説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置の小型化、低コスト化等を図るために、クリーニング装置の機能を
省略した研磨装置を設けたときには、像担持体1に過剰なストレスを与えない均一な研磨
とその研磨能力の維持を実現することが課題となる。
【解決手段】本発明は、クリーニング装置の機能を省略した研磨装置30を設け、研磨し
た研磨物等の残留物は現像装置2で回収する画像形成装置を提供することで、省スペース
化等を図っている。また、加圧部材31と研磨シート33を分割して、不均一な圧力で面
状に研磨する研磨装置30にしたことで、像担持体1に過剰なストレスを与えない均一な
研磨と、残留物の移動排出まで行えるようにし、研磨面のリフレッシュの容易化と自動化
を可能にして、研磨能力を維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタおよびファクシミリ等の画像形成装置において、像担持体
と帯電装置と静電潜像形成装置と現像装置と転写装置とを有し、クリーニング装置の機能
を省略した研磨装置を設けることにより、像担持体の均一な研磨と研磨物の排出を可能に
した画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年は、画像形成装置の高画質化、省スペース化、省エネルギー化、低コスト化、低騒
音化、環境安全性などが求められており、なかでも、クリーニング装置は画像形成の際に
像担持体の連続・反復使用を可能にするプロセスとして、重要な位置を占めている。クリ
ーニング装置は、転写工程で像担持体に残留したトナーやその他の付着物を除去するため
の除去装置およびこれらをタンクなどに回収する装置や、像担持体の残留電位を除電する
装置などから構成されている。
【0003】
このようなクリーニング装置を省略し、省スペースを実現するための改良もされている
が、クリーニング装置がないと像担持体表面を摺擦しないために像担持体表面の残留物を
十分に除去することができず、残留物が蓄積され、残留トナーによるフィルミング層が発
生する要因となる。また、像担持体は高電圧で発生する放電を利用するが、放電すると像
担持体自身が劣化するため、静電潜像が拡散して画像がぼやける等の問題が発生する。さ
らに、トナーの転写性を向上させるために像担持体表面に潤滑剤を塗布した場合でも、放
電により酸化した潤滑剤が像担持体表面に蓄積され、画質を劣化させる等の問題を生じる。
そのため、クリーニング装置の機能はいくつかあるが、像担持体表面の残留物を除去する
ための研磨機能は省略しがたい機能であることが知られており、また、研磨した研磨物等
の処理も必要となる。
【0004】
従来の画像形成装置には、像担持体の表面の残留物を除去するための研磨シートを備え
ているものや(例えば、特許文献1参照。)、現像装置に研磨手段を備えているものがある
(例えば、特許文献2参照。)。また、専用の摺擦手段と摺擦位置により像担持体表面の残
留物が摺擦部を通過するときの転がり摩擦で残留物を除去して現像装置に回収するものや
専用の摺擦手段を設けないで転写装置に摺擦装置の機能を兼用させて残留物を除去するも
のもある(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−073076号公報
【特許文献2】特開2002−214870号公報
【特許文献3】特開2002−082573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように像担持体表面の残留物を除去するための改良が進められているが、クリーニ
ング装置を設けると省スペース化、低コスト化等を実現させるのが難しくなる。また、ク
リーニング装置の機能を省略した研磨装置や摺擦装置を設けたときには、像担持体表面を
削りすぎない適度な研磨と削りむらを生じさせない均一な研磨、その研磨能力の維持や研
磨した研磨物等の処理が問題となる。
【0007】
そこで、本発明は、クリーニング装置の機能を省略した研磨装置を設けて像担持体表面
の均一な研磨とその研磨能力の維持の容易化を図り、現像装置で研磨物等を回収できるよ
うにし、画像形成装置の小型化、低コスト化等を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の特徴を有している。
本発明は、像担持体と帯電装置と静電潜像形成装置と現像装置と転写装置とを有する画
