説明

画像形成装置

【課題】 カラー画像形成装置において、安価に精度よく転写ベルトの周速を検知して色むら及び色ずれを防止する。
【解決手段】 ドラム回転負荷検出部26では感光体ドラムの1つに掛かる負荷を検出して検出負荷を得る。制御部31は、転写ベルト駆動部27を制御し、転写搬送ベルトの回転速度を変化させて、転写搬送ベルトの回転速度とドラム回転負荷検出部から得られた検出負荷との関係を示す線図における変曲点を感光体ドラムの回転速度と転写搬送ベルトの回転速度とが等しい状態であるとして、この変曲点における転写ベルトの回転速度を予め定められた比率分変更した補正回転速度で転写搬送ベルトを回転駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、又はファクシミリ装置等の電子写真プロセスを用いた画像形成装置に関し、特に、転写ベルトを備えるカラー画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、カラー画像形成装置として、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、及びブラック(BK)の各色の作像ユニットを転写搬送ベルトに沿って配置した所謂直接タンデム型があり、さらには、各色の作像ユニットを中間転写ベルトに沿って配置した所謂間接タンデム型がある。そして、直接タンデム型においては、転写搬送ベルト上を搬送される記録用紙(以下単に用紙と呼ぶ)に直接各色トナー像を順次転写して用紙上にカラートナー像を形成している。
【0003】
一方、間接タンデム型においては、各色トナー像を順次中間転写ベルトに転写して中間転写ベルト上にカラートナー像を形成した後、二次転写位置でこのカラートナー像を用紙に転写している(ここでは、転写搬送ベルト又は中間転写ベルトが転写ベルトである)。
【0004】
この種のカラー画像形成装置においては、転写ベルトは駆動ローラ及び従動ローラに張架されて、駆動ローラの回転駆動によって転写ベルトが回転駆動されるが、例えば、駆動ローラの外径が周囲環境温度の変化に起因して変化すると、転写ベルトの回転速度(搬送速度)が変化してしまい、転写ベルトの回転速度が所望の回転速度から変化してしまうことがある。そして、転写ベルトの回転速度が変化すると、各色トナー像を重ね合わせる際に、色ずれ又は色むらが生じてしまうことになる。
【0005】
このような不具合を防止するため、駆動ローラの周囲環境温度を計測して、その計測値に応じて駆動ローラの外径を予測し駆動ローラの回転数を調整制御して転写ベルトの回転速度を微調整し、これによって色ずれ及び色むらを防止するようにしている(以下従来例1と呼ぶ)。
【0006】
さらには、転写ベルトに位置検出マークを施して、マーク検出器によって位置検出マークを検出して、転写ベルトが一周するのに要する時間を算出し、この算出時間に応じて転写ベルトの回転速度を制御することも行なわれている(以下従来例2と呼ぶ)。
【0007】
一方、画像形成部材である感光体ベルト又は転写ドラムに対して接触・離脱する画像形成手段、消去手段、及び転写ローラ等による画像形成部材の搬送速度の変化に起因する色むらを防止するため、画像形成手段、消去手段、及び転写手段の負荷変動に応じてモータの速度を制御するようにしたものがある(特許文献1参照:以下従来例3と呼ぶ)。
【0008】
【特許文献1】特開2002−202706公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来例1では、駆動ローラの周囲環境温度に応じて駆動ローラの外径を予測し駆動ローラの回転数を調整制御して転写ベルトの回転速度を微調整するため、演算処理が複雑となるばかりでなく、転写ベルトの回転速度を精度よく予測することが難しく、色むらを的確に防止することが難しいという課題がある。
【0010】
従来例2においては、転写ベルト上の位置検出マークによって転写ベルトの回転速度を求めているため、周囲環境温度等の変化に起因して転写ベルトが伸縮することを考慮すると、精度よく転写ベルトの回転速度を得て、転写ベルトの回転速度を制御することが難しいという課題がある。
【0011】
