説明

画像形成装置

【課題】 画像形成装置において、シートに付されたICタグに記憶されているデータが破壊されているか否かを判別する。
【解決手段】 シートの表面に画像を形成する画像形成部6と、画像形成部6によって画像が形成された後のシートに付されたICタグに書き込まれているデータの誤りを検知するパリティチェッカ80と、パリティチェッカ80によりデータの誤りが検知された場合に、データの誤りがあることを表す誤り検知情報を出力する出力手段とを有する画像形成装置を提供する。上記の画像形成装置によれば、画像形成後のシートに付されているICタグに書き込まれているデータの誤りが検知された場合に、データの誤りがあることを表す誤り検知情報が出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグに書き込まれているデータの誤りを検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像を形成したシートに電子データを埋め込む技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載の技術では、、電子写真方式によりシート表面に画像を形成する画像形成装置において、中間転写体の表面に形成されたトナー像上にICタグを転写する手段を有し、ICタグが転写されたトナー像をシートに転写する。これによって、ICタグを画像に埋め込んだ印刷物を作成することができる。
【特許文献1】特開2003−107959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記の技術には以下に示す問題点がある。例えば電子写真方式の画像形成装置においては、トナー像をシートに転写・定着する際、シートが高電圧、高温にさらされるため、シートに付されたICタグに記憶されているデータが破壊されるおそれがある。
本発明は、上述した背景の下になされたものであり、画像形成装置において、シートに付されたICタグに記憶されているデータが破壊されているか否かを判別することのできる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の課題を解決するために、本発明は、シートの表面に画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段によって画像が形成された後のシートに付されたICタグに書き込まれているデータの誤りを検知する検知手段と、前記検知手段により前記データの誤りが検知された場合に、データの誤りがあることを表す誤り検知情報を出力する出力手段とを有する画像形成装置を提供する。
上記の画像形成装置によれば、画像形成後のシートに付されているICタグに書き込まれているデータの誤りが検知された場合に、データの誤りがあることを表す誤り検知情報が出力される。
【0005】
上記の画像形成装置においては、前記検知手段はパリティチェッカであることが好ましい。
また、上記の画像形成装置においては、前記出力手段によって出力された前記誤り検知情報を表す画像を前記シートに書き込む書込手段を有することが好ましい。
また、上記の画像形成装置においては、前記画像形成手段に前記シートを供給する給紙手段と、前記給紙手段により前記画像形成手段に前記シートが搬送される前に、前記シートに付されたICタグに書き込まれているデータを読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られたデータを記憶する記憶手段と、前記誤り検知情報を入力する入力手段とを有し、前記出力手段は、前記入力手段により前記誤り検知情報が入力された場合に、前記記憶手段に記憶されているデータを読み出し、該データを出力することが好ましい。
また、上記の画像形成装置においては、前記画像形成手段に前記シートを供給する給紙手段と、前記給紙手段に収容されているシートに付されたICタグに書き込まれているデータを読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られたデータを記憶する記憶手段と、前記誤り検知情報を入力する入力手段とを有し、前記出力手段は、前記入力手段により前記誤り検知情報が入力された場合に、前記読取手段により読み取られたデータを出力することが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像形成装置において、シートに付されたICタグに記憶されているデータが破壊されているか否かを判別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる画像形成装置1の構成を示す図である。本実施形態においては、複写機の例を用いて説明するが、プリンタ等にも本発明は適用可能である。
画像形成装置1は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等(いずれも図示省略)からなる制御部4を有し、ROMに格納されたコンピュータプログラムをCPUが実行することによって画像形成装置1各部の制御を行う。指示入力部41は、テンキー、スタートボタン等からなるキーボード40、タッチパネル機能を有する液晶パネルからなる表示部39を備えており、画像形成装置1に対する指示を入力することができる。また、画像形成装置1に異常等が発生した場合に、タッチパネル上に情報を表示することができる。
【0008】
給紙トレイ9には画像を形成するためのICタグ付きシート100が収容される。図2は、ICタグ付きシート100の構成を示す図である。シート101は、例えばJIS(日本工業規格)A4サイズの普通紙であり、その上隅にはICタグ102が取り付けられている。このICタグ102は、外部装置との間で非接触式でデータの授受を行うことのできる、いわゆる無線ICタグである。ICタグ102は、書き込まれたデータを保持する不揮発性の半導体メモリ、コイル状のアンテナ等からなり、外部の機器との間でマイクロ波、誘導電磁界等を用いてデータ通信を行うことができる。