像形成装置において、像担持体に面状に、かつ不均一な圧力で接触する研磨装置を設けた
ことを特徴としている。像担持体を平滑に削るためには広い面積で面状に研磨することが
好ましい。しかしながら、均一な接触で面状の研磨を行うと、研磨粉が研磨面に蓄積され、
研磨性の低下や画質の劣化を引き起こす要因となることから、不均一な圧力で面状に研磨
する構成にしている。
【0009】
本発明は、前記研磨装置の接触圧力を所定のパターンにし、像担持体の任意の箇所で接
触領域を像担持体の移動方向に沿って接触圧力を積分した値をほぼ均しくすることにより
面状に均一な研磨ができるようにしたものである。
【0010】
本発明は、前記研磨装置がほぼ均一な研磨シートと、その背面から不均一に加圧する加
圧部材とからなることを特徴としている。
【0011】
本発明は、前記研磨装置の不均一な圧力で接触する圧力分布を高い部分と低い部分とに
二分した場合、像担持体移動方向の上流側から下流側に向かって研磨装置の低圧力部分を
たどったときに、研磨物等の残留物が低圧力部分を通過して研磨装置の下流側に排出され
る圧力分布であることを特徴としている。像担持体に過剰なストレスを与えないように研
磨し、残留物の移動排出まで行えるようにしたものである。
【0012】
本発明は、前記研磨シートが帯状の形状で加圧部材に対して長手方向に移動可能であり、
その帯の両端はループ状に接続された構造、又は、片側から供給して片側で巻き取る構造
としたことを特徴としている。加圧部材と研磨シートを分割することにより研磨面のリフ
レッシュの容易化および自動化を可能にし、研磨能力の維持を図ったものである。
【0013】
本発明は、転写後の像担持体表面の残留物を研磨装置で除去して通過させ、現像装置で
回収することを特徴としている。回収装置を別に設ける必要がなくなるため、省スペース
化が図れる。
【0014】
本発明は、潤滑剤塗布装置により像担持体に適時潤滑剤を塗布することを特徴としてい
る。潤滑剤を塗布すると、像担持体の表面エネルギーが低下するため、トナーと像担持体
の付着力が弱まり、トナーの転写性が良好になる。
【発明の効果】
【0015】
上記課題を解決するための手段により、本発明は、クリーニング装置の機能を省略した
研磨装置を設け、研磨した研磨物等の残留物は現像装置で回収する画像形成装置を設計し
たことで省スペース化、低コスト化を図っている。また、加圧部材と研磨シートを分割し
て不均一な圧力で面状に研磨する研磨装置としたことにより、像担持体に過剰なストレス
を与えないように研磨して、残留物の移動排出まで行えるようにし、研磨面のリフレッシ
ュの容易化および自動化を可能にして、研磨能力を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図1から図7に基づいて説明する。ただ
し、これらは一実施形態にすぎず、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。
図1は本発明の画像形成装置の側面図である。クリーニング装置を省略して潤滑剤塗布
装置13と研磨装置30を設けたことを特徴とする。像担持体1の周辺に帯電ローラ21、
書き込み装置22、現像装置2、転写装置18が配置されている。帯電装置は非接触型の
帯電ローラ21を例としているが、スコロトロン、コロトロン等のコロナ帯電装置や、接
触タイプの帯電ローラでもよく、それらの印加電圧に直流電圧が重畳されていてもよい。
現像装置2は二成分現像装置を例としたが、一成分・二成分、接触・非接触は必須の条件
ではない。転写装置18は、転写ベルト10を例としたが、ローラ転写、コロナ転写でも
よく、転写紙に対する直接転写、あるいは、中間転写体に対する転写でもよい。
【0017】
潤滑剤塗布装置13は、塗布装置解除回転中心17を中心に回転離接動作が可能であり
図示しない駆動装置により、適時、離接動作が可能である。潤滑剤塗布装置13の中には
潤滑剤14、潤滑剤塗布ローラ15、潤滑剤均しブレード16が組み込まれている。
潤滑剤14としては、ステアリン酸亜鉛のブロックが用いられることが多い。これは潤
滑効果が高いとともに、その整形が容易であることがあげられる。これ以外にも、金属石
鹸類、ワックス類、フッ素含有樹脂類も同様の効果を示す。潤滑剤14はブロック状にし
て潤滑剤塗布ローラ15に押し付ける。押し付ける方法としては、錘をつけて重力を利用
