説明

画像形成装置及び画像形成プログラム

【課題】トナーエンド後に画像品質の劣化を許容してユーザが強制的に印刷する場合、残トナーでどの程度の画像品質が期待できるのかをユーザが印刷前に知り得ることができ、用紙の無駄を削減することができる画像形成装置及び画像形成プログラムを提供する。
【解決手段】本発明は、トナーエンド後にユーザが強制的に印刷する場合、印刷前に濃度パッチを転写ベルト上に形成し、残トナーで形成可能な画像濃度と標準濃度との差分を検知し、その結果をユーザに通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成用のトナーのトナーエンドを検知すると共に濃度調整用の画像を形成して作像条件を調整する画像形成装置及び画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真方式を用いた画像形成装置において、画像形成装置本体内のトナーは、画像形成時の転写処理によって消費されるため、トナーが無くなった際、あるいは、トナー残量が少なくなった際に、その旨をユーザに報知してトナーの補充を行うようにしたものが周知である。
【0003】
また、トナーの残量が不足するトナーエンドの状態で画像形成処理を実行すると、画像の全体がトナー不足によって薄くなったり、画像の一部がかすれるといった現象不良が生じる。
【0004】
そこで、このようなトナーエンドを検知する技術として、トナーエンドセンサを用いる技術、新品時から画像形成処理した累積画素数により検知する技術、パターンの濃度をセンサで読み取る技術、等が既に知られている。
【0005】
しかしながら、このようなトナーエンドを検知する装置では、トナーエンドであるか否か(画像品質を保証できるか否か)しか判定していないため、強制印刷を行った場合に、結果的に用紙を無駄に消費してしまうという問題が生じていた。
【0006】
例えば、トナーエンド状態で現像不良が生じたとしても、トナーの有効利用を図ると共に、ある程度の不良範囲であれば許容するとのことから、ユーザの設定により強制的に画像形成処理を実行する場合がある。
【0007】
しかしながら、その旨を許容して強制的に画像形成処理を行った結果、予想以上にトナー残留が不足しており、画像が見えない等により用紙を無駄にしてしまう場合があるという問題が生じていた。
【0008】
また、トナーエンドセンサを用いることなく(コストを増加することなく)トナーエンド検知の精度を向上させ、印刷した累計画素数に基づいてトナー消費量を算出する際の補正値を、濃度調整を行ったときの濃度調整用パターン読み取りセンサの出力値に基づいて決定する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した画像形成装置にあっても、トナーエンド後に画像品質の劣化を許容してユーザが強制的に印刷する場合、残トナーでどの程度の画像品質が期待できるかユーザが印刷前に検知できず用紙を無駄に消費してしまうという問題は依然として解消できていないのが実情であった。
【0010】
そこで、本発明は、トナーエンド後に画像品質の劣化を許容してユーザが強制的に印刷する場合、残トナーでどの程度の画像品質が期待できるのかをユーザが印刷前に知り得ることができ、用紙の無駄を削減することができる画像形成装置及び画像形成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、トナーエンドを検知するトナーエンド検知手段と、濃度調整用の画像を形成して作像条件を調整する濃度調整手段と、を備える画像形成装置であって、トナーエンド検知後に出力濃度を検知する出力濃度検知手段と、トナーエンド検知後の出力濃度をユーザに通知する出力濃度通知手段と、トナーエンド検知後の印刷を実行するか否かユーザが選択するユーザ印刷実行選択手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の画像形成装置は、前記出力濃度検知手段が、トナーエンド検知後に濃度パッチを形成しそのトナー付着量と標準付着量の割合を算出することを特徴とする。また、出力濃度検知手段は、トナーエンド検知後に印刷する場合に1ページ毎に濃度パッチを形成しそのトナー付着量と標準付着量の割合を算出することを特徴とする。
【0013】
本発明の画像形成装置は、前記ユーザ印刷実行選択手段が、ユーザが印刷実行の判断基準となる出力濃度を入力することを特徴とする。
【0014】
