説明

画像形成装置

【課題】 処理液の不必要な劣化を防ぐと共に、現像処理装置内での搬送不良を抑制可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】 第2搬送ローラ対32の搬送方向下流側には、現像前収容部48が配置されている。現像前収容部48は、案内板48A、及び、トレイ48Bを含んで構成されている。トレイ48Bは、画像記録部26から送り出されるカット記録紙34Sを収容可能とされている。トレイ48Bの上方には、トレイ48Bへ収容されたカット記録紙34Sが満杯かどうか、すなわち、トレイ48Bの収容許容量に達しているかどうかを検知可能な満杯検知センサ48Cが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に係り、特に、記録材料に画像情報を画像形成したあと、現像処理を行なって記録材料への画像形成を完成させる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、印画紙等の感光材料に対して、レーザ露光部から画像情報に対応して変調されたレーザビームを照射して走査露光した後、発色現像、漂白定着、水洗、乾燥の各処理を施して感光材料上に画像を形成する、いわゆるデジタルミニラボと呼ばれるものがある。
【0003】
このような画像形成装置では、現像処理前の段階で記録材料への画像形成が正常に完了しなかった場合、例えば、搬送時にジャムが生じて記録材料にシワが発生したり、露光時に搬送速度が変化して露光ムラが発生したりした場合でも、記録材料は現像処理装置へ搬送され、前述の各処理がなされた後に画像形成装置の外に排出される。
【0004】
しかしながら、正常に画像形成の終了していない記録材料を現像処理装置へ送ると、現像の不要な記録材料についても現像処理がなされてしまい、現像液等の各処理液が無必要に劣化されてしまう。また、シワの発生している記録材料は現像処理装置内でもジャムの原因になりやすい。さらに、正常に処理の終了したものとの仕分けに手間がかかってしまう。
【0005】
ところで、特許文献1には、複数の搬送経路を設け、いずれかの搬送経路に搬送不良が生じた場合に、他の搬送経路に切換えてシートを搬送する技術が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の技術は、現像処理を含んで画像形成を行なうものではない。また、特許文献1に記載の技術は、に画像形成が正常に完了したシートを別ルートで排出させるものであり、不具合が生じたシートを排出させるものではない。
【特許文献1】特開平9−244482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事実を考慮してなされたものであり、処理液の不必要な劣化を防ぐと共に、現像処理装置内での搬送不良を抑制可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、記録材料に画像情報を画像形成する画像形成部と、前記画像形成部で画像形成された記録材料が送り込まれ、この記録材料を所定の搬送速度で搬送しながら現像処理する現像処理部と、前記現像処理部よりも搬送方向上流側に設けられ、記録材料を受け入れ可能とされた現像前収容部と、前記画像形成部での画像形成が正常に完了したかどうかを判断する判断手段と、前記判断手段で、前記画像形成部での画像形成が正常に完了したと判断された場合には、記録材料を前記現像処理部へ送出し、前記画像形成部での画像形成が正常に完了しなかったと判断された場合には、記録材料を前記現像前収容部へ送出する、切換送出手段と、を備ている。
【0008】
本発明の画像形成装置では、画像形成部で記録材料に画像の形成がなされ、その後、現像処理部で画像形成された記録材料の現像処理が行なわれる。
【0009】
ところで、前述のように、画像形成が正常に完了していない記録材料は、現像処理する必要はなく、むしろ現像処理部への送出は好ましくない。そこで、本発明では、現像処理部よりも搬送方向上流側に現像前収容部を設ける。そして、判断手段で、画像処理部での画像形成が正常に完了したかどうかを判断し、切換送出手段が、判断手段で正常に完了したと判断された場合には、記録材料を現像処理部へ送出し、正常に完了しなかったと判断された場合には、記録材料を現像前収容部へ送出する。
【0010】
