説明

画像形成装置及び色値補正方法

【課題】特定の色の画像に対し画像全体から受ける色比較現象の影響を抑える。
【解決手段】対象画像から特定の色値を有する特定色領域Pzを抽出する特定色領域抽出部13と、対象画像から特定色領域Pz以外の領域であって、一定の色値範囲ごとに区別される色値別領域Pxを抽出する色値別領域抽出部14と、特定色領域Pzと色値別領域Pxとの色値差及び距離rを含む所定の相関情報にもとづき特定色領域Pzの色値を補正する特定色補正部16とを備えた構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色値の補正を行う画像形成装置及び色値補正方法に関し、特に、色対比現象による影響を抑えることが可能な画像形成装置及び色値補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラープリンタ等によって印刷された画像を見た場合に、その画像上に表される物体などの一領域の色合いが周辺色の影響を受けて実際と異なる色に見えてしまう所謂色対比現象が生ずることがある。
このため、対象領域の周囲に接している周囲領域の色相にもとづいて対象色相のデータを補正することによって色対比現象の影響を抑える技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−332908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の技術によれば、対象領域の周囲に接している領域の色値のみを対象領域の色感に影響を及ぼす範囲としているため、対象領域の周囲に接しないながらも対象領域の色感に影響を及ぼす他の領域との関係が考慮されていなかった。
すなわち、画像全体を観察した際の広い領域の色値にもとづく色対比現象にも対応し得る改善が求められていた。
【0005】
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであり、特定色の領域に対し画像全体から受ける色比較現象の影響を抑えることができる画像形成装置及び色値補正方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、対象画像から特定の色値を有する特定色領域を抽出する特定色領域抽出手段と、対象画像から前記特定色領域以外の領域であって、一定の色値範囲ごとに区別される色値別領域を抽出する色値別領域抽出手段と、前記特定色領域と前記色値別領域との色値差及び距離を含む所定の相関情報にもとづき前記特定色領域の色値を補正する特定色補正手段と、を備えるようにしてある。
【0007】
また、本発明の色値補正方法は、対象画像から特定の色値を有する特定色領域を抽出するステップと、対象画像から前記特定色領域以外の領域であって、一定の色値範囲ごとに区別される色値別領域を抽出するステップと、前記特定色領域と前記色値別領域との色値差及び距離を含む所定の相関情報にもとづき前記特定色領域の色値を補正するステップと、を有する方法としてある。
【発明の効果】
【0008】
本発明の画像形成装置及び色値補正方法によれば、特定色の領域に対し画像全体から受ける色比較現象の影響を効果的に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す構成図である。
【図2】特定色領域と色値別領域との相関情報を示した説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る特定色補正方法(色値補正方法)を示したフローチャートである。
【図4】色相補正値を算出する方法を示したフローチャートである。
【図5】彩度補正値を算出する方法を示したフローチャートである、
【図6】明度補正値を算出する方法を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置Aの構成を示す構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置Aは、カラープリンタ装置やカラーコピー機等であって、パーソナルコンピュータ90などの外部装置から印刷データを受信し、制御部10が、印刷データを解釈し、所定の色値に変換し、適宜後述する色値補正を行い、ビットマップ処理を行う等、画像処理を行う。
印刷部20は、感光体ドラムその他の転写体からなる非図示の印刷エンジンを備え、帯電、潜像、現像、転写、定着等の各プロセスを経て画像処理後の画像データの印刷処理を行う。
【0012】