本発明の画像形成装置は、トナーエンド後の出力濃度が前記ユーザ印刷実行選択手段によって入力した出力濃度を下回る場合に、前記濃度調整手段によって濃度調整用の画像を形成し作像条件を調整するよう判断する濃度調整判断手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の画像形成装置は、トナーエンド後に出力濃度検知するか否かユーザが選択できるユーザ濃度検知実行選択手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の画像形成プログラムは、トナーエンドを検知するトナーエンド検知工程と、濃度調整用の画像を形成し作像条件を調整する濃度調整工程と、を有する画像形成プログラムであって、トナーエンド検知後に出力濃度を検知する出力濃度検知工程と、トナーエンド検知後の出力濃度をユーザに通知する出力濃度通知工程と、トナーエンド検知後の印刷を実行するか否かユーザが選択するユーザ印刷実行選択工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の画像形成プログラムは、前記出力濃度検知工程が、トナーエンド検知後に濃度パッチを形成しそのトナー付着量と標準付着量の割合を算出することを特徴とする。
【0018】
本発明の画像形成プログラムは、前記出力濃度検知工程が、トナーエンド検知後に印刷する場合に1ページ毎に濃度パッチを形成しそのトナー付着量と標準付着量の割合を算出することを特徴とする。
【0019】
本発明の画像形成プログラムは、前記ユーザ印刷実行選択工程が、ユーザが印刷実行の判断基準となる出力濃度を入力することを特徴とする。
【0020】
本発明の画像形成プログラムは、トナーエンド後の出力濃度が前記ユーザ印刷実行選択工程によって入力した出力濃度を下回る場合に、前記濃度調整工程によって濃度調整用の画像を形成し作像条件を調整するよう判断する濃度調整判断工程と、を有することを特徴とする。
【0021】
本発明の画像形成プログラムは、トナーエンド後に出力濃度検知するか否かユーザが選択できるユーザ濃度検知実行選択工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、トナーエンド後にユーザが強制的に印刷する場合、印刷前に濃度パッチを転写ベルト上に形成し、残トナーで形成可能な画像濃度と標準濃度との差分を検知し、その結果をユーザに通知することにより、トナーエンド後に画像品質の劣化を許容してユーザが強制的に印刷する場合、残トナーでどの程度の画像品質が期待できるのかをユーザが印刷前に知り得ることができ、用紙の無駄を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成についての説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の基本的な電気的構成についての説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における、転写ベルトの表面上に形成する濃度パッチパターンの一例を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における、基準となる濃度パターンデータの一例を説明するグラフ図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における、本発明の画像形成装置に係る実施の形態1の処理ルーチンについて説明するフロー図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における、本発明の画像形成装置に係る実施の形態2の処理ルーチンについて説明するフロー図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における、本発明の画像形成装置に係る実施の形態3の処理ルーチンについて説明するフロー図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における、本発明の画像形成装置に係る実施の形態4の処理ルーチンについて説明するフロー図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における、取得した濃度パターンデータの一例を説明するグラフ図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における、本発明の画像形成装置に係る実施の形態5の処理ルーチンについて説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置及び画像形成プログラムについて、図面を参照して説明する。本発明の画像形成装置及び画像形成プログラムは、トナーエンド後にユーザが強制的に印刷する処理に際して、以下の特徴を備える。要するに、強制的に印刷する前に濃度パッチを転写ベルト上に形成し、残トナーで形成可能な画像濃度と標準濃度との差分を検知し、その結果をユーザに通知することが特徴になっている。
【0025】