さらに、従来例1及び2ともに、温度センサ又は位置検出センサを必要とし、これらセンサの検出結果に基づいて演算処理を行わなければならず、構成が複雑となってコストアップの原因となるという課題がある。
【0012】
従来例3においては、画像形成手段、消去手段、及び転写手段は画像形成部材に対して接触・離脱しており、接触・離脱の際の負荷変動によってモータの速度を制御しているので、駆動ローラの外径が変化して、転写ベルトの速度が変化するような場合においては、精度よく転写ベルトの速度制御を行うことが難しく、結果的に色むら等を的確に防止することが難しいという課題がある。
【0013】
従って、本発明はかかる従来技術の問題に鑑み、安価に精度よく転写ベルトの周速を検知して色むら及び色ずれを防止することのできる画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、各色毎のトナー像が形成する像担持体をそれぞれ備える作像ユニットを複数有し、前記像担持体に当接して各色毎のトナー像を直接的又は間接的に記録用紙に転写して記録用紙上にカラートナー像を形成する転写ベルトを有し、該転写ベルトが駆動ローラと少なくとも1つの従動ローラとによって張架されて、前記像担持体が前記転写ベルトの回転方向に沿って配列され、前記転写ベルトを前記像担持体に対して予め定められた比率分変更した回転速度で回転駆動する画像形成装置において、前記像担持体の少なくとも1つに掛かる負荷を検出して検出負荷を得る負荷検出手段を有し、前記転写ベルトの回転速度を変化させて、該転写ベルトの回転速度と前記負荷検出手段から得られた検出負荷との関係を示す線図における変曲点を前記像担持体の回転速度と前記転写ベルトの回転速度とが等しい状態であると看做して、該変曲点における前記転写ベルトの回転速度を前記比率分変更した補正回転速度で前記転写ベルトを回転駆動することを特徴とするものである。
【0015】
本発明では、前記負荷検出手段は前記駆動ローラに最も近い位置に位置する像担持体に掛かる負荷を検出するようにする。本発明では、例えば、前記駆動ローラに最も近い位置に位置する像担持体には、ブラックトナー像が形成され、カラー画像形成モードの際には前記像担持体の全てが前記転写ベルトと当接し、モノクロ画像形成モードの際にはブラックトナー像が形成される像担持体を除く像担持体が前記転写ベルトから離間するようにする。
【0016】
また、本発明では、カラー画像形成モードの際には前記像担持体の全てが前記転写ベルトと当接し、単色画像形成モードの際には単色画像形成を行う像担持体を除く像担持体が前記転写ベルトから離間するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明による画像形成装置は、転写ベルトの回転速度を変化させて、転写ベルトの回転速度と負荷検出手段から得られた検出負荷との関係を示す線図における変曲点を像担持体の回転速度と転写ベルトの回転速度とが等しい状態であると看做して、この変曲点における転写ベルトの回転速度を予め定められた比率分変更した補正回転速度で転写ベルトを回転駆動するようにしたので、駆動ローラの外径変化に起因して転写ベルトの回転速度が変化しても、転写ベルトの回転速度と像担持体の回転速度との間に所定の周速差が存在することになって、その結果、色むら及び色ずれを防止することができるという効果がある。
【0018】
本発明では、駆動ローラに最も近い位置に位置する像担持体に掛かる負荷を検出するようにしたので、転写ベルトの撓み等に起因する速度変動の影響を受けることがほとんどないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【実施例1】
【0020】
