説明

画像形成装置

【課題】 より処理の優先度が高く、処理待ちが許されないものでも処理待ちの許容範囲内で処理を開始することができる画像形成装置の提供。
【解決手段】 資源を管理する手段、資源を割り当てる手段、資源に対する優先度を記憶する手段を有する画像形成装置において、資源利用者から資源獲得要求があった場合に、資源利用者が要求した各資源の優先度情報を判定し、前記優先度情報に基づいた資源獲得期間を決定し、該資源獲得期間のみ資源を使用すること保証し、前記資源獲得要求に対して資源の割当てを行うことを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合機等においてスキャナやプリンタやファックスなど複数の機能が並行に動作する画像形成装置及び画像形成方法ならびに画像形成方法を実行するプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機などでは、スキャナやプリンタやファックス機能など複数の動作を並行して実行することが可能である。さらに、それら複数の機能の1つ1つに優先順位を付け、その優先順位の高いものから処理を実行する方法が提案されている。例えば、スキャンを実行する場合には、スキャナと画像処理デバイスを用いて行う。またプリントを実行する場合、プリンタと画像処理デバイスを使用する。優先順位を付けることで機能が使用するプリンタやスキャナなどが同じ共有資源(画像処理デバイスなど)を利用する場合、優先順位の高いものから割り当て、低い方のジョブは高い処理が終了するまで待つ。
【0003】
例えば、下記特許文献1の資源割り当てシステムでは、空き資源の不足時に、早いもの順ではなく重要な使用者に優先的に資源を割当て、また遊休資源を有効に使い回す資源割当て方法が提案されている。しかし、優先度の高い資源のものから資源獲得の要求が来た場合は実行中であっても止めてしまうため、確実に処理が終了できるものでないと対応できない。
【特許文献1】特開平10−97435
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、先に処理が始まっていれば、優先順位がいくら高く設定されていても先に処理が始まっているものの中には割り込むことができなかった。そのため、処理開始が遅れることが許されない処理などには対応できなかった。
【0005】
本発明は上述の問題点に着目してなされたものであって、より処理の優先度が高く、処理待ちが許されないものでも処理待ちの許容範囲内で処理を開始することができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した問題を解決するために、請求項1に記載の画像形成装置では、資源を管理する手段、資源を割り当てる手段、資源に対する優先度を記憶する手段を有する画像形成装置において、資源利用者から資源獲得要求があった場合に、資源利用者が要求した各資源の優先度情報を判定し、前記優先度情報に基づいた資源獲得期間を決定し、該資源獲得期間のみ資源を使用すること保証し、前記資源獲得要求に対して資源の割当てを行うことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の画像形成装置では、資源を管理する手段、資源を割り当てる手段、資源利用者に対する優先度を記憶する手段を有する画像形成装置において、資源利用者から資源獲得要求があった場合に、資源利用者が要求した各資源の優先度情報を判定し、前記優先度情報に基づいた資源獲得期間を決定し、該資源獲得期間を資源利用者に通知し了承を得た後、該資源獲得期間のみ資源を使用すること保証し、前記資源獲得要求に対して資源の割当てを行うことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の画像形成装置では、請求項1に記載の画像形成装置において、資源獲得期間は、優先度に応じて1文書を処理するまでに複数回に分けて資源獲得する際の1回分に該当することを特徴する。
【0009】
請求項4に記載の画像形成装置では、請求項1に記載の画像形成装置において、優先度情報は資源利用者に対する資源単位毎に作成することを特徴する。
【0010】
請求項5に記載の画像形成装置では、請求項1に記載の画像形成装置において、優先度情報は予め保存されており、かつ画像形成装置が保有する操作部より変更可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
発明により、より処理の優先度が高く、処理待ちが許されないものでも処理待ちの許容範囲内で処理を開始することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
下、本発明にかかる一施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
