画像形成装置及び画像形成方法
【課題】
周面の凹部に転写材把持部が配設された転写ローラーを有する画像形成装置において、安定した形成画像を供給する。
【解決手段】
本発明に係る画像形成装置は、像が転写された転写ベルト40を巻き掛ける第1のローラー52と、第1のローラー52に巻き掛けられた転写ベルト40を巻き掛ける第2のローラー41と、第2のローラー41に巻き掛けられた転写ベルト40を巻き掛ける第3のローラー53と、周面に設けられた凹部605に転写材把持部610が設けられた転写ローラー61と、第2のローラー41を転写ベルト40に張架させる張架部材691と、転写ローラー40の凹部605が、第2のローラー41と対向したときに第2のローラー41が転写ベルト40を張架する位置に第2のローラー41の位置を規制する規制部680、690と、を有することを特徴とする。
周面の凹部に転写材把持部が配設された転写ローラーを有する画像形成装置において、安定した形成画像を供給する。
【解決手段】
本発明に係る画像形成装置は、像が転写された転写ベルト40を巻き掛ける第1のローラー52と、第1のローラー52に巻き掛けられた転写ベルト40を巻き掛ける第2のローラー41と、第2のローラー41に巻き掛けられた転写ベルト40を巻き掛ける第3のローラー53と、周面に設けられた凹部605に転写材把持部610が設けられた転写ローラー61と、第2のローラー41を転写ベルト40に張架させる張架部材691と、転写ローラー40の凹部605が、第2のローラー41と対向したときに第2のローラー41が転写ベルト40を張架する位置に第2のローラー41の位置を規制する規制部680、690と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体上に形成した潜像をトナーによって現像し、現像トナー像を転写ベルト上に転写し、さらに転写ベルト上のトナー像を記録紙などの媒体に転写し、転写された媒体上のトナー像を融着し定着して画像形成する画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置に関連して、転写ローラー胴部に設けられた凹部に、ローラー軸方向に沿って転写材の縁部を把持することができる爪部材及び爪座部材を設けておき、これらにより転写材を把持しつつ、中間転写体などに形成されたトナー像を当該転写材に転写する技術が知られている。
【0003】
例えば、このような技術を利用したものとして、特許文献1には、転写中においては転写ローラーの凹部に配設された把持部材により転写材を把持し、転写終了後、当該転写材を開放する画像形成装置が開示されている。従来のこのような画像形成装置によれば、中間転写体からの転写材の剥離を確実に行うことが可能となる。
【0004】
また、中間転写体として転写ベルトを用いることはよく知られており、中間転写ベルトを用いた画像形成装置では、中間転写ベルトと2次転写ローラーにて形成されるニップで転写材に像が転写される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2006−513883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来の特許文献1に記載される画像形成装置によれば、胴部に設けられた凹部に、ローラー軸方向に沿った転写材の縁部を把持する爪部材と爪座部材とからなる把持機構を有する転写ローラーと、トナー像が形成された転写体との間のニップ間に適切な転写荷重を印加することで、厚さの異なる転写材に対して良好な転写効率を確保することができたり、転写材先端が転写ニップ通過した後に把持機構による把持を開放することで転写体からの剥離性を良好にすることができる。
【0007】
しかしながら、転写材の把持を行う際、転写ローラーの凹部が像担持体に対向する位置にきたとき、転写ローラーに配設された把持機構と転写材との位置関係が定まりにくく、送り部材から送られてきた転写材を把持機構で安定して把持することが困難となる問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、潜像が形成される潜像担持体と、前記潜像担持体に形成された前記潜像をトナー及びキャリア液を含む液体現像剤で現像する現像部と、前記現像部で前記潜像担持体に現像された像が転写される転写ベルトと、前記像が転写された前記転写ベルトを巻き掛ける第1のローラーと、前記第1のローラーに巻き掛けられた前記転写ベルトを巻き掛ける第2のローラーと、前記第2のローラーに巻き掛けられた前記転写ベルトを巻き掛ける第3のローラーと、周面に凹部が設けられ、前記凹部に転写材を把持する転写材把持部が設けられて前記転写材把持部で前記転
写材を把持して回転するとともに、前記転写ベルトを介して前記第2のローラーと当接して前記転写ベルトに転写された前記像を転写する転写ローラーと、前記第2のローラーを前記転写ベルトに張架させる張架部材と、前記転写ローラーの前記凹部が、前記第2のローラーと対向したときに前記第2のローラーが前記転写ベルトを張架する位置に前記第2のローラーの位置を規制する規制部と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
さらに、本発明に係る画像形成装置において、前記規制部は、前記凹部が前記第2のローラーと対向したときの前記転写ローラーの回転中心と前記第2のローラーの回転中心との間の距離と、前記凹部が前記第2のローラーと対向していないときの前記転写ローラーの回転中心と前記第2のローラーの回転中心との間の距離が等しいか略等しい位置に、前記第2のローラーの位置を規制するものである。
【0010】
さらに、本発明に係る画像形成装置において、前記規制部は、前記転写ローラーと同軸に配設された第1の規制部材、及び前記第2のローラーと同軸に配設されて前記第1の規制部材と当接する第2の規制部材を有し、前記第1の規制部材と前記第2の規制部材との当接により前記第2のローラーの位置を規制することとしている。
【0011】
さらに、本発明に係る画像形成装置は、前記潜像担持体を露光して前記潜像を形成する露光部と、前記露光部を露光させるタイミングを調整して前記潜像担持体に形成される前記潜像の位置を制御する制御部と、を有するものである。
【0012】
さらに、本発明に係る画像形成装置は、前記転写ローラーの回転位置を検出する回転位置検出部を有し、前記制御部は、前記回転位置検出部で検出された前記転写ローラーの回転位置の情報に基づいて、前記露光部を露光させるタイミングを調整して前記潜像が形成される位置を制御することとしている。
【0013】
さらに、本発明に係る画像形成装置は、前記像が転写された前記転写ベルトを駆動させる駆動ローラーを有し、前記駆動ローラーにより駆動されて移動された前記転写ベルトを前記第1のローラーが巻き掛けることとしている。
【0014】
さらに、本発明に係る画像形成装置は、前記第3のローラーで巻き掛けられた前記転写ベルトを巻き掛けるとともに、前記転写ベルトに張力を付与する第4のローラーを有することとしている。
【0015】
また、本発明に係る画像形成方法は、第1のローラー、第2のローラー、及び第3のローラーで巻き掛けられた転写ベルトを移動させるとともに、周面に凹部を有し、前記凹部に転写材把持部が配設された転写ローラーを回転させ、前記転写ローラーの回転により、前記転写ローラーの凹部が前記第2のローラーと対向したときに、前記第2のローラーを前記転写ベルトが張架される位置に規制することを特徴としている。
【0016】
以上、本発明の画像形成装置および画像形成方法によれば、転写ローラーの凹部が転写ベルトと対向したときにおいても、第2のローラーが転写ベルトに張架した状態を維持しているため、転写ベルトの振動を抑制することができ、転写ベルトの振動により発生する1次転写位置での転写ムラを抑制することが可能となる。
【0017】
さらに、凹部が第2のローラーと対向したときの転写ローラーの回転中心と第2のローラーの回転中心との間の距離と、凹部が第2のローラーと対向していないときの転写ローラーの回転中心と第2のローラーの回転中心との間の距離が等しいか略等しくしたことで、1次転写位置から2次転写位置までの移動距離(時間)を一定もしくは略一定とすることが可能となり、2次転写位置の変動を抑えることが可能となる。
【0018】
また、潜像担持体に形成する潜像の書き出し位置を制御することで、転写ローラーと転写ベルトにて形成される2次転写位置において、転写材に転写する像の位置決めを正確に行うことが可能となる。規制部により、転写ベルトの這い回しを略一定に保つことで転写像の位置決めはさらに正確になる。さらに、潜像の書き出し位置は、転写ローラーの回転位置を検出し、この回転位置に基づいて算出されるタイミングで、潜像の書き出し位置を制御することで、さらに正確な位置決めを行うことが可能となる。
【0019】
さらに、転写ベルトは、第1のローラーの巻き掛け位置の直上流に配設された駆動ローラーで駆動することが好ましい。このように転写ローラーと転写ベルトにて形成される2次転写ニップに近い位置に転写ベルトの駆動源を配設することで、2次転写ニップ位置での転写を正確に行うことが可能となる。
【0020】
さらに、転写ベルトには、第3のローラーの巻き掛け位置よりも転写ベルトの移動方向において後方位置で押圧し、張力を加えることが好ましい。このような構成によれば、2次転写位置近傍に配設された各種ローラーを装置本体側で回転可能に支持することが可能となり、2次転写の位置決めを安定させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】画像形成装置の主要構成を示す図。
【図2】2次転写ローラーの断面図。
【図3】2次転写ローラーの回転に伴う転写材搬送の様子を示す図。
【図4】2次転写ローラーの回転に伴う転写材搬送の様子を示す図。
【図5】2次転写ローラーの回転に伴う転写材搬送の様子を示す図。
【図6】2次転写ローラーの回転に伴う転写材搬送の様子を示す図。
【図7】2次転写ローラーの回転に伴う転写材搬送の様子を示す図。
【図8】画像形成装置の制御を示すブロック図。
【図9】2次転写ユニットの動作、状態を示すタイムチャート。
【図10】2次転写ローラーの断面図。
【図11】画像形成装置の制御を示すブロック図。
【図12】2次転写ユニットの動作、状態を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の主要構成を示した図である。画像形成装置の中央部に配置された像担持体又は転写媒体としての転写ベルト40に対し、現像部としての現像装置30Y、30M、30C、30Kは、画像形成装置の下方部に配置され、転写部としての2次転写部60、定着ユニット90などの構成は画像形成装置の上方部に配置されている。特に、定着ユニット90が、転写ベルト40上方にレイアウトされることにより、画像形成装置全体としての設置面積を抑制することが可能となっている。本実施形態においては、2次転写ユニット60で2次転写を経た用紙などの転写材は、不図示の搬送手段により搬送されつつ、定着ユニット90へと搬送される構成となっているため、このようなレイアウトを実現することができる。
【0023】
潜像担持体としての感光体10Y、10M、10C、10Kの周辺は、トナーによる画像を形成するために、コロナ帯電器11Y、11M、11C、11K、LEDアレイなどの露光ユニット12Y、12M、12C、12K等を備えている。コロナ帯電器11Y、11M、11C、11Kにより、感光体10Y、10M、10C、10Kを一様に帯電させ、露光部としての露光ユニット12Y、12M、12C、12Kにより、入力された画像信号に基づいて露光を行い、帯電された感光体10Y、10M、10C、10K上に静電潜像を形成する。
【0024】
現像装置30Y、30M、30C、30Kは、概略、現像剤担持体としての現像ローラー20Y、20M、20C、20K、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)からなる各色の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器(リザーバ)31Y、31M、31C、31K、これら各色の液体現像剤を現像剤容器31Y、31M、31C、31Kから現像ローラー20Y、20M、20C、20Kに塗布する塗布ローラーである現像剤供給部材としてのアニロックスローラー32Y、32M、32C、32K等を備え各色の液体現像剤により感光体10Y、10M、10C、10K上に形成された静電潜像を現像する。