尚、以下に示す実施形態は本発明の画像形成装置及び画像形成プログラムにおける好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。また、以下に示す実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下に示す実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0026】
(全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成についての説明図である。
【0027】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのタンデム方式のカラープリンタ100は、プリンタ本体101の内部に、多数の用紙Pを収納可能な本体給紙トレイ102と、本体給紙トレイ102から用紙Pを取り出す給紙部103と、本体給紙トレイ102又は図示を略する手差トレイから供給した用紙Pに画像形成処理を行う画像形成処理部104と、本体給紙トレイ102又は手差トレイから供給した用紙Pを搬送経路105で案内しつつ画像形成処理部104で画像形成処理したトナー像を転写する転写部106と、転写後のトナー像を定着する定着部107と、定着後の転写紙を排紙する排紙部108と、を備えている。
【0028】
(各部の概略構成)
給紙部103は、本体給紙トレイ102に収納した用紙Pを最上位のものから順次取り出す給紙ローラ109と、給紙ローラ109で取り出した用紙Pの先端を検知するレジストセンサ110と、用紙Pの先端位置と転写部106とで同期を取るレジストローラ対111と、を備えている。
【0029】
画像形成処理部104は、図1の反時計回り(矢印参照)に回動移動する無端状ベルトからなる転写ベルト112と、転写ベルト112に沿って配置したブラック(K)、マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の各色のAIO(All−in−One)式のトナーカートリッジ113(K,M,C,Y)と、トナーカートリッジ113(K,M,C,Y)から適宜供給した各色のトナーによって転写ベルト112に一次転写画像を転写する画像形成部114(K,M,Y,C)と、を備えている。尚、トナーカートリッジ113(K,M,C,Y)と画像形成部114(K,M,Y,C)とは、一部の共通部材を除き、上述した各色ごとに同一の構成部材を備えている。したがって、以下の説明においては、ブラック(K)用の構成について具体的に説明し、その他の構成の具体的な説明は省略する。
【0030】
転写ベルト112は、回転駆動する二次転写駆動ローラ115と転写ベルトテンションローラ116との間に巻設している。二次転写駆動ローラ115は、不図示の駆動モータにより回転駆動し、この駆動モータと、二次転写駆動ローラ115と、転写ベルトテンションローラ116とが、転写ベルト112を回動移動する駆動手段として機能する。
【0031】
複数のトナーカートリッジ113(K,M,C,Y)は、その内部に各色のトナーを収納しており、パドル117の回転によってトナーを攪拌する。また、トナーカートリッジ113(K,M,C,Y)は、独立してプリンタ本体101に着脱可能(交換可能)となっている。
【0032】
画像形成部114(K,M,C,Y)は、ドラム状の感光体118と、感光体118の周囲に現像システム順に配置した帯電器119、各色で共通の露光器120、感光体118に対向する現像器121、転写ベルト112を挟んで感光体118の反対側に配置した一次転写ローラ122、クリーニングユニット123、除電器124、等を備えている。
【0033】
露光器120は、各トナーカートリッジ113(K,M,C,Y)が形成する画像色に対応するレーザ光125を感光体118の表面に照射する。
【0034】
画像形成処理に際し、感光体118の外周面は、暗中にて帯電器119により一様に帯電した後、露光器120からの各画像に対応したレーザ光125により露光させて静電潜像を形成する。
【0035】
現像器121は、この静電潜像にトナーカートリッジ113からトナーを付着させて可視像化し、感光体118の表面上にトナー画像を形成する。この際、感光体118と転写ベルト112とが接する位置(一次転写位置)で、一次転写ローラ122に転写バイアスを印加することより転写ベルト112の表面上にトナーを転写する。
【0036】
さらに、トナー画像の一次転写が終了した感光体118は、外周面に残留した不要なトナーをクリーニングユニット123により払拭した後、次の画像形成のために除電器124で除電する。
【0037】
