説明

画像形成装置

【課題】 弾性フィルムが現像剤収容ケースに収容した現像剤の現像剤量を検知する検知部の検知面に摺接して清掃する際、弾性フィルムが撓んで開放する際の不具合を防止、又は軽減させ。
【解決手段】 スロープ130によって徐々に撓み、凹部144の傾斜面142Aによって、徐々に開放される。したがって、弾性フィルム164が撓み、そして開放される際の振動や衝撃が緩和される。更に、透明ケース140の凹部144から弾性フィルム164が抜け出でる前に屈曲部106Aとリブ150とが当接し、抜け出た後に離接する。よって、弾性フィルム164が開放する際の衝撃が、より抑えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、現像剤を収容する現像剤収容ケース、例えば、現像装置の現像ケースや廃トナーケースを備えている。このような現像剤収容ケースに収容された現像剤を検知する検知方法としては、現像剤収容ケースの壁面に嵌め込まれた透明ケースの凹み部分の現像剤の有無を、透過型の光センサーで検知する方法がある。そして、検知精度を上げるため、透明ケースに付着した現像剤を清掃部材で清掃している。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
清掃部材として回転シャフトに取り付けられた弾性フィルムを用い、この弾性フィルムを透明ケースに摺接させて清掃する方法がある。しかし、このような方法は、弾性フィルムが摺接して清掃する際に、弾性フィルムが急激に撓み、そして弾性フィルムの撓みが急激に開放する際に、不具合を生じさせることがあった。
【0004】
例えば、弾性フィルムが撓む際と弾性フィルムの撓みが開放される際に、回転シャフトを回転駆動させる駆動機構に急激なトルク変動を生じさせる。また、弾性フィルムは、撓みが開放され、元に戻ったあとも振動をしつづける。このため弾性フィルムの撓みの開放後の振動中もトルク変動が生じる。このようなトルク変動は、画像形成装置のその他の部材の駆動機構に伝わる。そして、例えば、バンディング(ハーフトーンドットの間隔が速度変動により変わることで発生する帯状の濃度ムラ)などの画質不良が生じる原因となる。
【0005】
また、弾性フィルムの撓みが開放する際に現像剤が舞い、舞った現像剤が透明ケースに再度付着し、検知不良を起こすこともある。
【0006】
あるいは、弾性フィルムの撓みが開放する際に、パチパチと算盤を弾くような音がし、使用者に不快感を生じさせる。
【特許文献1】特開平11−73004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、弾性フィルムが現像剤収容ケースに収容した現像剤の現像剤量を検知可能な検知面に摺接して清掃する際、弾性フィルムが撓み、そして、撓みが開放する際の不具合を防止、又は軽減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の画像形成装置は、現像剤を収容する現像剤収容ケースと、前記現像材収容ケースに設けられ、該現像剤収容ケースに収容された前記現像剤量を検知可能な検知面と、前記現像剤収容ケースの内部に設けられた回転シャフトと、前記回転シャフトに取り付けられ、該回転シャフトの回転に伴い前記検知面に摺接して撓み、該検知面に付着した前記現像剤を清掃する弾性フィルムと、を備える画像形成装置において、前記検知面を摺接開始前に前記弾性フィルムを徐々に撓ませる撓ませ手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【0009】
請求項1に記載の画像形成装置は、弾性フィルムを徐々に撓ませる撓ませ手段を備えている。よって、現像剤を収容する現像剤収容ケースに設けられた検知面を、回転シャフトに取り付けられた弾性フィルムが摺接して撓んで清掃する際に、弾性フィルムが急激に撓まない。
【0010】
よって、弾性フィルムが急激に撓む際に発生する不具合が防止、又は軽減している。
【0011】
例えば、弾性フィルムが急激に撓んだ際に、回転シャフトに急激なトルク変動が生じ、このトルク変動が画像形成に影響を与え、例えば、バンディング(ハーフトーンドットの間隔が速度変動により変わることで発生する帯状の濃度ムラ)などの画質不良が防止、又は軽減される。
【0012】
請求項2に記載の画像形成装置は、請求項1に記載の構成において、前記撓ませ手段は、前記弾性フィルムの回転方向に対し前記検知面の上流側に隣接して設けられ、該弾性フィルムを撓ませる方向に傾斜した第一スロープを備えることを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の画像形成装置は、弾性フィルムを撓ませる方向に傾斜した第一スロープを備えているので、弾性フィルムが徐々に撓む。したがって、請求項1と同様の作用を奏す。
