説明

画像形成装置及びトナー供給装置

【課題】 進行波電界によるトナー搬送をより良好に行うことで、良好な画像形成動作を行い得る、画像形成装置及びトナー供給装置を提供する。
【解決手段】 トナー供給装置(6)は、トナー搬送部材(62b、62c)と、トナー供給源(61b、62a)と、除電剤供給源(61e、62e)と、を備えている。トナー搬送部材は、搬送電圧の印加により進行波電界を生成するようにトナー(T)の搬送経路(TTP)に沿って配列された複数の搬送電極と、複数の搬送電極を覆うように設けられた絶縁性の被覆層と、を備えている。トナー供給源は、トナーの搬送方向における上流側のトナー搬送部材の端部である上流側端部(62b)にトナーを供給する。除電剤供給源は、被覆層の表面を除電するための粉末状の除電剤(N)を上流側端部に供給するように構成されていて、トナー供給源とは独立に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びトナー供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、帯電した粉末状の現像剤(いわゆる乾式トナー:以下単に「トナー」と称する。)を、進行波電界を用いて搬送する機構が、従来多数知られている(例えば、特開平5−19616号公報、特開2008−26759号公報、等)。かかる機構においては、絶縁性の基板の上に、多数本の線状電極が、一列に並べられている。
【0003】
上述の構成においては、多数本の前記線状電極に対して、多相の交流電圧が順次印加されることで、進行波電界が形成される。帯電した前記トナーは、この進行波電界の作用により、所定方向に搬送される。
【特許文献1】特開平5−19616号公報
【特許文献2】特開2008−26759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような機構において、トナー搬送状態が不良になると、形成画像に悪影響が生じる。本発明は、かかる課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、進行波電界によるトナー搬送をより良好に行うことで、良好な画像形成動作を行い得る、画像形成装置及びトナー供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の画像形成装置は、トナー担持体と、トナー供給装置と、を備えている。前記トナー担持体は、トナー担持面を有している。このトナー担持面は、所定極性に帯電した粉末状のトナーが担持される面である。
【0006】
本発明の前記トナー供給装置は、前記トナーを進行波電界によって搬送することで、前記トナー担持体における前記トナー担持面に対して前記トナーを供給するように構成されている。
【0007】
前記トナー担持体としては、トナー像担持面(前記トナーによる画像が担持される面であって前記トナー担持面に対応するもの)を有する像担持体が用いられ得る。具体的には、例えば、この像担持体としては、静電潜像担持体が用いられ得る。この静電潜像担持体は、前記トナー像担持面としての静電潜像担持面を有している。この静電潜像担持面には、静電潜像が形成されるとともに、この形成された静電潜像に対応して前記トナーが担持されるようになっている。ここで、静電潜像とは、電位あるいは静電荷の分布であって、形成すべき画像に対応するように前記静電潜像担持面上に形成されたものをいう。
【0008】
前記トナー供給装置は、トナー搬送部材を備えている。このトナー搬送部材は、絶縁性の被覆層と、複数の搬送電極と、を備えている。複数の前記搬送電極は、搬送電圧が印加されることで前記進行波電界を生成するように、前記トナーの搬送経路に沿って配列されている。絶縁性の前記被覆層は、複数の前記搬送電極を覆うように設けられている。
【0009】
また、前記トナー供給装置は、トナー供給源を備えている。このトナー供給源は、前記トナーの搬送方向における上流側の前記トナー搬送部材の端部である上流側端部に、前記トナーを供給するように構成されている。
【0010】
※本発明の特徴は、前記トナー供給装置が、さらに、前記トナー供給源とは独立に設けられた除電剤供給源を備えたことにある。この除電剤供給源は、粉末状の除電剤を、前記上流側端部に供給するように構成されている。
【0011】
前記除電剤は、前記被覆層の表面を除電するためのものであって、例えば、前記所定極性とは逆の極性に帯電する特性を有するように構成され得る。この除電剤は、帯電した状態で、前記進行波電界によって、前記トナー搬送部材の表面(前記被覆層の前記表面)上にて搬送されるようになっている。
【0012】
・前記トナー供給装置は、トナー回収部と、除電剤回収部と、をさらに備え得る。ここで、前記トナー回収部は、前記トナーを前記トナー供給源に回収するように構成されている。また、前記除電剤回収部は、前記除電剤を前記除電剤供給源に回収するように構成されている。
【0013】
・前記トナー供給装置には、前記被覆層の前記表面の状態に応じた出力を生じるように構成された表面状態センサが設けられ得る。この場合、前記画像形成装置は、制御部をさらに備え得る。この制御部は、前記表面状態センサの前記出力に基づいて、少なくとも前記トナー供給源及び前記除電剤供給源の動作を制御するように設けられている。
【0014】
・前記画像形成装置は、トナー担持面表面電位設定手段をさらに備えていてもよい。このトナー担持面表面電位設定手段は、前記除電剤を前記除電剤供給源から前記上流側端部に供給している最中に、前記トナー担持面に前記除電剤が付着しないように、当該トナー担持面の電位を設定するようになっている。
【発明の効果】
【0015】
上述の如き構成を有する本発明の画像形成装置及びトナー供給装置においては、前記トナー供給源から、前記トナー搬送部材における前記上流側端部に、前記トナーが供給される。このトナーは、前記進行波電界により、当該トナー搬送部材の前記表面(前記被覆層の前記表面)上にて搬送される。
【0016】
なお、前記トナー搬送部材によって搬送された前記トナーは、その後、前記トナー回収部によって、前記トナー供給源に回収され得る。
【0017】
かかるトナー搬送が、或る程度の時間継続すると、絶縁性の前記被覆層の前記表面がチャージアップすることがある。このようなチャージアップが生じると、前記トナーが当該チャージアップ部分に固着するので、トナー搬送状態が不良になる。
【0018】
そこで、本発明においては、前記トナー供給源とは独立に設けられた前記除電剤供給源から、前記トナー搬送部材における前記上流側端部に、前記除電剤が供給される。そして、この除電剤が、前記進行波電界により、当該トナー搬送部材の前記表面(前記被覆層の前記表面)上にて搬送される。これにより、上述のようなチャージアップが抑制される。