【0025】
1次転写部50Y、50M、50C、50Kは、感光体10Y、10M、10C、10K上に形成された像を、感光体10Y、10M、10C、10Kと1次転写バックアップローラー51Y、51M、51C、51Kとのニップ部を介して、転写ベルト40に転写する部分である。
【0026】
転写ベルト40は、シームレスなゴム等の弾性部材で形成されたベルトであり、ベルト駆動ローラー44、テンションローラー42などで張架され、1次転写部50Y、50M、50C、50Kで感光体10Y、10M、10C、10Kと当接しながらベルト駆動ローラー44により回転駆動される。1次転写部50Y、5OM、50C、50Kは、感光体10Y、10M、10C、10Kと転写ベルト40を挟んで1次転写バックアップローラー51Y、51M、51C、51Kが対向配置され、感光体10Y、10M、10C、10Kとの当接位置を転写位置として、現像された感光体10Y、10M、10C、10K上の各色のトナー像を転写ベルト40上に順次重ねて転写し、フルカラーのトナー像を形成する。
【0027】
テンションローラー42(本発明でいう「第4のローラー」)は、ベルト駆動ローラー44などと共に転写ベルト40を張架している。本実施形態では、ベルト駆動ローラー41、第1、第2巻き掛けローラー52、53を装置本体のフレームなどで回転可能に支持されたローラーとしている。そのため、このテンションローラー42にて転写ベルト40に張力を付与することとしている。また、転写ベルト40がテンションローラー42に張架されている箇所には、転写ベルトクリーニングブレード49で構成されたクリーニング部が当接され、転写ベルト40上の残りトナ一、キャリアをクリーニングするようになっている。
【0028】
2次転写ユニット60は、転写媒体にトナー像を転写させる手段としての2次転写ローラー61(本発明における「転写ローラー」)等を備えている。2次転写ローラー61は、転写ベルト40の移動方向に沿って移動するよう矢印で示す方向に回転する。本実施形態では、この2次転写ローラー61は、画像形成装置本体のフレームなどで回転可能に支持されている。そのため、2次転写ローラー61の凹部605に配設される転写材把持部610は、転写材を把持するとき常に同じ位置を通過することとなり、安定して転写材を把持させることが可能となる。
【0029】
また、2次転写ローラー61には、転写バイアスが印加されており、転写ニップで転写ベルト40のトナー像を転写材搬送経路Lにて搬送される用紙、フィルム、布等の転写材(記録材ともいう)に転写する。また、2次転写ユニット60は、2次転写ローラー61をクリーニングする2次転写ローラークリーニングブレード62、ブレード支持部材63等を有する。
【0030】
転写ベルト40を挟んで、2次転写ローラー61と対向する位置には対向ローラー41(本発明でいう「第2のローラー」)が配設されている。この対向ローラー41は、バネ
などで形成された張架部材691にて転写ベルト40側に付勢されており、転写ベルト40に転写された像を転写ベルト40と2次転写ローラー61間を通過する転写材に転写させることが可能となっている。
【0031】
さらに本実施形態では、対向ローラー41とベルト駆動ローラー44との間に第1巻き掛けローラー52(本発明でいう「第1のローラー」)を、対向ローラー41の直下流には第2巻き掛けローラー53(本発明でいう「第3のローラー」)を設け、転写ベルト40を巻き掛けている。なお、これら第1巻き掛けローラー52、第2巻き掛けローラー53の軸部は、装置本体側で回転可能に支持されており、その軸中心は変動しないように構成されている。
【0032】
転写材搬送経路Lの2次転写部60の下流には、図示しない転写材搬送装置が配列されており、転写材を定着ユニット90に搬送するようになっている。定着ユニット90では、用紙等の転写材上に転写された単色のトナー像やフルカラーのトナー像を用紙等の転写材に融着させ定着させる。
【0033】
画像形成装置に対する転写材は、給紙装置(不図示)によって供給される。このような給紙装置にセットされた転写材は、所定のタイミングにて一枚ごとに転写材搬送経路Lに送り出されるようになっている。転写材搬送経路Lでは、転写材搬送部100(本発明における「搬送部」)にて、転写材を2次転写位置まで搬送し、転写ベルト40上に形成された単色のトナー像やフルカラーのトナー像を転写材に転写する。本実施形態では、転写材搬送部100は、対向して配設されたゲートローラー101、101’を備えて構成されている。さらに、転写材搬送部100にて搬送される転写材を2次転写位置に導くための転写材ガイド102を有している。
【0034】
2次転写された転写材は、上記のように、転写材搬送装置によって、さらに定着ユニット90に搬送される。定着ユニット90は、加熱ローラー91と、この加熱ローラー91側に所定の圧力で付勢された加圧ローラー92とから構成されており、これらのニップ間に転写材を挿通させ、転写材上に転写された単色のトナー像やフルカラーのトナー像を用紙等の転写材に融着し定着させる。
【0035】
ここで、現像装置30について説明するが、各色の感光体周辺部及び現像装置の構成は同様であるので、以下、イエロー(Y)の感光体周辺部及び現像装置30Yについて説明する。
【0036】
感光体周辺部は、感光体10Yの外周の回転方向に沿って、コロナ帯電器11Yを基準として、露光ユニット12Y、現像装置30Yの現像ローラー20Y、第1感光体スクイーズローラー13Y、第2感光体スクイーズローラー13Y’、1次転写部50Y、感光体10Yの電位を除電する不図示の除電器、感光体クリーニングブレード18Y、が配設されている。なお、画像形成プロセスは、コロナ帯電器11Yから感光体クリーニングブレード18Yの順に、より前段に配置される構成は、後段に配置される構成より上流にあるものと定義する。
【0037】
感光体10Yは、外周面にアモルファスシリコン感光体などの感光層が形成された円筒状の部材からなる感光体ドラムであり、図1において、時計回りの方向に回転する。コロナ帯電器11Yは、感光体10Yと現像ローラー20Yとのニップ部より感光体10Yの回転方向の上流側に配置され、図示しない電源装置から電圧が印加され、感光体10Yをコロナ帯電させる。露光ユニット12Yは、感光体10Yの回転方向において、コロナ帯電器11Yより下流側、現像ローラー20Yとのニップ部より上流側に配置され、コロナ帯電器11Yによって帯電された感光体10Y上に光を照射し、感光体10Y上に潜像を
形成する。
【0038】
また現像装置30Yは、前記の液体現像剤を担持する現像ローラー20Yと、液体現像剤を現像ローラー20Yに塗布するための塗布ローラーであるアニロックスローラー32Yと、現像ローラー20Yに塗布する液体現像剤量を規制する規制ブレード33Yと、液体現像剤を撹件、搬送しつつアニロックスローラー32Yに供給するオーガ34Yと、現像ローラー20Yに担持された液体現像剤をコンパクション状態にするコンパクションコロナ発生器22Yと、現像ローラー20Yのクリーニングを行う現像ローラークリーニングブレード21Yと、キャリア内にトナーを概略重量比20%程度に分散した状態の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器31Yとを有する。
【0039】
現像剤容器31Yに収容されている液体現像剤は、従来一般的に使用されているIsopar(商標:エクソン)をキャリアとした低濃度(1〜2wt%程度)かつ低粘度の、常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性を有する不揮発性液体現像剤である。すなわち、本発明における液体現像剤は、熱可塑性樹脂中へ顔料等の着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約20%とした高粘度(HAAKE RheoStress RS600を用いて、25℃の時のせん断速度1000(1/s)のときの粘弾性が30〜300mPa・s程度)の液体現像剤である。
【0040】
以上、Y色の現像装置30Yについて詳細な説明を行ったが、他色の現像装置30M、30C、30Kについても同様の構成を有するものである。なお、各色Y、M、C、Kに対応する感光体20や現像装置30等の部材の配置順、数は、図1に示すものに限定されることはなく、任意に設定することが可能であって、単色にて構成されるものであってもよい。
【0041】
次に本実施形態に係る画像形成装置で用いられる2次転写ローラー61についてより詳細に説明する。図2は本発明の実施形態に係る画像形成装置で用いられる2次転写ローラーを説明する図である。図2において、601はローラー胴部、602はローラー軸部、605は凹部、607はシート材、610は転写材把持部、611は把持部材、612は支持部材、613は第1開口縁、614は第2開口縁、615は把持部材回動中心、617はシート材張架部材、618はネジ部材、621はカムフォロワー、622はアームをそれぞれ示している。
【0042】
2次転写ローラー61のローラー基材601の両端部にはローラー軸部602が設けられており、このローラー軸部602を中心としてローラー基材601が回動自在となるように装置本体側に取り付けられるようになっている。また、ローラー基材601には、軸方向にわたる凹部605が設けられており、凹部605の一方の第1開口縁613から他方の第2開口縁614の中には転写材把持部610が、また凹部605以外のローラー基材601にはシート材607が設けられている。
【0043】
シート材607は80〜90μm厚さのポリイミド基材層にフッ素樹脂コーティングが施された構成となっており、所定の電気的抵抗成分を有する半導電層としても機能する。なお、図面は模式的に示した図であって、このシート材607の厚さは誇張的に表現されている。
【0044】
シート材607の一端は、第1開口縁613において、シート材607を取り付ける部材であると共に、把持部材611と対になって転写材を掴む支持部材612によって取り付けられている。また、シート材607の他端は、第2開口縁614において、シート材
張架部材617によって取り付けられている。ローラー胴部601にシート材607を取り付ける際には、シート材607をローラー胴部601と支持部材612(又はシート材張架部材617)で挟むようにして、ネジ部材618をローラー胴部601に螺着することで取り付けを行う。
【0045】
2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間に所定のバイアス電圧が印加され、ローラー基材601におけるシート材607に転写材が巻きつけられている状態で、2次転写ユニットにおける2次転写ニップを通過するときに転写ベルト40から転写材へのトナー像の転写が行われる。
【0046】
転写材把持部610は、転写材を把持したり、解放したりするための機構である。転写材把持部610は、概略、ローラー軸方向にわたって離散的に設けられる把持部材611及び支持部材612とが対となって構成されている。把持部材611は、把持部材回動中心615に図中a又はb方向に動作することにより、把持部材611と支持部材612との間で転写材の縁部を把持したり、把持した転写材を解放したりすることができるようになっている。
【0047】
本実施形態では、この把持部材の開閉機構としてカム機構が採用されている。カム機構の構成として、把持部材611と一緒に回動可能なアーム622、アーム622先端に形成されたカムフォロワー621を備えている。2次転写ローラー61の回転に伴って、カムフォロワー621が、装置本体側に固定された制御カムの表面を移動することで把持部材611の開閉が制御される。なお、把持部材611の動作は、このような機械的動作に限らず電気的な駆動機構にて制御することとしてもよい。
【0048】
2次転写ローラー61の凹部605において、シート材607表面と同様の外周面が仮想的に存在するものと仮定すると、支持部材612は仮想外周面内に設けられるようなレイアウトとなっている。一方、把持部材611がa方向に最大限に回動すると、把持部材611の一部が仮想外周面外にまで延在するようになっている。
【0049】
