説明

画像形成装置及びプログラム

【課題】高いセキュリティ性が確保でき、印刷待ち時間を削減した画像形成装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】 印刷ジョブ実行者の自席からプリンタと間の距離から、印刷物を出力するタイミングを算出する機能を有することで、高いセキュリティ性の確保と、印刷待ち時間を削減の両立ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス環境では、重要な情報を印刷する機会が数多く存在する。
一般的なプリント機能を有する画像形成装置としての印刷装置では、印刷装置が印刷を実行した後に印刷ジョブ実行者としてのユーザが自席から印刷装置まで印刷物を取りに行くまでの到達時間が空き、しかもその間印刷物が他人の目に晒されるのでセキュリティ性に欠ける。
【0003】
そこで、プリンタ等の印刷装置によりユーザがセキュリティの高いデータを印刷する際、ユーザがその印刷装置の設置場所に行き、その印刷装置で認証操作を行って初めて印刷を開始できるようにしたセキュリティプリント機能が知られている。
【0004】
しかし、通常の印刷装置におけるセキュリティプリント機能では、印刷装置上のユーザによる認証がなされるまで印刷が開始されない為、印刷装置前で待ち時間が発生するという問題があった。特に、大量印刷時、セキュリティ性を考慮するとその場を離れられない為、印刷待ち時間がより多く発生してしまう。
【0005】
図8は、通常のセキュリティ印刷機の構成図である。
同図に示すセキュリティ印刷機は、制御部001、操作パネル部009、ユーザ認証部010、プリンタ部011、排紙トレイA012、排紙トレイB013、鍵付き排紙トレイC014、及び鍵付き排紙トレイD015で構成されている。
【0006】
制御部001は、プリントデータ生成部002、画像処理部003、メモリ004、SCN(スキャナ) IF(インターフェース)005、LAN(ローカルエリアネットワーク) IF006、USB(ユニバーサルシリアルバス) IF007、及びFAX(ファクシミリ) IF008で構成されている。
【0007】
制御部001は、画像データ受信、画像処理、プリントデータ生成、メモリ等の印刷に関するメイン制御部である。
プリントデータ生成部002は、メモリに格納された画像データを変換し、プリンタ部へ送信する回路である。
画像処理部003は、各IFからのデータを入力し、圧縮・伸長・変倍・回転等の画像処理を実施する回路である。
メモリ004は、データ処理中の一時保管や各設定情報の保持など、記憶中枢として利用される回路である。
SCN IF 005は、スキャナとのIF部であり、コピー画像データ等の入力を行う回路である。
LAN IF 006は、ネットワークとのIF部であり、ネットワーク印刷画像データ等の入力を行う回路である。
USB IF 007は、USBとのIF部であり、USB印刷画像データ等の入力を行う回路である。
FAX IF 008は、FAXとのIF部であり、FAX画像データ等の入力を行う回路である。
操作パネル部 009は、 UI(ユーザインターフェース)であり、ディスプレイ表示機能や、キー入力機能を有する回路である。
ユーザ認証部 010は、ユーザ認証制御機能を有する回路である。
プリンタ部 011は、制御部から画像データを受信し、実際に印字する回路である。
排紙トレイ 012、013は、印字された用紙が出てくる排紙部である。
排紙トレイ 014、015は、鍵付きの排紙トレイである。
【0008】
オフィス環境では、重要な情報を印刷する機会が数多く存在する。ユーザがセキュリティの高いデータを印刷する、セキュリティプリントの流れについて通常行われている技術を2通り説明する。
【0009】
<パターン1>
図9は、通常のセキュリティ印刷機の制御フロー図の一例である。
同図において、制御の主体は、制御部001である。
同図において、例えば、ユーザのPC(パーソナルコンピュータ)からネットワーク印刷を実施する場合、ユーザはPCから印刷ジョブを発行し(S001)、画像データはLAN IF006を介して、制御部001に入力される。予め設定された画像処理部003にて、画像処理操作(例えば1/2変倍)を実施し(S002)、処理後のデータはメモリ004に格納される(S003)。
【0010】
ユーザ認証部010でユーザ認証OKか否か判断し、ユーザ認証が否の場合には待機して認証結果を待つ(S004/N)。
ユーザ認証に問題が無ければ004/Y)、プリントデータ生成部002は、プリンタ部011への送信用データに変換することによりプリントデータを生成し(S005)、プリンタ部011へプリントデータを送信する(S006)。
