説明

画像形成装置及び画像定着装置

【課題】簡易な方法でトナーの定着時に発生する臭気を低減することができる画像形成装置、及びそれに用いられる画像定着装置を提供する。
【解決手段】電子写真方式の画像形成装置の画像定着装置において、消臭用触媒を含有する表面層を有する定着部材を備えることにより、簡易な方法でトナーの定着時に発生する臭気を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等に用いられる電子写真方式の画像形成装置、及びそれに用いられる画像定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置では、例えばドラム状に形成された静電荷像担持体の表面を一様に帯電し、この静電荷像担持体の表面を画像情報に基づいて制御された光で露光して静電荷像担持体の表面上に静電荷像を形成し、この静電荷像を静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称する場合がある。)により現像して可視画像(トナー画像)とし、さらにこの可視画像を記録紙等の被転写材に転写し、これを画像定着装置によって定着して画像形成している。
【0003】
画像定着装置には種々の動作原理のものが提案されているが、最も多く採用されているものは、所定の温度に維持された定着ローラと、弾性層が表面に設けられている加圧ローラとの間で被転写材を送りつつ加熱してトナー画像を定着する加熱圧着方式である。この加熱圧着方式の場合、定着ローラ等の定着部材の表面と被転写材上のトナー画像とが加圧下で接触するため、熱効率が極めて良好であり迅速に定着を行うことができる。
【0004】
このようなトナーの熱定着時に、トナーを構成する組成物からの揮発成分が極微量発生することによりわずかながら臭いが発生することがある。この熱定着時の臭い成分の発生を低減するためにこれまで様々な検討がなされてきた。
【0005】
例えば、特許文献1,2にはトナー中の臭い成分を低減することが、特許文献3〜5にはトナー中に脱臭性物質を添加することが、特許文献6,7にはトナー製造の段階で脱臭処理を行うことが、特許文献8,9には画像形成装置にフィルタを取り付けることが、特許文献10には芳香発生手段を画像形成装置に取り付けることがそれぞれ記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開平7−49588号公報
【特許文献2】特開平7−104514号公報
【特許文献3】特開2000−29236号公報
【特許文献4】特開2002−123038号公報
【特許文献5】特開2003−173041号公報
【特許文献6】特開2000−47431号公報
【特許文献7】特開2003−149853号公報
【特許文献8】特開平11−161122号公報
【特許文献9】特開2001−232130号公報
【特許文献10】特開平8−118764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようにこれまでに多くの努力がなされ、トナーの定着時に発生する臭気に関しては問題とならないレベルまで改善されてきているものの、オフィス環境上の問題がさらに厳しくなっており、よりいっそうの低減が求められている。
【0008】
本発明は、簡易な方法でトナーの定着時に発生する臭気を低減することができる画像形成装置、及びそれに用いられる画像定着装置である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、静電荷像担持体と、前記静電荷像担持体の表面を帯電する帯電手段と、前記帯電された静電荷像担持体を露光し画像情報に応じて静電荷像を形成する露光手段と、前記静電荷像をトナーにより現像してトナー画像を形成する現像手段と、前記トナー画像を被転写材に転写する転写手段と、前記被転写材に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を有し、前記定着手段は、消臭用触媒を含有する表面層を有する定着部材を具備する画像形成装置である。
【0010】
また、本発明は、静電荷像担持体と、前記静電荷像担持体の表面を帯電する帯電手段と、前記帯電された静電荷像担持体を露光し画像情報に応じて静電荷像を形成する露光手段と、前記静電荷像をトナーにより現像してトナー画像を形成する現像手段と、前記トナー画像を被転写材に転写する転写手段と、前記被転写材に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を有し、前記定着手段は、消臭用光触媒を含有する表面層を有する定着部材と、前記定着部材表面に光を照射する光照射部材とを具備する画像形成装置である。
【0011】
また、本発明は、静電荷像担持体と、前記静電荷像担持体の表面を帯電する帯電手段と、前記帯電された静電荷像担持体を露光し画像情報に応じて静電荷像を形成する露光手段と、前記静電荷像をトナーにより現像してトナー画像を形成する現像手段と、前記トナー画像を被転写材に転写する転写手段と、を有する画像形成装置において、前記被転写材に転写されたトナー画像を定着する画像定着装置であって、消臭用触媒を含有する表面層を有する定着部材を具備する画像定着装置である。
【0012】
さらに、本発明は、静電荷像担持体と、前記静電荷像担持体の表面を帯電する帯電手段と、前記帯電された静電荷像担持体を露光し画像情報に応じて静電荷像を形成する露光手段と、前記静電荷像をトナーにより現像してトナー画像を形成する現像手段と、前記トナー画像を被転写材に転写する転写手段と、を有する画像形成装置において、前記被転写材に転写されたトナー画像を定着する画像定着装置であって、消臭用光触媒を含有する表面層を有する定着部材と、前記定着部材表面に光を照射する光照射部材とを具備する画像定着装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、電子写真方式の画像形成装置の画像定着装置において、消臭用触媒を含有する表面層を有する定着部材を備えることにより、簡易な方法でトナーの定着時に発生する臭気を低減することができる。
【0014】
また、本発明では、電子写真方式の画像形成装置の画像定着装置において、消臭用光触媒を含有する表面層を有する定着部材と、定着部材表面に光を照射する光照射部材とを備えることにより、簡易な方法でトナーの定着時に発生する臭気を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態について以下説明する。
【0016】
<画像形成装置及び画像定着装置>
本実施形態に係る画像形成装置の一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。画像形成装置1は、帯電部10と、露光部12と、静電荷像担持体である電子写真感光体14と、現像部16と、転写部18と、クリーニング部20と、定着部22とを備える。
【0017】
画像形成装置1において、電子写真感光体14の周囲には、電子写真感光体14の表面を帯電する帯電手段である帯電部10と、帯電された電子写真感光体14を露光し画像情報に応じて静電荷像を形成する露光手段である露光部12と、静電荷像をトナーにより現像してトナー画像を形成する現像手段である現像部16と、電子写真感光体14の表面に形成されたトナー画像を被転写材24の表面に転写する転写手段である転写部18と、転写後の電子写真感光体14表面上に残存したトナーを除去するクリーニング手段であるクリーニング部20とがこの順で配置されている。また、被転写材24に転写されたトナー画像を定着する定着手段(画像定着装置)である定着部22が転写部18の左側に配置されている。
【0018】