ここで、制御部10は、非図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備える。ROMには、プリンタ等としての一般的な機能動作を行うためのコンピュータプログラムの他、制御部10を、特定色の領域の色値を補正するよう機能させるためのコンピュータプログラムが記憶されている。CPUは、このコンピュータプログラムをROMから読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより、制御部10を、特定色補正手段として動作することができる。RAMは、CPUがこのようなコンピュータプログラムを実行する際の作業用メモリなどとして用いられる。
【0013】
制御部10は、図1に示すように、画像保存部11、画像変換部12、特定色領域抽出部13、色値別領域抽出部14、色値補正値演算部15及び特定色補正部16を、各機能ブロックとして備える。
【0014】
画像保存部11は、PC90から受信し、読み込んだ印刷データに含まれる画像データのXY座標とRGB値を保存する。また、画像保存部11は、画像変換部12によりRGB値から変換されたHSV値を一時的に保存し、また、特定色領域抽出部13及び色値別領域抽出部14によって抽出された特定色領域Pz及び色値別領域Pxの画像データを一時的に保存する役割も担う。
【0015】
画像変換部12は、画像保存部11から画像データを読み出し、RGB値をHSV値に変換する。
具体的には、次式(1)にもとづいて、色相H、彩度S、明度Vを算出する。
【数1】

画像変換部12は、変換によって取得したHSV値からなる画像データを画像保存部11に保存する。
【0016】
特定色領域抽出部13は、対象画像から特定の色値(特定の色相値又は色相範囲)を有する特定色領域Pzを抽出する。具体的には、画像保存部11に保存されたHSV値からなる画像データを読み込み、各画素の色相値HとXY座標から、特定色の色相(肌色:0°〜30°)の領域を抽出し、画像データ全体を特定色領域Pzとその他の領域に分けて抽出する。
例えば、図2に示すように、画像中の人物の肌の色を特定色として指定することにより、肌色の色相(0°〜30°)を有する画素であって、かつ、XY座標が連続する画素を一の特定色領域Pzとして抽出することができる(図2では、イメージ画像Pのほぼ中心に位置する領域が抽出された特定色領域Pzに相当する)。
また、特定色領域抽出部13は、特定色領域Pzにおける色相値、彩度値及び明度値を求める。具体的には、抽出された特定色領域Pzにおける色相平均値Have_skin、彩度平均値Save-skin、明度平均値Vave_skinを算出する。
特定色領域抽出部13は、抽出した特定色領域Pzとその他の領域の画像データ及び特定色領域Pzにおける色相平均値Have_skin、彩度平均値Save_skin、明度平均値Vave_skinを画像保存部11に保存する。
【0017】
色値別領域抽出部14は、対象画像から特定色領域Pz以外の領域であって、一定の色値範囲ごとに区別される色値別領域Pxを抽出する。このため、色値別領域抽出部14は、図1に示すように、色相別領域抽出部141と、彩度別領域抽出部142と、明度別領域抽出部143とを備える。
【0018】
色相別領域抽出部141は、画像保存部11に保存されたその他の領域の画像データを読み出し、これを一定の色相範囲ΔH(例えば、配色の際、隣接範囲とみなされる色相の単位ΔH=15°)ごとに分割し、同一色相範囲に含まれ、かつ、XY座標が連続する画素からなる色相別領域を色値別領域Pxとして抽出する。
彩度別領域抽出部142は、画像保存部11に保存されたその他の領域の画像データを読み出し、これを一定の彩度範囲ΔS(例えば、配色の際、隣接範囲とみなされる彩度の単位ΔS=0.2)ごとに分割し、同一彩度範囲に含まれ、かつ、XY座標が連続する画素からなる彩度別領域を色値別領域Pxとして抽出する。
明度別領域抽出部143は、画像保存部11に保存されたその他の画像データを読み出し、これを一定の明度範囲ΔV(例えば、配色の際、隣接範囲とみなされる明度の単位ΔV=0.2)ごとに分割し、同一明度範囲に含まれ、かつ、XY座標が連続する画素からなる明度別領域を色値別領域Pxとして抽出する。
【0019】
すなわち、色値別領域抽出部14は、対象画像の特定色領域Pz以外の領域から特定の色相範囲を除く一定の色相範囲ごとに区別した色相別領域を色値別領域Pxとして抽出し、対象画像の領域から一定の彩度範囲ごとに区別した彩度範囲別領域を色値別領域Pxとして抽出し、対象画像の特定色領域Pz以外の領域から一定の明度範囲ごとに区別した明度範囲別領域を色値別領域Pxとして抽出する。