本発明によれば、画像処理が正常に完了しなかった記録材料が現像処理部ではなく現像前収容部へ送出されるので、不要な現像処理が行なわれず、処理液の不必要な劣化を防止することができる。また、搬送不良となりやすい記録材料が現像処理部へ送出されないので、現像処理部での搬送途中での搬送不良を抑制することができる。
【0011】
請求項2に記載の画像形成装置は、前記画像形成部と前記現像処理部との間に設けられ、前記画像形成部から送出される記録材料をこの記録材料の先端部から収容可能な一時収容部、をさらに備え、前記切換送出手段は、前記判断手段で前記画像形成部での画像形成が正常に完了したと判断され、かつ前記記録材料の搬送方向の長さが前記画像形成部から前記現像処理部までの搬送長よりも長い場合には、記録材料を、この一時収容部へ送出し、画像形成の終了後にこの一時収容部から前記現像処理部へ送出すること、を特徴とする。
【0012】
通常、画像形成部で画像形成された記録材料は、次に現像処理部へ搬送されるが、画像形成中に記録材料の先端が現像処理部へ至ると、記録材料に負荷がかかって、画像形成にムラが生じてしまう。そこで、画像形成部と現像処理部との間に、画像形成部で画像形成された記録材料を、この記録材料の先端部から収容可能な一時収容部を設ける。そして、切換送出手段は、判断手段で画像形成部での画像形成が正常に完了したと判断され、かつ記録材料の搬送方向の長さが画像形成部から現像処理部までの搬送長よりも長い場合に、記録材料を、この一時収容部へ送出し、画像形成の終了後に一時収容部から現像処理部へ送出する。
【0013】
上記構成によれば、記録材料の搬送方向の長さが画像形成部から現像処理部までの搬送長よりも長い場合には、記録材料が一時収容部へされるので、画像形成中に記録材料の先端部が現像処理部へ突入することを回避することができる。
【0014】
請求項3に記載の画像形成装置は、前記切換送出手段が、前記画像形成部からの記録材料を前記現像処理部へ案内する第1位置と、前記画像形成部からの記録材料を前記現像前収容部へ案内する第2位置とに移動可能なガイド部材を含んで構成されていること、を特徴とすることができる。
【0015】
上記構成によれば、第1位置と第2位置とを移動可能なガイド部材を設けるという簡易な構成で記録材料の搬送方向を切換えることができる。
【0016】
請求項4に記載の画像形成装置は、前記ガイド部材が、前記画像形成部からの記録材料を前記一時収容部へ案内する第3位置へも移動可能とされていることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、一時収納部への搬送方向の切換も、前記ガイド部材で行なうことができる。
【0018】
請求項5に記載の画像形成装置は、前記現像前収容部へ送出された記録材料が所定の満杯状態かどうかを検出可能な満杯検出手段、をさらに備えたこと、を特徴としている。
【0019】
ここで、所定の満杯状態とは、現像前収容部に収容された記録材料の量が現像前収容部での収容許容量に達した状態をいう。このように、満杯検出手段を備えることにより、ユーザーは、現像前収納部へ収納された記録材料を廃棄する時期を知ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上記構成としたので、処理液の不必要な劣化を防ぐと共に、現像処理装置内での搬送不良を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[第1実施形態]
以下、図面を参照しながら本発明の第1実施形態について説明する。
【0022】
図1に示すように、本発明の画像形成装置10は、画像入力装置12、画像処理装置13、プリンタ15及びプロセサ16を備えている。画像形成装置10を構成する各部は、図示しない配線を介して制御部17に接続されており、この制御部17によって画像形成装置10全体の動作が制御される。
【0023】
画像入力装置12は、写真フィルムに記録された画像の投影光をCCDイメージセンサなどの撮像素子を用いて光電的に読み取ることで画像データを生成し、あるいはメモリカードなどの記録媒体に記録された画像データを読み出すことで、画像データを取得する。この画像データは画像処理装置13に送られ、カラーバランス補正や濃度補正などの画像処理が行われる。画像処理が行われた画像データはプリンタ15に送られ、後述する画像記録時に用いられる。