【0019】
なお、この除電剤の搬送は、前記トナーの搬送(及び回収)の終了後に行われ得る。また、前記トナー搬送部材によって搬送された前記除電剤は、その後、前記除電剤回収部によって、前記除電剤供給源に回収され得る。
【0020】
本発明によれば、搬送前の前記トナーと前記除電剤とが予め混合されることによる、両者の凝集体の発生が、良好に抑制される。したがって、画像形成のための前記トナーの搬送が、すみやかに開始され得る。このように、本発明によれば、進行波電界によるトナー搬送が、より良好に行われる。これにより、良好な画像形成動作が行われ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態(本願の出願時点において取り敢えず出願人が最良と考えている実施形態)について図面を参照しつつ説明する。
【0022】
なお、以下の実施形態に関する記載は、法令で要求されている明細書の記載要件(記述要件・実施可能要件)を満たすために、本発明の具体化の単なる一例を、可能な範囲で具体的に記述しているものにすぎない。
【0023】
よって、後述するように、本発明が、以下に説明する実施形態の具体的構成に何ら限定されるものではないことは、全く当然である。本実施形態に対して施され得る各種の変更(modification)は、当該実施形態の説明中に挿入されると、一貫した実施形態の説明の理解が妨げられるので、末尾にまとめて記載されている。
【0024】
<レーザープリンタの概略構成>
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態であるレーザープリンタ1の概略構成を示す側面図である。
【0025】
まず、レーザープリンタ1の全体構成について、図1を参照しつつ説明する。このレーザープリンタ1は、用紙搬送機構2と、感光体ドラム3と、帯電器4と、スキャナーユニット5と、トナー供給装置6と、制御装置7と、を備えている。
【0026】
レーザープリンタ1内に備えられた、図示しない給紙トレイには、シート状の用紙Pが、積み重ねられた状態で収容されている。用紙搬送機構2は、用紙Pを、上述の給紙トレイから排出させるとともに所定の用紙搬送経路PPに沿って搬送し得るように構成されている。
【0027】
本発明のトナー担持体(静電潜像担持体)としての感光体ドラム3の外周面には、本発明のトナー担持面(トナー像担持面)としての静電潜像担持面LSが設けられている。静電潜像担持面LSは、主走査方向(図中z軸方向)と平行な円筒面状に形成されている。
【0028】
感光体ドラム3は、正電荷分布による静電潜像が静電潜像担持面LS上に形成されるとともに、正極性に帯電した粉末状のトナーが静電潜像に対応した位置に担持されるように構成されている。
【0029】
また、感光体ドラム3は、前記主走査方向と平行な中心軸Cを中心として、図中矢印で示されている方向(図1における時計回り)に回転駆動され得るようになっている。すなわち、前記主走査方向と直交する副走査方向(典型的には図中x軸方向)に沿って静電潜像担持面LSが移動し得るように、感光体ドラム3が構成されている。
【0030】
帯電器4は、静電潜像担持面LSと対向するように配置されている。この帯電器4は、コロトロン型あるいはスコロトロン型の帯電器であって、静電潜像形成前の静電潜像担持面LSを一様に正帯電させ得るように構成されている。
【0031】
スキャナーユニット5は、画像データに基づいて変調された(画素の有無に対応して発光のON/OFFが制御された)所定の波長帯域のレーザービームLBを生成するとともに、このレーザービームLBを静電潜像担持面LSにおけるスキャン位置SPにて結像させる(露光する)ように構成されている。ここで、スキャン位置SPは、帯電器4よりも、感光体ドラム3の回転方向(図1における矢印で示されている方向:図中時計回り)における下流側の位置に設けられている。
【0032】
また、スキャナーユニット5は、帯電器4によって一様に帯電された静電潜像担持面LS上にて、レーザービームLBが結像される位置を前記主走査方向に沿って等速度にて移動させる(走査する)ことで、静電潜像担持面LS上に静電潜像を形成し得るように構成されている。
【0033】
トナー供給装置6は、感光体ドラム3と対向するように配置されている。トナー供給装置6は、現像位置DPにて、トナーを帯電した状態で静電潜像担持面LSに供給し得るように構成されている。このトナー供給装置6の詳細な構成については後述する。
【0034】
制御装置7は、ユーザーインタフェースや各種センサからの入力情報に基づいて、レーザープリンタ1に備えられている各部(駆動部や電圧印加部等)の動作を制御するように構成されている。
【0035】
<レーザープリンタの各部の構成>
次に、レーザープリンタ1の各部の、より詳細な構成について説明する。
【0036】
用紙搬送機構2は、一対のレジストローラ21と、転写ローラ22と、を備えている。
【0037】
レジストローラ21は、用紙Pを所定のタイミングにて感光体ドラム3と転写ローラ22との間に向けて送り出し得るように構成されている。
【0038】
転写ローラ22は、感光体ドラム3の外周面である静電潜像担持面LSと、転写位置TPにて、用紙Pを挟んで対向するように配置されている。また、転写ローラ22は、図中矢印で示されている方向(反時計回り)に回転駆動され得るように構成されている。
【0039】
さらに、転写ローラ22は、図示しないバイアス電源回路に接続されている。すなわち、転写ローラ22と感光体ドラム3との間で、静電潜像担持面LS上に付着したトナー(現像剤)を用紙Pに転写させるための所定の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。
【0040】
<<トナー供給装置の構成>>
図2は、図1に示されているトナー供給装置6を拡大した側断面図である。以下、図2を参照しつつ、トナー供給装置6の内部構成について説明する。
【0041】
トナー供給装置6は、所定のトナー搬送経路TTPに沿って、帯電したトナーTを、電界によりトナー搬送方向TTDに搬送することで、現像位置DPにて感光体ドラム3における静電潜像担持面LSにトナーTを供給すべく、以下のように構成されている。
【0042】
なお、トナー搬送方向TTDとは、前記主走査方向と直交する、トナー搬送経路TTPの任意の位置における接線方向であって、画像形成動作時にトナーTが実際に移動する方向をいうものとする。
【0043】