プリンタ部011はプリントデータに基づいて印刷し(S007)、印刷後の用紙を排紙トレイ012又は排紙トレイ013に排出する(S008)。
ユーザによって、印刷用紙を取り出し(S009)、印刷ジョブが完了となる。
尚、ユーザ認証部010の整合を介する部分を画像処理部003の前で実施するなど、認証のタイミングは問わない。
【0011】
しかし、パターン1の場合には、印刷装置で認証操作を行って初めて印刷を開始することができる為、印刷待ち時間が多く発生するという問題がある。
【0012】
<パターン2>
図10は、通常のセキュリティ印刷機の制御フロー図の他の一例である。
同図において、制御の主体は、制御部001である。
同図において、ユーザはPCから印刷ジョブを発行し(S010)、画像データはLAN IF006を介して、制御部001に入力される。
予め設定された画像処理部003にて、画像処理操作(例えば1/2変倍)を実施し(S011)、処理後のテデータはメモリ004に格納される(S012)。このデータを印刷する際、プリントデータ生成部002にてプリンタ部011への送信用データに変換し(S013)、プリンタ部011へ送信する(S014)。
プリンタ部011は印刷を実行し(S015)、印刷後の用紙を鍵付き排紙トレイ014又は鍵付き排紙トレイ015に排出する(S016)。
ユーザが印刷装置の設置場所で、ユーザ認証部010にて、ユーザ認証を実施し、ユーザ認証OKか否か判断し、ユーザ認証が否の場合には待機して認証結果を待つ(S017/N)。
ユーザ認証に問題が無ければ(S017/Y)、鍵が開錠され、印刷物を取り出すことができる(S018)。
【0013】
しかし、パターン2の場合には、鍵付き排紙トレイに空きが無い場合、印刷装置で認証操作を行って初めて印刷を開始することができる為、印刷待ち時間が多く発生するという問題がある。
【0014】
そこで、上記課題を解決するため、種々の提案がされている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、機密性の高い文書を鍵付き排紙トレイへ印刷する際の印刷待ち時間を短縮する目的で、鍵付き排紙トレイと鍵無し排紙トレイとを有し、基本的には鍵付き排紙トレイに排紙されるが、鍵付き排紙トレイの空きが無い場合に、印刷装置上でのユーザ認証後、鍵無し排紙トレイに印刷を実行することで、印刷待ち時間を短縮する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、印刷待ち時間が発生するという問題は解消できていない。
そこで、本発明の目的は、高いセキュリティ性が確保でき、印刷待ち時間を削減した画像形成装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の画像形成装置は、印刷ジョブ実行者の位置情報を格納するメモリと、前記印刷ジョブ実行者と印刷機との間の距離を算出する距離演算部と、前記印刷ジョブ実行者が自席から前記印刷機に到達するまでにかかる到達時間Taを算出する到達時間演算部と、前記印刷ジョブの印刷時間Tbを算出する印刷時間演算部と、前記印刷時間Tbを含む情報を、前記印刷ジョブ実行者のPCに通知する通知手段と、前記到達時間Taと前記印刷時間Tbとの関係から前記印刷ジョブ実行者が前記自席を立つ時刻を算出する時刻演算部と、前記印刷時間Tbを含む情報を表示する前記ジョブ実行者のPCと、印刷開始の時刻を算出する印刷開始時刻算出部と、該印刷開始時刻に印刷を実行する印刷機と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高いセキュリティ性が確保でき、印刷待ち時間を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例を示すセキュリティ印刷機の構成図である。
【図2】セキュリティ印刷の制御フロー図の一例である。
【図3】本発明に係る画像形成装置の他の実施例を示すセキュリティ印刷機の構成図である。
【図4】本発明にかかる画像形成装置の他の実施例の実施例を示すセキュリティ印刷機の構成図である。
【図5】本発明にかかる画像形成装置の他の実施例としてのセキュリティ印刷機の構成図である。
【図6】本発明に係る画像形成装置の他の実施例としてのセキュリティ印刷の制御フロー図である。
【図7】本発明に係る画像形成装置の一実施の形態としての複合印刷機の簡易ブロック説明図ついて説明する説明図である。
【図8】通常のセキュリティ印刷機の構成図である。