【0014】
請求項3に記載の画像形成装置は、請求項1に記載の構成において、前記撓ませ手段に替えて、前記検知面に前記弾性フィルムを撓ませる方向に傾斜する第一傾斜面を形成したことを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の画像形成装置は、撓ませ手段に替えて、検知面に弾性フィルムを撓ませる方向に傾斜する第一傾斜面を形成したので、弾性フィルムが徐々に撓む。したがって、請求項1と同様の作用を奏す。
【0016】
請求項4に記載の画像形成装置は、現像剤を収容する現像剤収容ケースと、前記現像材収容ケースに設けられ、該現像剤収容ケースに収容された前記現像剤量を検知可能な検知面と、前記現像剤収容ケースの内部に設けられた回転シャフトと、前記回転シャフトに取り付けられ、該回転シャフトの回転に伴い前記検知面に摺接して撓み、該検知面に付着した前記現像剤を清掃する弾性フィルムと、を備える画像形成装置において、前記検知面を摺接終了後に前記弾性フィルムの撓みを徐々に開放する開放手段を備えることを特徴としている。
【0017】
請求項4に記載の画像形成装置は、弾性フィルムの撓みを徐々に開放する開放手段を備えている。よって、弾性フィルムの撓みが急激に開放れない。よって、弾性フィルムの撓みが急激に開放される際に発生する不具合が防止、又は軽減している。
【0018】
例えば、弾性フィルムの撓みが急激に開放される際に、回転シャフトに急激なトルク変動が生じ、このトルク変動が画像形成に影響を与え、例えば、バンディングなどの画質不良が防止、又は軽減される。あるいは、弾性フィルムの撓みが急激に開放される際に発生する、パチパチと算盤を弾くような音が軽減するので、使用者に不快感を生じさせない。
【0019】
請求項5に記載の画像形成装置は、請求項4に記載の構成において、前記開放手段は、前記弾性フィルムの回転方向に対し前記検知面の下流側に隣接して設けられ、該弾性フィルムの撓みを開放する方向に傾斜した第二スロープを備えることを特徴としている。
【0020】
請求項5に記載の画像形成装置は、弾性フィルムの撓みを開放する方向に傾斜した第二スロープを備えているので、弾性フィルムの撓みが徐々に開放する。したがって、請求項4と同様の作用を奏す。
【0021】
請求項6に記載の画像形成装置は、請求項4に記載の構成において、前記開放手段に替えて、前記検知面に前記弾性フィルムの撓みを開放する方向に傾斜する第二傾斜面を形成することを特徴としている。
【0022】
請求項6に記載の画像形成装置は、開放手段に替えて、検知面に弾性フィルムの撓みを開放する方向に傾斜する第二傾斜面を形成したので、弾性フィルムの撓みが徐々に開放する。したがって、請求項4と同様の作用を奏す。
【0023】
請求項7に記載の画像形成装置は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の構成において、前記現像剤収容ケースに設けられ、少なくとも前記弾性フィルムの撓みが開放されたときには、前記回転シャフトに当接している当接部材を備えることを特徴としている。
【0024】
請求項7に記載の画像形成装置は、少なくとも弾性フィルムの撓みが開放されたときには、回転シャフトに当接部材が当接している。よって、弾性フィルムの撓みが開放されたときの衝撃が緩和される。よって、弾性フィルムの撓みが開放されたときの衝撃による不具合、例えば、回転シャフトに衝撃が伝わることによるバンディングなどの画質不良が防止、又は軽減する。
【0025】
請求項8に記載の画像形成装置は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の構成において、前記回転シャフトに設けられ、前記弾性フィルムの開放方向側の面に当接する押え部材を備えることを特徴としている。
【0026】
請求項8に記載の画像形成装置は、弾性フィルムの開放方向側の面に当接する押え部材が回転シャフトに設けられている。押え部材は弾性フィルムが撓む際には、弾性フィルムから離るので、弾性フィルムの撓みを拘束しない。しかし、弾性フィルムの撓みが開放されると押え部材と当接する。
【0027】
したがって、弾性フィルムの撓みが開放された後に発生する弾性フィルムの振動が、押え部材によって抑制される。よって、弾性フィルムの撓みが開放された後に発生する弾性フィルムの振動よる不具合、例えば、回転シャフトに振動が伝わり、この振動によるバンディングなどの画質不良が防止、又は軽減する。