図2を参照すると、トナー供給装置6のケーシングをなすトナーボックス61は、箱状部材であって、その内部に微粒子状の乾式現像剤としてのトナーTを貯留し得るように構成されている。本実施形態においては、トナーTは、正帯電性、非磁性1成分の、黒色のものが用いられている。
【0044】
トナーボックス61における頂板61aは、感光体ドラム3(静電潜像担持面LS)と近接しつつ対向するように配置されている。この頂板61aは、平面視にて長方形状の平板状部材であって、水平面とほぼ平行に配置されている。
【0045】
頂板61aには、トナーTがトナーボックス61の内部から静電潜像担持面LSに向けて高さ方向(図中y軸方向)に沿って移動する際に通過し得る貫通孔としての、トナー通過孔61a1が形成されている。このトナー通過孔61a1は、平面視にて、前記主走査方向における静電潜像担持面LSの幅と略同じ長さの長辺及び前記副走査方向と平行な短辺を有する長方形状に形成されている。
【0046】
トナー通過孔61a1は、頂板61aと静電潜像担持面LSとが最近接している位置の近傍に設けられている。また、トナー通過孔61a1は、その前記副走査方向における中心が、現像位置DPとほぼ一致するように形成されている。
【0047】
トナーボックス61は、トナー貯留部61bと、トナー循環部61cと、接続部61dと、除電剤貯留部61eと、対向部61fと、中間部61gと、を有している。トナーボックス61の外側部分を構成する、トナー貯留部61b、トナー循環部61c、及び接続部61dは、トナーTをトナー供給装置6の外部に漏らさずに収容し得るように、隙間なく一体に形成されている。
【0048】
本発明のトナー供給源を構成するトナー貯留部61bは、前記主走査方向と平行な中心軸線を有する略円筒状に形成されている。このトナー貯留部61bの内部には、トナーTが貯留されている。
【0049】
トナー循環部61cは、その内部にてトナーTが循環されるように設けられた筒状部であって、トナー貯留部61bと平行に配置されている。このトナー循環部61cは、感光体ドラム3と対向するように配置されていて、感光体ドラム3と対向する位置には上述のトナー通過孔61a1が形成されている。
【0050】
接続部61dは、若干扁平な形状の筒状部であって、トナー貯留部61bとトナー循環部61cとを互いに接続するように設けられている。接続部61dの前記高さ方向における上側の壁は、平板状の頂板61aによって構成されている。接続部61dの前記高さ方向における下側の壁は、側断面視にて逆U字状に形成されている。
【0051】
本発明の除電剤供給源を構成する除電剤貯留部61eは、側断面視にて略C字あるいはU字状に一部開口する筒状部材であって、トナー循環部61cの内部に収容されている。除電剤貯留部61eのトナー搬送方向TTDにおける下流側の端部は、上流側の端部よりも高い位置に設けられている。
【0052】
除電剤貯留部61eの内部には、粉末状の除電剤Nが貯留されている。本実施形態における除電剤Nは、後述するトナー搬送面TTSを除電するためのものであって、トナーTとは逆の極性(すなわち負極性)に帯電するように構成されている。具体的には、この除電剤Nは、トナーTと逆の極性に帯電するようにする等のための材料選択以外は、トナーTとほぼ同様の製造プロセスを用いて製造され得る。
【0053】
除電剤貯留部61eのトナー搬送方向TTDにおける下流側の端部には、板状の対向部61fが接続されている。対向部61fは、感光体ドラム3と対向するように、トナー通過孔61a1に対応する位置に設けられている。この対向部61fの、トナー搬送方向TTDにおける下流側の端部は、下方に屈曲することで、後述する中間部61gにおける中腹部と対向するように設けられている。
【0054】
中間部61gは、接続部61dの上述の逆U字状の部分(前記高さ方向における下側の部分)と、対向部61fと、の間の位置に設けられている。中間部61gの一方の端部は、除電剤貯留部61eのトナー搬送方向TTDにおける上流側の端部と接続されている。中間部61gの他方の端部は、下方に屈曲することで、接続部61dの上述の逆U字状の部分(前記高さ方向における下側の部分)における中腹部と対向するように設けられている。
【0055】
トナーボックス61の内側に収容された除電剤容器を構成する、除電剤貯留部61e、対向部61f、及び中間部61gは、除電剤Nを当該除電剤容器外に漏らすことでトナーボックス61の内部にて(特にトナー貯留部61bにて)トナーTと除電剤Nとの混合が生じることがないように、隙間なく一体に形成されている。
【0056】
<<<トナー搬送部材>>>
トナー供給装置6は、さらに、搬送電極基板62を備えている。搬送電極基板62は、帯電したトナーT及び除電剤Nを、進行波電界によって搬送するように構成されている。また、搬送電極基板62は、印加電圧の特性(位相等)が変えられることで、トナーT及び除電剤Nの搬送方向を逆転させ得るように構成されている。
【0057】
本実施形態における搬送電極基板62は、トナーボックス61の内側に設けられていて、トナー供給源基板62a、接続部基板62b、トナー循環部基板62c、対向搬送基板62d、除電剤供給源基板62e、及び中間部基板62f、に分割されている。
【0058】
本発明のトナー供給源を構成するトナー供給源基板62aは、トナー貯留部61bにおけるトナーTが貯留されている領域(底側)に対応する位置にて、略U字状に屈曲された状態で、トナー貯留部61bの内壁面に固定されている。
【0059】
トナー供給源基板62aの一方の端部は、本発明のトナー搬送部材における上流側端部を構成する接続部基板62bに対してトナーTを受け渡すことができるように、当該接続部基板62bのトナー搬送方向TTDにおける上流側の端部と近接する位置に設けられている。
【0060】
本発明のトナー搬送部材及びトナー回収部を構成する接続部基板62bは、接続部61dの上述の逆U字状の部分に固定されている。この接続部基板62bも、接続部61dの形状に倣って、逆U字状に屈曲されている。接続部基板62bのトナー搬送方向TTDにおける下流側の端部は、トナー循環部61c内に露出することで、当該トナー循環部61c内にトナーTを送り込み得るように設けられている。
【0061】
本発明のトナー搬送部材を構成するトナー循環部基板62cは、トナー循環部61cの内壁面に固定されている。このトナー循環部基板62cは、トナー循環部61cの底部からトナー通過孔61a1に至る範囲で設けられている。
【0062】
本発明のトナー回収部及び除電剤回収部を構成する対向搬送基板62dは、除電剤貯留部61e及び対向部61fの外壁面に固定されている。この対向搬送基板62dは、トナー循環部基板62c及び感光体ドラム3と対向するように設けられている。
【0063】