【図9】通常のセキュリティ印刷機の制御フロー図の一例である。
【図10】通常のセキュリティ印刷機の制御フロー図の他の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に本発明に係る画像形成装置の実施の形態について説明する。
<概要>
図7は、本発明に係る画像形成装置の一実施の形態としての複合印刷機の簡易ブロック説明図ついて説明する説明図である。
【0020】
図7に示す複合印刷機は、コントローラ100、ENG(エンジン)200、FAX(ファクシミリ)部30、PSU(パワーサプライユニット)40、操作パネル(Panel)600、スキャナ部500、排紙トレイ700a〜700g、及び給紙トレイ800を有し、各々のIF制御以外にも、印刷に必要な画像処理等の機能を有する。
【0021】
コントローラ100は、OPU(オペレーションユニット) IF101、SCN IF102、ENG(エンジン) IF103、LAN IF104、USB2.0(D)105、USB2.0(H)106、及びFAX IF107を有する。
【0022】
OPU If部101は、操作パネル600とのIF制御を行う回路である。
SCN IF部102は、スキャナ部500とのIF制御を行う回路である。
ENG IF103は、エンジン部200とのIF制御を行う回路である。
LAN IF104は、ネットワーク部とのIF制御を行う回路である。
USB(D)105は、USB部(B-type)とのIF制御を行う回路である。
USB(H)106は、USB部(A-type)とのIF制御を行う回路である。
FAX IF107は、FAX部300とのIF制御を行う回路である。
【0023】
また、コントローラ100と接続されたENG200は、センサやモータ等のエンジン制御機能を有し、FAX部30は、FAX制御に必要な機能を有し、PSU40は、AC-DC変換を行い、電源を供給する機能を有する。スキャナ500は、コピーに必要な機能を有し、操作パネル600は、ディスプレイ表示が可能なLCD601、ボタン602を有する。
【0024】
印刷された用紙は、排紙トレイ700a〜700gのいずれかに排出され、印刷用の用紙は給紙トレイ800から給紙される。
【0025】
次に本発明の実施例について述べる。
【実施例1】
【0026】
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施例を示すセキュリティ印刷機の構成図である。
画像形成装置としてのセキュリティ印刷機は、通常の画像形成装置の構成から、ユーザ認証部・鍵付き排紙トレイを削除し、代わりに印刷時間演算部100を追加した構成となっている。
【0027】
印刷演算部100では、オフィス等の席の配置を予め印刷機のメモリ004に格納しておき、印刷ジョブ者と印刷機との間の距離、及び印刷ジョブの実行時間を算出し、印刷ジョブ開始後にどのくらいの時間で印刷が完了するかを算出できる機能を有する。
本機能により、印刷ジョブ実行者は、印刷機前でのユーザ認証操作時間や、印刷処理の待ち時間を削減することができる。
【0028】
図2は、セキュリティ印刷の制御フロー図の一例である。
同図において、制御の主体は、コントローラ100である。
印刷ジョブ実行者がジョブを実行すると(S101)、印刷機は、予め格納したオフィス等の席の配置のデータをメモリ004から呼び出し、印刷ジョブ者と印刷機との間の距離を算出し(S102)、印刷ジョブ者が自席から印刷機まで到達するのにかかる到達時間Taを演算する(S103)。
【0029】
例えば、印刷ジョブ実行者が歩く速度を時速4kmとし、印刷ジョブ者と印刷機との間の距離を20mとし、印刷時間が30secの印刷データを印刷したいと仮定すると、到達時間Ta は、 (印刷ジョブ者と印刷機との間の距離 /歩く速度) で求められる為、到達時間Ta = 20/ (4000/3600) = 18 sec
となり、印刷ジョブ者は、自席から印刷機まで18 secで来られると算出できる。
【0030】
また、印刷ジョブ開始から印刷物の排紙が完了するまでの印刷時間Tbは、
Tb = (印刷時間) で求められる為、
Tb= 30 sec
となり、約30 secで印刷が完了されると算出できる(S104)。
【0031】
よって、印刷ジョブ実行者は、自席で印刷機に印刷ジョブを開始させてから12sec (印刷時間Tb−到達時間Ta)だけ待って印刷機に印刷物を取りに行けば、印刷物の放置時間が無くなり、印刷物を無駄に待つことなく取り出せる為、例えばネットワークを利用して、この12sec を印刷ジョブ実行者のPC画面等に表示(通知)させるのが好ましい(S105)。