図1を参照して、本発明の実施例1による画像形成装置について説明する。図1は直接タンデム型カラー画像形成装置の一例を概略的に示す図であり、このカラー画像形成装置10はマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、及びブラック(BK)の各色毎の作像ユニット11〜14を有しており、作像ユニット11〜14においては、感光体ドラム(例えば、a−Si感光体ドラム)11a〜14aが回転駆動されて(例えば、周速=100.00mm/s)、感光体ドラム11a〜14aはそれぞれ帯電器によって均一に帯電された後、露光ユニットによって画像データに応じて露光され、感光体ドラム11a〜14a上にそれぞれ静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム11a〜14a上の静電潜像はそれぞれ各色現像器によって現像されて、各色トナー像となる。
【0021】
感光体ドラム11a〜14aは転写搬送ベルト(例えば、PVDF、ETFE、又はPI等の樹脂ベルトで、厚さ0.1mm、体積抵抗値1E+12〜1E+13Ω・cm)15に沿って配列されており、この転写搬送ベルト15は、1つの駆動ローラ16、テンションローラ17a、及び複数の従動ローラ17bに張架されている。転写搬送ベルト15は駆動ローラ16の回転駆動によって、図中実線矢印で示す方向に回転駆動される(転写搬送ベルト15の所望周速は、例えば、100.50mm/sである)。そして、転写搬送ベルト15を挟んで感光体ドラム11a〜14には転写ローラ18a〜18dが対向している。
【0022】
なお、転写ローラ18a〜18dの各々は、例えば、その外径(φ)が15mmであり、φ8mmの金属軸にEPDM発泡体(発泡体の厚さ=3.5mm)が装着され、抵抗値は1E+6〜1E+7Ωであって、転写搬送ベルト15の回転によって従動回転する。また、駆動ローラ16は、例えば、その外径(φ)が20mmであり、φ18mmの金属軸にEPDMゴム(ゴムの厚さ=1mm)が装着されている。
【0023】
給紙カセット19に収納された用紙が給紙経路20を通って転写搬送ベルト15に送られて、用紙は転写搬送ベルトの回転駆動によって転写搬送ベルト15上を搬送されつつ、感光体ドラム11a〜14a上のトナー像が転写ローラ18a〜18dに印加される転写バイアスによって順次用紙に転写されて、用紙上にカラートナー像が形成される。そして、用紙は定着装置21に搬送されて、ここで用紙上のトナー像が定着された後、排紙経路22を通って排紙トレイ23に排紙される。
【0024】
なお、転写バイアス制御に当っては、例えば、用紙への転写を行う際には、各色について、−15μAの電流が与えられ(定電流制御)、用紙への転写を行わない場合には、各色について、+1.3kVの電圧が印加される(定電圧制御)。
【0025】
図2及び図3を参照して、図2は図1に示す画像形成装置10の要部を示す図であり、図3は画像形成装置10の制御系を示すブロック図である。図2に示すように、駆動ローラ16からみて、転写搬送ベルト15の回転方向最下流側に位置する従動ローラ17に対向して転写位置(基準位置)検出部24が配置され、駆動ローラ16に最も近い位置には感光体ドラム14aが配置されている。つまり、図示の例では、駆動ローラ16に最も近い位置から順に感光体ドラム14a〜11aが配置され、これら感光体ドラム14a〜11aは転写搬送ベルト15に圧接されている。
【0026】
感光体ドラム11a〜14aはそれぞれドラム駆動モータ(図2には示さず)によって回転駆動され(図3にはこれらドラム駆動モータがドラム駆動部25として一括して示されている)、感光体ドラム14aを駆動するドラム駆動モータにはドラム回転負荷検出部(負荷検出手段)26が連結されている。そして、駆動ローラ16は転写ベルト駆動部27によって回転駆動される。なお、図3に示すように、ここでは、作像ユニット11〜14に備えられた帯電器、露光器、及び現像器は一括して帯電部28、露光部29、及び現像部30で示されている。
【0027】
また、ドラム駆動モータにはDCモータが用いられ、DCモータの駆動力がギアを介して感光体ドラム11a〜14aに伝えられる。また、転写ベルト駆動部27はステッピングモータを備えて、ステッピングモータの駆動力がギアを介して駆動ローラ16に伝えられる。
【0028】
図3に示すように、前述の転写位置検出部24及びドラム回転負荷検出部26は制御部31に接続され、制御部31は帯電部28、露光部29、現像部30、ドラム駆動部25、及び転写ベルト駆動部27を制御する。さらに、制御部31には転写バイアス部32が接続され、制御部31は転写バイアス部32を制御して、前述のように転写ローラ18a〜18dに転写バイアスを印加する。