本発明の除電剤供給源を構成する除電剤供給源基板62eは、除電剤貯留部61eにおける除電剤Nが貯留されている領域(底側)に対応する位置にて、略C字あるいはU字状に屈曲された状態で、当該除電剤貯留部61eの内壁面に固定されている。
【0064】
除電剤供給源基板62eの一方の端部は、中間部61gに固定された中間部基板62fとの間で除電剤Nの受け渡しが良好に行われるように、中間部基板62fの一方の端部と近接する位置に設けられている。
【0065】
本発明のトナー回収部及び除電剤回収部を構成する中間部基板62fは、対向部61fのトナー搬送方向TTDにおける下流側の端部(下方に屈曲した部分)と対向するように、逆U字状に屈曲された状態で、中間部61gに固定されている。
【0066】
すなわち、本実施形態においては、トナー供給源としてのトナー貯留部61b及びトナー供給源基板62aは、当該トナー貯留部61bに貯留されたトナーTを、トナー供給源基板62aのトナー搬送動作によって、接続部基板62bに供給し得るように構成されている。
【0067】
また、本実施形態においては、除電剤供給源としての、除電剤貯留部61e(上述の除電剤容器の主要部を構成する)、中間部基板62f、及び除電剤供給源基板62eは、上述のトナー供給源とは独立に設けられている。そして、かかる除電剤供給源は、除電剤貯留部61e内に貯留された除電剤Nを、中間部基板62f及び除電剤供給源基板62eの動作によって、接続部基板62bに供給し得るように構成されている。
【0068】
また、本実施形態においては、トナー回収部としての、接続部基板62b、対向搬送基板62d、及び中間部基板62fは、トナー循環部61c内のトナーTをトナー貯留部61bに回収し得るように構成されている。
【0069】
また、本実施形態においては、除電剤回収部としての対向搬送基板62d及び中間部基板62fは、トナー循環部61c内の除電剤Nを除電剤貯留部61eに回収し得るように構成されている。
【0070】
<<<搬送電極基板>>>
図3は、図2に示されている搬送電極基板62を拡大した側断面図である。以下、図3を参照しつつ、搬送電極基板62(トナー供給源基板62aないし中間部基板62f)の内部構成について説明する。
【0071】
図3を参照すると、搬送電極基板62は、薄板状の部材であって、フレキシブルプリント配線基板と同様の構成を有している。具体的には、搬送電極基板62は、搬送電極63と、搬送電極支持フィルム64と、搬送電極コーティング層65と、搬送電極オーバーコーティング層66と、から構成されている。この搬送電極基板62は、上述のように、トナーボックス61の各部によって支持されている。
【0072】
搬送電極63は、前記主走査方向と平行な(前記副走査方向と直交する)長手方向を有する線状の配線パターンとして形成されている。すなわち、搬送電極63は、厚さが数十μm程度の銅箔からなる。また、複数の搬送電極63は、互いに平行に配置されている。そして、これらの搬送電極63は、トナー搬送方向TTDに沿って配列されている。
【0073】
また、搬送電極63は、搬送電極基板62の表面であるトナー搬送面TTSに沿って配置されている。すなわち、搬送電極63は、トナー搬送面TTSの近傍に配置されている。
【0074】
前記副走査方向に沿って多数配列された各搬送電極63は、3本置きに同一の電源回路に接続されている。すなわち、電源回路VAに接続された搬送電極63,電源回路VBに接続された搬送電極63,電源回路VCに接続された搬送電極63,電源回路VDに接続された搬送電極63,電源回路VAに接続された搬送電極63,電源回路VBに接続された搬送電極63,電源回路VCに接続された搬送電極63・・・が、前記副走査方向に沿って順に配列されている。
【0075】
ここで、図4A及び図4Bは、図3に示されている各電源回路VAないしVDの出力波形の一例を示すグラフである。なお、図4Aは、トナーTを搬送する際の電圧波形であって、0V/+600Vの矩形波状の電圧波形である。また、図4Bは、除電剤Nを搬送する際の電圧波形であって、図4Aに示されている電圧波形よりも+200Vだけバイアスされた、+200V/+800Vの矩形波状の電圧波形である。
【0076】
本実施形態においては、図4A及び図4Bに示されているように、各電源回路VAないしVDは、ほぼ同一波形の交流電圧である駆動電圧(搬送電圧)を出力し得るように構成されている。また、各電源回路VAないしVDが発生する電圧の波形における位相が、90°ずつ異なるように、各電源回路VAないしVDが構成されている。すなわち、電源回路VAから電源回路VDに向かう順に、電圧の位相が90°ずつ遅れるようになっている(この位相ずれが反対になるとトナーTや除電剤Nの搬送方向が逆転するようになっている)。
【0077】
このように、搬送電極基板62は、各搬送電極63に対して上述のような搬送電圧が印加されて、前記副走査方向に沿った進行波状の電界が発生することで、正帯電したトナーT及び負帯電した除電剤Nを、トナー搬送経路TTPに沿って搬送し得るように構成されている。
【0078】
複数の搬送電極63は、搬送電極支持フィルム64の表面上に形成されている。搬送電極支持フィルム64は、可撓性のフィルムであって、ポリイミド樹脂等の絶縁性の合成樹脂から構成されている。
【0079】
搬送電極コーティング層65は、絶縁性の合成樹脂から構成されている。この搬送電極コーティング層65は、搬送電極支持フィルム64における搬送電極63が設けられている表面、及び搬送電極63を覆うように設けられている。
【0080】
搬送電極コーティング層65の上には、本発明の被覆層としての搬送電極オーバーコーティング層66が設けられている。すなわち、上述の搬送電極コーティング層65は、搬送電極オーバーコーティング層66と搬送電極63との間に形成されている。搬送電極オーバーコーティング層66も、絶縁性の合成樹脂から構成されている。
【0081】
そして、上述のトナー搬送面TTSは、搬送電極オーバーコーティング層66の表面からなり、凹凸の極めて少ない平滑な面として形成されている。
【0082】
<<<表面状態センサ>>>
再び図2を参照すると、トナー供給装置6の内部には、表面状態センサ69が収容されている。
【0083】
表面状態センサ69は、トナー搬送面TTSの状態(チャージアップ状態あるいはトナーTの付着状態)に応じた出力を生じるように構成されている。
【0084】
具体的には、例えば、表面状態センサ69としては、表面電位センサや光学センサ等が用いられ得る。また、本実施形態においては、この表面状態センサ69の出力に基づいて、上述の各部の動作が制御装置7によって制御されるようになっている。
【0085】
<画像形成動作の概要>