印刷機は、到達時間Ta−印刷時間Tbがマイナスである為、印刷ジョブ者が自席から印刷機までにかかる時間よりも印刷ジョブの処理時間の方が多くかかるため、即座に印刷を実行することができる(S106)。
印刷ジョブ自体は、従来の印刷方法と同様である。
ここで、到達時間Ta と 印刷時間Tb との関係が上述と逆の場合は、印刷機は印刷時間Tb−所用時間Taの時間を待った後に印刷を開始し、印刷ジョブ実行者には、即座に印刷物を引き取りに来る旨をPC等に表示させる。印刷機は印刷物を排紙トレイに排出し(S107)、印刷ジョブ者は、印刷機の排紙トレイから印刷物を取り出す(S108)。
【0032】
以上の制御により、印刷ジョブ実行者は、印刷機の前でユーザ認証操作や印刷待ち時間が発生することなく、セキュリティ性の高い印刷が可能となる。
印刷ジョブをかけたユーザのPC画面に印刷物を取りに行くまでの時間を表示する為、印刷物の取り忘れも少なくなる。
また、さらなるセキュリティ性の向上の為、排紙トレイに印刷物が放置している場合、操作パネル部009に、印刷ジョブ実行者の氏名等を表示することで、周囲の者から注意を促すことも可能である。
【実施例2】
【0033】
図3は、本発明に係る画像形成装置の他の実施例を示すセキュリティ印刷機の構成図である。尚、図1に示した実施例と同様の部材には共通の符号を用いた。
同図に示す実施例は、実施例1の構成に、位置検出部200を追加した構成となっている。
すなわち、同図に示す画像形成装置としてのセキュリティ印刷機は、ユーザPCに接続される制御部001、操作パネル部009、プリンタ部011、排紙トレイA012、及び排紙トレイB013で構成されている。
【0034】
制御部001は、プリントデータ生成部002、画像処理部003、メモリ004、SCN IF005、LAN IF006、USB IF007、FAX IF008、印刷時間演算部100、及び位置検出部200を有する。
【0035】
位置検出部200は、ユーザのPC毎の位置情報を無線LAN等で検出できる機能(例えばGPS(全地球測位システム))を有する。
【0036】
制御フロー図は実施例1の制御フロー図と変わらないが、S102(印刷ジョブ実行者の位置を検出)処理が異なる。
実施例2では、印刷ジョブが発生したPCの情報を無線LAN等で検出できる為、実施例1のような、予めメモリに格納する必要も無く、オフィスのレイアウトや席表が変わる度に、データを更新する必要もない。
【0037】
以上の制御により、印刷ジョブ実行者は、固定の席(自席)又はデスクトップPCからではなく、ノートPCからの印刷でも、印刷機前でのユーザ認証操作時間や、印刷処理の待ち時間を削減することができる。
【実施例3】
【0038】
図4は、本発明にかかる画像形成装置の他の実施例の実施例を示すセキュリティ印刷機の構成図である。
同図に示す画像形成装置としてのセキュリティ印刷機は、実施例1に示した構成に、動線算出部300、及び排紙トレイに設置したセンサ301、302を追加した構成となっている。
【0039】
すなわち、同図に示す画像形成装置としてのセキュリティ印刷機は、ユーザPCに接続される制御部001、操作パネル部009、プリンタ部011、排紙トレイA012、排紙トレイB013、及びセンサ301、302を有する。
【0040】
動線算出部300(例えば、特開2002−245496号公報、特開平8−267782号公報参照)は、印刷ジョブを実行したユーザが印刷ジョブ開始後、自席からどのくらいの時間で印刷機の用紙を取りに来たかの履歴を記録することで、ユーザによって印刷ジョブ実行から印刷物を取りにくるまでの時間の算出式を修正する機能を有する。
センサ301、302は、用紙の有り無し を検知するセンサ(例えば反射型光学センサ)であり、印刷ジョブ実行者が自席から印刷物を取りに来るまでの時間を動線算出部300にフィードバックする機能を有する。
【0041】
制御フロー図は実施例1と変わらないが、S103(印刷ジョブ実行者が印刷機まで来るのにかかる到達時間Taを算出)処理が異なる。
実施例3では、印刷ジョブ実行者の動線に着目した。個人によって、歩くスピードや印刷を実行してから自席から印刷物を取りに行くまでの時間は異なる為、より正確に時間Taを算出するために、動線検出部300と、センサ301、302とを追加したものである。
また、一定時間経過後、印刷物が排紙トレイA012もしくは排紙トレイB013に放置されたままの場合(排紙トレイ012、013上のセンサ301、302により検知できる)、印刷ジョブ実行者のPCに印刷物を取りに行く旨を表示する機能を有する。
【0042】