本実施形態に係る画像形成装置1の動作について説明する。まず、帯電部10により電子写真感光体14の表面が均一に帯電される。次に、露光部12により電子写真感光体14の表面に光が当てられ、光の当てられた部分の帯電電荷が除去され、画像情報に応じて静電荷像が形成される。その後、静電荷像が現像部16により現像され、電子写真感光体14の表面にトナー画像が形成される。例えば、電子写真感光体14として有機感光体を用い、露光部12としてレーザビーム光を用いたデジタル式電子写真複写機の場合、電子写真感光体14の表面は、帯電部10により負電荷を付与され、レーザビーム光によりドット状にデジタル潜像が形成され、レーザビーム光の当たった部分に現像部16でトナーを付与され可視像化される。この場合、現像部16にはマイナスのバイアスが印加されている。次に転写部18で、用紙等の被転写材24がこのトナー画像に重ねられ、被転写材24の裏側からトナーとは逆極性の電荷が被転写材24に与えられ、静電気力によりトナー画像が被転写材24に転写される。転写されたトナー画像は、定着部22において定着部材により熱及び圧力が加えられ、被転写材24に融着されて定着される。一方、転写されずに電子写真感光体14の表面に残存したトナーはクリーニング部20で除去される。この帯電からクリーニングに至る一連のプロセスで一回のサイクルが終了する。なお、図1において、転写部18で用紙等の被転写材24に直接トナー画像が転写されているが、中間転写体等の転写体を介して転写されても良い。
【0019】
以下、図1の画像形成装置1における帯電手段、静電荷像担持体、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、定着手段について説明する。
【0020】
(帯電手段)
帯電手段である帯電部10としては、例えば、図1に示すようなコロトロンなどの帯電器が用いられるが、これに換えて導電性又は半導電性の帯電ロールを用いることがオゾン発生による悪臭発生がないこと等により望ましい。導電性又は半導電性の帯電ロールを用いた接触型帯電器は、電子写真感光体14に対し、直流電流を印加するか、交流電流を重畳させて印加してもよい。例えばこのような帯電部10により、電子写真感光体14との接触部近傍の微小空間で放電を発生させることにより電子写真感光体14表面を帯電させる。なお、通常は、−300〜−1000Vに帯電される。また前記の導電性又は半導電性の帯電ロールは単層構造あるいは多重構造でも良い。また、帯電ロールの表面をクリーニングする機構を設けてもよい。
【0021】
(静電荷像担持体)
静電荷像担持体は、少なくとも潜像(静電荷像)が形成される機能を有する。静電荷像担持体としては、電子写真感光体が好適に挙げられる。電子写真感光体14は、円筒状の導電性の基体外周面に有機感光体等を含む塗膜を有する。塗膜は、基体上に、必要に応じて下引き層、及び、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを含む感光層がこの順序で形成されたものである。電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は逆であってもよい。これらは、電荷発生物質と電荷輸送物質とを別個の層(電荷発生層、電荷輸送層)に含有させて積層した積層型感光体であるが、電荷発生物質と電荷輸送物質との双方を同一の層に含む単層型感光体であってもよく、好ましくは積層型感光体である。また、下引き層と感光層との間に中間層を有していてもよい。また、有機感光体に限らずアモルファスシリコン感光膜等他の種類の感光層を使用してもよい。
【0022】
(露光手段)
露光手段である露光部12としては、特に制限はなく、例えば、静電荷像担持体表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光源を、所望の像様に露光できる光学系機器等が挙げられる。
【0023】
(現像手段)
現像手段である現像部16は、静電荷像担持体上に形成された潜像を静電荷像現像用トナーを含む1成分現像剤あるいは2成分現像剤により現像してトナー画像を形成する機能を有する。そのような現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、静電荷像現像用トナーをブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体14に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。電子写真感光体14には、通常直流電圧が使用されるが、更に交流電圧を重畳させて使用してもよい。
【0024】
現像部16に用いられる静電荷像現像用トナーは不定形トナーも用いることができるが、高画質化の観点からは球形トナーが好ましい。球形トナーを得る方法としては、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法、あるいは結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等を使用できる。また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法など、公知の方法を使用することができるが、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が好ましく、乳化重合凝集法が特に好ましい。また、後述するように、外添剤としてアナターゼ型酸化チタン等を一部含有させることが好ましい。
【0025】
(転写手段)
転写手段である転写部18としては、例えば、図1に示すような被転写材24の裏側からトナーとは逆極性の電荷を被転写材24に与え、静電気力によりトナー画像を被転写材24に転写するもの、あるいは被転写材24の表面に被転写材24を介して直接接触して転写する導電性又は半導電性のロール等を用いた転写ロール及び転写ロール押圧装置を用いることができる。転写ロールには、静電荷像担持体に付与する転写電流として、直流電流を印加してもよいし、交流電流を重畳させて印加してもよい。転写ロールは、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)等により、任意に設定することができる。また、低コスト化のため、転写ロールとして単層の発泡ロール等が好適に用いられる。転写方式としては、紙等の被転写材24に直接転写する方式でも、中間転写体を介して被転写材24に転写する方式でもよい。
【0026】
中間転写体としては、公知の中間転写体を用いることができる。中間転写体に用いられる材料としては、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンフタレート、PC/ポリアルキレンテレフタレート(PAT)のブレンド材料、エチレンテトラフロロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料等が挙げられるが、機械的強度の観点から熱硬化ポリイミド樹脂を用いた中間転写ベルトが好ましい。
【0027】
(クリーニング手段)
クリーニング手段であるクリーニング部20については、静電荷像担持体上の残留トナーを清掃するものであれば、ブレードクリーニング方式、ブラシクリーニング方式、ロールクリーニング方式を採用したもの等、適宜選定して差し支えない。これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。中でも、耐摩耗性に優れていることから、特にポリウレタン弾性体を用いることが好ましい。但し、転写効率の高いトナーを使用する場合にはクリーニング部20を使用しない態様もありえる。
【0028】
(被転写材)