1は、本発明の実施例を示す画像形成装置システムの全体の構成を説明するブロック図である。ControllerUnitは画像入力デバイスであるカラースキャナ110や画像出力デバイスであるカラープリンタ111と接続し、一方ではLANや公衆回線(WAN)接続することで、画像情報やデバイス情報の入出力を行う為のコントローラである。CPU101はシステム全体を制御するコントローラである。RAM102はCPU101が動作するためのシステムワークメモリであり、画像データを一時記憶するための画像メモリでもある。ROM103はブートROMであり、システムのブートプログラムが格納されている。HDD104はハードディスクドライブで、システムソフトウェア、画像データを格納する。操作部I/F105は操作部(UI)106とのインターフェース部で、操作部106に表示する画像データを操作部106に対して出力する。また、操作部106から本システム使用者が入力した情報を、CPU101に伝える役割をする。NETWORK107はLANに接続し、情報の入出力を行う。MODEM109は公衆回線に接続し、画像情報の入出力を行う。画像処理部108は、画像に2値化や解像度変換など各種の画像処理を行うためのものである。
【0014】
画像形成装置において、資源とはメモリやデバイスなどの各種機能における動作に必要な要素を示す。コピー機能などの動作を始めるに当たり、メモリやデバイスなどの資源を獲得してから開始しなくてはならず、獲得できなければその動作は待ち状態となる。
【0015】
これらの資源獲得に纏わる制御部は、図1に示す、ROM103内の制御プログラムによって動作する。また、各機能は、操作部(UI)106によりユーザにより決定され動作する。
【0016】
本提案における資源割り当て方法は、図2に示す構成によって成り立つ。
【0017】
資源利用者201は、コピー、スキャン、プリントなど各機能における処理利用者を示す。資源利用者201は、文書1ページ単位に対し、必ず1人存在する。例を挙げると、3ページの文書をスキャンした場合、3人の資源利用者201が存在する。各資源利用者201は、メモリやデバイスなどの資源206の獲得を独立に行う。資源206が取得できたものより処理が開始し、資源206が獲得できないものは処理待ちとなる。資源利用者201は資源獲得要求を資源管理部204に対して出す。資源管理部204は、資源利用者201からの要求を受け、資源206の割り当てを行う。資源管理部204は、資源割り当て決定部205に資源206の割り当てを行う。資源206の割り当ては、ページ単位で管理され必ず矛盾が生じないように行う。上記例のように3ページのスキャンを行った際は、1ページ目の資源利用者201よりも2ページ目の資源利用者201に資源206を割り当てさせないようにする。資源割り当て決定部205の資源割り当ての決定手段として、優先度情報記憶部203に保持されている優先度情報207を用いる。優先度情報207は、資源利用者201に対して資源206を利用する際の優先順位を定めたものであり、資源利用者201が優先度割り当て部(資源割り当て部)202にアクセスすることにより決定する。優先度割り当て部202は、優先度情報記憶部203を用いて、資源利用者201に対する優先度情報207を作成する。作成した優先度情報は、資源利用者201が必要とする全資源206における優先順位を示しており優先順位1〜優先順位3などといった数値で表される。資源利用者201は、資源を利用した後資源が必要なくなれば、解放要求を資源管理部204に対して行う。資源管理部204は開放された資源206を管理下に戻し、開放された資源206に対して、その資源206に対する獲得要求が来ているかどうか判定する。
【0018】
次に優先度が割り当てられていた場合のおける資源割り当て判定の処理を以下に示す。図3に本割り当て方法のフローチャートを示す。
【0019】
資源利用者201から、資源獲得の要求を受けた際に資源割り当て部202では以下のような判定を下す。まず資源利用者の種類を確定する。資源利用者がスキャンであるかプリントであるかなど資源利用者の機能がどのようなものであるか確定する(S301参照)。資源利用者から受けた獲得要求に対する資源の優先度を判定する(S302参照)。資源利用者種に対する資源の優先度情報を判定する。
【0020】
ここでスキャンとプリント機能を例にとり優先度情報について説明する。優先順位は1より高く数字が高くなるについて低優先度となる。スキャン機能では、スキャナデバイスと画像処理機能が必要である。ここで、資源獲得者とはスキャン機能であり、資源とはスキャンデバイスと画像処理機能である。プリント機能ではプリンタデバイスと画像処理機能が必要である。スキャン機能の優先順位情報では、スキャナデバイスが優先順位1、画像処理機能が優先順位2である。プリント機能では、プリンタデバイスが優先順位1、画像処理機能が優先順位1である。スキャン機能とプリント機能は、画像処理機能という同じ資源を利用しているが一方は優先順位が2でもう一方は優先順位が1となり、プリント機能の方が優先順位が高く割り当てられている。
【0021】
以上のような優先順位が割り当てられているので、資源獲得者に対する資源がどれに該当するかを判定する(S303参照)。自分が獲得しようとしている資源が他の利用者の優先度よりも低ければ、その獲得単位を矩形単位として獲得する(S304参照)。もし、その資源の優先度が他の利用者よりも高ければ、資源の獲得単位をページとして獲得する(S305参照)。つまり優先度により資源の獲得・開放単位を変更する。次にその資源が既に他の利用者が利用中かどうか判定する(S306参照)。利用中でなければ資源が獲得できた旨を、資源利用者に通知する(S307参照)。利用中であれば、資源獲得待ちとして、その資源が開放されるまで待つ(S308参照)。例えば上記例のようにスキャン機能とプリンタ機能は同じ画像処理機能を利用するため、どちらかが先に使用していればもう一方は待たされる。
【0022】