以下、トナーカートリッジ113(K)でブラックのトナー画像を転写された転写ベルト112は、転写ベルト112によって次のトナーカートリッジ113(M)に搬送する。トナーカートリッジ113(M,C,Y)は、トナーカートリッジ113(K)での画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体118(M,C,Y)にマゼンタ・シアン・イエローのトナー画像を形成し、画像に応じたトナー配分でフルカラー処理を行う。
【0038】
転写部106は、二次転写駆動ローラ115に対向する二次転写ローラ126を備えている。ここで、二次転写駆動ローラ115は、二次転写ローラ126との間に転写ベルト112を挟み込んで搬送する二次転写ニップを形成している。転写バイアスを印加した二次転写ニップには、レジストローラ対111によって適切なタイミングで送り出した用紙Pに転写ベルト112に形成したトナー画像を転写する。
【0039】
二次転写ニップを通過した後の転写ベルト112には、用紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、二次転写ニップの下流側に配置した中転ベルトクリーナ127によってクリーニングする。クリーニング後の廃トナーは、中転ベルトクリーナ127から転写ベルト112の下方に配置した廃トナーボックス128で回収する。廃トナーボックス128は、回収した廃トナーを満杯状態を検知する廃トナーセンサ129を備えている。
【0040】
また、二次転写ニップを通過した用紙Pは、定着部107を通過する際の加熱ローラ130の熱と加圧ローラ131の加圧力とによってニップ搬送されつつ二次転写したトナー画像を定着する。その後、用紙Pは、排紙部108の排紙ローラ対132によってプリンタ本体101の一部を構成する機外の排紙トレイ133へと排出する。この際、用紙Pの後端をジャムセンサ兼用の後端検知センサ134によって検知する。この後端検知センサ134が用紙Pの後端を検知すると、給紙ローラ109が次の用紙Pの送り出しを開始する。
【0041】
図2は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の基本的な電気的構成についての説明図である。
【0042】
本実施形態にかかるカラープリンタ100は、CPU10、画像メモリ20、I/O(入出力部)30、I/F(インターフェース部)40、ROM50、RAM60、操作パネル70を備えている。
【0043】
CPU10は、ROM50に記憶した画像形成処理全般に係るプログラムに従い、カラープリンタ100を構成する各部全般を制御する。また、ROM50には、本発明に係る画像形成プログラムを格納しており、後述する本発明に係る処理を実行する。
【0044】
画像メモリ20は、例えば、図示しないパーソナルコンピュータから出力した印刷データに含まれる画像データを一時的に記憶する。I/O30は、画像形成処理部104や各種センサなどの電装品の入出力を制御する。I/F40は装置とケーブルなどで接続したパーソナルコンピュータやサーバなどから印刷データやユーザへの問い合せ応答を受け取る。ROM50は装置全体を制御するためのプログラムを記憶する。RAM60は装置に関する各種情報を一時的に記憶する。操作パネル70はプリンタ本体101の正面や上面等に設けられたタッチパネル方式の液晶パネルや各種スイッチ等を備えており、ユーザによる装置の状態把握や動作変更(モード変更等)を設定することができる。
【0045】
本発明の各実施形態としての画像濃度調整の詳細を説明する。電子写真方式の画像形成装置においては、温度・湿度などの周辺環境変化や経時劣化などの影響により、画像の濃度や階調性が変動してしまう。そのため、主電源の投入時や、所定時間経過した後の待機時、所定枚数以上のプリント後など、所定のタイミングで画像変動に対して補正を行う必要がある。
【0046】
具体的に補正する方法としては、CPU10は、所定のタイミングが到来すると、まず感光体118を回転させながら帯電器119によって感光体118を一様に帯電する。そして、露光器120の出力パワーを徐々に大きくしながらレーザ光125を照射し、濃度パッチパターン用の静電潜像を形成する。静電潜像は、現像器121で現像され、転写ベルト112の表面上に濃度パッチパターンを形成する。
【0047】
図3は、転写ベルト112の表面上に形成する濃度パッチパターンの一例を示す説明図である。本実施の形態では、CPU10は、画像形成処理部104を制御して各色ごとに濃度の異なる濃度パッチ(Y1〜Y7,C1〜C7,M1〜M7,K1〜K7)を7個づつ形成する。パッチパターンは、所定の大きさ(パッチ幅H、パッチ長L、パッチ間隔D)や形状等は予め規定している。転写ベルト112の無端移動に伴って反射型のフォトセンサ135との対向位置を通過する際にその反射量を検知する。検知した反射量は、CPU10によってトナーの付着量に変換し、各色の濃度パターンデータとしてRAM60に蓄積する。