【0028】
請求項9に記載の画像形成装置は、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の構成において、前記回転シャフトは、該回転シャフトを回転させる駆動力を伝達する駆動力伝達部材が圧入されていることを特徴としている。
【0029】
請求項9に記載の画像形成装置は、回転シャフトを回転させる駆動力を伝達する駆動力伝達部材が回転シャフトに圧入されているので、駆動伝達部材と回転シャフトとの間にガタつきがない。よって、回転シャフトの回転がスムーズである。
【0030】
請求項10に記載の画像形成装置は、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の構成において、前記駆動力伝達部材は、斜歯ギアであることを特徴としている。
【0031】
請求項10に記載の画像形成装置は、斜歯(はすば)ギアによって、回転シャフトに駆動が伝達される。このため、回転シャフトの回転駆動にともない、斜歯ギアにより回転シャフトが軸方向に付勢される。よって、回転シャフトが回転する際に軸方向にガタつかないので、回転がスムーズである。
【0032】
請求項11に記載の画像形成装置は、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の構成において、前記回転シャフトを軸方向に付勢する付勢手段を備えることを特徴としている。
【0033】
請求項11に記載の画像形成装置は、付勢手段によって回転シャフトが軸方向に付勢されている。よって、回転シャフトが回転する際に軸方向にガタつかないので、回転がスムーズである。
【0034】
請求項12に記載の画像形成装置は、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の構成において、前記現像剤収容ケースは、像担持体から除去された不要な現像剤を収容する廃現像剤収容ケースであること特徴としている。
【0035】
請求項12に記載の画像形成装置は、像担持体から除去された不要な現像剤は廃現像剤収容ケースに収容される。
【0036】
このような廃現像剤収容ケースは、初期状態においては、現像剤を収容していない。このため、弾性フィルムが撓み、そして、弾性フィルムの撓みが開放する際に、現像剤による緩衝作用が無い。つまり、弾性フィルムが撓む際と弾性フィルムの撓みが開放する際に発生する振動やトルク変動が大きい。
【0037】
したがって、このような廃現像剤収容ケースに対して、弾性フィルムが撓んだり、弾性フィルムの撓みが開放したりする際に発生する不具合を防止、又は軽減させることは、好適である。
【0038】
請求項13に記載の画像形成装置は、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の構成において、前記現像剤収容ケースは、像担持体の現像剤像を被転写体に転写する転写ロールに付着した現像剤を除去する除去手段を備え、前記除去手段で除去された現像剤を収容する廃現像剤収容ケースであること特徴としている。
【0039】
請求項13に記載の画像形成装置は、像担持体の現像剤像を被転写体に転写する転写ロールに付着した現像剤を除去手段で除去する。除去された現像剤は廃現像剤収容ケースに収容する。
【0040】
このような廃現像剤収容ケースは、初期状態においては、現像剤を収容していない。このため、弾性フィルムが撓み、そして、弾性フィルムの撓みが開放する際に、現像剤による緩衝作用が無い。つまり、弾性フィルムが撓む際と弾性フィルムの撓みが開放する際に発生する振動やトルク変動が大きい。
【0041】
また、振動等が除去手段を介して転写ロールに伝わり、そして、転写ロールによる現像像剤の被転写体への転写に大きく影響する。つまり、画像形成に与える影響が大きい。
【0042】
したがって、このような廃現像剤収容ケースに対して、弾性フィルムが撓んだり、弾性フィルムの撓みが開放したりする際に発生する不具合を防止、又は軽減させることは、好適である。
【発明の効果】
【0043】
以上説明したように本発明によれば、弾性フィルムが撓んだり、弾性フィルムの撓みが開放したりする際に発生する不具合が防止、又は軽減する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