以下、上述のように構成されたレーザープリンタ1による画像形成動作の概要について、図面を適宜参照しつつ説明する。
【0086】
図1を参照すると、上述の図示しない給紙トレイ上に積載された用紙Pの先端が、レジストローラ21まで送られる。このレジストローラ21にて、用紙Pの斜行が補正されるとともに、搬送タイミングが調整される。その後、用紙Pは、転写位置TPまで給送される。
【0087】
上述のように用紙Pが転写位置TPに向けて搬送されている間に、感光体ドラム3の周面である静電潜像担持面LS上に、以下のようにしてトナーTによる像が担持される。
【0088】
感光体ドラム3の静電潜像担持面LSは、まず、帯電器4によって、正極性に一様に帯電される。
【0089】
帯電器4によって一様に帯電された静電潜像担持面LSは、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向(時計回り)の回転により、スキャナーユニット5と対向する(正対する)位置であるスキャン位置SPまで移動する。
【0090】
このスキャン位置SPにて、画像情報に基づいて変調されたレーザービームLBが、前記主走査方向に沿って走査されつつ、静電潜像担持面LSに照射される。このレーザービームLBの変調状態に応じて、静電潜像担持面LS上の正電荷が消失する部分が生じる。これにより、静電潜像担持面LS上に、正電荷のパターン(画像状分布)による静電潜像が形成される。
【0091】
静電潜像担持面LSに形成された静電潜像は、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向(時計回り)の回転により、トナー供給装置6と対向する現像位置DPに向かって移動する。
【0092】
このようにして現像位置DPに到達した、静電潜像担持面LSの静電潜像が形成された部分に、トナー供給装置6により、正帯電のトナーT(図2参照)が供給される。すると、静電潜像担持面LS上であって、静電潜像における正電荷が消失した部分に、トナーTが付着する。すなわち、静電潜像担持面LSに形成された静電潜像が、トナーTによって現像される。これにより、トナーTによる画像(以下、「トナー像」と称する。)が、静電潜像担持面LS上に担持される。
【0093】
上述のようにして感光体ドラム3の静電潜像担持面LS上に担持されたトナー像は、当該静電潜像担持面LSが図中矢印で示されている方向(時計回り)に回転することにより、転写位置TPに向けて搬送される。そして、この転写位置TPにて、トナー像が、静電潜像担持面LSから用紙P上に転写される。
【0094】
<帯電粒子の搬送動作の概要>
図5Aないし図5Cは、図3に示されている搬送電極基板62におけるトナー搬送面TTSの周辺を拡大して示す側断面図である。図5Aないし図5Cにおいて、図3にて電源回路VAと接続されている搬送電極63は、搬送電極63Aと示されている(搬送電極63Bないし搬送電極63Dについても同様である)。
【0095】
以下、トナーTの電界搬送動作について、図4A及び図5を参照しつつ説明する。
【0096】
図4Aに示されているように、各電源回路VAないしVDから、ほぼ同一波形の交流電圧が、電源回路VAから電源回路VDに向かう順に位相が90°ずつ遅れるように出力される。
【0097】
図4Aにおける時点t1においては、図5Aに示されているように、搬送電極63Aと搬送電極63Bとの間の位置であるAB間位置にて、トナー搬送方向TTDと逆向き(xと反対の方向)の電界EF1が形成される。
【0098】
一方、搬送電極63Cと搬送電極63Dとの間の位置であるCD間位置には、トナー搬送方向TTDと同じ向き(x方向)の電界EF2が形成される。
【0099】
また、搬送電極63Bと搬送電極63Cとの間の位置であるBC間位置、及び搬送電極63Dと搬送電極63Aとの間の位置であるDA間位置には、トナー搬送方向TTDに沿った方向の電界が形成されない。
【0100】
すなわち、時点t1においては、前記AB間位置にて、正帯電のトナーTは、トナー搬送方向TTDと逆向きの静電力を受ける。
【0101】
また、前記BC間位置及び前記DA間位置にて、正帯電のトナーTは、トナー搬送方向TTDに沿った方向の静電力をほとんど受けない。
【0102】
また、前記CD間位置にて、正帯電のトナーTは、トナー搬送方向TTDと同じ向きの静電力を受ける。
【0103】
よって、時点t1においては、正帯電のトナーTは、前記DA間位置に集められる。
【0104】
同様に、時点t2においては、図5Bに示されているように、正帯電のトナーTは、前記AB間位置に集められる。次いで、時点t3になると、図5Cに示されているように、正帯電のトナーTは、前記BC間位置に集められる。
【0105】
すなわち、トナーTが集められる領域が、時間の経過に伴い、トナー搬送面TTS上を、トナー搬送方向TTDに沿って移動していく。
【0106】
このように、各搬送電極63に対して、図4Aに示されているような電圧が印加されることで、トナー搬送面TTS上にて、進行波状の電界が形成される。これにより、正帯電したトナーTが、図中y方向にホッピングしつつ、トナー搬送方向TTDに沿って搬送される。
【0107】
除電剤Nを搬送する場合には、図4Aの波形に代えて、図4Bの波形が用いられる。これにより、除電剤Nは、上述の動作説明と同様にして、所定方向に搬送される。
【0108】
このとき、制御装置7によって帯電器4及びスキャナーユニット5の動作が制御されることで、帯電器4が非動作の状態(静電潜像担持面LSを一様に帯電するための動作を行わない状態)で、感光体ドラム3(静電潜像担持面LS)が、スキャナーユニット5によって均一に露光される。これにより、静電潜像担持面LSの表面電位は、除電剤Nが付着しないように、均一に約100Vに設定される。
【0109】
<トナー供給装置の動作の具体例>
図6ないし図9は、図2に示されているトナー供給装置6内におけるトナーTや除電剤Nの搬送の様子を示す側断面図である。以下、図6ないし図9を参照しつつ、トナー供給装置6の動作の具体例について説明する。
【0110】
<<現像時>>
図6を参照すると、感光体ドラム3上の静電潜像を現像する現像動作時においては、トナー貯留部61b内のトナーTが、トナー供給源基板62aにより、接続部基板62bに向けて搬送される。トナー供給源基板62aから接続部基板62bに受け渡されたトナーTは、当該接続部基板62bにより、トナー循環部61cに送り込まれる。
【0111】
トナー循環部61cに送り込まれたトナーTは、トナー循環部基板62c及び対向搬送基板62dにより、現像位置DPに向けて搬送される。そして、このトナーTは、現像位置DPにて、感光体ドラム3上の静電潜像の現像に供される。
