョン番号などの比較しても意味の無い部分を無視領域として指定して当該部分については比較しないとしてもよい。また、指定領域にある数値が所定の範囲内にあるかどうか(又は文字列が指定した文字列の中にあるかどうか)を判断するとしてもよい。当該評価機能のより詳細な項目については、評価シーケンスのスクリプトの説明の項目に後述する。
【0035】
NVRAM(Non Volatile Random Access Memory)119は、不揮発性メモリであり、画像形成装置101の設定情報を記録しておく機能を持つ。NVRAM119に記憶された情報は電源をオフ状態にしても消えることが無く、画像形成装置の設定状態を電源の状態に関係なく持続させることを可能とさせる。NVRAMが記憶する設定情報は、システム制御部137を経由してステータスページ作成部133に渡されて、ステータスページに出力される。
【0036】
ディスク制御部121は、画像形成装置101の二次記憶装置である回転磁気ディスク装置等からなるディスク123に対する情報の読取・書込の制御を行う。
【0037】
ディスク123は、回転磁気ディスク装置等からなる画像形成装置の二次記憶装置である。画像形成装置101の動作に必要なプログラムや、画像データ等を記録保持して、必要時には読み出されて印刷出力等の適宜処理が行われる。
【0038】
データ解析部125は、印刷データ中に含まれるページ記述言語(PDL;Page Description Language)の解析及びPCL(Printer Control Language)の解析を行い、後述の描画データ処理部127、描画部129、出力部143等に必要な動作の指示を行う。
【0039】
描画データ処理部127は、データ解析部125のデータ解析に基づいて、ページ記述言語で記載してある印刷データを中間言語であるディスプレイリストに変換する。
【0040】
描画部129は、描画データ処理部127が変換した中間言語(ディスプレイリスト)で書かれている印刷データを出力部143経由で印刷エンジン145で印刷するためのビットマップデータに変換する。
【0041】
パネル131は、液晶パネル等の表示部とタッチパネルやボタン等の入力部を備えた、ユーザとの間での入出力を行うためのインタフェース装置である。
【0042】
ステータスページ作成部133は、画像形成装置101の設定状態(乃至は設定値)を用紙に出力するためのステータスページを作成する機能部である。ステータスページには、前記したように多種多様の情報が出力されるが、これら設定状態の情報をシステム制御部137を経由して取得する。ステータスページ作成部133が出力するステータスページの例を図4に示す。当該ステータスページでは、画像形成装置のモデル名、ファームウェアバージョン番号、及び機器情報保持部138が保持する、各用紙及び印刷種類毎の印刷枚数について示す。他にも言語設定や、現地時間等の前記した多種項目があるが、ここでは、例としてその一部を表示した。
【0043】
メモリ管理部135は、画像形成装置101の一次記憶装置である主メモリの管理を行う機能部である。
【0044】
システム制御部137は、画像形成装置101の装置全体の制御を行う機能部である。画像形成装置101の設定状態の情報を機器情報保持部138や画像形成装置の各機能部から取得する。取得した情報はステータスページ作成部133に渡されてステータスページとして出力される。
【0045】
機器情報保持部138は、印刷枚数や有効カセット(画像形成装置に装着されて動作可能となっている給紙カセット)等の機器の情報を保持する機能部である。機器情報保持部138が保持する情報はシステム制御部137を介してステータスページ作成部133に渡されて、当該情報がステータスページに出力される。
【0046】
機器情報保持部138は、枚数カウンタ142を有する。
【0047】
枚数カウンタ142は、給紙カセット毎に主要されている用紙の種類及びサイズとその印刷枚数を計数して保持する機能部である。ステータスページ作成部133は、用紙の種類及びサイズ毎に計数された印刷枚数をステータスページ上に出力する場合は、当該情報を枚数カウンタ142から取得して出力する。
【0048】
評価シーケンス生成部139は、ステータスページの評価を行うための一連のシーケンスを生成する機能部である。評価シーケンスは、簡単なスクリプトによって、画像形成装置101の設定状態を変更して、ステータスページの出力を行うように画像形成装置を制御する。
【0049】
前記スクリプトは、例えば以下のような、フォーマットによって行われる。
【0050】
「コマンド、設定項目、設定値」
例えば、給紙カセット1番のサイズをA4に、給紙カセット2番をA3にセットし、それぞれの印刷枚数カウンタ値をゼロにリセットし、給紙カセット1番から用紙を供給して白黒のサンプルページを5枚出力し、給紙カセット2番から用紙を供給して白黒のサンプルページを10枚出力するというスクリプトは、以下のようになる。
【0051】
; command execution
START SCRIPT
SET_CAS1_SIZE A4