図1は、本発明の一の実施形態に係る画像形成装置1を示す概略構成図である。なお、画像形成装置1は、電子写真方式によって記録用紙Pにフルカラー画像を形成する、所謂タンデム型のフルカラープリンタである。
【0045】
画像形成装置1は、イエロー(Y)用、マゼンタ(M)用、シアン(C)用、及び ブラック(K)用の4つの感光体ドラム40Y、40M、40C、40Kと、露光装置(図示せず)、現像装置30Y、30M、30C、30Kとを備えている。
【0046】
また、感光体ドラム40Y、40Mに接触する第1の中間転写体51と、感光体ドラム10C、10Kに接触する第1の中間転写体52と、これら二つの第1の中間転写体51、52に接触する第2の中間転写体53とを備えている。
【0047】
第2の中間転写体53と対向する位置に最終転写体である転写ローラ60が設けられている。そして、転写ロール60と第2の中間転写体53との間に記録用紙Pをニップして搬送し、第2の中間転写体53上のトナー画像を記録用紙Pに転写させる。
【0048】
記録用紙Pの搬送路下流に定着装置70が設けられ、記録用紙Pを加熱・加圧して前記トナー画像を記録用紙P上に定着させる。
【0049】
さて、画像形成が開始されると、露光装置により、感光体ドラム40Y〜40K上にはそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー画像が形成される。具体的には、各感光体ドラム40Y〜40Kの表面が一様に帯電され、露光装置から出力画像に対応したレーザービームが帯電後の感光体ドラム40Y〜40Kの表面に照射され、露光された部分と露光されなかった部分との電位差により、感光体ドラム40Y〜40K上には各色分解画像に応じた目に見えない静電潜像が形成される。この静電潜像に対して、現像装置30Y〜30Kが選択的に各色、すなわちY〜Kのトナーを付与し、感光体ドラム40Y〜40K上にY〜K色のトナー画像が形成される。
【0050】
その後、まずマゼンタ用の感光体ドラム40Mから、第1の中間転写体51へとマゼンタのトナー画像が一次転写される。次いで、イエロー用の感光体ドラム40Yから、第1の中間転写体51へとイエローのトナー画像が一次転写され、第1の中間転写体51上で前記マゼンタのトナー画像に重ね合わされる。一方、同様にブラック用の感光体ドラム40Kから、第1の中間転写体52へとブラックのトナー画像が一次転写される。次いで、シアン用の感光体ドラム40Cから、第1の中間転写体52へとシアンのトナー画像が一次転写され、第1の中間転写体52上で前記ブラックのトナー画像に重ね合わされる。
【0051】
第1の中間転写体51へ一次転写されたマゼンタとイエローのトナー画像は、第2の中間転写体53へ二次転写される。一方、第1の中間転写体52へ一次転写されたブラックとシアンのトナー画像も、第2の中間転写体53へ二次転写され、ここで先に二次転写されているマゼンタ 、イエローのトナー画像と、シアンおよびブラックのトナー画像とが重ね合わされ、カラー(3色)とブラックのトナー画像が第2の中間転写体53上に形成される。
【0052】
二次転写されたフルカラートナー画像及びブラックのトナー画像は、第2の中間転写体53と転写ロール60との間のニップ部分に達する。そのタイミングに同期して、レジストロール対55から記録シートとしての記録用紙Pが当該ニップ部分に搬送され、記録用紙P上にそのカラートナー画像及びブラックトナー画像が三次転写(最終転写)される。
【0053】
この記録用紙Pは、その後定着装置70の加熱ロール71と加圧ロール72とのニップ部分を通過する。その際、加熱ロール71と加圧ロール72とから与えられる熱と圧力との作用により、カラートナー画像及びブラックトナー画像が記録用紙Pに定着し、永久像となる。さらにその後、記録用紙Pは排出され、フルカラー画像形成が終了する。
【0054】
さて、一次から三次の転写で、転写されずに残留した未転写残留トナーは、電気的に感光体ドラム40Y〜40Kから第1の中間転写体52、51へ、中間転写体52、51から第2の中間転写体53へと順次付着させ、最終的に転写ロール60に付着させる。そして、転写ロール60上の未転写残留トナーは、スクレーパ81で掻き取られ、廃トナーケース100に収容される。
【0055】
また、転写ロール60上に画像形成時と同じ帯電、露光、現像、転写条件にてY、M、C、Kの各色につき最終転写体60の表面にトナーパッチを転写し、トナーパッチの光学濃度を光学濃度センサ99で検出する構成となっている。このトナーパッチもスクレーパー81で掻き取られ、廃トナーケース100に収容される。
【0056】
なお、このように廃トナーケース100に収容されるトナーを総じ、廃トナーHT(図2参照)とする。
