説明

画像形成装置及びプロセスカートリッジ

【課題】潤滑剤塗布方式を市場でのユーザの使用状況に対して最適化する。
【解決手段】像担持体8と、像担持体8の表面に当接して異物を清掃するクリーニング部材31と、像担持体8に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部材43と、少なくともクリーニング部材31、潤滑剤供給部材43及び像担持体8を支持する枠体30と、を備えるクリーニング装置11と、を備え、枠体30は、潤滑剤供給部材43を配置するための領域50を、クリーニング部材31よりも像担持体8の回転方向上流側及び下流側に備え、潤滑剤供給部材43は、各領域の何れかに配置可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセスを用いた画像形成装置に関し、特に画像形成装置の感光体に対する潤滑剤の塗布形式に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスを用いた画像形成装置においては、像担持体(例えば光導電性の感光体)に対して帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程を施すことにより画像形成が行われる。
そして転写工程後に感光体表面に残る残留トナーや紙粉等の残留物はクリーニングプロセスを経て除去される。
また、一般に用いられるクリーニング方式としては、安価かつ機構が簡単でクリーニング性に優れたゴムやポリウレタンからなるクリーニングブレードが用いられている。
また、感光体には帯電やクリーニングブレードから保護するため、例えば特許文献1に記載のように潤滑剤を塗布することが知られている。
しかし、画像形成装置はユーザによって使用条件に偏りがあり、市場での使われ方に対してその潤滑剤の塗布方法を最適化することは困難である。
【0003】
特許文献1には、感光体に潤滑剤の塗布部材を押し付けるスプリングの押圧量を変化させることで、塗布量を変化させることは記載されているが、潤滑剤の塗布という点においては、例えば、後述するようにユーザによる使用条件の違いによって、求められるクリーニング性やコストも異なってくるという問題がある。
一般的に、クリーニングブレードでクリーニング後に、クリーニングブレードの下流側で潤滑剤を塗布することで、クリーニング性やクリーニングブレードの寿命は向上するが、塗布後の潤滑剤の厚みを均すための均し部材が必要となるために高コストとなり、逆にクリーニングブレードによるクリーニング前に、クリーニングブレードの上流側で潤滑剤を塗布すれば、クリーニングブレードが潤滑剤の均し部材を兼ねるために、クリーニング性やクリーニングブレードの寿命は犠牲となるが、均し部材を省ける分コストを抑えることが出来る。
例えば図や文章から構成される一般的なオフィス文書のような低画像面積率の出力を主に行うユーザの場合、高いクリーニング性は不要であり、潤滑剤をクリーニング部材の上流で塗布する方式または潤滑剤を使用しない方式のように安価な構成で十分な機能を得ることができるが、ポスターやチラシなどのような高画像面積の出力を主に行うユーザの場合、高価な構成ではあるが高いクリーニング性を持つ潤滑剤をクリーニング部材の下流で塗布する方式が必要となってくる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、潤滑剤塗布部材を設ける位置を変える(潤滑剤塗布方式を変える)ことでユーザの使用条件に合わせてクリーニング性等を調整することは出来るが、かかる潤滑剤塗布方式(クリーニングブレードの上流側か、下流側か)をユーザの使用状況に対して最適化することは困難であった。すなわち、後から使用状況に合わせて潤滑剤塗布部材の位置を変更したりする等の調整は現状では困難であった。
本発明は、以上の課題を鑑みて、潤滑剤塗布部材を設ける位置を変更可能として潤滑剤の塗布方式を市場でのユーザの使用状況に対して最適化することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、請求項1の発明は、像担持体と、該像担持体の表面に当接して異物を清掃するクリーニング部材と、前記像担持体に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部材と、少なくとも前記クリーニング部材、前記潤滑剤供給部材及び前記像担持体を支持する枠体と、を備えるクリーニング装置と、を備え、前記枠体は、前記潤滑剤供給部材を配置するための領域を、前記クリーニング部材よりも前記像担持体の回転方向上流側及び下流側に備え、前記潤滑剤供給部材は、各領域の何れかに配置可能である画像形成装置を特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