説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】異常発生位置以外で画像を形成する画像形成装置及び画像形成方法を提供すること。
【解決手段】画像形成装置は、画像形成手段と、第1の画像形成制御手段と、読取手段と、異常検出手段と、第2の画像形成制御手段とを備える。前記画像形成手段は、画像を形成する。前記第1の画像形成制御手段は、前記画像形成手段によるテスト画像の形成の実行を制御する。前記読取手段は、前記テスト画像を読み取る。前記異常検出手段は、前記テスト画像の読取結果に基づき前記画像形成手段における異常発生位置を検出する。前記第2の画像形成制御手段は、前記異常発生位置を除く前記画像形成手段による画像の形成の実行を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像形成装置は、各種の異常を検出し、各種の異常を通知する機能を備えている。さらに、画像形成装置は、異常の種類によっては、異常の解除手順を通知する機能を備えている。
【0003】
しかしながら、異常の種類によっては、異常の検出が困難なケースがある。例えば、画像形成装置の特定ユニットにゴミ等の異物が付着した場合、画像形成装置は、正しく画像を出力できないことがある。つまり、画像形成装置により出力される画像は、異物付着の影響を受けた画質になることがある。例えば、画像の異物付着に対応した位置が、白く抜けた画像(白抜け画像)になることがある。
【0004】
このように異物付着により画質劣化が発生しても、どのユニットにゴミが付着し不具合が発生したかを特定するのは困難であり、サービスマンによるメンテナンスが実施されるまでの間はその不具合を解消することは難しい。つまり、サービスマンによるメンテナンスが実施されるまでの間は、画像形成装置を使用できない、又は、止む無く不具合の発生を承知した上で画像形成装置を使用し続けることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−139500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、異常発生位置以外で画像を形成する画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の画像形成装置は、画像形成手段と、第1の画像形成制御手段と、読取手段と、異常検出手段と、第2の画像形成制御手段とを備える。前記画像形成手段は、画像を形成する。前記第1の画像形成制御手段は、前記画像形成手段によるテスト画像の形成の実行を制御する。前記読取手段は、前記テスト画像を読み取る。前記異常検出手段は、前記テスト画像の読取結果に基づき前記画像形成手段における異常発生位置を検出する。前記第2の画像形成制御手段は、前記異常発生位置を除く前記画像形成手段による画像の形成の実行を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の概略構成の一例を示す断面図である。
【図2】実施形態に係る画像形成装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係る画像形成装置による異常検出処理及び異常回避印刷の一例を説明するためのフローチャートである。
【図4】マグローラにゴミ等の異物が付着したことにより発生する白抜けの一例を示す図である。
【図5】感光体にゴミ等の異物が付着したことにより発生する白抜けの一例を示す図である。
【図6】転写ベルトにゴミ等の異物が付着したことにより発生する白抜けの一例を示す図である。
【図7】異常回避印刷時の転写ベルトに形成されるトナー像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係る画像形成装置の概略構成の一例を示す断面図である。図2は、実施形態に係る画像形成装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0011】
図1及び図2に示すように、画像形成装置1は、制御部2(第1及び第2の画像形成制御手段)、ROM(読み出し専用メモリ、Read Only Memory)3、RAM(書き換え可能メモリ、Random Access Memory)4、不揮発性メモリ5、画像読取部6、画像処理部7、ページメモリ8、画像形成部9(画像形成手段)、モータドライバ10、ステッピングモータ12、異常検出部14(読取手段、異常検出手段)、表示パネル15(表示手段)、用紙トレイ16、及びシステムバス17を備える。