SET_CAS2_SIZE A3
SET_CAS1_CNT_VALUE 0
SET_CAS2_CNT_VALUE 0
PRINT_FEED_CAS1 MONOCHROME_SAMPLE 5
PRINT_FEED_CAS2 MONOCHROME_SAMPLE 10
前記のスクリプトの後に以下のステータスページ出力及びステータスページ評価のコマンドを実行する。
【0052】
以下のスクリプトは、次の作業を実行する。ステータスページのモードを印刷枚数カウンタに設定する(図4に示すステータスページ例参照)。次にステータスページを出力する。ステータスページ中のA4白黒カウンタの値が5でなければ、エラーメッセージを発する。ステータスページ中のA3白黒カウンタの値が10でなければ、エラーメッセージを発する。
【0053】
; *** evaluation execution ***
SET_STATUS_PAGE_MODE PRINT_COUNTER
PRINT_STATUS_PAGE
IF(MONOCHROME_A4_MONO_CNT_VALUE!=5) MESSEAGE "A4 MONOCHROME COUNTER VALUE IS WRONG"
IF(MONOCHROME_A3_MONO_CNT_VALUE!=10) MESSEAGE "A4 MONOCHROME COUNTER VALUE IS WRONG"
END SCRIPT
上記のスクリプトでのカウンタ値の比較は、あらかじめ当該カウンタ数値が現れる場所が分かっているので、該当部分のビットマップパターンについて、数値とのマッチングを行って比較する。上記のスクリプトでは、カウンタ値部分についてのみ示したが、他の項目について同様に比較を行ってもよい。その場合に、あらかじめ全ての比較項目に対して正解のビットマップパターンを作成しておいて、ビットマップパターンが一致するかどうかによって評価してもよい。
【0054】
上記のスクリプトを評価シーケンス生成部139がPCL(Printer Control Language)に変換して印刷ジョブ制御部115やシステム制御部137を通して画像形成装置を制御する。
【0055】
上記のスクリプトでは、該当の枚数カウンタについてのみの比較を説明したが、他の出力部分について比較する方法であってももちろんよい。例えばページ全体について正解のビットマップページを作成して評価する方法であってもよい。また、その際にはステータスページ中には、ステータスページ作成日時や、ファームウェアバージョン番号など、印刷又はテストの度に出力結果が異なるため正解ページとの比較をする意味がない項目がある。この場合には、あらかじめこの項目(ビットマップ上の領域)の評価(ビットマップのパターンマッチング)を行わないとする方法をとってもよい。
【0056】
その場合には、例えば前記したスクリプト中に以下のような無視領域設定コマンドを追加する。
【0057】
SET_IGNORE_REGION 710, 750, 1140, 820;(コマンド、無視領域の座標)
この無視領域設定コマンドを正解ページ生成中に追加して、正解ページ自体が無視領域を有するという方法をとってもよい。又、正解ページ生成の際ではなく、評価時に上記無視領域設定コマンドを追加して、評価時に上記領域を無視するという方法をとってもよい。
【0058】
図4にステータスページの例と、そのページ中にあるファームウェアバージョン番号を点線で囲んで、当該領域が上記無視領域(IGNORE_REGION)であることを示す。
【0059】
さらに、上記のように無視領域を設定するのではなく、指定領域内にある数値(又は文字列)が指定した範囲に(指定した複数の文字列内)あるかどうかを判断する方法をとってもよい。例えば装置内温度がステータスページ内に出力される場合では、特定の値ではなく所定の範囲であれば正常と判断されるため、そのような範囲を持った値のチェックが可能となる。
【0060】
例えば、以下のようなコマンドで数値範囲をチェックする。
【0061】
VALUE_CHECK_REGION 710, 750, 1140, 820, VALUE<=500 AND VALUE=>1
上記のコマンドは、上記のXY座標(710, 750, 1140, 820)内にある数値の値が1以上500以下であるかどうかをチェックするコマンドである。
【0062】
又、例えば以下のようなコマンドで文字列の有無をチェックする。
【0063】
STRING_CHECK_REGION 710, 750, 1140, 820, STR("AAA", "AAB", "AAC")
上記のコマンドは、上記のXY座標(710, 750, 1140, 820)内にある文字列が"AAA", "AAB", "AAC"のいずれかであるかどうかをチェックするコマンドである。
【0064】
上記の数値範囲及び文字列比較で一致しない場合は、当該領域を黒く塗りつぶし、一致する場合は当該領域を塗りつぶさないというビットマップデータを出力するという方法をとってもよい。
【0065】