【0057】
図2に示すように、廃トナーケース100は、上部ケース104と下部ケース102とから構成されている。
【0058】
なお、図2は模式的に図示しており、下記で説明する各部材の位置や大きさは、正確に図示しているものではない。また、以下の説明に使用する図3〜図10は、判りやすくするため、上下を逆に図示している。そして、図3〜図10を用いて説明する場合の「上下」は各図での上下を意味し、画像形成装置1に取り付けられた状態(図1の状態)における上下ではない。
【0059】
図3に示すように、上部ケース104の壁面には、孔134が形成され、そして、図6にも示すように、この孔134に透明ケース140が嵌め込まれる。透明ケース140には、上部ケース104の内側に向かって脹らんだ凸部142が一対形成されている。そして、この凸部142によって、外側方向に向かって凹んだ略V字状の凹部144が形成される。
【0060】
図3に示すように、透明ケース140の凹部144を挟み込むように、コの字形状の検知部146が透明ケース140に嵌め込まれる。検知部146は、一方の凸部142にセンサー光を発光する発光部148が嵌め込まれ、他方の凸部142にセンサー光Sを受光可能な受光部149が嵌め込まれる。換言すると、凹部144を挟んで一方にはセンサー光を発光する発光部148が配置され、他方にはセンサー光Sを受光可能な受光部149が配置されている。
【0061】
よって、透明ケース140の凹部144にトナーがあるとセンサー光が遮られ受光部149がセンサー光を受光しない。また、凹部144にトナーがないとセンサー光が凹部144を透光し、受光部149がセンサー光を受光する。
【0062】
上部ケース104の内部には、回転シャフト106が配設されている。回転シャフト106の一方の軸端部はベアリング軸受108で回転自在に固定されている。回転シャフト106の他方の軸端部はベアリング軸受110,112で回転自在に固定され、更に上部ケース104の外側まで貫通し突出している。そして、貫通した軸端部には、斜歯(はすば)ギア114が圧入されている。また、斜歯ギア114には、図示しない駆動機構に繋がるギアが噛みあっている。なお、斜歯ギア114による回転シャフト106の付勢方向は、一方の軸端部方向(ベアリング軸受108側)である。
【0063】
更に、斜歯ギア114の側面をバネ116が押圧し、一方の軸端部方向(ベアリング軸受108側)に付勢している。
【0064】
図8にも示すように、回転シャフト106には、ブラケット160によって、弾性フィルム164が取り付けられている。弾性フィルム164は先端部が尖っており、更に先端部は二つに割れている。また、弾性フィルム106は、厚みが約0.1mmのPETなどの樹脂製のフィルムである。
【0065】
そして、図2と図9とに示すように、駆動機構の駆動力によって斜歯ギア114を介して回転シャフト106を回転させることで、弾性フィルム106が回転方向Kに回転する。
【0066】
なお、前述したように、斜歯ギア114は回転シャフト106に圧入されているので、斜歯ギア114と回転シャフト106とはガタがない。また、ハズ歯ギアは平歯ギアと比較しギアの噛み合いがスムーズである。更に、斜歯ギア114とバネ116とによって、回転シャフト106はベアリング軸受108に押し付けられる。したがって、回転シャフト106はスムーズに回転する。
【0067】
弾性フィルム106が回転すると、弾性フィルム106の先端部が透明ケース140の凹部144に入り、凹部144の表面に摺接して撓み、凹部144に付着したトナーを掃き出し清掃する。
【0068】
図4と図6とに示すように、上部ケース104の側壁には、弾性フィルム106の回転方向に対し、透明ケース140の上流側に隣接して、スロープ130が形成されている。スロープ130は、弾性フィルム106の回転方向Kに対して、徐々に傾斜がきつくなっている。換言すると、スロープ130は、弾性フィルム106を撓ませる方向に徐々に傾斜している。したがって、スロープ130によって、弾性フィルム106は徐々に撓む。
【0069】
そして、スロープ130によって、撓んだ弾性フィルム106は、撓んだ状態で透明ケース140に摺接する。
【0070】
図5と図6とに示すように、透明ケース140の略V字状の凹部144(凸部142の内側面)は、回転方向Kに対して、徐々に傾斜が緩くなり、且つ、左右に広がる傾斜面142Aが形成されている。換言すると、弾性フィルム106の撓みが開放する方向に徐々に傾斜している。したがって、傾斜面142Aによって、弾性フィルム106の撓みが徐々に開放される。