また、2次転写ローラー61のローラー軸部602は、装置本体側に回転可能に支持されている。本実施形態では、このような構成にて2次転写ローラー61が中心位置を移動させることなく回転することで、転写材把持部610が転写材を把持するときに同じ位置を通過させることとなり、安定して転写材を把持させることが可能となる。
【0050】
以上、図2を用いて2次転写ローラー61の主要構成について説明したが、本実施形態では、2次転写ローラー61の回転中心位置が移動しないため、転写材把持部610に転写材を安定して把持させることが可能となっている。次にこの2次転写ローラー61による転写材の搬送、並びに、転写材把持部610の動作について図3〜図9を用いて詳細に説明を行う。
【0051】
図3〜図7は、2次転写ローラーの回転に伴う転写材搬送の様子を示す図であって、(A)は2次転写ユニット60をローラー軸の方向からみた模式図であり、(B)は2次転写ローラー61と対向ローラー41、両軸を含む断面での模式図となっている。また、図8は、画像形成装置の制御を示すブロック図であって、図9は、2次転写ユニットの動作、状態を示すタイムチャートとなっている。
【0052】
図3は、2次転写の終了した転写材S1が後段に配設される定着ユニット90側に搬送され、次に2次転写が実行される転写材S2が転写材搬送部100にて待機している状態を示している。
【0053】
2次転写ローラー61のローラー軸部602の両端にはそれぞれ、第1規制部材650が設けられている。この第1規制部材650は、把持部材611と転写ベルト40とが対向するときに、対向ローラー41の両端に配設された第2当接部材690と当接することで、把持部材611と転写ベルト40が接触することを防ぐ機能を有する。本発明では、この第1規制部材650と第2規制部材690とで規制部が構成されている。
【0054】
このため、2次転写ローラー61の凹部605が転写ベルト40に対向する位置にきたとき、凹部605内に設けられた把持部材611が転写ベルト40と接触することを防止することができ、把持部材611によって転写ベルト40を損傷することを防ぐことが可能となっている。
【0055】
本実施形態では、第2規制部材690に円盤状であって、その外周に転がり軸受け(ベアリング)を設けたものが採用されている。転がり軸受けを配設したことで、第2規制部材690が第1規制部材と当接するときに、両者の速度差による不整合を抑えることが可能となる。
【0056】
図3の状態は、第1規制部材650と、第2規制部材690は、まだ離間している状態であって、2次転写ローラー61と、対向ローラー41との軸間距離Lb1は、両者が互いに当接することで所定の距離に保たれている。
【0057】
本実施形態において、転写材搬送部100は、対向するゲートローラー101、101’を有して構成されている。このゲートローラー101、101’が回転することで間に挟まれた転写材Sが下流、すなわち、2次転写ユニット60側へと搬送される。図は、ゲートローラー101、101’は停止した状態であって、転写材S2はゲートローラー101、101’にて、ちょうど、せき止められた状態となっている。なお、転写材Sは、転写材搬送部100までは、転写材搬送部100の上流側に配設された転写材搬送装置(図示せず)にて事前に搬送される。
【0058】
ゲートローラー101、101’は、2次転写ローラー61がさらに回転を進め、把持部材611が開いた状態となったときに、転写材Sの先端が把持部材611の把持位置となるタイミングで、回転を開始し転写材Sを搬送する。なお、タイミングの制御については、2次転写ローラー61の回転位置を検出することで実行されることとなるが、その詳細については後で説明を行う。
【0059】
図9には、2次転写ユニットの動作、状態を示すタイムチャートが示されている。この図に示されるように、図3の状態では、ゲートローラー101、101’はオフ状態、第1規制部材650と第2規制部材690は離間した状態、対向ローラー41と転写ベルト40は当接した状態、転写材把持部610は閉じた状態であることを示している。
【0060】
図4には、2次転写ローラー61が、図3の状態からさらに回転を進めた状態が示されている。把持部材611は、図示しない駆動機構によって支持部材612から離間し、開いた状態となっている。転写材S2は、その先端がこの開いた状態の把持部材611の把持位置に位置するように搬送される。転写材S2の搬送は、転写材搬送部100の制御にて実行され、その搬送開始タイミングの制御は後述することとする。このように、転写材搬送部100にて転写材Sの搬送を制御することによって、開状態となった把持部材611の把持位置に的確に転写材を搬送することが可能となる。
【0061】
また、この状態では、第1規制部材650と第2規制部材690とが徐々に当接を開始し、第2規制部材690にて2次転写ローラー61の付勢力・荷重を受ける状態となる。これにより、2次転写ローラー61の凹部605が転写ベルト40に対向する位置にきた
ときにおいても、凹部605内に設けられた把持部材611が転写ベルト40と接触することを防止できる。
【0062】
さらに、対向ローラー41は、張架部材691にて転写ベルト40側に付勢されているため、凹部605が転写ベルト40と対向したときにも、対向ローラー41が転写ベルト40を巻き掛ける状態が維持されることが可能となっている。そのため、凹部605が転写ベルト40と対向したときにおいても、転写ベルト40をばたつかせることがなく、転写ベルト40自身の振動を抑え、感光体10と転写ベルト40で形成される1次転写部50において、歪みのない像を形成することが可能となる。
【0063】
好ましくは、第1規制部材650と第2規制部材690が当接するとき、2次転写ローラー61の軸中心から対向ローラー41の軸中心までの距離Lb2が、図3のように第1規制部材650と第2規制部材690が当接していないときの距離Lb1と略等しくなるようにすることが好ましい。このような構成を採用することで、転写ベルト40の這い回し、すなわち、図4(A)に示すように横方向からみたときの転写ベルト40の移動経路を略一定とすることが可能となり、2次転写位置の変動を抑制し、像のずれを抑えることが可能となる。
【0064】
図9に記載されるタイムチャートを参照すると、図4の状態では、ゲートローラー101、101’はオン状態、第1規制部材650と第2規制部材690は当接した状態、対向ローラー41と転写ベルト40は当接した状態、転写材把持部610は開いた状態であることを示している。
【0065】
図5は、2次転写ローラー61が、図4の状態からさらに回転を進めた状態が示されている。この状態では、把持部材611は、図示しない駆動機構によって、開いた状態から閉じた状態となり、支持部材612との間で転写材S2をしっかりと把持した状態となっている。なお、この状態では、第1規制部材650と第2規制部材690が当接することで、2次転写ローラー61と転写ベルト40間の距離はLa3に、2次転写ローラー61と対向ローラー41の軸間距離はLb3となるが、これらの距離についても第1規制部材650と第2規制部材690が当接していないときの距離と略等しくなるようにすることで、2次転写位置の変動を抑制することが可能となる。
【0066】
図9に記載されるタイムチャートを参照すると、図5の状態では、ゲートローラー101、101’はオン状態、第1規制部材650と第2規制部材690は当接した状態、対向ローラー41と転写ベルト40は当接した状態、転写材把持部610は開いた状態であることを示している。
【0067】
図6は、2次転写ローラー61が、図5の状態からさらに回転を進め、把持部材611が転写材S2を把持し、2次転写ローラー61の表面に転写材S2を巻き取った状態が示されている。この状態では、対向ローラー41は張架部材691により転写ベルト40に張架され、転写ベルト40と2次転写ローラー61の表面に設けられたシート材607とで転写ニップを形成した状態となっている。また、転写材S2は、2次転写ローラー61と転写ベルト40の間に挟まれた状態であって、転写ベルト40にトナー像が形成されている場合には、トナー像は転写ニップで転写材S2に転写される。
【0068】
図9に記載されるタイムチャートを参照すると、この図6の状態では、ゲートローラー101、101’はオン状態であり、第1規制部材650と第2規制部材690は離間した状態、対向ローラー41と転写ベルト40は当接した状態、転写材把持部610は、閉じた状態であることが示されている。
【0069】
図7は、2次転写ローラー61が、図6の状態からさらに回転を進め、把持部材611が再度、開いた状態となり、把持部材611にて把持されていた転写材S2の先端が離されて、後段に配設される定着ユニット90に送られる様子が示されている。図において転写部材は、開いた後、再度閉じた状態となっており、新たな転写材Sの把持に備えている。
【0070】
図9に記載されるタイムチャートを参照すると、図7の状態では、ゲートローラー101、101’はオン状態、第1規制部材650と第2規制部材690は離間した状態、転写材把持部610は、閉じた状態であることが示されている。
【0071】
以上、説明したように、2次転写ローラー61の回転により、図3〜図7、図9の状態を繰り返し行うことで、複数の転写材Sに対して2次転写が実行される。特に、本実施形態では、2次転写ローラー61の凹部605が転写ベルト40と対向したときにおいても、第1規制部材650と第2規制部材690で構成された規制部で、転写ベルト40を張架した状態を維持するように対向ローラー41の位置を規制し、転写ベルト40がばたつくことを抑制し、転写ベルト40を安定した姿勢に保つことが可能となる。
【0072】
さらに、好ましくは、第1規制部材650と第2規制部材690が当接したときに転写ベルト40の這い回しを略一定に構成することで、2次転写位置の変動を抑えることが可能となっている。
【0073】
次に本発明に係る画像形成装置の制御について説明する。図8は、本発明の実施形態に係る画像形成装置における制御ブロックの概略を示す図である。図8において、150は主制御部、160は2次転写ローラー制御部、161はベルト駆動ローラー制御部、162は搬送部制御部、163は露光ユニット制御部、900は位置検出手段、901は被検出部材、901aはスリット、902はセンサー、903はセンサー支持部材をそれぞれ示している。
【0074】
主制御部150は、本発明に係る画像形成装置の各制御を行うためのメインコントローラーである。このような主制御部150としては、CPUやRAM、ROM等を備える汎用の情報処理装置を用い、入力された所定情報に基づいて所定ブロックへの命令を出力する動作を前記CPUに実行させるプログラムを予め前記ROMに記憶させることによって実現することが可能である。
【0075】
ベルト駆動ローラー制御部161は、主制御部150からの制御命令に基づき、ベルト駆動ローラー44の回転開始、停止、そして、回転周速の制御などを行い、ベルト駆動ローラー44に巻掛けられた転写ベルト40の移動に関する制御を行う。
【0076】
2次転写ローラー制御部160は、主制御部150からの制御命令に基づき、2次転写ローラー61の回転開始、停止、そして、回転周速の制御などを行う。本実施形態では、転写材把持部は、カム構成を用いることで2次転写ローラー61の回転に伴い開閉するようになっているが、電気的手段で駆動する場合には、転写材把持部610は、この2次転写ローラー制御部160によって制御され、転写材を把持するタイミング、或いは、転写材を解放するタイミングを自在に変更することが可能となる。
【0077】
露光ユニット制御部163は、画像形成装置に入力される画像信号に基づいて、Y、M、C、K各色の露光ユニット12を制御し、当該画像信号に基づく光を感光体10上に照射して、感光体10に潜像を形成する。特に、本実施形態では、潜像の書き出し位置を2次転写ローラー61の回転基準位置にて制御することで、最終的に転写材Sに形成される画像の位置ずれを抑制することが可能となっている。
【0078】
回転位置検出部900は、2次転写ローラー61の回転位置を検出するために配設された部材であって、2次転写ローラー61の回転基準位置を検出し、主制御部150に対して回転位置情報を出力する。本実施形態では、被検出部材901、スリット901a、センサー902、センサー支持部材903を有して構成されている。
【0079】
被検出部材901は、2次転写ローラー61のローラー軸部602に固定され、2次転写ローラー61と共に回転する円形状の部材である。センサー901は、画像形成装置本体側に固定され、2次転写ローラー61と共には回転しないように配設されている。センサー901は、発光部と受光部は、被検出部材901を挟んで対峙する位置に配設されている。