以上の制御により、印刷ジョブ実行者の個人差をなくし、より正確な到達時間Taを算出できるため、印刷機前でのユーザ認証操作時間や、印刷処理の待ち時間を削減することができる。
【実施例4】
【0043】
図5は、本発明にかかる画像形成装置の他の実施例としてのセキュリティ印刷機の構成図である。
本実施例の構成は、実施例1の構成に、セキュリティレベル決定部400、ユーザ認証部010、鍵付き排紙トレイ014、015を追加した構成となっている。
【0044】
すなわち、本画像形成装置としてのセキュリティ印刷機は、ユーザPCに接続される制御部001、操作パネル部009、ユーザ認証部010、プリンタ部011、排紙トレイA012、排紙トレイB013、鍵付き排紙トレイC014、鍵付き排紙トレイD015を有する。
【0045】
制御部001は、プリントデータ生成部002、画像処理部003、メモリ004、SCN IF005、LAN IF006、USB IF007、FAX IF008、印刷時間演算部100、及びセキュリティレベル決定部400を有する。
【0046】
セキュリティレベル決定部400は、印刷ジョブ実行者によって印刷ジョブ実行時に設定するもので、設定されたセキュリティレベルによって、印刷機は印刷方法を変更する機能を有する。
ユーザ認証部010は、印刷ジョブ実行者が印刷機上で認証操作を行う機能を有する。
鍵付き排紙トレイC014、鍵付き排紙トレイD015は、印刷ジョブ実行者が印刷機上で認証するまで施錠されており、認証後、開錠する機能を有する。
【実施例5】
【0047】
図6は、本発明に係る画像形成装置の他の実施例としてのセキュリティ印刷の制御フロー図である。
同図において、制御の主体は制御部001である。
印刷ジョブ実行者は、はじめにセキュリティレベルを設定する(S402)。
その後、ジョブを実行すると(S403)、印刷機は、予め格納したオフィス等の席の配置のデータをメモリ004から呼び出し、印刷ジョブ者の席と印刷機との間の距離を算出し(S404)、印刷ジョブ者が自席から印刷機まで来るのにかかる時間Taを演算する(S405)。
また、印刷機は印刷時間Tbも算出し(S406)、ジョブ実行者のPC等にTb-Ta経過後に印刷物を引き取り来るように通知し(S407)、印刷機はTa-Tbの時間を待った後に印刷を開始する(S408)。
実施例1と同様、Ta-Tb又は、Tb-Taがマイナスの場合、即座に印刷を実行する。
印刷後、セキュリティレベルが"高"であるか否かを判断し、セキュリティレベルが"高"であれば(S409/Y)、印刷物を鍵付き排紙トレイC014、もしくは鍵付き排紙トレイD015に排出する(S410)。セキュリティレベルが"高"でなければ(S409/N)、印刷物を鍵無しの通常の排紙トレイA012もしくは排紙トレイB013に排出する(S412)。ユーザ認証部010がユーザ認証OKか否かを判断し、OKでない場合(S411/N)待機し、OKの場合、すなわち印刷ジョブ実行者が印刷機上の認証操作実施後、問題なければ(S411/Y)、印刷ジョブ者が開錠し、用紙を取り出すことができる(S413)。
印刷後、セキュリティレベルが"中"であれば(S409/N)、印刷物を鍵無しの通常の排紙トレイA012もしくは排紙トレイB013に排出し(S412)、印刷ジョブ者としてのユーザは用紙を取り出すことができる(S413)。
【0048】
ここで、セキュリティレベル"高"、"中"、"低"について述べる。
"中"は、セキュリティ性を大きくケアしない文書(例えば 社外秘文書)のレベルとし、"高"は、セキュリティ性を重視する文書(例えばマル秘(社内でも特定の位の者しか閲覧できない文書)のレベルとし、"低"は、セキュイリティ性が不要な文書(例えば、ネット情報の印刷など)のレベルとした。
【0049】
以上の制御により、印刷物が排出されたとほぼ同時に、印刷ジョブ実行者は用紙を取り出せる、且つ、鍵付き排紙トレイによる認証処理を実行するので、「よりセキュリティ性の高い印刷」、「印刷待ち時間が発生しない」セキュリティプリントが可能となる。
【0050】
<プログラム>
以上で説明した本発明にかかる画像形成装置は、コンピュータで処理を実行させるプログラムによって実現されている。コンピュータとしては、例えばパーソナルコンピュータやワークステーションなどの汎用的なものが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。よって、一例として、プログラムにより本発明を実現する場合の説明を以下で行う。
【0051】
例えば、
画像形成装置のコンピュータに、
メモリが、印刷ジョブ実行者の位置情報を格納する手順、