そして、色値別領域抽出部14は、このようにして抽出した色値別領域Pxすなわち、色相別領域、彩度別領域、明度別領域の各画像データを画像保存部11に保存する。
【0020】
色値補正値演算部15は、特定色領域Pzと色相別領域Pxとの色値差、距離及び所定の面積比を含む所定の相関情報にもとづき特定色領域Pzの色値を補正するための補正値を算出する。
このため、色値補正値演算部15は、図1に示すように、色相補正値演算部151と、彩度補正値演算部152と、明度補正値演算部153とを備える。
【0021】
色相補正値演算部151は、画像保存部11に保存された色相別領域の画像データを読み出し、この色値別領域Pxと特定色領域Pzとの間の距離r、特定色領域Pzの画素数を1とした場合の色相別領域の領域画素数N及び平均色相Haveと平均色相Have_skinとの色相差からなる相関情報にもとづいて補正値(色相補正値ΔH’)を算出する。
具体的には、次式(2)にもとづいて色相補正値ΔH’を算出する。
ΔH’=kH×N2÷(1+r2)×(ΔHave−ΔHave_skin) ・・・・・(2)
(ΔH’:色相補正値、kH:比例係数、N:領域面積(画素数)、r:特定色領域Pzと色相別領域との最短距離、ΔHave:色相別領域の平均色相、ΔHave_skin:特定色領域Pzの平均色相)
なお、距離rは、図2に示すように、x軸方向の重心間の距離ΔX、y軸方向の重心間の距離ΔYとした場合、次式(3)にもとづいて算出することができる。
【数2】

比例係数は、例えば、実験等によって求めることができる補正の基準量である。
【0022】
彩度補正値演算部152は、画像保存部11に保存された彩度別領域の画像データを読み出し、この色値別領域Pxと特定色領域Pzとの間の距離r、特定色領域Pzの画素数を1とした場合の彩度別領域の領域画素数N及び平均彩度Saveと平均彩度Save_skinとの彩度差からなる相関情報にもとづいて補正値(彩度補正値ΔS’)を算出する。
具体的には、次式(4)にもとづいて彩度補正値ΔS’を算出する。
ΔS’=kS×N2÷(1+r2)×(ΔSave−ΔSave_skin) ・・・・・(4)
(ΔS’:彩度補正値、kS:比例係数、N:領域面積(画素数)、r:特定色領域Pzと彩度別領域との最短距離、ΔSave:彩度別領域の平均彩度、ΔSave_skin:特定色領域Pzの平均彩度)
【0023】
明度補正値演算部153は、画像保存部11に保存された明度別領域の画像データを読み出し、この色値別領域Pxと特定色領域Pzとの間の距離r、特定色領域Pzの画素数を1とした場合の明度別領域の領域画素数N及び平均明度Vaveと平均明度Vave_skinとの明度差からなる相関情報にもとづいて補正値(明度補正値ΔV’)を算出する。
具体的には、次式(5)にもとづいて明度補正値ΔV’を算出する。
ΔV’=kV×N2÷(1+r2)×(ΔVave−ΔVave_skin) ・・・・・(5)
(ΔV’:明度補正値、kV:比例係数、N:領域面積(画素数)、r:特定色領域Pzと明度別領域との最短距離、ΔVave:明度別領域の平均明度、ΔVave_skin:特定色領域Pzの平均明度)
【0024】
特定色補正部16は、特定色領域Pzと色値別領域Pxとの色値差及び距離を含む所定の相関情報にもとづき特定色領域Pzの色値を補正する。
このため、特定色補正部16は、色値補正値演算部15から色値補正値を受取り、この色値補正値にもとづき特定色領域Pzの画像データの色値を補正する。
具体的には、色相補正値演算部151から色相補正値ΔH’を受取り、特定色領域Pzの色相値をΔH’分シフトして補正する。また、彩度補正値演算部152から彩度補正値ΔS’を受取り、特定色領域Pzの彩度値をΔS’分シフトして補正する。また、明度補正値演算部153から明度補正値ΔV’を受取り、特定色領域Pzの明度値をΔV’分シフトして補正する。つまり、特定色領域Pzと色値別領域Pxとの色差が生じている方向に沿って特定色領域Pzの色値を補正する。
【0025】
このように、本実施形態に係る制御部10が上述した構成を備えることにより、特定色領域Pzと各色値別領域Pxとの相関情報(色値差、距離、面積比)にもとづいて特定色領域Pzの色値を補正するようにしている。
つまり、色値別領域Pxとの関係上、色値差が大きく異なり、距離が近く、面積が大きいほど、特定色領域Pzの色値を多く補正することにより、画像全体から受ける色対比現象の影響を効果的に抑えることができる。
【0026】
つぎに、本発明の実施形態に係る特定色補正方法(色値補正方法)について図面を参照しながら説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る特定色補正方法(色値補正方法)を示すフローチャートである。