【0080】
被検出部材901に設けられたスリット901aは、2次転写ローラー61の回転に伴って発光部と受光部の間を通過するように構成され、スリット901a通過時においては受光部が発光部からの放射光を受光するオン状態となり、非通過時においては受光部はOFF状態となる。本実施形態では、このような光学系を利用した回転位置検出部900が出力する位置検出信号により、2次転写ローラー61の基準位置を検出することが可能となる。基準位置の検出はこのような形態に限ることなく、機械的な検出手段を利用するなど適宜な形態を採用することが可能である。
【0081】
本実施形態では、このようにして検出された2次転写ローラー61の基準位置を、搬送部制御部162、露光ユニット制御部163の制御に利用している。搬送部制御部162では、2次転写ローラー61の回転位相に同期して転写材Sの搬送を制御することが可能となる。
【0082】
図9のタイムチャートには、回転位置検出部900から出力された回転位置情報と、転写材搬送部100の制御の様子がみてとれる。回転位置情報がオフ状態からオン状態になったタイミングを基準として、時間T2経過後にゲートローラー110、110’の駆動を開始する。このように、2次転写ローラー61の回転に同期して、転写材搬送部100の駆動を制御しているため、把持部材611の把持位置に転写材を的確に搬送することが可能となっている。
【0083】
さらに、本実施形態では、各色露光ユニット12における潜像形成開始のタイミング検出された2次転写ローラー61の基準位置を、露光ユニット12における潜像形成の開始タイミングに用いることとしている。具体的には、位置検出手段900で検出された回転位置情報に基づいて、露光ユニット制御部163を制御し、各色の露光ユニット12にて感光体10に対する潜像形成が開始される。
【0084】
図9のタイムチャートには、位置検出部900から出力された回転位置情報と、露光ユニット制御部163による露光開始の様子がみてとれる。このタイムチャートでは、1つの露光ユニット12に対する露光の様子を示しているが、図1のように4つの露光ユニット12が存在する場合には、各色毎に異なるタイミングで制御が実行される。この露光開始のタイミングについても、回転位置情報がオフ状態からオン状態になったタイミングを基準として、時間T1経過後に実行される。このように、2次転写ローラー61の回転に同期して、露光ユニット12の露光開始タイミングを制御するため、転写材に転写する像のずれを抑えることが可能となる。
【0085】
次に、図10〜図12を用いて、把持部材611の開閉を電気的手段にて行う駆動機構の実施形態について説明を行う。前述の実施形態では、カム機構を駆動機構として把持部材611の開閉を行うこととしていたが、把持部材611の駆動機構には、電気的手段を
採用することもできる。図10は、2次転写ローラーの断面図であり、図11は、画像形成装置の制御を示すブロック図であり、図12は、2次転写ユニットの動作、状態を示すタイムチャートである。
【0086】
図10に示す2次転写ローラー61の断面図は、図2で説明したものと把持部材611の駆動機構のみにおいて異なる構成となっている。本実施形態における駆動機構は、把持部材回動中心615、モーター630、ローター軸631、第1ギア633、第2ギア635にて構成されている。
【0087】
このように本実施形態の駆動機構は、モーター630を把持部材611の開閉のための動力源として有している。不図示の制御手段からの制御信号に基づいてモーター630は時計回り方向(b’の方向)又は反時計回り方向(a’の方向)に回転可能に構成されている。モーター630のローター軸631には第1ギア633が設けられており、さらに把持部材611の把持部材回動中心615には、前記第1ギア633と噛合している第2ギア635が設けられており、ローター軸631からの回転力が把持部材回動中心615に伝達されるようになっており、これにより把持部材611が回動動作するようになっている。
【0088】
モーター630が時計回り方向(b’の方向)に回転したときには、把持部材611はbの方向に動作し、把持部材611と支持部材612との間で転写材の縁部を把持する動作を行う。また、モーター630が反時計回り方向(a’の方向)に回転したときには、把持部材611はaの方向に動作し、把持部材611は支持部材612から離間し、把持した転写材を解放する動作を行う。
【0089】
なお、本実施形態においては動力源とする電磁部品としてモーターを用いているが、これに限らずロータリーソレノイドなどの他の回転動力を発現する電磁部品を用いても良い。また、アクチュエーターなどの直線的な動力を発現する電磁部品を用いて、把持部材611を動作させるようにしてもよい。
【0090】
図11は、本実施形態における画像形成装置の制御を示すブロック図である。前述した実施形態では、把持部材611の駆動機構は、2次転写ローラー61の回転に同期したカム機構によって実行されていたため、駆動機構に対する電気的制御は必要としていなかった。それに対し本実施形態では、2次転写ローラー制御部160にて駆動機構640を電気的に制御する必要がある。
【0091】
具体的には、搬送部100の制御と同様、位置検出手段900にて検出された2次転写ローラー61の回転基準位置に基づいて制御される。図12には、位置検出手段900から出力された回転位置情報に基づく駆動機構640の様子が示されている。ゲートローラー110、110’の駆動と同様、回転位置情報がオフ状態からオン状態となったタイミングを基準として実行される。
【0092】
本実施形態では、当該タイミングから時間T3経過後に、駆動機構640の制御が開始される。把持部材611の1回目の開閉動作(転写材把持時)と、2回目の開閉動作(転写材解放時)は、一連の動作で行われているが、2回目の開閉動作についても回転位置情報に基づくタイミングで制御することとしてもよい。
【0093】
以上、電気的手段を用いた駆動機構640にて、把持部材611を開閉する実施形態について説明したが、本実施形態では、電気的に制御可能なモーターなどの動力源を使用することで、カム機構と比較して多様な把持制御を行うことが可能となる。例えば、転写材の種類、厚さなどに応じて把持力などの把持状態を変更することも可能となる。なお、転
写材搬送部100の制御、露光ユニット制御部163の制御など、本実施形態で説明を行わなかった点については、前実施形態と同様である。
【0094】
なお、本明細書においては、種々の実施の形態について説明したが、それぞれの実施の形態の構成を適宜組み合わせて構成された実施形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0095】
10Y、10M、10C、10K…感光体(潜像担持体)、11Y、11M、11C、11K…コロナ帯電器、12Y、12M、12C、12K…露光ユニット、13Y、13M、13C、13K…第1感光体スクイーズローラー、13Y’、13M’、13C’、13K’…第2感光体スクイーズローラー、14Y、14Y’、14M、14M’、14C、14C’、14K、14K’…感光体スクイーズローラークリーニングブレード、18Y、18M、18C、18K…感光体クリーニングブレード、20Y、20M、20C、20K…現像ローラー、21Y、21M、21C、21K…現像ローラークリーニングブレード、22Y、22M、22C、22K…コンパクションコロナ発生器、30Y、30M、30C、30K…現像装置、31Y、31M、31C、31K…現像剤容器、32Y、32M、32C、32K…アニロックスローラー、33Y、33M、33C、33K…規制ブレード、34Y、34M、34C、34K…オーガ(供給ローラー)、40…転写ベルト、41…対向ローラー(第2のローラー)、42…テンションローラー、44…ベルト駆動ローラー、49…転写ベルトクリーニングブレード、50Y、50M、50C、50K…1次転写部、51Y、51M、51C、51K…1次転写バックアップローラー、52…第1巻き掛けローラー(第1のローラー)、53…第2巻き掛けローラー(第3のローラー)、60…2次転写ユニット、61…2次転写ローラー、62…2次転写ローラークリーニングブレード、63…ブレード支持部材、64…2次転写クリーニング液回収貯留部、90…定着ユニット、91…加熱ローラー、92…加圧ローラー、100…転写材搬送部、101、101’…ゲートローラー、102…転写材ガイド、150…主制御部、160…2次転写ローラー制御部、161…ベルト駆動ローラー制御部、162…搬送部制御部、163…露光ユニット制御部、601…ローラー基材、602…ローラー軸部、605…凹部、607…シート材、611…把持部材、612…支持部材、613…第1開口縁、614…第2開口縁、615…把持部材回動中心、617…シート材張架部材、618…ネジ部材、630…モーター、631…ローター軸、633…第1ギア、635…第2ギア、640…駆動部、650…第1規制部材、690…第2規制部材、691…張架部材、900…回転位置検出手段、901…被検出部材、901a…スリット、902…センサー、903…センサー支持部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体上に形成した潜像をトナーによって現像し、現像トナー像を転写ベルト上に転写し、さらに転写ベルト上のトナー像を記録紙などの媒体に転写し、転写された媒体上のトナー像を融着し定着して画像形成する画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置に関連して、転写ローラー胴部に設けられた凹部に、ローラー軸方向に沿って転写材の縁部を把持することができる爪部材及び爪座部材を設けておき、これらにより転写材を把持しつつ、中間転写体などに形成されたトナー像を当該転写材に転写する技術が知られている。
【0003】
例えば、このような技術を利用したものとして、特許文献1には、転写中においては転写ローラーの凹部に配設された把持部材により転写材を把持し、転写終了後、当該転写材を開放する画像形成装置が開示されている。従来のこのような画像形成装置によれば、中間転写体からの転写材の剥離を確実に行うことが可能となる。
【0004】
また、中間転写体として転写ベルトを用いることはよく知られており、中間転写ベルトを用いた画像形成装置では、中間転写ベルトと2次転写ローラーにて形成されるニップで転写材に像が転写される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2006−513883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来の特許文献1に記載される画像形成装置によれば、胴部に設けられた凹部に、ローラー軸方向に沿った転写材の縁部を把持する爪部材と爪座部材とからなる把持機構を有する転写ローラーと、トナー像が形成された転写体との間のニップ間に適切な転写荷重を印加することで、厚さの異なる転写材に対して良好な転写効率を確保することができたり、転写材先端が転写ニップ通過した後に把持機構による把持を開放することで転写体からの剥離性を良好にすることができる。
【0007】
しかしながら、転写材の把持を行う際、転写ローラーの凹部が像担持体に対向する位置にきたとき、転写ローラーに配設された把持機構と転写材との位置関係が定まりにくく、送り部材から送られてきた転写材を把持機構で安定して把持することが困難となる問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、潜像が形成される潜像担持体と、前記潜像担持体に形成された前記潜像をトナー及びキャリア液を含む液体現像剤で現像する現像部と、前記現像部で前記潜像担持体に現像された像が転写される転写ベルトと、前記像が転写された前記転写ベルトを巻き掛ける第1のローラーと、前記第1のローラーに巻き掛けられた前記転写ベルトを巻き掛ける第2のローラーと、前記第2のローラーに巻き掛けられた前記転写ベルトを巻き掛ける第3のローラーと、周面に凹部が設けられ、前記凹部に転写材を把持する転写材把持部が設けられて前記転写材把持部で前記転