【0071】
つまり、弾性フィルム106は、スロープ106によって徐々に撓んだ後、透明ケース140の凹部144の傾斜面142Aによって徐々に撓みが開放されていく。なお、図10は、このことを模式的に示している。
【0072】
図3に示すように、回転シャフト106は、軸中心から外側に突き出るように曲がった屈曲部106Aが形成されている。また、図7にも示すように、上部ケース104の側壁には、屈曲部106Aが当接するリブ150が形成されている。なお、回転シャフト106の回転に伴い、透明ケース140の凹部144から弾性フィルム106が抜け出でる前に屈曲部106Aとリブ150とが当接し、抜け出た後に離接する。
【0073】
図8と図9とに示すように、回転シャフト106に、弾性フィルム164を取り付けているブラケット160には、弾性フィルム164の回転方向Kに対しての上流側(弾性フィルム164の撓みの開放方向)の面に当接する押板162が形成されている。なお、押板162と弾性フィルム164とは、当接しているのみで接着されていない。つまり、図9に示すように、弾性フィルム164が撓むと弾性フィルム164と押板162とは離れ、撓みが開放すると当接する。よって、弾性フィルム106の撓みを拘束しない。
【0074】
つぎに、本実施形態の作用について説明する。
【0075】
図2に示すように廃トナーケース100に回収した廃トナーHTが貯まっていく。廃トナーHTが貯まり満杯となると、廃トナーケース100を交換あるいは、廃トナーHTを廃棄する必要がある。このため、次のように廃トナーケース100の廃トナーHTが満杯か否かを検知している。
【0076】
廃トナーHTの量が少なく、上部ケース104の透明ケース140の凹部144にまで廃トナーが達しないときは、センサー光は凹部144を透光し、受光部149がセンサー光を受光する。受光部149がセンサー光を受光すると制御部(図示略)は、廃トナーHTが満杯でないと判断する。しかし、廃トナーHTが貯まっていき、透明ケース140の凹部144にまで廃トナーHTが達すると、センサー光が遮られ受光部149がセンサー光を受光しなくなる。制御部(図示略)は、廃トナーHTが満杯であると判断し、操作パネル(図示略)に廃トナーHTが満杯である旨を表示する。
【0077】
さて、透明ケース140の凹部144に廃トナーHTが付着すると、満杯でないのに、センサー光が遮られ、正確な残量検知ができない。よって、前述したように、弾性フィルム164で凹部144を清掃している。弾性フィルム164が凹部144を清掃する際には、凹部144に摺接し撓んでいる。
【0078】
しかし、図10に模式的に示すように、スロープ130(図6参照)によって弾性フィルム164が徐々に撓み、凹部144の傾斜面142A(図6参照)によって、徐々に弾性フィルム164の撓みが開放される。したがって、弾性フィルム164が撓み、そして撓みが開放される際の振動や衝撃が緩和される。
【0079】
更に、透明ケース140の凹部144から弾性フィルム164が抜け出でる前に屈曲部106Aとリブ150とが当接し、抜け出た後に離接する。(図2、図7参照)。よって、弾性フィルム164の撓みが開放する際の衝撃が、より抑えられる。
【0080】
また、図9に示すように、弾性フィルム164の撓みが開放すると、弾性フィルム164がブラケット160の押板162に当接する。よって、弾性フィルム164の撓みが開放した後に発生する弾性フィルム164の振動が抑えられる。
【0081】
したがって、弾性フィルム164が急激に撓み、そして急激に撓みが開放された場合の不具合が防止されている。
【0082】
例えば、弾性フィルム164が急激に撓む際と弾性フィルム164の撓みが開放する際に、回転シャフト106を回転駆動させる駆動機構(図示略)に急激なトルク変動を生じ、このトルク変動が駆動機構を介して画像形成に影響を与えることによる、例えば、バンディング(ハーフトーンドットの間隔が速度変動により変わることで発生する帯状の濃度ムラ)などの画質不良が防止される。
【0083】
また、衝撃や振動がスクレーパーを介して転写ロール60に伝わって起こる転写乱れなどの画質不良も防止される。
【0084】
あるいは、弾性フィルム164の撓みが急激に開放する際に廃トナーHTが舞い、廃トナーHTが透明ケース140に再度付着し、検知不良を起こすことも防止される。
【0085】
更に、弾性フィルム164の撓みが急激に開放する際に、パチパチと算盤を弾くような音も防止される。
【0086】