ICタグ102には、予め任意のデータが書き込まれている。書き込まれるデータは、例えば当該シートの種類を表すデータ、当該シートの物性値、当該シートに印刷された画像の機密レベルなど、いかなる種類のデータでもよい。
【0009】
ユーザが指示入力部41により画像形成の指示を入力すると、給紙ローラ33が回転駆動され、給紙トレイ9からICタグ付きシート100を1枚ずつ送り出す。給紙トレイ9から送り出されたICタグ付きシート100はローラ対34、35、37によって搬送路36に沿って搬送される。
転写ベルト8は、ローラ26、27、28、29に張架されており、矢印Bの方向に循環駆動される。
【0010】
画像入力部12は、原稿を光学的に読み取って画像データを生成するスキャナ装置である。プラテンガラス2上に載置された原稿に対して光源13により光が照射され、この反射光が光学系3によって処理される。反射光は、ミラー14、15、16を介して受光部17で受光される。そして、画像処理部18が反射光を電気信号に変換し、画像データを生成する。
制御部4は、画像入力部12で生成された画像データに基づいてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の信号を生成し、後述する露光装置に供給する。
【0011】
画像形成部6は、画像形成エンジン7Y、7M、7C、7K、転写ベルト8等からなる。
画像形成エンジン7Y、7M、7C、7Kは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する。各画像形成エンジンの構成は共通であるから、ここでは画像形成エンジン7Yについてのみ説明する。
画像形成エンジン7Yは、静電潜像が形成される像担持体としての感光体ドラム20Yの周囲に、帯電装置21Y、露光装置19Y、現像装置22Y、クリーナ24Y等を設けて構成されている。
【0012】
帯電装置21Yは、矢印Aの方向に回転駆動される感光体ドラム20Yの表面を所定の電位に帯電させる。
露光装置19Yは、帯電装置3Yによって所定の電位に帯電した感光体ドラム2Yに対して、画像データに基づいた露光用ビームLBを照射するROS(Raster Output Scanner)である。露光装置19Yは、図示しない半導体レーザーから画像データに基づいてレーザー光を出射し、このレーザー光を偏向走査することにより感光体ドラム20Yの表面に静電潜像を形成する。感光体ドラム20Yの表面では、レーザー光が照射された部分の電位が、感光体ドラム20Yの有する光導電性により所定のレベルまで減少する。このように、感光体ドラム20Yの表面電位が変化することにより、感光体ドラム20Yの表面には画像データにもとづいた静電潜像が形成される。
【0013】
現像装置22Yは、感光体ドラム20Y表面に形成された静電潜像を顕像化する装置である。トナータンク23Yからはトナー(帯電色材)が供給され、感光体ドラム20Yの帯電極性と同極性に帯電したトナーによって静電潜像を反転現像することによってトナー像を得る。
感光体ドラム20Yはその下方に位置する転写ベルト8と圧接しており、上記のようにして形成されたトナー像が転写ベルト8に転写される。
クリーナ24Yは、感光体ドラム20Yに残存したトナーを除去する装置である。
【0014】
以上が画像形成エンジン7Yの構成である。画像形成エンジン7M、7C、7Kにおいても各色に対応したトナー像が形成され、転写ベルト8に重ねて転写される。なお、これ以降、画像形成エンジン7Y、7M、7C、7Kを区別する必要のない場合には、単に画像形成エンジン7と称する。他の構成要素についても同様に、Y、M、C、Kの別を区別する必要のない場合には、Y、M、C、Kの表記を省略するものとする。
【0015】
給紙トレイ9から搬送路36上に送り出されたICタグ付きシート100は、転写ベルト8と転写ローラ30とが形成するニップ部に進入し、転写ベルト8に圧接される。この圧接力および静電吸引力によってトナー像がICタグ付きシート100の表面に転写される。
トナー像が転写されたICタグ付きシート100は、ローラ対31によって定着装置11に導かれる。定着装置11においては、ICタグ付きシート100に対して加圧および加熱が施され、トナー像がICタグ付きシート100に定着される。
【0016】
定着装置11の下流側にはパリティチェッカ80(検知手段)が設けられている。パリティチェッカ80は、公知のパリティチェック機能により、ICタグ102に書き込まれているデータの誤りを検知する。ICタグ102に書き込まれるデータには、例えば8ビットにつき1ビットのパリティビットが設けられており、偶数パリティあるいは奇数パリティのいずれかの規則に従ってパリティビットに値が書き込まれている。パリティチェッカ80は、定着装置11から搬送されてきたICタグ付きシート100に付されているICタグ102に書き込まれているデータを読み取り、パリティビットの値を読み取って誤りの有無を判断し、データの誤りが検知された場合には、誤りがあったことを表す誤り検知情報を制御部4に出力する。
【0017】
このようにして画像形成が行われたICタグ付きシート100は、フィニッシャ90に搬送される。フィニッシャ90は、例えば複数枚のシートを綴じるステープラ等を備えた後処理装置であり、最終的にシートは排紙トレイ32に排出される。フィニッシャ90の最上流部には、例えばインクジェット方式により画像形成を行う書込装置91(書込手段)が設けられている。制御部4は、誤り検知情報を受け取ると、誤り検知情報を書込装置91に供給し、書込装置91はICタグ付きシート100の表面に誤り検知情報を表す画像を形成する。
【0018】