する方法、ばねをつけて加圧する方法、さらには、ソレノイド等で加圧力や加圧タイミン
グを制御する等の方法がある。
潤滑剤塗布ローラ15は潤滑剤14をこすり取り像担持体に塗り付ける機能を有するため、適度な表面粗さと接触圧力の均一性を維持するための柔軟性が必要である。シリコ
ーンゴム、ウレタンゴム、その他合成ゴムのローラでもよく、その表面に比較的硬質の樹
脂コート、例えばポリアミド、ポリエチレン、PET、フッ素を含有する樹脂等を用いる
と耐久性の高いものが得られる。これ以外にも、塗布ローラとして用いるものは、発泡ゴ
ム、ローラ状ブラシでもよいが、これらは表面の平滑性が低いので、潤滑剤の消費が多く
なりがちである。潤滑剤塗布ローラ15は図示しない回転駆動装置により回転駆動されて
いる。潤滑剤塗布ローラ15の回転軸は回転可能に潤滑剤塗布装置13に固定されており
潤滑剤塗布装置13は適時解除されるので、解除されたときに回転しているとエネルギー
が無駄であり、構成によっては潤滑剤を削り続けることになるので、潤滑剤塗布装置13
の解除と同期して停止させることが好ましい。回転時の回転方向は、この例では接触箇所
で像担持体1と同方向である。これ以外にも、周囲の部材の配置を逆にすることにより、
回転方向も逆に設定することが可能である。
潤滑剤均しブレード16は、余分な潤滑剤14をせき止め、像担持体1に塗布された潤
滑剤14を均一にするとともに定着させ、所定外の場所に移動させないようにする部材で
ある。接触の均一性、耐磨耗性等の理由から、ウレタンゴム、その他合成ゴムのブレード
が好ましいが、PET、ポリアミド等の樹脂ブレードも有効である。
【0018】
研磨装置30は帯電ローラ21の下流に配置した。研磨装置30は研磨粉を出すので、
帯電ローラ21の汚染を防ぐためにはこの位置が好ましいが、レイアウトの関係で、他に
配置してもよい。
【0019】
図2は研磨装置30の構成を示したものである。加圧部材31には加圧部材突起部32
があり、研磨シート33の背面から不均一に加圧する。研磨シート33はシート状の基材
の表面に研磨剤が接着された紙やすり状のシート、あるいは、研磨剤が練りこまれた樹脂、
ゴムのシートで、ほぼ均一な面にしたものである。基材は布、樹脂フィルム、ゴム等が適
切である。研磨剤としてはダイヤモンド、コランダム、エメリー、柘榴石、炭化珪素、窒
化ホウ素、酸化鉄、酸化クロム、酸化セリウム、酸化ケイ素等の物質が一般的である。背
面から加圧部材で加圧された研磨シートの加圧部が像担持体1の表面を研磨する。不均一
な圧力で接触する圧力分布を高い部分と低い部分とに二分したとき、像担持体1の移動方
向の上流側から下流側に向かって研磨装置30の低圧力部分をたどったときに、研磨物等
は低圧力部分を通過して研磨装置30の下流側に排出される。排出された研磨物等は、現
像装置2で回収される。回収された研磨物等は装置内に蓄積されるか、トナーとともに像
担持体1に現像され転写紙に転写されて機外に排出される。トナーと同様の挙動をさせる
ためには、像担持体1の研磨物等と現像剤中のキャリアの摩擦帯電特性をトナーと同様の
関係になるよう、材料を選択することが好ましい。
【0020】
図3は揺動が必須の加圧部材突起部32の一例である。突起と突起の隙間間隔以上のピ
ッチで揺動させることにより、像担持体1の全幅を均一に研磨することができる。
【0021】
図4は揺動が必須でない加圧部材突起部32の一例である。島状に配置された突起は前
列の隙間部分を埋めるように並んでいるため、研磨残し部分は発生しない。像担持体1の
進行とともに研磨物等は低圧領域を斜めに進み、研磨領域から排出する。この場合は揺動
させなくとも像担持体1の全幅を均一に研磨することはできるが、揺動させることにより
研磨物等は更に動きやすくなり、排出が容易となる。
【0022】
図5はエンドレスベルト状に作った研磨シート33を2つの研摩シート送りローラ34
で循環させることにより、加圧部材に対して移動可能に取り付けた一例である。自動的に
新しい研摩シート面を供給できるようにして、消耗品である研磨シート33の交換の自動
化と容易化を可能にし、研磨能力を維持することができる。研磨シート33は帯状の形状
で加圧部材31に対して長手方向に移動可能であり、その帯の両端はループ状に接続され
た構造、又は、片側から供給して片側で巻き取る構造にした。また、エンドレスベルト状
に研磨シート33を設置することにより、研磨シート33の交換の頻度を少なくし、研磨
装置30を長寿命化することができる。