なお、廃トナーケース100には、転写ロール60をクリーニングするスクレーパ81が取り付けられているので、回転シャフト106や弾性フィルム164に振動などが生じると、転写ローラ60に伝わる。そして、転写ローラ60に伝わる振動等は記録用紙Pへの転写へ大きく影響を与える。よって、今まで説明したように、弾性フィルム164が急激に撓み、そして急激に撓みが開放されない構成とすることは好適である。
【0087】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0088】
例えば、上記実施形態では、スロープ130と傾斜面142Aとで、弾性フィルム164を徐々に撓ませる、そして、徐々に撓みを開放して元に戻らせていたが、これに限定されない。
【0089】
例えば、弾性フィルム164の回転方向に徐々に傾斜が緩くなる、換言すると、弾性フィルム164の撓みが開放し元に戻る方向に徐々に傾斜するスロープを透明ケース140の下流側に隣接して形成しても良い。(請求項5に記載の第二スロープに対応)。
【0090】
あるいは、回転方向に対して、徐々に傾斜がきつくなり、且つ、上流側に向かって広がっている、換言すると、弾性フィルム164を撓ませる方向に徐々に傾斜していいる傾斜面を透明ケース140の凹部144に形成しても良い。(請求項3に記載の第一傾斜面に対応)。
【0091】
また、例えば、廃トナーHTを検知する検知手段は、上記実施形態の構成に限らない。圧電振動センサーや透磁率センサーなどの既成のトナー残量センサーをケースの壁面に取り付けても良い。この場合、例えば、検知面の前後にスロープを形成し、弾性フィルムを徐々に撓ませた後に、検知面を摺接し、そして、徐々に撓みを開放すれば良い。
【0092】
要は、図10に示すように、弾性フィルム164を徐々に撓ませる撓ませ手段(上記実施形態の場合では、スロープ130)と、徐々に撓みを開放して元に戻らせる開放手段(上記実施形態の場合では、傾斜面142A)と、のいずれか一方、又は両方を備えていれば良い。
【0093】
また、上記実施形態では、廃トナーケース100に適用したが、その他の部材に適用しても良い。例えば、現像装置30Y〜Kの現像ケースに適用しても良い。あるいは、本実施形態とは全体構成は異なるが、中間転写体や感光体に対するクリーニング装置を設けた画像形成装置において、このクリーニング装置の廃トナーケースに適用しても良い。(請求項12に対応)。
【0094】
なお、現像装置30Y〜Kは、使用開始時は、トナーが充填されているのでトナーによる緩衝効果で、弾性フィルムが急激に撓んで急激に開放されても、不具合が比較的少ない。また、完全にトナー無しの状態となることは無いので、トナーによる緩衝効果が低減することはあっても、完全に無くなることはない。
【0095】
これに対し、上記実施形態の廃トナーケース100、及び、上述した中間転写体や感光体のクリーニング装置の廃トナーケースの場合は、初期では全くトナーがない状態であるしたがって、弾性フィルムが急激に撓み、急激に開放した場合の影響が最も大きい。よって、廃トナーケースに本発明を適用することは、好適である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一の実施形態に係る画像形成装置を模式的に示す図である。
【図2】本発明の一の実施形態に係る画像形成装置の廃トナーケースを模式的に示す図である。
【図3】本発明の一の実施形態に係る画像形成装置の廃トナーケースの上部ケースの分解斜視図である。
【図4】廃トナーケースの上部ケースのスロープ近傍の拡大図である。
【図5】廃トナーケースの上部ケースの孔に嵌め込まれる透明ケースを示す図である。
【図6】廃トナーケースの上部ケースの孔に透明ケースが嵌め込まれた状態の図である。
【図7】廃トナーケースの上部ケースに設けられた回転シャフトとリブとが接触した状態を示す拡大図である。
【図8】回転シャフトに弾性フィルムがブラケットに取り付けられた状態を示す図である。
【図9】回転シャフトの回転に伴い弾性フィルムが撓み、撓みが開放するとブラケットの押板に当接する様子を説明する説明図である。
【図10】回転シャフトの回転に伴い弾性フィルムが徐々に撓み、徐々に撓みが開放する様子を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0097】
1 画像形成装置
81 スクレーパ(除去手段)
60 転写ロール
100 廃トナーケース(廃現像剤収容ケース)
106 回転シャフト
114 斜歯ギア
116 バネ(付勢手段)
130 スロープ(第一スロープ)
142 検知面
142A 傾斜面(第二傾斜面)