トナー画像を転写する被転写材(用紙)24としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、被転写材の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
【0029】
(定着手段)
定着手段(画像定着装置)である定着部22としては、被転写材24に転写されたトナー像を加熱、加圧あるいは加熱加圧により定着するものであり、消臭用触媒を含有する表面層を有する定着部材を具備する。これにより、トナーに特別な処理を施すことなく、トナーの定着時に発生する臭気を低減することができる。
【0030】
本実施形態において、定着手段(画像定着装置)としては、円筒状心金に少なくとも弾性層を被覆し、内部に熱源が配された定着部材である加熱ロールと、これに当接してニップ部を形成する、円筒状心金に少なくとも弾性層が被覆された加圧ロールと、から構成される2ロール定着方式の定着装置、及び、当該2ロール定着装置における加圧ロール側が無端状の加圧ベルトに取って代わり、当該加圧ベルトが加熱ロールに所定角度巻き付けられ、長いニップ時間を確保することができるベルトニップ方式の定着装置等が挙げられる。2ロール定着装置は、他の加熱定着法である熱風定着方式やオーブン定着方式と較べて熱効率が高く、低電力化が図られ、かつ高速性に優れる。一方、ベルトニップ方式の定着装置は、インスタントスタート性(スイッチオンから定着可能な温度になるまでの時間が短いこと)、省エネルギ性等に優れる。ベルトニップ方式には、加熱側の駆動部材が加熱ロールであるロール−ベルトニップ方式のほか、加熱側の駆動部材もエンドレスベルトであるベルト−ベルトニップ方式等がある。また、加熱ロールに対して押圧部材で加圧ベルトを押圧してニップ部を形成し、加圧ベルトを張架させないでフリーの状態としておくフリーベルトニップ方式は、加圧ベルトの張力制御が不要であり、構造の簡素化や保守上の観点から有利である。
【0031】
図2は、本実施形態に係る2ロール定着方式の画像定着装置の一例を示す概略構成図である。図2に示す画像定着装置30は、定着部材である加熱ロール32と、加熱ロール32に圧接配置される加圧部材である加圧ロール34と、加熱ロール32表面に配置される温度センサ36と、加熱ロール32内部に配置される加熱ランプ38と、フィンガ40と、を備え、加熱ロール32と加圧ロール34とが圧接配置されることにより、圧接部分に定着ニップ42が形成される。
【0032】
図2の画像定着装置において、加熱ロール32と加圧ロール34とは、各々矢線A方向と矢線B方向に回動する。加熱ロール32は加熱ランプ38により加熱される。加熱ロール32の表面温度は、温度センサ36により常時観測され、温度コントローラ(図示せず)によりトナーの定着に適した温度に調整される。加圧ロール34の表面は、冷却ロール(図示せず)によって冷却されてもよい。
【0033】
一の面に静電荷像現像用トナーで形成された未定着画像44を有する被転写材24は、図示しない搬送手段により矢線C方向に搬送される。搬送された被転写材24は、定着ニップ42を通過する。この時、未定着画像44は、加熱ランプ38により加熱された加熱ロール32表面に圧接され、溶融する。溶融状態の未定着画像44は、被転写材24が定着ニップ42を通過した後に固化し、被転写材24に定着され、定着画像46となる。
【0034】
フィンガ40は、前記定着ニップ42において加熱ロール32表面に付着した被転写材24の剥離を補助する機能を有する。
【0035】
図3に加熱ロール32の概略断面構造を示す。図3に示すように加熱ロール32は、円筒状のコア48の上に、順に単層又は積層構造のゴム弾性層50を有し、さらに離型層52を有してもよい。離型層52が形成されていると、トナー画像のオフセットを好適に防止でき、安定した状態で画像定着装置を稼動させることができる点で有利である。ここで、最表面のゴム弾性層50または離型層52は、消臭用触媒を含有し、消臭効果を発揮する表面層として機能する。
【0036】
円筒状のコア48の材質としては、耐熱性に優れ、変形に対する強度が強く、熱伝導性の良い材質が選択され、例えばアルミニウム、ステンレス(SUS)、鉄、銅等の金属、これらの金属および/またはその他の金属からなる合金、繊維強化メタル(FRM)、セラミックスなどが挙げられる。この中でもアルミ又は鉄が好ましい。コア48の厚さは、通常、アルミニウムの場合は0.3mm〜2.0mm程度、鉄の場合は0.1mm〜1.0mm程度である。
【0037】
ゴム弾性層50の厚さは0.1mm〜3mmが好ましく、特に、0.3mm〜2mmが好ましい。なお、加熱ロール32のゴム弾性層50の厚みが3mmを越えて厚すぎると、加熱ロール32の熱容量が大きくなり、加熱ロール32を所望の温度まで加熱するのに長い時間を要する上、消費エネルギも増大してしまう点で好ましくない。また、ゴム弾性層50の厚みが0.1mm未満と薄すぎると、加熱ロール32表面の変形が未定着画像44の凹凸に追従できなくなり、溶融ムラが発生し、また、剥離に有効なゴム弾性層50の歪みが得られない点で好ましくない。
【0038】
ゴム弾性層50の材質としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を用いることができる。これらの材質の中でも、表面張力が小さく、弾性に優れる点でシリコーンゴムが好ましい。ゴム硬度は、70°(JIS−A)以下が好ましく、特に60°以下が好ましい。
【0039】
シリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)などが挙げられる。
【0040】
離型層52の材質としては、トナー画像に対して適度な離型性を示すものであれば特に制限はなく、例えば、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの材質の中でもフッ素樹脂が好適なものとして挙げられる。
【0041】
フッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられ、これらの中でも特に、耐熱性、機械特性等の面から、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、および、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル(EFA)共重合体等が好適に用いられる。フッ素樹脂は、トナー汚れ等の付着や沈着による離型性の低下が見られないために、加熱ロール32の長寿命化が図れる。
【0042】
離型層52の厚さとしては、通常10〜100μmであり、好ましくは15〜30μmである。離型層52をコア48の表面に形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、バーコート法、スピンコート法等により塗布するコーティング法などが挙げられる。また、押出し成型によって形成されたチューブを被覆する方法を採用することもできる。
【0043】
最表面のゴム弾性層50または離型層52に含まれる消臭用触媒としては、約100nm〜約380nmの波長範囲の紫外光、約380nm〜約780nmの波長範囲の可視光等の光により臭気成分の分解効果を発揮する白金(Pt),パラジウム(Pd),ロジウム(Rh),ルテニウム(Ru),イリジウム(Ir),オスミウム(Os)等の白金族金属、銅(Cu),クロム(Cr),セリウム(Ce),マンガン(Mn),鉄(Fe),ニッケル(Ni),スズ(Sn),亜鉛(Zn),アルミニウム(Al),ジルコニウム(Zr),タングステン(W),バナジウム(V)等の金属、酸化チタン(TiO),二酸化チタン(TiO),酸化亜鉛(ZnO),酸化ジルコニウム(ZrO)等の酸化物の他にもWO,LaRhP,FeTiO,Fe,CdFe,SrTiO,CdSe,GaAs,GaP,RuO,CdS,MoS,LaRhO,CdFeO,Bi,MoS,In,CdO,SnOなどが挙げられ、これらの物質のうち1種または複数種を混合して用いることができる。