【0012】
また、画像形成部9は、定着器91、転写ベルト92(転写手段)、転写ローラ93、感光体94等を備える。異常検出部14は、ラインセンサ141、メモリ142、演算部143を備える。
【0013】
制御部2は、システムバス17を介して、各部を制御し、画像形成に関する各種動作の実行を制御する。例えば、制御部2は、後述するテスト画像の形成の実行を制御する。また、制御部2は、後述する異常発生位置を除く画像形成手段によるユーザ画像の形成の実行を制御する。
【0014】
画像読取部6は、原稿から画像を読み取る。画像処理部7は、読取画像に対して補正処理等を実行する。ページメモリ8は、読取画像又は補正画像を記憶する。画像形成部9は、ページメモリに記憶された読取画像又は補正画像に基づき画像(ユーザ画像)を形成する。また、画像形成部9は、不揮発性メモリ5等に記憶されたテストパターンに基づく画像(テスト画像)を形成する。
【0015】
モータドライバ10は、ステッピングモータ12を回転するためのパルスを供給する。ステッピングモータ12の回転角は、パルス数で決まり、ステッピングモータ12の回転速度は、パルスレートで決まる。ステッピングモータ12の回転駆動は、転写ローラ93に伝達される。つまり、モータドライバ10により供給されるパルスにより、転写ローラ93が回転し、転写ベルト92が移動する。
【0016】
用紙トレイ16は、用紙Pを収容する。画像形成装置1は、搬送される用紙P(被転写媒体)に対して転写ローラ上のトナー像を転写し、用紙P上に画像を形成する。
【0017】
次に、図3に示すフローチャートを参照して、上記画像形成装置1による異常検出処理及び異常回避印刷の一例を説明する。
【0018】
画像形成装置1の制御部2は、不揮発性メモリ5に記憶されたテストパターン(例えばCMYKの各色ごとのハーフトーンのテストパターン)を画像形成部7に供給し、画像形成部7によるテスト画像の形成の実行を制御する。これに対応して、画像形成部7は、テストパターンに基づくテスト画像を連続印刷する(ACT1)。なお、テスト画像の連続印刷は、転写ベルト92上へテスト画像を連続形成し、記録媒体(被転写媒体)への連続印刷を省略するようにしてもよい。
【0019】
ラインセンサ141は、転写ベルト92上に形成されたテストパターン(テストパターンのトナー濃度)を読み取る(ACT2)。また、転写ベルト92は、基準位置マークを備え、ラインセンサ141は、転写ベルト92上の基準位置マークも読み取る。演算部143は、テストパターン及び基準位置マークの読取結果に基づき、テストパターンから白抜けの発生位置を検出する(ACT3)。例えば、演算部143は、テストパターンの読取結果に基づきヒストグラム等の濃度分布データを生成し、濃度分布データを解析し、解析結果に基づき白抜けの発生位置を検出する。さらに、演算部143は、解析結果に基づき、白抜けの発生を検出すると(ACT4、YES)、基準位置マークの発生位置情報及び白抜けの発生位置情報をメモリ142に記憶する(ACT5)。
【0020】
ここで、図4、図5、図6を参照し、白抜け発生位置の算出方法について説明する。例えば、演算部143は、第1(1枚目)のテスト画像の主走査開始位置を原点に設定し(図4、図5、図6参照)、転写ベルト92上に形成された第1のテスト画像の読取結果に基づき、転写ベルト92上に発生した第1のテスト画像の白抜け発生位置を2次元座標化し、白抜け発生位置を示す2次元座標を記憶する。同様に、演算部143は、転写ベルト92上に形成された第2のテスト画像の読取結果に基づき、転写ベルト92上に発生した第2のテスト画像の白抜け発生位置を2次元座標化し、白抜け発生位置を示す2次元座標を記憶し、転写ベルト92上に形成された第3のテスト画像の読取結果に基づき、転写ベルト92上に発生した第3のテスト画像の白抜け発生位置を2次元座標化し、白抜け発生位置を示す2次元座標を記憶する。
【0021】
上記を繰り返し、演算部143は、複数のテスト画像の連続形成に対応して、これら複数のテスト画像の読取結果に基づき、転写ベルト92上に発生した複数のテスト画像の白抜け発生位置を2次元座標化し、白抜け発生位置を示す2次元座標を記憶する。合わせて、演算部143は、基準位置マークの発生位置を示す2次元座標も記憶する。