写材を把持して回転するとともに、前記転写ベルトを介して前記第2のローラーと当接して前記転写ベルトに転写された前記像を転写する転写ローラーと、前記第2のローラーを前記転写ベルトに張架させる張架部材と、前記転写ローラーの前記凹部が、前記第2のローラーと対向したときに前記第2のローラーが前記転写ベルトを張架する位置に前記第2のローラーの位置を規制する規制部と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
さらに、本発明に係る画像形成装置において、前記規制部は、前記凹部が前記第2のローラーと対向したときの前記転写ローラーの回転中心と前記第2のローラーの回転中心との間の距離と、前記凹部が前記第2のローラーと対向していないときの前記転写ローラーの回転中心と前記第2のローラーの回転中心との間の距離が等しいか略等しい位置に、前記第2のローラーの位置を規制するものである。
【0010】
さらに、本発明に係る画像形成装置において、前記規制部は、前記転写ローラーと同軸に配設された第1の規制部材、及び前記第2のローラーと同軸に配設されて前記第1の規制部材と当接する第2の規制部材を有し、前記第1の規制部材と前記第2の規制部材との当接により前記第2のローラーの位置を規制することとしている。
【0011】
さらに、本発明に係る画像形成装置は、前記潜像担持体を露光して前記潜像を形成する露光部と、前記露光部を露光させるタイミングを調整して前記潜像担持体に形成される前記潜像の位置を制御する制御部と、を有するものである。
【0012】
さらに、本発明に係る画像形成装置は、前記転写ローラーの回転位置を検出する回転位置検出部を有し、前記制御部は、前記回転位置検出部で検出された前記転写ローラーの回転位置の情報に基づいて、前記露光部を露光させるタイミングを調整して前記潜像が形成される位置を制御することとしている。
【0013】
さらに、本発明に係る画像形成装置は、前記像が転写された前記転写ベルトを駆動させる駆動ローラーを有し、前記駆動ローラーにより駆動されて移動された前記転写ベルトを前記第1のローラーが巻き掛けることとしている。
【0014】
さらに、本発明に係る画像形成装置は、前記第3のローラーで巻き掛けられた前記転写ベルトを巻き掛けるとともに、前記転写ベルトに張力を付与する第4のローラーを有することとしている。
【0015】
また、本発明に係る画像形成方法は、第1のローラー、第2のローラー、及び第3のローラーで巻き掛けられた転写ベルトを移動させるとともに、周面に凹部を有し、前記凹部に転写材把持部が配設された転写ローラーを回転させ、前記転写ローラーの回転により、前記転写ローラーの凹部が前記第2のローラーと対向したときに、前記第2のローラーを前記転写ベルトが張架される位置に規制することを特徴としている。
【0016】
以上、本発明の画像形成装置および画像形成方法によれば、転写ローラーの凹部が転写ベルトと対向したときにおいても、第2のローラーが転写ベルトに張架した状態を維持しているため、転写ベルトの振動を抑制することができ、転写ベルトの振動により発生する1次転写位置での転写ムラを抑制することが可能となる。
【0017】
さらに、凹部が第2のローラーと対向したときの転写ローラーの回転中心と第2のローラーの回転中心との間の距離と、凹部が第2のローラーと対向していないときの転写ローラーの回転中心と第2のローラーの回転中心との間の距離が等しいか略等しくしたことで、1次転写位置から2次転写位置までの移動距離(時間)を一定もしくは略一定とすることが可能となり、2次転写位置の変動を抑えることが可能となる。
【0018】
また、潜像担持体に形成する潜像の書き出し位置を制御することで、転写ローラーと転写ベルトにて形成される2次転写位置において、転写材に転写する像の位置決めを正確に行うことが可能となる。規制部により、転写ベルトの這い回しを略一定に保つことで転写像の位置決めはさらに正確になる。さらに、潜像の書き出し位置は、転写ローラーの回転位置を検出し、この回転位置に基づいて算出されるタイミングで、潜像の書き出し位置を制御することで、さらに正確な位置決めを行うことが可能となる。
【0019】
さらに、転写ベルトは、第1のローラーの巻き掛け位置の直上流に配設された駆動ローラーで駆動することが好ましい。このように転写ローラーと転写ベルトにて形成される2次転写ニップに近い位置に転写ベルトの駆動源を配設することで、2次転写ニップ位置での転写を正確に行うことが可能となる。
【0020】
さらに、転写ベルトには、第3のローラーの巻き掛け位置よりも転写ベルトの移動方向において後方位置で押圧し、張力を加えることが好ましい。このような構成によれば、2次転写位置近傍に配設された各種ローラーを装置本体側で回転可能に支持することが可能となり、2次転写の位置決めを安定させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】画像形成装置の主要構成を示す図。
【図2】2次転写ローラーの断面図。
【図3】2次転写ローラーの回転に伴う転写材搬送の様子を示す図。
【図4】2次転写ローラーの回転に伴う転写材搬送の様子を示す図。
【図5】2次転写ローラーの回転に伴う転写材搬送の様子を示す図。
【図6】2次転写ローラーの回転に伴う転写材搬送の様子を示す図。
【図7】2次転写ローラーの回転に伴う転写材搬送の様子を示す図。
【図8】画像形成装置の制御を示すブロック図。
【図9】2次転写ユニットの動作、状態を示すタイムチャート。
【図10】2次転写ローラーの断面図。
【図11】画像形成装置の制御を示すブロック図。
【図12】2次転写ユニットの動作、状態を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の主要構成を示した図である。画像形成装置の中央部に配置された像担持体又は転写媒体としての転写ベルト40に対し、現像部としての現像装置30Y、30M、30C、30Kは、画像形成装置の下方部に配置され、転写部としての2次転写部60、定着ユニット90などの構成は画像形成装置の上方部に配置されている。特に、定着ユニット90が、転写ベルト40上方にレイアウトされることにより、画像形成装置全体としての設置面積を抑制することが可能となっている。本実施形態においては、2次転写ユニット60で2次転写を経た用紙などの転写材は、不図示の搬送手段により搬送されつつ、定着ユニット90へと搬送される構成となっているため、このようなレイアウトを実現することができる。
【0023】
潜像担持体としての感光体10Y、10M、10C、10Kの周辺は、トナーによる画像を形成するために、コロナ帯電器11Y、11M、11C、11K、LEDアレイなどの露光ユニット12Y、12M、12C、12K等を備えている。コロナ帯電器11Y、11M、11C、11Kにより、感光体10Y、10M、10C、10Kを一様に帯電させ、露光部としての露光ユニット12Y、12M、12C、12Kにより、入力された画像信号に基づいて露光を行い、帯電された感光体10Y、10M、10C、10K上に静電潜像を形成する。
【0024】
現像装置30Y、30M、30C、30Kは、概略、現像剤担持体としての現像ローラー20Y、20M、20C、20K、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)からなる各色の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器(リザーバ)31Y、31M、31C、31K、これら各色の液体現像剤を現像剤容器31Y、31M、31C、31Kから現像ローラー20Y、20M、20C、20Kに塗布する塗布ローラーである現像剤供給部材としてのアニロックスローラー32Y、32M、32C、32K等を備え各色の液体現像剤により感光体10Y、10M、10C、10K上に形成された静電潜像を現像する。
【0025】
1次転写部50Y、50M、50C、50Kは、感光体10Y、10M、10C、10K上に形成された像を、感光体10Y、10M、10C、10Kと1次転写バックアップローラー51Y、51M、51C、51Kとのニップ部を介して、転写ベルト40に転写する部分である。
【0026】
転写ベルト40は、シームレスなゴム等の弾性部材で形成されたベルトであり、ベルト駆動ローラー44、テンションローラー42などで張架され、1次転写部50Y、50M、50C、50Kで感光体10Y、10M、10C、10Kと当接しながらベルト駆動ローラー44により回転駆動される。1次転写部50Y、5OM、50C、50Kは、感光体10Y、10M、10C、10Kと転写ベルト40を挟んで1次転写バックアップローラー51Y、51M、51C、51Kが対向配置され、感光体10Y、10M、10C、10Kとの当接位置を転写位置として、現像された感光体10Y、10M、10C、10K上の各色のトナー像を転写ベルト40上に順次重ねて転写し、フルカラーのトナー像を形成する。
【0027】
テンションローラー42(本発明でいう「第4のローラー」)は、ベルト駆動ローラー44などと共に転写ベルト40を張架している。本実施形態では、ベルト駆動ローラー41、第1、第2巻き掛けローラー52、53を装置本体のフレームなどで回転可能に支持されたローラーとしている。そのため、このテンションローラー42にて転写ベルト40に張力を付与することとしている。また、転写ベルト40がテンションローラー42に張架されている箇所には、転写ベルトクリーニングブレード49で構成されたクリーニング部が当接され、転写ベルト40上の残りトナ一、キャリアをクリーニングするようになっている。
【0028】
2次転写ユニット60は、転写媒体にトナー像を転写させる手段としての2次転写ローラー61(本発明における「転写ローラー」)等を備えている。2次転写ローラー61は、転写ベルト40の移動方向に沿って移動するよう矢印で示す方向に回転する。本実施形態では、この2次転写ローラー61は、画像形成装置本体のフレームなどで回転可能に支持されている。そのため、2次転写ローラー61の凹部605に配設される転写材把持部610は、転写材を把持するとき常に同じ位置を通過することとなり、安定して転写材を把持させることが可能となる。
【0029】
また、2次転写ローラー61には、転写バイアスが印加されており、転写ニップで転写ベルト40のトナー像を転写材搬送経路Lにて搬送される用紙、フィルム、布等の転写材(記録材ともいう)に転写する。また、2次転写ユニット60は、2次転写ローラー61をクリーニングする2次転写ローラークリーニングブレード62、ブレード支持部材63等を有する。
【0030】
転写ベルト40を挟んで、2次転写ローラー61と対向する位置には対向ローラー41(本発明でいう「第2のローラー」)が配設されている。この対向ローラー41は、バネ
などで形成された張架部材691にて転写ベルト40側に付勢されており、転写ベルト40に転写された像を転写ベルト40と2次転写ローラー61間を通過する転写材に転写させることが可能となっている。
【0031】
さらに本実施形態では、対向ローラー41とベルト駆動ローラー44との間に第1巻き掛けローラー52(本発明でいう「第1のローラー」)を、対向ローラー41の直下流には第2巻き掛けローラー53(本発明でいう「第3のローラー」)を設け、転写ベルト40を巻き掛けている。なお、これら第1巻き掛けローラー52、第2巻き掛けローラー53の軸部は、装置本体側で回転可能に支持されており、その軸中心は変動しないように構成されている。
【0032】
転写材搬送経路Lの2次転写部60の下流には、図示しない転写材搬送装置が配列されており、転写材を定着ユニット90に搬送するようになっている。定着ユニット90では、用紙等の転写材上に転写された単色のトナー像やフルカラーのトナー像を用紙等の転写材に融着させ定着させる。
【0033】
画像形成装置に対する転写材は、給紙装置(不図示)によって供給される。このような給紙装置にセットされた転写材は、所定のタイミングにて一枚ごとに転写材搬送経路Lに送り出されるようになっている。転写材搬送経路Lでは、転写材搬送部100(本発明における「搬送部」)にて、転写材を2次転写位置まで搬送し、転写ベルト40上に形成された単色のトナー像やフルカラーのトナー像を転写材に転写する。本実施形態では、転写材搬送部100は、対向して配設されたゲートローラー101、101’を備えて構成されている。さらに、転写材搬送部100にて搬送される転写材を2次転写位置に導くための転写材ガイド102を有している。
【0034】