正解ページ入力部140は、画像形成装置101の設定状態に従って、項目毎の正しい設定状態(乃至は設定値)が記載されたステータスページ(以降、正解ページと呼ぶ)の入力を受け付ける。前記正解ページは、例えば、すでにそのステータスページの正当性が検証されている他の画像形成装置である画像形成装置B102(図1)のステータスページ作成部133bにより作成されて、通信I/F111を経由して受け付けるという方法であってもよい。又、端末装置201上で文書作成プログラム等によって作成された正解ページであってもよい。さらに後述の正解ページ生成部141が生成する正解ページであってもよい。この正解ページは、設定項目毎の設定状態(乃至は設定値)が正しいだけでなく、そのフォーマット(設定項目名や設定値の出力位置)についても正しく出力されているものを用いて、ステータスページ作成部133の出力するステータスページのフォーマットの比較をも可能とする。
【0066】
正解ページ生成部141は、評価シーケンス生成部139が生成したシーケンス(前述)に基づいて生成されるステータスページの正しい出力(正解ページ)を生成する機能部である。
【0067】
出力部143は、描画部129でビットマップ化された印刷データを受け取って、実際に印刷を行う機構部である印刷エンジン145に送信して、印刷エンジン145へのデータ送出の制御を行う。
【0068】
印刷エンジン145は、用紙に印刷を行う機構部である。
【0069】
枚数値チェック部151は、出力部143にアクセスして、出力部143が印刷出力した印刷データについて、その用紙の種類(サイズ)及びモード(白黒、カラー)毎にカウントして、実際に印刷出力された印刷枚数を計数する。そのカウント値とステータスページ作成部133が作成したステータスページ上の印刷出力枚数のカウント値を比較して正しいかどうかを検証する
メモリ空値監視部153は、メモリ管理部135にアクセスして、ステータスページの作成毎にメモリの空き容量が一旦ステータスページ作成のために確保されて減り、ステータスページの作成後にメモリが解放されて空き容量が元に戻るのを監視する。ステータスページ作成部133が実行するステータスページ作成の過程において、一旦確保されたメモリが正しく解放されないと、メモリの空き容量が減少する一方でメモリリークが発生することになる。メモリ空値監視部153は、このメモリの空き容量を監視することにより、ステータスページ作成過程においてメモリリークが発生しているかどうかの監視を行う。メモリリークの発生が監視された場合には、パネル131上に表示したり、印刷エンジン145により用紙に出力したりして、ユーザに通知する。
【0070】
印刷速度監視部155は、ステータスページの作成時に印刷速度に問題(印刷速度の低下)が発生しないがどうかを検証する。ステータスページ作成時に生成されたスレッド乃至はプロセスが例えば無用のループ処理を実行してしまったりするために、CPUの処理がそちらに食われてしまい、印刷速度が低下してしまう問題があるが、印刷速度監視部155はこれらに起因する印刷速度の低下が発生していないかどうかを出力部143での印刷データの印刷間隔を計測して前回値と比較することによって印刷速度低下が発生していないかどうかを監視する。印刷速度の低下が見られた場合には、パネル131上に表示したり、印刷エンジン145により用紙に出力したりして、ユーザに通知する。
【0071】
[フローチャート]
本発明実施例の画像形成装置のステータスページ評価の動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0072】
S11:評価シーケンス生成部139は、ステータスページを評価するために、ステータスページに表示する項目の設定状態を変更するためのシーケンスを生成する。例えば、前記したような印刷枚数カウンタをチェックするためのスクリプトに基づいて、そのシーケンスをPCL等で作成する。
【0073】
S13:正解ページ生成部141は、前記評価シーケンスに基づいた正しいステータスページを生成する。生成するステータスページはPDL(ページ記述言語)によって生成されて、その後PDLから中間言語であるDL(ディスプレイリスト)に変換され、さらにBM(ビットマップ)に変換されて保存される。
【0074】
この場合に、印刷枚数について前記スクリプトに用いて正解の枚数のビットマップパターンを作成しておき、当該印刷枚数部分だけについての比較を行うということであってもよい。
【0075】
このPDL→DL→BM変換は、正解ページ生成部141内に組み込まれた変換部により行ってもよい。また、画像形成装置101のデータ解析部125、描画データ処理部127、描画部129を用いて変換を行う方法であってもよい。
【0076】
S11及びS13の正解ページの生成について、図3(A)に説明を示す。この場合正解ページは、評価シーケンスに基づき生成され、ディスク中に圧縮して保存される。
【0077】
S15:評価シーケンス生成部139は、シーケンスに従って画像形成装置101の設定を行う。画像形成装置101の設定は、システム制御部137、印刷ジョブ制御部115等を通して行う。
【0078】