【0029】
また、制御部31にはインターフェース(I/F)33を介してパーソナルコンピュータ(PC)34が接続され、そして、制御部31には表示パネル35が接続されて、制御部31はPC34から与えられるコマンドに応じて制御を行い、表示パネル35に各種制御情報を表示する。さらに、制御部31にはROM36、RAM37、及びタイマー38が接続され、ROM36には制御プログラムが格納されている。
【0030】
ここで、転写搬送ベルト15の表面の非画像領域には基準位置を示すベルト基準マークが施されており、いま、画像形成装置10のメイン電源がオンされると、制御部31は予め設定された回転速度(前述の所望周速)で転写搬送ベルト15を回転駆動するため、転写ベルト駆動部27を駆動制御して、転写搬送ベルト15を回転させるとともにドラム駆動部25を駆動制御して感光体ドラム11a〜14aを回転駆動する。
【0031】
ここでは、転写搬送ベルト15の回転速度(ベルト速度)をVb(rpm)、感光体ドラム11a〜14aの回転速度(ドラム速度)をそれぞれVd(rpm)とし、ベルト速度Vbとドラム速度Vdとは所定の周速差を有している。
【0032】
つまり、ベルト速度Vbとドラム速度Vdとを、(Vb−Vd)/Vd=比率αの関係となるように、ベルト速度Vbを設定すると、色むら及び色ずれを防止できることが知られており、上述の例では、Vb=100.50mm/s、Vd=100.00mm/sであるから、比率α=0.5%である。
【0033】
そして、転写位置検出部24がベルト基準マークを検出すると、転写ベルト駆動部27を駆動制御して、転写搬送ベルト15の回転速度を変化させ、転写搬送ベルト15の回転速度を変化させる都度、ドラム回転負荷検出部26で検出されるドラム負荷をサンプリングする。つまり、制御部31はドラム回転負荷検出部26によって感光体ドラム14aを駆動するドラム駆動モータのトルクを検知する。
【0034】
上述のようにして、制御部31はドラム負荷をサンプリングして、ドラム負荷と転写搬送ベルトの回転速度Vbとの関係を示す転写ベルト回転速度−ドラム負荷線図を得る。具体的には、感光体ドラム14aに掛かる負荷をドラム駆動モータの電流でみて、転写ベルト回転速度(ベルト駆動モータ回転速度)−ドラム駆動モータ電流線図を得る。この結果、例えば、図4に線分L1で示す関係が得られたとする。
【0035】
ところで、感光体ドラム11a〜14aは転写搬送ベルト15に圧接されている関係上、ベルト速度Vb<ドラム速度Vdであると、感光体ドラム14aに掛かる負荷は大きくなる。つまり、(ドラム速度Vd−ベルト速度Vb)が大きくなる程、感光体ドラム14aを駆動するドラム駆動モータに流れる電流が大きくなって、(ドラム速度Vd−ベルト速度Vb)に応じて、ドラム駆動モータ電流とベルト速度との関係は直線的に変化する(ベルト速度Vb<ドラム速度Vdの際には、図4に直線L11で示すように、ドラム駆動モータ電流とベルト速度との関係が変化する)。
【0036】
一方、ベルト速度Vb>ドラム速度Vdであると、感光体ドラム14aに掛かる負荷は小さくなる。つまり、(ベルト速度Vb−ドラム速度Vd)が大きくなる程、感光体ドラム14aを駆動するドラム駆動モータに流れる電流が小さく、(ベルト速度Vb−ドラム速度Vd)に応じて、ドラム駆動モータ電流とベルト速度との関係は直線的に変化する(ベルト速度Vb>ドラム速度Vdの際には、図4に直線L12で示すように、ドラム駆動モータ電流とベルト速度との関係が変化する)。そして、直線L11と直線L12とはその傾きが異なる。
【0037】
その結果、ベルト速度Vb=ドラム速度Vdの際のドラム駆動モータ電流を示す点Fpは、直線L11から直線L12へと傾きが変化する変曲点となり、前述のようにして、ドラム速度Vbを変化させて、ドラム負荷(つまり、ドラム駆動モータ電流)をサンプリングし、転写ベルト回転速度−ドラム駆動モータ電流線図を得れば、変曲点Fpが必ず存在し、この変曲点Fpに対応するベルト速度を得る。そして、変曲点Fpにおいては、ベルト速度Vb=ドラム速度Vdであるから、予め規定された速度差率(比率)αを用いてベルト速度を補正するようにすればよい。