記潤滑剤供給部材を前記クリーニング部材よりも前記像担持体の回転方向下流側の前記領域に配置した場合、前記クリーニング部材よりも前記像担持体の回転方向下流側に、前記像担持体に当接して前記潤滑剤供給部材によって塗布された潤滑剤の厚みを均す潤滑剤均し部材を前記枠体に設ける画像形成装置を特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記潤滑剤供給部材を前記クリーニング部材よりも前記像担持体の回転方向上流側の前記領域に配置した場合は、前記クリーニング部材が、前記潤滑剤供給部材により塗布された潤滑剤の厚みを均す画像形成装置を特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像形成装置において、前記潤滑剤は、少なくとも脂肪酸金属塩を含む画像形成装置を特徴とする。
【0006】
また、請求項5の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像形成装置において、前記潤滑剤は、少なくとも無機潤滑剤を使用する画像形成装置を特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像形成装置において、脂肪酸金属塩と無機潤滑剤の両方を含む潤滑剤を像担持体に供給する画像形成装置を特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項4又は6に記載の画像形成装置において、前記脂肪酸金属塩はステアリン酸亜鉛である画像形成装置を特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項5又は6に記載の画像形成装置において、前記無機潤滑剤は窒化ホウ素である画像形成装置を特徴とする。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8の何れか一項に記載の画像形成装置に着脱され、少なくとも前記像担持体及び前記クリーニング装置を含むプロセスカートリッジを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記のように構成したので、本発明によれば、潤滑剤供給部材の位置を、クリーニング部材よりも上流とするか下流とするかを選択可能であるため、例えばブラックのクリーニング装置には、高コストであるが長寿命化が可能な潤滑剤供給部材の位置がクリーニング部材よりも下流に設ける方式を用い、カラーのクリーニング装置には、寿命は短いが低コスト化が可能な潤滑剤供給部材がクリーニング部材よりも上流にある方式を用いるなど最適な方式を選択できるため、潤滑剤塗布方式を市場でのユーザの使用状況に対して最適化することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置であるカラープリンタを概略的に示す縦断側面図。
【図2】図1に示す本体ケースに設けられている側面カバーを開放した状態を示す斜視図。
【図3】本発明の実施の形態にかかるプロセスカートリッジの例を示す図(その1)。
【図4】本発明の実施の形態にかかるプロセスカートリッジの例を示す図(その2)。
【図5】本発明の実施の形態にかかるプロセスカートリッジの例を示す図(その3)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置であるカラープリンタを概略的に示す縦断側面図である。
カラープリンタ1の本体ケース2内には、プリンタエンジン3、光ビームを出射する光書込装置4、被転写体である記録媒体Pを収納する記録媒体収納部である給紙カセット5、トナー画像が転写された記録媒体Pを定着処理する定着装置6、トナー画像を転写した後に発生した廃トナーを回収する廃トナー回収容器7等が設けられている。
プリンタエンジン3は、トナー画像を形成し、形成したトナー画像を記録媒体Pに転写する部分であり、像担持体である4つの感光体8(8Y、8C、8M、8K)、各感光体8の周囲に配置された帯電装置である帯電ローラ9、現像装置10、後述する図3に示すようにブラックのクリーニング装置であって潤滑剤供給部材の位置がクリーニング部材よりも下流のクリーニング装置11K、同じく後述する図4に示すように、カラーのクリーニング装置で潤滑剤供給部材の位置がクリーニング部材よりも上流のクリーニング装置11M(C、Y)、一次転写ローラ12、像担持体及び被転写体である中間転写ベルト13、転写装置である二次転写ローラ14、中間転写ベルトクリーニング装置15等により構成されている。ここで、本明細書及び図面の記載において、Y、C、M、Kの添え字は、各々イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの色を示しており、これらの添え字は必要に応じて割愛する。