S17:印刷ジョブ制御部115は、前記シーケンスに従い、ステータスページ作成部133にステータスページの作成指示を行う。
【0079】
S19:ステータスページ作成部133は、画像形成装置101の設定情報をシステム制御部137より入手し、それに基づいてステータスページを作成する。ステータスページ作成部133は、ステータスページをPDL形式により生成する。
【0080】
S21:生成されたPDLにより記述されたステータスページは、データ解析部125及び描画データ処理部127により中間言語であるDL(ディスプレイリスト)に変換される。
【0081】
S23:S19でDLに変換されたステータスページは、描画部129によってビットマップ(BM)化される。ビットマップに変換されたステータスページは、ディスク制御部121を経由してディスク123に保存される。
【0082】
上記ビットマップデータを出力部143及び印刷エンジン145を用いて印刷出力する。
【0083】
S25:ステータスページ評価部117は、S13で生成した正解ページのビットマップデータとS23で生成したビットマップデータの比較を行う。
【0084】
S27:S25での比較の結果、ビットマップデータが不一致、特にステータスページ上の印刷枚数のカウンタ値データが不一致であれば、動作をS31に移行する。同印刷枚数のカウンタ値ビットマップデータが一致すれば、動作をS29に移行する。ビットマップデータの比較は被評価物であるステータスページ作成部133が作成したステータスページのビットマップと、正解ページ(乃至は正解値のビットマップパターン)とのパターンマッチングによって行われる。
【0085】
S29:S25でのステータスページの比較結果が一致したので、問題が無かった旨について記録を行う。
【0086】
S31:S25でのステータスページの比較結果が一致しなかったので、不一致点について、問題箇所の記録を行う。
【0087】
S33:メモリ空値監視部153は、メモリの空き容量をメモリ管理部135にアクセスして取得して記録する。また、印刷速度監視部155は、出力部143にアクセスして印刷時間を記録する。
【0088】
S35:メモリ空値監視部153は、シーケンス内のループ中での前回のメモリ空き容量の記録があれば、その値と比較してメモリ空き容量が増加してメモリリークが発生しているかどうかを判断する。また、印刷速度監視部155は、S33での印刷時間の記録を前回の値と比較して印刷時間の速度に大きな遅れがあるかどうかを判断する。これらについて前回の値と大きな違いが有る場合には動作をS37に移行する。問題が無い場合は動作をS39に移行する。
【0089】
S37:問題のあったメモリの空き容量の減少、又は印刷速度の減少を記録する。
【0090】
S39:評価シーケンスでまだ評価が終わっていないシーケンスが残っていれば、S15に動作を移行して、次のシーケンスについて同様にステータスページの評価を繰り返す。次のシーケンスがなければ動作を終了する。
【0091】
S41:S31及びS37で記録された問題点をS41にてパネル131に表示するか又は印刷エンジン145にて用紙に出力する。この両方を行ってもよい。
【0092】
以上の一連の動作により画像形成装置のステータスページの正当性、特にステータスページ上の印刷枚数のカウンタ値の評価、メモリリークの評価、印刷速度の低下が自動で連続的に行われる。
【0093】
[実施例の効果]
画像形成装置が生成するステータスページ上の印刷枚数のカウンタ値が正しいかどうかの評価を自動で可能となる。この方法により従来の目視でステータスページの確認を行っていた方法に比較して、大幅に時間と手間を省くことが可能となり、さらに見落としも無くなる。
【0094】
スクリプトに設定項目と設定値を記載しておくことにより、評価シーケンスが生成されるため、カウンタ値だけでなく多種多様有る画像形成装置の設定項目について、設定値を変化させた条件でのステータスページのチェックが自動で短時間に行えるようになる。
【0095】
ステータスページの評価は、ビットマップ化データでのパターンマッチングにより行われるため、従来の用紙に出力する手間が無くなり用紙の節約となる。
【0096】
ビットマップデータでの評価の際に比較を行わない無視領域を指定可能であるため、日時やファームウェアバージョン番号等の比較する意味のないデータについて、比較が行われてデータが間違っていると誤認してしまうことがない。
【0097】
ビットマップデータでの評価の際に、領域内の数値又は文字列について、指定範囲乃至は指定文字列内にあるかどうかについての比較判断可能なため、例えば装置温度などある範囲であれば正常と判断できるような値についてのデータ検証が可能となる。
【0098】
[その他]
本発明実施例においては、評価シーケンス生成部139、正解ページ生成部141、ステータスページ評価部117、枚数値チェック部151、メモリ空値監視部153、印刷速度監視部155が画像形成装置101中に組み込まれている例について説明したが、上記の評価シーケンス生成部139、正解ページ生成部141、ステータスページ評価部117、枚数値チェック部151、メモリ空値監視部153、印刷速度監視部155(図1に機能ブロック図において、点線で囲まれている機能部)は、画像形成装置101外、例えば通信インタフェースやネットワークインタフェースを通して接続された端末装置201上に搭載されて、画像形成装置101のステータスページ作成部133の評価を行うという形をとってもよい。