【0048】
図4は基準となる濃度パターンデータの一例を説明するグラフ図である。次に、CPU10は、図4に示すように、予め設定した基準の濃度パターンデータから、露光器120のレーザパワーと転写ベルト112に転写したトナー付着量の濃度特性(近似式)とを算出した後、その近似式から狙いとするトナー付着量(標準付着量)が得られるレーザパワー(調整Lp)を決定し、補正した画像形成条件として設定する。また、フォトセンサ135との対向位置を通過した濃度パッチパターンは、中転ベルトクリーナ127によってクリーニングする。
【0049】
(実施形態1)
図5は、本発明のカラープリンタ100に係る実施形態1のCPU10による処理ルーチンについて説明するフロー図である。尚、以下の説明では、印刷ジョブを受信してからの処理ルーチンについて説明する。
【0050】
(ステップS1)
ステップS1では、CPU10は、各色ごとのトナーカートリッジ113でトナーエンドが発生しているものがあるか否かを判断する。ここではトナーカートリッジ113の新品交換時から形成した累積画素数によってCPU10が判断するが、トナーエンドセンサを設けて判断しても良い。CPU10は、いずれかのトナーカートリッジ113でトナーエンドが発生していたら(ステップS1、Yes)ステップS2へと移行し、トナーエンドが発生していない場合(ステップS1、No)にはステップS7に移行する。
【0051】
(ステップS2)
ステップS2では、CPU10は、トナーエンドが発生した色のトナーカートリッジ113の残留トナーを用いて濃度パッチをその時点で設定されているレーザパワーで1つずつ形成してステップS3へと移行する。
【0052】
(ステップS3)
ステップS3では、CPU10は、濃度パッチをフォトセンサ135で読み取り、現状でのトナー付着量を算出してステップS4へと移行する。
【0053】
(ステップS4)
ステップS4では、CPU10は、標準濃度と出力濃度の差分を次の式(1)を用いて算出し、ステップS5へと移行する。
出力濃度[%]=(トナー付着量)/(標準付着量)×100 …(1)
【0054】
(ステップS5)
ステップS5では、CPU10は、出力濃度[%]をI/F40または操作パネル70を通じてユーザに通知してステップS6へと移行する。
【0055】
(ステップS6)
ステップS6では、CPU10は、I/F40または操作パネル70を通じてユーザの印刷続行するか否かの判断結果を取り込み、ユーザが印刷続行を選択した場合(ステップS6、Yes)にはステップS7へと移行し、ユーザが印刷実行を選択しなかった場合(ステップS6、No)には本処理を終了する。尚、このルーチンでは、ステップS5の通知後、所定時間経過してもユーザからの選択操作がなされなかった場合にも、本処理を終了する。
【0056】
(ステップS7)
ステップS7では、CPU10は、印刷ジョブに基づく印刷(画像形成処理)を実行してステップS8へと移行する。
【0057】
(ステップS8)
ステップS8では、CPU10は、印刷ジョブ内で形成した画素数を各トナーカートリッジ113の累積画素数に加算し、トナー消費量を算出してこのルーチンを終了する。
【0058】
(実施形態2)
図6は、本発明のカラープリンタ100に係る実施形態2のCPU10による処理ルーチンについて説明するフロー図である。尚、以下の各実施形態の説明において、先の実施形態で説明したルーチンと同一のルーチンについては、その説明を省略する。
【0059】
(ステップS10)
ステップS10では、CPU10は、I/F40で受信した印刷ジョブの全ての印刷を行うのでなく、1枚だけ印刷を行ってステップS8へと移行する。
【0060】
(ステップS11)
ステップS11では、CPU10は、印刷ジョブに次の印刷があるかいなかを判断し、次の印刷がある場合(ステップS11、No)にはステップS1にループして再度濃度パッチを形成し、次の印刷が無い場合(ステップS11、Yes)にはこのルーチンを終了する。
【0061】
このように、実施形態2によれば、印刷ジョブに複数枚分の印刷ジョブを含んでいる場合に、その1枚単位で出力濃度を確認して印刷を実行するか否かの判断をすることができ、許容できないと判断した場合には、新たなトナーカートリッジ113に交換するなど、用紙Pの無駄防止とトナーの有効利用とを実現することができる。
【0062】
(実施形態3)
図7は、本発明のカラープリンタ100に係る実施形態2のCPU10による処理ルーチンについて説明するフロー図である。
【0063】
(ステップS12)
ステップS12では、CPU10は、この印刷ジョブを実行する前に、許容濃度に関する設定がI/F40又は操作パネル70でなしたか否かを判断し、設定が未入力の場合(ステップS12、Yes)にはステップS13へと移行し、設定が入力済みの場合(ステップS12、No)にはステップS14へと移行する。