【0024】
プリンタ15は、所定長にカットされたカット記録紙34Sを搬送しながら、画像データに基づいて強度変調された記録光にて画像記録を行うものであり、搬送方向の上流側から、供給部20、裏印字部22、レジスト部24、画像記録部26、副走査受け部28、現像前収容部48を備える。各部位には、駆動ローラとニップローラとから構成される搬送ローラ対が、カット記録紙34Sの搬送路に沿って複数設けられている。
【0025】
供給部20には、ロール状に巻かれた長尺の感光性記録紙34を収容するマガジン20がセットされている。マガジン20には、感光性記録紙34を引き出して裏印字部22に向けて搬送するための引出ローラ対21が設けられている。本実施形態では1つのマガジンのみを設けているが、マガジンは2個以上でもよい。
【0026】
また、このマガジン20に収容される感光性記録紙34には、図2に示すように、製造工程上のロスを無くすために、帯状記録紙の端部同士を接合した接合部80が設けられている。そして、接合部80には、接合部であることを示すスプライスホール81が設けられている。このスプライスホールの幅L1は、例えば、20mmとされている。
【0027】
マガジン20の出口から所定長だけ離れた位置には、感光性記録紙34を切断するためのカッタ36が備えられている。カッタ36は、制御部17からの制御信号を受けて駆動し、プリントサイズに合わせて所定長だけ送り出された感光性記録紙34を切断してカット記録紙34Sを形成する。プリントサイズとしては、例えば、L(89X127)、パノラマ(89X254)、2L(127×178)、8切り(165×216)、6切り(203×254)、4切り(254×305)などがある。なお、単位は何れもmmである。
【0028】
また、カッタ36の上流には、感光性記録紙34に設けられたスプライスホール81を検出して制御部17に信号を出力するスプライスセンサ37が設けられており、このスプライスセンサ37がスプライスホール81を検出すると、制御部17は接合部80が通過する所定の長さの感光性記録紙34を送り出した後にカッタ36を駆動する。このようにして形成された接合部80を含むカット記録紙34Sは、裏印字や画像記録が行われずに、そのままソータ63に排出される。
【0029】
裏印字部22は、写真の撮影日、プリント日、コマ番号、各種IDなどのプリント情報を、カット記録紙34Sの非記録面(露光面と反対側の面)に記録する裏印字装置50を備える。裏印字装置50は、裏印字ヘッド38とプラテン39とで構成されており、裏印字ヘッド38としては、後に行われる湿式の現像処理に耐性のあるものであればドットインパクトヘッド、インクジェットヘッド、熱転写プリントヘッドなどの公知のプリントヘッドを用いることができる。
【0030】
レジスト部24は、画像記録部26における露光位置・角度ズレを防止するために、カット記録紙34Sの傾き及び幅方向の位置を調整するレジスト用ローラ対40と、このレジスト用ローラ対40の前後に配置される複数の搬送ローラ対から構成される。レジスト用ローラ対40による傾き及び幅方向位置を調整する方法は、チルトレジスト、トップレジスト、及びサイドレジストなどの公知の方法を用いることができる。
【0031】
画像記録部26は、露光ユニット42、副走査ローラ対44、46と、カット記録紙34Sの通過を検出する記録紙センサ45とから構成され、制御部17によって動作制御される。露光ユニット42は、画像処理装置13と接続されており、カット記録紙34Sの先端が通過したことを記録紙センサ45が検出すると、画像データに基づいて強度変調された赤、緑、青の光ビームLBを主走査方向(搬送方向と直交する方向)に走査して、カット記録紙34Sに画像を記録する。副走査ローラ対44、46は、光ビームLBによる露光位置を挟むように搬送方向の上流側及び下流側に配置され、カット記録紙34Sを所定の画像形成速度で副走査方向(搬送方向と平行な方向)に搬送する。これにより、カット記録紙34Sは、所定の画像形成速度で搬送されながら露光される。
【0032】
なお、副走査ローラ対44、46のニップローラは、カット記録紙34Sを挟持する位置とカット記録紙34Sから離れる位置との間で切り替え可能とされており、図示しない位置センサでカット記録紙34Sの先端または後端を検出したときに切り替えられる。これにより、カット記録紙34Sの先端が下流側の副走査ローラ対46に突き当たったり、後端が上流側の副走査ローラ対44から抜け出ることで、カット記録紙34Sに過度の衝撃が加わることを防止する。