なお、像担持体1と接触領域以外のところで、図示しない研磨シートクリーニング装置
を設けると更に寿命を延ばすことができる。クリーニング装置は、接触する固定ブラシ、
回転ブラシ、空気の吹き付け、吸いこみ、粘着ローラによる粘着等が好ましい。
【0023】
図6および図7は低圧部に研磨物等が蓄積され、揺動が必須でない加圧部材突起部32
の一例である。
【0024】
図1から図7では研磨シート33を用いた例であるが、加圧部材の突起部自体が研磨性
を持つものでもよい。少なくとも突起部が硬質の物で作られた表面粗さを持つものである
か、若しくは、表面に研磨剤が貼り付けられたもの等であれば、同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の画像形成装置の側面図である。
【図2】研磨装置の構成を示したものである。
【図3】揺動が必須の加圧部材突起部の一例である。
【図4】揺動が必須でない加圧部材突起部の一例である。
【図5】エンドレスベルト状に作った研磨シートを2つの研摩シート送りローラで循 環させることにより、加圧部材に対して移動可能に取り付けた一例である。
【図6】低圧部に研磨物等が蓄積され、揺動が必須ではない加圧部材突起部の一例で ある。
【図7】低圧部に研磨物等が蓄積され、揺動が必須ではない加圧部材突起部の一例で ある。
【符号の説明】
【0026】
1 像担持体
2 現像装置
3 現像ローラ
4 現像スリーブ
5 マグネット
6 ドクターブレード
7 現像剤搬送スクリューA
8 現像剤搬送スクリューB
9 現像剤しきり板
10 転写ベルト
11 転写ベルト張架ローラ
12 転写ベルト駆動ローラ
13 潤滑剤塗布装置
14 潤滑剤
15 潤滑剤塗布ローラ
16 潤滑剤均しブレード
17 塗布装置解除回転中心
18 転写装置
21 帯電ローラ
22 書き込み装置
30 研磨装置
31 加圧部材
32 加圧部材突起部
33 研磨シート
34 研磨シート送りローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と帯電装置と静電潜像形成装置と現像装置と転写装置とを有する画像形成装置
において、像担持体に面状にかつ不均一な圧力で接触する研磨装置を設けたことを特徴と
する画像形成装置。
【請求項2】
前記研磨装置は、接触圧力を所定のパターンにして、像担持体の任意の箇所で接触領域
を像担持体の移動方向に沿って接触圧力を積分した値をほぼ均しくすることにより、像担
持体に面状に均一な研磨ができることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記研磨装置は、ほぼ均一な研磨シートとその背面から不均一に加圧する加圧部材とか
らなることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記研磨装置は、不均一な圧力で接触する圧力分布を高い部分と低い部分とに二分した
場合、像担持体移動方向の上流側から下流側に向かって研磨装置の低圧力部分をたどった
ときに、研磨物等の残留物が低圧力部分を通過して研磨装置の下流側に排出される圧力分
布であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記研磨シートは、帯状の形状で加圧部材に対して長手方向に移動可能であり、その帯
の両端はループ状に接続された構造、又は、片側から供給して片側で巻き取る構造とした
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
現像装置は、転写後の像担持体表面の残留物を回収することを特徴とする請求項1ない
し5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
潤滑剤塗布装置は、像担持体に適時潤滑剤を塗布することを特徴とする請求項1ないし
6のいずれかに記載の画像形成装置。






















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−178286(P2006−178286A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−373153(P2004−373153)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】