【0064】
(ステップS13)
ステップS13では、CPU10は、現時点での出力濃度通知を参考(基準)として、どの程度までの出力濃度低下を許容するかの選択操作を印刷ジョブ中に1回だけ促してステップS14へと移行する。
【0065】
(ステップS14)
ステップS14では、CPU10は、出力濃度と設定した許容濃度とを比較し、出力濃度が許容濃度よりも濃い場合(ステップS14、Yes)にはステップS10へと移行し、出力濃度が許容濃度以下の場合(ステップS14、No)にはこのルーチンを終了する。
【0066】
このように、実施の形態3によれば、出力濃度は1枚単位で計測しつつも、ユーザ入力は印刷ジョブ中に1回で抑えられるためユーザによる設定変更の煩わしさを解消することができる。
【0067】
(実施形態4)
図8及び図9は、本発明のカラープリンタ100に係る実施形態4を示し、図8はCPU10による処理ルーチンについて説明するフロー図、図9は取得した濃度パターンデータの一例を説明するグラフ図である。
【0068】
(ステップS15)
ステップS15では、CPU10は、ステップS14にて取得した出力濃度がユーザの許容濃度以下であった色の濃度パッチパターンを形成してステップS16へと移行する。
【0069】
(ステップS16)
ステップS16では、CPU10は、濃度パッチパターンをフォトセンサ135で読み取りって濃度特性を取得し、そのデータをRAM60に書き込んでステップS17へと移行する。
【0070】
(ステップS17)
ステップS17では、CPU10は、露光器120から照射したレーザ光125のレーザパワーを標準付着量となる調整値に変更してステップS18へと移行する。ここで、レーザパワーの出力可能範囲内で標準付着量を得られない場合には、図9に示すように、CPU10は露光器120を標準付着量に最も近くなるレーザパワー値に変更する。
【0071】
(ステップS18)
ステップS18では、CPU10は、露光器120に調整後のレーザパワーで濃度パッチを形成させてステップS19へと移行する。
【0072】
(ステップS19)
ステップS19では、CPU10は、濃度パッチをフォトセンサ135で再度読み取って、調整後のトナー付着量を算出してステップS20へと移行する。
【0073】
(ステップS20)
ステップS20では、CPU10は、標準濃度と出力濃度の差分を式(1)を用いて算出し、ステップS21へと移行する。
【0074】
(ステップS21)
ステップS21では、CPU10は、調整後の出力濃度と設定した許容濃度とを比較し、出力濃度が許容濃度よりも濃い場合(ステップS21、Yes)にはステップS10へと移行し、出力濃度が許容濃度以下の場合(ステップS21、No)にはこのルーチンを終了する。
【0075】
このように、実施形態4では、出力濃度が許容濃度を下回る場合に濃度調整を行うので、ユーザはより標準濃度に近い濃度での印刷をすることができる。
【0076】
(実施形態5)
図10は、本発明のカラープリンタ100に係る実施形態5を示し、CPU10による処理ルーチンについて説明するフロー図である。
【0077】
(ステップS22)
ステップS22では、CPU10は、ユーザがトナーエンド時に印刷濃度を検知する機能(モード)を有効にするかどうかのモード選択をしていたか否かを判断し、モード選択していない場合(ステップS22、Yes)にはステップS23へと移行し、モード選択されている場合(ステップS22、No)にはステップS24へと移行する。
【0078】
(ステップS23)
ステップS23では、CPU10は、ユーザがトナーエンド時に印刷濃度を検知する機能の有効無効を選択するようにI/F40又は操作パネル70に通知をしてステップS24へと移行する。
【0079】
(ステップS24)
ステップS24では、CPU10は、ユーザが印刷濃度検知機能を有効としたか否かを判断し、有効としていた場合(ステップS24、Yes)にはステップS2へと移行し、無効を選択していた場合(ステップS24、No)にはステップS10へと移行する。
【0080】
このように、実施形態5によれば、トナーエンド時に印刷濃度を検知する機能の有効無効をユーザが選択することができ、ユーザの使用勝手を向上することができる。
【符号の説明】
【0081】
P 用紙
10 CPU(トナーエンド検知手段/濃度調整手段
20 画像メモリ
30 I/O(入出力部)
40 I/F(インターフェース部/出力濃度通知手段/ユーザ印刷実行選択手段)
50 ROM
60 RAM
70 操作パネル(出力濃度通知手段/ユーザ印刷実行選択手段)
100 カラープリンタ(画像形成装置)
101 プリンタ本体
102 本体給紙トレイ
103 給紙部
104 画像形成処理部