2次転写された転写材は、上記のように、転写材搬送装置によって、さらに定着ユニット90に搬送される。定着ユニット90は、加熱ローラー91と、この加熱ローラー91側に所定の圧力で付勢された加圧ローラー92とから構成されており、これらのニップ間に転写材を挿通させ、転写材上に転写された単色のトナー像やフルカラーのトナー像を用紙等の転写材に融着し定着させる。
【0035】
ここで、現像装置30について説明するが、各色の感光体周辺部及び現像装置の構成は同様であるので、以下、イエロー(Y)の感光体周辺部及び現像装置30Yについて説明する。
【0036】
感光体周辺部は、感光体10Yの外周の回転方向に沿って、コロナ帯電器11Yを基準として、露光ユニット12Y、現像装置30Yの現像ローラー20Y、第1感光体スクイーズローラー13Y、第2感光体スクイーズローラー13Y’、1次転写部50Y、感光体10Yの電位を除電する不図示の除電器、感光体クリーニングブレード18Y、が配設されている。なお、画像形成プロセスは、コロナ帯電器11Yから感光体クリーニングブレード18Yの順に、より前段に配置される構成は、後段に配置される構成より上流にあるものと定義する。
【0037】
感光体10Yは、外周面にアモルファスシリコン感光体などの感光層が形成された円筒状の部材からなる感光体ドラムであり、図1において、時計回りの方向に回転する。コロナ帯電器11Yは、感光体10Yと現像ローラー20Yとのニップ部より感光体10Yの回転方向の上流側に配置され、図示しない電源装置から電圧が印加され、感光体10Yをコロナ帯電させる。露光ユニット12Yは、感光体10Yの回転方向において、コロナ帯電器11Yより下流側、現像ローラー20Yとのニップ部より上流側に配置され、コロナ帯電器11Yによって帯電された感光体10Y上に光を照射し、感光体10Y上に潜像を
形成する。
【0038】
また現像装置30Yは、前記の液体現像剤を担持する現像ローラー20Yと、液体現像剤を現像ローラー20Yに塗布するための塗布ローラーであるアニロックスローラー32Yと、現像ローラー20Yに塗布する液体現像剤量を規制する規制ブレード33Yと、液体現像剤を撹件、搬送しつつアニロックスローラー32Yに供給するオーガ34Yと、現像ローラー20Yに担持された液体現像剤をコンパクション状態にするコンパクションコロナ発生器22Yと、現像ローラー20Yのクリーニングを行う現像ローラークリーニングブレード21Yと、キャリア内にトナーを概略重量比20%程度に分散した状態の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器31Yとを有する。
【0039】
現像剤容器31Yに収容されている液体現像剤は、従来一般的に使用されているIsopar(商標:エクソン)をキャリアとした低濃度(1〜2wt%程度)かつ低粘度の、常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性を有する不揮発性液体現像剤である。すなわち、本発明における液体現像剤は、熱可塑性樹脂中へ顔料等の着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約20%とした高粘度(HAAKE RheoStress RS600を用いて、25℃の時のせん断速度1000(1/s)のときの粘弾性が30〜300mPa・s程度)の液体現像剤である。
【0040】
以上、Y色の現像装置30Yについて詳細な説明を行ったが、他色の現像装置30M、30C、30Kについても同様の構成を有するものである。なお、各色Y、M、C、Kに対応する感光体20や現像装置30等の部材の配置順、数は、図1に示すものに限定されることはなく、任意に設定することが可能であって、単色にて構成されるものであってもよい。
【0041】
次に本実施形態に係る画像形成装置で用いられる2次転写ローラー61についてより詳細に説明する。図2は本発明の実施形態に係る画像形成装置で用いられる2次転写ローラーを説明する図である。図2において、601はローラー胴部、602はローラー軸部、605は凹部、607はシート材、610は転写材把持部、611は把持部材、612は支持部材、613は第1開口縁、614は第2開口縁、615は把持部材回動中心、617はシート材張架部材、618はネジ部材、621はカムフォロワー、622はアームをそれぞれ示している。
【0042】
2次転写ローラー61のローラー基材601の両端部にはローラー軸部602が設けられており、このローラー軸部602を中心としてローラー基材601が回動自在となるように装置本体側に取り付けられるようになっている。また、ローラー基材601には、軸方向にわたる凹部605が設けられており、凹部605の一方の第1開口縁613から他方の第2開口縁614の中には転写材把持部610が、また凹部605以外のローラー基材601にはシート材607が設けられている。
【0043】
シート材607は80〜90μm厚さのポリイミド基材層にフッ素樹脂コーティングが施された構成となっており、所定の電気的抵抗成分を有する半導電層としても機能する。なお、図面は模式的に示した図であって、このシート材607の厚さは誇張的に表現されている。
【0044】
シート材607の一端は、第1開口縁613において、シート材607を取り付ける部材であると共に、把持部材611と対になって転写材を掴む支持部材612によって取り付けられている。また、シート材607の他端は、第2開口縁614において、シート材
張架部材617によって取り付けられている。ローラー胴部601にシート材607を取り付ける際には、シート材607をローラー胴部601と支持部材612(又はシート材張架部材617)で挟むようにして、ネジ部材618をローラー胴部601に螺着することで取り付けを行う。
【0045】
2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間に所定のバイアス電圧が印加され、ローラー基材601におけるシート材607に転写材が巻きつけられている状態で、2次転写ユニットにおける2次転写ニップを通過するときに転写ベルト40から転写材へのトナー像の転写が行われる。
【0046】
転写材把持部610は、転写材を把持したり、解放したりするための機構である。転写材把持部610は、概略、ローラー軸方向にわたって離散的に設けられる把持部材611及び支持部材612とが対となって構成されている。把持部材611は、把持部材回動中心615に図中a又はb方向に動作することにより、把持部材611と支持部材612との間で転写材の縁部を把持したり、把持した転写材を解放したりすることができるようになっている。
【0047】
本実施形態では、この把持部材の開閉機構としてカム機構が採用されている。カム機構の構成として、把持部材611と一緒に回動可能なアーム622、アーム622先端に形成されたカムフォロワー621を備えている。2次転写ローラー61の回転に伴って、カムフォロワー621が、装置本体側に固定された制御カムの表面を移動することで把持部材611の開閉が制御される。なお、把持部材611の動作は、このような機械的動作に限らず電気的な駆動機構にて制御することとしてもよい。
【0048】
2次転写ローラー61の凹部605において、シート材607表面と同様の外周面が仮想的に存在するものと仮定すると、支持部材612は仮想外周面内に設けられるようなレイアウトとなっている。一方、把持部材611がa方向に最大限に回動すると、把持部材611の一部が仮想外周面外にまで延在するようになっている。
【0049】
また、2次転写ローラー61のローラー軸部602は、装置本体側に回転可能に支持されている。本実施形態では、このような構成にて2次転写ローラー61が中心位置を移動させることなく回転することで、転写材把持部610が転写材を把持するときに同じ位置を通過させることとなり、安定して転写材を把持させることが可能となる。
【0050】
以上、図2を用いて2次転写ローラー61の主要構成について説明したが、本実施形態では、2次転写ローラー61の回転中心位置が移動しないため、転写材把持部610に転写材を安定して把持させることが可能となっている。次にこの2次転写ローラー61による転写材の搬送、並びに、転写材把持部610の動作について図3〜図9を用いて詳細に説明を行う。
【0051】
図3〜図7は、2次転写ローラーの回転に伴う転写材搬送の様子を示す図であって、(A)は2次転写ユニット60をローラー軸の方向からみた模式図であり、(B)は2次転写ローラー61と対向ローラー41、両軸を含む断面での模式図となっている。また、図8は、画像形成装置の制御を示すブロック図であって、図9は、2次転写ユニットの動作、状態を示すタイムチャートとなっている。
【0052】
図3は、2次転写の終了した転写材S1が後段に配設される定着ユニット90側に搬送され、次に2次転写が実行される転写材S2が転写材搬送部100にて待機している状態を示している。
【0053】
2次転写ローラー61のローラー軸部602の両端にはそれぞれ、第1規制部材650が設けられている。この第1規制部材650は、把持部材611と転写ベルト40とが対向するときに、対向ローラー41の両端に配設された第2当接部材690と当接することで、把持部材611と転写ベルト40が接触することを防ぐ機能を有する。本発明では、この第1規制部材650と第2規制部材690とで規制部が構成されている。
【0054】
このため、2次転写ローラー61の凹部605が転写ベルト40に対向する位置にきたとき、凹部605内に設けられた把持部材611が転写ベルト40と接触することを防止することができ、把持部材611によって転写ベルト40を損傷することを防ぐことが可能となっている。
【0055】
本実施形態では、第2規制部材690に円盤状であって、その外周に転がり軸受け(ベアリング)を設けたものが採用されている。転がり軸受けを配設したことで、第2規制部材690が第1規制部材と当接するときに、両者の速度差による不整合を抑えることが可能となる。
【0056】
図3の状態は、第1規制部材650と、第2規制部材690は、まだ離間している状態であって、2次転写ローラー61と、対向ローラー41との軸間距離Lb1は、両者が互いに当接することで所定の距離に保たれている。
【0057】
本実施形態において、転写材搬送部100は、対向するゲートローラー101、101’を有して構成されている。このゲートローラー101、101’が回転することで間に挟まれた転写材Sが下流、すなわち、2次転写ユニット60側へと搬送される。図は、ゲートローラー101、101’は停止した状態であって、転写材S2はゲートローラー101、101’にて、ちょうど、せき止められた状態となっている。なお、転写材Sは、転写材搬送部100までは、転写材搬送部100の上流側に配設された転写材搬送装置(図示せず)にて事前に搬送される。
【0058】
ゲートローラー101、101’は、2次転写ローラー61がさらに回転を進め、把持部材611が開いた状態となったときに、転写材Sの先端が把持部材611の把持位置となるタイミングで、回転を開始し転写材Sを搬送する。なお、タイミングの制御については、2次転写ローラー61の回転位置を検出することで実行されることとなるが、その詳細については後で説明を行う。
【0059】
図9には、2次転写ユニットの動作、状態を示すタイムチャートが示されている。この図に示されるように、図3の状態では、ゲートローラー101、101’はオフ状態、第1規制部材650と第2規制部材690は離間した状態、対向ローラー41と転写ベルト40は当接した状態、転写材把持部610は閉じた状態であることを示している。
【0060】
図4には、2次転写ローラー61が、図3の状態からさらに回転を進めた状態が示されている。把持部材611は、図示しない駆動機構によって支持部材612から離間し、開いた状態となっている。転写材S2は、その先端がこの開いた状態の把持部材611の把持位置に位置するように搬送される。転写材S2の搬送は、転写材搬送部100の制御にて実行され、その搬送開始タイミングの制御は後述することとする。このように、転写材搬送部100にて転写材Sの搬送を制御することによって、開状態となった把持部材611の把持位置に的確に転写材を搬送することが可能となる。
【0061】
また、この状態では、第1規制部材650と第2規制部材690とが徐々に当接を開始し、第2規制部材690にて2次転写ローラー61の付勢力・荷重を受ける状態となる。これにより、2次転写ローラー61の凹部605が転写ベルト40に対向する位置にきた