【0044】
なお、上記物質のうちTiO,WO,SrTiO,Fe,CdS,MoS,Bi,MoS,In,CdOなどは等価電子帯のレドックス・ポテンシャルの絶対値が伝導帯のレドックス・ポテンシャルの絶対値よりも大きいため、酸化力の方が還元力よりも大きく、有機化合物の分解による消臭作用に優れている。
【0045】
また消臭用触媒は、比表面積を拡大するために、これら光触媒、空気触媒等を活性アルミナ、シリカ、ゼオライト、二酸化チタン等から選択される少なくとも1つの担体に担持したものであってもよい。
【0046】
経済的、安全性等の観点から光触媒はTiO、FeおよびZnO等から選ばれるが、消臭効率の高いTiO(アナターゼ型)が好ましい。
【0047】
なお、消臭用触媒及び担体の体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所、SALD−2000型)を使用して測定することができる。また、最表面のゴム弾性層50または離型層52中の消臭用触媒の平均粒径は、FE−SEM装置(日立サイエンスシステムズ製、S4100型)を用いて10,000倍に拡大して観察することで求めることができる。
【0048】
最表面のゴム弾性層50または離型層52中の消臭用触媒の含有量は、単位表面積当たりの触媒量として5〜15%の範囲であることが好ましい。含有量が5%未満であると、十分に消臭効果を発揮することができなくなる場合があり、15%を超えると、オフセットが起こりやすくなり、加熱ロール32表面の摩耗が起こりやすくなることがある。最表面のゴム弾性層50または離型層52中の消臭用触媒の含有量は、XPS装置(日本電子データム製、JPS9000型)を用いてナロースキャン測定の条件で求めることができる。
【0049】
消臭用触媒を含有するゴム弾性層50または離型層52を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、消臭用触媒を含有させたゴム弾性層用塗布液あるいは離型層用塗布液をコアあるいはゴム弾性層表面に塗布する方法、静電塗装の方法、浸漬塗布などの方法等一般的な方法が挙げられ、簡易に塗膜を形成することができる点から、消臭用触媒を含有させたゴム弾性層用塗布液あるいは離型層用塗布液をコアあるいはゴム弾性層表面に塗布する方法が好ましい。
【0050】
加圧ロール34は、円筒状のコアの上に、離型層を具備したものを用いることができ、コアと離型層との間に、ゴム弾性層を具備しても良い。コア、ゴム弾性層及び離型層の具体例は加熱ロール32の場合と同様である。
【0051】
また、加熱ロール32及び加圧ロール34のゴム弾性層及び離型層の少なくともいずれかには、目的に応じて各種の添加剤等を含有していてもよく、例えば、磨耗性向上、抵抗値制御等の目的でカーボンブラックや、金属酸化物又はSiCなどのセラミックス粒子等が挙げられる。
【0052】
このように、画像定着装置の加熱ロール32最表面のゴム弾性層50または離型層52に消臭用触媒を含有させることにより、定着時に定着部材表面近傍で発生した臭いを消臭用触媒によって分解、消臭させることができる。定着時に発生する臭い物質、例えばアルデヒド化合物類やアミン化合物類が発生と同時に定着部材表面近傍で分解消臭されるため機外に臭気を放出することがなくより快適なオフィス環境が保たれる。また、装置に取り付ける特別な物はなく省スペースを実現できる。さらにトナーに特別な処理を施す必要もなく安価である。
【0053】
また、本実施形態において、消臭用触媒として光触媒を使用する場合は、図4に示すように被転写材24の排出側に定着部材表面に光を照射する光照射部材54を具備する。光照射部材54としては、水銀ランプ、エキシマランプ、キセノンランプ等の紫外光照射ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、蛍光灯ランプ、タングステンランプ等の可視光照射ランプ等を使用することができ、表面層に含まれる消臭用光触媒が分解効果を発揮する光波長に応じて選択すればよいが、小型かつ安価で経済的な理由から消臭用光触媒として酸化チタンを用いた場合、300nm〜400nmにピーク波長を有する光が照射(紫外光照射)できるブラックランプを用いることが好ましい。紫外線の強度は、ランプの出力にもよるが0.5mW/cm程度以上であれば十分であり、経済性と大きさ等の制約条件で決めることができる。
【0054】
このように、画像定着装置の加熱ロール32最表面のゴム弾性層50または離型層52に消臭用光触媒を含有させ、被転写材24排出側に光照射部材54を設けることにより、定着時に定着部材表面近傍で発生した臭いを照射した光で機能させた消臭用光触媒によって分解、消臭させることができる。定着時に発生する臭い物質、例えばアルデヒド化合物類やアミン化合物が発生と同時に定着部材表面近傍で分解消臭されるため機外に臭気を放出することがなくより快適なオフィス環境が保たれる。また、装置に取り付けるランプ以外は特別な物はなく省スペースを実現できる。さらにトナーに特別な処理を施す必要もなく安価である。
【0055】
図5は、本実施形態に係るベルトニップ方式の画像定着装置の一例を示す概略構成図である。本実施形態の画像定着装置60は、ベルト−ベルトニップ方式であるがこれに限定されない。
【0056】
図5において、加熱ベルト62は、耐熱性ベースフィルム(例えばポリイミドフィルム等)のコア上にフッ素樹脂およびエラストマの混合物等を含む離型層を形成したものである。加熱ベルト62に接するようにエンドレスベルト64が配され、加熱ベルト62とエンドレスベルト64との間に定着ニップ66が形成されている。
【0057】
加熱ベルト62内側には、押圧パッド70と対向する位置に、例えば鉄製の圧力ロール72と、逆T字型をした圧力印加部材74と、潤滑剤を含浸させた金属パッド76とを有する加圧部材78が配され、圧力印加部材74が圧力ロール72を介して加熱ベルト62をエンドレスベルト64に押しつけ、定着ニップ66にニップ圧が加わるようになっている。このとき圧力印加部材74は、金属パッド76が圧力ロール72の内面を滑りながらニップ圧を印加している。なお、圧力ロール72の内面には潤滑性のある耐熱オイルがコーティングされていることが好ましい。さらに加熱ベルト62の内側には、加熱ベルト62のニップ部を加熱するための加熱ランプ80が配されている。加熱ベルト62の表面温度は、温度センサ(図示せず)により常時観測され、温度コントローラ(図示せず)によりトナーの定着に適した温度に調整される。
【0058】
矢印D’方向へ回転する圧力ロール72に従動して加熱ベルト62は矢印A’方向に回転し、それにつれてエンドレスベルト64も矢印B’方向に従動回転する。一の面に静電荷像現像用トナーで形成された未定着画像44を有する被転写材24は、図示しない搬送手段により矢線C’方向に搬送される。搬送された被転写材24は、定着ニップ66を通過する。この時、未定着画像44は、加熱ランプ80により加熱された加熱ベルト62表面に圧接され、溶融する。溶融状態の未定着画像44は、被転写材24が定着ニップ66を通過した後に固化し、被転写材24に定着され、定着画像46となる。
【0059】
本実施形態の画像定着装置60は、駆動部材としての加熱ベルト62の熱容量が小さいため、インスタントスタート性に優れ、また、全体として省エネルギとなる。その他の構成は、上記画像定着装置30と同様であるため、同様の効果を得ることができる。
【0060】