距離演算部が、印刷ジョブ実行者と印刷機との間の距離を算出する手順、
到達時間演算部が、印刷ジョブ実行者が自席から印刷機に到達するまでにかかる到達時間Taを算出する手順、
印刷時間演算部が、印刷ジョブの印刷時間Tbを算出する手順、
通知手段が、印刷時間Tbを含む情報を印刷ジョブ実行者のPCに通知する手順、
時刻演算部が、到達時間Taと印刷時間Tbとの関係から印刷ジョブ実行者が自席を立つ時刻を算出する手順、
ジョブ実行者のPCが、印刷時間Tbを含む情報を表示する手順、
印刷開始時刻算出部が、印刷開始の時刻を算出する手順、
印刷機が、印刷開始時刻に印刷を実行する手順、
を実行させるプログラムが挙げられる。
【0052】
これにより、プログラムが実行可能なコンピュータ環境さえあれば、どこにおいても本発明にかかる画像形成装置を実現することができる。
このようなプログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0053】
<記憶媒体>
ここで、記憶媒体としては、例えば、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(CD Recordable)などのコンピュータで読み取り可能な記憶媒体、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、FeRAM(強誘電体メモリ)等の半導体メモリやHDD(Hard Disc Drive)が挙げられる。
【0054】
<作用効果>
印刷ジョブ実行者の自席からプリンタと間の距離から、印刷物を出力するタイミングを算出する機能を有することで、高いセキュリティ性の確保と、印刷待ち時間を削減の両立ができる。
印刷ジョブ実行者とプリンタとの間の距離から、印刷物を出力するタイミングを算出する機能を有するので、高いセキュリティ性の確保と、印刷待ち時間を削減の両立ができる。
印刷ジョブ実行者のPCに例えばGPS等の無線LANによる位置検出機器を搭載することで、印刷実行〜印刷物取り出しまでにかかる時間をより正確に算出できるので、高いセキュリティ性の確保と、印刷待ち時間を削減の両立ができる。
印刷ジョブ実行者のPCからの印刷実行〜印刷物取り出しまでにかかる時間のログを記憶し、登録した印刷ジョブ実行者のかかる時間をより正確に算出できるので、高いセキュリティ性の確保と、印刷待ち時間を削減の両立ができる。
セキュリティレベルを複数設け、上記算出時間によって印刷した文書を、高セキュリティ文書は鍵付きの排紙トレイに格納し、中セキュリティ文書は、鍵無し排紙トレイに排出するので、高いセキュリティ性の確保と、印刷待ち時間を削減の両立ができる。
【0055】
すなわち、印刷ジョブ実行者が印刷機前で待つことなく、印刷物の放置時間もない、セキュリティ性の高い印刷が可能となる。
印刷実行〜印刷物取り出しまでにかかる時間をより正確に算出できる。
実測定により算出の補正を行い、印刷実行〜印刷物取り出しまでにかかる時間をより正確に算出できる。
印刷ジョブ実行者毎の個人差をなくし、印刷実行〜印刷物取り出しまでにかかる時間をより正確に算出できる。
さらなる高セキュリティ対応セキュリティ性の向上(他の印刷を実行した周囲の者から注意を促すことも可能である。PC上に大きな通知を実現することで、印刷物の取り忘れが少なくなる。高速表示することで、印刷ジョブ実行者へより正確な通知を実現できる。
【0056】
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0057】
001 制御部
002 プリントデータ生成部
003 画像処理部
004 メモリ
005 SCN IF
006 LAN IF
007 USB IF
008 FAX IF
009 操作パネル部
011 プリンタ部
012 排紙トレイA
013 排紙トレイB
014 鍵付き排紙トレイC
015 鍵付き排紙トレイD
30 FAX
40 PSU
100 印刷時間演算部
101 OPU IF
102 SCN IF
103 ENG IF
104 LAN IF
105 USB2.0(D)
106 USB2.0(H)
107 FAX IF
200 位置検出部
300 動線算出部
301、302 センサ
400 セキュリティレベル決定部
500 スキャナ
600 パネル(Panel)
601 LCD
602 操作ボタン
700a〜700g 排紙トレイ
800 給紙トレイ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2010−189123号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブ実行者の位置情報を格納するメモリと、