【0099】
上記の場合、端末装置201のコンピュータにステータスページ作成部133が有するステータスページ作成機能と、評価シーケンス生成部139が有する評価シーケンス生成機能と、正解ページ生成部141が有する正解ページ生成機能と、ステータスページ評価部117が有するステータスページ評価機能と、枚数値チェック部が有する枚数値チェック機能と、メモリ空値監視部が有するメモリ空値監視機能と、印刷速度監視部が有する印刷速度監視機能とを実現させる。
【0100】
本発明実施例においては、正解ページと画像形成装置が作成するステータスページの比較をビットマップ化した後のパターンマッチングにより行ったが、例えばビットマップ化する前のDL又はPDLの段階で比較評価する方法や、正解ページ及びステータスページ作成部が作成するステータスページをテキストで作成して、フォーマット等に関係なく、設定値についてのみ比較するという方法をとってもよい。この場合、フォーマット等の比較は行うことはできないが、比較評価にかかる時間が大幅に短縮される。
【0101】
又、比較されるデータをテキストではなく、HTML形式やRTF形式によって出力してフォーマットも含めてテキストベースでの比較を行うという方法をとってもよい。
【0102】
また、本発明実施例においては、コンピュータはCPU、RAM及びROMにより構成されるものとしたが、これら構成要素は1つに限らず複数であってもよく、これらの構成要素を配置した制御ボードを単数又は複数用いてもよい。
【符号の説明】
【0103】
101 画像形成装置
102 画像形成装置B(他の画像形成装置)
111 通信I/F(インタフェース)
113 データ受信部
115 印刷ジョブ制御部
117 ステータスページ評価部
119 NVRAM
121 ディスク制御部
123 ディスク
125 データ解析部
127 描画データ処理部
129 描画部
131 パネル
133 ステータスページ作成部
135 メモリ管理部
137 システム制御部
138 機器情報保持部
139 評価シーケンス生成部
140 正解ページ入力部
141 正解ページ生成部
142 枚数カウンタ
143 出力部
145 印刷エンジン
147 紙
151 枚数チェック部
153 メモリ空値監視部
155 印刷速度監視部
201 端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の設定状態が項目毎に記載されたステータスページを作成して出力可能とするためのステータスページ作成部と、
装置が印刷出力する用紙の枚数をカウントする枚数カウンタを有して、
前記ステータスページ作成部は、前記枚数カウンタに基づいて前記ステータスページ上に印刷枚数を出力可能であり、
前記印刷出力された枚数を計数して、前記ステータスページ上の印刷枚数のカウント値との比較を行って当該カウント値が正しいかどうかをチェックする枚数値チェック部と、を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置であって、
前記ステータスページ作成部がステータスページの出力を行うたびにメモリの空き容量を監視してメモリリークの発生を検証するメモリ空値監視部を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2の画像形成装置であって、
前記ステータスページ作成部がステータスページの出力を行うたびに印刷出力の時間を記録してステータスページ作成時の印刷速度の監視を行う印刷速度監視部を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
コンピュータに、
装置の設定状態が項目毎に記載されたステータスページを作成して出力可能とするためのステータスページ作成機能と、
装置が印刷出力する用紙の枚数をカウントする枚数カウンタ機能とを実現させ、
前記ステータスページ作成機能は、前記枚数カウンタに基づいて前記ステータスページ上に印刷枚数を出力可能であり、
コンピュータに、前記印刷出力された枚数を計数して、前記ステータスページ上の印刷枚数のカウント値との比較を行って当該カウント値が正しいかどうかをチェックする枚数値チェック機能と、を実現させる
ことを特徴とするステータスページ評価プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−253912(P2010−253912A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110134(P2009−110134)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】