【0038】
つまり、変曲点Fpにおけるベルト速度をVb1とすると、ベルト速度を(Vb1+α×Vb1)となるように転写ベルト駆動部27を制御すればよいことになり、このようにすれば、ベルト速度とドラム速度との間に所定の周速差が得られることになって、色むら及び色ずれを防止することができる。
【0039】
前述したように、駆動ローラ16の外径は周囲環境温度等の影響によって変化し、駆動ローラ16の外径が変化すると、転写搬送ベルト15の回転速度が変化する。そして、転写搬送ベルト15の回転速度が変化すると、ベルト速度とドラム速度との差が所定の周速差からずれてしまい、色むら及び色ずれが生じてしまうことになる。
【0040】
駆動ローラ16の外径が変化したとしても、上述のようにして、ベルト速度Vbを変化させて、ドラム駆動モータ電流をサンプリングすれば、例えば、図4に示す線分L2で示す関係が得られ、ベルト速度Vb<ドラム速度Vdの際の直線L21とベルト速度Vb>ドラム速度Vdの際の直線L22との間には変曲点Fp1が存在し、この変曲点Fp1に対応するベルト速度を得て(この変曲点Fp1におけるベルト速度をVb2とする)、ベルト速度を(Vb2+α×Vb2)となるように転写ベルト駆動部27を制御すれば、転写搬送ベルト15の回転速度と感光体ドラム14aの回転速度との間に所定の周速差が存在し、色むら及び色ずれを防止することができる。
【0041】
このようにして、転写搬送ベルト15の回転速度を変化させて、転写搬送ベルト15の回転速度と感光体ドラム14aに掛かる負荷との関係を示す線図における変曲点を感光体ドラム14aの回転速度と転写搬送ベルト15の回転速度とが等しい状態であるとして、この変曲点における転写ベルトの回転速度を速度差率分変更した補正回転速度で転写搬送ベルト15を回転駆動するようにしたので、駆動ローラ16の外径変化に起因して転写搬送ベルト15の回転速度が変化しても、転写搬送ベルト15の回転速度と感光体ドラム14aの回転速度との間に所定の周速差が存在し、その結果、色むら及び色ずれを防止することができる。
【0042】
さらに、駆動ローラ16に最も近い位置に位置する感光体ドラム14aの負荷変動を検知するようにしたので、転写搬送ベルト15の撓み等に起因する速度変動の影響を受けることがない。
【0043】
上述の例では、用紙を搬送する転写搬送ベルト15の回転速度を補正する例について説明したが、中間転写ベルトを有する画像形成装置においても同様にして中間転写ベルトの回転速度を補正するようにすれば、中間転写ベルトと感光体ドラムとの周速差を所定の値に維持することができて、色むら及び色ずれを防止することができる。
【0044】
また、上述の例では、メイン電源がオンされた際に、転写搬送ベルト15の速度補正を行う例について説明したが、予め設定された印字枚数の印字を行う都度、速度補正を行うようにしてもよく、さらには、所謂色ずれ補正制御(レジスト補正制御)を行う直前に速度補正を行うようにしてもよい。
【0045】
さらに、別に周囲環境温度を計測する温度センサを設けて、前述のようにして、転写搬送ベルト15の速度補正を行った際の検出温度から温度センサで検出される温度が所定の温度(例えば、5℃)に変化すると、再び転写搬送ベルト15の速度補正を行うようにしてもよい。
【0046】
加えて、図1に示す画像形成装置10においては、単色印字の際には、1つの感光体ドラムを残して他の感光体ドラムは、転写搬送ベルト15から離間することになる。例えば、モノクロの際には、感光体ドラム11a〜13aは転写搬送ベルト15から離間することになるが、この際においても、前述のようにして、転写搬送ベルトの回転速度の補正を行うようにすれば、特に文字画像において、中抜け等が防止されて画質を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