ときにおいても、凹部605内に設けられた把持部材611が転写ベルト40と接触することを防止できる。
【0062】
さらに、対向ローラー41は、張架部材691にて転写ベルト40側に付勢されているため、凹部605が転写ベルト40と対向したときにも、対向ローラー41が転写ベルト40を巻き掛ける状態が維持されることが可能となっている。そのため、凹部605が転写ベルト40と対向したときにおいても、転写ベルト40をばたつかせることがなく、転写ベルト40自身の振動を抑え、感光体10と転写ベルト40で形成される1次転写部50において、歪みのない像を形成することが可能となる。
【0063】
好ましくは、第1規制部材650と第2規制部材690が当接するとき、2次転写ローラー61の軸中心から対向ローラー41の軸中心までの距離Lb2が、図3のように第1規制部材650と第2規制部材690が当接していないときの距離Lb1と略等しくなるようにすることが好ましい。このような構成を採用することで、転写ベルト40の這い回し、すなわち、図4(A)に示すように横方向からみたときの転写ベルト40の移動経路を略一定とすることが可能となり、2次転写位置の変動を抑制し、像のずれを抑えることが可能となる。
【0064】
図9に記載されるタイムチャートを参照すると、図4の状態では、ゲートローラー101、101’はオン状態、第1規制部材650と第2規制部材690は当接した状態、対向ローラー41と転写ベルト40は当接した状態、転写材把持部610は開いた状態であることを示している。
【0065】
図5は、2次転写ローラー61が、図4の状態からさらに回転を進めた状態が示されている。この状態では、把持部材611は、図示しない駆動機構によって、開いた状態から閉じた状態となり、支持部材612との間で転写材S2をしっかりと把持した状態となっている。なお、この状態では、第1規制部材650と第2規制部材690が当接することで、2次転写ローラー61と転写ベルト40間の距離はLa3に、2次転写ローラー61と対向ローラー41の軸間距離はLb3となるが、これらの距離についても第1規制部材650と第2規制部材690が当接していないときの距離と略等しくなるようにすることで、2次転写位置の変動を抑制することが可能となる。
【0066】
図9に記載されるタイムチャートを参照すると、図5の状態では、ゲートローラー101、101’はオン状態、第1規制部材650と第2規制部材690は当接した状態、対向ローラー41と転写ベルト40は当接した状態、転写材把持部610は開いた状態であることを示している。
【0067】
図6は、2次転写ローラー61が、図5の状態からさらに回転を進め、把持部材611が転写材S2を把持し、2次転写ローラー61の表面に転写材S2を巻き取った状態が示されている。この状態では、対向ローラー41は張架部材691により転写ベルト40に張架され、転写ベルト40と2次転写ローラー61の表面に設けられたシート材607とで転写ニップを形成した状態となっている。また、転写材S2は、2次転写ローラー61と転写ベルト40の間に挟まれた状態であって、転写ベルト40にトナー像が形成されている場合には、トナー像は転写ニップで転写材S2に転写される。
【0068】
図9に記載されるタイムチャートを参照すると、この図6の状態では、ゲートローラー101、101’はオン状態であり、第1規制部材650と第2規制部材690は離間した状態、対向ローラー41と転写ベルト40は当接した状態、転写材把持部610は、閉じた状態であることが示されている。
【0069】
図7は、2次転写ローラー61が、図6の状態からさらに回転を進め、把持部材611が再度、開いた状態となり、把持部材611にて把持されていた転写材S2の先端が離されて、後段に配設される定着ユニット90に送られる様子が示されている。図において転写部材は、開いた後、再度閉じた状態となっており、新たな転写材Sの把持に備えている。
【0070】
図9に記載されるタイムチャートを参照すると、図7の状態では、ゲートローラー101、101’はオン状態、第1規制部材650と第2規制部材690は離間した状態、転写材把持部610は、閉じた状態であることが示されている。
【0071】
以上、説明したように、2次転写ローラー61の回転により、図3〜図7、図9の状態を繰り返し行うことで、複数の転写材Sに対して2次転写が実行される。特に、本実施形態では、2次転写ローラー61の凹部605が転写ベルト40と対向したときにおいても、第1規制部材650と第2規制部材690で構成された規制部で、転写ベルト40を張架した状態を維持するように対向ローラー41の位置を規制し、転写ベルト40がばたつくことを抑制し、転写ベルト40を安定した姿勢に保つことが可能となる。
【0072】
さらに、好ましくは、第1規制部材650と第2規制部材690が当接したときに転写ベルト40の這い回しを略一定に構成することで、2次転写位置の変動を抑えることが可能となっている。
【0073】
次に本発明に係る画像形成装置の制御について説明する。図8は、本発明の実施形態に係る画像形成装置における制御ブロックの概略を示す図である。図8において、150は主制御部、160は2次転写ローラー制御部、161はベルト駆動ローラー制御部、162は搬送部制御部、163は露光ユニット制御部、900は位置検出手段、901は被検出部材、901aはスリット、902はセンサー、903はセンサー支持部材をそれぞれ示している。
【0074】
主制御部150は、本発明に係る画像形成装置の各制御を行うためのメインコントローラーである。このような主制御部150としては、CPUやRAM、ROM等を備える汎用の情報処理装置を用い、入力された所定情報に基づいて所定ブロックへの命令を出力する動作を前記CPUに実行させるプログラムを予め前記ROMに記憶させることによって実現することが可能である。
【0075】
ベルト駆動ローラー制御部161は、主制御部150からの制御命令に基づき、ベルト駆動ローラー44の回転開始、停止、そして、回転周速の制御などを行い、ベルト駆動ローラー44に巻掛けられた転写ベルト40の移動に関する制御を行う。
【0076】
2次転写ローラー制御部160は、主制御部150からの制御命令に基づき、2次転写ローラー61の回転開始、停止、そして、回転周速の制御などを行う。本実施形態では、転写材把持部は、カム構成を用いることで2次転写ローラー61の回転に伴い開閉するようになっているが、電気的手段で駆動する場合には、転写材把持部610は、この2次転写ローラー制御部160によって制御され、転写材を把持するタイミング、或いは、転写材を解放するタイミングを自在に変更することが可能となる。
【0077】
露光ユニット制御部163は、画像形成装置に入力される画像信号に基づいて、Y、M、C、K各色の露光ユニット12を制御し、当該画像信号に基づく光を感光体10上に照射して、感光体10に潜像を形成する。特に、本実施形態では、潜像の書き出し位置を2次転写ローラー61の回転基準位置にて制御することで、最終的に転写材Sに形成される画像の位置ずれを抑制することが可能となっている。
【0078】
回転位置検出部900は、2次転写ローラー61の回転位置を検出するために配設された部材であって、2次転写ローラー61の回転基準位置を検出し、主制御部150に対して回転位置情報を出力する。本実施形態では、被検出部材901、スリット901a、センサー902、センサー支持部材903を有して構成されている。
【0079】
被検出部材901は、2次転写ローラー61のローラー軸部602に固定され、2次転写ローラー61と共に回転する円形状の部材である。センサー901は、画像形成装置本体側に固定され、2次転写ローラー61と共には回転しないように配設されている。センサー901は、発光部と受光部は、被検出部材901を挟んで対峙する位置に配設されている。
【0080】
被検出部材901に設けられたスリット901aは、2次転写ローラー61の回転に伴って発光部と受光部の間を通過するように構成され、スリット901a通過時においては受光部が発光部からの放射光を受光するオン状態となり、非通過時においては受光部はOFF状態となる。本実施形態では、このような光学系を利用した回転位置検出部900が出力する位置検出信号により、2次転写ローラー61の基準位置を検出することが可能となる。基準位置の検出はこのような形態に限ることなく、機械的な検出手段を利用するなど適宜な形態を採用することが可能である。
【0081】
本実施形態では、このようにして検出された2次転写ローラー61の基準位置を、搬送部制御部162、露光ユニット制御部163の制御に利用している。搬送部制御部162では、2次転写ローラー61の回転位相に同期して転写材Sの搬送を制御することが可能となる。
【0082】
図9のタイムチャートには、回転位置検出部900から出力された回転位置情報と、転写材搬送部100の制御の様子がみてとれる。回転位置情報がオフ状態からオン状態になったタイミングを基準として、時間T2経過後にゲートローラー110、110’の駆動を開始する。このように、2次転写ローラー61の回転に同期して、転写材搬送部100の駆動を制御しているため、把持部材611の把持位置に転写材を的確に搬送することが可能となっている。
【0083】
さらに、本実施形態では、各色露光ユニット12における潜像形成開始のタイミング検出された2次転写ローラー61の基準位置を、露光ユニット12における潜像形成の開始タイミングに用いることとしている。具体的には、位置検出手段900で検出された回転位置情報に基づいて、露光ユニット制御部163を制御し、各色の露光ユニット12にて感光体10に対する潜像形成が開始される。
【0084】
図9のタイムチャートには、位置検出部900から出力された回転位置情報と、露光ユニット制御部163による露光開始の様子がみてとれる。このタイムチャートでは、1つの露光ユニット12に対する露光の様子を示しているが、図1のように4つの露光ユニット12が存在する場合には、各色毎に異なるタイミングで制御が実行される。この露光開始のタイミングについても、回転位置情報がオフ状態からオン状態になったタイミングを基準として、時間T1経過後に実行される。このように、2次転写ローラー61の回転に同期して、露光ユニット12の露光開始タイミングを制御するため、転写材に転写する像のずれを抑えることが可能となる。
【0085】
次に、図10〜図12を用いて、把持部材611の開閉を電気的手段にて行う駆動機構の実施形態について説明を行う。前述の実施形態では、カム機構を駆動機構として把持部材611の開閉を行うこととしていたが、把持部材611の駆動機構には、電気的手段を
採用することもできる。図10は、2次転写ローラーの断面図であり、図11は、画像形成装置の制御を示すブロック図であり、図12は、2次転写ユニットの動作、状態を示すタイムチャートである。
【0086】
図10に示す2次転写ローラー61の断面図は、図2で説明したものと把持部材611の駆動機構のみにおいて異なる構成となっている。本実施形態における駆動機構は、把持部材回動中心615、モーター630、ローター軸631、第1ギア633、第2ギア635にて構成されている。
【0087】
このように本実施形態の駆動機構は、モーター630を把持部材611の開閉のための動力源として有している。不図示の制御手段からの制御信号に基づいてモーター630は時計回り方向(b’の方向)又は反時計回り方向(a’の方向)に回転可能に構成されている。モーター630のローター軸631には第1ギア633が設けられており、さらに把持部材611の把持部材回動中心615には、前記第1ギア633と噛合している第2ギア635が設けられており、ローター軸631からの回転力が把持部材回動中心615に伝達されるようになっており、これにより把持部材611が回動動作するようになっている。
【0088】
モーター630が時計回り方向(b’の方向)に回転したときには、把持部材611はbの方向に動作し、把持部材611と支持部材612との間で転写材の縁部を把持する動作を行う。また、モーター630が反時計回り方向(a’の方向)に回転したときには、把持部材611はaの方向に動作し、把持部材611は支持部材612から離間し、把持した転写材を解放する動作を行う。
【0089】
なお、本実施形態においては動力源とする電磁部品としてモーターを用いているが、これに限らずロータリーソレノイドなどの他の回転動力を発現する電磁部品を用いても良い。また、アクチュエーターなどの直線的な動力を発現する電磁部品を用いて、把持部材611を動作させるようにしてもよい。