前記印刷ジョブ実行者と印刷機との間の距離を算出する距離演算部と、
前記印刷ジョブ実行者が自席から前記印刷機に到達するまでにかかる到達時間Taを算出する到達時間演算部と、
前記印刷ジョブの印刷時間Tbを算出する印刷時間演算部と、
前記印刷時間Tbを含む情報を、前記印刷ジョブ実行者のPCに通知する通知手段と、
前記到達時間Taと前記印刷時間Tbとの関係から前記印刷ジョブ実行者が前記自席を立つ時刻を算出する時刻演算部と、
前記印刷時間Tbを含む情報を表示する前記ジョブ実行者のPCと、
印刷開始の時刻を算出する印刷開始時刻算出部と、
該印刷開始時刻に印刷を実行する印刷機と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記印刷ジョブ実行者の位置情報を検出する検出手段を備え、印刷ジョブ実行者の位置を算出するようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、
排紙トレイ上に設置されたセンサを備え、印刷物が取り出されることを検出することで、別途設けた動線算出部により、印刷ジョブ実行から印刷物取り出しまでの時間を測定するようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像形成装置において、
印刷ジョブ実行者情報を前記印刷機に登録し、印刷ジョブ実行者毎の個人差の履歴を格納するメモリを備え、他の動線算出部により印刷タイミングの調節するようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1記載の画像形成装置において、
ユーザ認証機能部、鍵付き排紙トレイ、及びセキュリティレベル決定部を設け、高セキュリティレベルの場合には前記鍵付き排紙トレイへ排紙し、中セキュリティレベルの場合には前記鍵無し排紙トレイへ排紙するようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1記載の画像形成装置において、
排紙トレイに印刷物が載置されてから一定時間を経過しても前記印刷物が載置されている場合には、操作パネル部に、印刷ジョブ実行者の少なくとも氏名を表示するようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項3または4記載の画像形成装置において、
排紙トレイに印刷物が載置されてから一定時間を経過しても前記印刷物が載置されている場合には、印刷ジョブ実行者のPCに前記印刷物の引き取りを促す旨を表示するようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項記載の画像形成装置において、
印刷ジョブ実行者のPC上に通常のフォントサイズより大きなフォントサイズの文字で通知を表示することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項記載の画像形成装置において、
各演算部及びセンサをより高周波数化し、印刷ジョブ実行者のPCに、該印刷ジョブ実行者が自席から印刷機へ向かうまでの時間をリアルタイムに表示することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
画像形成装置のコンピュータに、
メモリが、印刷ジョブ実行者の位置情報を格納する手順、
距離演算部が、前記印刷ジョブ実行者と印刷機との間の距離を算出する手順、
到達時間演算部が、前記印刷ジョブ実行者が自席から前記印刷機に到達するまでにかかる到達時間Taを算出する手順、
印刷時間演算部が、前記印刷ジョブの印刷時間Tbを算出する手順、
通知手段が、前記印刷時間Tbを含む情報を、前記印刷ジョブ実行者のPCに通知する手順、
時刻演算部が、前記到達時間Taと前記印刷時間Tbとの関係から前記印刷ジョブ実行者が前記自席を立つ時刻を算出する手順、
前記ジョブ実行者のPCが、前記印刷時間Tbを含む情報を表示する手順、
印刷開始時刻算出部が、印刷開始の時刻を算出する手順、
印刷機が、該印刷開始時刻に印刷を実行する手順、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−95118(P2013−95118A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242715(P2011−242715)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】