【0033】
図3にも示すように、副走査受け部28は、記録紙検知センサ47A、47B、第1搬送ローラ対30、第2搬送ローラ対32を備えている。記録紙検知センサ47A、47Bは、カット記録紙34Sの先端部及び後端部を検知可能とされている。記録紙検知センサ47Aは、副走査ローラ対46の下流側に、記録紙検知センサ47Bは、第2搬送ローラ対32の上流側に配置されている。第1搬送ローラ対30、第2搬送ローラ対32は、画像記録中に画像記録部26から送り出されるカット記録紙34Sの先端部を保持し、画像記録部26の画像形成速度と同一の速度で、カット記録紙34Sを下流側に送り出す。第1搬送ローラ対30、第2搬送ローラ対32は、駆動ローラと、ニップ解除可能なニップローラとからなり、画像記録中のカット記録紙34Sの先端が通過した後にカット記録紙34Sを挟持する。これにより、カット記録紙34Sの先端が突き当たって搬送速度が変動することを防止する。カット記録紙34Sは、第1搬送ローラ対30、第2搬送ローラ対32により、後述する現像処理部60、または現像前収容部48へ搬送される。以下、現像処理部60への搬送路を現像搬送路A、現像前収容部48への搬送路を収容搬送路Bという。
【0034】
第2搬送ローラ対32の搬送方向下流側には、現像前収容部48が配置されている。現像前収容部48は、案内板48A、及び、トレイ48Bを含んで構成されている。トレイ48Bは、画像記録部26から送り出されるカット記録紙34Sを収容可能とされている。トレイ48Bの上方には、トレイ48Bへ収容されたカット記録紙34Sが満杯かどうか、すなわち、トレイ48Bの収容許容量に達しているかどうかを検知可能な満杯検知センサ48Cが設けられている。満杯検知センサ48Cは、カット記録紙34Sの枚数をカウントするカウンタで構成し所定枚数に達したところで満杯の判断をするものでもよいし、トレイ48Bへ収容されているカット記録紙34Sの上面の高さを検知し所定の高さに達したところで満杯の判断をするものでもよい。満杯検知センサ48Cは、満杯状態を検知すると、満杯検知信号を出力し、これにより、図示しない表示部に、トレイ48Bが満杯状態であることが表示される。
【0035】
第2搬送ローラ対32の下流側に位置する、現像搬送路Aと収容搬送路Bとの分岐点B1には、第1切換ガイド部材86が配置されている。第1切換ガイド部材86は、制御部17によって制御され、カット記録紙34Sを現像処理部60へ案内する第1位置P1と、カット記録紙34Sを現像前収容部48へ案内する第2位置P2とに移動可能とされている。第1切換ガイド部材86は、通常は、第1位置P1に配置されている。
【0036】
プロセサ16は、現像処理部60、乾燥処理部61、振戻部62、およびソータ63から構成される。現像処理部60には、搬送方向の上流側から順に、現像槽70、漂白定着槽71と、第1水洗槽73、第2水洗槽74、第3水洗槽75、第4水洗槽76からなる水洗槽72とが設けられている。現像槽70には現像液が、漂白定着槽71には漂白定着液が、また、第1水洗槽73〜第4水洗槽76には洗浄水が、それぞれ所定量貯蔵されており、カット記録紙34Sが、現像槽70、漂白定着槽71、および第1水洗槽73〜第4水洗槽76内を搬送されることで、現像・定着・洗浄の各処理が行われる。
【0037】
乾燥処理部61は各処理槽70〜72の上方に配置されており、搬送ベルトと送風ダクトとから構成されている。送風ダクトは搬送ベルトに向けてヒータで熱せられた乾燥風を吹き出して、カット記録紙34Sを搬送ベルト側に押し付ける。この状態で送風ダクトの上を通過させることで、カット記録紙34Sに付着した洗浄水が除去される。そして、乾燥処理部61を通過したカット記録紙34Sは、プロセサ16から排出される。
【0038】
次に、本実施形態の画像形成装置10でのカット記録紙34Sの搬送について説明する。
【0039】
カット記録紙34Sは、画像記録部26で所定の画像形成速度で搬送されつつ画像が形成される。制御部17では、1枚のカット記録紙34Sの通過毎に、図4に示す第1切換処理が行なわれる。
【0040】