図6に加熱ベルト62の概略断面構造を示す。図6に示すように加熱ベルト62は、ベルト状のコア68の上に、離型層69を有する。離型層69が形成されていると、トナー画像のオフセットを好適に防止でき、安定した状態で画像定着装置を稼動させることができる点で有利である。ここで、最表面の離型層69は、上記と同様の消臭用触媒を含有し、消臭効果を発揮する表面層として機能する。
【0061】
コア68の材質としては、例えば、熱硬化性ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、耐磨耗性、耐薬品性等に優れる点で熱硬化性ポリイミド、ポリベンゾイミダゾールが好ましい。コア68中には、導電性、熱伝導性、絶縁性、補強等の目的に応じて適宜、無機粒子、金属粉、金属酸化物、有機金属酸化物等の機能性フィラーを添加することができる。コア68の厚さは、通常、10〜50μmである。
【0062】
離型層69の材質としては、上記離型層52と同様のものを用いることができる。離型層69の厚さとしては、通常1〜10μmであり、好ましくは3〜5μmである。離型層69をコア68の表面に形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、バーコート法、スピンコート法等により塗布するコーティング法などが挙げられる。
【0063】
加熱ベルト62としては、その内周面に、フッ素樹脂層が形成されてなるものであっても構わない。加熱ベルト62の内周面に形成可能なフッ素樹脂層としては、前記離型層で述べたものと同様のものが使用可能であるが、特開2001−249558号公報に記載された、フィルム管状体の内面に施される親油化処理したフッ素樹脂、あるいは親油化剤をフッ素樹脂と併用したもの等を使用することも可能である。
【0064】
エンドレスベルト64は、ベルト状のコアの外周面に離型層が形成されて構成される。コア及び離型層の具体例は加熱ベルト62の場合と同様である。
【0065】
図5のように、押圧部材は、少なくとも、エンドレスベルト64を面で付勢する押圧パッド70と、押圧パッド70の付勢面に配され、表面がエンドレスベルト64に接する低摩擦シート88とから構成される。押圧パッド70と低摩擦シート88との間は、接着剤や溶着等の公知の手段により固着されていてもよいし、両者間は固定されず単に重なり合うだけで、低摩擦シート88が他の箇所に固定されることで、全体として固定的ないし半固定的に配置されるようにしても構わない。
【0066】
押圧パッド70は、エンドレスベルト64の内側に配置され、かつ低摩擦シート88を介してエンドレスベルト64と加熱ベルト62との間に、未定着画像44を保持する被転写材24が通過可能な定着ニップ66が形成されるように、低摩擦シート88を介してエンドレスベルト64を面で付勢し、加熱ベルト62の表面を押圧する。
【0067】
押圧パッド70としては、エンドレスベルト64と加熱ベルト62の表面との間に、未定着画像44を保持する被転写材24を挿通可能な定着ニップ66を形成することができる機能を有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜公知のものの中から選択できる。特に硬度の点からJIS−A硬度10〜40°のシリコーンゴムが好適に用いられる。押圧パッド70の形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば押圧パッド70は、単一の部材からなる構造であってもよいし、異なる機能を有する複数の部材からなる構造であってもよい。
【0068】
図5では、押圧パッド70は、支持体82と、支持体82に取り囲まれるように配置された弾性体84とから構成されている。また、支持体82には、エンドレスベルト64がスムーズに回転するように設けられたベルト走行ガイド86が取り付けられている。
【0069】
押圧パッド70の付勢面に配され、表面がエンドレスベルト64に接する低摩擦シート88としては、接触するエンドレスベルト64の内周面に対して低摩擦係数の材料であれば、如何なる材料のものであってもよく、例えば、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、グラファイトからなるシート等が挙げられる。これらの中でも、低摩擦性、耐磨耗性、可撓性等の観点から、フッ素樹脂が好ましい。さらに、フッ素樹脂の中でも特に、加工性、摩擦特性の観点から、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなるものが好適に用いられる。低摩擦シート88の形態としては、単にフィルム状のものであってもよい。
【0070】
ベルト走行ガイド86の表面には、エンドレスベルト64の周動回転方向と平行に複数のリブが設けられており、エンドレスベルト64の内周面とベルト走行ガイド86との接触面積を少なくしている。ベルト走行ガイド86の両端(エンドレスベルト64の周動回転軸の両端、すなわち、図5における紙面の奥側と手前側)には、エンドレスベルト64の寄りを規制する鍔(つば)状の部材(図示せず)が設けられている。支持体82は、耐熱性であり、弾性体84を固定する機能を有する。該支持体82は、薄膜状のエンドレスベルト64を介して圧縮コイルスプリング(図示せず)により加熱ベルト62を付勢している。
【0071】
また、本実施形態において、消臭用触媒として光触媒を使用する場合は、図7に示すように被転写材24の排出側に定着部材表面に光を照射する、図4と同様の光照射部材54を具備する。
【0072】
画像定着装置の加熱ベルト62最表面の離型層69に消臭用光触媒を含有させ、必要に応じ被転写材24排出側に光照射部材54を設けることにより、定着時に定着部材表面近傍で発生した臭いを消臭用触媒によって分解、消臭させることができる。定着時に発生する臭い物質、例えばアルデヒド化合物類やアミン化合物が発生と同時に定着部材表面近傍で分解消臭される。
【0073】
<電子写真感光体>
次に、電子写真感光体14を構成する各層について説明する。
【0074】
なお、電子写真感光体(感光体ドラム)14に用いられる導電性の円筒状基体としては、通常、直径がφ10〜200mm、長さが250〜1000mmの円筒体が用いられる。また、円筒状基体の材料としては、アルミニウム、ステンレス、ニッケルなどの金属材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン、フェノール樹脂などの高分子材料又は硬質紙などの絶縁材料に導電物質を分散させて導電処理したもの、上記の絶縁材料に金属泊を積層したもの、上記の絶縁材料に金属の蒸着膜を形成したもの、などが挙げられ、通常はアルミニウムが用いられる。
【0075】
また、円筒状基体は、陽極酸化処理、粗研削処理、ホーニング処理などの表面処理が施されたものであってもよい。このような表面処理により導電性基体の表面粗さを所定の範囲内(好ましくは中心線平均粗さRaが0.05〜0.5μm、最大高さRmaxが0.5〜5μm)とすることによって、光の干渉を防止することができる。
【0076】
電荷発生層は、電荷発生物質及び結着樹脂(バインダ)を含んで形成されたもので、電荷発生物質は結着樹脂中に分散されて層中に保持されている。かかる電荷発生物質としては、具体的には、アゾ顔料、ジスアゾ顔料、キノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ピリリウム塩、アズレニウム塩、三方晶型セレンなどが挙げられる。また、結着樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリメタクリル酸エステル、スチレン−メタクリル酸メチルコポリマ、ポリサルホン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、セルロースエステル類などを用いることができる。電荷発生層の膜厚は、好ましくは0.05μm〜1.0μmの範囲である。