【0112】
現像位置DPを経たトナーTは、対向搬送基板62dにより、中間部基板62fに受け渡される。この中間部基板62fに受け渡されたトナーTは、当該中間部基板62fによって接続部基板62bに向けて搬送されることで、当該接続部基板62bに受け渡される。
【0113】
このように、現像動作時においては、トナー貯留部61b内のトナーTは、トナー循環部61c内に送り込まれるとともに、当該トナー循環部61c内にて循環する。
【0114】
一方、除電剤貯留部61eの底部にて除電剤供給源基板62eと対向する除電剤Nは、当該除電剤供給源基板62eによって、中間部基板62fに向かう方向とは反対の方向に搬送される。これにより、除電剤貯留部61e内の除電剤Nは、当該除電剤貯留部61e内にて循環されることで、後述する除電動作が迅速に開始され得るような良好な流動性に維持される。
【0115】
<<トナー回収時>>
現像動作が終了すると、トナー循環部61c内のトナーTが、以下のようにしてトナー貯留部61bに回収される。
【0116】
図7に示されているように、トナー供給源基板62a及び接続部基板62bの搬送方向が、現像時(図6参照)とは逆の方向に設定される。すると、トナー循環部61c内のトナーTは、トナー循環部基板62c、対向搬送基板62d、及び中間部基板62fを経て接続部基板62bに達し、接続部基板62bによってトナー貯留部61b内に回収される。
【0117】
トナー貯留部61bの底部にてトナー供給源基板62aと対向するトナーTは、トナー供給源基板62aによって、現像時(接続部基板62bに向かう方向)とは反対の方向に搬送される。これにより、トナー貯留部61b内のトナーTは、当該トナー貯留部61b内にて循環されることで、次回の現像動作が迅速に開始され得るような良好な流動性に維持される。
【0118】
<<除電動作時>>
トナー循環部基板62cの表面におけるチャージアップ(あるいはこのチャージアップによるトナーTの固着)の発生が、表面状態センサ69によって検知されると、除電動作が行われる。この除電動作においては、以下のようにして、除電剤Nが、除電剤貯留部61e内から取り出されてトナー循環部61c内にて循環する。
【0119】
図8に示されているように、除電剤貯留部61e内の除電剤Nが、除電剤供給源基板62eにより、中間部基板62fに向けて搬送される。中間部基板62fに受け渡された除電剤Nは、当該中間部基板62fによって、接続部基板62bに受け渡される。接続部基板62bに達した除電剤Nは、当該接続部基板62bによって、トナー循環部61cに向けて搬送される。
【0120】
トナー循環部61cに送り込まれた除電剤Nは、トナー循環部基板62c及び対向搬送基板62dを経て中間部基板62fに向けて送られる。このとき、上述のように、対向搬送基板62dには、図4Bに示されているような電圧が印加されている。また、静電潜像担持面LSの表面電位は、スキャナーユニット5によって均一に露光されることで約100Vに設定されている。よって、除電剤Nが静電潜像担持面LSに付着することが良好に抑制される(後述の除電剤回収時も同様である)。
【0121】
このように、除電動作時においては、現像時及びトナー回収時にトナーTが通過した搬送電極基板62の表面上にて、除電剤Nが搬送される。これにより、トナーTの搬送による同表面のチャージアップが効果的に解消される。
【0122】
一方、トナー回収時と同様に、トナーTは、トナー供給源基板62aによって、トナー貯留部61b内にて循環される。
【0123】
なお、この除電動作の継続時間は、表面状態センサ69の出力等によって設定され得る。
【0124】
<<除電剤回収時>>
除電動作が終了すると、トナー循環部61c内の除電剤Nが、以下のようにして除電剤貯留部61eに回収される。
【0125】
図9に示されているように、除電剤供給源基板62e及び中間部基板62fの搬送方向が、除電動作時(図8参照)とは逆の方向に設定される。すると、トナー循環部61c内の除電剤Nは、トナー循環部基板62c及び対向搬送基板62dを経て中間部基板62fに達した後、当該中間部基板62fによって除電剤供給源基板62eに受け渡される。
【0126】
除電剤供給源基板62eによって、除電剤Nは、中間部基板62fに向かう方向とは反対の方向に搬送される。これにより、除電剤貯留部61e内の除電剤Nは、当該除電剤貯留部61e内にて循環される。
【0127】
<実施形態の構成による作用・効果>
本実施形態においては、搬送電極基板62によるトナーTの搬送によりトナー搬送面TTSがチャージアップした場合に、トナー搬送面TTSに除電剤Nが供給されて、トナー搬送面TTS上にて除電剤Nが搬送される。
【0128】
これにより、トナー搬送面TTSのチャージアップが良好に解消される。したがって、チャージアップしたトナー搬送面TTS上へのトナーTの固着の発生が効果的に防止され得る。
【0129】
また、本実施形態においては、トナー貯留部61bと除電剤貯留部61eとが互いに独立して設けられていて、トナーTと除電剤Nとが別々に分けられた状態で貯留されている。
【0130】
そして、現像時にはトナーTのみがトナー循環部61c内にて搬送される一方、除電動作時には除電剤Nのみがトナー循環部61c内にて搬送される。また、現像時にトナー循環部61cに供給されたトナーTが良好にトナー貯留部61bに回収されるとともに、除電動作時にトナー循環部61cに供給された除電剤Nが良好に除電剤貯留部61eに回収される。
【0131】
これにより、トナー貯留部61b及び除電剤貯留部61eにおける、トナーTと除電剤Nとによる凝集体の発生が、良好に抑制される。したがって、現像のためのトナーTの搬送や、トナー搬送面TTSのチャージアップ解消のための除電剤Nの搬送が、すみやかに開始され得る。
【0132】
このように、本実施形態の構成によれば、進行波電界によるトナーTの搬送がより良好に行われ、以て良好な画像形成が行われる。
【0133】
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を、単に例示したものにすぎない。
【0134】
よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
【0135】
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部材に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。
【0136】
もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたもの限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0137】
本発明(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの)は、上述の実施形態及び下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。
【0138】
このような限定解釈は、(先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、発明の保護及び利用を目的とする特許法の目的に反し、許されない。
【0139】
(1)本発明の適用対象は、単色のレーザープリンタに限定されない。例えば、本発明は、カラーのレーザープリンタや、単色及びカラーの複写機等の、いわゆる電子写真方式の画像形成装置に対して、好適に適用され得る。
【0140】
このとき、感光体の形状は、上述の実施形態のようなドラム状でなくてもよい。例えば、平板状や無端ベルト状等であってもよい。また、露光光源としては、レーザースキャナ以外のもの(LED、EL(エレクトロルミネッセンス)素子、蛍光体、等)が好適に用いられ得る。
【0141】
本発明が多色(例えばフルカラー)画像を形成可能に構成されている場合、転写ローラ22、感光体ドラム3、帯電器4、スキャナーユニット5、及びトナー供給装置6を含むユニットが、用紙搬送経路PPに沿って複数個配列される。
【0142】
具体的には、例えば、図10に示されているように、イエロートナーが収容されたトナー供給装置6Yを含むユニット、マゼンタトナーが収容されたトナー供給装置6Mを含むユニット、シアントナーが収容されたトナー供給装置6Cを含むユニット、及び、ブラックトナーが収容されたトナー供給装置6Kを含むユニットが、用紙搬送経路PPに沿って複数個配列される。
【0143】
あるいは、本発明は、上述の電子写真方式以外の方式(例えば、感光体を用いないトナージェット方式、イオンフロー方式、マルチスタイラス電極方式、等)の画像形成装置に対しても、好適に適用され得る。
【0144】
(2)トナー供給源や除電剤供給源の具体的構成は、上述の実施形態にて示された具体例に何ら限定されない。例えば、以下の構成が考えられるが、これらのいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。よって、トナー供給源や除電剤供給源の具体的構成は、本発明の解釈に何らの影響も与えない。
【0145】
(2−1)例えば、図2にて示されている構成において、トナーTの収容量が不足した場合に、トナー貯留部61bにトナーTを追加するための付属的な構造(トナー供給装置6の外部に付属のトナータンク及び当該トナータンクからトナー貯留部61bにトナーTを装入するためのトナー挿入機構)が設けられていてもよい。
【0146】
同様に、図2にて示されている構成において、除電剤Nの収容量が不足した場合に、除電剤貯留部61eに除電剤Nを追加するための付属的な構造(トナー供給装置6の外部に付属の除電剤タンク及び当該除電剤タンクから除電剤貯留部61eに除電剤Nを装入するための除電剤挿入機構)が設けられていてもよい。
【0147】
(2−2)あるいは、図2にて示されている構成において、トナー貯留部61bは、トナー供給装置6の本体(トナーボックス61の本体)に対して着脱自在に構成されていてもよい。この場合、トナー貯留部61b内のトナーTの収容量が不足した場合に、当該トナー貯留部61bは、新品でトナーTを充分に貯留したトナー貯留部61bと交換される。
【0148】
同様に、図2にて示されている構成において、除電剤貯留部61eは、トナー供給装置6の本体(トナーボックス61の本体)に対して着脱自在に構成されていてもよい。この場合、除電剤貯留部61e内の除電剤Nの収容量が不足した場合に、当該トナー貯留部61bは、新品で除電剤Nを充分に貯留した除電剤貯留部61eと交換される。
【0149】
この場合、トナー貯留部61b及び除電剤貯留部61eのうちのいずれか一方のみがトナー供給装置6の本体(トナーボックス61の本体)に対して着脱自在であってもよいし、双方がトナー供給装置6の本体(トナーボックス61の本体)に対して着脱自在であってもよい。
【0150】
(2−3)あるいは、図2にて示されている構成において、トナーTが消耗した場合に、トナー供給装置6それ自体が新品と交換されるようになっていてもよい。
【0151】
(3)表面状態センサ69は、省略され得る。
【0152】
この場合、例えば、所定時間t1(又は所定用紙枚数n1)以上の現像動作が行われた後に、所定時間t2の除電動作が行われ得る。
【0153】
あるいは、例えば、表面状態センサ69に代えて、温度センサ及び湿度センサが設けられ得る。このとき、現像動作時間、検出温度、及び検出湿度をパラメータと、実験やコンピュータシミュレーション等により予め求められた関係(マップや計算式等)と、に基づいて、除電動作時間が決定され得る。
【0154】
(4)搬送電極基板62の構成は、上述の実施形態のものに限定されない。例えば、搬送電極オーバーコーティング層66は省略され得る。この場合、搬送電極コーティング層65が本発明の被覆層に対応することとなる。
【0155】
あるいは、搬送電極63が搬送電極支持フィルム64内に埋め込まれることで、搬送電極コーティング層65及び搬送電極オーバーコーティング層66の双方が省略され得る。この場合、搬送電極支持フィルム64自体が本発明の被覆層に対応することとなる。
【0156】
(5)各電源回路VA〜VDが発生する電圧の波形は、矩形波状以外にも、正弦波状や三角波状等の任意のものが用いられ得る。
【0157】
また、上述の実施形態においては、4つの電源回路VA〜VDが設けられるとともに、各電源回路VA〜VDが発生する電圧の位相が90°ずつ異なっていた。もっとも、本発明はこれに限定されず、例えば、3つの電源回路が備えられるとともに、各電源回路が発生する電圧の位相が120°ずつ異なるようになっていてもよい。
【0158】
さらに、図4Aや図4Bにおけるバイアス電圧(電圧の中心値の0Vからのシフト)の大きさについても、特段の限定はない。
【0159】
(6)その他、際限がないのでこれ以上言及しないが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、これら以外の種々の変形が可能である。
【0160】
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態であるレーザープリンタの概略構成を示す側面図である。
【図2】図1に示されているトナー供給装置を拡大した側断面図である。