【0022】
テスト印刷の終了に対応して(ACT6、YES)、演算部143は、白抜け発生位置が1より多いか否かを判定する(ACT7)。白抜け発生位置が1以下の場合(ACT7、NO)、演算部143は、白抜け発生の周期性無しを判定する。周期性無しの判定に対応して、制御部2は、第1の異常発生処理の実行を制御する。これに対応して、例えば、表示パネル15は、白抜け発生ユニット(異常発生ユニット)の特定が困難である旨を表示する(ACT8)。
【0023】
白抜け発生位置が複数の場合(ACT7、YES)、演算部143は、記憶した基準位置マークの発生位置情報及び記憶した白抜け発生位置情報に基づき、白抜け発生周期を解析する(ACT9)。例えば、演算部143は、白抜け発生位置を示す2次元座標(X軸方向の座標)に基づき、白抜け発生周期を算出する(図4、図5、図6参照)。さらに、演算部143は、白抜け発生位置を示す2次元座標(Y軸方向の座標)に基づき、白抜け発生ユニット(異常発生ユニット)のどの位置(先端部、中央部、または後端部)にゴミ等の異物が付着しているのかを算出する。
【0024】
演算部143は、白抜け発生周期及びY軸方向の白抜け発生位置に基づき、白抜け発生ユニット(異常発生ユニット)及び異常発生位置(ゴミ等の異物付着位置)を検出する。例えば、メモリ142は、白抜けの発生源となりやすい転写ベルト92、感光体94、マグローラ95などの外周の長さを記憶している。上記説明したように、演算部143は、複数のテスト画像の連続形成に対応して、転写ベルト92上に発生した白抜けの発生位置を2次元座標化し、白抜け発生位置を示す2次元座標を記憶している(図4、図5、図6参照)。さらに、演算部143は、白抜け発生位置を示す2次元座標(X軸方向の座標)に基づき、白抜けの発生周期を算出し、白抜け発生位置を示す2次元座標(Y軸方向の座標)に基づき、白抜け発生ユニット(異常発生ユニット)のどの位置(先端部、中央部、または後端部)にゴミ等の異物が付着しているのかを算出している。演算部143は、白抜け発生周期と、転写ベルト92、感光体94、マグローラ95などの外周の長さとを比較し、白抜け発生ユニット(異常発生ユニット)を特定し、また、白抜け発生位置 (先端部、中央部、または後端部)を特定する。
【0025】
演算部143が、転写ベルト92以外の所定ユニット(例えば感光体94、マグローラ95)の異常により白抜けが発生していると判定した場合(ACT10、NO)、制御部2は、第2の異常発生処理の実行を制御する。これに対応して、例えば、表示パネル15は、白抜け発生ユニット(異常発生ユニット)を示す情報(例えばユニット名)を表示する(ACT8)。また、演算部143が、転写ベルト92以外の特定できないユニットの異常により白抜けが発生していると判定した場合、制御部2は、第1の異常発生処理の実行を制御する。これに対応して、例えば、表示パネル15は、白抜け発生ユニット(異常発生ユニット)の特定が困難である旨を表示する。
【0026】
演算部143が、転写ベルト92の異常により白抜けが発生していると判定した場合(ACT10、NO)、異常発生位置(白抜け発生位置)を除く画像形成の実行可否を判定する(ACT12)つまり、演算部143は、白抜け発生位置(白抜け発生座標)を除く画像形成の実行可否を判定する。言い換えれば、演算部143は、異常発生位置(白抜け発生位置)を含む異常発生領域(白抜け発生領域)を除く画像形成の実行可否を判定する。例えば、図7に示すように、演算部143は、異常発生領域(白抜け発生領域)を避けて、異常回避領域を使用し、所定サイズ(ユーザ指定サイズ、A3サイズ、LDサイズなど)の画像形成の実行可否を判定する。
【0027】
異常発生領域(白抜け発生領域)を避けた画像形成の実行不可判定に基づき(ACT12、NO)、制御部2は、第3の異常発生処理の実行を制御する。これに対応して、例えば、表示パネル15は、転写ベルト上にゴミ等の異物が付着していることを表示する(ACT13)。
【0028】
異常発生領域(白抜け発生領域)を避け、異常回避領域を使用した画像形成の実行可能判定に基づき(ACT12、YES)、制御部2は、第4の異常発生処理の実行を制御する。これに対応して、画像形成部9は、異常発生領域(白抜け発生領域)を避けて、異常回避領域を使用し、ユーザ画像の形成を実行する(ACT14)。例えば、図7に示すように、画像形成部9は、転写ベルト92に対するトナー像の形成タイミングを制御し、異常発生領域(白抜け発生領域)を避けて、異常回避領域を使用し、ユーザ画像の形成を実行する。