まず、ステップS10で、画像形成が正常に終了したかどうかを判断する。この判断は、当該カット記録紙34Sが、所定の時間間隔で各記録紙検知センサを通過したか、画像記録中に搬送速度の変化があったかどうか、などにより判断することができる。正常に終了したと判断された場合には、そのまま本処理を終了する。これにより、第1切換ガイド部材86は、通常は第1位置P1に配置されているので、カット記録紙34Sは、画像記録部26から現像処理部60へ送出される。
【0041】
ステップS10での判断が否定された場合には、ステップS12で、第1切換ガイド部材86を第2位置P2へ移動させる。これにより、カット記録紙34Sは、現像前収容部48へ送出され、案内板48Aを経てトレイ48Bへ収容される。
【0042】
ステップS14で、カット記録紙34Sの後端部が分岐点B1を通過するまで待機し、通過した場合には、ステップS16で、第1切換ガイド部材86を第1位置P1へ移動させて、本処理を終了する。
【0043】
本実施形態によれば、画像形成が正常に終了していないカット記録紙34Sは、トレイ48Bへ収容される。したがって、現像処理の不要なカット記録紙34Sが現像処理部60へ送出されるのを防止でき、処理液の不必要な劣化を抑制することができると共に、現像処理部での搬送不良も抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態では、現像前収容部48に満杯検知センサ48Cを設けたので、トレイ48Bへのカット記録紙34Sの収容量を把握でき、表示部への満杯である旨の表示により、ユーザーは、満杯状態を認知することができる。
【0045】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態と同一部分については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0046】
図5に示すように、本実施形態の画像形成装置90には、第1搬送ローラ対30と第2搬送ローラ対32の間に現像前収容部48が設けられている。そして、第2搬送ローラ対32の下流側には、一時収容部94が設けられている。図6に示すように、画像記録部26の副走査ローラ対46のニップ部から現像処理部60までの搬送長(以下この搬送長を「副走査受搬送長FL」とする)は、本実施形態では180mmとされている。
【0047】
一時収容部94は、収容板94Aを含んで構成され、カット記録紙34Sを先端部から収容可能とされている。収容板94Aは、カット記録紙34Sが一時収容部94側へ搬送される一時搬送路Cを構成している。一時収容部94へのカット記録紙34Sの収容は、第1搬送ローラ対30及び第2搬送ローラ対32のR1方向への回転によりカット記録紙34Sが搬送されることで行なわれる。
【0048】
現像搬送路Aと一時搬送路Cとの分岐点B2には、第2切換ガイド部材88が配置されている。第2切換ガイド部材88は、制御部17によって制御され、カット記録紙34Sを現像処理部60へ案内する第3位置P3と、カット記録紙34Sを一時収容部94へ案内する第4位置P4とに移動可能とされている。第2切換ガイド部材88は、通常は、第3位置P3に配置されている。
【0049】
次に、本実施形態の画像形成装置90での画像記録中、及び画像記録後のカット記録紙34Sの搬送について説明する。
【0050】
カット記録紙34Sは、画像記録部26で所定の画像形成速度で搬送されつつ画像が形成される。制御部17は、1枚のカット記録紙34Sの通過毎に、図7に示す第2切換処理を行なう。 まず、ステップS20で、画像形成が正常に完了したかどうかを判断する。正常に完了したと判断されなかった場合には、ステップS22で、第1切換ガイド部材86を第2位置P2へ移動させる。これにより、カット記録紙34Sは、現像前収容部48へ送出され、案内板48Aを経てトレイ48Bへ収容される。その後、ステップS24で、カット記録紙34Sの後端部が分岐点B1を通過するまで待機し、通過した場合には、ステップS26で、第1切換ガイド部材86を第1位置P1へ移動させて、本処理を終了する。
【0051】
ステップS20で正常に終了したと判断された場合には、ステップS30で、カット記録紙34Sの搬送方向の長さが180mmよりも短いかどうかを判断する。判断が肯定された場合には、ステップS32で、第2切換ガイド部材88を第3位置P3へ移動させる。これにより、180mmよりも短いカット記録紙34S(Lサイズ、2Lサイズなど)は、現像搬送路Aを経て現像処理部60へ搬送される。ここで、副走査受搬送長FLは180mmであるので、180mmよりも短いカット記録紙34Sは、現像処理部60へ至る前に画像記録部26での画像記録が終了している。したがって、画像記録中のカット記録紙34Sに、現像処理部60への突入により負荷が加えられことはない。