105 搬送経路
106 転写部
107 定着部
108 排紙部
109 給紙ローラ
110 レジストセンサ
111 レジストローラ対
112 転写ベルト
113 トナーカートリッジ
114 画像形成部
115 二次転写駆動ローラ
116 転写ベルトテンションローラ
117 パドル
118 感光体
119 帯電器
120 露光器
121 現像器
122 一次転写ローラ
123 クリーニングユニット
124 除電器
125 レーザ光
126 二次転写ローラ
127 中転ベルトクリーナ
128 廃トナーボックス
129 廃トナーセンサ
130 加熱ローラ
131 加圧ローラ
132 排紙ローラ対
133 排紙トレイ
134 後端検知センサ
135 フォトセンサ(出力濃度検知手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0082】
【特許文献1】特開2008−304869号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーエンドを検出するトナーエンド検出手段と、
濃度調整用の画像を形成して作像条件を調整する濃度調整手段と、
を有する画像形成装置であって、
トナーエンド検出後に出力濃度を検出する出力濃度検出手段と、
トナーエンド検出後の出力濃度をユーザに通知する出力濃度通知手段と、
トナーエンド検出後の印刷を実行するか否かユーザが選択するユーザ印刷実行選択手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記出力濃度検出手段は、トナーエンド検出後に濃度パッチを形成しそのトナー付着量と標準付着量の割合を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記出力濃度検出手段は、トナーエンド検出後に印刷する場合に1ページ毎に濃度パッチを形成しそのトナー付着量と標準付着量の割合を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ユーザ印刷実行選択手段は、ユーザが印刷実行の判断基準となる出力濃度を入力することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
トナーエンド後の出力濃度が前記ユーザ印刷実行選択手段によって入力した出力濃度を下回る場合に、前記濃度調整手段によって濃度調整用の画像を形成し作像条件を調整するよう判断する濃度調整判断手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
トナーエンド後に出力濃度検出するか否かユーザが選択できるユーザ濃度検出実行選択手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
トナーエンドを検出するトナーエンド検出工程と、
濃度調整用の画像を形成し作像条件を調整する濃度調整工程と、
を有する画像形成プログラムであって、
トナーエンド検出後に出力濃度を検出する出力濃度検出工程と、
トナーエンド検出後の出力濃度をユーザに通知する出力濃度通知工程と、
トナーエンド検出後の印刷を実行するか否かユーザが選択するユーザ印刷実行選択工程と、
を有することを特徴とする画像形成プログラム。
【請求項8】
前記出力濃度検出工程は、トナーエンド検出後に濃度パッチを形成しそのトナー付着量と標準付着量の割合を算出することを特徴とする請求項7に記載の画像形成プログラム。
【請求項9】
前記出力濃度検出工程は、トナーエンド検出後に印刷する場合に1ページ毎に濃度パッチを形成しそのトナー付着量と標準付着量の割合を算出することを特徴とする請求項7に記載の画像形成プログラム。
【請求項10】
前記ユーザ印刷実行選択工程は、ユーザが印刷実行の判断基準となる出力濃度を入力することを特徴とする請求項7に記載の画像形成プログラム。
【請求項11】
トナーエンド後の出力濃度が前記ユーザ印刷実行選択工程によって入力した出力濃度を下回る場合に、前記濃度調整工程によって濃度調整用の画像を形成し作像条件を調整するよう判断する濃度調整判断工程を有することを特徴とする請求項10に記載の画像形成プログラム。
【請求項12】
トナーエンド後に出力濃度検出するか否かユーザが選択できるユーザ濃度検出実行選択工程とを有することを特徴とする請求項7に記載の画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−189705(P2012−189705A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51924(P2011−51924)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】