転写ベルトの回転速度を変化させて、転写ベルトの回転速度と像担持体に掛かる検出負荷との関係を示す線図における変曲点を像担持体の回転速度と転写ベルトの回転速度とが等しい状態であると看做して、この変曲点における転写ベルトの回転速度を予め定められた比率分変更した補正回転速度で転写ベルトを回転駆動するようにしたから、駆動ローラの外径変化に起因して転写ベルトの回転速度が変化しても、転写ベルトの回転速度と像担持体の回転速度との間に所定の周速差が存在することになる結果、カラー画像形成装置における色むら及び色ずれの防止に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例1による画像形成装置の一例を概略的に示す断面図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の要部を示す断面図である。
【図3】図1に示す画像形成装置で用いられる制御系を示すブロック図である。
【図4】図1に示す画像形成装置において感光体ドラムに掛かる負荷変動をドラム駆動モータの電流で見た際のドラム駆動モータ電流と転写搬送ベルトの回転速度との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
10 カラー画像形成装置
11〜14 作像ユニット
11a〜14a 感光体ドラム
15 転写搬送ベルト
16 駆動ローラ
17a テンションローラ
17b 従動ローラ
18a〜18d 転写ローラ
19 給紙カセット
20 給紙経路
21 定着装置
22 排紙経路
23 排紙トレイ
24 転写位置(基準位置)検出部
25 ドラム駆動部
26 ドラム回転負荷検出部
27 転写ベルト駆動部
28 帯電部
29 露光部
30 現像部
31 制御部
32 転写バイアス部
33 インターフェース(I/F)
34 パーソナルコンピュータ(PC)
35 表示パネル
36 ROM
37 RAM
38 タイマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各色毎のトナー像が形成する像担持体をそれぞれ備える作像ユニットを複数有し、前記像担持体に当接して各色毎のトナー像を直接的又は間接的に記録用紙に転写して記録用紙上にカラートナー像を形成する転写ベルトを有し、該転写ベルトが駆動ローラと少なくとも1つの従動ローラとによって張架されて、前記像担持体が前記転写ベルトの回転方向に沿って配列され、前記転写ベルトを前記像担持体に対して予め定められた比率分変更した回転速度で回転駆動する画像形成装置において、
前記像担持体の少なくとも1つに掛かる負荷を検出して検出負荷を得る負荷検出手段を有し、
前記転写ベルトの回転速度を変化させて、該転写ベルトの回転速度と前記負荷検出手段から得られた検出負荷との関係を示す線図における変曲点を前記像担持体の回転速度と前記転写ベルトの回転速度とが等しい状態であると看做して、該変曲点における前記転写ベルトの回転速度を前記比率分変更した補正回転速度で前記転写ベルトを回転駆動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記負荷検出手段は前記駆動ローラに最も近い位置に位置する像担持体に掛かる負荷を検出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記駆動ローラに最も近い位置に位置する像担持体には、ブラックトナー像が形成され、
カラー画像形成モードの際には前記像担持体の全てが前記転写ベルトと当接し、
モノクロ画像形成モードの際にはブラックトナー像が形成される像担持体を除く像担持体が前記転写ベルトから離間するようにしたことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
カラー画像形成モードの際には前記像担持体の全てが前記転写ベルトと当接し、
単色画像形成モードの際には単色画像形成を行う像担持体を除く像担持体が前記転写ベルトから離間するようにしたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−243545(P2006−243545A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−61400(P2005−61400)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】