【0052】
ステップS30での判断が否定された場合には、ステップS34で、第2切換ガイド部材88を第4位置P4へ移動させる。これにより、180mm以上の長さのカット記録紙34Sは、その先端部が一時搬送路Cへ案内される。そして、画像記録中のカット記録紙34Sは、図9(A)に示すように、先端部から一時搬送路Cへ収容されていく。
【0053】
ステップS34の処理後、制御部17では、図8に示すスイッチバック処理S40が行なわれる。スイッチバック処理S40は、まず、ステップS42で、カット記録紙34Sの後端部が副走査ローラ対46を通過するまで待機する。ここでの判断は、記録紙検知センサ47Aからの信号により行なわれる。カット記録紙34Sの後端部が副走査ローラ対46を通過すれば、カット記録紙34Sへの画像記録は終了している。そこで、ステップS44で、第1搬送ローラ対30、第2搬送ローラ対32をR1方向と逆のR2方向へ回転させる。これにより、カット記録紙34Sが画像記録部26へ向かって搬送され(図9(B)参照)、カット記録紙34Sの先端部側を一時搬送路Cから出すことができる。このとき副走査ローラ対44、46は、フリーとされ、搬送方向と逆方向に回転され、カット記録紙34Sを搬送方向と逆方向に受け入れることができる。
【0054】
ステップS46で、カット記録紙34Sの先端部が一時搬送路Cを出るまで待機する。ここでの判断は、記録紙検出センサ47Bからの信号により行なわれる。カット記録紙34Sの先端部が一時搬送路Cを出たら、ステップS48で、第3切換ガイド部材88を第3位置P3へ移動させる。そして、ステップS50で、第1搬送ローラ対30、第2搬送ローラ対32の回転方向を変え、R1方向へ回転させる。これにより、カット記録紙34Sの先端部が分岐点B2で現像処理部60へ案内されると共に、カット記録紙34Sが現像処理部60へ搬送される(図9(C)参照)。
【0055】
上記の処理によれば、画像形成が正常に終了していないカット記録紙34Sは、トレイ48Bへ収容される。したがって、現像処理の不要なカット記録紙34Sが現像処理部60へ送出されるのを防止でき、処理液の不必要な劣化を抑制することができると共に、現像処理部での搬送不良も抑制することができる。
【0056】
また、カット記録紙34Sは、180mmよりも長い場合には、画像記録部26から直接現像処理部60へ搬送すると、画像記録部26での画像記録中に先端部が現像処理部60に突入してしまい、負荷が加わって露光ムラが生じてしまうが、上記処理によれば、180mmよりも長いカット記録紙34Sについては、スイッチバック処理が行なわれる。スイッチバック処理によれば、180mmよりも長いカット記録紙34Sは、一時収容部94へ収容され、画像記録の終了後に現像処理部60へ搬送されるので、画像記録中に負荷が加わるのを防止することができる。
【0057】
なお、本実施形態では、ステップS44で、第1搬送ローラ対30、第2搬送ローラ対32の両方をR2方向に回転させて、カット記録紙34Sの後端部を画像記録部26へ進入させたが、第2搬送ローラ対32をR2方向に回転させつつ第1搬送ローラ対30をカット記録紙34Sを挟持したまま停止させることにより、図10に示すように、カット記録紙34Sをリフトさせて先端部を一時搬送路Cから出してもよい。
【0058】
また、本実施形態では、収容搬送路Bを第1搬送ローラ対30と第2搬送ローラ対32との間に設け、一時搬送路Cを第2搬送ローラ対32の下流側に設けたが、図11に示すように、第2搬送ローラ対32の下流側に、現像搬送路A、収容搬送路B、及び一時搬送路Cを設けてもよい。この場合には、分岐点Cに、第3切換ガイド部材89を配置する。第3切換ガイド部材は、図11(A)に示す現像位置P5に配置されることにより、カット記録紙34Sを現像搬送路Aを経て現像処理部60へ送出し、図11(B)に示す一時位置P6に配置されることにより、カット記録紙34Sを一時搬送路Cを経て一時収容部94へ送出し、、図11(C)に示す収容位置P7に配置されることにより、カット記録紙34Sを収容搬送路Bを経て現像前収容部48へ送出する。