次に優先度による資源の獲得・解放について説明する。資源の獲得は、資源割り当て方法により、優先度に従って決定される。優先度が低ければ、矩形単位で資源を獲得解放しなければならず、1ページの処理が終了するまでにその資源の獲得要求を何回か出さなければならない。一方、優先度が高ければ、資源の獲得はページ単位で獲得できるため、1ページの処理が終了するまでにその資源の要求は1回のみでよい。
【0023】
図4に優先度による資源の獲得・解放に対する説明図を示す。プリンタとスキャンの画像処理機能の例をとり説明する。スキャン機能の画像処理機能が優先順位2である。プリント機能の画像処理機能が優先順位1である。スキャン機能の画像処理機能は優先順位が低いため、図4の“優先度が低い利用者”のように、1ページを処理するのに画像処理機能を2回に分けて、獲得・開放しなければならない。
【0024】
まず、1回目に画像処理機能の取得要求出し、途中まで書き終わった時点で画像処理機能を開放する。次にもう一度画像処理機能の獲得要求を出し、最後まで書ききった時点で開放を指示する。一方、プリンタ機能の画像処理機能は、優先順位が高いので、図4の“優先度が高い利用者”の処理となる。優先順位が高い場合は、1ページ間の処理でよく、獲得・開放ともに1回でよい。このため、優先順位が高い場合は、1ページ間を処理する間に他の利用者に割り込まれる心配はない。優先順位が低い場合は、1回目に開放した時点で他の利用者に資源を獲得される可能性がある。優先度が低くなるにつれ、獲得開放の単位をもっと細かくする。例えば、優先順位が3なら獲得・開放の単位は3回などというように優先度に応じて獲得・開放の単位を変更する。
【0025】
次に優先度の割り当て方法について示す。優先度は固定で割り当てる方法およびUIにより割り当てる方法の2種類が選択可能とする。UIとは操作部106のことであり、ユーザがタッチパネル等を利用して、情報を入力する部位である。2種類の優先度割り当て方法はどちらも選択可能であり、UIにより割り当てがなければ、固定で割り当てる方法が指定され、UIによる割り当てが存在すれば、UIによる割り当てが優先される。
【0026】
図5にUIの例について示す。501〜504は、各機能(コピー、プリント、スキャン、FAX)の優先度を決定する部分であり、ここを押下し、数値を入力する。505はメイン画面に戻る際のボタンである。各機能の資源はここに入力された値を元に自動的に決定され、図2における優先度情報記憶部203にて保存される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1の画像形成装置の全体構成を示す図である。
【図2】実施例1の資源割り当て制御の構成図である。
【図3】実施例1の資源割り当て方法のフローチャート図である。
【図4】実施例1の優先度による資源割り当て方法の説明図である。
【図5】実施例1の優先度決定のためのユーザインタフェースである。
【符号の説明】
【0028】
101 CPU
102 RAM
103 ROM
104 HDD
105 操作部I/F
106 操作部
107 NETWORK
108 画像処理部
109 MODEM
110 スキャナ
111 プリンタ
201 資源利用者
202 資源割り当て部(優先度割り当て部)
203 優先度情報記憶部
204 資源管理部
205 資源割り当て決定部
206 資源
207 優先度情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
資源を管理する手段、資源を割り当てる手段、資源に対する優先度を記憶する手段を有する画像形成装置において、資源利用者から資源獲得要求があった場合に、資源利用者が要求した各資源の優先度情報を判定し、前記優先度情報に基づいた資源獲得期間を決定し、該資源獲得期間のみ資源を使用すること保証し、前記資源獲得要求に対して資源の割当てを行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
資源を管理する手段、資源を割り当てる手段、資源利用者に対する優先度を記憶する手段を有する画像形成装置において、資源利用者から資源獲得要求があった場合に、資源利用者が要求した各資源の優先度情報を判定し、前記優先度情報に基づいた資源獲得期間を決定し、該資源獲得期間を資源利用者に通知し了承を得た後、該資源獲得期間のみ資源を使用すること保証し、前記資源獲得要求に対して資源の割当てを行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、資源獲得期間は、優先度に応じて1文書を処理するまでに複数回に分けて資源獲得する際の1回分に該当することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置において、優先度情報は資源利用者に対する資源単位毎に作成することを特徴する画像形成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像形成装置において、優先度情報は予め保存されており、かつ画像形成装置が保有する操作部より変更可能であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−35558(P2006−35558A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−217080(P2004−217080)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】