【0027】
図3に示すように、画像変換部12が、PC90から受信し、画像保存部11に保存された画像のXY座標とRGB値を読み込む(S1)。
画像変換部12は、読み込んだ画像データにもとづき、RGB値をHSV値に変換し(S2)、画像保存部11が変換後の画像データ(XY座標とHSV値)を保存する(S3)。
続いて、特定色領域抽出部13は、画像保存部11に保存された画像データを読み込んで、特定色(肌色)の色相(0°〜30°)の画像が含まれているか否かを判別する(S4)。
特定色の色相の画像が含まれている場合(S4:Yes)、特定色領域抽出部13は、その特定色(肌色)の色相(0°〜30°)の領域を特定色領域Pzとして抽出し(S5)、画像保存部11に保存する。具体的には、画像データの色相とXY座標とから、特定色(肌色)の色相(0°〜30°)の領域を抽出し、その特定色領域Pzとその他の領域に分けて画像保存部11に保存する。
【0028】
次に、色相領域抽出部141は、特定色(肌色)領域外で、色相ΔH毎に連続した領域を抽出する(S6)。具体的には、画像保存部11に保存されたその他の領域について色相範囲ΔH(例えば、配色の際、隣接範囲とみなされる単位ΔH=15°)ごとに分割し、同一色相範囲に含まれ、かつ、XY座標が連続した色相別領域を色値別領域Pxとして抽出する。
また、彩度領域抽出部142は、特定色(肌色)領域外で、彩度ΔS毎に連続した領域を抽出する(S7)。具体的には、画像保存部11に保存されたその他の領域について彩度範囲ΔH(例えば、配色の際、隣接範囲とみなされる単位ΔS=0.2)ごとに分割し、同一彩度範囲に含まれ、かつ、XY座標が連続した彩度別領域を色値別領域Pxとして抽出する。
そして、明度領域抽出部143は、特定色(肌色)領域外で、明度ΔV毎に連続した領域を抽出する(S8)。具体的には、画像保存部11に保存されたその他の領域について明度範囲ΔV(例えば、配色の際、隣接範囲とみなされる単位ΔV=0.2)ごとに分割し、同一明度範囲に含まれ、かつ、XY座標が連続した明度別領域を色値別領域Pxとして抽出する。
【0029】
色相補正値演算部151は、色相別領域と特定色(肌色)領域Pzとの相関情報にもとづき色相補正値を算出する(S9)。
図4は、色相補正値の算出方法を示したフローチャートである。
S9における色相補正値の算出は、図4に示すように、色相補正値演算部151が、特定色(肌色)領域Pzと各色相別領域との距離rを算出し(S21)、特定色(肌色)領域Pzの平均色相ΔHave_skinと各色相別領域の平均色相ΔHaveとの差を算出し(S22)、各色相別領域の画素数をカウントしたうえで(S23)、これらの相関情報にもとづいて色相補正値を算出する(S24)。
【0030】
彩度補正値演算部152は、彩度別領域と特定色(肌色)領域Pzとの相関情報にもとづき彩度補正値を算出する(S10)。
図5は、彩度補正値の算出方法を示したフローチャートである。
S10における彩度補正値の算出は、図5に示すように、彩度補正値演算部152が、特定色(肌色)領域Pzと各彩度別領域との距離rを算出し(S31)、特定色(肌色)領域Pzの平均彩度ΔSave_skinと各彩度別領域の平均彩度ΔSaveとの差を算出し(S32)、各彩度別領域の画素数(N)をカウントしたうえで(S33)、これらの相関情報にもとづいて彩度補正値を算出する(S34)。
【0031】
明度補正値演算部153は、明度別領域と特定色(肌色)領域Pzとの相関情報にもとづき明度補正値を算出する(S11)。
図6は、明度補正値の算出方法を示したフローチャートである。
S11における明度補正値の算出は、図6に示すように、明度補正値演算部153が、特定色(肌色)領域Pzと各明度別領域との距離を算出し(S41)、特定色(肌色)領域Pzの平均明度ΔVave_skinと各明度別領域の平均明度ΔVaveとの差を算出し(S42)、各明度別領域の画素数(N)をカウントしたうえで(S43)、これらの相関情報にもとづいて明度補正値を算出する(S44)。
【0032】
そして、特定色補正部17が、特定色(肌色)補正を行う(S12)。具体的には、色相補正値演算部151から色相補正値を受け取り、彩度補正値演算部152から彩度補正値を受け取り、明度補正値演算部153から明度補正値を受け取り、特定色領域Pzの色値を各補正値分、特定色(肌色)領域Pzの色値を、特定色(肌色)領域Pzとその他の領域の色差方向に沿ってシフトさせる。
【0033】
以上のように本発明の画像形成装置によれば、特定の色値を有する特定色領域Pzを抽出する一方で、画像全体に存在する他の色値別領域Pxを抽出し、特定色領域Pzと各色値別領域Pxとの相関情報を示す色値差、距離、面積比を考慮して特定色領域Pzの色値を補正するようにしている。