【0059】
このように、三俣の分岐点B3を構成することにより、一箇所の切換ガイド部材で、3方向の搬送方向を切換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第1実施形態の画像形成装置の概略全体図である。
【図2】感光性記録紙の接合部を示す平面図および側面図である。
【図3】第1実施形態の現像前収容部を示す図である。
【図4】第1実施形態の、第1切換処理のフローチャートである。
【図5】第2実施形態の画像形成装置の概略全体図である。
【図6】第2実施形態の現像前収容部及び一時収容部を示す図である。
【図7】第2実施形態の第2切換処理のフローチャートである。
【図8】第2実施形態のスイッチバック処理のフローチャートである。
【図9】第2実施形態の、カット記録紙の搬送経路を示す図である。
【図10】第2実施形態の、カット記録紙の搬送経路の変形例を示す図である。
【図11】第2実施形態の、切換ガイド部材の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
10 画像形成装置
17 制御部
26 画像記録部
28 副走査受け部
30 第1搬送ローラ対
32 第2搬送ローラ対
34S カット記録紙
34 感光性記録紙
44 副走査ローラ対
48B トレイ
48 現像前収容部
48C 満杯検知センサ
60 現像処理部
86 第1切換ガイド部材
88 第2切換ガイド部材
89 第3切換ガイド部材
90 画像形成装置
94 一時収容部
A 現像搬送路
B 収容搬送路
C 一時搬送路
FL 副走査受搬送長
P1 第1位置
P2 第2位置
P3 第3位置
P4 第4位置
P5 現像位置
P6 一時位置
P7 収容位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材料に画像情報を画像形成する画像形成部と、
前記画像形成部で画像形成された記録材料が送り込まれ、この記録材料を所定の搬送速度で搬送しながら現像処理する現像処理部と、
前記現像処理部よりも搬送方向上流側に設けられ、記録材料を受け入れ可能とされた現像前収容部と、
前記画像形成部での画像形成が正常に完了したかどうかを判断する判断手段と、
前記判断手段で、前記画像形成部での画像形成が正常に完了したと判断された場合には、記録材料を前記現像処理部へ送出し、前記画像形成部での画像形成が正常に完了しなかったと判断された場合には、記録材料を前記現像前収容部へ送出する、切換送出手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成部と前記現像処理部との間に設けられ、前記画像形成部から送出される記録材料をこの記録材料の先端部から収容可能な一時収容部、をさらに備え、
前記切換送出手段は、前記判断手段で前記画像形成部での画像形成が正常に完了したと判断され、かつ前記記録材料の搬送方向の長さが前記画像形成部から前記現像処理部までの搬送長よりも長い場合には、記録材料を、この一時収容部へ送出し、画像形成の終了後にこの一時収容部から前記現像処理部へ送出すること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記切換送出手段は、前記画像形成部からの記録材料を前記現像処理部へ案内する第1位置と、前記画像形成部からの記録材料を前記現像前収容部へ案内する第2位置とに移動可能なガイド部材を含んで構成されていること、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ガイド部材は、前記画像形成部からの記録材料を前記一時収容部へ案内する第3位置へも移動可能とされていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像前収容部へ送出された記録材料が所定の満杯状態かどうかを検出可能な満杯検出手段、をさらに備えたこと、
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−195245(P2006−195245A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−7723(P2005−7723)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】