【0029】
以上により、実施形態の画像形成装置は、白抜け発生ユニット(異常発生ユニット)を特定することができ、転写ベルト92により異常が発生している場合には、異常発生領域(白抜け発生領域)を避けて、ユーザ画像の形成を実行することができる。これにより、サービスマンのメンテナンス待ちの間も、画像形成装置は、正常な画像を出力することができる。
【0030】
なお、本実施形態では、CMYKの各色ごとのハーフトーンのテストパターンに対応したテスト画像の形成に基づく異常検出処理及び異常回避印刷について説明したが、本実施形態の画像形成装置は、単色のハーフトーンのテストパターンに対応したテスト画像の形成に基づく異常検出処理及び異常回避印刷も可能である。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0032】
1…画像形成装置、2…制御部、3…ROM、4…RAM、5…不揮発性メモリ、6…画像読取部、7…画像処理部、8…ページメモリ、9…画像形成部、10…モータドライバ、12…ステッピングモータ、14…異常検出部、15…表示パネル、16…用紙トレイ、17…システムバス、91…定着器、92…転写ベルト92、93…転写ローラ、95…感光体、141…ラインセンサ、142…メモリ、143…演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によるテスト画像の形成の実行を制御する第1の画像形成制御手段と、
前記テスト画像を読み取る読取手段と、
前記テスト画像の読取結果に基づき前記画像形成手段における異常発生位置を検出する異常検出手段と、
前記異常発生位置を除く前記画像形成手段による画像の形成の実行を制御する第2の画像形成制御手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成手段は、トナー像を被転写媒体へ転写する転写手段を備え、
前記読取手段は、前記転写手段に形成された前記テスト画像を読み取る請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写手段は、転写ベルトにより構成され、
前記異常検出手段は、前記転写ベルト上の前記異常発生位置を検出する請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記異常検出手段は、前記転写ベルト上から前記異常発生位置を含む異常発生領域を検出し、
前記第2の画像形成手段は、前記異常発生領域を除く前記転写ベルト上の異常回避領域による画像の形成を制御する請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記異常検出手段は、前記異常発生領域の異常発生周期を検出し、前記異常発生周期に基づき前記転写ベルトに起因する異常発生を検出する請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2の画像形成手段は、前記異常発生周期に基づき、前記異常発生領域を除く前記転写ベルト上の前記異常回避領域による画像の形成を制御する請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記異常検出手段は、異物付着に起因する前記異常発生位置を検出する請求項1乃至6の何れか1項記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記異常発生位置の検出に対応し、異常の発生を表示する表示手段を備える請求項1乃至7の何れか1項記載の画像形成装置。
【請求項9】
画像形成手段によるテスト画像の形成を制御し、
前記テスト画像を読み取り、
前記テスト画像の読取結果に基づき前記画像形成手段における異常発生位置を検出し、
前記異常発生位置を除く前記画像形成手段による画像の形成を制御する画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−253186(P2011−253186A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122366(P2011−122366)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】