このため、画像全体から受ける色対比現象の影響を効果的に抑えることができ、メリハリのある画像を再現することができる。
【0034】
以上、本発明の画像形成装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明にかかる画像形成装置は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、特定色領域に対する補正値を、特定色領域と色値別領域との色値差及び距離からなる相関情報にもとづき求め、このようにして求めた補正値にもとづいて特定色領域の色値を補正するようにしてもよい。
具体的には、上記式(2)、(4)、(5)に対応する次式(2)’、(4)’、(5)’にもとづいて、色相補正値ΔH’、彩度補正値ΔS’及び明度補正値ΔV’を求めるようにしてもよい。
ΔH’=kH÷(1+r2)×(ΔHave−ΔHave_skin) ・・・・・(2)’
ΔS’=kS÷(1+r2)×(ΔSave−ΔSave_skin) ・・・・・(4)’
ΔV’=kV÷(1+r2)×(ΔVave−ΔVave_skin) ・・・・・(5)’
また、上述した実施形態では、カラープリンタ装置やカラーコピー機などの印刷装置を例に挙げて説明したが、これに限るものではなく、液晶ディスプレイ等、カラー対応の表示装置においても本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、カラー対応の画像形成装置に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0036】
A 画像形成装置
10 制御部
13 特定色領域抽出部
14 色値別領域抽出部
15 色値補正値演算部
16 特定色補正部
z:特定色領域
x:色値別領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象画像の色値を補正する画像形成装置であって、
対象画像から特定の色値を有する特定色領域を抽出する特定色領域抽出手段と、
対象画像から前記特定色領域以外の領域であって、一定の色値範囲ごとに区別される色値別領域を抽出する色値別領域抽出手段と、
前記特定色領域と前記色値別領域との色値差及び距離を含む所定の相関情報にもとづき前記特定色領域の色値を補正する特定色補正手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記特定色領域抽出手段は、対象画像から特定の色相値又は色相範囲を有する領域を前記特定色領域として抽出するとともに、当該特定色領域における色相値、彩度値及び明度値を求め、
前記色値別領域抽出手段は、
対象画像の前記特定色領域以外の領域から一定の色相範囲ごとに区別した色相別領域を前記色値別領域として抽出し、対象画像の前記特定色領域以外の領域から一定の彩度範囲ごとに区別した彩度範囲別領域を前記色値別領域として抽出し、対象画像の前記特定色領域以外の領域から一定の明度範囲ごとに区別した明度範囲別領域を前記色値別領域として抽出し、
前記特定色補正手段は、
前記特定色領域と前記色値別領域との色相差、彩度差及び明度差からなる前記色値差及び距離を含む前記相関情報にもとづき前記特定色領域の色値を補正する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記特定色補正手段は、
前記特定色領域と前記色値別領域との色値差、距離及び所定の面積比からなる前記相関情報にもとづき前記特定色領域の色値を補正する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
対象画像の色値を補正する色値補正方法であって、
対象画像から特定の色値を有する特定色領域を抽出するステップと、
対象画像から前記特定色領域以外の領域であって、一定の色値範囲ごとに区別される色値別領域を抽出するステップと、
前記特定色領域と前記色値別領域との色値差及び距離を含む所定の相関情報にもとづき前記特定色領域の色値を補正するステップと、を有することを特徴とする色値補正方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−182548(P2012−182548A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42577(P2011−42577)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】