【図3】図2に示されている搬送電極基板を拡大した側断面図である。
【図4A】図3に示されている各電源回路の出力波形の一例を示すグラフである。
【図4B】図3に示されている各電源回路の出力波形の一例を示すグラフである。
【図5A】図3に示されている搬送電極基板におけるトナー搬送面の周辺を拡大して示す側断面図である。
【図5B】図3に示されている搬送電極基板におけるトナー搬送面の周辺を拡大して示す側断面図である。
【図5C】図3に示されている搬送電極基板におけるトナー搬送面の周辺を拡大して示す側断面図である。
【図6】図2に示されているトナー供給装置内におけるトナーTや除電剤Nの搬送の様子を示す側断面図である。
【図7】図2に示されているトナー供給装置内におけるトナーTや除電剤Nの搬送の様子を示す側断面図である。
【図8】図2に示されているトナー供給装置内におけるトナーTや除電剤Nの搬送の様子を示す側断面図である。
【図9】図2に示されているトナー供給装置内におけるトナーTや除電剤Nの搬送の様子を示す側断面図である。
【図10】図1に示されているレーザープリンタが多色画像(フルカラー画像)を形成可能な場合の概略構成図である。
【符号の説明】
【0162】
1…レーザープリンタ(画像形成装置)
2…用紙搬送機構
3…感光体ドラム(トナー担持体)
4…帯電器
5…スキャナーユニット
6…トナー供給装置
7…制御装置(制御部)
21…レジストローラ
22…転写ローラ
61…トナーボックス
61a…頂板
61a1…トナー通過孔
61b…トナー貯留部(トナー供給源)
61c…トナー循環部
61d…接続部
61e…除電剤貯留部(除電剤供給源)
61f…対向部
61g…中間部
62…搬送電極基板
62a…トナー供給源基板(トナー供給源)
62b…接続部基板(トナー搬送部材(上流側端部)・トナー回収部)
62c…トナー循環部基板(トナー搬送部材)
62d…対向搬送基板(トナー回収部・除電剤回収部)
62e…除電剤供給源基板(除電剤供給源)
62f…中間部基板(除電剤供給源・トナー回収部・除電剤回収部)
63…搬送電極
64…搬送電極支持フィルム
65…搬送電極コーティング層
66…搬送電極オーバーコーティング層(被覆層)
69…表面状態センサ
C…中心軸
DP…現像位置
LB…レーザービーム
LS…静電潜像担持面(トナー担持面)
N…除電剤
P…用紙
PP…用紙搬送経路
SP…スキャン位置
T…トナー
TP…転写位置
TTD…トナー搬送方向
TTP…トナー搬送経路
TTS…トナー搬送面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定極性に帯電した粉末状のトナーが担持されるトナー担持面を有する、トナー担持体と、
前記トナーを、進行波電界によって搬送することで、前記トナー担持体における前記トナー担持面に対して供給するように構成された、トナー供給装置と、
を備えた、画像形成装置において、
前記トナー供給装置は、
搬送電圧の印加により前記進行波電界を生成するように前記トナーの搬送経路に沿って配列された複数の搬送電極と、複数の前記搬送電極を覆うように設けられた絶縁性の被覆層と、を備えた、トナー搬送部材と、
前記トナーの搬送方向における上流側の前記トナー搬送部材の端部である上流側端部に前記トナーを供給するように構成された、トナー供給源と、
前記被覆層の表面を除電するための粉末状の除電剤を前記上流側端部に供給するように構成されていて、前記トナー供給源とは独立に設けられた、除電剤供給源と、
を備えたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の、画像形成装置であって、
前記トナー供給装置は、
前記トナーを前記トナー供給源に回収するように構成された、トナー回収部と、
前記除電剤を前記除電剤供給源に回収するように構成された、除電剤回収部と、
をさらに備えたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の、画像形成装置において、
前記被覆層の前記表面の状態に応じた出力を生じるように構成された、表面状態センサと、
前記表面状態センサの前記出力に基づいて、少なくとも前記トナー供給源及び前記除電剤供給源の動作を制御するように設けられた、制御部と、
をさらに備えたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の、画像形成装置において、
前記除電剤を前記除電剤供給源から前記上流側端部に供給している最中に、前記トナー担持面に前記除電剤が付着しないように、当該トナー担持面の電位を設定する、トナー担持面表面電位設定手段をさらに備えたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項5】
所定極性に帯電した粉末状のトナーを、進行波電界によって搬送することで、前記トナーが担持されるトナー担持面を有するトナー担持体における前記トナー担持面に対して供給するように構成された、トナー供給装置において、
搬送電圧の印加により前記進行波電界を生成するように前記トナーの搬送経路に沿って配列された複数の搬送電極と、複数の前記搬送電極を覆うように設けられた絶縁性の被覆層と、を備えた、トナー搬送部材と、
前記トナーの搬送方向における上流側の前記トナー搬送部材の端部である上流側端部に前記トナーを供給するように構成された、トナー供給源と、
前記被覆層の表面を除電するための粉末状の除電剤を前記上流側端部に供給するように構成されていて、前記トナー供給源とは独立に設けられた、除電剤供給源と、
を備えたことを特徴とする、トナー供給装置。
【請求項6】
請求項5に記載の、トナー供給装置において、
前記トナーを前記トナー供給源に回収するように構成された、トナー回収部と、
前記除電剤を前記除電剤供給源に回収するように構成された、除電剤回収部と、
をさらに備えたことを特徴とする、トナー供給装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の、トナー供給装置において、
前記被覆層の前記表面の状態に応じた出力を生じるように構成された表面状態センサを、さらに備えたことを特徴とする、トナー供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−300706(P2009−300706A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154810(P2008−154810)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】