【0077】
電荷輸送層は、電荷輸送物質及び結着樹脂を含んで形成されたもので、電荷輸送物質は結着樹脂中に分散されて層中に保持されている。かかる電荷輸送物質としては、具体的には、アントラセン、ピレン、フェナントレン、コロネンなどの多環芳香族化合物又はその誘導体、インドール、カルバゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾール、トリアゾールなどの窒素含有複素環式化合物又はその誘導体、ヒドラゾンなどの正孔輸送物質等が挙げられる。また、結着樹脂としては、上記電荷発生層の説明において例示された樹脂を用いることができる。また、電荷輸送層の膜厚は、10〜50μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは15〜35μmである。
【0078】
必要に応じて設けられる下引き層は所定の樹脂を含んで形成されるものである。かかる樹脂としては、ポリビニルブチラール等のアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂や、アルキッド系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂等の熱硬化性樹脂などが挙げられ、これらの樹脂にジルコニウム化合物、チタニウム化合物などを配合して下引き層としてもよい。下引き層の膜厚は、好ましくは0.1μm〜3.0μmの範囲である。また、下引き層は、結着樹脂に金属酸化物微粒子を含有させて形成されてもよい。下引き層が、十分なリーク耐性を発揮するためには、金属酸化物微粒子は、1×10〜1×1011Ω・cm程度の粉体抵抗があることが好ましい。中でも、上記抵抗値を有する酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物微粒子を用いるのが好ましく、さらには、酸化亜鉛が特に好ましく用いられる。結着樹脂に金属酸化物微粒子を含有させて形成される下引き層の膜厚は15μm以上30μm以下であることが好ましく、18μm以上28μm以下であることがより好ましい。
【0079】
下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を成膜する際には、結着樹脂、あるいは更に電荷発生物質又は電荷輸送物質を所定の溶剤に分散させて得られる塗工液を所定の層(基体、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層など)上に塗布し、乾燥させることによって好適に得ることができる。かかる溶剤としては、揮発性が高く且つその蒸気の密度が空気よりも大きい溶剤が好ましく、具体的には、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパホールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、4−メトキシ−4−メチルペンタノン、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、2,4−ペンタジオン、アニソール、3−オキソブタン酸メチル、モノクロロベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセルソルブ、メチルセルソルブアセテートなどが挙げられる。これらの有機溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0080】
また、これらの溶剤に結着樹脂、電荷輸送物質、電荷発生物質などの材料を分散させる方法としては、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ボールミル、ダイノーミル、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、コボールミル、ロールミルなどが挙げられる。
【0081】
また、上記の塗工液を塗布する方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法などが挙げられる。
【0082】
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態に係る画像形成装置において用いられるトナーは、結着樹脂と着色剤を主成分とし、必要に応じて離型剤等を含有する公知のものを使用することができる。トナーは混練粉砕法のような乾式製法で製造されたものであってもよいし、乳化重合凝集法、溶解懸濁法、懸濁重合法等の湿式製法により製造されたものであってもよい。
【0083】
即ち、トナー結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸のエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン等の単独重合体あるいは共重合体を挙げることができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン・アクリル酸アルキル共重合体、スチレン・メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス類等を挙げることができる。
【0084】
また、着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレート等の種々の顔料、または、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系等の各種染料を単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0085】
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーにおける、前記着色剤の含有量としては、結着樹脂100重量部に対して、1〜30重量部の範囲であることが好ましいが、また、必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用することも有効である。前記着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等を得ることができる。
【0086】
他に、離型剤の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;エステルワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス;ミツロウのような動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系ワックス;石油系ワックス;及びそれらの変性物等を使用することができる。離型剤の添加量は、トナーに対して50重量%以下の範囲で添加することができる。
【0087】
その他内添剤として、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、それらの合金、又はそれら金属を含む化合物などの磁性体を使用することができる。帯電制御剤としては、4級アンモニウム塩、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどの錯体からなる染料や、トリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができるが、凝集や融合一体化時の安定性に影響するイオン強度の制御及び廃水汚染の減少のために、水に溶解しにくい帯電制御剤が好適である。
【0088】