【0010】
図1のようなカラープリンタの例においては、単色トナーによる作像を行う場合に該当する感光体のみが回転し作像する単色作像モードを持つことで、作像時の動作部品数を少なくし、省エネルギーかつ低ランニングコストな装置となる。特に他の色に比べて単色での出力比率が高いブラック単色作像モードを持つことで、大幅に省エネルギーかつ低ランニングコストな装置となる。
一般的に省エネルギー・低ランニングコストであるブラック単色画像形成モードでの使用率は高くなりやすく、ブラックの感光体8Kの回転時間(使用量)は他の色の感光体に比べて多くなる傾向にある。
そこで、図1の例においては、ブラックのクリーニング装置11Kに、高コストであるが長寿命化が可能な、潤滑剤供給部材の位置がクリーニング部材よりも下流にある方式を用いている。
【0011】
一方、MCYのクリーニング装置11には、前述の方式に比べて寿命は短いが低コスト化が可能な、潤滑剤供給部材がクリーニング部材よりも上流にある方式を用いている。
この場合、MCYのクリーニング装置の寿命を長くし、市場での交換回数を減らすことでメンテナンスコストを大きく抑えることが可能となる。
MCYのクリーニング装置に関しては、ブランク単色作像モードの関係で使用比率が下がるため、上記のように寿命が短い構成であってもブラックのクリーニング装置と同等の交換タイミングとすることが可能であり、メンテナンスコストを上げることなく装置コストのみを下げることが可能となる。
【0012】
感光体8は、円筒状に形成されて駆動モータ(図示せず)が連結され、駆動モータからの駆動力により中心線回りに回転する。感光体8の外周面には静電潜像が形成される感光層が設けられている。
帯電ローラ9は、感光体8の外周面に当接して配置され、又は、感光体8の外周面と微小な隙間をもって配置されている。この帯電ローラ9に対して電源部(図示せず)から電圧が印加されることにより、帯電ローラ9と感光体8との間でコロナ放電が発生し、感光体8の外周面が一様に帯電される。
光書込装置4は、画像データに応じた光ビームを出射し、一様に帯電された感光体8の外周面を露光する。この露光により、感光体8の外周面に画像データに応じた静電潜像が形成される。
【0013】
現像装置10は、感光体8に対してトナーを供給する。供給されたトナーは感光体8の外周面に形成されている静電潜像に付着し、感光体8の外周面上の静電潜像がトナー画像として顕像化される。
中間転写ベルト13は、樹脂フィルム又はゴムを基体として形成されたループ状のベルトであり、駆動ローラ16と入口ローラ17とテンションローラ18との回りに巻回され、駆動モータ(図示せず)に連結された駆動ローラ16が回転駆動されることにより矢印A方向に回転する。入口ローラ17とテンションローラ18とは、中間転写ベルト13が矢印A方向へ回転することにより中間転写ベルト13との摩擦力によって従動回転する。
一次転写ローラ12は中間転写ベルト13の内周面側(ループの内側)に配置されており、これらの一次転写ローラ12に転写用電圧が印加されることによって各感光体8上のトナー画像が中間転写ベルト13上に転写される。各感光体8上に形成されたトナー画像は中間転写ベルト13上に順次転写されて重ね合わされ、中間転写ベルト13上にはカラーのトナー画像が形成される。
【0014】
各クリーニング装置11は、トナー画像が中間転写ベルト13に転写された後の感光体8の外周面をクリーニングする。このクリーニングによって、トナー画像が中間転写ベルト13に転写された後に感光体8の外周面上に残留しているトナーや紙粉等が廃トナーとして回収される。
中間転写ベルト13上に形成されたカラーのトナー画像は、中間転写ベルト13と二次転写ローラ14とが当接された転写位置に記録媒体Pが送り込まれたタイミングで二次転写ローラ14に転写用電圧が印加されることにより、記録媒体Pに転写される。記録媒体Pは、給紙カセット5内から給紙されて搬送ローラ19やレジストローラ20により搬送され、トナー画像を転写された後に定着装置6に送り込まれる。トナー画像が転写された記録媒体Pは定着装置6内で熱と圧力とを加えられて定着処理され、この定着処理により溶融したトナー画像が記録媒体Pに定着される。定着処理が終了した記録媒体Pは本体ケース2の上面部に形成されている排紙トレイ21上に排紙される。
【0015】
中間転写ベルトクリーニング装置15は、カラーのトナー画像が記録媒体Pに転写された後の中間転写ベルト13の外周面をクリーニングする。このクリーニングによって、トナー画像の転写後に中間転写ベルト13の外周面上に残留したトナーや紙粉等が廃トナーとして回収される。