【0090】
図11は、本実施形態における画像形成装置の制御を示すブロック図である。前述した実施形態では、把持部材611の駆動機構は、2次転写ローラー61の回転に同期したカム機構によって実行されていたため、駆動機構に対する電気的制御は必要としていなかった。それに対し本実施形態では、2次転写ローラー制御部160にて駆動機構640を電気的に制御する必要がある。
【0091】
具体的には、搬送部100の制御と同様、位置検出手段900にて検出された2次転写ローラー61の回転基準位置に基づいて制御される。図12には、位置検出手段900から出力された回転位置情報に基づく駆動機構640の様子が示されている。ゲートローラー110、110’の駆動と同様、回転位置情報がオフ状態からオン状態となったタイミングを基準として実行される。
【0092】
本実施形態では、当該タイミングから時間T3経過後に、駆動機構640の制御が開始される。把持部材611の1回目の開閉動作(転写材把持時)と、2回目の開閉動作(転写材解放時)は、一連の動作で行われているが、2回目の開閉動作についても回転位置情報に基づくタイミングで制御することとしてもよい。
【0093】
以上、電気的手段を用いた駆動機構640にて、把持部材611を開閉する実施形態について説明したが、本実施形態では、電気的に制御可能なモーターなどの動力源を使用することで、カム機構と比較して多様な把持制御を行うことが可能となる。例えば、転写材の種類、厚さなどに応じて把持力などの把持状態を変更することも可能となる。なお、転
写材搬送部100の制御、露光ユニット制御部163の制御など、本実施形態で説明を行わなかった点については、前実施形態と同様である。
【0094】
なお、本明細書においては、種々の実施の形態について説明したが、それぞれの実施の形態の構成を適宜組み合わせて構成された実施形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0095】
10Y、10M、10C、10K…感光体(潜像担持体)、11Y、11M、11C、11K…コロナ帯電器、12Y、12M、12C、12K…露光ユニット、13Y、13M、13C、13K…第1感光体スクイーズローラー、13Y’、13M’、13C’、13K’…第2感光体スクイーズローラー、14Y、14Y’、14M、14M’、14C、14C’、14K、14K’…感光体スクイーズローラークリーニングブレード、18Y、18M、18C、18K…感光体クリーニングブレード、20Y、20M、20C、20K…現像ローラー、21Y、21M、21C、21K…現像ローラークリーニングブレード、22Y、22M、22C、22K…コンパクションコロナ発生器、30Y、30M、30C、30K…現像装置、31Y、31M、31C、31K…現像剤容器、32Y、32M、32C、32K…アニロックスローラー、33Y、33M、33C、33K…規制ブレード、34Y、34M、34C、34K…オーガ(供給ローラー)、40…転写ベルト、41…対向ローラー(第2のローラー)、42…テンションローラー、44…ベルト駆動ローラー、49…転写ベルトクリーニングブレード、50Y、50M、50C、50K…1次転写部、51Y、51M、51C、51K…1次転写バックアップローラー、52…第1巻き掛けローラー(第1のローラー)、53…第2巻き掛けローラー(第3のローラー)、60…2次転写ユニット、61…2次転写ローラー、62…2次転写ローラークリーニングブレード、63…ブレード支持部材、64…2次転写クリーニング液回収貯留部、90…定着ユニット、91…加熱ローラー、92…加圧ローラー、100…転写材搬送部、101、101’…ゲートローラー、102…転写材ガイド、150…主制御部、160…2次転写ローラー制御部、161…ベルト駆動ローラー制御部、162…搬送部制御部、163…露光ユニット制御部、601…ローラー基材、602…ローラー軸部、605…凹部、607…シート材、611…把持部材、612…支持部材、613…第1開口縁、614…第2開口縁、615…把持部材回動中心、617…シート材張架部材、618…ネジ部材、630…モーター、631…ローター軸、633…第1ギア、635…第2ギア、640…駆動部、650…第1規制部材、690…第2規制部材、691…張架部材、900…回転位置検出手段、901…被検出部材、901a…スリット、902…センサー、903…センサー支持部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像担持体に形成された前記潜像をトナー及びキャリア液を含む液体現像剤で現像する現像部と、
前記現像部で前記潜像担持体に現像された像が転写される転写ベルトと、
前記像が転写された前記転写ベルトを巻き掛ける第1のローラーと、
前記第1のローラーに巻き掛けられた前記転写ベルトを巻き掛ける第2のローラーと、
前記第2のローラーに巻き掛けられた前記転写ベルトを巻き掛ける第3のローラーと、
周面に凹部が設けられ、前記凹部に転写材を把持する転写材把持部が設けられて前記転写材把持部で前記転写材を把持して回転するとともに、前記転写ベルトを介して前記第2のローラーと当接して前記転写ベルトに転写された前記像を転写する転写ローラーと、
前記第2のローラーを前記転写ベルトに張架させる張架部材と、
前記転写ローラーの前記凹部が、前記第2のローラーと対向したときに前記第2のローラーが前記転写ベルトを張架する位置に前記第2のローラーの位置を規制する規制部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記規制部は、前記凹部が前記第2のローラーと対向したときの前記転写ローラーの回転中心と前記第2のローラーの回転中心との間の距離と、前記凹部が前記第2のローラーと対向していないときの前記転写ローラーの回転中心と前記第2のローラーの回転中心との間の距離が等しいか略等しい位置に、前記第2のローラーの位置を規制する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記規制部は、前記転写ローラーと同軸に配設された第1の規制部材、及び前記第2のローラーと同軸に配設されて前記第1の規制部材と当接する第2の規制部材を有し、前記第1の規制部材と前記第2の規制部材との当接により前記第2のローラーの位置を規制する請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記潜像担持体を露光して前記潜像を形成する露光部と、
前記露光部を露光させるタイミングを調整して前記潜像担持体に形成される前記潜像の位置を制御する制御部と、を有する請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写ローラーの回転位置を検出する回転位置検出部を有し、
前記制御部は、前記回転位置検出部で検出された前記転写ローラーの回転位置の情報に基づいて、前記露光部を露光させるタイミングを調整して前記潜像が形成される位置を制御する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像が転写された前記転写ベルトを駆動させる駆動ローラーを有し、
前記駆動ローラーにより駆動されて移動された前記転写ベルトを前記第1のローラーが巻き掛ける請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第3のローラーで巻き掛けられた前記転写ベルトを巻き掛けるとともに、前記転写ベルトに張力を付与する第4のローラーを有する請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
第1のローラー、第2のローラー、及び第3のローラーで巻き掛けられた転写ベルトを移動させるとともに、周面に凹部を有し、前記凹部に転写材把持部が配設された転写ローラーを回転させ、
前記転写ローラーの回転により、前記転写ローラーの凹部が前記第2のローラーと対向
したときに、前記第2のローラーを前記転写ベルトが張架される位置に規制することを特徴とする画像形成方法。
【請求項1】
潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像担持体に形成された前記潜像をトナー及びキャリア液を含む液体現像剤で現像する現像部と、
前記現像部で前記潜像担持体に現像された像が転写される転写ベルトと、
前記像が転写された前記転写ベルトを巻き掛ける第1のローラーと、
前記第1のローラーに巻き掛けられた前記転写ベルトを巻き掛ける第2のローラーと、
前記第2のローラーに巻き掛けられた前記転写ベルトを巻き掛ける第3のローラーと、
周面に凹部が設けられ、前記凹部に転写材を把持する転写材把持部が設けられて前記転写材把持部で前記転写材を把持して回転するとともに、前記転写ベルトを介して前記第2のローラーと当接して前記転写ベルトに転写された前記像を転写する転写ローラーと、
前記第2のローラーを前記転写ベルトに張架させる張架部材と、
前記転写ローラーの前記凹部が、前記第2のローラーと対向したときに前記第2のローラーが前記転写ベルトを張架する位置に前記第2のローラーの位置を規制する規制部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記規制部は、前記凹部が前記第2のローラーと対向したときの前記転写ローラーの回転中心と前記第2のローラーの回転中心との間の距離と、前記凹部が前記第2のローラーと対向していないときの前記転写ローラーの回転中心と前記第2のローラーの回転中心との間の距離が等しいか略等しい位置に、前記第2のローラーの位置を規制する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記規制部は、前記転写ローラーと同軸に配設された第1の規制部材、及び前記第2のローラーと同軸に配設されて前記第1の規制部材と当接する第2の規制部材を有し、前記第1の規制部材と前記第2の規制部材との当接により前記第2のローラーの位置を規制する請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記潜像担持体を露光して前記潜像を形成する露光部と、
前記露光部を露光させるタイミングを調整して前記潜像担持体に形成される前記潜像の位置を制御する制御部と、を有する請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写ローラーの回転位置を検出する回転位置検出部を有し、
前記制御部は、前記回転位置検出部で検出された前記転写ローラーの回転位置の情報に基づいて、前記露光部を露光させるタイミングを調整して前記潜像が形成される位置を制御する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像が転写された前記転写ベルトを駆動させる駆動ローラーを有し、
前記駆動ローラーにより駆動されて移動された前記転写ベルトを前記第1のローラーが巻き掛ける請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第3のローラーで巻き掛けられた前記転写ベルトを巻き掛けるとともに、前記転写ベルトに張力を付与する第4のローラーを有する請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
第1のローラー、第2のローラー、及び第3のローラーで巻き掛けられた転写ベルトを移動させるとともに、周面に凹部を有し、前記凹部に転写材把持部が配設された転写ローラーを回転させ、
前記転写ローラーの回転により、前記転写ローラーの凹部が前記第2のローラーと対向
したときに、前記第2のローラーを前記転写ベルトが張架される位置に規制することを特徴とする画像形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−3079(P2012−3079A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138582(P2010−138582)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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