湿式添加する無機微粒子の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど、通常トナー表面の外部添加剤として使用される全てのものを、イオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基で分散して湿式添加することができる。
【0089】
湿式製法によるトナー製造工程における乳化重合、シード重合、顔料分散、樹脂粒子、離型剤分散、凝集、又はその安定化などに用いる界面活性剤としては、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン性界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤、またポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的である。
【0090】
また、本実施形態において使用する外部添加剤は、特に制限は無く、無機微粒子や有機微粒子等の公知の外部添加剤を用いることができるが、その中でも、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグウネシウムおよびりん酸カルシウム等の無機微粒子、ステアリン酸亜鉛のような金属石鹸、フッ素含有樹脂微粒子、シリカ含有樹脂微粒子および窒素含有樹脂微粒子等の有機樹脂微粒子が好ましい。また、目的に応じて外部添加剤表面に表面処理を施してもよい。表面処理剤としては、疎水化処理を行うためのシラン化合物、シランカップリング剤、シリコーンオイル等が挙げられる。
【0091】
本実施形態においてトナーは外添剤として、光触媒を担持した酸化チタン(アナターゼ型)の前記消臭用触媒を少量の割合で含有させることが好ましい。これにより、加熱ロール等の表面の摩耗等により減少した消臭用触媒を加熱ロール等の表面に補充することができる。また、これにより加熱ロールあるいは加熱ベルトに含有させる消臭用触媒の量を減らすことができ、加熱ロールあるいは加熱ベルトの寿命を長くすることができる。このとき、消臭用触媒を含有する外添剤の添加量はトナーに対して0.01〜0.1重量%の範囲であることが好ましい。外添剤の添加量が0.01重量%未満であると寿命延長の効果がない場合があり、0.1重量%を超えると帯電性が劣化する場合がある。
【0092】
<静電荷像現像用トナーの物性>
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの体積平均粒径としては、4μm〜8μmの範囲が好ましく、5μm〜7μmの範囲がより好ましく、また、個数平均粒径としては、3μm〜7μmの範囲が好ましく、4μm〜6μmの範囲がより好ましい。
【0093】
前記体積平均粒径および個数平均粒径の測定は、コールターマルチサイザーII型(ベックマン−コールター社製)を用いて、100μmのアパーチャ径で測定することにより得ることができる。この時、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行う。
【0094】
また、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの体積平均粒度分布指標GSDvは、1.27以下であり、好ましくは1.25以下である。GSDvが1.27を超えると粒度分布がシャープとならず、解像性が低下し、トナー飛散やかぶり等の画像欠陥の原因となる。
【0095】
なお、体積平均粒径D50v及び体積平均粒度分布指標GSDvは、以下のようにして求めることができる。前述のコールターマルチサイザーII型(ベックマン−コールター社製)で測定されるトナーの粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D16v、数D16p、累積50%となる粒径を体積D50v、数D50p、累積84%となる粒径を体積D84v、数D84pと定義する。この際、D50vは体積平均粒径を表し、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2として求められる。なお、(D84p/D16p)1/2は数平均粒度分布指標(GSDp)を表す。
【0096】
また、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの、下記式で表される形状係数SF1は110〜140の範囲、好ましくは115〜130の範囲である。
SF1=(ML/A)×(π/4)×100
〔ただし、上記式において、MLはトナーの最大長(μm)を表し、Aはトナーの投影面積(μm)を表す。〕
トナーの形状係数SF1が110より小さい、または140を越えると、長期に渡って、優れた帯電性、クリーニング性、転写性を得ることができないことがある。
【0097】
なお、形状係数SF1はルーゼックス画像解析装置(株式会社ニレコ製、FT)を用いて次のように測定した。まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個のトナーについて最大長(ML)と投影面積(A)を測定し、個々のトナーについて、(ML/A)×(π/4)×100を算出し、これを平均した値を形状係数SF1として求めた。
【0098】
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
【0099】
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
【0100】
キャリアに使用される被覆樹脂、マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0101】
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0102】
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10μm〜500μmの範囲であり、好ましくは30μm〜100μmの範囲である。
【0103】
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
【0104】
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
【0105】
前記二成分現像剤における本実施形態に係るトナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
【実施例】
【0106】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0107】
(実施例1)
図3に示すような、円筒状のアルミニウム製コア(厚み1.0mm、内径40mm)48の上に、ゴム弾性層(材料:シリコーンソリッドゴム、厚み2.0mm)50及び離型層(材料:PFTE、厚み20μm)52を順に有する加熱ロール32と、円筒状のアルミニウム製コア(厚み1.0mm、内径40mm)の上に、ゴム弾性層(材料:発泡シリコーンゴム、厚み2.0mm)及び離型層(材料:フッ素変性シリコーンゴム、厚み50μm)を有する加圧ロール34とを作製した。最表面の離型層52には、消臭用触媒として、光触媒であるアナターゼ型酸化チタン(石原産業(株)製、体積平均粒径7μm)を単位表面積当たりの触媒量として5〜15%の範囲で、アナターゼ型酸化チタンを250℃に加熱しながら離型層52に吹き付けて(溶射技術にて)担持させた。この加熱ロール32及び加圧ロール34を富士ゼロックス製DCC500CP型に組み込み、さらに、被転写材の排出側の加熱ロール32から10mmの位置に加熱ロール32表面に紫外光を照射する光照射部材54として、冷陰極UVランプ((株)エレバム製、6.5Φ×310mm、波長:約350nm、光強度:0.5mW/cm程度)を設置した。