廃トナー回収容器7は、クリーニング装置11、15で回収された廃トナーがクリーニング装置11、15から投入され、投入された廃トナーを貯溜する部分である。廃トナー回収容器7は本体ケース2に対して着脱可能に取付けられており、廃トナー回収容器7内の廃トナーが満杯状態に近付いた場合に本体ケース2から取り外され、空の廃トナー回収容器7が取付けられる。
【0016】
プリンタエンジン3の構成部材である感光体8と、各感光体8の周囲に配置された帯電ローラ9と現像装置10とクリーニング装置11とはユニット化してケース22内に収納され、プロセスカートリッジ23(23Y、23C、23M、23K)が形成されている。各プロセスカートリッジ23は本体ケース2内に着脱可能に装着されている。感光体8と帯電ローラ9と現像装置10とクリーニング装置11とがプロセスカートリッジ23としてユニット化されることにより、交換やメンテナンスの作業が容易になり、また、各部材間の位置精度を高精度の維持することができ、形成される画像品質の向上を図ることができる。なお、本実施の形態では、感光体8と帯電ローラ9と現像装置10とクリーニング装置11とはユニット化したプロセスカートリッジ23を例に挙げて説明したが、プロセスカートリッジの構成としては様々のものがあり、例えば、帯電ローラ9、現像装置10、クリーニング装置11の少なくとも一つと感光体8とをケース内に収納してユニット化したものが挙げられる。
【0017】
図2は、本体ケース2に設けられている側面カバー24を開放した状態を示す斜視図である。
側面カバー24を開放することにより、プリンタエンジン3と廃トナー回収容器7とが現われ、プロセスカートリッジ23や中間転写ベルト13及び廃トナー回収容器7の交換等やその他のメンテナンスを行うことができる。中間転写ベルト13とローラ16、17、18とクリーニング装置15とは、ベルトケース13a内に収納されてユニット化されている。
【0018】
図3、4、5は本発明の実施の形態にかかるプロセスカートリッジの例を示す図である。
図3、4、5は同じ枠体を用いており、また、固形潤滑剤40を設置する潤滑剤設置箇所50をクリーニングブレード31の上流(図3)と下流(図4)の両側に設け、設置箇所のどちらにも固形潤滑剤40を設置できるようになっている。
また、図4に示す場合のように潤滑剤均しブレード44は取り外すこともできる。
潤滑剤供給部材(ブラシローラ44)をクリーニング部材(クリーニングブレード31)の像担持体回転方向の上流側および下流側のどちらでも配置可能であることで、ユーザの使用状況による塗布方式を選択することができる。
【0019】
第1の例として、図3においては、プロセスカートリッジは、枠体30内に、感光体8、感光体8上に付着した転写残トナー等を除去するクリーニングブレード31(クリーニング部材)、クリーニングブレード31で掻き取った転写残トナー等の飛散を防止する飛散防止シート39、転写残トナー等を搬送する粉体搬送コイル32、固形潤滑剤40、固形潤滑剤を保持する固形潤滑剤保持部材41、固形潤滑剤を削って感光体8に塗布するブラシローラ43(潤滑剤削り兼潤滑剤供給部材)、固形潤滑剤をブラシローラ43に対して押圧する潤滑剤押圧バネ42、感光体8に供給された潤滑剤を均して薄膜塗布する潤滑剤均しブレード44(潤滑剤均し部材)、帯電ローラ9を感光体8に対して押圧する帯電ローラ押圧バネ36、帯電ローラ9の表面をクリーニングする帯電クリーナローラ37、帯電クリーナローラ37を帯電ローラ9に対して押圧する帯電クリーナローラ押圧バネ38と、を備えた構成である。
【0020】
図3におけるブラシローラ43の回転方向は限定されるものではなく、固形潤滑剤40の配置も限定されるものではない。
図3のレイアウトの場合、固形潤滑剤40はクリーニングブレード31の下流で塗布される方式であり、ブレードを二枚(クリーニングブレード31、潤滑剤均しブレード44)用いた構成である。
この構成では、クリーニングブレード31でクリーニング後の感光体8の表面に潤滑剤供給部材(ブラシローラ40)で潤滑剤を供給するようにしたことで転写残トナー等の異物の影響なく潤滑剤をムラなく供給することが可能になる。
これにより、ユーザの使用条件の中で転写残トナーが最も多くなる高画像面積の連続出力の条件においても感光体8表面に潤滑剤をムラなく供給することが可能となりクリーニングブレード31の機能を損なわずにクリーニング不良による通紙方向のスジ状汚れ画像の発生を抑えることが可能となる(クリーニングの高機能化・高信頼化)。
また、感光体8にムラなく潤滑剤を塗布することで、同時にクリーニングブレードの寿命も長寿命化に繋がる(クリーニングの長寿命化)。
しかしながら、クリーニングブレード31の下流で固形潤滑剤40を塗布するために、固形潤滑剤40の厚みを均すための潤滑剤均しブレード44が必要となり、その分だけコストは増加してしまう。