146 検知部(検知手段)
150 リブ(当接部材)
162 押板(押え部材)
164 弾性フィルム
P 記録用紙(被転写体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容する現像剤収容ケースと、
前記現像材収容ケースに設けられ、該現像剤収容ケースに収容された前記現像剤量を検知可能な検知面と、
前記現像剤収容ケースの内部に設けられた回転シャフトと、
前記回転シャフトに取り付けられ、該回転シャフトの回転に伴い前記検知面に摺接して撓み、該検知面に付着した前記現像剤を清掃する弾性フィルムと、
を備える画像形成装置において、
前記検知面を摺接開始前に前記弾性フィルムを徐々に撓ませる撓ませ手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記撓ませ手段は、前記弾性フィルムの回転方向に対し前記検知面の上流側に隣接して設けられ、該弾性フィルムを撓ませる方向に傾斜した第一スロープを備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記撓ませ手段に替えて、前記検知面に前記弾性フィルムを撓ませる方向に傾斜する第一傾斜面を形成したことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
現像剤を収容する現像剤収容ケースと、
前記現像材収容ケースに設けられ、該現像剤収容ケースに収容された前記現像剤量を検知可能な検知面と、
前記現像剤収容ケースの内部に設けられた回転シャフトと、
前記回転シャフトに取り付けられ、該回転シャフトの回転に伴い前記検知面に摺接して撓み、該検知面に付着した前記現像剤を清掃する弾性フィルムと、
を備える画像形成装置において、
前記検知面を摺接終了後に前記弾性フィルムの撓みを徐々に開放する開放手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記開放手段は、前記弾性フィルムの回転方向に対し前記検知面の下流側に隣接して設けられ、該弾性フィルムの撓みを開放する方向に傾斜した第二スロープを備えることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記開放手段に替えて、前記検知面に前記弾性フィルムの撓みを開放する方向に傾斜する第二傾斜面を形成することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像剤収容ケースに設けられ、少なくとも前記弾性フィルムの撓みが開放されたときには、前記回転シャフトに当接している当接部材を備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記回転シャフトに設けられ、前記弾性フィルムの開放方向側の面に当接する押え部材を備えることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記回転シャフトは、該回転シャフトを回転させる駆動力を伝達する駆動力伝達部材が圧入されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに1項記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記駆動力伝達部材は、斜歯ギアであることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記回転シャフトを軸方向に付勢する付勢手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記現像剤収容ケースは、像担持体から除去された不要な現像剤を収容する廃現像剤収容ケースであること特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記現像剤収容ケースは、像担持体の現像剤像を被転写体に転写する転写ロールに付着した現像剤を除去する除去手段を備え、前記除去手段で除去された現像剤を収容する廃現像剤収容ケースであること特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−126746(P2006−126746A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−318428(P2004−318428)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】