給紙ローラ33の近傍には、ICタグ102からデータを読み取るためのタグリーダ70が設けられている。給紙トレイ9からICタグ付きシート100が送り出される際、ICタグ102に書き込まれているデータがタグリーダ70によって読み取られる。読み取られたデータは、記憶部5に記憶される。排紙トレイ32に排出されたICタグ付きシート100に誤り検知情報を表すバーコードの画像が形成されている場合には、ユーザがこのICタグ付きシート100を画像入力部12のプラテンガラス2上に載置してバーコードを読み取らせる。こうしてバーコードが入力されると、制御部4がバーコードを解読して誤り検知情報を得る。誤り検知情報が得られると、制御部4は、記憶部5に記憶されているデータを読み出し、このデータを表す画像を指示入力部41のタッチパネルに表示する。
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、画像形成装置において、シートに付されたICタグに記憶されているデータが破壊されているか否かを判別することができる。データの破壊の検知はパリティチェックによって行うから、簡易な構成でデータの破壊の検知を行うことができる。また、データの破壊が検知された場合に、破壊される前のデータを取り出すことができる。
【0020】
<変形例>
以上説明した形態に限らず、本発明は種々の形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形した形態でも実施可能である。
上記の実施形態においては、データの誤りが検知された場合に記憶部に記憶されたデータをタッチパネルに表示する例を示したが、新規のシートを給紙トレイから画像形成エンジンに供給し、このデータをプリントするようにしてもよい。
また、データの誤りがあった場合、給紙トレイに収容されているシートのICタグからデータを読み取り、このデータを表示またはプリントするようにしてもよい。
上記の実施形態においては、パリティチェック機能を用いてデータの破壊を検知する例を示したが、パリティチェック以外の誤り検知機能を用いてもよい。
上記の実施形態においては、マイクロ波または誘導電磁界を用いてデータを授受する非接触式のICタグを用いた例を示したが、接触式のICタグを用いてもよい。
上記の実施形態においては、誤り検知情報を書込手段を用いてシートに書き込む例を示したが、誤り検知情報を表すラベルをシートに貼り付けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】画像形成装置1の構成を示す図である。
【図2】ICタグ付きシート100の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
1…画像形成装置、、12…画像入力部、2…プラテンガラス、3…光学系、4…制御部、5…記憶部、41…指示入力部、39…表示部、40…キーボード、9…給紙トレイ、33…給紙ローラ、34、35、37…ローラ対、36…搬送路、8…転写ベルト、26、27、28、29…ローラ、12…プラテンガラス、13…光源、14、15、16…ミラー、17…受光部、18…画像処理部、6…画像形成部、7Y、7M、7C、7K…画像形成エンジン、20Y…感光体ドラム、21Y…帯電装置、19Y…露光装置、22Y…現像装置、24Y…クリーナ、30…転写ローラ、31…ローラ対、32…排紙トレイ、100…ICタグ付きシート、101…シート、102…ICタグ、70…タグリーダ、80…パリティチェッカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの表面に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって画像が形成された後のシートに付されたICタグに書き込まれているデータの誤りを検知する検知手段と、
前記検知手段により前記データの誤りが検知された場合に、データの誤りがあることを表す誤り検知情報を出力する出力手段と
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記検知手段はパリティチェッカであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記出力手段によって出力された前記誤り検知情報を表す画像を前記シートに書き込む書込手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成手段に前記シートを供給する給紙手段と、
前記給紙手段により前記画像形成手段に前記シートが搬送される前に、前記シートに付されたICタグに書き込まれているデータを読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られたデータを記憶する記憶手段と、
前記誤り検知情報を入力する入力手段と
を有し、
前記出力手段は、前記入力手段により前記誤り検知情報が入力された場合に、前記記憶手段に記憶されているデータを読み出し、該データを出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成手段に前記シートを供給する給紙手段と、
前記給紙手段に収容されているシートに付されたICタグに書き込まれているデータを読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られたデータを記憶する記憶手段と、
前記誤り検知情報を入力する入力手段と
を有し、
前記出力手段は、前記入力手段により前記誤り検知情報が入力された場合に、前記読取手段により読み取られたデータを出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−88478(P2006−88478A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275886(P2004−275886)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】