【0021】
図4は、固形潤滑剤40がクリーニングブレード31の上流で塗布される方式で、ブレードが一枚(クリーニングブレード31)用いられている。
一般的なオフィス文書のような低画像面積率の出力を主に行うユーザの場合、高いクリーニング性は不要であり、潤滑剤をクリーニング部材の上流で塗布する方式または潤滑剤を使用しない方式のような安価な構成で十分な機能を得ることができる。
すなわち、図4の構成では、クリーニングローラ43により潤滑剤を塗布した後で、クリーニングブレード31によりクリーニング及び潤滑剤の均しの双方を行うために、図3の場合に必要であった潤滑剤均しブレード44が不要となって図3に比べて低コスト化するが、潤滑剤は満遍なく塗布されないためにクリーニングブレード31の寿命が低下するとともにクリーニング性も低下する。
【0022】
また、図5は固形潤滑剤を配置しない方式でクリーニング性は低いが、コストを抑えることができる。
このように、使われ方に合わせて潤滑剤塗布方式を選定することでユーザの使用状況に合わせて最適なプロセスカートリッジを供給でき、かつ同じ枠体を使用することが可能なため安価であり、かつメンテナンス性に優れた画像形成装置を提供できる。
さらに、図3、4、5に示す方式は同じ枠体を用いているため枠体をリサイクルし、どの潤滑剤の塗布方式でも再利用することができる。
また、図3、4、5のどの構成を選択することも可能で、ユーザの使用状況に応じて変更することができる。例えば、モノクロ印刷の使用頻度が多いユーザの場合、ブラックを図3の構成にしてクリーニング性を向上させ、カラーは図4の構成にしてコストを軽減させることができる。また、ポスターやチラシなどのような高画像面積の出力を主に行うユーザの場合、カラー比率が高くなるため全色の構成を図3の構成にすることでクリーニング性を高めることができる。
また、本発明の構成はモノクロ機であっても有効である。
【0023】
例えば、クリーニングの機能を損ないやすい高画像面積の連続出力を多用する場合には、図3の構成とし長寿命化とすることでメンテナンスコストおよびランニングコスト低減を図れる。また、一般的なオフィスでの文書出力のように、低画像、間欠出力を多用する場合には、図4または5の構成でクリーニング装置のコストを抑えることでランニングコスト低減を図れる。本発明の構成とすることで、個々のユーザの使用状況によっても簡単にクリーニング装置の交換を行うことも可能であり、ユーザの使用状況に合わせて最適な構成とすることが可能である。
【0024】
本例においては、固形潤滑剤と固形潤滑剤保持板とは貼付けられて一体となっている。
図3、4では、固形潤滑剤を用いているが、本発明の効果は固形潤滑剤に限定されるものではない。例えば粉末の潤滑剤や、固形と粉末の潤滑剤を併用する構成においても同様の効果が得られる。
潤滑剤には下記する脂肪酸金属塩や無機潤滑剤などを使用することで、クリーニング性の高耐久・高信頼・長寿命化を達成できる。
脂肪酸金属塩の例としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレインサン銅、オレイン酸鉛、オレイン酸マンガン、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸コバルト、パルミチン酸鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、カプリル酸鉛、カプリン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸カドミウム及びそれらの混合物があるが、これに限るものではない。また、これらを混合して使用してもよい。本発明においては、中でもステアリン酸亜鉛が特に像担持体への成膜性に優れることから、最も好ましく用いられる。
潤滑剤に脂肪酸金属塩を含有する場合に、特に像担持体の保護、クリーニング不良低減効果が大きい。
【0025】
本発明における無機潤滑剤とは、自身が劈開して潤滑する、或いは内部滑りを起こす無機化合物のことを指す。具体的な物質例としては、タルク・マイカ・窒化ホウ素・二硫化モリブデン・二硫化タングステン・カオリン・スメクタイト・ハイドロタルサイト化合物・フッ化カルシウム・グラファイト・板状アルミナ・セリサイト・合成マイカなどがあるがこれに限るものではない。中でも窒化ホウ素は、原子がしっかりと組み合った六角網面が広い間隔で重なり、層間に働く力は弱いファンデルワールス力のみであるため、容易に劈開、潤滑することから、本発明においては最も好ましく用いられる。
固形潤滑剤に無機潤滑剤を含有する場合に、特にブレードの経時劣化低減効果、帯電ローラの経時劣化低減効果、クリーニング不良低減効果が特に大きい。