【0108】
次にこの画像形成装置、及び、結着樹脂としてスチレン系樹脂、着色剤としてカーボンブラックを含む静電荷像現像用トナーを含む2成分現像剤を用い、画像密度5%の画像を1000枚連続印刷しながら、20人の評価者に排紙口からの臭いを嗅いでもらい、臭気を感じた人数を確認した。UVランプは画像形成中、常時点灯させた。また、定着温度は175℃とした。下記の基準で20人中1人が1.5と、1人が1と判定したが、残る18人は0.5以下の判定であった。
【0109】
<評価基準>
0 :全く臭いがない。
0.5 :0と1の中間
1 :やっと感知できる臭い(やや臭うが全く問題ないレベル)
1.5 :1と2の中間
2 :弱い臭い(臭うが我慢できるレベル)
2.5 :2と3の中間
3 :楽に感知できる臭い(常時臭いがすると苦痛なレベル)
3.5 :3と4の中間
4 :強い臭い(短時間に臭いがしても苦痛なレベル)
4.5 :4と5の中間
5 :強烈な臭い(臭くて近寄りたくないレベル)
【0110】
(実施例2)
図7で示した構成で出来ている定着機を装着した富士ゼロックス製DocuCentre Color f450型の定着機の一部を改造した。加熱ベルト62の最表面に消臭用触媒として、光触媒であるアナターゼ型酸化チタン(石原産業(株)製、体積平均粒径7μm)を単位表面積当たりの触媒量として5〜15%の範囲でアナターゼ型酸化チタンを250℃に加熱しながら加熱ベルト62の最表面に吹き付けて(溶射技術にて)担持させたものとした。また、定着機の出口側の位置に加熱ベルト62表面に紫外光を照射する光照射部材54として、冷陰極UVランプ((株)エレバム製、6.5Φ×310mm、波長:約350nm、光強度:0.5mW/cm程度)を設置した。
【0111】
次にこの画像形成装置、及び、結着樹脂としてスチレン系樹脂、着色剤としてカーボンブラックを含むDCCf450型用の静電荷像現像用トナーを含む2成分現像剤を用い、画像密度5%の画像を1000枚連続印刷しながら、20人の評価者に排紙口からの臭いを嗅いでもらい、臭気を感じた人数を確認した。UVランプは画像形成中、常時点灯させた。また、定着温度は175℃とした。上記基準で20人中1人が1.5と、1人が1と判定したが、残る18人は0.5以下の判定であった。
【0112】
(比較例1)
改造を全くしない富士ゼロックス製DocuCentre Color f450型にて同様のテストを行ったところ、上記基準で20人中1人が2と判定、5人が1.5と判定し、残る14人が1と判定し臭気有りと感じた。
【0113】
このように、画像定着装置の加熱ロール最表面の離型層に消臭用光触媒を含有させ、被転写材排出側に光照射部材を設けて光照射しながら画像形成することにより、定着時に定着部材表面近傍で発生した臭いを消臭用光触媒によって分解、消臭させることができた。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像定着装置の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施形態に係る加熱ロールの一例の概略断面構造を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像定着装置の他の例を示す概略図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像定着装置の他の例を示す概略図である。
【図6】本発明の実施形態に係る加熱ベルトの一例の概略断面構造を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像定着装置の他の例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0115】
1 画像形成装置、10 帯電部、12 露光部、14 電子写真感光体、16 現像部、18 転写部、20 クリーニング部、22 定着部、24 被転写材、30,60 画像定着装置、32 加熱ロール、34 加圧ロール、36 温度センサ、38,80 加熱ランプ、40 フィンガ、42,66 定着ニップ、44 未定着画像、46 定着画像、48 コア、50 ゴム弾性層、52 離型層、54 光照射部材、62 加熱ベルト、64 エンドレスベルト、68 コア、69 離型層、70 押圧パッド、72 圧力ロール、74 圧力印加部材、76 金属パッド、78 加圧部材、82 支持体、84 弾性体、86 ベルト走行ガイド、88 低摩擦シート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電荷像担持体と、
前記静電荷像担持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記帯電された静電荷像担持体を露光し画像情報に応じて静電荷像を形成する露光手段と、
前記静電荷像をトナーにより現像してトナー画像を形成する現像手段と、
前記トナー画像を被転写材に転写する転写手段と、
前記被転写材に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を有し、
前記定着手段は、消臭用触媒を含有する表面層を有する定着部材を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
静電荷像担持体と、
前記静電荷像担持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記帯電された静電荷像担持体を露光し画像情報に応じて静電荷像を形成する露光手段と、
前記静電荷像をトナーにより現像してトナー画像を形成する現像手段と、
前記トナー画像を被転写材に転写する転写手段と、
前記被転写材に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を有し、
前記定着手段は、消臭用光触媒を含有する表面層を有する定着部材と、前記定着部材表面に光を照射する光照射部材とを具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
静電荷像担持体と、前記静電荷像担持体の表面を帯電する帯電手段と、前記帯電された静電荷像担持体を露光し画像情報に応じて静電荷像を形成する露光手段と、前記静電荷像をトナーにより現像してトナー画像を形成する現像手段と、前記トナー画像を被転写材に転写する転写手段と、を有する画像形成装置において、前記被転写材に転写されたトナー画像を定着する画像定着装置であって、
表面に消臭用触媒を含有する表面層を有する定着部材を具備することを特徴とする画像定着装置。
【請求項4】
静電荷像担持体と、前記静電荷像担持体の表面を帯電する帯電手段と、前記帯電された静電荷像担持体を露光し画像情報に応じて静電荷像を形成する露光手段と、前記静電荷像をトナーにより現像してトナー画像を形成する現像手段と、前記トナー画像を被転写材に転写する転写手段と、を有する画像形成装置において、前記被転写材に転写されたトナー画像を定着する画像定着装置であって、
表面に消臭用光触媒を含有する表面層を有する定着部材と、前記定着部材表面に光を照射する光照射部材とを具備することを特徴とする画像定着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−328115(P2007−328115A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−158830(P2006−158830)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】