さらに、無機潤滑剤の中でも窒化ホウ素を用いる場合に、特にブレードの経時劣化低減効果、帯電ローラの経時劣化低減効果、クリーニング不良低減効果が特に大きい。
なお、これらの無機潤滑剤は疎水性付与等の目的で、必要に応じて表面処理がなされていても良い。
【0026】
また、脂肪酸金属塩と無機潤滑剤の両方を塗布又は付着させる工程を行うことでさらに大きな効果が得られる。すなわち、像担持体と像担持体周辺部品の経時劣化を合わせて改善できることで像担持体を含む周辺部品の寿命向上に非常に大きな効果を得られる。
また、脂肪酸金属塩にステアリン酸亜鉛を無機潤滑剤に窒化ホウ素を用いることで、特に像担持体を含む周辺部品の寿命向上に大きな効果を得られる。
【符号の説明】
【0027】
1 カラープリンタ、2 本体ケース、3 プリンタエンジン、4 光書込装置、5 給紙カセット、6 定着装置、7 廃トナー回収容器、8 感光体、9 帯電ローラ、10 現像装置、11 クリーニング装置、12 一次転写ローラ、13 中間転写ベルト、13a ベルトケース、14 二次転写ローラ、15 クリーニング装置、16 駆動ローラ、17 入口ローラ、18 テンションローラ、19 搬送ローラ、20 レジストローラ、21 排紙トレイ、22 ケース、23 プロセスカートリッジ、24 側面カバー、30 枠体、31 クリーニングブレード、32 粉体搬送コイル、36 帯電ローラ押圧バネ、37 帯電クリーナローラ、38 帯電クリーナローラ押圧バネ、39 飛散防止シート、40 固形潤滑剤、41 固形潤滑剤保持部材、42 潤滑剤押圧バネ、43 ブラシローラ、44 ブレード
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開2009−15034公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
該像担持体の表面に当接して異物を清掃するクリーニング部材と、前記像担持体に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部材と、少なくとも前記クリーニング部材、前記潤滑剤供給部材及び前記像担持体を支持する枠体と、を備えるクリーニング装置と、を備え、
前記枠体は、前記潤滑剤供給部材を配置するための領域を、前記クリーニング部材よりも前記像担持体の回転方向上流側及び下流側に備え、前記潤滑剤供給部材は、各領域の何れかに配置可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記潤滑剤供給部材を前記クリーニング部材よりも前記像担持体の回転方向下流側の前記領域に配置した場合、
前記クリーニング部材よりも前記像担持体の回転方向下流側に、前記像担持体に当接して前記潤滑剤供給部材によって塗布された潤滑剤の厚みを均す潤滑剤均し部材を前記枠体に設けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記潤滑剤供給部材を前記クリーニング部材よりも前記像担持体の回転方向上流側の前記領域に配置した場合は、前記クリーニング部材が、前記潤滑剤供給部材により塗布された潤滑剤の厚みを均すことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像形成装置において、前記潤滑剤は、少なくとも脂肪酸金属塩を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像形成装置において、前記潤滑剤は、少なくとも無機潤滑剤を使用することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像形成装置において、脂肪酸金属塩と無機潤滑剤の両方を含む潤滑剤を像担持体に供給することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項4又は6に記載の画像形成装置において、前記脂肪酸金属塩はステアリン酸亜鉛であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の画像形成装置において、前記無機潤滑剤は窒化ホウ素であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の画像形成装置に着脱され、
少なくとも前記像担持体及び前記クリーニング装置を含むことを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−37753(P2012−37753A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178522(P2010−178522)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】